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計測自動制御学会論文集 Vol.46, No.12, 746/753 (2010) 近赤外光の吸光特性と偏光特性を用いた路面状態検出システムの開発 ・仲 ・鷲 ・的 Development of Road Surface Condition Detection System using Near - infrared Light - Absorption and Polarization Characteristics of Water Toshiro NAKASHIM A , Hajime NAKAJIM A , Kazuhiko S UM I and Osamu M ATOBA We have developed a road surface condition detection system using near-infrared light, which enables remote measurement. The developed system can detect the difference of road surface conditions as dry, water, ice, and snow. In this case, we focused on the light-absorption characteristics of water. To remove the affect of the thickness of the water layer,we have proposed a measured metrics as absorption ratio at two wavelengths. The absorption spectra were measured by using a water layer of1mm thickness. The experimental results showed that the absorption peak shifts to longer wavelength when the water state changes into ice state. A ratio of absorption coefficients at1300nm and1410nm is constant even when the layer thickness changes from0.2mm to 0.8mm . This result indicates that the proposed absorption ratio can be used as a criterion to detect the water state or the ice state. We have also proposed a reflected-light separation method by using polarization characteristics oflight. There are two reflected light components. One is the reflected light from the water surface and the other is one from the road surface. The reflected light from the water surface keeps the polarization state of the input. However, the polarization state from the road surface becomes random state because of the rough surface. To remove the surface reflection of the water layer, orthogonal polarization detection of input and output pair is effective. This is confirmed by the experiment. Wemadea prototypeoftheabove-described detection principleand it was tested bytheexperiment. As a result, the feasibility of determining road surface conditions such as dry,water and ice is confirmed by simultaneous measurement of light-absorption characteristics and reflection characteristics. Key Words : road surface condition, light-absorption, polarization, reflection, scattering 1. はじめに 車両走行路面の状況を把握することは,安全運転支援や交 通・道路管理において最重要な事項の 1つであり,より確実 で安全な検出方式の開発が望まれている.これら路面状況判 別では,各種状態の判別が要求されるが,事故への影響度の 大きさから,湿潤状態と凍結状態の判別が重要な項目として 挙げられる.本研究では,この湿潤,凍結状態の判別を安定 して非接触で実現可能な検出方式の開発を行なった.ここで は,路面に近赤外光を照射し,路面からの反射光の特性変化 を検知することを基本原理とする. 路面状態判別に関し,従来より開発が進められてきた方式 として,路面の画像情報を用いた方式がある.これは, 可視光を照射し,路面からの反射光画像の偏光特性を利用す ることにより湿潤状態の判別を実施したり,画像中のテクス チャの粒子性,方向性を利用して積雪状態を判別するもので ある.これら画像による状態判定方式においては,凍結状態 の判別は,路面の温度情報を別途収集し,画像情報からの湿 潤状態の判別結果と併せて判定を行なっている.また,近赤 外光の吸光を利用した方式も開発事例が報告されてい る.これは,近赤外光を路面に照射し,路面からの反射 光のうち特定の 1波長のみを選択し画像として捉えるもの で,水の吸光による画像中の輝度変化を検知することを原理 としている.路面状態判別に関して,乾燥と湿潤(凍結を含 む)との識別は可能であるが,湿潤と凍結と判別については, 両者の輝度に違いは見られるもののその差は小さく,この方 式単独による判別は困難であることから,温度情報との併用 が提案されている. また,近赤外光を利用する他の方式として,ファイバー レーザを光源とする方式,連続スペクトル光源を用いる方 TR 0012/10/4612-0746Ⓒ 2010SICE i Kobe Unive 三菱電機(株) 尼崎市塚口本町 8-1-1 神戸大学大学院 神戸市灘区六甲台町1-1 M itsubishi Electric Corporation, 8-1-1, Tsukaguchi-Hon - machi, Amagasak l 16, 2010) (Re rsity, 1-1Rokkodai-cho, Nada-ku, Kobe (Received Apri 10) October 26 vised 20 , 稿受理年 始頁 西暦

近赤外光の吸光特性と偏光特性を用いた路面状態検出システムの … › 34c9 › 6d273cc9abe7... · measurement of light-absorption characteristics and reflection

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[計 測 自 動 制 御 学 会 論 文 集Vol.46,No.12,746/753 (2010)]

近赤外光の吸光特性と偏光特性を用いた路面状態検出システムの開発

中 島 利 郎 ・仲 嶋 一 ・鷲 見 和 彦 ・的 場 修

Development of Road Surface Condition Detection System using Near-infrared Light-

Absorption and Polarization Characteristics of Water

Toshiro NAKASHIMA ,Hajime NAKAJIMA ,Kazuhiko SUMI and Osamu MATOBA

We have developed a road surface condition detection system using near-infrared light,which enables remote

measurement. The developed system can detect the difference of road surface conditions as dry,water,ice,and

snow.

