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論文過去問分析講座[再現答案分析編] テキスト見本 · 論文過去問分析講座[再現答案分析編] テキスト見本 *画像はサンプルです。 実際の受験生の答案を再現し、

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商標 65 点(Aさん 特実・意・商の得点の平均 63.5 点)

LEC東京リーガルマインド 弁理士 無断複製・頒布を禁じます

問題Ⅰについて

1.3条2項の趣旨

⑴ 3条1項各号に該当する商標は、識別力が無いものであるから、登録を受け

ることができないのが原則である。

⑵ しかし、3条1項3号~5号に該当する商標は、使用により出所表示機能を

有することが経験則上認められる。このような商標には、保護すべき信用も蓄

積されていると考えられる。

⑶ そこで、法は、このような場合には特別顕著性を有するものとみなして、保

護すべく、3条2項の規定を設けた。

2.3条2項の要件

3条2項は、①出願に係る商標が3条1項3号~5号のいずれかに該当する

こと、②使用された結果、全国的な周知性、すなわち著名になっていること、

③出願商標と使用商標とが同一であること、及び④出願商標に係る指定商品・

役務と使用商標に係る商品・役務とが同一であること、を要件とする。

3.同一性を厳格に解すべきかについて

⑴ 3条2項は、使用により著名となった商標を例外的に登録するものであるか

ら、「出願商標と使用商標の同一性」及び「出願商標に係る指定商品等と使用

商標に係る商品等の同一性」は厳格に解すべきとも思える。

⑵ しかし、実際には使用される商標に企業の名称等が付されていたり、形状等

をわずかに変形させることが実情である。また、商品等も時代の流れに応じて

変化する場合もある。かかる場合に、厳密に解すべきとすると、出願人に酷に

過ぎたり、適切に業務上の信用を保護することができないと考える。この場合、

需要者が、出願商標を認識しているかどうか、出願商標に係る指定商品等とし

て認識しているかどうかを考慮すればよい。

⑶ そこで、上記同一性は、厳格に解すべきでないと考える。

問題Ⅱ⑴について

⑴ 甲は、拒絶査定不服審判を請求すべきである(44 条1項)。拒絶査定の確

定を免れ、出願を庁に継続させるためである。

⑵ 本問において、①甲は拒絶をすべき旨の査定を受けた者であり(44条1項)、

②基準日において拒絶をすべき査定の謄本の送達日から3月を経過していな

い(同項)ため、請求し得る。

⑶ しかし、甲は在外者であるため、このまま請求(準特131条)しても、同請

求が却下されてしまう(準特135条)。

⑷ そこで、甲は、商標管理人を選任し(準特8条)、商標管理人により同請求

をすべきである。

問題Ⅱ⑵について

1.問題の所在

⑴ 本問において、甲は、指定商品「チョコレート」を、「フランス産のチョコ

レート」に減縮する補正をすれば、4条1項16号の拒絶理由を解消できる。

⑵ しかし、甲の出願は国際商標登録出願であるため、拒絶理由通知(15 条の

●原則→しかし→そこで、と流れよくまとめられていています。

●商標については、同一性を損なわない範囲で3条2項の適用が認められる点OKです。 商品等については、

「商標の著名性等を考慮して」、同一の範囲を超えた範囲で適用が認められますね。

●適用要件、わかりやすく整理されていて好印象です。

●甲が在外者であることに留意して論じられていて好印象です。

論文過去問分析講座[再現答案分析編] テキスト見本

*画像はサンプルです。

❶実際の受験生の答案を再現し、 成績と本試験平均点を明示!本試験で実際に受験生が解答した答案を分析検討。評価が端的に分かるように、当該答案の得点を明示しています。科目別得点の平均も明示しているので、答案作成者の本試験における全体の位置付けも分かります。

❷LECの添削指導者による 見解を掲載!良く書けている箇所やそうでない箇所には、その旨の指摘を行うことで、答案のどこが良かったのか悪かったのかが具体的に分かるようになっています。また、「こう書けばよかった」と、一歩踏み込んだ具体的な改善点も示すことで、より良い答案の方向性を示しています。

論文過去問分析講座[縦断分類編]のテキストは、法改正に対応し、答案構成も答案例も掲載内容を改編しています。また、[再現答案分析編]のテキストは、受験生答案には手を加えず、添削指導者コメントにて法改正内容を補足しています。

