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73 2010.1 金属資源レポート 3 18 12 18 山冨 二郎 本稿は、『鉱山開発概論』と題し、採鉱法を中心に解説する〔スライド 1〕 【資源開発基礎講座 第3回(平成18年12月18日開催)講演】 鉱山開発概論 東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻 教授 1 - 1. 固体エネルギー ・ 鉱物資源の生産量  [資料 1、 スライド 2] “World Mining Congress”という組織のホームペー ジから、1 年間に世界中でどれだけ固体のエネルギー 資源、鉱物資源が採掘されているかに関してデータを 集めることができる。最新は 2003 年分であり、鉄及 び鉄合金金属、非鉄金属、貴金属、工業用原料鉱物、 固体燃料資源(主に石炭)等と、原油に関するデータ を集めることができる[資料 1、スライド 2] 。単位 は百万 t である。この他天然ガスがあるが、 [資料 1、 スライド 2]には含まれていない。 固体資源と呼ばれるものを合計すると、要するにお よそ年間に 50 億 t を、我々は掘っている。ほぼ石油 (原油)と同等量を毎年掘っているのである。ただ し、金属資源に関しては、金属純量、または金属量で 表しているため、実際にはこれ以上の鉱石を掘ってい ることになる。 1 - 2. 鉱山開発技術 1 - 2 - 1. 鉱山のライフサイクル [資料 2、スライド 3] 鉱山開発の技術というものは鉱山のライフサイクル に合わせて、探査、探鉱から始まり、開発、鉱石の生 産、そして閉山、その後の修復、あるいは跡地利用と いったものも含め、多岐にわたる[資料 2、スライド 3] 。従って、いろいろな技術がこの要素の中に含ま れているのであり、それらを上手く組合わせて、円滑 な鉱山操業を目指さなければならない。 1 - 2 - 2. 資源開発事業の特質 [資料 3、スライド 4] [資料 3、スライド 4]は、一般のビジネスと比べた 場合の資源開発事業の特色的な要素を挙げたものであ る。まず、鉱山事業、資源開発事業が成り立っている 最大の資産である鉱床というものは再生不可能なもの である。また立地条件の制約、すなわち鉱山・鉱床の あるところでしか事業を展開することができない。そ れから、様々なリスクがあり、それらが高く、しかも それに冒されやすいという面がある。また、環境に対 する負荷も大きい。そして多くの場合、こうした鉱山 は僻地に位置しているため、特に地域社会への影響が 大きいと言える。鉱山が開発されれば経済効果として プラスもあるが、やはり閉山の時にはマイナスの影響 が前面に出てしまう。さらに鉱山ごとに事情は異なる が、一般的には労働環境が厳しい場合が多いという側 面がある。 そして、探鉱の段階だけで 10 ~ 20 年を要し、そし てその後やっと鉱山開発が始まるということで、準備 期間が長く、この点はリスクが高いこととも関連す る。また、鉱山については、色々な技術要素を含んで いるため、総合的な技術力を持っていなければならな い。最後に、やはり資本集約的であるため、大資本が 優位であるという特徴がある。 1 - 2 - 3. ハ ー ド 面 に お け る 個 別 技 術 課 題 [ 資 料 4、 ス ライド 5] [資料 4、スライド 5]に鉱山開発に係る個別の技 術課題として、ハード面からそれをリストアップし た。まず何といっても鉱石及び岩石を掘らなければな らず、鉱石あるいは岩盤を破砕するための爆薬を詰め る孔を掘ることである(“drilling(穿孔)”)。そして、 発破した鉱石あるいはズリを別の鉱山機械に積込み、 外に搬出する積込・運搬という作業が必要になる。坑 内採鉱の場合は、安全な作業を行うために発破でダ メージを受けて落下の危険性のある岩石(浮石と呼 ぶ)を除去したり、あるいは支保工を行い、あるいは 採掘空洞を充填したりする場合もある。そして支保工 とも関連するが、岩盤の動きをうまくコントロールし て、採掘期間はできる限り安全に、しかもなるべく少 ない支保工でそれを経済的に行わなければならない。 また、保安と呼んでいるが、坑内・坑外を問わず、作 業の安全性、作業を行っている人員の安全と衛生を確 保する技術も必要である。特に坑内掘においては、地 下で作業を行うために新鮮な空気を循環する通気 (ventilation)、坑内湧水の汲み出し、照明あるいは給 電も必要となる。鉱山において特徴的な技術として、 鉱石中から目的とする鉱物を選び出し(選鉱)、その 廃棄物として発生した廃滓(尾鉱:tailings)の処理 がある。特に露天掘の場合、鉱石以外にその上部の被 りや周辺の岩盤(ズリ)も一緒に掘り、処理しなけれ ばならない。 853

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  • 732010.1 金属資源レポート

    特集・連載

    【資源開発基礎講座 

    第3回(平成18年12月18日開催)講演】 

    鉱山開発概論

    山冨 二郎

    本稿は、『鉱山開発概論』と題し、採鉱法を中心に解説する〔スライド 1〕。

    【資源開発基礎講座 第3回(平成18年12月18日開催)講演】鉱山開発概論

    東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻 教授

    1-1. 固体エネルギー ・ 鉱物資源の生産量 [資料 1、スライド 2]

    “World Mining Congress”という組織のホームページから、1 年間に世界中でどれだけ固体のエネルギー資源、鉱物資源が採掘されているかに関してデータを集めることができる。最新は 2003 年分であり、鉄及び鉄合金金属、非鉄金属、貴金属、工業用原料鉱物、固体燃料資源(主に石炭)等と、原油に関するデータを集めることができる[資料 1、スライド 2]。単位は百万 t である。この他天然ガスがあるが、[資料 1、スライド 2]には含まれていない。

    固体資源と呼ばれるものを合計すると、要するにおよそ年間に 50 億 t を、我々は掘っている。ほぼ石油

    (原油)と同等量を毎年掘っているのである。ただし、金属資源に関しては、金属純量、または金属量で表しているため、実際にはこれ以上の鉱石を掘っていることになる。

    1-2. 鉱山開発技術1-2-1. 鉱山のライフサイクル [資料 2、スライド 3]

    鉱山開発の技術というものは鉱山のライフサイクルに合わせて、探査、探鉱から始まり、開発、鉱石の生産、そして閉山、その後の修復、あるいは跡地利用といったものも含め、多岐にわたる[資料 2、スライド3]。従って、いろいろな技術がこの要素の中に含まれているのであり、それらを上手く組合わせて、円滑な鉱山操業を目指さなければならない。

    1-2-2. 資源開発事業の特質 [資料 3、スライド 4][資料 3、スライド 4]は、一般のビジネスと比べた

    場合の資源開発事業の特色的な要素を挙げたものである。まず、鉱山事業、資源開発事業が成り立っている最大の資産である鉱床というものは再生不可能なものである。また立地条件の制約、すなわち鉱山・鉱床のあるところでしか事業を展開することができない。それから、様々なリスクがあり、それらが高く、しかもそれに冒されやすいという面がある。また、環境に対する負荷も大きい。そして多くの場合、こうした鉱山は僻地に位置しているため、特に地域社会への影響が大きいと言える。鉱山が開発されれば経済効果としてプラスもあるが、やはり閉山の時にはマイナスの影響

    が前面に出てしまう。さらに鉱山ごとに事情は異なるが、一般的には労働環境が厳しい場合が多いという側面がある。

    そして、探鉱の段階だけで 10 ~ 20 年を要し、そしてその後やっと鉱山開発が始まるということで、準備期間が長く、この点はリスクが高いこととも関連する。また、鉱山については、色々な技術要素を含んでいるため、総合的な技術力を持っていなければならない。最後に、やはり資本集約的であるため、大資本が優位であるという特徴がある。

    1-2-3. ハード面における個別技術課題 [資料 4、スライド 5]

    [資料 4、スライド 5]に鉱山開発に係る個別の技術課題として、ハード面からそれをリストアップした。まず何といっても鉱石及び岩石を掘らなければならず、鉱石あるいは岩盤を破砕するための爆薬を詰める孔を掘ることである(“drilling(穿孔)”)。そして、発破した鉱石あるいはズリを別の鉱山機械に積込み、外に搬出する積込・運搬という作業が必要になる。坑内採鉱の場合は、安全な作業を行うために発破でダメージを受けて落下の危険性のある岩石(浮石と呼ぶ)を除去したり、あるいは支保工を行い、あるいは採掘空洞を充填したりする場合もある。そして支保工とも関連するが、岩盤の動きをうまくコントロールして、採掘期間はできる限り安全に、しかもなるべく少ない支保工でそれを経済的に行わなければならない。また、保安と呼んでいるが、坑内・坑外を問わず、作業の安全性、作業を行っている人員の安全と衛生を確保する技術も必要である。特に坑内掘においては、地下で作業を行うために新鮮な空気を循環する通気

    (ventilation)、坑内湧水の汲み出し、照明あるいは給電も必要となる。鉱山において特徴的な技術として、鉱石中から目的とする鉱物を選び出し(選鉱)、その廃棄物として発生した廃滓(尾鉱:tailings)の処理がある。特に露天掘の場合、鉱石以外にその上部の被りや周辺の岩盤(ズリ)も一緒に掘り、処理しなければならない。

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    【資源開発基礎講座 

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    鉱山開発概論

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    2010.1 金属資源レポート

    1-2-4. ソフト面における個別技術課題 [資料 5、スライド 6]

    一方、[資料 5、スライド 6]は資源開発事業におけるソフトウェア技術を列挙したものである。まず鉱量計算を行い、ターゲットとする鉱床の経済性を的確に評価しなければならない。それから、実際に採掘を行うに当たり、その最適な手法を選定しなければならない。そして、ただ単に掘るだけではなく、収益の最適化が可能になるような開発計画の策定、あるいは日程計画の策定が必要になる。機械化は当然のこととしても、その機械を使った時の自動化や無人化の技術も必要になるのである。[資料 5、スライド 6]写真上は、カナダのオイル