In this case,we focused on the light-absorption characteristics of water. To remove the affect of the thickness

of the water layer,we have proposed a measured metrics as absorption ratio at two wavelengths. The absorption

spectra were measured by using a water layer of 1mm thickness. The experimental results showed that the

absorption peak shifts to longer wavelength when the water state changes into ice state. A ratio of absorption

coefficients at 1300nm and 1410nm is constant even when the layer thickness changes from 0.2mm to 0.8mm.

This result indicates that the proposed absorption ratio can be used as a criterion to detect the water state or the

ice state.

We have also proposed a reflected-light separation method by using polarization characteristics of light. There

are two reflected light components. One is the reflected light from the water surface and the other is one from the

road surface. The reflected light from the water surface keeps the polarization state of the input. However,the

polarization state from the road surface becomes random state because of the rough surface. To remove the

surface reflection of the water layer,orthogonal polarization detection of input and output pair is effective. This

is confirmed by the experiment.

We made a prototype of the above-described detection principle and it was tested by the experiment. As a result,

the feasibility of determining road surface conditions such as dry,water and ice is confirmed by simultaneous

measurement of light-absorption characteristics and reflection characteristics.

Key Words:road surface condition,light-absorption,polarization,reflection,scattering

1. は じ め に

車両走行路面の状況を把握することは,安全運転支援や交

通・道路管理において最重要な事項の1つであり,より確実

で安全な検出方式の開発が望まれている.これら路面状況判

別では,各種状態の判別が要求されるが,事故への影響度の

大きさから,湿潤状態と凍結状態の判別が重要な項目として

挙げられる.本研究では,この湿潤,凍結状態の判別を安定

して非接触で実現可能な検出方式の開発を行なった.ここで

は,路面に近赤外光を照射し,路面からの反射光の特性変化

を検知することを基本原理とする.

路面状態判別に関し,従来より開発が進められてきた方式

として,路面の画像情報を用いた方式がある .これは,

可視光を照射し,路面からの反射光画像の偏光特性を利用す

ることにより湿潤状態の判別を実施したり,画像中のテクス

チャの粒子性,方向性を利用して積雪状態を判別するもので

ある.これら画像による状態判定方式においては,凍結状態

の判別は,路面の温度情報を別途収集し,画像情報からの湿

潤状態の判別結果と併せて判定を行なっている.また,近赤

外光の吸光を利用した方式も開発事例が報告されてい

る .これは,近赤外光を路面に照射し,路面からの反射

光のうち特定の1波長のみを選択し画像として捉えるもの

で,水の吸光による画像中の輝度変化を検知することを原理

としている.路面状態判別に関して,乾燥と湿潤(凍結を含

む)との識別は可能であるが,湿潤と凍結と判別については,

両者の輝度に違いは見られるもののその差は小さく,この方

式単独による判別は困難であることから,温度情報との併用

が提案されている.

また,近赤外光を利用する他の方式として,ファイバー

レーザを光源とする方式 ,連続スペクトル光源を用いる方

TR0012/10/4612-0746Ⓒ2010SICE

i

Kobe Unive

三菱電機(株) 尼崎市塚口本町8-1-1

神戸大学大学院 神戸市灘区六甲台町1-1

Mitsubishi Electric Corporation, 8-1-1, Tsukaguchi-Hon-

machi,Amagasak

l 16,2010)

(Re

rsity,1-1Rokkodai-cho,Nada-ku,Kobe(Received Apri

10)October 26vised 20,

稿受理年始頁

原月

西暦

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式 がある.前者は,反射光強度により乾燥,湿潤を判別

し,凍結は温度測定を併用し判別する.また,後者は3波長

間の反射光強度比を基本量とし,反射光強度の半球にわたる

角度分布により判定するもので,基礎開発レベルのものであ

る.

光以外の方式として,走行車両からのタイヤノイズの周波

数分布を用いる方式についての開発事例 が報告されている

が,当事例において凍結の判別は対象とされていない.

このように,湿潤状態と凍結状態との判別に関しては,別

途取り込んだ温度情報と複合化させて凍結の判別を行なって

おり,上述した各方式単独では実現困難であるのが現状であ

る.

