29
駐車場整備事業における 抜本的な改革の方向性 資料2

駐車場整備事業における 抜本的な改革の方向性 · 駐車場整備事業の経営概況(h27決算) 3 事業概要 路上駐車場以外の一般公共の用に供する有料駐車場(時間極の有料駐車場など)を運営するもの

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Page 1: 駐車場整備事業における 抜本的な改革の方向性 · 駐車場整備事業の経営概況(h27決算) 3 事業概要 路上駐車場以外の一般公共の用に供する有料駐車場(時間極の有料駐車場など)を運営するもの

駐車場整備事業における 抜本的な改革の方向性

資料2

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【目次】 1.駐車場整備事業の概要 2.抜本的な改革の状況 3.抜本的な改革の事例 4.経営指標案 2.地方公共団体における改革の検討を推進するための方向性について

・・・P 2 ・・・P 11 ・・・P 13 ・・・P 21

1

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1.駐車場整備事業の概要

2

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駐車場整備事業の経営概況(H27決算)

3

事業概要 路上駐車場以外の一般公共の用に供する有料駐車場(時間極の有料駐車場など)を運営するもの

公営の 理由

○道路交通の円滑化、都市機能の増進等を目的とし、計画的な駐車場整備を進めるため ○商店街の振興等の観点から市街地中心部等における駐車場を公営により確保してきたため

事業特性

○事業数は、179事業であって、主体は一般市が最多であり、法適用事業が少ない(7事業) ○決算総額は410億円、一日平均駐車台数は17.8万台、収容台数は10.9万台。 ○実質的な収支が赤字の事業が多い 実質的な赤字(一般会計繰出金を除き純損益又は実質収支が赤字)事業は全179事業のうち48.0% ○設備投資費が大きい(減価償却費が大きい):設備投資費が多額に上る立体式や地下式などの構造が半数以上 ○維持管理費や人件費が小さい:提供するサービスの内容が駐車場の提供であり労働集約性が低い ○民営を含む駐車場の総供用台数は488万台であり、地方公営企業が占める割合は2.6%(H26)

170

130

281

立体式 地下式 広場式

n=179(事業数) n=581(施設数)

9 14

41

101

14

県 指定都市 中核市等 一般市 町村

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③自治体の規模ごとの実質的な黒字施設の割合 (一般会計繰出金を除いた収支差)

n=施設数

②自治体の規模ごとの駐車場構造の違い n=施設数

経営状況①:類型別に見た収支等

①施設構造ごとの実質的な黒字施設の割合 (一般会計繰出金を除いた収支差)

n=施設数

【参考】自治体の規模ごとの指定管理者制度導入の割合 n=施設数

4

0%

20%

40%

60%

80%

立体式 (n=170)

地下式 (n=130)

広場式 (n=281)

34% 29%

74%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

都道府県 (n=18)

指定都市 (n=94)

中核市等 (n=148)

一般市 (n=290)

町村 (n=31)

6 24 47 90

3

7 44 53

25

1

5 26 48

175

27 広場式

地下式

立体式

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

都道府県 (n=18)

指定都市 (n=94)

中核市等 (n=148)

一般市 (n=290)

町村 (n=31)

44% 46% 49% 55% 58%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

都道府県 (n=18)

指定都市 (n=94)

中核市等 (n=148)

一般市 (n=290)

町村 (n=31)

39%

90% 78%

52%

16%

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5

○稼働率について、474%~16%と差が大きく、低い水準にある事業が多い(例えば、100%未満は70事業) ○料金単価について、稼働率との相関が見られない(収支均衡させるための料金設定が必ずしもできていない) ○料金単価は、一台一日あたり平均355円であり、多くの事業がその前後に収斂している(一月あたりにすると約1万円相当)

(注) ・n=162 ・料金単価:駐車1台あたりの料金を示す(一日あたり) ・稼働率:実際の駐車台数が駐車場台数(収容可能数)の何倍かを示す(1日あたり)

経営状況②:料金単価と稼働率

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500

料金単価 平均355円

料金単価(円)

稼働率 (%)

