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透析腎癌に特異的な糖鎖組織マーカーの確立を めざした臨床病理学的検討 Clinicopathological study to establish a new glycohistological marker of renal cell carcinoma in end-stage renal disease 筑波大学ー産総研の研究体制 2020年度TIA「かけはし」で行う研究 2019年度TIA「かけはし」研究体制 筑波大学腎・血管病理学、 つくば組織バイオバンクセンター、 ゲノム生物学、産総研細胞分子工学 研究部門分子細胞マルチオミクスG による共同研究体制を構築した。 病理標本組織の特異的領域を単離し、 網羅的な糖鎖解析遺伝子発現解析 を双方向性に行うことにより、透析 腎癌の発生メカニズム解明とバイオ マーカー開発を実現する研究体制を 構築できた。2020年度はTIA組織 との多施設共同研究を展開する。 日本国内に30万人以上いる透析患者での腎細胞癌(Renal cell carcinoma, RCC)の発生率は 非透析例の15に増加する。透析患者に特異的な組織型であるAcquired cystic disease associated RCCACD-RCC)の発症機序は不明である。これまでACD-RCCの発症に伴う糖鎖 変化(およびそのキャリアタンパク質)については未検討であった。 2019年度TIA「かけはし」では、糖鎖バイオマーカー開発に活用できるACD-RCC特異的な複数 糖鎖構造を世界に先駆けて見出した。本研究では、これらのACD-RCCに特異的な糖鎖構造が 新規の組織マーカーとして有用であるかを検証する(世界初の試み)。 2020年度は多数検体でのレクチン染色と組織学的分類や予後など の臨床情報との相関を検討し、標的とする糖鎖構造の組織マーカー としての有用性を検証する。プロテオミクスと併用したキャリア 分子の同定を行い、血清マーカーへの応用展開を目指す。 単一施設として世界トップクラスの ACD-RCC症例数を有する東京女子医科大学 との共同研究を実施する。 東京女子医科大学(TIA連携外施設) 1. 世界トップクラスの透析腎癌手術件数 2. NGS研究を熟知する若手泌尿器科医との連携 3. 腎癌病理診断の第一人者との連携 → 第一線の臨床家との連携による研究促進 筑波大学医学医療系 川西 邦夫 [email protected] 目標=ACD-RCCの血清マーカーキットの開発 2020年度は、多数組織検体でレクチン染色の 有効性を検証し、ACD-RCCの病理診断や予後 判定に有効な組織マーカーの確立を目指す。

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透析腎癌に特異的な糖鎖組織マーカーの確立をめざした臨床病理学的検討Clinicopathological study to establish a new glycohistological marker of renal cell carcinoma in end-stage renal disease

筑波大学ー産総研の研究体制

2020年度TIA「かけはし」で行う研究

2019年度TIA「かけはし」研究体制

筑波大学腎・血管病理学、つくば組織バイオバンクセンター、ゲノム生物学、産総研細胞分子工学研究部門分子細胞マルチオミクスGによる共同研究体制を構築した。病理標本組織の特異的領域を単離し、網羅的な糖鎖解析と遺伝子発現解析を双方向性に行うことにより、透析腎癌の発生メカニズム解明とバイオマーカー開発を実現する研究体制を構築できた。2020年度はTIA外組織との多施設共同研究を展開する。

日本国内に30万人以上いる透析患者での腎細胞癌(Renal cell carcinoma, RCC)の発生率は非透析例の約15倍に増加する。透析患者に特異的な組織型であるAcquired cystic disease associated RCC(ACD-RCC)の発症機序は不明である。これまでACD-RCCの発症に伴う糖鎖変化(およびそのキャリアタンパク質)については未検討であった。2019年度TIA「かけはし」では、糖鎖バイオマーカー開発に活用できるACD-RCC特異的な複数の糖鎖構造を世界に先駆けて見出した。本研究では、これらのACD-RCCに特異的な糖鎖構造が新規の組織マーカーとして有用であるかを検証する(世界初の試み)。

2020年度は多数検体でのレクチン染色と組織学的分類や予後などの臨床情報との相関を検討し、標的とする糖鎖構造の組織マーカーとしての有用性を検証する。プロテオミクスと併用したキャリア分子の同定を行い、血清マーカーへの応用展開を目指す。単一施設として世界トップクラスのACD-RCC症例数を有する東京女子医科大学との共同研究を実施する。

東京女子医科大学(TIA連携外施設)1. 世界トップクラスの透析腎癌手術件数2. NGS研究を熟知する若手泌尿器科医との連携3. 腎癌病理診断の第一人者との連携→ 第一線の臨床家との連携による研究促進

筑波大学医学医療系 川西 邦夫[email protected]

目標=ACD-RCCの血清マーカーキットの開発2020年度は、多数組織検体でレクチン染色の有効性を検証し、ACD-RCCの病理診断や予後判定に有効な組織マーカーの確立を目指す。