これらの問題点の解決をめざし,本研究では,路面の状況

変化の根本の要因である水の状態(相)変化を直接検出する方

式の開発を行なった.具体的には,基本原理として水の相状

態(液体相(水)かあるいは固体相(氷))変化によって発生す

る,水の吸光特性の変化を用いる.また,スペクトル測定に

影響を及ぼす要因として,路面での厚み変化や表面反射など

の原理的に測定結果に影響を及ぼすものや,太陽光などの外

光や降雨時の雨や降雪時の雪など自然環境特有の要因があ

る.本研究では,これら要因のうち,原理的に影響を及ぼす

要因である,路面での水膜厚み変化と表面反射について,そ

の影響を除去する方式を提案した.水膜の厚み変化の影響に

関しては,2波長間の吸光度の相対比を用いて取り除き,水

膜の表面反射に関しては,偏光特性を利用して影響を取り除

く投受光方式を提案した.路面の状態判別においては,この

水の相変化の検出結果と,路面の表面の粗さ変化や反射率変

化の検出結果を総合的に判断することにより,より安定度の

高い路面状態の判定の実現を図った.

本報告では,路面状態検出の基本原理を述べた後,実用化

プロトモデルの構成を示し,検出特性を実験的に評価した結

果を報告する.

2. 検出方式の基本原理

2.1 凍結時における水の吸光スペクトル変化

本研究では,前章で述べたように,水の相変化を直接反映

した物理量を検知することを核として路面状態の判別を行な

うことを基本コンセプトとしている.

水の直接の相検出に関して,具体的には,水の相変化に伴

う水の吸光スペクトルの変化に着目した.ここでは,水が凍

結し,液体相から固体相に変化する過程における水の吸光ス

ペクトルの形状変化を測定した.測定は,恒温槽内にてシー

ト状の水膜を形成し,水膜を透過した光のスペクトルを観測

するもので,槽内温度を変化させることにより,液体相(水)

から固体相(氷)へ状態を変化させ,その過程におけるスペク

トル変化を測定した.実用化に向けての光検出器の選択を考

えると,受光する光は可視から近赤外の領域の波長帯が有利

であること,かつ水の吸光の主要因と知られているOH伸

縮振動(3 m付近)の倍音吸収として1300~1700nm帯での

吸光の存在が推測されることから,これら波長をカバーする

1100~2500nmを吸光(透過)スペクトルの測定領域として設

定した.また水膜は室温から-3℃程度まで冷却した.得ら

れた測定結果を Fig.1に示す.なお,スペクトル各点の透

過率は,各温度ごとに波長1100nmの値で規格化している.

測定結果から,液体相でのスペクトルの中心波長(最大吸

収波長)は1450nm近辺であるが,固体相での透過スペクト

ルの中心波長は1500nm近辺となっており,水から氷に状

態が変化するにあたって,透過光スペクトルの中心波長は長

波長側にシフトすることが確認された.水の吸光は,OH収

縮振動が主要因となり波長3 m近辺で強い吸光スペクトル

が出現する.文献10)では,水が液体相から固体相に変化す

ると,3 m帯の吸光スペクトルのピークは長波長側に移動

することが示されている.本研究で対象としている1.3~

1.5 m帯は,OH収縮振動の倍音にあたり,同様のスペク

トル変化を示しているものと考えられる.またFig.1中,

曲線④と⑤(温度で1℃と0.2℃に相当)の間で,透過スペク

トルの形状は大きく変化するが,これは両曲線の得られた温

度の間で水が液体相から固体相に変化しているためと考えら

れる.

スペクトル形状の変化を具体的に検知するにあたっては,

測定波長として2つの波長を設定し,各波長の受光強度の相

対比の変化を検知する方式が挙げられる.

ここでは,上記結果から液体時と凍結時において変化度の

高い2波長1300nm,1410nmを測定波長として設定した.

また,実環境での測定において,水の相変化以外で透過光

強度を変化させる要因に,水の厚み(透過光路長)変化が挙げ

られる.つまり,水の相状態が同じであっても,水の厚みに

違いがあれば,透過光強度は変化することになる.実環境で

の測定を想定すると,路面上に生成する水の厚みは定まった

ものではなく,この影響をいかに除去するかが実用上大きな

問題となる.

厚みの影響に対応する方法として,吸光スペクトルから各

波長における吸光度を算出し,上記2波長で算出した吸光度

の比を評価データとする方法を提案する.水による光の吸光

度 λ は,Lambert-Beerの法則によりつぎのように表わ

される.

λ=-log / = α (1)

計測自動制御学会論文集 第46巻 第12号 2010年12月

wate Fig.1 Changes of absorption spectrum during ing e r fre z

n① Ja

emberOctoberNovemberDecember

uary② February③March④April⑤May⑥ June

⑦ July⑧August⑨ Sept

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:受光強度

:入射光強度

α:波長λにおける吸光係数(cm )

:濃度

:水膜中の透過光路長:往復(cm)

:定数

この吸光度 λ の2波長間の比(以降吸光度比と呼ぶ)をと

ると,

λ/ λ=α/α (2)

となり,厚さ の影響は除去することが可能となる.つま

り,水の厚みに変化があった場合においても,水の状態変化

に伴う吸光係数の変化のみを抽出することが可能となる.