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経営状況③:立地ごとの類型と収支(抽出調査)

6

① 駅 に 近 接

②駅以外の拠点施設に近接

③ そ の 他 近接する施設等の内訳

①駅・・・JR、私鉄等の駅 ②駅以外の拠点施設・・・市役所、文化施設等 ③その他・・・駅等の拠点施設から400m~1000m以内に立地するものなど

※1 抽出調査 n=116施設 (7県分) ※2 「近接」とは、400m圏内のことを指す ※3 収支は、一般会計繰出金除き

○立地のパターンとして、①駅に近接、②駅以外の拠点施設に近接、③その他がある ○86%が①駅又は②駅以外の拠点施設に近接しており、鉄道駅に近接する立地が最も多い ○①駅に近接の場合、立体式・地下式が計65%と多く、赤字の割合が高い ○②駅以外の拠点施設に近接の場合、立体式+地下式の割合は55%と広場式よりわずかに高いが、 黒字と赤字は各50%

①駅 55% (64件)

②駅以外の 拠点施設

31% (36件)

③その他 14% (16件)

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駐車場台数等の推移

自動車保有台数と駐車場台数の推移 設置主体別駐車場台数の推移

→トレンドとして、自動車保有台数は増加が止み、 駐車場台数は増加が続く

→トレンドとして、自治体等の設置は増加が止み、 民間・第3セクターの設置は増加が続く

出典:「自動車駐車場年報」(H27年度)

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8 出典:国土交通省資料

国のまちづくりと駐車場に係る政策(都市再生特別措置法を改正 H26.8.1施行)

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出典:国土交通省資料

国の駐車場政策の最近の動向~整備からマネジメントへ~

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出典:国土交通省資料

国の駐車場政策の例~附置義務駐車施設等の集約~

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2.抜本的な改革の状況

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抜本的な改革の事例まとめ(H21~27年度)

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事業廃止 件数 主な理由(きっかけ) ※複数回答あり 24 経営不振(15件)、駐車場不足の解消(5件)、跡地の有効活用(5件)、施設老朽化(2件)

民営化・民間譲渡 件数 主な理由(きっかけ)

1 経営不振の駐車場について、近隣の民間企業が買受け(1件)

○ 改革の理由(きっかけ)は、主に経営不振、駐車場不足の解消又は施設老朽化 ○ 事業廃止や民間活用(指定管理、PFI)は件数が多いが、民営化・民間譲渡は件数が少ない (なお、中心市街地活性化計画などのまちづくりの一環として駐車場のあり方見直しが行われている例が多い)

民間活用(指定管理者制度) 件数 主な理由(きっかけ) 28 経費節減及びサービス向上(28件)

民間活用(PFI) 件数 主な理由(きっかけ) 1 施設老朽化(1件) ※PFIを選んだ理由は事業手法の検討結果が最も有利だったため

※うち4件は、一般会計に移行して駐車場事業を継続

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3.抜本的な改革の事例

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・1階にバス乗降場(クルーズ対応貸切バス及び高速乗合バス)、2階以上に賃貸住宅やオフィスビルを建設(URと市有地の賃貸借契約を結び、URが事業主体) ・乗降場は平成30年度、その他は平成32年度に供用開始予定

事業廃止の例(福岡市)

・昭和44年9月:供用開始 ・2,560㎡、広場式、博多駅徒歩3分圏内 ・収容台数:自動車88台 ・平成27年3月:事業廃止 ・経営状況(H26) :収支黒字、稼働率253.4%

・供用開始時と比べて民間駐車場が大きく増加 (近隣200m圏内の収容台数が831台まで増え、休日のピーク時利用台数665台を十分にまかなえるのが現状) ・駅近の土地として高度利用の期待あり (事業廃止及び跡地の有効活用を検討)

14 14

整備前の状況

整備計画イメージ

概要

背景

計画

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・昭和49年7月:供用開始 ・5,863㎡、広場式、東岡崎駅徒歩3分圏内 ・収容台数:自動車203台 ・平成26年4月:事業廃止 ・経営状況(H25) :収支赤字、稼働率45.8%