25 ■ 2020 論文過去問分析講座[縦断分類編] 答案構成分析版

LEC東京リーガルマインド 弁理士 無断複製・頒布を禁じます

令和元年度 問題Ⅰ

甲は、意匠Aを創作して、意匠Aについて全体意匠で令和元年5月7日に意匠登録出

願をし、令和元年5月8日から意匠Aに係る物品を販売した。また、令和元年6月28

日、甲は意匠Aの形状に修正を加え、同じ物品に係る意匠Bを創作した。意匠Bに係る

物品は、2年後の販売を予定している。また、意匠Aに係る意匠登録出願は、令和元年

6月28日時点ではまだ登録されていないが、拒絶理由はなく、その後に登録されるもの

とする。

意匠Aと意匠Bとの関係を考慮して、甲が意匠Bについて全体意匠で意匠登録出願を

するに際して、注意すべき点及び注意する理由について述べよ。

ただし、意匠A、意匠B以外の意匠、及び国際意匠登録出願を考慮する必要はない。

設問骨子

甲は、独自に創作した意匠Aに係る意匠登録出願をし、翌日よりAに係る物品を

販売した。その後、Aの形状に修正を加え同じ物品に係る意匠Bを創作した。Bに

係る物品は2年後の販売を予定している。甲がBについて出願する際に注意すべき

点及びその理由を述べよ。

答案構成

1.関連意匠(10条1項・2項)

・結論:AとBが類似する場合:関連意匠(10条1項・2項)

(・Aの出願日から10年、Aを本意匠、Bを関連意匠)

・理由 & あてはめ

(・Bについて何ら手続を行わずに出願

→ 9条1項(17条1号)

・物品の販売により、Aは公知

→ 3条1項3号(17条1号)

∴ 関連意匠 → Bについて意匠登録可)

・その他:

・「本意匠の表示」の欄を設け、Aを本意匠として特定

・本意匠Aの意匠権が放棄等により消滅していないこと(10条1項但書)

・Aに係る意匠権に専用実施権が設定されていないこと(同条6項)

2.新規性喪失の例外の規定の適用を受けた意匠登録出願(4条、6条)

・結論:AとBが非類似である場合:新規性喪失の例外を受けた出願(4条、6条)

・適式な書類の提出(4条3項)

(・非類似であっても、容易に創作であれば → 3条2項(17条1号)

∴ 新規性喪失の例外 → Bについて意匠登録可)

3.秘密意匠(14条)

・結論:物品の販売を2年後に予定:秘密意匠(14条)

・所定の書面の提出(14条1項・2項)

∴ の実施時期と公表時期を調整

意匠法/第2章 権利化前 ■ 14

無断複製・頒布を禁じます LEC東京リーガルマインド 弁理士

令和元年度 問題Ⅰ

1.関連意匠(10条1項・2項)

AとBが類似する場合、Aに係る意匠登録出願の出願人である甲は、Aの意匠登録

出願の日から10年を経過する日前に、Aを本意匠として、Aに類似するBを関連意匠

として、意匠登録出願をすることに注意すべきである(10条1項・2項)。本問では、

AとBが類似する場合にBについて何ら手続を行わずに意匠登録出願をすると、当該

出願は、Aに係る先願が設定登録されることにより、9条1項による拒絶理由を有し

(17条1号)、また、甲がAに係る物品を販売したことによりAは公知となっているた

め、3条1項3号による拒絶理由を有する(17条1号)。しかし、関連意匠制度を利用

すれば、9条1項の規定にかかわらず(10条1項)、また、3条1項1号に該当するに

至らなかったものとみなされ(同条2項)、Bについて意匠登録を受けることができる

からである。

なお、甲は、Bに係る出願の願書に「本意匠の表示」の欄を設け、Aを本意匠とし

て特定すること、当該関連意匠の意匠権の設定登録の際に本意匠Aの意匠権が放棄等

により消滅していないこと(同項但書)、Aが設定登録された後Aに係る意匠権に専用

実施権が設定されていないこと(同条6項)に注意すべきである。Bについて意匠登

録を受けるためである。

2.新規性喪失の例外の規定の適用を受けた意匠登録出願(4条、6条)

AとBが非類似である場合、甲は、Bについて、Aに係る物品を販売した日から1年

以内に、新規性喪失の例外の規定の適用を受けた適式な意匠登録出願をすることに注

意すべきである(4条2項、6条)。また、甲は、4条2項の規定の適用を受けたい旨

を記載した書面を当該出願と同時に、かつ、証明書を当該出願から30日以内に、特許

庁長官に提出することに注意すべきである(4条3項)。本問では、AとBが非類似で

あっても当業者がAに基づいて容易にBを創作することができた場合、当該出願は、

3条2項による拒絶理由を有する(17条1号)。しかし、新規性喪失の例外の規定の適

用を受ければ、3条1項1号に該当するに至らなかったものとみなされ(4条2項)、

Bについて意匠登録を受けることができるからである。

3.秘密意匠(14条)