Fig.2に水の状態変化に伴う吸光度比の測定結果を示す.

実験では,水の温度を変化させ,吸光度比を測定した.図

中,横軸は水温,縦軸は吸光度比を示す.

Fig.2より,温度が1℃から低下するごとに吸光度比は一

価的に上昇し,温度が-0.5℃以下の領域で,ほぼ一定と

なった.このとき,水は温度の低下に伴い凍結され,

-0.5℃以下では固体相(氷)の状態にあることを別途確認し

ている.このように測定結果から,この吸光度比は水の状態

に対応した変化を示しており,かつ液体相と固体相とにおい

て,吸光度比の値に明らかな有意差のあることが確認され

た.

つぎに,水の厚み変化に対して吸光度比のもつ効果につい

て検討する.ここでは,吸光度比と効果を比較するための参

照用の評価指標として2波長(1300nmと1410nm)間の透過

率の相対比(透過率比と呼ぶ)を採りあげ,両者の影響度の違

いを評価した.測定では,2枚のガラス板の間𨻶に水を注入

して水膜を生成し,ガラス板の間𨻶を変化させることにより

水膜の厚みを変化させた.Fig.3に測定結果を示す.図で

は,各評価指標について,液体相と固体相での水膜の厚みに

対する変化を示す.Fig.3(a)は本研究で提案した吸光度比

についての結果を,Fig.3(b)は従来より用いられている透

過率の2波長間の相対比の結果をそれぞれ示す.Fig.3(a)

より,吸光度比の値は,固体相,液体相のいずれにおいても

水膜の厚みの値にかかわらず一定であり,かつ両相間で吸光

度比の値に明確な有意差のあることが確認された.一方,

Fig.3(b)より,透過率の相対比は,固体相においては水膜

の厚み変化の影響を受けず一定であるが,液体相では厚みの

影響を受け,厚みに対して大きく変化することが確認され

た.以上のことから,提案した吸光度比は,水膜の厚みの影

響を受けず,両相を識別する有効な評価指標であることが確

認された.

2.2 偏光を利用したスペクトル情報の S/N向上

一般の計測手法では,得たい情報を含む信号成分をいかに

効率よく得ることができるかが,実用の成否を左右する重要

なファクターの1つとなる.

前節で述べたように,水を透過した光のスペクトル変化を

検知することにより,原理的に水の相変化の検出が可能であ

るとの見込みを得た.この原理を実用レベルで実現するに

は,水の状態変化を反映した光信号つまり水の中を透過した

光の成分をいかに効率よく検出するかが重要なポイントとな

る.

路面状態の湿潤から凍結への移行を模擬的に Fig.4に示

す.図にあるように,湿潤状態では,路面上に水膜が発生

し,凍結時にはこの水膜が凍ることになる.

実環境での測定においては,光は路面に向けて投射される

こととなり,路面からの反射光を受光し,受光した光信号の

特性変化から路面上の水の状態を検出することになる.この

ときの光の振る舞いを見ると,Fig.4のように,表面に水膜

T.SICE Vol.46 No.12 December 2010

Fig.3 Comparison of changes in absorption spectrum evalua

tion parameters with respect to layer thickness

-

Fig.2 Measured light absorption ratio for various water tem

peratures

-

(b) Change in relative ratio of transmittance with layer

thickness

(a) Change in absorption ratio with layer thickness

Fig.4 Changes in the road surface state

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が発生している場合,照射光はその一部が水膜中に入射し路

面で反射され,一方一部は水膜の表面で反射される.このた

め,水膜表面での反射光と路面での反射光の2種類の反射光

が発生する.これら2つの反射光に関し,水膜表面での反射

光はその表面の状態を,また水膜中を透過し路面で反射した

光は路面の表面状態と水膜内の状態を反映したものとなる.

このため水の相状態を検出するという観点からは,水の相状

態を反映した信号成分を効率よく取得する必要があり,水膜

内に入射し路面で反射した光を,水膜表面での反射光と分離

し検出することは,実用上重要な事項といえる.ここでは,

偏光特性を利用することにより,水膜中に入射し路面から反

射する光を分離検出する方式を提案する.Fig.5に検出方式

の原理を示す.図にあるように,P偏光(あるいはS偏光)

特性を有する光を水膜面上に照射すると,水膜表面は滑らか

であることから表面からの反射光は照射光のもつP偏光(あ

るいはS偏光)特性を保持する(なお図は,照射光がP偏光

の場合を示す).一方,水膜中に入射し路面で反射した光は,

路面が粗面であることから,照射光のもつ偏光特性は崩れ,

S偏光,P偏光の両偏光成分を共に有することとなる.ここ

で,照射光の偏光成分に対して直交する偏光成分のみを抽出

するよう投受光系を構成することにより,水膜表面での反射

光を除去し,水膜中を透過し路面にて反射した光のみを検出

することが原理上可能となる.このとき,照射光の入射角度

によって水膜表面での反射率(いい換えると水膜表面の透過

率)が変化することから,光検出器にて受光する路面からの

反射光の光量も入射角度によって変化することとなる.