事業廃止の例(富山県)

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・昭和51年11月:供用開始 ・3,115㎡、立体式、商業施設等に近接 ・収容台数:170台 ・平成27年10月:事業廃止 ・経営状況(H26):収支黒字、稼働率85.3%

概要 概要

・県行政改革推進会議で「民間主導でサービス提供を行うことが適切な分野」に位置づけられた ・平成25年度包括外部監査で「老朽化が進んでおり、売却を含めた検討が望まれる施設」と指摘あり ・建設して以来38年が経過し、建物の老朽化が進んでいたこと

・立体駐車場は解体 ・今後の活用策は検討中 (活用策決定までの間は、民間業者に土地の貸付を行い、広場式駐車場として利用中)

・平成17年2月の近隣の大型スーパー撤退を契機に、

多様な都市機能の集積・連係を企図した東岡崎駅周辺地区整備が開始 ・当駐車場用地は、平成25年5月に利用状況の悪さ等を踏まえ事業廃止(他用途活用)を議会で決定

・現況は更地 ・今後の活用策は検討中 (民間業者から事業提案を受けて整備する方針だが(平成31年度供用開始予定)、土地は市が所有し、事業者へ貸付予定(期間30年未満、有償))

事業廃止の例(岡崎市)

背景

現状

背景

計画

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・経営不振により一部事業廃止 ・今後の活用策は検討中

事業廃止の例(和歌山市)

・経営不振により全事業廃止 ・今後の活用策は検討中

16 施設の現況 施設の現況

事業廃止の例(網走市)

・昭和61年8月:供用開始 ・1,907㎡、広場式、網走刑務所に近接(観光客も利用) ・収容台数:68台 ・平成25年4月:事業廃止 ・経営状況(H24):収支赤字、稼働率30.9%

背景・現状

・昭和55年5月:供用開始 ・本町地下駐車場:5,566㎡、地下式、商業施設等に近接 ・大新地下駐車場:5,602㎡、地下式、商業施設等に近接 本町地下駐車場 大新地下駐車場 ・収容台数: 188台 166台 ・事業廃止: 平成23年3月 平成27年3月 ・経営状況: 収支赤字(H22) 収支赤字(H26) 稼働率12.8%(H22) 稼働率24.1%(H26)

概要

背景・現状

概要

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民営化・民間譲渡の例(浜松市)

・昭和61年3月:供用開始 ・7,080㎡、立体式、第一通り駅徒歩3分圏内 ・収容台数:自動車171台 ・平成26年4月:民間譲渡 ・経営状況(H22):収支赤字、稼働率55.2%

・敷地は民間保有、商業ビルのうち駐車場部分(立体駐車場)は市が保有し駐車場事業を行っていたが、赤字続き ・市は、平成26年3月の借地契約満了時に事業廃止を検討 ・同ビルの運営会社に民間譲渡(運営会社は、商業ビルと駐車場の一体的な保有が自社の事業の利益につながると考えた)

・経費の節減(年間2,700万円の借地料を削減) ・駐車場部分の売却収入(1,944万円で売却) ・駐車場の営業時間延長(年中無休の24時間営業に) ・利用者の利便性向上(専門学校生への駐車枠の提供など)

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駐車場(万年橋パークビル)外観

概要

背景

効果

©ZENRIN

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民間活用(PFI)の例(箕面市)

・駅前第一駐車場:5,711㎡、立体式、箕面駅徒歩8分圏内 ・駅前第二駐車場:6,849㎡、立体式、箕面駅徒歩10分圏内 ・収容台数: 駅前第一駐車場:建替前(H26)自動車265台、建替後(H28)自動車285台 駅前第二駐車場:建替前(H27)自動車281台 ・平成25年9月:事業開始(事業期間は13年) ・箕面駅前周辺開発の一環として計画 ・駅前第一駐車場の建替え(商業施設合築):BOT方式 ・駅前第二駐車場の大規模修繕:RO方式 ・第一駐車場及び第二駐車場の維持運営 ・経営状況: 駅前第一駐車場(H26):収支黒字、稼働率92.5% 駅前第二駐車場(H27):収支黒字、稼働率153.4%

