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水防計画作成の手引き(水防管理団体版) 平成30年2月 国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課 水防企画室

水防計画作成の手引き(水防管理団体版) - mlit.go.jp...16.1.9 大規模工場等における浸水の防止のための措置に関する計画の 作成等 16.1.10

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  • 水防計画作成の手引き(水防管理団体版)

    平成30年2月

    国土交通省 水管理・国土保全局

    河川環境課 水防企画室

  • 1

    平成30年2月版「水防計画作成の手引き(水防管理団体版)」

    本手引きは、水防管理団体が水防計画を作成する際に参考となるよう、水防計画の作

    成イメージ例(指定水防管理団体としてある市を想定)を示すとともに解説として作成

    時に留意すべき事項を示したものである。

    また、各事項について、法律に規定されている等の理由により必ず記載すべきと考え

    られるものは【必須】、特に規定等はないものの水防事務を円滑に進めるためには記載

    するのが望ましいと考えられるものは【推奨】、それ以外でも記載しておくと参考とな

    るものは【任意】と区分し、解説に記述した。

    指定水防管理団体は、本手引きを参考にし、管轄地域の実情に合わせて適宜補足、変

    更を加え、水災の警戒、防御、被害軽減に寄与するよう関係者が検討・協議を進め、都

    道府県の水防計画に応じた水防計画を作成することとする。

    ○○市水防計画

    <目次例>

    第 1章 総則

    1.1 目的

    1.2 用語の定義

    1.3 水防の責任等

    1.4 水防計画の作成及び変更

    1.5 津波における留意事項

    1.6 安全配慮

    第 2章 水防組織

    第 3章 重要水防箇所

    第 4章 予報及び警報

    4.1 気象庁が行う予報及び警報

    4.2 洪水予報河川における洪水予報

    4.3 水位周知河川における水位到達情報

    4.4 水位周知下水道における水位到達情報

    4.5 水位周知海岸における水位到達情報

    4.6 水防警報

    第 5章 水位等の観測、通報及び公表

    5.1 水位の観測、通報及び公表

    5.2 雨量の観測及び通報

    5.3 水位等の通報系統図

    第 6章 気象予報等の情報収集

    第 7章 ダム・水門等の操作

    7.1 ダム・水門等

    7.2 操作の連絡等

  • 2

    7.3 連絡系統

    第 8章 通信連絡

    8.1 通信連絡系統

    8.2 災害時優先通信の取扱い

    8.3 その他の通信施設の使用

    第 9章 水防施設及び輸送

    9.1 水防倉庫及び水防資器材

    9.2 輸送の確保

    第 10 章 水防活動

    10.1 水防配備

    10.2 巡視及び警戒

    10.3 水防作業

    10.4 緊急通行

    10.5 警戒区域の指定

    10.6 避難のための立退き

    10.7 決壊・漏水等の通報及びその後の措置

    10.8 水防配備の解除

    第 11 章 水防信号、水防標識等

    11.1 水防信号

    11.2 水防標識

    11.3 身分証票

    第 12 章 協力及び応援

    12.1 河川管理者の協力及び援助

    12.2 下水道管理者の協力

    12.3 水防管理団体相互の応援及び相互協定

    12.4 警察官の援助要求

    12.5 自衛隊の派遣要請

    12.6 国(河川事務所、地方気象台等)との連携

    12.7 企業(地元建設業等)との連携

    12.8 住民、自主防災組織等との連携

    第 13 章 費用負担と公用負担

    13.1 費用負担

    13.2 公用負担

    第 14 章 水防報告等

    14.1 水防記録

    14.2 水防報告

    第 15 章 水防訓練

    第 16 章 浸水想定区域等における円滑かつ迅速な避難の確保及び浸水の防止のため

    の措置

  • 3

    16.1 洪水、内水、高潮対応

    16.1.1 洪水浸水想定区域の指定状況

    16.1.2 内水浸水想定区域の指定状況

    16.1.3 高潮浸水想定区域の指定状況

    16.1.4 浸水想定区域における円滑かつ迅速な避難を確保及び浸水の防

    止のための措置

    16.1.5 洪水・内水・高潮ハザードマップ

    16.1.6 予想される水災の危険の周知等

    16.1.7 地下街等の利用者の避難の確保及び浸水の防止のための措置に

    関する計画の作成等

    16.1.8 要配慮者利用施設の利用者の避難の確保のための措置に関する

    計画の作成等

    16.1.9 大規模工場等における浸水の防止のための措置に関する計画の

    作成等

    16.1.10 浸水被害軽減地区

    16.2 津波対応

    16.2.1 津波災害警戒区域の指定

    16.2.2 市町村地域防災計画の拡充

    16.2.3 津波ハザードマップの作成・周知

    16.2.4 避難促進施設に係る避難確保計画

    第 17 章 水防協力団体

    17.1 水防協力団体の指定

    17.2 水防協力団体の業務

    17.3 水防協力団体と水防団等の連携

    17.4 水防協力団体の申請・指定及び運用

  • 4

    <水防計画例>

    ○○市水防計画

    第1章 総則

    1.1 目的

    この計画は、水防法(昭和 24 年法律第 193 号、以下「法」という。)第4条の規定

    に基づき、○○県知事から指定された指定水防管理団体たる○○市が、同法第 33 条

    第1項の規定に基づき、○○市内における水防事務の調整及びその円滑な実施のため

    に必要な事項を規定し、○○市の地域にかかる河川、湖沼又は海岸の洪水、内水(法

    第2条第1項に定める雨水出水のこと。以下同じ。)、津波又は高潮の水災を警戒し、

    防御し、及びこれによる被害を軽減し、もって公共の安全を保持することを目的とす

    る。

    <解説>

    【推奨】目的は計画の前提となるものであり、法第1条の目的を達するため、法第 33 条

    第 1 項により指定水防管理団体の水防計画を策定するといった内容を記述することが望

    ましい。なお、水害予防組合等、活動範囲を明記する必要のある水防管理団体について

    は、水防管理団体の活動範囲について記載することが望ましい。

    1.2 用語の定義

    主な水防用語の定義は、次のとおりである。

    (1)水防管理団体

    水防の責任を有する市町村又は水防に関する事務を共同に処理する水防事務組

    合若しくは水害予防組合をいう(法第2条第2項)。

    (2)指定水防管理団体

    水防上公共の安全に重大な関係のある水防管理団体として知事が指定したもの

    をいう(法第4条)。

    (3)水防管理者

    水防管理団体である市町村の長又は水防事務組合の管理者若しくは長若しくは

    水害予防組合の管理者をいう(法第2条第3項)。

    (4)消防機関

    消防組織法(昭和 22 年法律第 226 号)第9条に規定する消防の機関(消防本部、

    消防署及び消防団)をいう(法第2条第4項)。

    (5)消防機関の長

    消防本部を置く市町村にあっては消防長を、消防本部を置かない市町村にあって

    は消防団の長をいう(法第2条第5項)。

    (6)水防団

    法第6条に規定する水防団をいう。

    (7)量水標管理者

    量水標、験潮儀その他の水位観測施設の管理者をいう(法第2条第7項、法第 10

  • 5

    条第3項)。

    都道府県の水防計画で定める量水標管理者は、都道府県の水防計画で定めるとこ

    ろにより、水位を通報及び公表しなければならない(法第 12 条)。

    (8)水防協力団体

    水防に関する業務を適正かつ確実に行うことができると認められる法人その他

    法人でない団体であって、事務所の所在地、構成員の資格、代表者の選任方法、総

    会の運営、会計に関する事項その他当該団体の組織及び運営に関する事項を内容と

    する規約その他これに準ずるものを有しているものとして水防管理者が指定した

    団体をいう(法第 36 条第1項)。

    (9)洪水予報河川

    国土交通大臣又は都道府県知事が、流域面積が大きい河川で、洪水により国民経

    済上重大又は相当な損害が生じるおそれがあるものとして指定した河川。国土交通

    大臣又は都道府県知事は、洪水予報河川について、気象庁長官と共同して、洪水の

    おそれの状況を基準地点の水位又は流量を示して洪水の予報等を行う(法第 10 条

    第2項、法第 11 条第1項、気象業務法(昭和 27 年法律第 165 号)第 14 条の2第

    2項及び第3項)。

    (10)水防警報

    国土交通大臣又は都道府県知事が、洪水、津波又は高潮により国民経済上重大又

    は相当な損害が生じるおそれがあると認めて指定した河川、湖沼又は海岸(水防警

    報河川等)について、国土交通大臣又は都道府県知事が、洪水、津波又は高潮によ

    って災害が起こるおそれがあるとき、水防を行う必要がある旨を警告して行う発表