    サンド鉱山において稼動している大型鉱山機械である。CAT797 は積載量が 300t を超える世界最大級のダンプカーであり、RH400 という油圧ショベルは自重が 700t を超える、やはり世界最大級の積込機である。ただ単に機械化を図るのではなく、こうした大型機械を適切かつ効率的に稼働させなければならない。[資料 5、スライド 6]写真下は、カナダの Inco(現

    Vale Inco)という鉱山会社が経営を行う Sudbury(サドベリー)ニッケル鉱山(坑内採鉱)における遠隔操作の例である。地表の事務所から、いくつかの鉱山の坑内で使っている LHD やプロダクション・ドリル、長孔穿孔機を集中的に管理できる仕組みが採用されており、こうした最先端技術には通信や情報化技術を欠かすことができない。

    また、環境保全は鉱山開発を行う上で非常に重要な技術と言え、非常に高い技術力とそれを保証する資金力が必要になるのである。

    1-3. 採鉱法の分類(1) [資料 6、スライド 7][資料 6、スライド 7]は、米国の Howard L. Hartman

    による“Introductory Mining Engineering”の中に掲載されている採鉱法の分類である。採鉱法は、露天採鉱法と坑内採鉱法に大きく 2 分される。1-3-1. 露天採鉱法

    露天採鉱法は、“Mechanical Extraction(機械力や爆薬の力を使って鉱石を掘り出すもの)”と“Aque-ous Extraction(水の力を使って採掘するもの)”の 2つに分類される。“Mechanical Extraction”には、まず“Open pit mining”

    がある。これは文字どおり、地表から地下深部に向かって窪地をつくる。それが外に向かって採掘跡の空間が開いているということで、“Open pit mining”と呼ばれている。なお、手法としては、ほとんど同じ採掘法であるがピットを形成しない場合があり、これは

    “Open cut mining”と呼ばれる。同法は、日本の露天採鉱の石灰石鉱山のように、山の一部を頂上から採掘していく方法である。

    そして、対象が石炭の場合には、“Open cast mining”と呼ばれる石炭独特の露天採鉱法がとられる。これは

    石炭鉱床の性状に合わせた、非常に大規模な水平に近い平面的な広がりを持つという特徴をいかした方法である。“cast”とは『物を投げる』という意味であり、ロングブームの非常にアームの長い積込・掘削機を使って剥土を行うところにこの採鉱法の特徴がある。“Auger mining”あるいは“Highwall mining”と呼

    ばれるものも石炭の露天採鉱法である。実際には坑内採鉱のような形で掘り、丁度、露天採鉱から坑内採鉱への移行の中間に位置する採鉱法である。“Quarrying of dimension stone”は石材の採掘法で

    あり、ビルの外壁や門柱に使われる石材は四角い柱状に切り出す必要があるため、発破で掘る訳にいかず、通常の露天採鉱法とは違った方法をとるのである。

    水の力を使った採掘法としては、砂鉱床において使われる採鉱法である“Placer mining”、また“Bore-hole”を掘って、水力を使ったり、あるいは酸性溶液を注入して鉱石中の目的鉱物を溶かし出す“Solution mining”等がある。

    1-3-2. 坑内採鉱法坑内採鉱法は、採掘作業を地下で行う方法である

    が、これは支保形態によって大きく分類される。まず無支保採鉱法、すなわち人工的な支保をあまり使わず

    (絶対に使わないということではない)、岩盤あるいは鉱柱が持っている支持力で天盤を支える方法である。これには“Room & Pillar(または Stull & Pillar)”、

    “Sublevel Stoping”、“Shrinkage Stoping” 等 が あ る(“Shrinkage Stoping”は機械化以前の時代のものであるため、本稿においては触れない)。

    次に支保採鉱法は、採掘空間が自立できない岩盤の場合、何らかの支保を施す方法であり、“Stull Stop-ing”、“Square-set Stoping”(これら 2 法については、やはり前時代の採掘法であるため本稿においては割愛する)、“Cut & Fill Stoping(充填採掘法)”がある。

    坑 内 採 鉱 法 の 3 番 目 の グ ル ー プ は ケ ー ビ ン グ(Caving)法である。上記の無支保採鉱法や支保採鉱法は採掘を行っている空間を何らかの形で維持する方法であると言える。すなわち無支保採鉱法においては岩盤が持っている能力を最大限活用し、支保採鉱法においては空洞を充填して、岩盤だけでは足りない部分を人工的に補う方法であるが、Caving 法は意図的に天盤、すなわち採掘場の上の鉱石、あるいはその上の母岩を崩落させて採掘するものである。このうち、

    “Longwall Mining”は主に石炭で使われている方法であるため本稿においては割愛し、“Sublevel Caving”、

    “Block Caving”について後述することとする。

    1-4. 採鉱法の分類(2) [資料 7、スライド 8][資料 7、スライド 8]は、対象とする鉱物によっ

    て、採鉱法を別の観点から分類したものである。

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    鉱山開発概論

    1-4-1. Hard Rock Mining最初に、“Hard Rock Mining”は硬い岩盤の採鉱法

    ということであるが、英語圏においては一般に『金属採鉱』を指す。従って、対象は金属あるいは非鉄金属と呼ばれるもの、また工業用原料鉱物の中でも硬い方に属するようなものである。この対象の中に“Crushed Stone”、いわゆる『砕石』と呼ばれるものがあり、これは骨材としても利用されるが、発破によって対象の岩石を砕く。鉱石ではないが、量としては非常に多く、日本国内においてはおよそ 3 億 t が採掘されている。また、“Dimension Stone”は発破を使わない石材の採掘法であるが、“Crushed Stone”とはやり方が異なる。要するに“Hard Rock Mining”とは、穿孔・発破により岩石を壊していく、あるいは鉱石を壊していく方法であり、最後の“Drilling”は岩石あるいは鉱石の中に爆薬を詰めるための発破孔を開けることであり、そこに爆薬を詰めて破砕するのである。これは日本ではさく孔あるいは穿孔と呼ばれる。

    1-4-2. Soft Rock Mining一方、“Hard Rock Mining”があれば、“Soft Rock

    Mining”というものもある。これは英語圏においては主に石炭の採鉱法を指している。従って、“Hard Coal”、“Soft Coal”の両方に通じるが、“Hard Coal”は瀝青炭のような品質の良い石炭、褐炭のように品質がやや落ちる“Soft Coal”の両者について、前述の分類に出てきた“Open Cast Mining”、あるいは“Auger Mining”、“Highwall Mining”、“Longwall Mining”等の採鉱法が適用される。そして、もう 1 つの大きな対象が(日本ではあまり見られないが)岩塩やカリ岩塩と呼ばれるものである。これらの採鉱法においてはカッター等の切削具が用いられ、それらで掘り削るのである。機械としては“Continuous Miner”、石炭の場合には採炭ドラム(Coal Shearer)がある。この他

    “Roadheader”、“Tunnel Boring Machine”、あるいは“Raise Borer”等の機械を使い、刃物により対象となる岩石や鉱石を削る。そのように柔らかい鉱物に対する採鉱法の総称が、この“Soft Rock Mining”である。

    1-4-3. Placer Mining日本では『砂鉱床採掘法』、あるいは『漂砂鉱床採

    掘法』と呼ばれるものであり、人類が古くから砂金や砂鉄、また、ダイヤモンド、錫、チタン、プラチナ等を採掘してきた方法である。砂礫層の中に存在している有価鉱物に圧力水を当てる、あるいは軽く掘って砕き、比重差を利用して(比重の小さい岩石)砂と目的とする鉱物を、その場で分離する方法である。

    1-4-4. Solution Mining対象とする元素を水溶液中に溶脱させ“Leaching

    (浸出)”、金属が溶け込んだ溶液を汲み上げて回収する“Borehole Mining(ボアホール・マイニング)”、す

    なわち井戸を掘って、溶液を注入し、鉱石を溶液中に溶かして、汲み上げて有用金属を回収する方法である。特に低品位ウラン鉱床であるロール・フロント型の鉱床において、このタイプの採鉱法が使われている。

    1-5. 露天採鉱法 [資料 8、スライド 9][資料 8、スライド 9]は露天採鉱法を表したもの

    である。露天採鉱法の中でも、いわゆる“Open pit mining”と呼ばれるものに相当し、穿孔・発破を行い、鉱石及びピットが崩れてこないよう周辺の上盤あるいは下盤の一部も採掘の対象とする。鉱石は運搬機により選鉱場まで運び、鉱石とズリに分け、鉱石については選鉱場で処理する。

    1-6. 坑内採鉱法 [資料 9、スライド 10]いろいろな採鉱法があるため、1 枚の図で表現する

    ことはできないが、[資料 9、スライド 10]はこの坑内採鉱法における坑内のシステムを解説する図である。やはり“Drilling”を行い、爆薬を使って鉱石を破壊し、それを積込機で運び、下部レベルに集約していく。そして坑内の破砕室において一次破砕を行い、それを立坑等から巻上げるのである。切羽への通路としては、垂直な立坑以外に斜坑が使われる場合も多い。鉱石の巻上げも、斜坑を使ったベルトコンベアで行われることがある。

    こうした作業を坑内において行うためには、採掘の主体部分の他、それを支援する様々なシステムが必要となる。まず、坑内に新鮮な空気を送らなければならない。空気は、斜坑や立坑を通じて流れてはいるが、自然通気だけでは不十分であり、通気専用の立坑を設け、その出口に扇風機を設置して中の空気を吸い出すことにより、斜坑や立坑から新鮮な空気が入り、坑内を循環するようにする場合が多い。

    また、採掘部分は問題が無ければそのまま放置しても良いが、採掘実収率をさらに上げる場合や、あるいは母岩の岩盤強度が弱いために採掘跡を空洞のまま放置(無支保)することができない場合には充填を行う。充填のための専用坑井を設け、選鉱場において発生した廃滓を坑内の埋め戻しに使う場合もある。この他、坑内の湧水を貯めて坑外に汲み出すシステムも必要となる。