つぎに路面を模擬して反射光の吸光スペクトルを測定し,

上述の方式による効果を実験的に確認した.実験では,路面

を白色拡散板で模擬し,厚さ0.5mmの水膜を拡散板上に生

成させ,水が凍結する過程において拡散板で反射する反射光

の吸光スペクトルの形状変化を観測した.また実験系として

は,拡散板に対して45°の入射角度で照射しその正反射光を

受光する光学系を構築した.測定は,光学系全体を恒温槽内

部に設置し,冷却することにより水を液体相から固体相に状

態変化させた.また偏光に関しては投・受光系においてそれ

ぞれ,S偏光,P偏光を選択できる構成とした.各偏光条件

におけるスペクトルの測定結果を Fig.6に示す.

Fig.6における投受光系の偏光条件は,(a)は投光:P偏

光,受光:P偏光,(b)は投光:P偏光,受光:S偏光,

(c)は投光:S偏光,受光:P偏光,(d)は投光:S偏光,

受光:S偏光,(e)は投光:ランダム偏光,受光:ランダム

偏光である.Fig.6(a)-(e)の結果から,投受光の偏光条

件の違いにより透過スペクトルの落ち込み量に違いが発生し

ている.この落ち込み量は評価指標(吸光度比)の値の液体

相,固体相でのレベル差に影響を及ぼす.つまり,落ち込み

量が大きいほど液体相,固体相の両相間での吸光度比の変化

が大きくなり,水の状態判別の確度があがることとなる.つ

ぎに偏光条件によって,落ち込み量に違いが発生する要因に

ついて検討する.

水と空気の界面における反射率は,投射する光の偏光条件

と入射角度によって大きく異なることが,フレネルの法則に

よって知られている.本研究での実験条件である入射角度

45°近辺では,S偏光の反射率がP偏光と比較して20倍程度

と非常に大きくなる.

Fig.6(a)では,透過スペクトルのピーク値は0.2程度

(波長1300nmでの透過率を1として規格化した値)であり,

100%吸収されるに至っていない.これはフレネルの反射係

数が非常に値は小さいもののP偏光においても反射率を有

しており,水の吸光に寄与しない水面での反射光成分が,水

膜中を透過し路面から反射した光と合わさって受光されたた

めと考えられる.一方,Fig.6(b),(c)においては,透過

スペクトルのピーク波長での透過率がほぼ0となっている.

これは,投光と受光において偏光方向を直交させて限定し受

光することにより,水面からの反射光を除去することができ

たためと考えられる.

またFig.6(d)においては,透過スペクトルの落ち込み量

が他の偏光条件と比較して,大幅に低減している.さらに液

体相,固体相では,落ち込み量に差があり,固体相のほうが

大きくなっている.これはS偏光投射における水面での反

射率が,前述したようにP偏光と比較して非常に大きく,

水の吸光に寄与しない成分の割合が大きくなったためと考え

られる.また,固体相において透過スペクトルの落ち込み量

が増加している.これは固体相では,凍結により水面の表面

粗さが液体時と比較して粗くなり,反射光に拡散成分が発生

したことによって水膜表面からの反射光のうち受光された光

量が減少したことが大きな要因の1つと考えられる.つま

り,受光した光のうち水の吸光に寄与しない成分が減少した

ためと考えられる.

また,投受光ともにランダム偏光の場合は,路面からの反

射光に対する選択性がなく,ピーク波長において40%程度

の透過率となった.

これらの考察から,透過スペクトルの落ち込み量を確保す

るには,投光をP偏光,受光をS偏光とする条件がよいこ

とがわかる.

上記結果から,投・受光系の偏光条件の適性化が,吸光ス

ペクトル測定での信号成分となる水膜内透過光の効率的検出

に有効であることが,実験的に確認された.

つぎに,本研究にて評価指標として提案した吸光度比につ

いて,投受光系の偏光条件に対する変化を測定した.各偏光Fig.5 Light reflection from road surface covered with water

layer in p-polarized input

計測自動制御学会論文集 第46巻 第12号 2010年12月

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条件において,液体相と固体相における吸光度比を算出し,

それらの相対比を求めた結果を,Table 1に示す.実際の測

定においては,この求めた相対比は値が大きいほど,液体

相,固体相での吸光度比のレベル差が大きく,両者の有意差

を明確に捉えることが可能となる.