甲は、秘密意匠の請求をし、2年の期間を指定した所定の書面をBに係る意匠登録

出願と同時に又は第1年分の登録料の納付と同時に特許庁長官に提出することに注意

すべきである(14条1項・2項)。本問では、甲は、Bに係る物品の販売を2年後に予

定しているが、秘密意匠制度を利用すれば、Bに係る物品の実施時期と公表時期を調

整することができるからである。

*画像はサンプルです。

■ 令和元年度 弁理士試験 論文再現答案集

再現答案 意匠 【54点】

LEC東京リーガルマインド 弁理士 無断複製・頒布を禁じます

問題Ⅰについて

AとBの物品は同一であり、BはAの形状に修正を加えているため、両意

匠の形態は類似する可能性が高く、AとBは意匠として類似する可能性が高

いことを踏まえ、以下回答する。

1.新規性喪失の例外の規定の適用(4条2項)

⑴ 注意すべき点

甲は、Bを出願するにあたり、上記の例外規定の適用を受けることに注意

すべきである(4条2項)。

⑵ 注意すべき理由

甲は、Bの出願前にAに係る物品を販売しているため、Aは新規性を喪失

している(3条1項1号、17条1号)。

従って、そのままBを出願すると、AとBが類似するときは3条1項3号、

Aから当業者がBを容易に創作できるときは3条2項の拒絶理由を有する

(17条1号)ため、上記拒絶理由を回避するためである。

Aの意匠登録を受ける権利を有する甲は(3条1項柱書)、Aの販売日か

ら1年以内にBを出願し(4条2項)、出願と同時に、Bが新規性喪失の例

外規定を適用できる意匠である旨の書面、出願日から原則30日以内に、Bが

4条2項の適用を受けることができる意匠であることの証明書面を、特許庁

長官に提出すべきである(同3項)。

2.関連意匠制度の利用(10条)

⑴ 注意すべき点

AとBが類似する場合、AとBの出願人甲は、Aを本意匠、Bを関連意匠

とし、Aの出願日以後、意匠公報の発行日前にBを出願し(10 条1項)、B

の願書に「本意匠の表示」を設けることに注意すべきである。

⑵ 注意すべき理由

AとBが類似する場合、題意よりAに係る先願は、拒絶理由はなく、その後

に登録されるため、Bに係る出願は9条1項の拒絶理由を有する(17条1号)。

本制度を利用することにより、上記拒絶理由を回避しつつ、1のデザイン

コンセプトであるAから創作されたバリエーションのBについて、同等の創

作的価値を有するものとして保護し、Bの意匠権に基づく権利行使が可能と

なるからである。

3.秘密意匠制度の利用(14条)

⑴ 注意すべき点

Bの出願人甲は、出願と同時または第1年分の登録料の納付と同時に、秘密

請求期間を2年と記載した書面を特許庁長官に提出し(14条2項)、所定の手

数料を納付することにより、Bについて秘密請求すべきである(14条1項)。

⑵ 注意すべき理由

甲は、Bに係る物品について、2年後の販売を予定しており、本制度を利

用することにより、実施時期と公表時期を調整しつつ、他者がBを模倣した

転用意匠を創作することを防止できるからである。

●意匠Aと意匠Bとの関係について、AとBの意匠が類似する場合だけでなく、AとBの意匠が非類似であって、AからBが創作非容易でない場合も指摘しておきましょう。

☆法改正により、関連意匠については、9条1項・2項の適用だけでなく、公知の本意匠と同一・類似のものは、3条1項等の適用については、3条1項1号・2号に該当するに至らなかったものとみなされることになったため(10条2項)、4条の適用を受ける必要はなくなりました。

☆法改正により、関連意匠の出願は、本意匠の出願の日以後であって、本意匠(基礎意匠)の出願の日から10年を経過する日前までできるようになりました。 (ただし、当該関連意匠の意匠権が設定登録の際にその本意匠の意匠権が44条4項の規定により消滅しているとき等を除く)

●注意すべき点として、新規性喪失の例外の規定の適用を受けること(4条2項)、 注意すべき理由として、BがAに類似する場合、甲の販売によりAが公知であり、Bに係る出願は3条1項3号の拒絶理由を有すること(17条1号)、 BがAに類似しない場合、Bが公知のAから創作非容易でないとき、 Bに係る出願は3条2項の拒絶理由を有すること(17条1号)を理解されています。 規定の要件・あてはめ・効果と丁寧に記載されていて良好です。

●注意すべき点・理由について秘密意匠制度の利用(14条1項)とともに2年後の販売予定より前にBが意匠公報により公表される可能性があることに言及したいところです。

改正対応 ■

改正対応 ■

改正対応 ■

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