    をいう(法第2条第8項、法第 16条)。

    (11)水位周知河川

    国土交通大臣又は都道府県知事が、洪水予報河川以外の河川で洪水により国民経

    済上重大又は相当な損害が生じるおそれがあるものとして指定した河川。国土交通

    大臣又は都道府県知事は、水位周知河川について、当該河川の水位があらかじめ定

    めた氾濫危険水位(洪水特別警戒水位)に達したとき、水位又は流量を示して通知

    及び周知を行う(法第 13 条)。

    (12)水位周知下水道

    都道府県知事又は市町村長が、内水により相当な損害が生じるおそれがあるもの

    として指定した公共下水道等の排水施設等。都道府県知事又は市町村長は、水位周

    知下水道について、当該下水道の水位があらかじめ定めた内水氾濫危険水位(雨水

    出水特別警戒水位)に達したとき、水位を示して通知及び周知を行う(法第 13 条

    の2)。

    (13)水位周知海岸

    都道府県知事が、高潮により相当な損害が生じるおそれがあるものとして指定し

    た海岸。都道府県知事は、水位周知海岸について、当該海岸の水位があらかじめ定

    めた高潮氾濫危険水位(高潮特別警戒水位)に達したとき、水位を示して通知及び

    周知を行う(法第 13 条の3)。

  • 6

    (14)水位到達情報

    水位到達情報とは、水位周知河川、水位周知下水道または水位周知海岸において、

    あらかじめ定めた氾濫危険水位(洪水特別警戒水位、雨水出水特別警戒水位または

    高潮特別警戒水位)への到達に関する情報のほか、水位周知河川においては氾濫注

    意水位(警戒水位)、避難判断水位への到達情報、水位周知河川または水位周知海

    岸においては氾濫発生情報のことをいう。

    (15)水防団待機水位(通報水位)

    量水標の設置されている地点ごとに都道府県知事が定める水位で、各水防機関が

    水防体制に入る水位(法第 12 条第1項に規定される通報水位)をいう。

    水防管理者又は量水標管理者は、洪水若しくは高潮のおそれがある場合において、

    量水標等の示す水位が水防団待機水位(通報水位)を超えるときは、その水位の状

    況を関係者に通報しなければならない。

    (16)氾濫注意水位(警戒水位)

    水防団待機水位(通報水位)を超える水位であって、洪水又は高潮による災害の

    発生を警戒すべきものとして都道府県知事が定める水位(法第 12 条第2項に規定

    される警戒水位)をいう。水防団の出動の目安となる水位である。

    量水標管理者は、量水標等の示す水位が氾濫注意水位(警戒水位)を超えるとき

    は、その水位の状況を公表しなければならない。

    (17)避難判断水位

    市町村長の避難準備・高齢者等避難開始発令の目安となる水位であり、住民の氾

    濫に関する情報への注意喚起となる水位。

    (18)氾濫危険水位

    洪水により相当の家屋浸水等の被害を生じる氾濫の起こるおそれがある水位を

    いう。市町村長の避難勧告等の発令判断の目安となる水位である。水位周知河川に

    おいては、法第 13条第1項及び第2項に規定される洪水特別警戒水位に相当する。

    (19)内水氾濫危険水位

    法第 13 条の2第1項及び第2項に規定される雨水出水特別警戒水位のこと。内

    水により相当の家屋浸水等の被害を生じる氾濫の起こるおそれがある水位をいう。

    (20)高潮氾濫危険水位

    法第 13 条の3に規定される高潮特別警戒水位のこと。高潮により相当の家屋浸

    水等の被害を生じる氾濫の起こるおそれがある水位をいう。市町村長の避難勧告等

    の発令判断の目安となる水位である。

    (21)洪水特別警戒水位

    法第 13 条第1項及び第2項に定める洪水による災害の発生を特に警戒すべき水

    位。氾濫危険水位に相当する。国土交通大臣または都道府県知事は、指定した水位

    周知河川においてこの水位に到達したときは、水位到達情報を発表しなければなら

    ない。

    (22)雨水出水特別警戒水位

    法第 13 条の2第1項及び第2項に定める内水による災害の発生を特に警戒すべ

  • 7

    き水位。内水氾濫危険水位に相当する。都道府県知事または市町村長は、指定した

    水位周知下水道においてこの水位に到達したときは、水位到達情報を発表しなけれ

    ばならない。

    (23)高潮特別警戒水位

    法第 13 条の3に定める高潮による災害の発生を特に警戒すべき水位。高潮氾濫

    危険水位に相当する。都道府県知事は、指定した水位周知海岸においてこの水位に

    到達したときは、水位到達情報を発表しなければならない。

    (24)重要水防箇所

    堤防の決壊、漏水、川の水があふれる等の危険が予想される箇所であり、洪水等

    に際して水防上特に注意を要する箇所をいう。

    (25)洪水浸水想定区域

    洪水予報河川及び水位周知河川について、洪水時の円滑かつ迅速な避難を確保し、

    又は浸水を防止することにより、水災による被害の軽減を図るため、想定し得る最

    大規模の降雨により当該河川において氾濫が発生した場合に浸水が想定される区

    域として国土交通大臣又は都道府県知事が指定した区域をいう(法第 14条)。

    (26)内水浸水想定区域

    水位周知下水道について、内水時の円滑かつ迅速な避難を確保し、又は浸水を防

    止することにより、水災による被害の軽減を図るため、想定し得る最大規模の降雨

    により当該下水道において氾濫が発生した場合に浸水が想定される区域として都

    道府県知事又は市町村長が指定した区域をいう(法第 14 条の2に規定される雨水

    出水浸水想定区域)。

    (27)高潮浸水想定区域

    水位周知海岸について、高潮時の円滑かつ迅速な避難を確保し、又は浸水を防止

    することにより、水災による被害の軽減を図るため、想定し得る最大規模の高潮に

    より当該海岸において氾濫が発生した場合に浸水が想定される区域として都道府

    県知事が指定した区域をいう(第 14 条の3)。

    (28)浸水被害軽減地区

    洪水浸水想定区域内で輪中堤防その他の帯状の盛土構造物が存する土地(その状

    況がこれに類するものとして国土交通省令で定める土地を含む。)の区域であって

    浸水の拡大を抑制する効用があると認められる区域として水防管理者が指定した

    区域をいう(第 15 条の6)。

    <解説>

    【任意】水防計画内で使用する用語について、法の条文等を引用するなどして、その定義

    を記述する。

    【必須】水位到達情報及び洪水予報並びに洪水等に関する防災用語の防災情報体系につ

    いては、「洪水等に関する防災情報体系の見直しについて」(平成 18 年 10 月1日、国河

    情第3号)及び「洪水時における情報提供の充実について」(平成 26 年 4 月 8 日、国水

    環第2号)に基づき記述すること。

  • 8

    【必須】法第2条第8項及び法第 16 条に基づき、国土交通大臣又は都道府県知事による

    水防警報は「発令」ではなく、「発表」と記述すること。

    【必須】「はん濫」は、「常用漢字表」(平成 22 年内閣告示第2号)により、各行政機関が

    作成する公用文において「氾濫」と表記するものとされている。既存の各種システム等が

    「洪水等に関する防災情報体系のあり方について(洪水等に関する防災用語改善検討会

    平成 18 年6月 22 日提言)」で定義された用語を「はん濫」のまま用いている場合には整

    合性に留意する必要がある。

    【必須】法第 13 条第1項及び第2項に規定される洪水特別警戒水位、法第 13 条の2第

    1項及び第2項に規定される雨水出水特別警戒水位、または法第 13 条の3に規定される

    高潮特別警戒水位に相当する水位について記述すること。なお、河川については「洪水時

    における情報提供の充実について」の通知に基づき、原則として平成 27 年 4月から洪水

    特別警戒水位は氾濫危険水位に相当するものと変更することとした。

    【任意】上記「洪水時における情報提供の充実について」の通知に基づき、氾濫危険水位

    は市町村長の避難勧告等の発令判断の目安、避難判断水位は避難準備・高齢者等避難開

    始の発令判断の目安である旨記載しても良い。

    1.3 水防の責任等

    水防に関係する各主体について、水防法等に規定されている責任及び義務は次のと

    おりである。

    (1)県の責任

    県内における水防管理団体が行う水防が十分行われるように確保すべき責任を

    有する(法第3条の6)。具体的には、主に次のような事務を行う。

    ①指定水防管理団体の指定(法第4条)

    ②水防計画の策定及び要旨の公表(法第7条第1項及び第7項)

    ③水防管理団体が行う水防への協力(河川法第22条の2、下水道法第23条の2)

    ④都道府県水防協議会の設置(法第8条第1項)

    ⑤気象予報及び警報、洪水予報の通知(法第 10条第3項)

    ⑥洪水予報の発表及び通知(法第 11 条第1項、気象業務法第 14 条の2第3項)

    ⑦量水標管理者からの水位の通報及び公表(法第 12 条)

    ⑧水位周知河川、水位周知下水道及び水位周知海岸の水位到達情報の通知及び周

    知(法第 13 条第2項及び第3項、第 13条の2第1項並びに第 13 条の3)

    ⑨洪水予報又は水位到達情報の通知の関係市町村長への通知(法第 13 条の2)

    ⑩洪水浸水想定区域、内水浸水想定区域及び高潮浸水想定区域の指定、公表及び

    通知(法第 14 条、第 14条の2及び第 14条の3)

