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離婚 とその 要因 わが国における離婚に関する要因分析 安 蔵 伸 '台 (明治大学政治経済学部) Deterlrllnants()fE)ivorce in Japan Analysis of E)iscrete Tlme Hazard Model about E)ivorce u Shitti ANZ0 1n Japan, although it was the tendency for divorce to be present, countries and thc sanxぅ level with much divorce in the worid are ■■LiS paper ftDcused on the analysis of lDiscrete TlIIle Ha utilizing the JGSS-2000 data. The factor of divorce can b demographic one, inauence of social integration,traditiona and divorce,and soclo― econorrllc environment at age of 15. The data existellce of child,especially boy cllild,prevellts divorc Hlother's full tilne work age at 15 accelerate his divorce, cohort and women in the 1965-69 cohort have the lligh possi As for the woman with an anti― tradition― concept of marriage, the possibility divorce becomes high. Key wOrds:JGSS-2000,Divor(湾 ,Traditional Con∝ pt about rMarriage and Divor(湾 , Existcn∝ of Son わが国は,世界的にみても高離婚社会である。本稿では,」 GSS-2000を わが国の離婚に関する実証研究をおこなった。離婚要因は,人 口学的要因,社 会統合 の影響,結婚や離婚や男女の伝統的役割分担などに関する価値観,15 歳時 社会経済的環境要因に大別できる。分析 の結果、男性 の場合は子どもの 存在 と高等教育が離婚を抑止するが , 1 5 歳時 に片親であ つた り, 母親 が常勤 労働 を して い る場合 には離婚経験が多い。1960-64年 生まれのコ ウホ トに 婚 が多 く, 初婚 の 3 年 ,4年目に 離婚可能性が高まる。子どもが男児の場合に は , 男性 の離 婚 が大 き く抑 止 され る。女性 の場合 は子 どもの 存在は離婚抑止効 果をも つが ,男性のほど強 くない。1965-69年 生まれのコ ウホ トで離婚の可 能性が際立って高 い。結婚 に関する非伝統的な価値観を強 く有する場合,離婚 可能性 が高 まる。 ド:」 GSS-2000,離 婚, 結婚や離婚に関する伝統的価値観, 男児の存在 -25- JGSS研究論文集[2](2003.3)

離婚とその要因 一わが国における離婚に関する要因 …jgss.daishodai.ac.jp/research/monographs/jgssm2/jgssm2...離婚とその要因 一わが国における離婚に関する要因分析―

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離婚とその要因一 わが国における離婚に関する要因分析 ―

安 蔵 伸 '台

(明治大学政治経済学部)

Deterlrllnants()fE)ivorce in Japan

Analysis of E)iscrete Tlme Hazard Model about E)ivorce using the JGSS-2000

Shitti ANZ0

1n Japan, although it was the tendency for divorce to be low till the 1970s, at

present, countries and thc sanxぅ level with much divorce in the worid are reached.

■■LiS paper ftDcused on the analysis of lDiscrete TlIIle Hazard Model about divorce

utilizing the JGSS-2000 data. The factor of divorce can be divided roughly inlo the

demographic one, inauence of social integration,traditional concept abollt marriage

and divorce,and soclo― econorrllc environment at age of 15. The data indicated that

existellce of child,especially boy cllild,prevellts divorce for men.Single parent and

Hlother's full tilne work age at 15 accelerate his divorce, Men in tlle 1960-64 birth

cohort and women in the 1965-69 cohort have the lligh possibility of divorce unique.

As for the woman with an anti― tradition―concept of marriage, the possibility of

divorce becomes high.

Key wOrds:JGSS-2000,Divor(湾 ,Traditional Con∝pt about rMarriage and Divor(湾, Existcn∝of Son