    1-7. 採鉱法の選定1-7-1. 採鉱法選択の際のファクター [資料 10、スラ

    イド 11]まず、自然的要因である。すなわち鉱床の形や大き

    さ(規模)、傾き、深さ、鉱石の品位とその分布状況、鉱石と母岩の力学的性質及び物理化学的性質等であり、自然条件として与えられていて、人為的に、あるいは技術的に改変や調節を行うことが不可能なものが、これに相当する。

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    【資源開発基礎講座 

    第3回(平成18年12月18日開催)講演】 

    鉱山開発概論

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    2010.1 金属資源レポート

    次に経済的要因である。まず人為的に改変することが不可能なものが、鉱石が持っている経済的な価値である。鉱石が金の鉱石であるか、銅の鉱石であるか、また金の鉱石であったとしても、その中にどれだけの金が含まれているか(品位)等が、自然条件として、ここに挙げたものと同様に非常に大きな重みを持っている。その他の経済的な要因としては、生産性やコスト、起業費・開坑コスト、目標とする出鉱量、労働力あるいは主要資材の入手の難易度とその質等が含まれる。

    さらに環境的要因としては、特に露天採鉱の場合においては、景観への影響、リクラメーション(覆土、植栽)、また坑外に設けるズリ捨場等が、坑内掘と共通して廃滓堆積場の確保の難易度が、そして坑内採鉱単独のものとして、坑内気象、切羽通気等の作業環境、地表沈下の可能性等がある。

    これらの他、政府による規制や地域社会の理解といったものも採鉱法選定の際のファクターとなるであろう。

    従って、こうしたファクターを考慮して採鉱法を選定するであるが、まず人為的な改変が不可能な自然的要因、すなわち鉱床の深さ、傾斜、規模、形、鉱石及び岩盤の強度、そして鉱石の持つ経済価値については選択や調整の余地がないため、これに最も合致した採掘法をまず選ぶが、その際、経済性、安全性、実収率の三者のバランス(互いに相反するようなものであるが)を保てるような採鉱法を選択することになる。

    1-7-2. 採鉱法選択のプロセス [資料 11、スライド 12]選択のプロセスとしては、まず自然条件を考慮し、

    適用し得る採鉱法を選び出す。そして、これらにできれば順位を付け、次に経済的要因、環境的要因及びその他の要因を考慮して、ふさわしくない候補を消去し、順位の見直しを行う。そして、最も適していると判定された採鉱法とそのライバルについて、大まかな採掘プランを作成し、コスト計算を行う。そして、採掘コストと必要な投資額が決まれば、カット・オフ品位が決まり、採掘可能な鉱量が決まるため、これらで最適と判定された採鉱法とその代替候補となる採鉱法について経済性を比較した上で最適な採鉱法を選ぶ。

    さらに詳細な検討としては、スパンの長さ、必要な支保量、切羽の配置、“Cavability”〔特に Caving 法の場合、この“Cavability”が問題になる(後述)〕、露天採鉱の場合のピット傾斜角を見積もり、岩盤制御や操業上の問題点が発見されたら、選ばれた採鉱法の修正を検討していくのである。

    1-7-3. 露天採鉱 vs 坑内採鉱採鉱法の選定における最初の選択は、露天採鉱か、

    坑内採鉱かである。あるいはどちらが適用できるかである。そのため、この露天採鉱と坑内採鉱について、その生産性、コスト、災害や事故、エネルギー消費、

    環境に対する負荷、採掘実収率、作業環境・心理的要因を比較する[資料 12、スライド 13]。このうち、採掘実収率に関しては、露天採鉱の場合、収益を無視すれば理論的には 100%その鉱石を回収することが可能であるが、その際、『剥土比(1-10. 節参照)』を考慮し、その経済性を比較しなければならない。作業環境や心理的要因についても露天採鉱のほうが優れているというのが常識的である。唯一、露天採鉱にとって問題なのは、騒音や粉塵等周辺環境に対する負荷であろう。[資料 13、スライド 14]は、世界中の金属鉱山、

    あるいは非金属鉱山の一部(ただし石炭を除く)について、年間の鉱石の採掘量によりランク分けし、それぞれにおいて露天採鉱鉱山と坑内採鉱鉱山の占める比率を比較したものであり、両方を行っている鉱山は白抜き(Hybrid)で示している。これを見ると、特に規模の大きい鉱山については露天採鉱の占める比率が高い。数だけで比較しているため、これを鉱石の採掘量で占める比率とした場合は圧倒的に多くなるわけである。それに対して坑内採鉱の方は、中小規模の鉱山に多いことが分かるであろう。

    本来は金属鉱山について両者の生産性の比較を行うのが望ましいが、困難である(鉱種が多様で採掘条件が様々である)。そのため、ここでは米国の炭鉱におけ る 生 産 性 を 比 較 す る こ と に し、 米 国 労 働 省 の

    “Mine Safety And Health Administration”のデータベースから資料を引用する[資料 14、スライド 15]。これを見ると、1930 年から現在までの間、濃い灰色で示されているのが坑内採鉱で掘られた石炭の量、淡い灰色が露天採鉱で掘られた石炭の量であり、かつては坑内採鉱の占める比率が高かったが、1980 年以降、米国では坑内採鉱の炭鉱が頭打ちになっているのに対して、露天採鉱の炭鉱からの出炭量が大きな比率を占めていくようになるのが分かる。また折れ線グラフは、黒菱形(◆)が坑内採鉱の生産性、白四角(□)が露天採鉱の生産性を表しており、生産性で比較すると、最近は露天採鉱が坑内採鉱の 2 ~ 3 倍近く高いことが分かる。

    一般的な生産性とコストを見てみると、露天掘鉱山においては大型の鉱山機械導入に対する制約が少なく、要するにいくらでも大きな機械を使うことができる。それに対して坑内掘鉱山においては坑道や切羽の中を機械類が移動するため、空間の寸法による制約が大きい。その結果、一般に坑内採鉱に比べ、露天採鉱の方が大型機械を使えるために生産性が高いと言える。坑内採鉱においても各種の技術革新が実現されてはいるが、露天採鉱鉱山において使用されるダンプトラックや油圧ショベル等の重機は鉱山以外の大型の土木工事においても使用される汎用品である場合が多く、露天採鉱において使われるような大型土木機械のマーケットは大きく、従って重量当たりの値段も安い。一方、坑内採鉱においては、機械類はオーダー

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    【資源開発基礎講座 

    第3回(平成18年12月18日開催)講演】 

    鉱山開発概論

    メードの色彩が強く、機械化のコストが大きい。その意味では、生産性やコストにおいては露天採鉱が優位にあると言えるのである[資料 15、スライド 16]。

    次に、労働災害の面における比較である。[資料16、スライド 17]は、米国の炭鉱における災害発生率の比較であり、1 年間の死傷者数を、延 100 万労働時間当たりの比率で表しているのが左のスケールである。坑内採鉱の場合を濃い灰色で、露天採鉱の場合を淡い灰色で示しており、労働災害の発生率においても、やはり坑内採鉱の方が不利になっているのが現状である。

    環境に対する影響の面においての比較はどうであろうか。露天掘鉱山においては、多くの作業が天候に左右されやすい。これに対して坑内掘鉱山においては、通気によって坑内気象をコントロールし、発破の後ガス、排気ガス、粉塵、湿度の制御を行う。坑内作業の環境制御の重要性は高く、将来においてはますます改善の努力が求められる。その 1 つが無人化や自動化である。一方、作業環境の点でも露天採鉱は優れているが、周辺環境に対する影響は大きい。特に表土、廃石の処理が大きな問題となっている。景観保護をはじめとして、周辺住民からのクレームも起きやすく、終掘後の緑化、残壁の保護、跡地利用等の課題も残るのである。例えば、[資料 17、スライド 18]は“Bingham Canyon(ビンガム・キャニオン)”という米国 Utah州 Salt Lake City 郊外にある、20 世紀初頭に採掘が開始された露天掘銅鉱山である。飛行機に搭乗中、この鉱山が見えてきたところを手持ちのカメラで撮影したものである。ピットがあり、その周りに膨大な量のズリ堆積場が連なっているのが見える。

    次に[資料 18、スライド 19]は、金属鉱山において 1t のメタルを回収するために、一体何 t の鉱石、岩石、ズリを採掘しているかを示している。金鉱山について示したのが右側のグラフである。掘さく量が広範囲に渡っているが、歴然としたピークが 2 つ現れており、片方は露天掘鉱山(数 100 万 t 程度)、片方は坑内掘鉱山(数 10 万 t 程度)である。坑内掘鉱山は多くの面で露天掘鉱山に比べ優位性が乏しく、そのためコストも高い。従って、高品位の金鉱石をターゲットにしなければならない。従って、1t の金を掘るに当たって採掘しなければならない岩石の量も 1 桁小さなものになっている。これに対し、露天採鉱の場合にはコストが安いために低品位の鉱石も対象となり得る。そして、露天採鉱の場合には鉱石以外にピット・スロープを安定に保つために周りの母岩も掘らなければならないため、さらに余計に掘らなければならないのである。

    銅鉱山、鉛・亜鉛鉱山について、同様に 1t のメタルを回収するためにどれだけ岩石を掘らなければならないかを示したのが左側の 2 つのグラフである。露天採鉱の金鉱山が ppm オーダーの鉱石を対象とするのに対し、銅鉱山の場合、(これも露天採鉱が多くを占

    めているが)1%あるいはそれを切るような鉱床が対象になる。露天採鉱であっても、やはり鉱石品位の違いがあるため、1t の銅を掘るためには数百 t の岩石を採掘することになる。鉛・亜鉛になると、そもそも坑内採鉱鉱山が増えてくることと、多くの鉛・亜鉛鉱山の鉱石の品位が 10 ~ 20%を超えるものも珍しくないため、そうした意味でピークがさらに左側にずれることになる。