    ⑪都道府県大規模氾濫減災協議会の設置(法第 15 条の 10)

    ⑫水防警報の発表及び通知並びに水防警報河川等指定したときの公示(法第 16

    条第1項、第3項及び第4項)

    ⑬水防信号の指定(法第 20 条)

    ⑭避難のための立退きの指示(法第 29 条)

  • 9

    ⑮緊急時の水防管理者、水防団長又は消防機関の長への指示(法第 30 条)

    ⑯水防団員の定員の基準の設定(法第 35条)

    ⑰水防協力団体に対する情報の提供又は指導若しくは助言(法第 40 条)

    ⑱水防管理団体に対する水防に関する勧告又は助言(法第 48 条)

    (2)水防管理団体の責任

    管轄区域内の水防を十分に果たすべき責任を有する(法第3条)。具体的には、

    主に次のような事務を行う。

    ①水防団の設置(法第5条)

    ②水防団員等の公務災害補償(法第6条の2)

    ③平常時における河川等の巡視(法第9条)

    ④水位の通報(法第 12条第1項)

    ⑤水位周知下水道の水位到達情報の通知及び周知(第 13 条の2第2項)

    ⑥内水浸水想定区域の指定、公表及び通知(第 14 条の2)

    ⑦浸水想定区域における円滑かつ迅速な避難の確保及び浸水の防止のための措

    置(法第 15 条)

    ⑧避難確保計画又は浸水防止計画を作成していない地下街等の所有者又は管理

    者への必要な指示、指示に従わなかった旨の公表(法第 15条の2)

    ⑨避難確保計画を作成していない要配慮者利用施設の所有者又は管理者への必

    要な指示、指示に従わなかった旨の公表(法第 15 条の3)

    ⑩浸水被害軽減地区の指定・公示及び通知、標識の設置、土地の形状変更の届出

    を受理した際の通知・届出者への助言又は勧告(法第 15 条の6、法第 15条の

    7、法第 15 条の8)

    ⑪予想される水災の危険の周知(法第 15条の 11)

    ⑫水防団及び消防機関の出動準備又は出動(法第 17 条)

    ⑬緊急通行により損失を受けた者への損失の補償(法第 19条第2項)

    ⑭警戒区域の設定(法第 21 条)

    ⑮警察官の援助の要求(法第 22 条)

    ⑯他の水防管理者又は市町村長若しくは消防長への応援要請(法第 23 条)

    ⑰堤防決壊等の通報、決壊後の措置(法第 25 条、法第 26条)

    ⑱公用負担により損失を受けた者への損失の補償(法第 28条第3項)

    ⑲避難のための立退きの指示(法第 29 条)

    ⑳水防訓練の実施(法第 32 条の2)

    ㉑(指定水防管理団体)水防計画の策定及び要旨の公表(法第 33 条第1項及び

    第3項)

    ㉒(指定水防管理団体)水防協議会の設置(法第 34 条)

    ㉓水防協力団体の指定・公示(法第 36 条)

    ㉔水防協力団体に対する監督等(法第 39条)

    ㉕水防協力団体に対する情報の提供又は指導若しくは助言(法第 40 条)

    ㉖水防従事者に対する災害補償(法第 45条)

  • 10

    ㉗消防事務との調整(法第 50 条)

    (3)国土交通省の責任

    ①水防管理団体が行う水防への協力(河川法第 22 条の2)

    ②洪水予報の発表及び通知(法第 10 条第2項、気象業務法第 14 条の2第2項)

    ③量水標管理者からの水位の通報及び公表(法第 12 条)

    ④水位周知河川の水位到達情報の通知及び周知(法第 13 条第1項)

    ⑤洪水予報又は水位到達情報の通知の関係市町村長への通知(法第 13 条の4)

    ⑥洪水浸水想定区域の指定、公表及び通知(法第 14 条)

    ⑦大規模氾濫減災協議会の設置(法第 15条の9)

    ⑧水防警報の発表及び通知(法第 16 条第1項及び第2項)

    ⑨重要河川における都道府県知事等に対する指示(法第 31条)

    ⑩特定緊急水防活動(法第 32 条)

    ⑪水防協力団体に対する情報の提供又は指導若しくは助言(法第 40 条)

    ⑫都道府県等に対する水防に関する勧告及び助言(法第 48条)

    (4)河川管理者の責任

    ①水防管理者に対する浸水被害軽減地区の指定及び市町村長に対する水害リス

    ク情報の把握に関する情報提供及び助言(法第 15 条の 12)

    (5)気象庁の責任

    ①気象、津波、高潮及び洪水の予報及び警報の発表及び通知(法第 10 条第1項、

    気象業務法第 14条の2第1項)

    ②洪水予報の発表及び通知(法第 10 条第2項、法第 11 条第1項並びに気象業務

    法第 14 条の2第2項及び第3項)

    (6)居住者等の義務

    ①水防への従事(法第 24 条)

    ②水防通信への協力(法第 27 条)

    (7)水防協力団体の義務

    ①決壊の通報(法第 25条)

    ②決壊後の処置(法第 26 条)

    ③水防訓練の実施(法第 32 条の2)

    ④津波避難訓練への参加(法第 32条の3)

    ⑤業務の実施等(法第 36 条、第 37 条、第 38条)

    <解説>

    【任意】法に規定されている水防に関係する各主体の責任、義務、またそれに関連する主

    な事務内容について記述する。

    1.4 水防計画の作成及び変更

    (1)水防計画の作成及び変更

    市は、毎年、県の水防計画に応じて、出水期前までに水防計画に検討を加え、必

  • 11

    要があると認めるときは変更を行う。水防計画を変更するときは、あらかじめ、水

    防協議会に諮るとともに、○○県知事に届け出るものとする。

    また、市は、水防計画を変更したときは、その要旨を公表するものとする。

    (2)水防協議会の設置

    市は、水防計画その他水防に関し重要な事項を調査審議させるために、水防協議

    会を置くものとする。

    水防協議会に関し必要な事項は、法第 34 条に定めるもののほか、条例で定める

    ものとする。

    (3)大規模氾濫減災協議会

    国土交通大臣が組織する大規模氾濫減災協議会及び知事が組織する都道府県大

    規模氾濫減災協議会において取りまとめられた「地域の取組方針」ついては、水防

    計画へ反映するなどして、取組を推進するものとする。

    <解説>

    【推奨】水防管理団体の水防計画について、都道府県との協議時期等を記述しておくこ

    とが望ましい。また、水防計画その他水防に関し重要な事項を調査審議するための水防

    協議会を設置している場合は、その設置に関しても記述しておくことが望ましい。(なお、

    水防協議会を設置していない水防管理団体については、法第 33 条の規定により、水防協

    議会を設置せず、かつ、災害対策基本法第 16 条第1項に規定する市町村防災会議を設置

    する市町村である指定水防管理団体にあっては当該市町村防災会議に諮ることとなる。)