・築30年が経過し、老朽化が進んでいるだけでなく、景観面においても課題を抱え、建替え及び大規模修繕が必要とされていた ・事業手法、事業収支の検討結果で最も有利となり、民間事業者のヒアリング結果で参加意欲と事業性を確認できた「PFI形式」を採択

・駐車場の営業時間延長(年中無休の24時間営業に)、台数増 ・良好な景観の形成及び回遊性創出による地域の活性化

(写真)第一駐車場:上は建替前、下は建替後

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背景

概要

効果

※国土交通省資料等より総務省作成

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・市のファシリティマネジメント推進基本方針に基づき、長寿命化を図り、修繕費をできる限り抑制しかつ平準化して、将来の設備投資費を低減 ・個々の駐車場の経営状況を分析し、公営として事業継続を決定

民間活用(指定管理)の例(高松市)

・ 8つの駐車施設、総面積77,666㎡、立体式1、地下式5、広場式2 商業施設等に近接 ・収容台数:自動車計2,120台 ・平成18年度から指定管理制度を導入(全8施設に導入済み) ・平成28年4月:指定管理(継続) ・経営状況(H27):収支赤字、稼働率150.7%

・駐車場の需要と供給を調査 ・附置義務基準を緩和 (附置義務の原単位について、建物用途の特定部分150㎡に1台を、600㎡に1台に緩和するなど) →小規模店舗の設置義務がなくなり、他用途に土地利用が可能に →市営駐車場における附置義務駐車場としての台数受入(市営駐車場の稼働率増) ・臨時駐車場などの多様な駐車需要への対応

19

概要 高松市駐車対策基本計画

高松市立駐車場中期経営計画

・郊外型ショッピングセンター等の立地や中心市街地の空洞化、少子高齢化社会の進展に対応するため ・市の総合計画(H20年度策定)及び総合都市交通計画(H22年度策定)に基づき、中心市街地における駐車対策のあり方を示すため、 平成24年2月に「高松市駐車対策基本計画」を策定 ・その後、 平成27年3月に「高松市立駐車場中期経営計画」を策定

背景

・市立駐車場中期経営計画は、H35年度には収入超過に転ずる収支計画 (起債の償還終了と長寿命化、指定管理などが寄与) ・経営状況 (H27)2.8億円の赤字 ↓ (H36)0.4億円の黒字 ※計画値

計画

(千円)

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(参考)高松市駐車対策基本計画の図(抄)

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コインパーキングの設置状況 高松市中心市街地 有料駐車場設置状況

出典:「高松市駐車対策基本計画」

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4.経営指標案

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(1)目的 ・路上駐車を防止し、道路交通を円滑化することや中心商店街を振興することなどにより、 都市の機能を維持及び増進する (2)経営状況 ・全事業の約半数が実質的な赤字であるなど採算性が低い ・過半数を占める立体式や地下式の駐車場では構造上設備投資費が大きい ・料金単価は一台平均が一日あたり355円(一月あたりにすると約1万円) (3)駐車場の需要と供給の変化:民間・第3セクターによる供給増 ・近年、自動車保有台数は増加が止む一方で、民間・第3セクターが提供する駐車場台数は増加 が続く(建物価格が低調で建設が進まず、増える遊休地にコインパーキングが増加) ・マクロベースでは需要量は伸びず、供給量は伸びることが予想 (4)国の駐車場政策:質的充実に ・駐車場は「量の確保から、質的充実、配置コントロール、安全確保等のマネジメントへ転換」が 進められている (5)抜本的な改革:事例は様々 ・これまでの改革事例は、経営不振、駐車場不足の解消、老朽化等が契機 ・事業廃止や民間活用の例が多いが、民営化・民間譲渡や高度化・複合化の例もある

