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自動運転の現状と展望 東京大学大学院新領域創成科学研究科 鎌田

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自動運転の現状と展望東京大学大学院新領域創成科学研究科

鎌田 実

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■自動運転にまつわる疑問

•完全自動運転は、いつ実現するか?

•自動運転が普及すると、世の中はどのように変わるか?

•日本と諸外国で、どのように違うか?

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□(鎌田の考える)答え

• どこでも走れる完全自動運転は当分の間無理だろう。

(限定地域、限定空間で車を自動で走らせることは、お金をかければ

今すぐでもできる。どれくらいお金をかけるのが妥当か。)

•人と車の付き合い方が変わっていくだろう。

(車の自己所有という概念がなくなってくかもしれない。)

•日本ではドライバ不足が顕著なので、事業用自動車の無人化へ強い期待がある。

(走るところが決まっていればやりやすい。)

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■どうやって自動化を実現するか

•基本的に、インフラ協調か自律

• 1990年代はインフラ協調。(磁気ネイル等)

でも、インフラが無いところは走れない。インフラ整備には膨大な費用

• 2010年以降は自律が主流。(DARPA。Google)

でも、リッチなセンサや地図が必要で、コスト面で大変

•最近は、路線バスやトラックの定期便のように走るところが決まっているものは、多少のインフラ整備で、自律センサの簡素化を期待する方向と、リッチな自律方式も大量普及でコストダウンを狙うという方向の両面がある。

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超高齢社会の日本

•高齢化率28%超(2018.9)で世界一

• 2030年までに30%超、2055年には40%に達する

•人口はすでに頭打ちで、これから顕著に減少傾向

•少子化傾向も続き、こども・生産年齢が減り、高齢者があるところまで増える

• GDPを維持していくには、相当生産性を上げないといけない

•社会保障のシステムが将来大丈夫か

•医療や介護にかかる費用が膨大になる

• こういった時代になることは確実視されているが、将来のきちんとしたビジョンが描かれていないのが問題

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国土がどうなっていくか

•国交省の国土のグランドデザイン2050の紹介

•人口減により、人口ゼロの場所が増えていく

•広がった居住域が、不便なところでは歯抜けになっていく

•自治体のインフラ維持も困難になっていく

•国交省では、コンパクト・プラス・ネットワークを掲げているが、そう簡単なことではない。(小さな拠点のあり方、ネットワーク維持に必要なドライバ不足、等々)

•自動運転に期待が持たれるが、条件の容易な所ではよいが、厳しい条件下での実用化には時間がかかりそう。

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国交省HPより

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国交省HPより

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国交省HPより

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厚労省HPより

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高齢ドライバ事故

•高齢ドライバの数の増加。それに伴い、事故数も増加

•加齢による能力低下のほか、認知症による影響もある

•車が無いと生活できないケースも多く、免許返納せずに運転継続の意向も強い

•高齢者講習に認知機能検査が導入され、2017年3月の改正道路交通法では、検査で第1分類に分類され、医師により認知症と診断されれば免許更新ができなくなる

•自治体主導のコミュニティバスやデマンド交通などがあるが、十分でない

⇒警察庁等での対策、および自動運転への期待

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内閣府HPより

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国交省HPより

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■自動運転の最近の動きがわかるもの

•日本学術会議の提言 ⇒

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/

pdf/kohyo-23-t246-1.pdf

•官民ITS構想・ロードマップ2018 ⇓

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/

dai74/siryou2-1.pdf

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自動運転の歴史(1)

