Upload
others
View
2
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
•
A2 非線形要素を含む 系に対す~
分を用いた計遺)
方涜(分数階コントローラの
技術の概要
キーワード
従来授術・競合授術との比較
技術の特徴
想定される用途・利用分野
長岡工業高等専門学校機械工学科助教池田富士雄
高性能怠モーションコントロールの実現|こおいて、モータドライバの飽和やギアパック
ラッシュなどの非線形要素16、避けては通れない障害と怠る。本手法16、微分方程
式の微分階数を分数区まで拡張した分数階微分を用いだ設計法である。分数階微
分の特長を生かし定怠めらかな制御ができ、非線形要素の種類|こよらず効果ガ高
い手法である。
モシヨンコントロル、モタドライバの飽和、ギアパックラッシユ、非線形要素、分数
階微分
従来の制御手法は、例えば飽和要素lこ対してアンチフイ〉ド?ツプ制御を施すとい
つ定三よヨ之、個々の非線形要素|こ特化しだ制御手法がとられてき足。これ!こ対して本
手法は、設計巳おいて、非線形要素の種類を選ぱず、本質的巴非線形要素に強い
手法である。
1制御設計巴おけるパラメタ調整ガ容易
2_制御エネルギの10%以上の削減
1自動車
2_船舶
3ロボット
4小型飛淘体
7
•
非線形要素を含む制御系に対する制御方法
(分数階微積分を用いたコントローラの設計法)
長岡工業高等専門学校機械工学科
助教
池田富士雄
ト mail:i恥[email protected]
唱. はじめに
分数階微積分 (fractionalderivatives and integrals) は,微積分の階数を非整数に
拡張した作用素であるその存在自体は古く Leibnizらの時代から認、殺されていたものの,
数学的特殊性から理論的考察が十分に進んでいなかった. しかしながら近年,レオロジー
やフラクタノレ,分布定数系などの様々な分野において数多くの研究がなされている 自動
制御の分野においては,分数階微積分を用いた周波数領域および時間領域での設計法が数
多く提案されている 特に PID制御器の微積分階数を拡張した PlqDP制御器には,
・ 飽和要素などの非線形要素を含む系に効果がある
・時定数などのパラメータ変動にロバストである.
.従来の PID制御系設計の知識を導入できる
等の利点があることが知られている
その一方,計算機の使用を前提とすると,市IJ御器を実現するには雌散時間系のモデ、/レを
求める必要がある.これまでに離散化モデルの計算方法が数多く提案されているが,分数
階微積分は時間に関して大域的な作用素であるため,従来の離散化モデノレの多くは過去の
履歴計算に演算量を多く費やし多大な計算コストが掛かるという問題があった 著者らは,
このような演算量に関する問題解決を図るべく ,離散化モデルの数値計算法として非等間
隔サンプリング手法 (InhomogeneousSampling Algori thm : ISA) を提案している この方
法は,分数階微積分を一種の Stieltjes積分の形式で表現し,その積分変数上のサンプリ
ング周期を一定として数値積分演算を行うものである これにより実際の離散化モデノレ上
では,過去の時点に遡るにつれて徐々に粗くサンプリングされ,従来方法よりも演算量を
大幅に削減できる
本論文では,ギアにバックラッシュ
を含む倒立振子系に PlqDP制御器を
適用し,パックラッ、ンュ振動を押さえ
る問題を検討するその制御器を構成
する分数階微積分作用素は ISAによ
り実現する.本市IJ御器の設計手順を示
しシミュレーションおよび実験によ
ってその有効性を示す 1,2,3)
r
ρLV t
ρM m
o
t
nu ρLW t
nu nr
/
m
uv
u
、U
巴
B
A
U
V
品
川
a
ρしw
n
L
nv
t
L
H
J
n
出
h
LK
niM a
b
-
田
町σb
,t o
m
Fig.l Schematic of experimental seωp
2. ギアパックラッシュを含む倒立振子系
図 1に制御対象となる倒立振子系の実験装置の構成を示す台車はベノレ卜とベノレト側ギア
および駆動側ギアを介してサーボモータで駆動され,ベルト側ギアと駆動側ギアとの間に
9
はパックラッシュを持っとする 台車位置zと振子角度6はポテンショメータによって測定
される この制御対象の力学モデノレは図 2のように表され,運動方程式は
Table I System parame回目
M(kg) mass of cart 0.2 m(kg) mass of pendulum 0.023 I(m) distance to center of gravity 0.2
.1 (kgm') inel1ia of pendulum 3.2.10-0
g(m/ジ) gravitational acceleration 9.8
μ, (Ns/m) friction coefficient of ca同 2.67
ん(Nmfs) 仕lctlOncoe仔icientof pen 2.7.10-'
伊(rad) angle of gear backlash 1 0.02 」ーー令 Z
Fig.2 Schematic of a
pendulum system
(M + m)z+ mlcos8e-mlO' sin 8+凡i~ 1(21) )
I
( mlcos8 z +(.1 + ml')e-mglsin 8+μ.8 ~ 0
で表されるただし
する-また表 lに各記号の物理的意味と実験に用いるパラメータ値を示す.