まとめ:公営企業としての駐車場整備事業

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各事業の特性と現状 改革の方向性 特に改革が必要な企業

①事業が提供している住民サービスの必要性 ・違法駐車の防止、まちづくり・商店街振興等の都市機能の増進 ・人口減少や民間事業者の参入により、必ずしも公営企業としてサービスを提供する必要がない場合もある ②事業としての持続可能性 (経営上の課題) ・一般会計繰出金を除いた場合、全226事業のうち113事業が赤字(経常収支又は実質収支)(H26) ・施設の老朽化対策や耐震化のための支出の増加の一方、人口減少や商店街等の利用客の減少による収入の減少が今後見込まれる (補助制度) ・耐震改修及びコンパクトシティ化に資する建設費等に係る国庫補助制度あり ③民営化・民間譲渡、民間活用による効果 ・複数施設の一括した整備・管理によるスケールメリット ・人件費の抑制などの運営コスト削減 ・周辺エリアと連携し、他の用途も含めた高度利用も検討可能

○民営化・民間譲渡、民間活用による経営改革、事業廃止が検討可能 ○例えば、事業エリアにおける民間事業者の有無という点から以下の整理が考えられる 【代替する民間事業者がいる場合】 →民営化・民間譲渡を検討 【代替する民間事業者がいない場合】 →民間活用(PFI、 指定管理者制度の導入等) を積極的に推進し、経営の効率化を推進 →事業廃止を検討(違法駐車の防止やまちづくり・商店街振興等の目的及び一般会計による負担を明らかにし、公営で行う必要性を議会等で検討) ○現在の事業目的にとらわれず、周辺エリアと連携し、他の用途も含めた一層の高度利用を検討

<収支構造> ○経常赤字が続く事業 ○累積債務の増加が続く事業 <施設更新等> ○将来の更新投資・老朽化対策に係る負担が多額に見込まれる事業 <民営化等> ○民営化又は高度利用ができる事業

駐車場整備事業の特性及び改革の方向性(第4回資料)

23

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抜本的な改革の検討においては、例えば、次の流れで、経営指標による分析に基づき、事業継続の必要性を検証し、改革の方向性を検討(その際、立地、民間事業者等が提供する駐車場との配置や役割の分担、その他の地域ごとに異なる実情などを考慮)

経営指標を踏まえた改革の方向性(案)

24

事業廃止 民営化・民間譲渡 民間活用

③民間事業者による事業 の引受けが期待できる ・他の駐車場又は近接する 商業施設等と経営を一体化 させることでメリットがある ・高度化・複合化した開発の 余地がある など

ある

ない ①~③が全てNoの場合 ①~③が一つ以上 Yesの場合、検討

○事業廃止後、用地の活用策については、立地、構造、他の利用用途の需要などを踏まえ、検討 例:福岡市、富山県、岡崎市、和歌山市、網走市 ※地下式の場合、他用途活用が難しいため、活用策の検討には工夫が必要

→売却 例:浜松市 ※駐車場の用地の売却等については、PRE戦略や都市政策全体を踏まえ、検討

○資産等の状況が良い場合 →PFI(高度化・複合化) 例:箕面市 PFIにより商業施設等の私益的又は公

共目的など他用途・多目的に建て替えて高度利用しつつ、駐車場を継続 ○その他の場合 →指定管理 例:高松市 民間ノウハウにより経費を削減するなど管理運営を効率化し、駐車場を継続

②資産等の状況が良い [関連する経営指標] ・立地 ・敷地等の価値 ・有形固定資産減価償却率 ・設備投資見込額 ・累積欠損金比率 ・企業債残高対料金収入比率

[関連する経営指標] ・稼働率 ・周辺駐車場の需要・供給

①収益等の状況が良い [関連する経営指標] ・経常収支比率 ・他会計補助金比率 ・駐車台数一台当たり の他会計補助金額 ・EBITDA ・売上高GOP比率

OR OR

駐車場 需要の分析 民営化・民間譲渡の検討

民営化・民間 譲渡の実施 が難しい場合

※必要台数の精査により、収容台数全部の需要がない場合、一部施設の民営化・民間譲渡又は民間活用も検討可

事業廃止、民営化・民間譲渡、民間活用は、公的不動産のPRE戦略を踏まえた検討や都市政策全体との連携を行うことが望ましい ※PRE戦略=公的不動産について、公共・公益的な目的を踏まえつつ、経済の活性化及び財政の健全化を念頭に、適切で効率的な管理、運用を推進していこうとする考え方