Table 1から,投・受光系において偏光方向が相直交する

条件では,吸光度比のレベル差は高く,一方,偏光方向が平

行となる条件では相直交する場合と比較して小さくなってい

る.このうち,照射光がS偏光でかつ投受光系の偏光方向

が平行の場合については,水膜表面での反射率が高く,水膜

内への入射成分が少ないことから,相対比が最も低くなった

と考えられる.このように,投受光系での偏光条件の設定に

より,水の相変化に対する吸光度比の変化度合いに差のある

ことが明らかとなった.

2.3 路面状態の判定

ここでは,前節の検討結果をふまえ,路面状態検出に向け

ての基本的な考え方について述べる.対象とする路面状態

は,乾燥,湿潤,凍結の3種類の状態とした.本研究では,

前章でも述べたように,路面の状態変化の根本要因である路

面上の水の相状態(有無,液体相or固体相)に着目し,この

相状態の直接検出について吸光特性変化を検出する新たな方

式を提案し,原理的に可能であることを実験的に確認した.

Fig.6 Changes in absorption spectrum with changing polari

zation during the freezing process

-

(c) Spectrum changes in the freezing process

Polarization condition Projected light:S, Detected

light:P

(b) Spectrum changes in the freezing process

Polarization condition Projected light:P, Detected

light:S

(e) Spectrum changes in the freezing process

Polarization condition Projected light : random,

Detected light:random

(a) Spectrum changes in the freezing process

Polarization condition Projected light:P, Detected

light:P

(d) Spectrum changes in the freezing process

Polarization condition Projected light:S, Detected

light:S

Table 1 Changes in relative ratio of the absorption ratio(liquid phase and solid phase)with different polariza

tion states

-

T.SICE Vol.46 No.12 December 2010

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路面状態の判定にあたっては,吸光度比を判定の基本指標と

するとともに,より判定の確度を高めるため,路面の粗さ,

反射角度変化も判定指標として加え,総合的に判定すること

とした.具体的には,正反射光の偏光特性,反射光の拡散度

合いを指標として加えることとした.

3. 基本特性の検証

3.1 検出方式の基本構成

実環境下における実証実験を行なうために実験機を構築し

た.その基本構成を Fig.7に示す.Fig.7にあるように,光

源から近赤外領域を含めた光が路面上に投射される.路面で

発生した反射光は,正反射位置でS偏光成分とP偏光成分

とが同時に分離して受光できるよう光検出部を構成するとと

もに,吸光スペクトルが同時に測定可能となるよう一部光を

分離し正反射位置にスペクトルメータを設置している.ま

た,反射光の拡散成分を受光するため,正反射位置からずれ

た位置に光検出器を設置している.

Photo.1に試作した実験機の外観を示す.

3.2 実環境下における基本特性確認実験

試作した実証機を用い,本検出方式の基本特性を検証し

た.実験では,寒冷屋外環境に試作装置を設置し,路面の湿

潤,凍結状態を模擬的に発生させ,基本特性の測定を行なっ

た.凍結に関しては,気温零下-5℃の環境下で,路面に水

膜を形成させ,液体相から固体相に至るまでの変化を連続し

て測定した.

正反射光に関しては,S,Pの両偏光成分の和に対する各

偏光成分の比をデータ値とし,乾燥時の初期値を0.5に規格

化し,時間変化を測定した.また拡散反射光については,正

反射光強度と拡散反射光強度の総和に対する拡散反射光強度

の比を求め,乾燥時の値を0.5に規格化した値をデータ値と

して時間変化を測定した.また吸光度比は10秒ごとの時間

変化を測定した.

実験結果を Fig.8に示す.図中に,正反射光(S偏光受

光,P偏光受光),拡散反射光,吸光度比をまとめて示す.

Fig.8は,時刻100秒過ぎに路面上に水膜を生成させ,水

膜が凍結し,氷に至るまでの過程における,各測定データの

時間変化を示す.

Fig.8から,吸光スペクトルの形状変化を評価する吸光度

比の値(図中④)は,水膜生成時直後に0.4程度までに低下

し,時間の経過とともに増加,100秒程度後に0.8~0.9程

度までに増加し,以降測定値は一定レベルを保持している.

これは路面上に生成された水膜が,時間の経過とともに,凍

結し固体相へと相が変化し,最終的には氷の状態が保持され

たもので,この水の相変化に伴い,吸光度比も変化したもの

と考えられる.

正反射光に関しては,照射光のもつ偏光方向(P偏光)と同

じ方向の偏光方向で受光した場合(図中①),乾燥から湿潤に

推移すると,受光強度は0.5から1近辺に大きく増加する.

一方,照射光と直交する偏光成分(図中②)は,0.5から大き

く減少する.路面は凹凸のある表面構造をもつことから,乾

燥状態では,表面からの反射光は投射光がもっていた偏光特

性を保持できず,S偏光成分とP偏光成分との混在状態と

なる.これに対し路面表面が湿潤になると,表面に水膜が形

成され,正反射光は投射光のもつ偏光特性を保持することと

なるため,受光強度が急増したと考えられる.また,凍結状

態では若干偏光保持特性が減少する傾向が見られる.これ

は,凍結により水膜の凍結により表面の粗さが大きくなり,

偏光特性がわずかに崩れたためと考えられる.