    大規模氾濫減災協議会及び都道府県大規模氾濫減災協議会については、協議が調った事

    項は法第 15 条の9第3項(同項を第 15 条の 10 第3項において準用する場合を含む)に

    より水防計画作成者の責任においてこれを実施する責務を負うため、記述しておくこと

    が望ましい。

    1.5 津波における留意事項

    津波は、発生地点から当該沿岸までの距離に応じて‘遠地津波’と‘近地津波’に

    分類して考えられる。遠地津波の場合は、原因となる地震発生からある程度時間が経

    過した後、津波が襲来する。近地津波の場合は、原因となる地震発生から短時間のう

    ちに津波が襲来する。従って、水防活動及び水防団員自身の避難に利用可能な時間は

    異なる。

    遠地津波で襲来まで時間がある場合は、正確な情報収集、水防活動、避難誘導等が

    可能なことがある。しかし、近地津波で、かつ安全な避難場所までの所要時間がかか

    る場合は、水防団員自身の避難以外の行動が取れないことが多い。

    従って、あくまでも水防団員自身の避難時間を確保したうえで、避難誘導や水防活

    動を実施しなければならない。

    1.6 安全配慮

    洪水、内水、津波又は高潮のいずれにおいても、水防団自身の安全確保に留意して

  • 12

    水防活動を実施するものとする。

    避難誘導や水防作業の際も、水防団員自身の安全は確保しなければならない。

    例)水防団員自身の安全確保のために配慮すべき事項の作成例

    ・水防活動時にはライフジャケットを着用する。

    ・水防活動時の安否確認を可能にするため、通常のものが不通の場合でも利用可能

    な通信機器を携行する。

    ・水防活動は、ラジオを携行する等、最新の気象情報を入手可能な状態で実施する。

    ・指揮者は、水防活動が長時間にわたるときは、疲労に起因する事故を防止するた

    め団員を随時交代させる。

    ・水防活動は原則として複数人で行う。

    ・水防活動を行う範囲に応じて監視員を適宜配置する。

    ・指揮者又は監視員は、現場状況の把握に努め、水防団員の安全を確保するため、

    必要に応じ、速やかに退避を含む具体的な指示や注意を行う。

    ・指揮者は水防団員等の安全確保のため、予め活動可能な時間等を水防団員等へ周

    知し、共有しなければならない。

    ・指揮者は、活動中の不測の事態に備え、退避方法、退避場所、退避を指示する合

    図等を事前に徹底する。

    ・津波浸水想定の区域内にある水防団は、気象庁が発表する津波警報等の情報を入

    手し、活動可能時間が確保できることを確認するまでは、原則として退避を優先

    する。

    ・出水期前に、洪水時の堤防決壊の事例等の資料を水防団員全員に配付し、安全確

    保のための研修を実施する。

    <解説>

    【必須】法第7条第2項において、「水防計画は、津波の発生時における水防活動その他

    危険を伴う水防活動に従事する者の安全の確保が図られるように配慮されたものでな

    ければならない」とされており、水防活動時に通信機器を携行する、ライフジャケット

    を着用する等の装備について明確化して記述すること等が考えられる。また、安全確

    保のため、地域の具体的な避難行動を踏まえて、一つの水防団あるいは水防団員が受

    け持つ水門や樋門の数を見直すといった地域の実情、遠隔操作等が可能な水門・樋門

    の整備状況などに応じた検討を行い、水防計画に反映するものとする。

    【推奨】出水期前には、水防団員を対象とした安全確保のための研修を実施する。特に、

    堤防決壊前の退避の判断に資するため、決壊直前の堤体の挙動や漏水の事例等は、水

    防団員全員に資料配布することが望ましい。

  • 13

    第2章 水防組織

    市の水防組織

    水防に関係のある警報・注意報等の発表又は地震等の発生等により、洪水、内水、

    津波又は高潮のおそれがあると認められるときから洪水等のおそれがなくなったと

    認められるときまで、市は市役所に水防本部を設置し、次の組織で事務を処理する。

    ただし、災害対策本部が設置されたときは、同本部の一部として編入され、その事

    務を処理する。

    (例)

    水防本部長 市長

    副本部長 副市長

    指揮監 土木部長

    副指揮監 土木部次長

    指揮監付 監理課長、道路建設課長、道路維持課長、

    砂防課長、港湾空港課長、都市計画課長、建築課長

    指揮班長 河川課長

    注)上図は洪水・内水を想定したものであるが、津波、高潮時においては指揮班長を「河川課長」と「海岸

    担当の課長」とする。

    班 名 班 長 班 員 業 務

    指揮班 河川課長 土木部各課長補佐、

    技術補佐

    水防業務全般にわたる指揮及び緊急対策

    管理班 河川課管理係長 河川課管理係員 水防業務全般にわたる企画、水防資器材及

    び気象情報の整備(雨量、水位、風速、流

    量、潮位、気象情報の調査、記録及び通報)

    調査班 河川課災害係長 河川課災害係員 土木災害関係の速報、土木災害状況の記録

    報告、災害応急復旧の調査費配分

    災害

    調査班

    河川課防災海岸係長 河川課防災海岸係員 河川、海岸災害の調査

    道路維持課維持補修係長 道路維持課維持補修

    係員

    道路の災害調査

    港湾空港課防災係長 港湾空港課防災係員 港湾の災害調査

    砂防課砂防係長 砂防課砂防係員 砂防の災害調査

    建築課監察指導係長 建築課監察指導係員 宅造地の災害調査

    建築課住宅政策室住宅企

    画係長

    建築課住宅政策室住

    宅企画係員

    住宅の災害調査

    警防班 河川課治水係長 河川課治水係員 水防工法の指導

    〃 開発係長 〃 開発係員

    連絡

    調整班

    監理課企画調整係長 監理課企画調整係員 部内の連絡調整

    本表に含まれない者は指揮監の指示により臨時に所要の業務を分担する。

    注)上表は洪水・内水を想定したものであるが、津波、高潮時においては「河川担当の役職者」の部分に

    「海岸担当の役職者」を加える。

    管 理 班

    災害調査班

    調 査 班

    現地指導班

    連絡調整班 指 揮 監 付

    警 防 班

  • 14

    <解説>

    【必須】水防管理団体の水防組織について、都道府県の水防組織に準じて水防本部及び

    本部各班(現地指導班を含む)の事務分担等について、各水防管理団体の実情に合わせて

    記述する。災害対策本部が設置された場合の水防本部の扱いも適宜補足すること。

    【推奨】平成 27 年の水防法改正に伴い、水防法の目的に内水が明示されたが、従前より

    内水に対する水防活動は、洪水に対する水防活動の一環として含まれてきたものである

    ことから、体制変更の必要はないが、実情に応じ適宜見直すものとする。

  • 15

    第3章 重要水防箇所

    重要水防箇所は、堤防の決壊、漏水、川の水があふれる等の危険が予想される箇所

    であり、洪水等に際して水防上特に注意を要する箇所である。

    国土交通省管理河川における重要水防箇所の設定基準は、資料3-1のとおりであ

    り、市内の設定箇所及び氾濫した場合に氾濫水が市内に到達する設定箇所は、資料3

    -2のとおりである。

    また、県管理河川における重要水防箇所の設定基準は、資料3-3のとおりであり、

    県内の設定箇所は、資料3-4のとおりである。

    <解説>

    【必須】「水防体制の強化について」(昭和 57 年1月 25 日建設省河治発第6号)におい

    て、重要水防箇所は水防計画の内容とすることとされており、国及び都道府県管理の重

    要水防箇所の設定基準、管轄地域内における設定箇所及び氾濫した場合に市内に氾濫水

    が到達する設定箇所について記述する。設定箇所については、河川名、地先名、左右岸、

    延長、位置、重要度、注意を要する理由、水防対策工法等を一覧表にまとめておく。ま

    た、水防管理団体が独自に水防上注意の必要な箇所を設定している場合、その場所も合

    わせて整理しておく。管轄地域外であっても、当該箇所が氾濫した場合に市内に氾濫水

    が到達する場合には、当該箇所を管轄する水防管理者又は量水標管理者から水位の通報、

    水防管理者等(水防管理者、水防団長、消防機関の長又は水防協力団体の代表者)から決

    壊・漏水等の通報を受けることとなる。

    【必須】重要水防箇所は、河川管理者等と合同で点検を行うなど、平常時から巡視及び警

    戒を行うとともに、洪水時は、河川の監視及び警戒をさらに厳重にし、重要水防箇所を中

    心として巡視を行う(第 10 章参照)。

    【推奨】河川管理者等との合同点検に水防団も参加するなど、水防団との重要水防箇所

    に係る情報共有を図ることが望ましい。

    【推奨】設定箇所については、担当する水防団や住民の避難場所等も記載しておくこと

    が望ましい。また、位置が把握しやすいように、地図上に示しておくことが望ましい。

    【推奨】水防管理団体は、決壊・漏水等が発生したときは、直ちに関係者に通報しなけれ

    ばならないため、氾濫した場合に氾濫水が到達する関係市町村を重要水防箇所ごとに整

    理しておくことが望ましい(第 10 章参照)。

  • 16

    第4章 予報及び警報

    4.1 気象庁が行う予報及び警報

    (1)気象台が発表又は伝達する注意報及び警報

    ○○気象台長は、気象等の状況により洪水、津波又は高潮のおそれがあると認め

    られるときは、その状況を○○地方整備局長及び知事に通知するとともに、必要に

    応じ報道機関の協力を求めて、これを一般に周知させるものとする。

    水防活動の利用に適合する(水防活動用)注意報及び警報は、指定河川洪水予報

    を除き、一般の利用に適合する注意報、警報及び特別警報をもって代える。なお、

    水防活動の利用に適合する特別警報は設けられていない。

    水防活動の利用に適合する注意報、警報の種類と対応する一般の利用に適合する

    注意報、警報、特別警報の種類及びそれらの発表基準は、次のとおりである。

    水防活動の利

    用に適合する

    注意報・警報

    一般の利用に適

    合する注意報・

    警報・特別警報

    発表基準

    水防活動用

    気象注意報 大雨注意報

    大雨による災害が発生するおそれがあると予想したと

    水防活動用

    気象警報

    大雨警報 大雨による重大な災害が発生するおそれがあると予想

    したとき

    大雨特別警報 大雨による重大な災害が発生するおそれが著しく大き

    いと予想したとき

    水防活動用

    洪水注意報 洪水注意報

    大雨、長雨、融雪などにより河川が増水し、災害が発

    生するおそれがあると予想したとき

    水防活動用

    洪水警報 洪水警報

    大雨、長雨、融雪などにより河川が増水し、重大な災

    害が発生するおそれがあると予想したとき

    水防活動用

    高潮注意報 高潮注意報

    台風や低気圧等による異常な海面の上昇により災害が

    発生するおそれがあると予想したとき

    水防活動用

    高潮警報

    高潮警報 台風や低気圧等による異常な海面の上昇により重大な

    災害が発生するおそれがあると予想したとき

    高潮特別警報 台風や低気圧等による異常な海面の上昇により重大な

    災害が発生するおそれが著しく大きいと予想したとき

    水防活動用

    津波注意報 津波注意報

    津波により災害が発生するおそれがあると予想したと

    水防活動用

    津波警報

    津波警報 津波により重大な災害が発生するおそれがあると予想

    したとき

    津波特別警報

    津波により重大な災害が発生するおそれが著しく大き

    いと予想したとき(なお、「大津波警報」の名称で発表

    する)