•車を自動で動かそうとする取り組みは1970年代から

• 1990年代には、磁気ネイルに沿って車を走らせることができ、1997年に開業前の上信越道で、自動隊列走行のデモがなされた

• 2000年頃から、トヨタがIMTSというバスの隊列システムの開発。2005年の愛知万博で営業運転

• 2004年に、米DARPAがグランドチャレンジを実施。それまでのインフラ依存でなく自律で自動運転車を走らせる競技がはじまった

• 2012年には、米グーグル社が、ドライバレス車の公道試験開始

•以降は世界各地で、自動運転の開発競争

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自動運転の歴史(2)写真NEDOのHPより

•日本では、エネルギーITSというプロジェクト

でトラックの隊列走行の開発がなされた

•自動車メーカ各社でも2013年頃から積極的に開発が進められている

•内閣府SIPで自動走行をテーマとしたプロジェクト

•経産省・国交省で、自動走行ビジネス検討会の開催

•警察庁で、実証試験を実施するためのガイドラインの策定

•経産省で、トラック隊列、ラストマイル、自動駐車のプロジェクト開始

•国交省で、道の駅を中心とした自動運転プロジェクトの開始

•官民ITSロードマップを毎年改定

•未来投資戦略2017で移動革命と記されている

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自動運転の分類

• SAEの0から5までの6段階の定義を使うのが一般的

• 1から2は運転者責任なので、高度運転支援システムととらえるべき

• 3は権限移譲が適切に行えるか、疑問を呈する専門家も多い

• 4・5は技術的難易度が高く、一般公道での混合交通下の早期実現は困難であるが、専用空間・限定空間等で低速であれば比較的実施しやすそう

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□自動運転の定義・分類

官民ITS構想・ロードマップより

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■自動運転の目的何のための自動運転か・・・(1)安全

• 2018年の交通事故死者数は3532人

•事故件数、負傷者数は順調に減ってきているが、死者数は一時下げ止まり

•政府は世界一安全な国を目指して、死者数2500人以下を目標

• 2016年から10次の交通安全基本計画

•国交省でも交通政策審議会の技術安全ワーキングで議論。自動車技術で2011年からの10年間で死者1000人減が目標。予防安全技術の本格展開を期待

•警察庁でも、従来の交通安全教育に加え、自動運転への期待も。

•交通事故の9割以上がヒューマンエラーと言われており、自動化による大幅減が期待される。

• しかしながら、自動運転になっても、事故ゼロは無理。

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•事故統計

交通安全白書H30より

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■自動運転の目的何のための自動運転か・・・(2)ドライバ不足

•バス、タクシーで、ドライバ不足が顕著

• トラック業界でもドライバが不足。労働環境の悪化。

•自動運転によるドライバ無しの無人運転への期待

•過疎地域でのレベル4・5

•高速道路でのトラック隊列(先頭車有人、後続車無人)

•警察庁の実証実験のガイドラインでは、ドライバは車両にいなくてもよいが遠隔監視・操縦を必須。(現状では人が責任持つ)

• 1台の車を1人で遠隔で見ると人件費は減らない。1人で何台見れるか

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■自動運転の目的何のための自動運転か・・・(3)付加価値

•海外では自動運転の意義を、運転しないで別のことができるという点に重きを置く

•移動中に、色々なことが出来れば、仕事の生産性等が上がる

•長距離トラックドライバが休養時間に使えれば、労働条件の改善も

• さらに、コネクティッドカーとして付加価値を高められれば、有効性はさらに増す。

•一方、車が皆自動で走るようになれば、交通量と道路容量の関係などを見直し、道路空間の再配分ができ、余った土地の有効活用も可能(次ページから将来の街のイメージ)

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■自動運転の技術

• 1990年代から研究開発が加速化。その頃は、インフラ依存(道路に磁気マーカ等)や車車間通信などが主流

• 2000年代に入ると一時下火になったが、DARPAのグランドチャレンジ、アーバンチャレンジ等により、自律の自動運転へ

• 3Dの高精度地図を用意し、それとGPS等で自己位置を特定し、走行経路を大まかに決め、さらに周辺環境認識をして、詳細経路を決めていくような方式がメイン

•画像処理等に人工知能の活用で、高度な認識が可能になった

•電磁誘導線や磁気マーカ等を併用するとシステムの簡素化が可能

• センサをてんこ盛りして重装備とすれば、かなりの所まで自動運転が可能。しかし事業性や商品性を考えると低コスト化も重要

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■最近の国の動き・・官民ITS構想・ロードマップ2018