    1-8. 固体エネルギー ・ 鉱物資源の掘さく量[資料 19、スライド 20]は、2003 年における固体

    エネルギー ・ 鉱物資源の掘さく量である。1t の金、あるいは 1t の銅を掘るためにどれだけ岩石を掘らなければならないかの概算の数字である。非鉄金属であればおよそその 100 倍、貴金属であればその 10 万倍である。貴金属の中で金の占める比率が約 1/10 であるから、数字は多少控えめである。結局人類は地球上でどれだけの岩石を毎年掘っているかであるが、およそ 360 億 t という数字になり、その比率は[資料 19、スライド 20]の円グラフのようになる。この 360 億 tを地球の全陸地に満遍なく割り振った場合、平均の岩石の密度を 2.5 とすると、深さは 0.7mm になる。

    1-9. 資源開発事業の原則 [資料 20、スライド 21]資源開発事業に求められるのは安全性、経済性、実

    収率(資源保護)である。それに加えて環境の保全、あるいは跡地利用等を考慮して資源開発事業を考えていかなければならない。

    1-10. 剥土比露天採鉱の場合、[資料 21、スライド 22]のよう

    に鉱床があったとすると、上から順番に掘っていく訳であるが、その際にできるピット(窪地)を安定な傾斜に保つ必要がある。鉱山によっては少々すべるぐらいでなければ経済的な最適性が出ていないのではないかと言われる場合もあるが、いずれにしても安定なピット壁の傾斜を保たなければならない。従って、採掘深度が深くなればなるほど、鉱石 1t 当たり掘らなければならないズリ量が増えていく。従って、確かに鉱石の採掘コストは安いが、ピットが深くなれば、ズリ採掘のコスト負担が大きくなり、ある深さを越えれば経済性が失われるのである。

    そこで、1t の鉱石を掘るために何 t のズリを掘らなければならないか、その比率を表すものがあり、『剥土比(Stripping Ratio、あるいは、Waste/Ore Ratio)』と呼ばれている。[資料 22、スライド 23]のように鉱床が存在しており、ある時、図のようなところまで採掘し、ピットを掘った場合、剥土比は鉱石量〔Vo〕及びズリ量〔Vw〕により〔Vw/Vo〕と表される。実は剥土比の定義にはいくつかあり、これは平均剥土比と呼ばれている。一方、経済的な見地からは、1 ベンチ分を掘った時、1 ベンチ分の鉱石を回収するために、

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    どれだけズリを掘らなければいけないかを表す増分剥土比〔ΔVw / ΔVo〕の方が大きな意味を持っている。

    注意しなければならないのは、剥土比の単位である。通常は重さ〔t/t〕であるが、体積の比率で表したり〔m3/m3〕、あるいは(石炭鉱山の場合に典型的であるが)1t の石炭を掘るために何 m3 の岩石を剥土しなければならないか〔m3/t〕で表したりする場合もある。[資料 23、スライド 24]は海外の大型露天掘銅鉱山

    について、横軸にその鉱山における銅品位、縦軸にその鉱山における剥土比をとったものである。このように正の相関性があり、剥土比が大きいということはズリを採掘するコストが大きくなり、従って品位の高い銅鉱床の場合にしか適用できず、銅品位が低ければ高い剥土比は経済的に成り立たないということである。従って、コストや生産性や災害の面で露天採鉱は有利であるが、経済的な限界があり、鉱床が深くなればなるほど剥土比が大きくなってくるため、坑内採鉱を選択せざるを得ないということになる。従って、露天採鉱か坑内採鉱かについては、この剥土比を基に経済的であるかどうかの判断を行う必要があるのである。

    1-11. Room & Pillar1-11-1. 特 徴

    坑内採鉱の例として、“Room & Pillar”と呼ばれる、人類が最も古くから使っていた坑内採鉱法を最初に取上げる。“Room”とは、採掘している、あるいは採掘してで

    きた空間を意味し、それに対して“Pillar”は鉱柱とも呼ばれ、天盤を支えるために、鉱石の一部を掘り残した部分を指す。すなわち“Room”と“Pillar”によって構成されることから、“Room & Pillar”と呼ばれている。[資料 24、スライド 25]のように、『地並払』と呼ばれる作業であるが、ドリル・ジャンボ等のさく岩機を使い、水平に鉱石を掘っていく。破砕された鉱石は LHD 等を使って切羽の外に運び出すのである。一般に石炭鉱山においては、[資料 24、スライド25]のように規則正しくルームとピラーが配置されているが、金属鉱山や非金属鉱山においては品位の悪い部分をピラーとして掘り残すため、必ずしも、こうしたきれいな配置にはならない。

    Room & Pillar の特長を[資料 25、スライド 26]に示した。Room & Pillar においてはピラーで天盤を支持するため、水平あるいは緩やかな傾斜を持った層状あるいは板状の鉱床に適用される。金属鉱床のみならず石炭を始めとする堆積起源の非金属鉱床の採掘にも幅広く用いられている。人類が最も古くから使っている方法であり、また最もよく使われている坑内採鉱法であると言える。従って、いろいろな呼称があり、

    “Stope & Pillar”、“Board & Pillar”、“Stall & Pillar”、“Panel & Pillar”、“Brest Stoping”、また日本語では『残柱式』、『柱房式』、『地並払』等があり、すなわち

    それほど多種多様なバリエーションがあるということで あ る。 従 っ て、 本 稿 に お い て 触 れ る 採 鉱 法 は、

    “Room & Pillar”に限らず、最も基本的なものだけを取上げて特徴を挙げることとする。実際には鉱床によってそれぞれ条件は千差万別であり、色々なバリエーションが可能であると同時に、逆に様々なバリエーションで対応しなければならない。それがマイニング・エンジニアの責任である。 なお、ルームとピラーの寸法は、天盤の安定性、鉱石の特性、鉱体の厚さ、地圧の大きさ等によって決まる。また、まったく支保を用いないわけではなく、一部、天盤の条件が悪い部分には『ロックボルト』あるいは『鋼枠』等で補強する場合があり、“Room & Pillar”を適用する場合は鉱石と天盤が比較的、『健全

    (Competent)』で割目を含まない岩石であることが望ましい。なお、採掘実収率については当然、ピラーを残す分だけ落ちる。そのため、採掘実収率を大きくしたい場合には、ピラー回収が行われる他、充填が行われる場合もある。

    1-11-2. Pillar にかかる荷重[資料 26、スライド 27]は、“Room & Pillar”にお

    いて、ピラー(pillar)にかかる荷重を計算する式である。極めて単純な計算であり、被り圧をピラーの面積でどれだけ受取るかということである。鉱柱に作用する平均の垂直応力〔σm〕、そして垂直地圧が〔Pv〕で表されるが、こうした二次元のものではピラーの幅

    〔t〕と空洞のスパン〔a〕で決まることになる。一方、[資料 27、スライド 28]は三次元的な平面

    図で見たものであり、1 つのピラーが受け持つ範囲をルームの中心線を結び、黄色い部分の垂直地圧と灰色部分の面積を掛けたものが、ピラーが受け持つ荷重であるという考え方を示している。従って、それをピラーの面積で割れば、ピラーにかかる平均応力は図にあるような式で算出できるということであり、これは

    “Tributary Theory”と呼ばれている。当然のことながら、採掘率〔rex〕が大きくなると、ピラーに架かる荷重は増えていく。

    1-11-3. ピラーの強度次に、ピラーの強度について述べる。[資料 28、ス

    ライド 29]の式は南アの炭鉱においてかつて使われていたものであり、ピラーの幅〔t〕、ピラーの高さ

    〔h〕について、要するに〔t〕に対して〔h〕が大きい、すなわちスマートなピラーほど強度が弱くなり、ピラーの高さに対してピラーの幅が大きい、すなわち寸胴のピラーほどその強度は強いという経験的な知識を考慮して、ピラーの強度を表現している。そして、かつてこの式を用いて南アの炭鉱において安全率を調査した結果が[資料 28、スライド 29]の図である。安全率は、分子にピラーの強度、分母にピラーの荷重をとる。従って、安全率が 1 であれば、それはぎりぎ

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    り安全なピラーと言うことができるが、安全率が 1.3程度であっても、実際には崩壊した炭柱が存在する。1.5 以上をとれば安定なピラーとなることが多い。そのようなことをグラフは示している。このようにピラーの強度を見積もる、あるいはピラーにかかる荷重を見積もる際には、前述の“Tributary Theory”、あるいはピラーの強度式だけでは不十分な場合が多くあり、従って、安全率に余裕を持たせてピラー設計、ルーム設計を行う必要がある。

    1-11-4. Room & Pillar の実際[資料 29、スライド 30]左図は鉱床が厚い場合に

    おける“Room & Pillar”の採掘法であり、部分的に掘ったり、あるいは 2 段に分けて発破を行ったりということが行われる。また[資料 29、スライド 30]右図はスウェーデンの Laisvall(ライスバール)鉛鉱山において行われていた“Room & Pillar”である。そもそも鉱床が厚いため、まずベンチで採掘し、これが一次採掘となり(図 1 段目)、一次採掘で掘り残したバンド状のピラーの中をくり抜く二次採掘(図 2 段目)、そして、その後、充填を行い(図 3 段目)、そしてさらに天盤に残ったピラーを回収する(図 4 段目)ということが行われている。これは充填を取入れることによりピラーを回収して、採掘実収率を上げる例であり、このように“Room & Pillar”と呼ばれていても充填を併用する例は多くある。