    ※一般の利用に適合する洪水の特別警報は設けられていない。

  • 17

    (大雨注意報発表基準)(例)

    一次細分区域 市町村等を

    まとめた地域 市町村等

    表面雨量指数基

    準 土壌雨量指数基準

    北部 ○○ ○○市 ○○ ○○

    【備考】

    ※基準値における「・・・以上」の「以上」は省略した。

    ※土壌雨量指数基準は1km 四方毎に設定しているが、欄内の土壌雨量指数基準は市町村

    内における基準値の最低値を示している。

    (大雨警報発表基準)(例)

    一次細分区域 市町村等を

    まとめた地域 市町村等

    表面雨量指数基

    準 土壌雨量指数基準

    北部 ○○ ○○市 ○○ ○○

    【備考】

    ※基準値における「・・・以上」の「以上」は省略した。

    ※土壌雨量指数基準は1km 四方毎に設定しているが、欄内の土壌雨量指数基準は市町村

    内における基準値の最低値を示している。

    (洪水注意報発表基準)(例)

    一次細分

    区域

    市町村等を

    まとめた地域

    市町

    村等

    流域雨量

    指数基準

    複合基準(表面

    雨量指数、流域

    雨量指数)

    指定河川洪水予報

    による発表

    北部 ○○ ○ ○

    ○○川流

    域=○○

    ○○川流域=△

    △、○○

    ○○川[△△]

    【備考】

    ※基準値における「・・・以上」の「以上」は省略した。

    ※基準値は、各流域のすべての地点に設定しているが、欄内には主な河川における代表

    地点の基準値を記載している。主な河川の内市町村等の基準値は空欄としている。

    ※欄中、「○○川流域=○○」は、「○○川流域の流域雨量指数○○以上」を意味する。

    ※欄中、「○○川流域=△△、○○」は、「○○川流域の表面雨量指数△△以上かつ流域雨

    量指数○○以上」を意味する。

    ※基準が設定されていない市町村等については、その欄を“-”で示している。

    ※「指定河川洪水予報による発表」の「○○川[△△]」は、「○○川に発表された指定河

    川洪水予報において、△△基準観測点で氾濫注意情報の発表基準を満たしている場合

    に洪水注意報を発表する」ことを意味する。

    (洪水警報発表基準)(例)

    一次細

    分区域

    市町村等を

    まとめた地域

    市町

    村等

    流域雨量指数

    基準

    複合基準(表面

    雨量指数、流域

    指定河川洪水予報

    による発表

  • 18

    雨量指数)

    北部 ○○ ○ ○

    ○○川流域=

    ○○

    ○○川流域=△

    △、○○

    ○○川[△△]

    【備考】

    ※基準値における「・・・以上」の「以上」は省略した。

    ※基準値は、各流域のすべての地点に設定しているが、欄内には主な河川における代表

    地点の基準値を記載している。主な河川の内市町村等の基準値は空欄としている。

    ※欄中、「○○川流域=○○」は、「○○川流域の流域雨量指数○○以上」を意味する。

    ※欄中、「○○川流域=△△、○○」は、「○○川流域の表面雨量指数△△以上かつ流域雨

    量指数○○以上」を意味する。

    ※基準が設定されていない市町村等については、その欄を“-”で示している。

    ※「指定河川洪水予報による発表」の「○○川[△△]」は、「○○川に発表された指定河

    川洪水予報において、△△基準観測点で氾濫警戒情報又は氾濫危険情報の発表基準を

    満たしている場合に洪水警報を発表する」ことを意味する。

    (大雨警報・洪水警報等を補足する情報)

    気象庁は、注意報、警報、特別警報を補足する情報として、大雨警報(浸水害)

    の危険度分布、洪水警報の危険度分布および流域雨量指数の予測値を発表する。こ

    れらの概要は次のとおりである。

    種 類 内 容

    大雨警報(浸水害)の

    危険度分布

    短時間強雨による浸水害発生の危険度の高まりの予測を、地図

    上で 1km 四方の領域ごとに 5 段階に色分けして示す情報(常時

    10 分毎に更新)。

    洪水警報の危険度分

    指定河川洪水予報の発表対象ではない中小河川(水位周知河川

    及びその他河川)の洪水害発生の危険度の高まりの予測を、地

    図上で概ね 1km ごとに 5 段階に色分けして示す情報(常時 10

    分毎に更新)。

    流域雨量指数の予測

    水位周知河川及びその他河川の各河川を対象として、上流域で

    の降雨によって、下流の対象地点の洪水危険度がどれだけ高ま

    るかを示した情報。6時間先までの雨量分布の予測(降水短時

    間予報等)を取り込んで、流域に降った雨が河川に集まり流れ

    下る量を計算して指数化した「流域雨量指数」について、洪水

    警報等の基準への到達状況に応じて危険度を色分けし時系列

    で表示した情報(常時 10 分毎に更新)。

    (高潮注意報発表基準)(例)

    一次細分区域 市町村等をまとめた地域 市町村等 潮位基準

    北部 ○○ ○○市 ○○m

    【備考】

  • 19

    ※基準値における「・・・以上」の「以上」は省略した。

    ※潮位の基準面は、東京湾平均海面(TP)である。

    ※基準が設定されていない市町村等については、その欄を“-”で示している。

    (高潮警報発表基準)(例)

    一次細分区域 市町村等をまとめた地域 市町村等 潮位基準

    北部 ○○ ○○市 ○○m

    【備考】

    ※基準値における「・・・以上」の「以上」は省略した。

    ※潮位の基準面は、東京湾平均海面(TP)である。

    ※基準が設定されていない市町村等については、その欄を“-”で示している。

    (大雨・高潮特別警報発表基準)

    現象の種類 基準

    大雨 台風や集中豪雨により数十年に一度の降雨量となる大雨が予想

    され、若しくは、数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気

    圧により大雨になると予想される場合

    高潮 数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧により高潮に

    なると予想される場合

    (津波警報・注意報の種類)

    津波による災害の発生が予想される場合には、気象庁が、大津波警報、津波警報又

    は津波注意報を発表する。

    (ア)種類

    大津波警報:津波により重大な災害が発生するおそれが著しく大きいと予想され

    るとき発表(予想される津波の高さが高いところで3mを超える場

    合)

    津 波 警 報:津波による重大な災害のおそれがあると予想されるとき発表(予想

    される津波の高さが高いところで1mを超え、3m以下の場合)

    津波注意報:津波による災害のおそれがあると予想されるとき発表(予想される津波の

    高さが高いところで0.2m以上、1m以下の場合)

    (イ)発表される津波の高さ等

    種類

    予想される津波の高さ

    高さの区分

    (発表基準) 数値での表現 巨大地震の場合の表現

    大津波警報

    10m~ 10m超

    巨大 5m~10m 10m

  • 20

    3m~5m 5m

    津波警報 1m~3m 3m 高い

    津波注意報 20cm~1m 1m (表記しない)

    (注)1 津波による災害のおそれがなくなったと認められる場合、大津波警報、津

    波警報又は津波注意報の解除を行う。このうち、津波注意報は、津波の観測

    状況等により、津波がさらに高くなる可能性は小さいと判断した場合には、

    津波の高さが発表基準より小さくなる前に、海面変動が継続することや留意

    事項を付して解除を行う場合がある。

    2 「津波の高さ」とは、津波によって潮位が高くなった時点におけるその潮

    位とその時点に津波がなかったとした場合の潮位との差であって、津波によ

    って潮位が上昇した高さをいう。

    (津波注意報発表基準)(例)

    津波予報区 区域 発表基準

    ○○湾 ○○県(△△岬以東に限る) ○○湾で予想される津波の高さが高

    いところで、0.2 メートル以上1メー

    トル以下である場合であって津波に

    よる災害のおそれがある場合

    【備考】

    (津波警報発表基準)(例)

    津波予報区 区域 発表基準

    ○○湾 ○○県(△△岬以東に限る) (大津波警報)

    ○○湾で予想される津波の高さが高

    いところで3メートルを超える場合

    (津波警報)

    ○○湾で予想される津波の高さが高

    いところで1メートルを超え、3メー

    トル以下である場合

    【備考】

    (ウ)津波情報

    大津波警報、津波警報、津波注意報を発表した後、「予測される津波の高さ」、

    「津波の到達予想時刻」等の情報を発表する。

    (津波情報の種類)