内閣官房HPより

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内閣官房HPより

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内閣官房HPより

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内閣官房HPより

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内閣官房HPより

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内閣官房HPより

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内閣官房HPより

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国交省自動運転戦略本部資料より

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内閣官房HPより

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内閣官房HPより

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内閣官房HPより

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内閣官房HPより

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内閣官房HPより

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内閣官房HPより

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国交省自動運転戦略本部資料より

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国交省HPより

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国交省HPより

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国交省HPより

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国交省HPより

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国交省自動運転戦略本部資料より

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内閣官房HPより

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内閣官房HPより

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国交省HPより

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国交省HPより

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【携帯電話使用等対策の推進を図るための規定の整備】

【携帯電話使用等に起因する交通事故の増加】

概 要背 景

○ 携帯電話使用等に関する罰則の強化等

交通の危険を生じさせた場合・ 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に引上げ(現行:3月以下の懲役又は5万円以下の罰金)

・ 交通反則通告制度の対象から除外 上記以外の場合・ 6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に引上げ(現行: 5万円以下の罰金)

・ 反則金の限度額を引上げ(例:普通自動車等 8千円→4万円)

携帯電話使用等に起因する人身事故を起こした場合を運転免許の効力の仮停止の対象に追加

【その他】

○ 小児用の車及び軽車両の定義に係る規定の見直し

○ 運転免許証の再交付申請の要件に関する規定の見直し

○ 運転経歴証明書の交付に係る申請先及び交付要件の見直し

【自動車の自動運転の技術の実用化に対応するための規定の整備】

○ 自動運行装置の定義等に関する規定の整備

道路運送車両法に規定される自動運行装置を「自動運行装置」として定義 同装置を使用して自動車を用いる行為は「運転」に含まれる旨規定

○ 自動運行装置を使用する運転者の義務に関する規定の整備

自動運行装置が使用される条件(国土交通大臣が付する走行環境条件)を満たさない場合には、同装置を使用した運転を禁止

条件外となった場合に直ちに適切に対処できる状態でいるなどの場合に限り、携帯電話使用等禁止(安全運転義務への上乗せ)規定の適用を除外

○ 作動状態記録装置による記録等に関する規定の整備

作動状態の確認に必要な情報を記録するための装置による記録及び保存を義務付け 整備不良車両と認めるときは、警察官が記録の提示を求めることができる旨規定

○ 政府目標 制度面では、2020年目途に高度自動運転システム(レベル3)に係る走行環境の整備を図る。(「官民ITS構想・ロードマップ2018」平成30年6

月、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部等)

○ 技術開発の状況 実験施設や各地の公道で多くの実証実験を実施

高速道路における自動運転(イメージ)

運転経歴証明書

運転中の携帯電話使用等の禁止

【自動運転の実現に向けた取組の進展】

○ 交通事故・取締りの状況 平成30年中の交通事故件数は、5年前の約1.4倍に増加(平成25年中:2,038件→平成30年中:2,790件) 毎年80万件以上の取締りを実施

(平成30年中:約84万件(全体の取締り件数約600万件の約14%))

○ 悲惨な交通死亡事故の発生

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■今後にむけて:現状認識

•運転者がいて、オーバーライドできれば、レベル2として、非常に容易に実証実験は公道で行える。

•運転席に運転者がいなくても、遠隔監視・操縦できれば、公道で実証実験は実施できる。

•ハンドルとペダルが無い車両でも、遠隔システムがあり条件が整っていれば、保安基準適合と見なして、ナンバー交付できる。

(ナンバーが無い車両だと、公道封鎖して専用空間化して実験実施)

•技術としては、お金をかければ、シンプルな環境であれば完全自動が達成できるレベル。(低コスト化、複雑環境適合へ様々な検討)

•責任問題についても、検討がなされている。

•法規制の対応も、制度整備大綱が昨年4月に公表され、関係省庁での取り組みが進んでいる。

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■今後に向けて:法規制• 実証実験を行う範囲においては、運転席に人がいなくても、運転席の無い車でも、実施ができる形になっている。