    1-11-5. 長所と短所“Room & Pillar”の長所と短所を[資料 30、スライ

    ド 31]にまとめると、次のようになる。まず、長所として、生産性が比較的高く、採掘コストは比較的安い。特に、採掘実収率が問題とならない比較的低品位の鉱床または埋蔵鉱量の多い大規模鉱床に適している。また、非石炭鉱山においては生産に先立つ開坑作業や採掘準備作業が少ない。そして切羽の数の増減が容易である。さらに選択採掘が可能であり、低品位部分をピラーとして残したり、鉱床の厚さの変化に応じて採掘の高さを変化させたりすることもできる。また、切羽において鉱石とズリの選別を行うことができる。採鉱システムの機械化が実現し易く、また切羽間 ・ 切羽内の移動が容易であるために採鉱機械の効率的な運用が可能である点も、長所として挙げることができる。

    一方、短所を挙げると、比較的長期にわたり採掘空洞の天盤を維持しなければならないことが挙げられる。このため、天盤に節理や割目が発達している場合にはメリットが失われる。また鉱床が厚い場合には採掘空洞の天盤が高くなるため、天盤の状態を監視し、浮石除去等により天盤を良好な状態に保ち、落盤 ・ 落石を予防する必要がある。そして深度の増加と共にピラーに加わる地圧が増加するため、採掘深度が深い場合には採掘実収率が低くなるのである。

    1-12. Sublevel Stoping前節の“Room & Pillar”は、どちらかというと水

    平あるいは緩い傾斜の鉱床に適していたのに対し、本節において述べる“Sublevel Stoping”は、鉱床の傾斜が急である場合や、大きな塊状鉱床の場合に使われる採鉱法である。1-12-1. 概 要“Sublevel”とは、主要坑道の間に適当な間隔で設

    けられる中段坑道を意味している。そのサブレベルから[資料 31、スライド 32]にあるように鉱石を発破するための穿孔を行い、鉱石を発破して下のレベルへ重力で落とし、ドローポイントから抜き出すという採鉱法である。これをステップごとに分けて表したのが

    [資料 32、スライド 33]である。まず開坑の準備作業を行い、アンダーカットの部分でドローポイントの整形を行う(左上)。そして、発破を行うため、自由面のスロットの開さくを行う(左中)。そして順次、このスロットから後退式でドリリングを行い、発破を行っていく(左下~右上)。一部、岩盤が悪い場合には、ピラーを残す場合もある。[資料 33、スライド 34]は、比較的幅の狭い鉱床に

    おける例であり、ピラーの一部は[資料 33、スライド 34]写真右に見るような形で掘り残され、[資料33、スライド 34]写真左下にあるように発破により破壊した鉱石を下のドローポイントで積出す。[資料33、スライド 34]写真左下は積出しに使われている電動 LHD である。“Sublevel Stoping”の特徴を整理すると、急傾斜の

    鉱体または大規模な塊状鉱床の採掘に適しており、中段坑道(サブレベル)からの長孔発破により鉱石を破砕するところに最大の特徴がある。起砕された鉱石を重力により鉱画の最下底レベルに落とし、運搬坑道へ抜き出す。そのため、重力が利用できる鉱体の傾斜が必要である。呼称としては“Blast Hole Stoping”、“Long Hole Stoping”、“Open Stoping”等がある。

    なお、この“Sublevel Stoping”の一種のバリエーションと考えることができるものに“VCR(Vertical Crater Retreat)”と呼ばれるものがある。[資料 34、スライド 35]はカナダ ・ Inco(現 Vale Inco)が操業する Sudbury 鉱業地帯の Stobie(ストービー)ニッケル・銅・PGM 鉱山における VCR を示したものである。すなわち上のレベルから平行さく孔を行い、発破孔の下の方から順次、発破を行いながら上部に掘り上がっていく方法である。VCR は、“Sublevel Stoping”と非常に類似しているが、長孔穿孔を行うのが共通の特徴である。それから水平なスライス単位で鉱石を発破し、下から上に向かって採掘を進めるのである。

    “Sublevel Stoping”と異なり、垂直スロットの開さくは不要であり、また鉱画の最下部にはアンダーカットの開削を行う。この VCR においては、破砕鉱石の全部を抜き出すのではなく、(発破による起砕鉱石のみかけの)体積増加分だけを抽出するため、残った鉱石

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    は上下盤を一時的に支え、そして鉱画の発破が全て完了後に抜鉱することになる。

    1-12-2. 長孔さく孔の精度 [資料 35、スライド 36]“Sublevel Stoping”においては長孔さく孔を用いる

    ため、孔曲り、すなわち穿孔の精度が問題になる。また、母岩と鉱床の境界が不規則であると、[資料 35、スライド 36]のように孔曲がりにより大塊が発生したり、あるいは上盤の一部を発破してズリ混入を起こしたり、あるいは逆に図にあるように下盤の一部を掘り残すこともあるため、穿孔精度やそのための技術、あるいは用いるさく岩機の性能が大きく問われる。

    1-12-3. 長所と短所[資料 36、スライド 37] に、“Sublevel Stoping”の

    長所と短所を整理しておく。まず、繰り返しとなるが長所としては、大規模塊状

    鉱床に適しており、脈状 ・ 層状鉱床の場合にはある程度の厚さがあり、しかも破砕した鉱石の安息角以上の傾斜を持ったものに適している。選択採掘が不可能であるから、鉱体の形状が規則的で品位変動が少ないことが望まれる。また、鉱石と母岩が強固で割目の少ないことが望ましい。大規模で集約採掘が可能であるため、生産性が高く、採鉱コストが比較的安い反面、出鉱までの開坑作業に要する経費と時間が多大である。穿孔 ・ 発破 ・ 積込作業は互いに独立して行うことができるため、高度の機械化 ・ 自動化 ・ 大型化 ・ 省力化が可能である。また、採掘空洞に作業員が立ち入らないため、同じ無支保採鉱法に属する“Room & Pillar”や“Shrinkage Stoping”よりも安全である。これに対して短所としては、まず一次採掘における採掘実収率は一般に低い。また切羽における鉱石選別は不可能であり、品位調整が難しい。また上下盤の崩落によりズリ混入、鉱石の掘り残しを避けられない。そして発破設計や長孔穿孔が適切でない場合には大塊が生じ易く、抽出口の目詰詰りや小割発破の手間が増え、生産効率に悪い影響を及ぼす。発破設計、すなわち穿孔径と穿孔長、最小抵抗線長、爆薬と点火法の選定が重要である。

    1-13. Cut & Fill Stoping(充填採掘法)次は“Cut & Fill Stoping”と呼ばれる方法であり、

    これは日本では『充填採掘法』と呼ばれる。1-13-1. 充 填

    まず、[資料 37、スライド 38]に、充填とは何かについて触れた。充填とは、掘った空間を埋め戻すことであり、英語では“filling”あるいは“back filling”という。充填に使う素材としてはズリ、選鉱廃滓、土砂等があり、強度を補うためセメントを使う場合もある。

    充填の効用としては、上下盤の支保として使うことができ、また切羽の安定化を図ることができる。そし

    て、この充填物を作業足場として利用することもできる。開坑ズリや選鉱廃滓等の地下処分が可能となり、ズリ捨て場あるいは廃滓ダムの減量(容)化を図ることができる。地表沈下の予防または軽減も可能である。その他、坑内火災や自然発火、有毒ガスの湧出防止等にも効果がある。

    充填材の種類と方式については、開坑ズリを LHDやトラックによって搬入する他、坑外に設けた土石採取場から土砂を坑内に搬入する。最も多いのは選鉱廃滓(尾鉱:tailings)を、パイプラインを通して坑内に流体輸送する方式である。

    1-13-2. 概 要[資料 38、スライド 39]は、典型的な“Cut & Fill

    Stoping”の例を示している。図の上部に未採掘の鉱床があり、図の下部に運搬坑道がある。下から順番に掘り進んできており、掘り終わった部分は充填が終わっている。現在のレベルにおいてドリル・ジャンボでさく孔作業を行い、発破で起砕したものを坑井に落として現在のスライスが終われば、さらに上部に移動するのである。[資料 39、スライド 40]は、“Cut & Fill Stoping”

    の手順をコマ割で表現したものである。まず穿孔、発破を行い(左上)、LHD で鉱石の搬出を行う(右上)。搬出が終わると、バリケードを築き、流送パイプラインを設置して充填を行う(左下)。充填完了の後は、その上のレベルの採掘に移るのである(右下)。[資料 40、スライド 41]写真左は選鉱廃滓の湿式

    充填を行っているところである。[資料 40、スライド41]写真右は充填の終わった切羽の状態であり、ある程度時間が経ち、充填物の中の水が抜けると、人が歩ける程度、また重機が通れる程度の硬さのものが出来上がる。

    1-13-3. 長所と短所[資料 41、スライド 42]に、“Cut & Fill Stoping”

    の長所と短所をまとめた。まず長所としては、この採鉱法は中~急傾斜の層状 ・

    板状の鉱体の採掘に適しており、選択採掘が可能であるから、鉱床の形が不規則であったり、鉱床が不連続であったりする場合に特に適している。鉱石はある程度強くて節理や割目を含まないことが望ましい。上下盤は多少軟弱でも適用可能である。また開坑コストと開坑作業の負担は比較的軽い。選択採掘が可能であり、採掘実収率も高いが、無支保採鉱法に比べると、機械化を導入しても生産性は劣り、採掘コストは高くなるので、比較的高品位の鉱床の採掘に適している。

    一方、短所については、充填により採掘サイクルが中断し、充填作業が完了するまで切羽からの出鉱がストップする。また選択採鉱を効果的に行うためには鉱床品位分布の把握と細かなサンプリングが必要であり、熟練した作業員と優れた現場管理者を欠かすこと

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  • 2010.1 金属資源レポート 81

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    ができない。さらに切羽内の通気は比較的難しく、コストが掛かる。そして、全体として安全な採鉱法であるが、発破によって生じた新しい天盤を頭上にして作業を行うことになるため、保安面における監視を怠ることができないのである。“Cut & Fill Stoping”においては選択採掘が行える