3. 分数階微積分コントローラの設計法
本論文では制御器の構造を分数階 PID(PI' DP)制御器とする これは調皇室が比較的容易
であり、かっ従来の PID制御の知織を無理なく導入できる利点がある このときの制御系
金体のブロック線図を図 3に示す ただしpはパックラッ、ンュを除いた倒立振子系を表す
サンプリング周期M の下で離散化した pt'DP制御器の入出力関係は次式で与えられる
U(Z)~{Kd, D" (が K" +K、川z)}~(~ (~ + {Kd,D叩 )+Kp,+K,,l"(z)}E.(z)
ただし U(z)は制御入力のz変換,
E,(=),E.(=)は観測l出力と参照信号
との誤差のz変換を表す またK
は PIDゲイン DP(z), l' (z)はそ
れぞれ分数階微分および分数階積
分の離散化モデルを表す 具体的
な設計手順として, PIDゲインお
よび微積分階数の各パラメータ調整を以下のように
行う
手順 l パックラッ、ンュがないと仮定した制御対象
に対して,従来のPID制御器を設計する
手順 2 パックラッシュを含む制御対象に対して,制
御器をPI'DP型に拡張し制御系の安定化を図る
手順 3 より良い応答が得られるよう,制御器を調整する.
Fig.3 Block diagram of a control system. ‘)
4. シミュレーシヨンおよび実験
3節に示した手順に従い,PI'DP制御器を設計するまず
手順 Iとして,バックラッシュのない倒立振子系に対する
従来の PID 制御器を設計する PID ゲインは,式(1)を 6 ~ 0
の近傍で線形近似した系に,動的補償総の極配置tアノレゴリ
:::;トEE.-0.'0"
time(s]
Fig.5 Simulation result of PID control for the system without backlash
10
•
ズムを適用して求めた このとき
の PIDゲイン値を表 2に示す得
られた PID制御器をサンプリング
周期幻 =O.OI[s]で離散化し,パッ
クラッ、ンュのない系に適用したシ
ミュレーション結果を図 5,こ示す.
速やかに振子が倒立する理想的な
応答を示している.続いて同ーの
制御器を ,パックラッシュ角
伊=0.02 [rad]のパックラッシュを
含む系に適用したシミュレーショ
ン結果および実験結果を図 6に示
すバックラッシュの影響により
激しい振動を起こしていることが
わかる
そこで手順 2として P/'DP制御器を適用しパックラッ、ンュ振動
の低減を図った.微積分の階数を
p=q=0.5と設定し,離散化モデノレ
の総和点数をm=I=8とおいたこ
のときのシミュレーション結果
および実験結果を図 7に示すこ
れにより持続振動はある程度抑
えられたが,特に実験結果におい
て過渡的な振動が増大し性能が
悪化 している
そこでさらに手順 3として,よ
り良い応答が得られるよう 制御
器の調整を試みた持続振動をさ
らに抑え安定性を向上させるた
め微積分の階数を q=0.4,p=0.7
とし,また初期の振幅を抑えるた
め PIDゲイン Ko,んをそれぞれ 1.1倍, 1. 3倍に増加した.これらの調整後のシミュレー
ション結果および実験結果を図 Bに示す 図 5のハックラッ、ンュのない場合の理想的な応
答までには至らなかったが,初期の振動および持続振動を抑えたより良い応答が得られた
q,
官凹S
S
制
[
E
}
hH
-Q.1o→
3
t;me[s]
(a) Simulation result
q,
-0.10
t
l
u
s
βiw r
1
31
1
a
st
[
1
問。ZM
m
r
e
Da
x
E
)
・0( Fig.6 PlD contγ01 for the system with
backlash (伊 =0.02 [radJl ..,
EE iJ:lilyZ -O.lO
time [s1
(b) Experimental result
Fig.7 p/05 D05control for the system with
backlash (伊 =0.02 [rad] ). (伊=1 [degJl
11
;:ト1 lijトEE。10
time [s]
(b) Experimental result
Fig.8 p/OA DO.' control for the system with
backlash (伊=0.02 [rad]). (伊=1 [degJl
5. おわりに
本論文では,ギアにパックラ ッシュを含む倒立振子系に P/'DP制御器を適用し,制御器の
実現方法および設計手順を示 した.本設計法の有効性をシミュレーションおよび実験によ
って確認した.本手法の利点は,従来の PID制御系の知識を無理なく拡張でき,また非線
形要素を含む制御系に対する設計法として高次の制御器に比べ調整が容易に行えることが
挙げられる
-0.10-
tIme [51
(a) Simulation result
-O.Is time [sJ
(a) Simulation result
6. 参考文献
1. F. Ikeda: A Numel"ical Algorithm of Discrete Fractional Calculus by using
Inhomogeneous Sa皿plingData, Trans. ofthe SICE, E-6, pp.1-8 (2007)
2. F. lkeda・AnAppl'oxi血 ationMethod of Fl'actional Calculus Opel'atol's by an lnhomogeneous Sa皿plingAlgol'ithm, Fal' East Joul'nal of Applied Mathematics, 29-3,
pp.377・395(2007)
3. F. lkeda, S. Toya皿a:Fl'actional Del'ivative Contl'ol Designs by lnhomogeneous
Sampling for Systems with Nonlinear Elements, SICE Annual Conference 2007, 2A05-4, (2007)
12
e