わが国は,世 界的にみても高離婚社会である。本稿では,」GSS-2000を用い

わが国の離婚に関する実証研究をおこなった。離婚要因は,人 口学的要因,社

会統合の影響,結 婚や離婚や男女の伝統的役割分担などに関する価値観,15

歳時の社会経済的環境要因に大別できる。分析の結果、男性の場合は子どもの

存在 と高等教育が離婚を抑止するが,15歳 時に片親であつたり,母 親が常勤

労働をしている場合には離婚経験が多い。1960-64年生まれのコウホー トに離

婚が多 く,初 婚の 3年 ,4年 目に離婚可能性が高まる。子どもが男児の場合に

は,男性の離婚が大きく抑止される。女性の場合は子どもの存在は離婚抑止効

果をもつが,男 性のほど強 くない。1965-69年生まれのコウホー トで離婚の可

能性が際立って高い。結婚に関する非伝統的な価値観を強 く有する場合,離婚

可能性が高まる。

キーワード:」GSS-2000,離婚,結婚や離婚に関する伝統的価値観,男児の存在

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

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1 ,は じめに

わが国の離婚水準は,世界的にもみてもすでに高水準に達 している。ことに 1980年代以

降,離 婚率は急速な上昇傾向に転 じてお り,こ の傾向が続 くならば離婚という事象は社会

的に希有な事例ではなく,ひ とびとのライフコースの中における選択肢のひとつとなる時

代に移行 していくこととなる。今後のわが国の更なる少子高齢化を背景に,女 性の高学歴

化や社会進出はますます進んでい くことは明らかである。女性にとって,結 婚の経済的依

存性という意味は薄れ,経 済的自立を基盤とした選択行動が広がつてい くことになろう。

世界でもつとも離婚率の高いアメリカ合衆国においては,5年 以内に初婚の五分の一が

離婚となり,10年以内に三分の一が,そ して 15年以内には 43%が離婚となる(Brattett and

Mosller,2001)。アメリカでは,第 二次大戦前後に離婚率の上昇があつたが,そ の後戦前の

レベルまで低下 し安定 していた。しかし,1960年代後半から離婚率は急速に上昇をは じめ,

その傾向は 1980年頃までつづいた。1980年以降は高位で安定 し,1990年 代に入 り初婚年

齢の上昇や婚姻率の低下を背景として若干低下傾向を示 している。アメリカ社会は 1960

年代半ば以前と 1980年 以降とはまるで異なる社会 と言えるような離婚の水準をもつこと

になつたのである。

アメリカの 1996年の人口千人に対する離婚率である普通離婚率は 4.33であり,わ が国

のそれは 1999年で 2.0と約半分である。 しかしこの数値はすでにフランスを抜いてお り,

わが国の離婚水準は世界の トップクラスに達 していると言える (1)。わが国の離婚率は,

1970年代から徐々に上昇 し始めてはいたが,1990年代に入 り急速な上昇傾向を示 している。

この上昇傾向は 1970年代のアメリカのように推移を示し,いずれそれ以前の社会とは異な

るような水準で高位に移行するのであろうか。

離婚の増加は,当 事者である夫と妻の別離のみならず家族の構成を変化させ,さ らに再

婚と離婚が繰 り返されることにより,夫 婦や親子という関係が複雑なものとなる。その結

果,家 族そのものの意味も大きく変化 していくことになる。

わが国においては,こ れまで離婚に関する研究は法律家などによる個々の事例に関する

ものは多いが,個 票データによる離婚行動に関する要因分析はあまりおこなわれてこなか

った。その最大の原因は,デ ータの入手可能性の問題である。いかなる要因が離婚という

行動に影響を及ぼすのかを分析する際には,個 々人がもつ様々な特質に関する情報が不可

欠である。離婚が特異な行動ではなくごく普通の社会行動とな りつつあるわが国において,

こうした行動分析を行うことは非常に大きな意味があるものと考える。

本稿においては大規模なサンプルデータからなるJGSS-2000を用い,わ が国の離婚行動

について,人 口学的要因,社 会統制要因,社 会経済変数,回 答者の 15歳時の環境要因,価

値観因子などの側面からわが国の離婚行動の分析をおこなつていくことにする。

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

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2.離 婚要因に関する先行研究

1960年代後半から 80年 代始めにかけて離婚率の急激な上昇を経験 したアメリカにおい

ては,1980年 代に離婚要因についての多 くの実証的研究がなされた (White,1990)。そし

て 1980年代に離婚率が高位安定の状態に移行すると,離婚によってもたらされる帰結につ

いての研究が多 くなっている。本節では,離 婚要因についておこなわれた先行研究につい

て考察 し,JGSS-2000か ら得られる変数を最大限利用 し,わ が国に離婚行動の要因分析を

行うためのモデルを構築する。

先に述べたように,1980年代にアメリカですすめられた離婚要因に関する研究において,

大別すると離婚行動をおこなう人々の人口学的特質,そ の人たちが存在する社会に固有の

社会統制的要因,個 々人の社会経済的特質,回 答者の 15歳時の社会経済的環境要因,そ し

て結婚や離婚といつた社会行動や伝統的な男女の役筈J分担などに関する価値観などが取 り

上げられてきた。以下では,そ れぞれの考察を行つていくことにする。

2.1 人 口学的要因

離婚に影響を及ぼす人口学的要因としては,性別や年齢や人種などの基本的な属性から,

人口事象としてあらわれる初婚年齢,初 婚や再婚などの結婚順位,子 どもの有無,男 児の

有無などが先行研究によってその影響が認められている。また,親 の離婚経験や本人の同

棲経験なども人口学的要因と分類される。

まず,初 婚年齢から考察する。アメリカでは,1980年 代中頃まで初婚年齢は非常に低 く

状態であつた。離婚率が急上昇 していた 1975年 の初婚中位年齢 (Median Age at First

Marriagc)が,男 子で 22.7歳,女 子で 20,8歳である。それが 1990年になると男子が 25.9

歳,女 子が 24.0歳となり,そ れにともなつて離婚率も若干低下してきている (Cemer ttr

Disease Control and Prevelltion,1995)。初婚年齢と離婚については MartinとBumpass(1989)

によっても指摘され,早 婚であるほど離婚の確率は高まり,特 に結婚 5年 以内の離婚につ

いては結婚年齢が大きな予測効果をもつ。このように初婚年齢が低い場合,つ まり早婚が

離婚を高めるもつとも大きな原因して,夫 と妻のどちら側にも結婚後の男女の役割につい

ての認識とその遂行の度合いが低いことが指摘されている (Booth and Edwards,1985)。

結婚順位については,再 婚は初婚よりも25%も離婚率が高い傾向があり,初 婚が離婚と

なる人たちは,そ の特質を再婚にも持ち越す傾向がある (Martin and Bumpass,1989)。また

同棲経験に関しては,同 棲をした経験がある人や同棲を容認する人々は結婚についての伝

統的な規範を軽視する傾向が強 く,そ うでない人たちと比較すると,離 婚を恥ずべき事と

思わないと説明される (Bennet,et.al.,1988)。つまり,離 婚経験者や同棲経験者は,ど ち

らも結婚に関する社会規範にとらわれない考え方をもち,そ うしたことが離婚を容易に受

け入れることとなるのである。

子どもの有無は,離 婚の抑制要因となることが検証されている。家庭における子どもの

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

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存在は,結 婚の凝集性を高めると考えられ,子 どもがいない夫婦の離婚率は子どもがいる

夫婦よりも高 く,ま た結婚から離婚に至る期間も短いことが検証されている (White,et.al.,

1986)。また,General Social Surveyを用い,筆 者が行つた分析においては,子 どもの有無

は男子のモデルにおいて離婚抑止効果があることが認められた (1997)。

子どもの有無は離婚を抑止する効果があるが,子 どもの性別の違いよつてその効果の程

度が異なる。Morganらは 1980年の Current Population Surveyを用いて分析 し,女 児をもつ

母親は息子をもつ者よりも結婚崩壊を経験 しやすいということを検証 した。同様に、娘は

息子よりも両親の結婚崩壊を経験 しやすいということもわかつた。相対的な結婚崩壊する

確率は娘をもつことで9%上昇するのである。夫婦にとって子どもをもち親になることは,

結婚安定性を増すことになるが,父親が家庭に熱心であるとき特にそれは顕著にみられる。

しかし子どもが息子である時には,父 親の熱心さがさらに上昇するのである (1988)。

子どもの存在は結婚の安定性を上昇させるが,父 親は息子によりかかわ り合いと彼への

投資を促進させるため,息 子は娘よりもより安定性を上昇させるのである。つまり,父 親

は娘よりも息子の養育に熱心であ り,娘 よりも息子に躾や教育をより熱心に施すという結

果がみられたのである。Katzevらも,男 児がひとりでもいる母親と女児のみの母親とを比

較すると,後 者のほうが離婚確率の高いことを証明 している (1994)。

世代間の離婚経験,つ まり親の離婚経験 と子の離婚行動の関係についてはすでに多 くの

研究がなされている。親の離婚は子どもの将来の離婚可能性を上昇させる (Bumpass et al.,

1991; Glenn& Kramer, 1987, McLanahan& Bumpass, 1988; Mueller & Pope, 1977; Popc &