    点が前節の“Sublevel Stoping”と異なる点である。それをイラストで示したのが[資料 42、スライド 43]である。充填採掘法はコストが掛かるが、そのコストに耐え得るだけの品位と経済的価値を鉱石が有していれば、採掘実収率の高い“Cut & Fill Stoping”を選ぶことも十分あり得ることを示している。

    1-13-4. Underhand Cut & Fill Stoping“Cut & Fill Stoping”は、上向きに採掘を進める

    が、逆に下向きの“Cut & Fill Stoping”も存在する。[資料 43、スライド 44]は日本の黒鉱鉱山でかつて行われていた採掘法であり、充填物の下でスライス採掘を行う方法である。充填を行う点は同じであるが、上部スライスの充填物を支えるために下部スライスの支保工と共に、充填物の床部分はセメント・坑木・鉄棒、金網等で補強し、下部スライス採掘時には人工天盤として機能するようにする。[資料 44、スライド 45]は、黒鉱鉱山の“Under-

    hand Cut & Fill Stoping”の特徴を三次元的に表したものである。上下盤だけではなく鉱石も軟弱な鉱床に適用することができ、採掘実収率が高く、ズリ混入は少ないが、採鉱能率は低く、高コストであったことが特徴であった。[資料 45、スライド 46]はこのバリエーションとも

    呼べるものであり、米国アイダホ州の Lucky Fridayと い う、 ほ ぼ 垂 直 な 鉱 床 を 持 っ た 鉱 山 に お い て

    “Underhand Cut & Fill Stoping”が行われていた例である。充填に“Paste Fill”を使う点が特徴であり、かなり強度の高い充填物を使い、しかも、“Fill”が落下しないようロックボルトで押さえ、その下部を掘っていくのである。[資料 46、スライド 47]写真左は、採掘が完了し

    た上部レベルにおいてロックボルトがセットされ、金網が敷かれているところである。ここに充填を行い、下部レベルに移っていった。[資料 46、スライド 47]写真右が、その充填の下面が天盤として現れているところであり、ロックボルトが見える。

    1-13-5. Bench Stoping[資料 47、スライド 48]は、“Bench Stoping”と呼

    ばれる、“Cut & Fill Stoping”をさらに大型化したものである。1 スライス毎を掘っていくのではなく、

    “Sublevel Stoping”よりは上下のレベル間の間隔は狭くなるが、ある程度まとめて長孔さく孔を行い、鉱石を起砕し、これを運び出した後、反対側(図では右側)から充填物を投入する採鉱法である。豪州の Mt

    Isa(マウント・アイザ)鉛・亜鉛鉱山で開発された採鉱法であるが、日本の菱刈鉱山が採用している。

    下位の抽出レベルにローダーが入っていくが、空洞の中に入っていくので危険であるため、リモートコントロールの LHD が使われている。[資料 48、スライド 49]は、豪州の Mt Isa 鉛・亜鉛鉱山における光景であり、[資料 48、スライド 49]写真左上が掘り終えた鉱床部分(Drilling Drive)である。ここで掘り終わったものが下の Extraction Drive に落ち、それをリモートコントロールの LHD で搬出している。[資料48、スライド 49]写真右上下はその LHD 操作キャビンの外観と中の様子である。また[資料 48、スライド 49]左下は大塊が出現したため、リモートコントロールの LHD では対処できず、作業員が立ち入って小割発破を行うところである。

    1-13-6. 坑内充填法の比較 [資料 49、スライド 50][資料 49、スライド 50]は坑内充填法の比較であ

    る。坑内充填に使う材料としては、選鉱廃滓を使う『スラリー充填』が最もよく使われているが、最近では『ペースト充填』と呼ばれる充填法を使う鉱山も出てきている。[資料 50、スライド 51]に、ペースト充填の概要を示した。

    ペースト充填の特徴は、廃滓全量を使用することである。そのため“Total Tailings Fill”とも呼ばれ、これ に 対 し て 従 来 の 廃 滓 充 填 は“Classified Tailings Fill”、“Slurry Fill”と呼ばれる。従来、充填後の脱水の阻害となる廃滓中の微粒分は取除かれていたが、それでも脱水に時間を要し、充填物が強度を発揮するまで 時 間 を 必 要 と し た が、 最 近 に お い て は 特 殊 な

    “Thickener”、“Filter Press”等により 20%前後まで脱水し、坑内に流送するので、“Paste Fill”中の水分は少ない。そのため充填物の流出防止のためのバリケードは軽備なものでよく、水分が少ないので早く固化し、強度も大きい(バインダーやセメントの添加量が節約できる)。充填が早く完了するため、その結果、周辺部の採掘にも早く着手することができる。

    また廃滓の全量を坑内に還元できるため、廃滓ダムの減量・減容効果が大きい。特に新規開発鉱山においては、廃滓ダムの減量化により廃滓ダムの用地確保が容易になること、また廃滓ダムの建設投資が節約できること等、付加的な効果も大きいのである。

    充填は充填 ・ 採掘を繰り返し行う充填採掘法だけでな く、“Room & Pillar”、“Sublevel Stoping” に も 使われており(Mining with Backfill)、切羽の大型化、採掘実収率向上、ズリ混入抑制等の効果が期待できる。

    1-14. Sublevel Caving1-14-1. 概 要[資料 51、スライド 52]は、“Sublevel Caving”と

    呼ばれる採鉱法である。スウェーデンの Kiruna(キ

    (861)

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    ルナ)鉱山及び、カナダの Sudbury(サドベリー)地区の鉱山において使われている採鉱法であり、鉱石は穿孔・発破で破砕するが、その後の、あるいは鉱石を抜き出した後の空洞を上盤側の岩石の自然の崩落

    (Cave)により採掘空洞を埋めていくという採鉱法である。[資料 52、スライド 53]も“Sublevel Caving”をイラストで表している。“Sublevel Caving”は急傾斜の鉱体もしくは大規模

    鉱床に適しており、クロスカットの掘進、穿孔、装薬、発破、抽出を独立に行うことができ、高度にシステム化されている。上盤の崩落のし易さ(Cavabili-ty)、正確な長孔穿孔と発破設計、鉱石抽出のコントロールと品位管理が要求され、高い技術レベルが必要である。[資料 53、スライド 54]は、“Sublevel Caving”に

    おける採掘の順序を示している。まずクロスカットを掘進し、上盤の境界まで行くとスロットの開さくを行い、装薬の上、発破を行う。下のレベルにおいても同時に同様の工程が進められる。最初は発破で壊した鉱石だけを積出すことになるが、そのうち、ズリが自然に背後から入って来るため、この採鉱法においてはズリ混入を避けることができない。そこで、事前に決めておいたカットオフ・レベルまでズリが出てきたら、その部分における鉱石の抽出を終わり、次の場所に移動(後退)して鉱石の抽出を行う。ズリの混入は避けられないが、非常にシステマティックな採鉱法として行われている。参考までに[資料 54、スライド 55]に Kiruna 鉱山での Sublevel Caving の規模の推移を示す。

    1-14-2. 特徴と短所[資料 55、スライド 56]に、“Sublevel Caving”の

    長所と短所をまとめた。まず、急傾斜の鉱体もしくは垂直方向に伸びた鉱体

    に適する採鉱法であり、鉱体の形が不規則であっても、比較的狭い脈状鉱床であっても適しており、その適用範囲は広い。しかし、地表陥没が許されない場合には、他の Caving 法と同様、不適である。また、上盤・被覆岩盤が“Cave(崩落)”することが必要条件であるが、鉱石自身は最小限の支保で安定であることが要求される。比較的断面の小さいサブレベル坑道内で作業が行われるので、比較的安全であるが、通気条件は悪い。そして高度の機械化・システム化が可能であり、高能率で大規模な採鉱に適している。採掘実収率は比較的高い。ピラーを残さないのでピラー回収の必要がない。

    一方、短所としては、開坑作業量が多く、採鉱コストは比較的高い。しかし、開坑初期から全出鉱量の15 ~ 20%に相当する鉱石がズリ混入なしに採掘できる。また、“Sublevel Caving”の最大の課題は、鉱石の抽出が始まってからのズリ混入であり、これに対処するため、高度な穿孔・発破技術と抽出・品位管理の

    厳密さが要求される。後述の“Block Caving”と比較すると適用範囲は広い。鉱石が“Cave(崩落)”し難い、上盤のズリ混入の恐れがある、鉱床が狭かったり形状が不規則である等の問題がある場合には、“Subl-evel Caving”の方が優れている。

    1-15. Block Caving1-15-1. 概 要[資料 56、スライド 57]はブロックケービング法の

    概要を示している。坑内採鉱法の中で、採掘コストが最も安い採鉱法である。ただし、開坑・採掘準備作業に比較的多額の経費と時間が必要になる。鉱体の下部についてかなり広範囲にわたりアンダーカットを行い、鉱石を自然に崩落させ、崩落した採掘鉱画最下部の鉱石の抽出(抜鉱)を始めると鉱石の崩落が上部に伝わり、やがて鉱石の全てと被覆岩盤までが崩落し、地表まで崩落が続く。[資料 57、スライド 58]は、鉱石を抜き出すドロー

    ポイントを整形していくところを表している。ある程度、アンダーカットが進むと“Caving”が始まり、

    [資料 58、スライド 59]示されるように、鉱石を下から抜き出すに従って Caving が上に伝わっていく。この方法において最もクリティカルなところは、最後に地表陥没に通じるところで、これがうまく起きるかどうかである。[資料 59、スライド 60]上図のようにアーチが残ってしまい、ケービングが停止すると、ある日突然、これが崩落して地表陥没が起きる([資料59、スライド 60]下図)。1999 年 11 月 24 日に、豪州NSW 州の Northparkes(ノースパークス)鉱山において、こうした突然の崩落事故が発生し、4 人が犠牲になっている。また、鉱石の抽出が上手くできるかどうかも大きな問題である。