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6 敷地等の価値 1㎡あたりの地価(時価) ・高度化・複合化を行う場合に土地の利用可能性を示し、民営化・民間譲渡を行う場合に買付価格の基礎となる

7 有形固定資産減価償却率

有形固定資産減価償却累計額÷有形固定資産のうち償却対象資産の帳簿原価

・有形固定資産のうち償却対象資産の減価償却がどの程度進んでいるかを表す指標(資産の老朽化度合)

8

設備投資見込額(10年間)

今後10年間の設備投資見込額

・当該施設が今後10年間で見込む建設改良費・修繕費などの設備投資額

9 累積欠損金比率 当年度未処理欠損金÷(営業収益-受託工事収益)

・営業収益に対する累積欠損金(営業活動により生じた損失で、前年度からの繰越利益剰余金等でも補塡することができず、複数年度にわたって累積した損失のこと)の状況を表す指標

10 企業債残高対料金収入比率

企業債残高合計÷料金収入

・収益に対する企業債残高の割合であり、企業債残高の規模を表す指標

①資金不足比率 ②自己資本構成比率 ③構造(立体式・地下式・広場式) ④立地 ⑤周辺駐車場の需要・供給 ⑥駐車場使用面積 ⑦一時間あたりの料金 ⑧指定管理者制度の導入

経営指標(案)

25

基本情報

※緑色の網掛けは上下水道にない新指標 ※赤字は地方公営企業決算状況調査で把握しておらず、新たに算定する必要のあるもの

11 稼働率 (一日当たり利用率)

一日平均駐車台数÷収容台数

・年間の収容台数に対する駐車台数の割合を1日あたりに直した指標であり、施設の利用状況や適正規模を判断する指標

1 経常収支比率 経常収益÷経常費用 ・当該年度において、料金収入や一般会計補助金等の収益で、維持管理費や支払利息等の費用をどの程度賄えているかを表す指標

2 他会計補助金比率 他会計補助金÷総費用 ・総費用に対する一般会計補助金等の割合を表した指標

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駐車台数一台当たりの他会計補助金額

他会計補助金額÷延駐車台数

・年間の延駐車台数一台当たりの他会計補助金額

4 EBITDA(減価償却前営業利益)

当期純利益+減価償却費+支払利息等

・営業利益に減価償却費等を加算してキャッシュベースの利益に直した指標

5 売上高GOP(営業総利益)比率

営業総利益÷売上高 ・売上高に対する営業総利益(粗利益)の割合を表した指標

資産等の状況

利用の状況

収益等の状況

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(参考)有識者等の意見

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<国土交通省街路交通施設課> ・駐車場政策の主眼は道路交通の円滑化等であり、駐車需要を満たすため、公共と民間の分担により整備を進めるという考え方 ・事業の必要性は、個々の事業単位で考えるのではなく、街区単位などエリア全体で考えるべきであり、需給調査や都市交通政策上の必要性から判断すべき <民間駐車場事業者等> ・公営の駐車場は大型の箱をつくるだけになるきらいがあり、利用者のニーズ、人の動線など、駐車場を取り巻く要素はほとんど見ていないため、結果、全体的に稼働率は低くなる ・求められている駐車場は、いかに目的地に限りなく近接しているか ・駐車場というのは、人の離合集散に対し、重要なファクター。郊外型商業施設だけでなく、街なかの時間貸駐車場の配置についても、これは同じ。そのエリアが活性化するか否かは、駐車場がそのカギを握っているといっても過言ではない ・事業の必要性を判断する際に、「稼働率」は重要な指標であり、年間稼働率を元に需給の現状を分析すべき ・同様に、必要性の判断にとって、周辺駐車場の需要・供給も重要な指標 ・公営の駐車場もできる限り採算性を高めるべきであり、その経営分析のためにキャッシュフローの指標と貸借対照表上の指標に着目することは正しいと考える ・経営指標として、重要なものの一つは経常損益であり、経常収支比率はよい指標である