Muclttr,1976)。子どもの世代の夫と妻のどちらかの親が離婚 していても,子 ども世代の離

婚可能性は上昇するが,双 方の親が離婚 している時には,そ の夫婦の離婚の可能性は最も

高 くなる。また,親 の離婚が 12歳以下であるとき,子 どもの世代への親の離婚の影響が強

くみられる (Amoto,1996)。

また,結 婚崩壊により片親と暮らす子供は、両親 と暮らす子供に比べて,10代 で結婚や

出産をしやすく,ま た婚外出産をする傾向にあり,さ らに結婚崩壊を経験する可能性が高

いことも認められている (McLanahan and Bumpass,1988)。

2.2 社会統合と離婚

個人や家族とその社会との結びつきの程度を意味する社会統合(Social lntegration)の強弱

と離婚の関係については,個 人データや地域データなど異なった検証方法により説明され

てきている。

個人データを用いこの関係を分析 した,Glennと Sheltonによると,社 会統合が強い場合

には,人 々はその社会に存在する社会規範 (Social Norm)を重視するため,結 婚相手の選

択に慎重となり,ま た結婚生活における夫と妻の役割を尊重するようになる。これとは逆

に,社 会統合が弱い場合には,社 会規範にはとらわれなくなり離婚を恥ずかしいこと思わ

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

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な くなる傾向がある (1985)。

地域データを用いた分析では,社 会統合を示す指標 として,都 市化水準,教 会加入率,

また人口変化率などを採用 し,離婚との関係を考察する。BreaultとKposowaの場合は郡レ

ベルのデータを用い,上 記の関係を検証 した。その結果,そ の地域の教会加入率が高 くな

ると離婚率は低 くなり,人 口変化率と都市化率が増加すると離婚率も高 くなることが示さ

れている (1987)。

2.3 価値観の変化

社会の近代化や都市化,人 口移動や社会移動の活性化,教 育水準の 上昇や女性の就業機

会の増加などの社会的変化に伴い,社 会統合が弱 くなり個人主義が発達 して くると,結 婚

や家族の形態が変化する。その結果として,同 棲や婚姻外の出産などが生じることとなる

(Roussel and tter)1988)。個人主義の発達は社会規範の拘束力の低下をもたらし,結婚に

関する考え方や家庭内の夫婦の役害J分担 (Gender Roles)に関する伝統的な価値観,あ るい

は離婚に関する考え方を変化させることとなる。1960年代から 1970年代のアメリカ社会

では,リ ベラリズムの台頭や女性解放運動,そ してベ トナム戦争を背景として女子の高学

歴化や社会進出が進んだ。女性の経済的自立や社会多岐活動が活発化すればするほど,結

婚や男女の役割分担についての伝統的な価値観や,離 婚に対する考え方も大きく変化 して

いつたのである (Cherlin,1981)。

特に家庭内における夫と妻の役筈Jに関して大きな影響をもたらすものは,女 子の就業で

ある。女子就業が女子の経済的自立をもたらし,その結果として離婚の可能性を高める(Lec,

198乳Rank,1987;B()oth,et.al.,1984)。こうした経済的自立が家庭内における夫と妻の伝統

的な役割分担を変化させ,男 女の性役割が同等になると,夫 婦間や家族の成員間の結びつ

きの強さ,つ まり結婚の凝集 (Marital coheslon)が希薄になる (Becker,1981)。さらに夫

婦間の相互作用という観点からみると,女 子の就業により,夫 婦間の時間に共有が少なく

傾向があり,離 婚傾向が強 くなる。

女子の経済的自立や社会進出,そ れに伴う家族の機能の変化などによってもたらされた

価値観の変化は,行 動へと反映される。アメリカ社会の 1960年代中頃から1980年代まで

の離婚率の急上昇の背景にはこうした価値観の変化が存在 していたと言えよう。

2口4 15歳 時の環境要因と社会経済変数

子どもが思春期を迎え,人格形成に大きな影響をもつ 15歳時の生活環境は,彼 らの後の

社会行動に大きな影響をもつ。またこの時期の両親から与えられる社会経済的環境は,本

人の経済的な価値観を決定 し,成 長後に労働市場で自分が得ることのできる収入の意味の

理解に影響する。EasterHnの提唱する 「相対所得 (Relatve lncomc)」である (1980)。青年

期に親から,と くに経済的に中心的な役割を演 じる父親から与えられた経済的環境,言 い

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

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換えれば個々人の生活水準に関するものは,本 人の行動様式に関する様々な価値観に大き

な影響を与える。そして青年が労働市場において自らが得た所得と,親 から与えられた経

済的価値観の比較によって自己の経済的地位を理解することとなる。前者の親から与えら

れた経済的価値観を生活水準効果,後 者の自らの稼得能力を所得効果と言い,そ の比較に

よって相対的経済的地位を決定するのである。

15歳時の経済的状況それ自体や,15歳時の父親の経済的地位 と自分の経済的地位の比較,

また母親の勤労や片親の有無などは,本 人の行動様式に関する様々な価値観の形成に大き

な影響をもたらすものと言える。

3.デ ータと分析方法

日本版 General Social Surveys(JGSS)の第 1回本調査 (JGSS-2000)を利用 した。 初 婚者

のうちで結婚期間を経るなかで,離 婚という行動をとることはいかなる要因によって影響

を受けるのであろうか。この問題について分析を行う場合には,初 婚というエントリーイ

ベントによって形成された結婚生活が,離 婚という現象によつて終結する,も しくは調査

時点まで結婚生活が継続 している者を打ち切 り例(CensOred case)となるとした生存分析を

考える必要がある。つまり初婚期間という時間変数の変化の中で,い かなる要因の影響を

受け離婚の生起確率が変化 してい くかをみる分析である。いわゆる比例ハザー ドモデルに

よる分析である。ハザー ド率は,あ る時点でイベントが起こりうるリスクをもつサンプル

数に対 して同時点にイベントが生起 したサンプル数の比率である。つまり,あ る時点にお

けるイベント生起の可能性をもつ対象がイベントを経験する確率である (Yalrlaguchi,1991;