    種類 内容

    津波情報

    津波到達予想時刻・予想される

    津波の高さに関する情報

    各津波予報区の津波の到達予測

    時刻や予想される津波の高さを

    発表します。

    各地の満潮時刻・津波到達予想 主な地点の満潮時刻・津波の到達

  • 21

    時刻に関する情報 予想時刻を発表します。

    津波観測に関する情報 沿岸で観測した津波の時刻や高

    さを発表します。

    沖合の津波観測に関する情報

    沖合で観測した津波の時刻や高

    さ、及び沖合の観測値から推定さ

    れる沿岸での津波の到達時刻や

    高さを津波予報区単位で発表し

    ます。

    (注)3 津波警報等の発表後、沖合や沿岸の観測点で観測した津波の高さや到達時

    刻を発表する。なお、大津波警報を発表している沿岸で、観測された津波の

    高さが1m以下のとき、又は津波警報を発表している沿岸で、観測された津

    波の高さが20cm未満のときは、津波の高さを「観測中」と発表する。ま

    た、沖合の津波観測に関する情報では、沿岸からの距離が 100km 以内の観測

    点について沖合の観測値から推定される沿岸での津波の高さが、大津波警報

    を発表している沿岸で3m以下、津波警報を発表している沿岸で1m以下の

    ときは、沖合で観測された津波の高さを「観測中」、推定される沿岸での津波

    の高さを「推定中」と発表する。沿岸からの距離が 100km を超える観測点に

    ついて、津波予報区との対応付けが難しいため、沿岸での推定値は発表しな

    い。また、最大波の観測値については数値ではなく「観測中」とする。

    (エ)津波予報

    地震発生後、津波による災害が起こるおそれがない場合には、以下の内容を津

    波予報で発表する。

    発表基準 内容

    津波予報

    津波が予想されないとき(地震

    情報に含めて発表)

    津波の心配なしの旨を地震情

    報に含めて発表する。

    20cm未満の海面変動が予

    想されたとき(津波に関するそ

    の他の情報に含めて発表)

    高いところでも20cm未満

    の海面変動のため被害の心配

    はなく、特段の防災対応の必要

    がない旨を発表する。

    津波注意報解除後も海面変動

    が継続するとき(津波に関する

    その他の情報に含めて発表)

    津波に伴う海面変動が観測さ

    れており、今後も継続する可能

    性が高いため、海に入っての作

    業や釣り、海水浴などに際して

    は十分な留意が必要である旨

    を発表する。

    (気象庁が発表する特別警報)(参考)

    気象庁は、予想される現象が特に異常であるため重大な災害の起こるおそれが著し

    く大きい場合として降雨量その他に関し気象庁が定める基準に該当する場合には、大

    雨、津波、高潮等についての一般の利用に適合する警報(特別警報)をする。なお、

  • 22

    津波については、既存の大津波警報が特別警報に位置付けられる。

    また、水防活動用の特別警報は設けられていない。

    <解説>

    【推奨】気象台が発表又は伝達する注意報及び警報については、必要な対応を円滑に遂

    行できるよう、予めこれらの情報を入手した場合の対応について計画に記載しておくこ

    とが望ましい。

    (2)警報等の伝達経路及び手段

    ①洪水等の場合

    (例)

    <解説>

    【必須】法第2条において、水防計画には水防上必要な通信、連絡について規定すること

    とされており、法第 10 条第1項及び気象業務法第 14 条の2第1項の規定により気象庁

    が単独で行う水防活動の利用に適合する注意報及び警報について、その種類や発表基準、

    伝達経路、伝達手段を記述する。伝達経路については、法令で定められた経路のほか、協

    ○○地方気象台

    ○○県警察本部

    総務省消防庁

    国土交通省○○河川事務所

    ○○海上保安本部

    ○○県危機管理防災課

    東日本(西日本)電信電話(株)

    NHK○○放送局

    関係市町村

    関係市町村

    関係市町村

    関係市町村

    公衆(住民等)

    船舶

    放送

    消防本部等

    県出先機関

    消防本部等

    消防本部等

    消防本部等

    指定地方行政機関

    指定公共機関

    報道機関 放送等

    関係警察署

  • 23

    定等で決められた経路についても記述する。また、伝達手段については、各機関の機器の

    更新状況等を確認し、最新の伝達手段を記載するようにする。機器障害等により通常の

    伝達経路が途絶した場合の代替の伝達経路、伝達手段についても明確にしておくこと。

  • 24

    ②津波の場合

    (例)

    ※)気象庁本庁から管区警察局が受ける通知については大津波警報、津波警報に限る。

    ※)管区海上保安本部、管区警察局、NHK 放送局への警報の通知は、地方気象台から行う場合もある。

    <解説>

    【必須】法第2条において、水防計画には水防上必要な通信、連絡について規定すること

    とされており、気象庁が行う津波に関する注意報及び警報について、その種類や発表基

    準、伝達経路、伝達手段を記述する。伝達経路については、法令で定められた経路のほ

    か、協定等で決められた経路についても記述する。また、伝達手段については、各機関の

    機器の更新状況等を確認し、最新の伝達手段を記載するようにする。機器障害等により

    通常の伝達経路が途絶した場合の代替の伝達経路、伝達手段についても明確にしておく

    こと。

    4.2 洪水予報河川における洪水予報

    (1)種類及び発表基準

    知事は、国土交通大臣が指定した河川について洪水予報の通知を受けたとき、又

    は知事が指定した河川について洪水予報をしたときは、水防管理者及び量水標管理

    者に通知するとともに、必要に応じ報道機関の協力を求めて、これを一般に周知す

    る。

    また、避難のための立退きの勧告又は指示の判断に資するため、大臣が指定した

    ○○地方気象台

    ○○管区海上保安本部

    NHK

    東日本(西日本)電信電話(株)

    総務省消防庁

    国土交通省○○河川事務所

    ○○県危機管理防災課

    ○○海上保安本部

    NHK○○放送局

    公衆(住民等)

    ○○県警察本部

    県出先機関 消防本部等

    指定地方行政機関

    指定公共機関

    報道機関 放送等

    気象庁本庁

    ○○管区警察局 関係警察署

    関係市町村

    △△海上保安本部

    船舶

    船舶

    放送

  • 25

    河川については大臣から、知事が指定した河川については知事から、関係市町村長

    にその通知に係る事項を通知する。

    発表する情報の種類、発表基準は、次のとおりである。

    種 類 発表基準

    氾濫注意情報

    (洪水注意報)

    基準地点の水位が氾濫注意水位(警戒水位)に到達し、更に水位上

    昇が見込まれるとき

    氾濫警戒情報

    (洪水警報)

    基準地点の水位が一定時間後に氾濫危険水位に到達することが見

    込まれるとき、又は、避難判断水位に到達し、更に水位上昇が見込

    まれるとき

    氾濫危険情報

    (洪水警報) 基準地点の水位が氾濫危険水位に到達したとき

    氾濫発生情報

    (洪水警報) 氾濫が発生したとき

    (2)国土交通省と気象庁が共同で行う洪水予報

    ①洪水予報を行う河川名、区域

    (例)

    予報

    区域名

    河川名 区 域

    ○○川

    上流

    ○○川 左岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から○○橋まで

    右岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から○○橋まで

    ○○川 左岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から○○橋まで

    右岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から○○橋まで

    ②洪水予報の対象となる基準観測所

    (例)

    予報

    区域名

    河川名 観測

    所名

    地先名 水防団

    待機

    水位

    氾濫

    注意水位

    (警戒水

    位)

    避難判断

    水位

    氾濫

    危険水位

    ○○川

    上流

    ○○川 ○○ ○ ○ 県

    ○ ○ 市

    ○○

    ○.○○m ○.○○m ○.○○m ○.○○m

    ③洪水予報の担当官署

    (例)

    予報区域名 担当官署

    ○○川上流 ○○河川事務所

    ○○地方気象台

    ④洪水予報の発表形式

    発表形式は、資料4-1のとおり。

  • 26

    ⑤洪水浸水想定区域

    (例)

    予報区域名 洪水浸水想定区域

    ○○川上流 ○○市、○○町、○○村

    ⑥洪水予報の伝達経路及び手段

    水防法に基づく洪水予報の伝達経路及び手段は、資料4-2のとおり。

    (3)県と気象庁が共同で行う洪水予報

    ①洪水予報を行う河川名、区域

    (例)

    予報

    区域名

    河川名 区 域

    ○○川

    上流

    ○○川 左岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から○○橋まで

    右岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から○○橋まで

    ○○川 左岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から○○橋まで

    右岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から○○橋まで

    ②洪水予報の対象となる基準観測所

    (例)

    予報

    区域名

    河川名 観測

    所名

    地先名 水防団

    待機

    水位

    氾濫

    注意水位

    (警戒水

    位)

    避難判断

    水位

    氾濫

    危険水位

    ○○川

    上流

    ○○川 ○○ ○ ○ 県

    ○ ○ 市

    ○○

    ○.○○m ○.○○m ○.○○m ○.○○m

    ③洪水予報の担当官署

    (例)

    予報区域名 担当官署

    ○○川上流 ○○河川事務所

    ○○地方気象台

    ④洪水予報の発表形式

    発表形式は、資料4-1のとおり。

    ⑤洪水浸水想定区域

    (例)