拡散反射光に関しては,表面が湿潤状態になると,拡散反

射光強度成分の相対比は小さくなり,凍結状態になるとほぼ

元のレベルに復帰する(図中③).この拡散反射光の測定にお

いては,偏光特性を限定しておらず,S, Pの両成分の和を

測定している.このため,路面の粗度による反射光強度の拡

散性のみを反映した測定結果となる.測定結果より,路面が

Fig.7 Schematics of optical measurement system for road

surface condition

Photo.1 Appearance of the detector head of Fig.7

Fig.8 Changes in evaluation parameters with changes in the

state of the road surface

State change:Dry→Wet→ Frozen

Light conditions:P-polarized projected light

計測自動制御学会論文集 第46巻 第12号 2010年12月

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湿潤になると,路面が滑らかになることから正反射成分が増

加し,拡散成分は減少することになる.水膜が凍り路面が凍

結状態になると,受光レベルがもとのレベルの方向に変化し

た.これは,凍結により表面の滑らかさが崩れ,反射光の拡

散性分が増加し,もとの状態に近づいたためと考えられる.

3.3 路面状態検知の可能性検討

上記実験結果をふまえ,本方式の路面状態判別への適用の

可能性について検討する.

各路面状態における実験データを Table 2にまとめる.

ここでは,各路面状態の変化に対して,顕著な変化を示す

データとして,正反射光,拡散反射光,吸光度比については

いずれもP偏光照射時のデータをまとめた.Table 2に示

したように,乾燥,湿潤,凍結の各路面状態に対して,正反

射光(P偏光受光,S偏光受光),拡散反射光,吸光度比の各

評価指標の値はそれぞれ特徴的な変化を示す.

これら4つの評価指標を用いた状態検出について考察す

る.正反射光(P偏光受光,S偏光受光)と拡散反射光の3評

価指数に関して,正反射光(P偏光受光)は変化の方向が逆と

なるものの,いずれも路面状態変化に対しての変化量は同程

度であることから,ここでは正反射光(P偏光受光)を3評価

指数の代表として検討を進める.いま処理方式として,正反

射光(P偏光受光)と吸光度比に対し閾値による2値化処理を

考える.正反射光(P偏光受光)に対して0.3,吸光度比に対

して0.6を閾値と設定したとき,各評価指数の2値化処理後

の値と路面状態との関係を Table 3に示す.Table 3の結

果から,2値化処理後の上記2つの評価指標の値を組み合わ

せることにより,路面状態(乾燥,湿潤,凍結)を分離し判定

できることが確認される.いま,正反射光(P偏光受光,S

偏光受光)と拡散反射光の3評価指標に対して正反射光(P偏

光受光)で代表させたが,すべての3指標を使うことにより,

より確定度の高い安定した判定を実現できると推定される.

このように,本研究で提案した吸光度比,正反射光(P偏

光受光,S偏光受光)と拡散反射光の評価指標を用いること

により,路面状態(乾燥,湿潤,凍結)を分離・判定できるこ

とが確認された.

4. ま と め

道路の路面状態を判別することを目的に,非接触測定可能

な近赤外光を光源として,吸光特性,偏光特性を利用した路

面状態検出技術の開発を行なった.

路面状態の検出にあたっては,路面の状態を直接反映する

物理量を検出することを基本コンセプトとし,路面変化の最

も大きな要因として路面上の水に着目し,水そのものの相状

態の検出方式を開発した.ここでは,水の相(液体相,固体

相)変化を反映する光の特性として,水のもつ吸光特性に着

目した.基本実験により,液体相,固体相の状態において,

水の吸光特性に差の発生することが確かめられ,水の相検出

に向けての有効性を確認した.

実環境での測定において,測定結果に影響を及ぼす要因

に,水の厚さ変化および水膜の表面反射があり,いかに対応

できるかが,実用上重要な課題となる.

水の厚さに関しては,吸光度の2波長間の相対比(吸光度

比)を評価指標とすることにより,水の厚さの影響を受けず

に相判定できることが実験的に確認でき,実環境下での路面

状態の評価指標として有効であることが実証できた.

また水膜の表面反射に関しては,光の偏光特性に着目した

反射光分離方式を考案し,基本実験により有効性を確認し

た.

これらの結果より,水の吸光特性変化に着目した吸光度比

を評価指標とすることにより,水の相判別が実環境において

有効に実施できることが確かめられた.