• 遠隔監視が1:1から1:Nになった時にむけて、1:2の実証実験が実施済。最終形の責任体制の議論はこれから。

• 遠隔監視が不要になるくらいAIの進歩が期待されるが、技術的側目での状況が見えてこないと議論がしにくい。

• そもそもどこまでの安全を要求するか。もらい事故までなくせと言われてもハードル高い。機器の信頼性への要求も一定の方向性が出されないとモノの設計ができない。

• 国際的な競争において、目指すべきレベルと到達スピードをどの辺に設定するのがよいか。

• 今国会で、道路交通法・道路運送車両法の改正案の審議。レベル3が可能になり、高度運転支援・自動運転の車両の安全基準や認証・車検対応。

• 運輸事業を行うにあたっての要件等もまとめられている。

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取組みの動向

•米グーグルは、小さな完全自動運転車を自社生産する方向で動いていたが、断念し、FCAと共同での取組みへ。ウエイモがモビリティサービスを開始したが、当面は運転者を乗せている。

•車メーカは当初は高度運転支援を目的と語ることが多かったが、最近では完全自動運転やモビリティサービスを目指すようになった

•欧州では低速のバス(シャトル)を完全自動で動かすプロジェクトがあり、いくつかの都市で実用化にむけた取り組み

• トラックの隊列は、欧米日でそれぞれ取組み

•米NHTSAが2016年9月にガイドライン制定、1年後に改訂版。表紙にはハンドルとペダルの無い車の絵が描かれている

•自動運転を目指す動きは世界中で取組まれている

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未来像

• 2020年までに、高速道路レベル3の市販化、限定空間でのレベル4・5の実現、トラック隊列の技術構築

•一般道路での自動運転はレベル2といえどもハードル高い。地図の整備のほか、色々な取り決めが必要

• レベル3がどのように実現されるか未知数(当面は高速道路渋滞時)

• レベル4・5の遠隔監視・遠隔操縦の事業化の姿もまだ未知数

•人件費が削減できる事業用車両と、個人所有の自家用車とで、センサ等へのお金のかけかたが変わってくる

•条約や基準の作業の見通し

•社会的受容性

• このようなことを検討しつつ、2030年頃までの工程表を作成していく

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自動運転技術をどう活かすか

•運転支援として、安全の確保には重要な役割を果たせる

•省力化として、無人運転には色々なハードルがある。限定的に可能な場所での展開からはじまる。無人化により人件費がいらなくなるという期待が強いが、自動運転にかかる経費が安くはなく、ビジネスモデルが成立するか、よく考える必要がある

•自動運転と言えど、単なる移動手段の自動化に過ぎないとも言える。

•重要なのは移動の手段の高度化ではなく、人も物も移動の活性化をはかること。

•魅力的なまちづくりが最も重要。

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まちづくりの方向性

•地方では、マイカー依存で、街道沿いの大型店舗が主流で、中心市街地が廃れている

•今後は高齢化と人口減が進む中で、運転困難者の急増、人口減で売り上げ減になるなかで、今の状態が維持できるか

• コンパクトな中心市街地へ回帰するのか、郊外型の大型店舗周辺に施設等を集中させ、ネットワークを充実させるのか

•立地適正化、地域包括ケア等の展開

•団塊の世代が亡くなり人口急減の頃を想定し、それくらいの人口規模で豊かにやっていけるようなまちづくりを目指したい

•子育て世代のためには、雇用と教育の充実

• ネットがあればどこでも働ける一方で、通学・通院の足を考えると、それなりの交通ネットワークが必要

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まとめ

• 50年後、100年後に、歴史を振り返ると、今の時代(2010年代)は、モビリティの分野での大きな変換期になっているのではないか

•電動化も進むし、自動運転・コネクティッドもこれから大いに進んでいくはず

•一方で、成熟社会・人口減社会に向けての対処も必要なところ

• 2050年に日本の人口が1億人を割るのは必至なので、人口8000万人くらいが、国土のある割合の範囲内で、豊かな暮らしができるようなグランドデザインを描いていくべき

• その中で、モビリティの未来像をきっちり示し、生活を支えるモビリティサービス産業としての役割を自動車業界に担ってもらい、国もそれに対して支援していく流れをつくりたい。