    予報区域名 洪水浸水想定区域

    ○○川上流 ○○市、○○町、○○村

    ⑥洪水予報の伝達経路及び手段

    水防法に基づく洪水予報の伝達経路及び手段は、資料4-3のとおり。

  • 27

    <解説>

    【必須】法第2条において、水防計画には水防上必要な通信、連絡について規定すること

    とされており、法第 10 条第2項、法第 11 条第1項並びに気象業務法第 14 条の2第2項

    及び第3項の規定により国土交通省と気象庁又は都道府県と気象庁が共同で行う水防活

    動の利用に適合する注意報及び警報について、情報の種類、発表基準のほか、予報区域

    名、対象となる河川区間や基準観測所、情報の伝達経路、伝達手段を記述する。法第 10

    条第2項に規定された氾濫後の予報が実施されている場合は、氾濫後の予報に関しても

    同様の内容について記述する。なお、平成 25 年の水防法改正により、避難のための立退

    きの勧告又は指示若しくは屋内での待避等の安全確保措置の指示の判断に資するため、

    関係市町村長への通知が追加されており、大臣が指定した河川について大臣から、知事

    が指定した河川については知事から、洪水予報が関係市町村長にも通知される。

    【必須】伝達経路については、予報区域別に、資料4-3に示した水防法に基づく経路に

    加え、その他法令で定められた経路や、協定等で決められた経路についても記述する。ま

    た、伝達手段については、各機関の機器の更新状況等を確認し、最新の伝達手段を記載す

    るようにする。機器障害等により通常の伝達経路が途絶した場合の代替の伝達経路、手

    段についても明確にしておくこと。

    【必須】氾濫危険水位は、箇所毎の危険水位を洪水予報観測所に換算した水位のうち、洪

    水予報の受け持つ予報区域において最も低い水位である。箇所毎の危険水位は、計画高

    水位もしくは越水又は溢水が発生するまでのリードタイムを考慮して設定した水位のど

    ちらか低い方の水位をもって設定する。

    【必須】原則として、洪水予報は越水・溢水による氾濫を対象としているが、漏水・浸食

    による氾濫についても情報を提供することが必要であり、水防法では、異常な漏水等が

    発生した場合には、水防管理者等は直ちに関係者(関係機関・団体)に通報しなければな

    らないこととされている。そのため、第 10 章において、重要水防箇所等の巡視及び警戒、

    決壊・漏水等の通報に関する措置を定めることとする。

    【推奨】対象河川の浸水想定区域に含まれる市町村名も記述しておくことが望ましい。

    また、関係市町村長は、洪水予報の通知を、水防管理者として知事から、避難勧告等を判

    断する市町村長として大臣又は知事からそれぞれ受けることとなるが、避難勧告等の発

    令基準となる具体的な水位については、市町村地域防災計画に定めておくことが望まし

    い。

    4.3 水位周知河川における水位到達情報

    (1)種類及び発表基準

    知事は、国土交通大臣が指定した河川について水位到達情報の通知を受けたとき、

    又は知事が指定した河川について、水位が氾濫危険水位(法第 13 条第1項及び第

    2項に規定される洪水特別警戒水位)に達したときは、その旨を当該河川の水位又

    は流量を示して水防管理者及び量水標管理者に通知するとともに、必要に応じて報

    道機関の協力を求めて、一般に周知させる。

    また、避難のための立退きの勧告又は指示の判断に資するため、大臣が指定した

  • 28

    河川については大臣から、知事が指定した河川については知事から、関係市町村長

    にその通知に係る事項を通知する。

    氾濫注意水位(警戒水位)、避難判断水位への到達情報(氾濫注意水位を下回っ

    た場合の情報(氾濫注意情報の解除)を含む。)、氾濫発生情報の発表は、可能な範

    囲で行うこととする。

    発表する情報の種類、発表基準は、次のとおりである。

    種 類 発表基準

    氾濫注意情報 基準地点の水位が氾濫注意水位(警戒水位)に到達したとき

    氾濫警戒情報 基準地点の水位が避難判断水位に到達したとき

    氾濫危険情報 基準地点の水位が氾濫危険水位(洪水特別警戒水位)に到達したとき

    氾濫発生情報 氾濫が発生したとき

    (2)国土交通省が行う水位到達情報の通知

    ①水位到達情報の通知を行う河川名、区域

    (例)

    河川名 区 域

    ○○川 左岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から○○橋まで

    右岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から○○橋まで

    ②水位到達情報の通知の対象となる基準観測所

    (例)

    河川名 観測

    所名

    地先名 水防団

    待機

    水位

    (通報水

    位)

    氾濫

    注意

    水位

    (警戒水

    位)

    避難判

    断水位

    氾濫

    危険

    水位

    (洪水特別

    警戒水位)

    計画高

    水位

    関係

    水防

    管理

    団体

    ○○川 ○○ ○○県

    ○○市

    ○○

    ○.○○m ○.○○m ○.○○m ○.○○m ○.○○m ○○市

    ③水位到達情報の通知の担当官署

    (例)

    河川名 担当官署

    ○○川 ○○河川事務所

    ④水位到達情報の通知の発表形式

    発表形式は、資料4-4のとおり。

    ⑤洪水浸水想定区域

    (例)

    河川名 洪水浸水想定区域

    ○○川 ○○市、○○町、○○村

  • 29

    ⑥水位到達情報の伝達経路及び手段

    水位到達情報の伝達経路及び手段は、資料4-5のとおり。

    (3)県が行う水位到達情報の通知

    ①水位到達情報の通知を行う河川名、区域

    (例)

    河川名 区 域

    ○○川 左岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から○○橋まで

    右岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から○○橋まで

    ②水位到達情報の通知の対象となる基準観測所

    (例)

    河川名 観測

    所名

    地先名 水防団

    待機

    水位

    (通報水

    位)

    氾濫

    注意

    水位

    (警戒水

    位)

    避難判

    断水位

    氾濫

    危険

    水位

    (特別警戒

    水位)

    計画高

    水位

    関係

    水防

    管理

    団体

    ○○川 ○○ ○○県

    ○○市

    ○○

    ○.○○m ○.○○m ○.○○m ○.○○m ○.○○m ○○市

    ③水位到達情報の通知の担当官署

    (例)

    河川名 担当官署

    ○○川 ○○河川事務所

    ④水位到達情報の通知の発表形式

    発表形式は、資料4-4のとおり。

    ⑤洪水浸水想定区域

    (例)