    1-15-2. Cavability [資料 60、スライド 61]“Block Caving”においては、(また前述の“Sublevel

    Caving”においても)“Cavability”というものが重要である。これは鉱石や岩石がケービング法に適しているか否かを表す用語であり、すなわち、“Cave(崩落)”し易く、しかも適度の粒度に砕ける時、この鉱石や岩石は Cavability が良好であると評する。“Cava-bility”には、割目系・亀裂系の方向・密度とこれらの組合せが強い影響を持っていると考えられており、割目の間隔が密であり過ぎると、アンダーカットを始める前に流動が起きて開坑作業を困難にし、また抽出レベルの維持も難しくなる。“Cavability”の良い鉱石は小割発破をあまり必要とせず、“RQD(Rock Quality Desingnation:ボーリングコアに含まれる長さ 10cm

    (4inch)以上岩石片の占めるパーセンテージ)”が“Cavability”の目安の 1 つとなる。

    [資料 60、スライド 61]は縦軸に岩盤評価の尺度の1 つ で あ る“MRMR(Mining Rock Mass Rateing)”を、また横軸にはアンダーカットの水力(すいりき)

    (862)

  • 2010.1 金属資源レポート 83

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    半径をとり、“Caving”の適用できる範囲(逆に“Ca-ving”が起きない範囲)を実際に調査した例である。

    1-15-3. Hung-up [資料 61、スライド 62]“Block Caving”における重要な問題として“Hung-

    up”がある。すなわち、大塊が抽出口に詰まる事態である[資料 61、スライド 62]。“Hung-up”を起こすと抽出を中断し、大塊の除去作業を行わなければならないが、これには非常に大きな危険を伴う。また、頻繁に“Hung-up”が繰り返されると操業に支障をきたす。この観点からも“Cavability”が問題となるのである。最近は、高性能な大型 LHD が利用できるようになったため、大塊の処理は以前に比べ容易になり、その意味においては、“Block Caving”の適用範囲は広がったと言える。

    1-15-4. ドロー・コントロール [資料 62、スライド 63]“Block Caving”の成否を決める、もう 1 つの重要

    な問題として、ドローポイントの間隔がある。[資料62、スライド 63](b)に示すように、ドローポイントが適正な間隔であれば、上から順次、鉱石が流れ出し、ズリがそれを追い掛けてくる、従って、ズリ混入と残鉱が少ないが、[資料 62、スライド 63](a)のように、ドローポイントの間隔が広過ぎると、抽出が遅れるだけではなく、残鉱量も多くなる。場合によっては、『チャンネリング』によりズリ混入が発生し、チャンネリングが起きたドローポイントからの抽出作業を停止する。また[資料 62、スライド 63](c)のように、ドローポイントの間隔が狭過ぎると、抽出速度は速いけれども、ズリ混入が大きくなることになり、こうした部分の設計も非常に大きなテーマになる。

    1-15-5. Block Caving の長所と短所 [資料 63、スライド 64]

    長所としては、まず低コスト・大規模生産が可能であるため、大規模な低品位鉱床の採掘に適している。しかし、地表陥没が許されない場合には採用することができない。また鉱石は比較的長期にわたり坑内に貯められるので、酸化し易く選鉱成績を悪くする恐れのある鉱石は適していない。そして出鉱開始までの準備

    (運搬レベル・抽出レベルの開削やアンダーカット)に時間と経費が掛かる。しかし、生産を集約して行うことができるため、管理がし易く、採鉱能率も高い。

    また、作業の標準化・組織化がし易く、災害発生率は比較的低い。通気設計も容易である。

    一方、短所としては、鉱石・被覆岩盤の“Cavability”が好ましくない場合や抽出コントロールに失敗した場合は生産中断の可能性が高くなる。また、Caving を維持し制御することは難しいため、一度出鉱が始まると出鉱速度の調整が困難である。そして採鉱に柔軟性がなく、しかも選択採掘は不可能であるため、鉱体の形状は規則的であって品位分布の一様なものが望ましい。さらに、“Cavability”やドロー・コントロールにもよるが、採掘実収率は高くなく、ズリ混入は避けられない。また、ドロー・コントロールに失敗すると抽出をあきらめなければならないという危険性が常に存在する。

    以上、本稿において述べた採鉱法の適用・不適用についてまとめたものとして、[資料 64、スライド 65]~

    [資料 68、スライド 69]を掲載しておくこととする。[資料64、スライド65]は、Hartmanが“Introduc-

    tory Mining Engineering”の中で示した採鉱法選択に影響を与える因子である。◎で示されるものは適した組合わせ、×は適用不可な組合わせ、CV は Cavabilityが問題となる組合わせであることを示している。[資料 65、スライド 66]と[資料 66、スライド 67]は、当時の日本鉱業会(現在の資源・素材学会)に設けられた研究委員会が、大規模鉱床に適した坑内採鉱法のレビューを行ってまとめた成果物である。坑内採鉱法の特長と適用条件が示されている。[資料 67、スライド 68]と[資料 68、スライド 69]は、資源・素材学会の研究委員会が採鉱法選択のエキスパート・システムの構築を目指したもので、詳しく解説する余地がないので、資源・素材学会誌(Journal of MMIJ)に発表した 2 つの論文を参照して欲しい。

    1-16. おわりに [資料 69、スライド 70]本稿のテーマである『非鉄金属資源の開発技術』に

    は、探査から跡地利用まで、またハードからソフトに至るまで多種多様な要素が包含されており、資源開発事業の特質を十分に理解する必要がある。人材養成の場と機会が、大学においてもビジネスの現場においても狭まっているが、いずれにしても資源開発事業とその人材養成には『持続性』が求められることを忘れてはならない。

    (2009.12.21)

    (863)

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    2006 12 182006 12 18

    Email [email protected] [email protected]

    スライド 1

    World Mining Data 2006 from World Mining Congress

    1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993

    463.9 515.2 523.1 537.4 552.9 569.1 559.2 564.1 528.7 513.8

    126.5 117.1 126.6 134.3 137.7 146.1 147.6 151.4 145.5 147.9

    0.014 0.015 0.015 0.016 0.017 0.018 0.018 0.018 0.017 0.017

    475.1 501.1 497.6 516.0 531.0 532.3 530.8 511.3 506.6 477.2

    2,903.5 2,818.0 2,918.0 2,936.9 3,011.8 3,146.0 3,107.3 3,190.7 3,216.6 3,413.3

    3,621.8 3,833.7 4,055.2 4,215.2 4,429.6 4,673.0 4,524.8 4,417.5 4,397.4 4,552.2

    4,191.6 4,421.1 4,528.7 4,629.4 4,735.0 4,818.3 4,718.7 4,538.8 4,500.2 4,381.9

    1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003

    541.7 575.2 570.0 587.5 580.9 647.9 698.2 749.3 772.0 807.0

    147.9 147.1 150.0 167.9 172.8 175.0 184.2 184.7 193.1 196.5

    0.016 0.017 0.018 0.018 0.019 0.018 0.021 0.022 0.022 0.022

    493.0 499.7 515.4 526.7 516.2 535.8 541.9 534.7 539.7 544.7

    3,206.7 3,367.3 3,417.7 3,556.6 3,684.4 3,364.5 3,435.2 3,390.0 3,571.7 3,351.0

    4,389.2 4,589.3 4,653.2 4,838.8 4,954.4 4,723.2 4,859.4 4,858.7 5,076.6 4,899.2

    4,470.4 4,594.8 4,671.6 4,701.2 4,555.7 4,541.4 4,606.2 4,819.4 4,849.9 5,179.7

    106 t

    資料 1、スライド 2

    (864)

  • 2010.1 金属資源レポート 85

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    (1)

    資料 2、スライド 3

    (2)

    High Risk, Vulnerability

    資料 3、スライド 4

    (865)

  • 86

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    鉱山開発概論

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    2010.1 金属資源レポート

    (3)

    (1)/ Drilling/Blasting

    / Loading/Haulage/

    Supporting/Backfilling

    Rock Mass Control/ Safety/Health/

    Ventilation/Drainage/

    Lighting/Power Supply

    Tailings/Waste Disposal

    / Drilling

    Charge

    Blasting

    Loading

    ScalingSupporting

    資料 4、スライド 5

    (4)

    (2)/

    Ore Reserve Calculation/ Economic Evaluation

    Mining Method Selection

    Planning/Scheduling

    Mechanization/Automation/ Communication/IT

    EnvironmentalPreservation

    O&K RH400CAT 797

    Teleoperation

    資料 5、スライド 6

    (866)

  • 2010.1 金属資源レポート 87

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    鉱山開発概論

    (1)Hartman H.L. (1987): Introductory Mining Engineering, John Wiley & Sons.