Allison,1995)。

初婚期間が離婚によって終結する要因を分析するモデルには,前 述の先行研究から得 ら

れた人口学的要因,社 会統合,社 会経済変数,15歳 時の環境要因,価 値観因子などが説明

変数となる。人口学的要因には,初 婚年齢や子どもの有無,そ して回答者が属する出生コ

ウホー トを用いる。出生コウホー トは 1944年以前のコウホー トを0と した準拠集団とし,

それ以降の 5歳 階級の出生ヨウホー トである場合をそれぞれ 1と した変数を用意 した。社

会統合には 13大都市での居住と,それより小規模な市での居住が変数 して採用 した。これ

らは市以下の町村での居住を準拠集団としている。社会経済変数としては回答者本人の教

育水準が,そ して 15歳時の環境要因として片親家庭で育つたか,母親が常勤で働いていた

か,世常収入の水準を用いる。また,社会経済変数と15歳時の環境要因との中間的存在と

して,「本目対所得」の概念があるが,そ の概念の操作化として回答者本人と初職の威信スコ

アと15歳時の父親の職業威信とを対比したものを用いる。価値観因子は非伝統的価値観因

子と離婚肯定因子の二因子を投入する。

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

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表 l JGSS-2000のサンプルのコウホー ト別度数分布と離婚経験者の分布

A.全 サンプルにおける既婚男女の生年ヨウホー ト及び離婚経験者の分布

5年区切リコウホー ト数

565

142

109

84

80

51

52.2

1 3 . 2

1 0 . 1

7 . 8

7 . 4

4 . 7

4 . 5

20(4)キ

18

8

6

1 0 ( 1 ) 十

1

3.54路

12.68粥

7.34鴨

7.14鴨

12.50鴨

1.96常

Percent 婚 経 ホー トの

男性 -1944年生まれ1945-1949年生まれ1950-1954年生まれ

1955-1959年生まれ1960-1964年生まれ

1965-1969年生まれ

2 女 性

Tctal

-1944年生まれ

1945-1949年生まれ

1950-1954年生まれ

1955-1959年生まれ

1960-1964年生まれ

1965-1969年生まれ

1079

674

171

149

111

122

82

100.0

49.0

1 2 . 4

1 0 . 8

8 . 0

8 . 9

6 . 0

4 . 9

65(5)キ 6.02帖

5.04鴨

7.60鴨

8.05鴨

6 . 3 1 粥

4.92%

7.32鴨

34(1)キ

13

12

7 ( 1 ) 十

6

6

4

TOta1 1376

+( )内 は離婚2回経験者数 :合計で男性5、女性2

100.0 82(2)* 5.9611

B.モ デル使用サンプルにおける既婚男女の生年ヨウホー ト及び離婚経験者の分布

5年区切リヨウホー ト度 Percent コウホー トの

男性 ‐1944年生まれ

1945-1949年生まれ

1950-1954年生まれ

1955-1959年生まれ

1960-1964年生まれ

1965-1969年生まれ

426

117

93

69

67

40

38

50.1

1 3 . 8

1 0 . 9

8 . 1

7 . 9

4 . 7

2.3511

10.26鴨

6.45粥

7.25鴨

10.45%

2.5011

1 0

12

6

5

7

1

2

2 女 性

1970年生まれ一

Total

- 1 9 4 4年生まれ

1945 - 1 9 4 9年生まれ

1950 - 1 9 5 4年生まれ

1955 - 1 9 5 9年生まれ

1960 - 1 9 6 4年生まれ

1965 - 1 9 6 9年生まれ

850

4

100.0

43,0

13.2

1 2 . 4

8 . 9

1 0 . 2

6 . 9

5 . 4

424

130

122

88

100

68

53

43

2 ‐

10

10

5.26

5.0611

4.9511

7.69%

8.2011

4.5511

6 0011

8.8211

1970年生まれ一

Total 985 100.0

1

5.8911

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

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4.分 析結果

4.1 出 生コウホー ト別の分布

分析に先立ち,ま ずデータの基本的な特質から考察していくこととする。サンプルの分

布と離婚経験者の分布等について示 したのが表 1で ある。表 1の上部には JGSS-2000に含

まれている全サンプルの中での,既 婚者である男女の出生コウホー ト別のサンプルの分布

と離婚経験者の分布を,ま たその中から分析モデルに使用する諸変数の欠損値や複数回の

離婚経験者を除いたものを下部に示した。表 1か ら明らかなように今回のデータでは,男

子の 52.2%,女子の 49.0%が1944年以前に生まれたコウホー トに属する。離婚経験が 2回

のものは男子で 5名 ,女 子で 2名 のみであつたため,今 回の分析モデルから排除すること

にした。1945年以降の出生コウホー トを 5歳 階級別で見てい くと,男 女とも 1945年から

1949年生まれコウホー トにおいて離婚経験が高い。彼 らは調査時において 50歳 から55歳

であり,結婚後約 25年 を経過 している。人口動態統計からみても結婚期間別の離婚者筈J合

が高い,結 婚 20年以上のいわゆる 「熟年離婚」の多い世代でもある。

次に注目すべきは,男 子の 1960年から 1964年の出生ヨウホー トと女子の 1965年から

1969年生まれのコウホー トである。年齢でいえば男子が 35歳 から39歳 ,女 子が 30歳 か

ら34歳 である。2000年の人口動態統計 (2)においても,男 子の 30歳 代と女子の 20歳代

後半から30歳代前半はその前後の世代と比べると離婚率が高 く,JGSS-2000のサンフ°ル変

動に起因するものではない。

本論文の目的は,わ が国の離婚行動がいかなる要因によりひきおこされる確率が高いか

を,アメリカにおいて実証された論理枠組みを適応 し分析することにある。しかしながら,

JGSS-2000は離婚の要因分析を主目的に設計された調査ではな く,社 会科学全般について

の広範な概念を網羅 した総合的な調査であ り,か つクロス ・セクショナルな調査である。

そのためパネル調査のように,パ ネルの時間的経過による行動を分析することは困難が伴

う。結婚や離婚,さ らに再婚行動などは,そ の事象が生起する時点のみならずそれ以前の

調査対象者と配偶者の情報が不可欠である。クロス ・セクショナルでは調査時点が一時点

となるため,事 象が生起 したのちに獲得 した特質 (教育水準,就 業状態,価 値観や考え方

など)が ,分 析に混入 して しまうからである。それ故,時 間的に変動する要因は出来る限

り排除 し,そ の範囲内でモデルを構築 していくことになる。回答者の年齢は,時 間の変動

ともつとも関連する変数であるため,分 析モデルにおいては年齢ではなく回答者の属する

出生コウホー トを変数として採用することとする。

4.2 非 伝統的価値観因子と離婚肯定因子

離婚行動に影響を及ぼすであろうと見られる価値観については,JGSS-2000に おいて多

くの質問がおこなわれている。それらは夫と妻の役割分担についてのもの,女 性の自立に

関するもの,そ して結婚や離婚についての考え方などである。これらは個々の質問でひと

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

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つの変数にもなりうるが,伝 統的な価値観というものを異なる次元で表したものとも言え