    河川名 洪水浸水想定区域

    ○○川 ○○市、○○町、○○村

    ⑥水位到達情報の伝達経路及び手段

    水位到達情報の伝達経路及び手段は、資料4-6のとおり。

    <解説>

    【必須】法第2条において、水防計画には水防上必要な通信、連絡について規定すること

    とされており、法第 13 条の規定により国土交通省又は都道府県が行う水位到達情報の通

    知について、情報の種類、発表基準のほか、対象となる河川区間や基準観測所、情報の伝

    達経路、伝達手段を記述する。なお、平成 25 年の水防法改正により、避難のための立退

    きの勧告又は指示の判断に資するため、関係市町村長への通知が追加されており、大臣

    が指定した河川について大臣から、知事が指定した河川については知事から、水位到達

  • 30

    情報が関係市町村長にも通知される。

    【必須】水位周知河川における水位到達情報の発表は、法第 13 条第1項の規定に基づき

    行う氾濫危険水位(洪水特別警戒水位)への到達情報の発表のほか、「洪水等に関する防

    災情報体系の見直しについて」(平成 18 年 10 月1日河川局長通知)に基づき、氾濫注意

    水位(警戒水位)、及び避難判断水位への到達情報、氾濫発生情報の発表並びに氾濫注意

    水位を下回った場合の情報(氾濫注意水位解除)の発表を行うことができるよう、情報の

    種類や発表基準に適宜補足を行うこと。なお、「洪水時における情報提供の充実について」

    (平成 26 年 4 月 8 日、国水環第 2 号)に基づき、原則として平成 27 年 4 月から洪水特

    別警戒水位は氾濫危険水位に相当するものと変更することとした。

    【必須】伝達経路については、対象河川区間別に、資料4-5、4-6に示した水防法に

    基づく経路に加え、その他法令で定められた経路や、協定等で決められた経路について

    も記述する。また、伝達手段については、各機関の機器の更新状況等を確認し、最新の伝

    達手段を記載するようにする。機器障害等により通常の伝達経路が途絶した場合の代替

    の伝達経路、伝達手段についても明確にしておくこと。

    【必須】氾濫危険水位は、箇所毎の危険水位を水位周知観測所に換算した水位のうち、そ

    の観測所の受け持つ水位周知区間において最も低い水位である。箇所毎の危険水位は、

    計画高水位もしくは越水又は溢水が発生するまでのリードタイムを考慮して設定した水

    位のどちらか低い方の水位をもって設定する。

    【必須】原則として、水位周知は越水・溢水による氾濫を対象としているが、漏水・浸食

    による氾濫についても情報を提供することが必要であり、断面不足等に起因する漏水等

    に関する危険情報が水位到達情報に反映されないこととなる。一方、水防法では、異常な

    漏水等が発生した場合には、水防管理者等は直ちに関係者(関係機関・団体)に通報しな

    ければならないこととされている。そのため、第 10 章において、重要水防箇所等の巡視

    及び警戒、決壊・漏水等の通報に関する措置を定めることとする。

    【推奨】対象河川の浸水想定区域に含まれる市町村名も記述しておくことが望ましい。

    また、関係市町村長は、水位到達情報の通知を、水防管理者として知事から、避難勧告等

    を判断する市町村長として大臣又は知事からそれぞれ受けることとなるが、避難勧告等

    の発令基準となる具体的な水位については、市町村地域防災計画に定めておくことが望

    ましい。

    4.4 水位周知下水道における水位到達情報

    (1)種類及び発表基準

    知事は、知事が指定した水位周知下水道について、水位が内水氾濫危険水位(雨

    水出水特別警戒水位)に達したときは、その旨を当該水位周知下水道の水位を示し

    て水防管理者及び量水標管理者に通知するとともに、必要に応じて報道機関の協力

    を求めて、一般に周知させるものとする。

    また、知事が指定した水位周知下水道について通知をした知事は、避難のための

    立退きの勧告又は指示の判断に資するため、関係市町村長にその通知に係る事項を

    通知するものとする。

  • 31

    市町村長は、当該市町村長が指定した水位周知下水道について、水位が内水氾濫

    危険水位(雨水出水出水特別警戒水位)に達したときは、その旨を当該水位周知下

    水道の水位を示して水防管理者、量水標管理者及び県知事に通知し、必要に応じて

    報道機関の協力を求めて、一般に周知させるものとする。

    内水氾濫危険水位を下回り、氾濫のおそれがなくなった場合は、その旨の情報(内

    水氾濫危険情報の解除)を、可能な限り速やかに発表することとする。

    発表する情報の種類、発表基準は、次のとおりである。

    種 類 発表基準

    内水氾濫危険情報 基準地点の水位が内水氾濫危険水位(雨水出水特別警戒水位)に到達し

    たとき

    内水氾濫危険情報

    解除

    基準地点の水位が内水氾濫危険水位(雨水出水特別警戒水位)を下回り、

    氾濫のおそれがなくなったとき

    (2)県が行う水位到達情報の通知

    ①水位到達情報の通知を行う排水施設等名、区域

    (例)

    排水施設等 区 域

    ○○ポンプ施設 ○○市 ○○町○○番地~○○番地、○○町○○番地~○○番地

    ○○市 ○○町、○○町、○○町○○番地~○○番地

    ○○貯留施設 ○○市 ○○町○○番地~○○番地、○○町○○番地~○○番地

    ○○市 ○○町、○○町、○○町○○番地~○○番地

    ②水位到達情報の通知の対象となる基準観測所

    (例)

    排水施設等 観測所

    名 地先名

    氾濫危険水位

    (雨水出水内水特別警戒水位)

    関係水防

    管理団体

    ○○ポンプ施設 ○○ ○○県○○市○○ ○.○○m ○○市、○○水

    防事務組合

    ○○貯留施設 ○○ ○○県○○市○○ ○.○○m ○○市、○○水

    防事務組合

    ③水位到達情報の通知の担当官署

    (例)

    排水施設等 担当官署

    ○○ポンプ施設 ○○事務所

    ○○貯留施設 ○○事務所

    ④水位到達情報の通知の発表形式

    発表形式は、資料4-7のとおり。

    ⑤内水浸水想定区域

    (例)

    排水施設等 内水浸水想定区域

  • 32

    ○○ポンプ施設 ○○市 ○○町、○○町、○○町

    ○○市 ○○町、○○町

    ○○貯留施設 ○○市 ○○町、○○町、○○町

    ○○市 ○○町、○○町

    ⑥水位到達情報の伝達経路及び手段

    水防法に基づく水位到達情報の伝達経路及び手段は、資料4-8のとおり。

    (3)市が行う水位到達情報の通知

    ①水位到達情報の通知を行う排水施設等名、区域

    (例)

    排水施設等 区 域

    ○○ポンプ施設 ○○市 ○○町○○番地~○○番地、○○町○○番地~○○番地

    ○○貯留施設 ○○市 ○○町○○番地~○○番地、○○町○○番地~○○番地

    ②水位到達情報の通知の対象となる基準観測所

    (例)

    排水施設等 観測所

    名 地先名

    氾濫危険水位

    (雨水出水特別警戒水位)

    関係水防

    管理団体

    ○○ポンプ施設 ○○ ○○県○○市○○ ○.○○m ○○市、○○水

    防事務組合

    ○○貯留施設 ○○ ○○県○○市○○ ○.○○m ○○市、○○水

    防事務組合

    ③水位到達情報の通知の担当官署

    (例)

    排水施設等 担当官署

    ○○ポンプ施設 ○○事務所

    ○○貯留施設 ○○事務所

    ④水位到達情報の通知の発表形式

    発表形式は、資料4-7のとおり。

    ⑤内水浸水想定区域

    (例)

    排水施設等 内水浸水想定区域

    ○○ポンプ施設 ○○市 ○○町、○○町、○○町

    ○○貯留施設 ○○市 ○○町、○○町、○○町

    ⑥水位到達情報の伝達経路及び手段

    水防法に基づく水位到達情報の伝達経路及び手段は、資料4-9のとおり。

    <解説>

    【必須】法第2条において、水防計画には水防上必要な通信、連絡について規定すること

  • 33

    とされており、法第 13 条の2の規定により都道府県又は市町村が行う水位到達情報の通

    知について、情報の種類、発表基準のほか、対象となる下水道や基準水位観測所、情報の

    伝達経路、伝達手段を記述する。なお、法第 13 条の4に基づき、都道府県知事が発表す

    る水位到達情報については、避難のための立退きの勧告又は指示の判断に資するため、

    関係市町村長へ通知する必要がある。

    【必須】法第 13 条の2に定める雨水出水特別警戒水位は、発表する情報においては内水

    氾濫危険水位という名称を用いるとともに、情報の種類は水位周知河川と同様「内水氾

    濫危険情報」として行うよう、発表する情報の種類及び発表基準の表を記載すること。

    【必須】伝達経路については、対象下水道別に、資料4-7~4-10に示した水防法に

    基づく経路に加え、その他法令で定められた経路や、協定等で決められた経路について

    も記述する。また、伝達手段については、各機関の機器の更新状況等を確認し、最新の伝

    達手段を記載するようにする。機器障害等により通常の伝達経路が途絶した場合の代替

    の伝達経路、伝達手段についても明確にしておくこと。内水氾濫危険水位到達から氾濫

    するまでの時間はきわめて短いことから、伝達系統にはメールの活用等、瞬時に伝達で

    きる手段を記載すること。なお、市町村が発表する情報については、都道府県へも伝達す

    るよう、水防計画に定めるものとする。

    【必須】内水氾濫危険水位は、内水による災害の発生を特に警戒すべき水位であり、主に

    一般的なビル等の地下空間の利用者を対象に、地上部までの避難に要する時間と下水道

    の水位の上昇速度を考慮して設定した水位である。

    【推奨】対象水位周知下水道の浸水想定区域に含まれる市町村名、地区名も記述してお

    くことが望ましい。

    4.5 水位周知海岸における水位到達情報

    (1)種類及び発表基準

    知事は、知事が指定した海岸について、水位が高潮氾濫危険水位(法第 13 条の

    3に規定される高潮特別警戒水位)に達したときは、その旨を当該海岸の水位を示

    して水防管理者及び量水標管理者に通知するとともに、必要に応じて報道機関の協

    力を求めて、一般に周知させるものとする。

    また、知事が指定した海岸について通知をした知事は、避難のための立退きの勧

    告又は指示の判断に資するため、関係市町村長にその通知に係る事項を通知するも

    のとする。

    高潮氾濫発生情報の発表は、可能な範囲で行うこととする。

    高潮氾濫危険水位を下回り、氾濫のおそれがなくなった場合は、その旨の情報(高

    潮氾濫危険情報の解除)を、可能な限り速やかに発表することとする。

    発表する情報の種類、発表基準は、次のとおりである。

    種 類 発表基準

    高潮氾濫危険情報 基準水位観測所の水位が高潮氾濫危険水位(高潮特別警戒水

    位)に到達したとき

    高潮氾濫発生情報 氾濫が発生したとき

  • 34

    高潮氾濫危険情報解除 基準水位観測所の水位が高潮氾濫危険水位(高潮特別警戒水

    位)を下回ったとき

    (2)水位到達情報の通知

    ①水位到達情報の通知を行う海岸名、区域

    (例)

    海岸名 区 域

    ○ ○ 海 岸

    (○○県)

    ○○海岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○から○○橋まで

    ○○川 右岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から海まで

    左岸 ○○県○○市○○町○○番地先の○○橋から海まで

    ②水位到