路面の状態判定においては,吸光度比により水の相状態を

検出するとともに,路面表面の粗度を反映する正反射性,拡

散反射性などの反射特性を評価指標として加え,総合的に判

定することとし,その可能性を検討した.

実験機を試作し,屋外環境下において,アスファルト路面

を対象に湿潤,凍結状態を模擬的に発生させ,本方式の基本

特性を確認した.その結果,基本的に路面状態の判別が可能

であることを確認した.

試作した装置では照射ビーム径は数mm程度であり,そ

の範囲の路面状態の判別を行なうものとなっている.広い範

囲の測定には,装置の移動機構を加える必要がある.

また,近赤外波長域に感度を有するイメージセンサを用い

て検出エリアの2次元化を図ることは原理的に可能であり,

実用化に向けての一手法と考えられる.

また今後実用化に向け,さらに種々の環境における実証実

験を行なっていく予定である.

参 考 文 献

1)上田,堀場, 池谷, 大井:画像処理を用いた路面湿潤状況検出

Table 3 Changes in threshold data for different road surface

states

Table 2 Measured changes in parameters for different road

surface states

T.SICE Vol.46 No.12 December 2010

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方式,情報処理学会論文誌,35-6,1072/1080(1994)

2)谷崎,上田, 池谷, 堀場:背景画像更新処理を用いた路面湿潤

状況の検出,電子情報通信学会論文誌D-2,JS0-D-2-9,2270/

2277(1997)

3)山田,上田,堀場,津川,山本:画像処理による車載型路面状態

検出センサの開発,電気学会論文誌C,124-3,753/760(2004)

4)M.Yamada,K.Ueda,I.Horiba and N.Sugie:Discrimina-

tion of the Road Condition Toward Understanding of

Vehicle Driving Enviroment, IEEE. Trans. On Intelligent

Transportation Systems,2-1,26/31(2001)

5)波,長尾,渡辺,石川,土井:近赤外吸収画像を用いた路面凍結

検知に関する研究,第11回寒地技術シンポジウム技術論文集,

11,392/396(1995)

6)波,長尾,土井,石川,渡辺:近赤外吸収画像を用いた路面凍結

検知に関する研究(第2報),第 12回寒地技術シンポジウム技

術論文集,12,195/201(1996)

7)森井,安尾,岩本,杉本,柏原:光ファイバレーザーを用いた路

面状態判別センサ,電気学会論文誌D, 120-D-10, 1198/1204

(2000)

8)C. Johan, S. Mikael and L. James:Angular Spectral

Response from Covered Asphalt,Appl.Opt.,46-20,4277/

4288(2007)

9)K.Wuttiwat,H.Nomura and T.Kamakura:Detection of

Road Surface Conditions using Tire Noise from Vehicles,電気学会論文誌D,129-7,761/767(2009)

10)N.V. Nucci and J.M. Vanderkooi:Temperature depen-

dence of Hydrogen Bonding and Freezing Behavior of

Water Reverse Micells,J.Phys.Chem.B,109,18301/18309

(2005)

[著 者 紹 介]

中 島 利 郎 (正会員)

1980年神戸大学大学院工学研究科修士課程計

測工学専攻修了.同年三菱電機株式会社に入社.

現在,同社先端技術総合研究所にて電力機器,昇

降機,FA機器などを対象とした産業分野におけ

る光・レーザ応用センシング技術に関する研究に

従事.博士(工学).

仲 嶋 一

1985年大阪大学大学院工学研究科電子工学専

攻修士課程修了.同年より三菱電機株式会社入

社.現在,先端技術総合研究所センサ情報処理シ

ステム技術部センサ応用グループマネージャ.主

として,産業用光計測の研究に従事.日本応用物

理学会,日本光学会,SPIEの会員.

鷲 見 和 彦 (正会員)

1982年京都大学工学部電気電子工学科卒業,

84年京都大学大学院修士修了(電気電子工学専

攻),同年三菱電機株式会社生産技術研究所,現

在,先端技術総合研究所センサ情報システム技術

部部長.その間89~90年メリーランド大学客員

研究員,2003~2006年京都大学大学院情報学研

究科研究員(COE)客員教授,電子情報通信学会,

情報処理学会会員,工学博士.

的 場 修

1996年大阪大学工学研究科博士後期課程修了.

同年東京大学生産技術研究所助手,2002年神戸

大学工学部助教授,2007年神戸大学大学院准教

授,2009年神戸大学大学院教授となり,現在に

至る.その間,98年~99年コネチカット大学客

員研究員.光情報工学,特に3次元センシング,

3次元ディスプレイ,3次元光記録の研究に従事.

博士(工学).96年日本光学会奨励賞.日本光学

会,応用物理学会,レーザー学会,映像情報メ

ディア学会,OSA,SPIE,IEEEの各会員.

計測自動制御学会論文集 第46巻 第12号 2010年12月