る。そこで本分析においては,これら伝統的価値観に関する 13変数に関して主成分分析を

行い,二 つの因子を取 り出した。これらの 13変数は,そ れぞれ 「賛成」から 「反対」まで

4段 階の回答カテゴリーに分かれているが,数 値が高いほうを伝統的な価値観とは反対の

回答,つ まり非伝統的価値観を表すように配点を変更 した。

表 2は ,そ の分析結果である。第一主成分は固有値の分散全体の約 32%を 占め,第 二主

成分で 15%を示 している。第三主成分は約 11%である。回転前の第一主成分ではほとんど

すべての変数が高い固有値を示しているが,バ リマックス回転後では第一主成分と第二主

成分の違いが明確となる。第一主成分には,「夫に十分な収入があれば,妻 は仕事をもたな

い方がよい」(変数名 :q4wjbia),「夫は外で働き,妻 は家庭を守るべきだ」(変数名 :

q4-hllx),「妻は夫の仕事の手助けをする方が大切」(変数名 :q4-hphh),「 母親の仕事

は入学前の子どもによくない影響を与える」(変数名 :qttbHttCC),「女性の幸福は結婚に

ある」(変数名 :q4wnmga),「男性の幸福は結婚にある」(変数名 :q4111111mga),「結婚 して

も必ずしも子供いらない」(変数名 :q4noccmg)な どが高い固有値を示 した。第二主成分

は,「一般に,結 婚生活がうまくいかずしあわせでない場合,子 どもにとっては,両 親が離

婚に踏み切つた方がよい」(変数名 :q4ccdvy),「・・・妻にとって離婚に踏み切つた方が

よい」(変数名 :q4-dvy),そ して 「・・・夫にとって離婚に踏み切つた方がよい」(変数

名 :q4hhdvY)と いつた変数が高い値を示 した。第三主成分には,母 親の就労や男性の家

事分担などの変数が含まれているが,意 味の 上では第一主成分と同類のものと言えよう。

以上のことから,第一主成分は非伝統的価値観についての総合的な因子をあらわすもの

と考えることができ,ま た第二主成分は離婚についての肯定的な因子を意味するものとい

る。これら二種類の合成変数を離婚行動の分析モデルに組み込んでいくことにする。

4.3 離 婚行動に関するモデル分析

本分析では時間変数を初婚期間として,初 婚期間が離婚によって終結する要因を分析す

ることとなる。モデルには,先にも述べてように人口学的要因,社会統合,社会経済変数,

15歳時の環境要因,価 値観因子などが説明変数として投入する。

人口学的要因には,初 婚年齢と6歳 未満の未就学児の有無 (モデルによっては男女児別

の変数を投入),そ して回答者が属する出生コウホー トが用いられる。年齢でなく出生コウ

ホー トを用いたのは,年 齢は時間と共に変化を示す時間変数であるため,出 生コウホー ト

を年齢に代替する人口学的変数をして用いることにした。1944年以前の出生ヨウホー トを

準拠集団とし,そ れ以降の 5歳 階級の出生コウホー トをグミー変数としてモデルに投入す

る。また,初 婚期間についてその期間が 25年 から30年のものと,そ れ以下のものの比較

を行うために期間別のグミー変数を用意 した。

社会統合に関するものとしては,前述のように環境変数として 13大都市での居住と,そ

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

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れより小規模な市での居住を変数 して用いる。もちろんこれらの市の規模よりも小さい町

