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鳥類に関する研究紹介(群集生態学・保全生態学) 大河原恭祐(金沢大学・自然システム学類・生物学コース生態学研究室) 作成日:2016 年 5 月 30 日 本研究室では鳥類を対象とした生態学研究を行っており、特に群集生態学、保全生態学を中 心に下記の研究テーマに取り組んでいます。各研究の詳細は下記 URL の HP を参照してくださ い(一部工事中です)。 http://ecology.s.kanazawa-u.ac.jp/lab3/Ohkawara3/Research2/Ohkawara.bird.html 1. 種子散布を通じた渡り鳥群集と植物群集の共生系ネットワークについて 日本では秋に多くの渡り鳥が飛来し、果実食性の鳥種はこの時期に結実する多くの植物の果 実を捕食しその種子を散布することが知られています。この時期に 行われる鳥類標識調査を利 用し、この渡り鳥群集と果肉植物群集との間に構築される相互作用系、共生系ネットワークの 構造と動態について調べています。ツグミ類やメジロなど果実食性鳥種の被食型種子散布にお ける役割の解明の他に、多くの鳥種の食性についての知見が得られています。 2. 北陸地方、特に片野鴨池を中心とした水鳥類保護・保全研究 能登半島から加賀地方にかけての湖沼は日本でも有数の水鳥類(ガンカモ類)の渡り中継地 や越冬地となっています。特に加賀市にある片野鴨池はラムサール条約登録湿地にも指定され、 行政や鴨池観察館のスタッフによるガンカモ類の保護・保全活動が行われています。そこで片 野鴨池とその周辺の水田地帯を中心に、ガンカモ類の越冬に適した環境条件をその越冬生態か ら解明する調査を行っています。またガン類の越冬群の湖沼生態系における役割についても調 べています。

鳥類に関する研究紹介(群集生態学・保全生態学)ornithology.jp/docs/kanazawa_okawara.pdf2. 北陸地方、特に片野鴨池を中心とした水鳥類保護・保全研究

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Page 1: 鳥類に関する研究紹介(群集生態学・保全生態学)ornithology.jp/docs/kanazawa_okawara.pdf2. 北陸地方、特に片野鴨池を中心とした水鳥類保護・保全研究

鳥類に関する研究紹介(群集生態学・保全生態学) 大河原恭祐(金沢大学・自然システム学類・生物学コース生態学研究室)

作成日:2016 年 5 月 30 日

本研究室では鳥類を対象とした生態学研究を行っており、特に群集生態学、保全生態学を中

心に下記の研究テーマに取り組んでいます。各研究の詳細は下記 URL の HP を参照してくださ

い(一部工事中です)。

http://ecology.s.kanazawa-u.ac.jp/lab3/Ohkawara3/Research2/Ohkawara.bird.html

1. 種子散布を通じた渡り鳥群集と植物群集の共生系ネットワークについて

日本では秋に多くの渡り鳥が飛来し、果実食性の鳥種はこの時期に結実する多くの植物の果

実を捕食しその種子を散布することが知られています。この時期に 行われる鳥類標識調査を利

用し、この渡り鳥群集と果肉植物群集との間に構築される相互作用系、共生系ネットワークの

構造と動態について調べています。ツグミ類やメジロなど果実食性鳥種の被食型種子散布にお

ける役割の解明の他に、多くの鳥種の食性についての知見が得られています。

2. 北陸地方、特に片野鴨池を中心とした水鳥類保護・保全研究

能登半島から加賀地方にかけての湖沼は日本でも有数の水鳥類(ガンカモ類)の渡り中継地

や越冬地となっています。特に加賀市にある片野鴨池はラムサール条約登録湿地にも指定され、

行政や鴨池観察館のスタッフによるガンカモ類の保護・保全活動が行われています。そこで片

野鴨池とその周辺の水田地帯を中心に、ガンカモ類の越冬に適した環境条件をその越冬生態か

ら解明する調査を行っています。またガン類の越冬群の湖沼生態系における役割についても調

べています。

Page 2: 鳥類に関する研究紹介(群集生態学・保全生態学)ornithology.jp/docs/kanazawa_okawara.pdf2. 北陸地方、特に片野鴨池を中心とした水鳥類保護・保全研究

3. 水田環境におけるサギ類の採餌行動について

農業環境変動研究センターが実施している農林水産省プロジェクト研究「生物多様性を活用し

た安定的農業生産技術の開発」の1つとして実施している調査です。本プロジェクトの目的で

ある有機農法が水田に生息するサギ類と他の鳥種の多様性に及ぼす影響の調査の他に、水田と

いう人為的環境に対するサギ数種の採餌行動とその採餌戦略を調べています。

本研究室及び本学・理工学域自然システム学類生物学コースでは上記の研究内容または下記

の分野に興味、関心のある入学希望者を広く募集しています。また自然システム学専攻大学院

(修士・博士課程)への学外からの入学希望者も広く募集しています。

◎森林や湿地での野外調査(フィールドワーク)

◎鳥類の生態や行動、また水鳥類の保護や保全研究

◎昆虫、特にアリ類の生態や行動、社会性とその進化の研究

◎動物と植物の相互作用、特に種子散布を通じた共生関係に関する研究

--------------------------- 詳しくは以下の連絡先まで御連絡ください ----------------------

大河原恭祐 920-1192 金沢市角間町

金沢大学・理工学域自然システム学類生物学コース・生態学研究室 E-mail: [email protected]

Tel. & Fax: 076-264-6213 http://ecology.s.kanazawa-u.ac.jp/lab3/Ohkawara3/INDEX.html(個人 HP) http://natsys.w3.kanazawa-u.ac.jp/research/lab.html(生物学コース HP)

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