    Surface MiningMechanical Extraction

    Open pit mining / Open cut miningOpen cast mining Auger mining / Highwall mining Quarrying of dimension stone

    Aqueous ExtractionPlacer mining Solution mining Borehole Mining, Leaching

    Underground MiningUnsupported Mining

    Room & Pillar Stull & Pillar , Sublevel Stoping, Shrinkage StopingSupported Mining

    Cut & Fill Stoping, Stull Stoping, Square-set StopingCaving

    Longwall Mining, Sublevel Caving, Block Caving

    資料 6、スライド 7

    (2)

    Hard Rock MiningMetal/Non-ferrous MetalIndustrial MineralsCrushed Stone Dimension StoneDrilling & Blasting

    Soft Rock MiningHard Coal, Soft Coal Open cast, Auger/Highwall, Longwall MiningRock Salt

    Continuous Miner Coal ShearerRoadheader Tunnel Boring Machine Raise Borer/Shaft Boring Machine

    Placer Mining /Gold Magnetite Diamond Tin TitaniumPlatinum Placer Gold Hard Rock Gold

    Dredger

    Solution MiningLeachingBorehole Mining

    資料 7、スライド 8

    (867)

  • 88

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    鉱山開発概論

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    2010.1 金属資源レポート

    Surface Mining資料 8、スライド 9

    Underground Mining資料 9、スライド 10

    (868)

  • 2010.1 金属資源レポート 89

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    鉱山開発概論

    (1)資料 10、スライド 11

    (2)

    Econ

    omy Safety

    Recovery

    •Cavability

    資料 11、スライド 12

    (869)

  • 90

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    鉱山開発概論

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    2010.1 金属資源レポート

    (3)―Surface vs Underground Mining―

    /

    資料 12、スライド 13

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    >7.0 Mt/y

    3.0-7.0 Mt/y

    1.5-3.0 Mt/y

    1.0-1.5 Mt/y

    0.5-1.0 Mt/y

    0.2-0.5 Mt/y

    Overall

    Surface Mining

    Underground Mining

    Size of Production

    Hybrid

    資料 13、スライド 14

    (870)

  • 2010.1 金属資源レポート 91

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    鉱山開発概論

    MSHA (Mine Safety and Health Administration) MSHA (Mine Safety and Health Administration)

    0

    200

    400

    600

    800

    1,000

    1,200

    '30 '40 '50 '60 '70 '80 '90 '000

    2

    4

    6

    8

    10

    12 UG Production SF Production

    UG Productivity SF Productivity

    Production(106 t of Coal)

    Productivity(t/Employees-hours)

    資料 14、スライド 15

    Truck and Shovel

    資料 15、スライド 16

    (871)

  • 92

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    鉱山開発概論

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    2010.1 金属資源レポート

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    '30 '40 '50 '60 '70 '80 '90 '000

    2

    4

    6

    8

    10

    12 UG Injury Rate SF Injury Rate UG Productivity SF Productivity

    Total Injuries/106 Employees-hours

    Productivity

    MSHA (Mine Safety and Health Administration)

    (t/Employees-hours)

    資料 16、スライド 17

    Bingham Canyon, Utah, USA

    Pit

    Waste Dump

    資料 17、スライド 18

    (872)

  • 2010.1 金属資源レポート 93

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    鉱山開発概論

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    Excavated Rock/Recovered Metal (−)10710610510410 108

    Frequency (%)

    102 103

    Copper Mines

    Gold Mines

    Lead & Zinc Mines

    1

    資料 18、スライド 19

    (t)

    Gold 2,469

    Silver 18,834

    Platinum 236

    2003(106 t) (106 t) (km2) 2.5 t/m3 (mm) 200 m

    807.0 × 3 2,421 * 129,663,200 0.7 0.0003%

    196.5 × 102 19,651 16,380,980 5.5 0.0027%

    0.022 × 105 2,154 USA 9,158,960 9.8 0.0049%

    544.7 × 3 1,634 7,682,300 11.7 0.0058%

    3,351.0 × 3 10,053 364,500 246.3 0.1232%

    4,899.2 35,913

    *

    54.7%28.0%

    4.6%

    6.0%

    6.7%

    資料 19、スライド 20

    (873)

  • 94

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    2010.1 金属資源レポート

    資料 20、スライド 21

    資料 21、スライド 22

    (874)

  • 2010.1 金属資源レポート 95

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    IncrementalStripping Ratio

    : ∆Vw / ∆Vo∆Vo

    ∆Vw Vo

    Vw

    Overall Stripping Ratio

    : Vw / Vo

    m3/m3, t/t, m3/t

    資料 22、スライド 23

    Vol. 117 pp. 591 598 2001

    0.0

    1.0

    2.0

    3.0

    4.0

    5.0

    0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4

    (%)

    資料 23、スライド 24

    (875)

  • 96

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    Room & Pillar (1)資料 24、スライド 25

    Room & Pillar (2)

    Stope &Pillar Board & Pillar Stall & Pillar Panel & Pillar Breast Stoping

    Competent

    Pillar Recovery

    資料 25、スライド 26

    (876)

  • 2010.1 金属資源レポート 97

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    鉱山開発概論

    pv = γz

    σm

    ta/2a/2

    Room & Pillar (3)σm Tributary Theory

    pv rex

    ex

    vvm r

    pt

    atp−

    =+⋅=1

    σ

    σm :pv :rex :

    資料 26、スライド 27

    Room & Pillar (4)Tributary Theory

    exv

    m r1pσ−

    =

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    資料 27、スライド 28

    (877)

  • 98

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    鉱山開発概論

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    2010.1 金属資源レポート

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    14

    0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0(FS)

    3.5

    (m)HeightPillar:(m), WidthPillar:

    9.72, 66.046.0

    hthtSSFS P

    m

    P ⋅==σ

    資料 28、スライド 29

    Room & Pillar (5)Room & Pillar (5)Room & Pillar

    1 1 1

    2

    2

    3 3 33

    3

    4

    5

    4444

    Backfilling

    Final PillarRecovery

    Crosscuttingin Pillars

    Benching

    PrimaryMining

    Room & Pillar

    資料 29、スライド 30

    (878)

  • 2010.1 金属資源レポート 99

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    鉱山開発概論

    Room & Pillar (6)資料 30、スライド 31

    Sublevel Stoping (1)Sublevel Stoping (1)

    Sublevel Mainlevel

    資料 31、スライド 32

    (879)

  • 100

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    鉱山開発概論

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    2010.1 金属資源レポート

    Sublevel Stoping (2)

    資料 32、スライド 33

    Sublevel Stoping (3)Sublevel Stoping (3)

    LHD

    資料 33、スライド 34

    (880)

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    Sublevel Stoping (4)Sublevel

    Blasthole Stoping Longhole Stoping Open Stoping VCR Vertical Crater Retreat

    VCR

    資料 34、スライド 35

    Sublevel Stoping (5)Sublevel Stoping (5)

    Boulders

    Ore Dilution

    Ore Loss

    資料 35、スライド 36

    (881)

  • 102

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    Sublevel Stoping (6)資料 36、スライド 37

    Cut & Fill Stoping (1)?

    Filling Backfilling

    LHD

    Tailings

    資料 37、スライド 38

    (882)

  • 2010.1 金属資源レポート 103

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    Cut & Fill Stoping (2)Cut Fill

    Mechanized Overhand Cut and Fill

    資料 38、スライド 39

    Cut and Fill Stoping (3)

    資料 39、スライド 40

    (883)

  • 104

    【資源開発基礎講座 

    第3回(平成18年12月18日開催)講演】 

    鉱山開発概論

    特集・連載

    2010.1 金属資源レポート

    Cut and Fill Stoping (4)資料 40、スライド 41

    Cut & Fill Stoping (5)Cut & Fill Stoping (5)資料 41、スライド 42

    (884)

  • 2010.1 金属資源レポート 105

    特集・連載

    【資源開発基礎講座 

    第3回(平成18年12月18日開催)講演】 

    鉱山開発概論

    Cut & Fill Stoping (6)

    Stope 1

    Stope 1

    Stope 2

    Stope 2

    Stope 3

    Stope 3

    Sublevel Stoping : Bulk Mining

    Cut and Fill Stoping : Selective Mining

    資料 42、スライド 43

    Underhand Cut and Fill Stoping (1)

    資料 43、スライド 44

    (885)

  • 106

    【資源開発基礎講座 

    第3回(平成18年12月18日開催)講演】 

    鉱山開発概論

    特集・連載

    2010.1 金属資源レポート

    Underhand Cut and Fill Stoping (2)資料 44、スライド 45

    Underhand Cut and Fill Stoping (3)

    Paste Fill

    Rockbolts

    1m

    2 2.5mPaste

    (0.5 m )

    80 %

    Lucky Friday

    資料 45、スライド 46

    (886)

  • 2010.1 金属資源レポート 107

    特集・連載

    【資源開発基礎講座 

    第3回(平成18年12月18日開催)講演】 

    鉱山開発概論

    Underhand Cut and Fill Stoping (4)Lucky Friday

    資料 46、スライド 47

    Bench Stoping at Mt Isa (1)

    Permanent Pillar

    Crosscut

    Crosscut

    Crosscut

    Bulkhead

    Previously Backfilled Bench

    Cablebolts

    Cablebolts

    Drilling Drive

    Extraction Drive AggregateFill

    Remote Controlled LHD

    BrokenOre Pile

    資料 47、スライド 48

    (887)

  • 108

    【資源開発基礎講座 

    第3回(平成18年12月18日開催)講演】 

    鉱山開発概論

    特集・連載

    2010.1 金属資源レポート

    Bench Stoping at Mt Isa (2)

    Drilling Drive

    LHD

    資料 48、スライド 49

    Vol. 121 pp. 330 340 2005

    /Waste Fill/Rockfill Slurry Fill Paste Fill

    資料 49、スライド 50

    (888)

  • 2010.1 金属資源レポート 109

    特集・連載

    【資源開発基礎講座 

    第3回(平成18年12月18日開催)講演】 

    鉱山開発概論

    Paste Fill1980 Grund

    Total Tailings FillClassified Tailings Fill Slurry Fill

    Thickener Filter 20%Paste Fill

    /

    Tailings Impoundments

    Filling/BackfillingRoom & Pillar Sublevel Stoping Mining with

    Backfill

    資料 50、スライド 51

    Sublevel Caving (1)

    Cavability

    資料 51、スライド 52

    (889)

  • 110

    【資源開発基礎講座 

    第3回(平成18年12月18日開催)講演】 

    鉱山開発概論

    特集・連載

    2010.1 金属資源レポート

    Sublevel Caving (2)資料 52、スライド 53

    Sublevel Caving (3)

    Extraction (%)

    Ore

    Per

    cent

    age

    0%10

    0%

    %001%0

    Ore

    Waste

    Cutoff Grade

    Dilution

    Ore loss

    資料 53、スライド 54

    (890)

  • 2010.1 金属資源レポート 111

    特集・連載

    【資源開発基礎講座 

    第3回(平成18年12月18日開催)講演】 

    鉱山開発概論

    Kiruna

    Super Sublevel Caving

    Crosscut

    Subl

    evel