村での居住を準拠集団とし,大 きな都市では社会統合が小さな自治体よりも弱 くなつてい

ると考える。

社会経済変数としては回答者本人の高等教育の有無が,そして 15歳時の環境要因として

15歳時に片親家庭で育つたか,母 親が常勤で働いていたか,世 常収入の水準を用いる。

また,「相対所得」を社会経済変数と15歳時の環境要因との中間的存在として考え,そ

の操作化として回答者本人と初職の威信スコア (うと15歳時の父親の職業威信とを対比し

たものを用いる。前者が後者を上回るとすると,つ まり 「相対所得」の値が 1を超えるな

らば,自 分の育つた経済的環境よりも自らが労働市場で経験 した経済的状況が良好である

ことを意味する。

価値観因子は前述の 13変 数から作成 した非伝統的価値観因子と離婚肯定因子の二因子

を用いる。

表 3は ,離散時間ロジツトモデルによる離婚行動に関する回帰分析 (Discrete Tllltle Hazard

Model)である。モデル 1(男 性)と モデル 2(女 性)は ,離 婚肯定因子を含まないモデル

であり,モ デル 3(男 性)と モデル 4(女 性)は 離婚肯定因子を含むモデルである。離婚肯

定因子を含まないモデルを用意 したのは,離 婚経験者は,事 後的に自己の行動を是認する

傾向があるのではないかと考えるからである。つまり,離 婚を経験 したことにより,離 婚

を肯定することになる可能性があると思えるからである。

男性のモデル 1で は,未 就学児がいることが離婚を抑制する効果があることを強い統計

的有意性を示しながらあらわしている。15歳時の環境要因では,15歳時に片親であつたこ

とと,母 親がフルタイムで働いていたことが離婚経験に正の効果を示ししている。出生コ

ウホー トは 1945年以降 1964年生まれまでの 5歳 階級のコウホー トすべてで正の効果をあ

らわ し,かつ統計的有意性を示している。また 1970年以降のコウホー トも同様の効果を示

した。この中では1965年から1969年生まれのコウホー トがもつとも高いオッズ比を示 し,

ついで 1970年以降のコウホー トがそれに続 く。初婚期間別にみると男性のモデルでは,初

婚 2年 目から10年 目の期間で離婚の可能性が高くならが,得に3年 目と4年 目のオッズが

高 くなっている。出生コウホー ト別で見た場合 1970年以降生まれのオッズが高 くなつてい

たが,初 婚期間別の結果から考察するとちようど結婚 3年 から4年 目の人たちであると考

えられる。

モデル 2は 女性を対象にモデル 1と 同様の変数を投入 したものである。女性のモデルで

は,男 性と同様に未就学児の存在が離婚を抑制するが,男 性ほどその影響は強 くない。15

歳時の父親の職業威信 と自分が初めて付いた職業の威信スコアを比較 したいわゆる

「相対所得」が,こ のモデルで離婚抑止効果を示 した。つまり,自 分の初職の威信スコア

が 15歳 時の父親の職業威信よりも高い傾向がある場合には,離 婚が抑止される傾向が

あることとなる。また男性のモデルでは 15歳 時に片親であつたことや母親の常勤が離婚

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

Page 13: 離婚とその要因 一わが国における離婚に関する要因 …jgss.daishodai.ac.jp/research/monographs/jgssm2/jgssm2...離婚とその要因 一わが国における離婚に関する要因分析―

促進要因として認められたが,女 性のモデルで認められなかつた。出生コウホー トでは,

1960年前半生まれと後半生まれのコウホー トのみに統計的有意性が現れ,特 に 1965年か

ら1969年生まれのコウホー トのオッズが際立って高い。男性のモデルと異な り,初婚期間

別の影響はあらわれなかつた。

離婚肯定因子を含んだモデル 3(男 性)と モデル 4(女 性)も 先のモデル 1と 2と 同様,

男女差が認められる。男性のモデル 3で は,離 婚確率に対 して未就学児の存在が負に,高

等教育を受けていることが負に,15歳時に母親が常勤であつたことと離婚肯定因子が正に

働いた。出生ヨウホー トはモデル 1と 同様に 1945年以降 1964年までの各 5歳 階級のコウ

ホー トと1970年以降のコウホー トで正の効果をもつことが明らかとなった。特にここでも

1960年から 1964年の出生ヨウホー トのオッズ比が際だつている。また初婚期間ではモデ

ル 1と 同じように3年 目と4年 目のオッズが高い。

女性のモデル 4で は,男 性同様に未就学児の存在が離婚の抑制効果をもち,離 婚肯定因

子も促進効果をもつ。子供の存在は男性のモデルのほうがその統計的有意性もオッズも高

くなつている。また非伝統的結婚観因子については,若 干離婚について正の効果があるこ

とが認められた。モデル 2と 同様に 1965年から1969年の出生コウホー トであることが離

婚可能性を高める結果が際立って高 く出ている。

上記のモデル 3と モデル 4に おいて離婚肯定因子はどちらのモデルでも強い離婚促進効

果を示 したが,離 婚経験をしたものは当然,離 婚についての肯定的な考え方をもつものと

も言える。つまり肯定的考え方をもつているから,離 婚に踏み切るというのではなく,そ

の逆の場合も考えられるわけである。JGSS-2000では,そ の関係に対応できるような変数

は存在 しない。

男性のモデル 1とモデル 3,そ して女性のモデル 2と モデル 3の -2Log Likclihoodを比較

すると男子のモデルのほうがモデルとして 4害J近くも当てはまりがよいという結果となつ

た。またどのモデルも社会統制要因として投入 した居住地域は統計的効果を示さなかった。

484 男児の有無の効果

上記の分析においても,モ デル 1か らモデル 4ま でのすべてのモデルで未就学児の存在

は強い有意水準を示した。子どもの存在は離婚の抑止効果をもつが,文 献研究のところで

みたように子どもの性別の相違が離婚の可能性に大きな違いをもたらすことが指摘されて

いる。つまり,女 児のみの場合は男児がいる場合 と比較 して,父 親が育児に関わることが

少なく,母 親と女児の関係が密になってしまう。そのために父親が疎外されて しまうため

離婚確率が高まるのという論議である。そこで JGSS-2000の調査時点で子どもいる,も し

くは離婚時までに未就学児がいたサンプルのみを選択 し,男 児と女児のそれぞれの有無を

変数としてモデルに加えた分析を行つてみた。

表 4に 男児モデルと女児モデルについての分析結果を男性と女性それぞれについて示し

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

Page 14: 離婚とその要因 一わが国における離婚に関する要因 …jgss.daishodai.ac.jp/research/monographs/jgssm2/jgssm2...離婚とその要因 一わが国における離婚に関する要因分析―

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-38-

JGSS研究論文集[2](2003.3)

Page 15: 離婚とその要因 一わが国における離婚に関する要因 …jgss.daishodai.ac.jp/research/monographs/jgssm2/jgssm2...離婚とその要因 一わが国における離婚に関する要因分析―