[総務省が行ったヒアリング結果まとめ]

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(参考)駐車場法に基づく諸制度

出典:自動車駐車場年報(平成27年度)等の国土交通省資料 27

(1)駐車場整備地区(駐車場法第3条) 都市計画法の商業地域内、近隣商業地域内等又はその周辺の地域内において自動車交通が著しくふくそうする地区について、駐車場の計画的整備を推進するため、都市計画に定める地域地区(平成27年3月末現在、130都市170地区で指定)。 (2)駐車場整備計画(駐車場法第4条) 駐車場整備地区に関する都市計画が定められた場合においては、市町村は、その駐車場整備地区における路上駐車場及び路外駐車場の需要及び供給の現況及び将来の見通しを勘案して、その地区における路上駐車場及び路外駐車場の整備に関する計画を定めることができる(平成27年3月末現在、79都市109地区で策定)。 (3)技術的基準(駐車場法第11条) 路外駐車場で自動車の駐車の用に供する部分の面積が500㎡以上であるものの構造及び設備は、建築基準法その他の法令の規定の適用がある場合においてはそれらの法令の規定によるほか、政令で定める技術的基準によらなければならない。 (4)大臣認定制度(駐車場法施行令第15条) 一般公共の用に供する路外駐車場で、駐車の用に供する部分の面積が500㎡以上の政令で予想しない特殊の装置(機械式駐車装置)を用いるものについて、国土交通大臣がその装置の構造及び設備並びに安全機能について効力を認定する制度。 (5)駐車場の届出制度(駐車場法第12条) 都市計画区域内において、自動車の駐車の用に供する部分の面積が500㎡以上の路外駐車場でその利用について駐車料金を徴収するもの(届出駐車場)について、その管理者が、路外駐車場の位置、規模、構造及び設備その他必要な事項を都道府県知事等に届け出る制度。 (6)附置義務制度(駐車場法第20条、第20条の2) 駐車場整備地区内等において、延べ面積が一定規模以上の建築物を新築・増築する者に対し、その建築物又はその建築物の敷地内にその用途、延べ面積に応じて自動車の駐車のための施設を設けなければならない旨を条例で定めることができる。国土交通省では、『標準駐車場条例』を策定し、地方公共団体による条例制定を促進(平成27年3月末現在、198市区町で制定)。

駐車場法 都市における自動車の駐車のための施設の整備に関し必要な事項を定めることにより、道路交通の円滑化を図り、もって公衆の利便に資するとともに、都市の機能の維持及び増進に寄与することを目的とする(S32年制定)

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路外駐車場 道路の路面外に設置される自動車の駐車のための施設であって、一般公共の用に供されるもの 路上駐車場

①都市計画駐車場 ②届出駐車場 ③附置義務駐車施設

定義

都市計画区域内に設置され、都市計画に都市施設として定められた駐車場 (特に必要がある場合、都市計画区域外に設置することが可能)

都市計画区域内に設置され、自動車の駐車の用に供する面積が500 ㎡以上で、そ

の利用について駐車料金を徴収するもの

地方公共団体の条例により、一定規模以上の建築物の新設・増築の際に建築主の義務として整備される駐車施設

駐車場整備地区内の道路の路面に一定の区画を限って設置される駐車施設であって、一般公共の用に供されるもの

設置状況 119,543 台 1,699,455 台 3,058,756 台 606 台

例 ・駅前地下駐車場 ・公園の地下に設置する公共駐車場

・コインパーキング(時間貸し) ・立体駐車場(時間貸し)

・商業施設駐車場 ・オフィスビル駐車場 -

(参考)駐車場の種類

(注)1.自動車の駐車場所としては、上記のほか、車庫法に基づく保管場所等がある 2.上記①~③には、公営企業の駐車場整備事業が運営する駐車場が含まれる 3.設置状況は、H26年度末の数値 4.上図は、「自動車駐車場年報」(H27年度)及び「都市再生特別措置法に基づく駐車場の配置適正化に関する手引き」(H27年)等を参考に 総務省において整理

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