た。男児モデルの男性 (モデル 5)に 関しては,先 のモデル 3と 同様に戦後生まれのコウ

ホー ト (特に 1960年代前半のコウホー ト),15歳 時に片親であつたこと,母 親がフルタイ

ム労働であたつたこと,離 婚肯定因子の値が高いこと,初 婚期間が 3年 目と4年 目などの

要因に離婚可能性 と正の関係が確認された。そのなかでも,殊 に未就学男児の存在が離婚

確率に負の強い影響を示した。モデル 6の 女性のケースと比較 しても男性の場合でオッズ

比が遥かに高 く,男 児の存在が離婚の抑止要因としての効果をもつことが実証されたと言

えよう。

モデル 6の 女性の場合は,男 児の存在の他には高等教育を受けていることが離婚可能性

を減少させ,非 伝統的な結婚観や離婚肯定の考え方をもつと離婚確率が高まる。また他の

モデルと同様に 1960年 代後半生まれのコウホー トであることが離婚に大きな影響がある

ことが示された。

未就学児が女児の場合は,男 性のモデル 7に のみ統計的有意性があらわれ,女 性のモデ

ル 8に は女児の存在が離婚の抑止効果をもつことは示されなかつた。その他の要因は男性

と女性とも男児のモデルと同様の結果であつた。

このように子どもの存在は離婚に関する抑止効果があり,女 性よりも男性の場合により

強い効果があることが明らかとなったが,子 どもの性別が男児である場合には,あ きらか

に男性にとってより強い抑止効果があらわれた。また女児の場合でも男性に若干抑止効果

があつたが,女 性にはそれがあらわれなかつたことは興味深い。

5.1960年 代前半生まれの男性 と後半生まれの女性

これまでの分析から,1960年 から 1964年生まれの男性と1965年から 1969年生まれの

女性に,そ れ以外の出生コウホー トと比べ高い離婚可能性があることが明らかになつてき

た。年齢でみると30歳代後半の男性と30歳代前半の女性である。彼 らが 10代の後半から

20歳代の時には,わ が国はいわゆるバブル経済の真只中にあった。そうした社会経済環境

がそれ以前の社会 とは異なった様々な価値観を生みだし,彼 らの行動に影響をもたらした

のかもしれない。以下では,JGSS-2000よ り得られるデータももとに,彼 らとその他の出

生コウホー トとの違いを考察 していきたい。

表 5に 示 したように,彼 らが育つた家庭の社会経済的環境について 「15歳時に母親が常

勤」と 「15歳時の世常収入の水準」,彼 らが受けた教育水準を示す 「高等教育の有無」,社

会に出て初めて付いた職についての情報として 「初職の企業規模」,「初職が企業規模 1000

人以上か否か」,「初職の威信スコア」,「15歳時の父職の威信スコアに対する初職の威信ス

コア」,そ して婚姻情報として 「初婚年齢」を比較 してみた。もし,彼 らがバブル経済の恩

恵を受け,他 のコウホー トよりも経済的に相対的に優位な環境で,思 春期ならびに青年期

の初期を過ごしたなら,少 なからず何 らかの影響が彼らの考え方や行動に影響を及ぼすは

ずである。

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

Page 16: 離婚とその要因 一わが国における離婚に関する要因 …jgss.daishodai.ac.jp/research/monographs/jgssm2/jgssm2...離婚とその要因 一わが国における離婚に関する要因分析―

1960年 代前半生まれの男性

1960年代後半生まれの女性

表5 バ ブルコウホー トとその他のコウホー ト詰変数の比較

1960年-1964年生まれ N 平 均 標準偏差 標準誤差 有意水準

初婚年齢1

 

79

994

27.58

26.93

3.82

3,32

0.43

0.12

0 . 1 5

高等教育ダミー 1

95

1 2 1 4

0.47

0.28

0.50

0.45

0.05

0 , 0 1

0.00

15歳のころの母親フルタイム就業1

94

1205

0.20

0 . 1 0

0.40

0.30

0.04

0 , 0 1

0.02

15歳頃の世帯収入 1

92

1202

2.84

2.59

0.79

0 . 9 1

0.08

0,03

0 . 0 1

初職の企業規模や

キ官公庁は除く

83

1062

5.75

5.57

2.37

2.80

0.26

0.09

0.57

初職企業規模中央値カテゴリーⅢ

キ各カテゴリーの従業員数の中央値

83

1062

952.67

1324.96

2 1 8 1 . 4 4

2830.44

239.44

86.85

0.24

初職の企業規模1000人以上 1

83

1062

0 . 1 6

0。20

0。37

0.40

0.04

0 . 0 1

0 . 3 1

初職威信スコア 1

94

1177

51.22

49.78

8.79

7.93

0 . 9 1

0.23

0.09

初職プレステージ/父職プレステージ 1

89

1039

1.05

1.03

0 . 2 1

0.19

0.02

0 . 0 1

0,34

1965年-1969年生まれ 平 均 標準偏差 標準誤差 有意水準

初婚年齢 1

 

82

1284

25.32

23.76

2.95

2.99

0.33

0.08

0.00

高等教育ダミー 1

99

1464

0.42

0.23

0.50

0,42

0.05

0 . 0 1

0.00

15歳のころの母親フルタイム就業1

98

1452

0 . 1 7

0.09

0.38

0,29

0.04

0 . 0 1

0 . 0 1

15歳頃の世帯収入 1

97

1445

2.95

2.74

0.77

0,94

0.08

0.02

0 . 0 1

初職の企業規模キ官公庁は除く

86

1166

5.95

5.53

2.24

2 . 7 1

0.24

0.08

0.16

初職企業規模中央値カテゴリー 1

86

1166

1044.14

1194.57

2355.46

2610.05

254.00

76.44

0.60

初職の企業規模1000人以上 1

86

1166

0.16

0.19

0.37

0.40

0.04

0 . 0 1

0,48

初職威信スコア 1

100

1347

51.23

49.83

6.54

6.64

0.65

0 . 1 8

0.04

初職プレステージ/父職プレステージ 1

93

1169

1.06

1.02

0.20

0 . 1 7

0.02

0 , 0 1

0.04

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JGSS研究論文集[2](2003.3)

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1960年から 1964年出生コウホー トの男性はその他の出生コウホー トと比べて,高 等教

育を受けている筈J合,および 15歳時に母親がフルタイムである割合が有意に高い。また初

職の企業規模には有意な差はみられないが,初 職の威信スコアは他のコウホー トよりも有

意に高 く,15歳 の頃の世常収入を平均よりも高いと感 じている割合も多い。初婚年齢や 15

歳時の父職に対する初職のプレステージの割合については他のコウホー トと有意な差は認

められなかった。

1960年代後半の出生コウホー トの女性は,初婚年齢が他のコウホー トよりも有意に高 く,

1.55歳上昇 している。男性 と同じく他のコウホー トより高等教育を受けている割合,お よ

び 15歳時に母親がフルタイムである筈J合が有意に高い。また,初職の企業規模には有意な

差は見られないが,初職の威信スコアは他のコウホー トよりも有意に高 く,15歳 時の世帯

収入を平均より高いと感 じている割合も多い。「相対所得」を意味する 15歳時の父職に対

する初職のプレステージの筈J合についても他のコウホー トよりも有意に高い数値を示 して

いる。

以上のように,データからも1960年代前半生まれの男性と後半生まれの女性が他の世代

と比較すると15歳の頃より経済的に恵まれた世代であり,その結果として他の世代よりも

よりよい教育を受ける機会が与えられ,初 めて就いた職業の社会経済的地位も高 く評価さ

れるものであつた。折 しも 1970年代のエクソン・ショックやオイル ・ショックによって引

き起こされた戦後最大の不況を克服するために採用された積極的経済財政政策により,わ

が国の経済は 1980年代に入 り急速に立ち直つていつた。そして 80年代半ばからは,戦 後

最高の好景気であつた 「バブル経済」と呼ばれた時期へと日本経済は移行 していつたので

ある。このような時代に,彼 らは思春期と青年期を過ごして来た。そうした経済状況下で

は,雇 用機会の増大により母親がフルタイムで仕事を持つ場合も多 く,そ ういう家庭で育

つた若者には,夫 と妻の役筈J分担や結婚をすべきであるという価値観を強 く持たなくなる

傾向がある。特に女子の場合は結婚についてそれほど重要性を見いださず,晩 婚化の傾向

が進んでいつた。少子化の影響から,成 入 しても親元にいることが可能となり,さ らに自

己の経済的自立をも可能となつている。それゆえ以前の日本社会のように女J性にとって,

結婚が経済的依存という意味をもたなくな り,結 婚すること自体が現在親元で生活 してい

る経済的水準を低下させることさえあるのである。こうした時代に育つた者達が,た とえ

結婚をしてもそれがうまくいかないならば離婚をしても良いと考えるようになつたのは当

然のことと言えよう。

6.ま とめと考察

人口事象のうち出生や死亡は人生に一度だけ発生する事象であるが,結 婚や離婚,さ ら

に再婚といつた結婚事象 (Nuptiality)に関わる問題は反復的に発生するものである。わが

国では,1970年代まで離婚や再婚は低い傾向があつた。しかしながら現在では,アメリカ,

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ロシア,イ ギリスといった世界で最も離婚の多い諸国に次 ぐ国々,カ ナダ,デ ンマーク,

ドイツなどと同水準に達 している。本稿では,1960年 代後期より 1970年代を通 して離婚

率の急上昇を経験 したアメリカの先行研究をもとに,離 婚要因に関する考察を行つた。

離婚の要因は,年 齢や初婚年齢,婚 姻期間,子 どもの有無などの人口学的要因,居 住地

や所属する組織などの社会統合の影響,結 婚や離婚や男女の伝統的役割分担などに関する

価値観,そして 15歳時の社会経済的環境要因などに大別できる。これらの諸要因について,

JGSS-2000を用いわが国の離婚に関する実証研究をおこなつた。その結果,男 性の場合は

未就学児の存在と高等教育を受けていることが離婚の抑止効果をもつことが明らかとなっ

た。またそれとは逆に,15歳 時に片親であつたり,15歳 時に母親がフルタイムの労働をし

ている場合には離婚経験が多い。1945年以前の出生コウホー トと比較すると,戦 後うまれ

のコウホー トでは離婚の可能性が高 くなるが,特 に 1960年から1964年生まれのコウホー

トにおいて離婚が際立って高 くなる。また初婚の 3年 目と4年 目に離婚可能性が高まるこ

とが明らかとなった。

女性の場合は,未 就学児の存在は男性同様に離婚抑止効果をもつが,男 性の場合ほどそ

の影響は強 くない。また 15歳時の環境に関する変数は,離婚の可能性に今回の分析では大

きな影響を見いだすことはできなかつた。出生ヨウホー ト別では 1965年から1969年生ま

れで離婚の可能性が他のコウホー トと比較 して際立って高い。男性とは異なり,初 婚期間

別では有意な結果は得 られなかった。

結婚や離婚に関する価値観の影響についてであるが,結 婚に関する非伝統的な価値観を

強 く有する場合,女 性のモデルにおいて離婚可能性が高まることが認められた。本分析で

は統計的な有意性は得 られなかつたが,男 性の場合は女性とは逆に離婚確率が減少する傾

向が見出せた。

子どもが女児よりも男児の場合には,ア メリカの先行研究同様に,男 性にとって離婚が

抑止される大きな影響があることも判明した。子どもの性別の影響は,女 性のモデルの場

合よりも遥かに大きい。

JGSS-2000においては,表 1に 示したように 1960年代後半以降に生まれた男子と 1970

年以降の女子のうち既婚者のサンプルは少なく,離 婚経験者も少ない。もしこの世代が今

回の分析によって明らかになつた 60年 代前半の男子と後半の女子のようなバブル経済の

中で育ち,特 異な結婚 ・離婚行動をとるコウホー トと同様な行動をとるようになると,わ

が国の離婚は今後ますます増加 していくこととなる。1960年代以降に生まれたコウホー ト

の行動を注意深 く観察 し,分 析 していくことがわが国の家族のあり方や社会の変化を説明

するのに重要な意味があるように思える。

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[注]

( 1 ) 国連の Demographic Yearbook(1999年版)によると,人 口 1,000に対する普通離婚率の比

較では,ア メリカが 4.19(1998年),ロ シアが 3.66(1999年),イ ギリスが 2.91(1998

年),オース トラリアが 2.87(1999年)であり,その次のグループとしてベルギー (2.59;

1998年),デ ンマーク (2.48;1998年),ス ウェーデン (2.37;1999年),カナダ (2.25;

1997年), ドイツ (2.29;1999年)で ありわが国の 2000年の 2.10はこれに次ぐ水準で

ある。フランス (1.98;1999年)や オランダ (1.96;1999年)よ りも高い。図 1はわ

が国とアメリカの普通離婚率の推移の比較である。

図 1 普 通離婚率の推移 :日本とアメリカ合衆国

60

55

50

⌒ 45く

昌4 0

景3 5預V 3 0

翌2 5

日Ⅲ 20

15

10

05∞70

(2)職 業威信のスコア化に関しては,村 瀬洋一氏が公開している 「1995年SSM調 査 職

業威信スコア作成用 SPSSシ ンタックス」(httpi〃www.ir.H承的 o.aCjp/~murase/ss耐

prscore.html)を利用させていただいた。

(3)2000年 の厚生労働省統計情報部の 『人口動態統計』によると,夫 の30o34歳の離婚率

は人口1,000に対し8.97,35‐39歳では7.37であるのに対し,そ の前後である25-29歳

では7.23,40‐44歳では5.73である。また妻は,25‐29歳で 9.94,30o34歳が 9.59であ

るのに対し,20o24歳で4.90,35‐39歳が6.93であつた。

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JGSS研究論文集[2](2003.3)