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平成29年9月 姫路市健康福祉局保健福祉部 監査指導課 訪問介護計画の作成に関する 留意事項について

訪問介護計画の作成に関する 留意事項について - Himeji...Ⅰ 「訪問介護計画」の作成について 【解釈通知第 訪問介護計画の作成に当たっては、利用者の状況を把握・分析し、訪問介護の

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Page 1: 訪問介護計画の作成に関する 留意事項について - Himeji...Ⅰ 「訪問介護計画」の作成について 【解釈通知第 訪問介護計画の作成に当たっては、利用者の状況を把握・分析し、訪問介護の

平成29年9月

姫路市健康福祉局保健福祉部 監査指導課

訪問介護計画の作成に関する

留意事項について

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【目次】

Ⅰ 「訪問介護計画」の作成について・・・・・・・・・1

Ⅱ 「訪問介護計画書」の意味・・・・・・・・・・・・3

Ⅲ 「訪問介護計画書」作成の流れ・・・・・・・・・・5

Ⅳ 「訪問介護計画書」の作成手順・・・・・・・・・・6

<参考資料>

① 訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について

② 訪問介護における院内介助が必要な場合の確認シート

③ 通院介助・外出介助記録表

④ 通院介助・外出介助記録表(記入例)

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Ⅰ 「訪問介護計画」の作成について

<訪問介護計画の作成> 【居宅基準省令第 24条】

サービス提供責任者(第5条第2項に規定するサービス提供責任者をいう。以下こ

の条及び第28条において同じ。)は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえ

て、指定訪問介護の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記

載した訪問介護計画を作成しなければならない。

2 訪問介護計画は、既に居宅サービス計画が作成されている場合は、当該計画の内

容に沿って作成しなければならない。

3 サービス提供責任者は、訪問介護計画の作成に当たっては、その内容について利

用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得なければならない。

【解釈通知第 3の一 3-(13)①】

訪問介護計画の作成に当たっては、利用者の状況を把握・分析し、訪問介護の

提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、

援助の方向性や目標を明確にし、担当する訪問介護員等の氏名、訪問介護員等が

提供するサービスの具体的な内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。

【解釈通知第 3の一 3-(13)②】

訪問介護計画は、居宅サービス計画に沿って作成されなければならないことと

したものである。

なお、訪問介護計画の作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該訪

問介護計画が居宅サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更

するものとする。

【解釈通知第 3の一 3-(13)③】

訪問介護計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されな

ければならないものであり、その内容について説明を行った上で利用者の同意を

得ることを義務づけることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機

会を保障しようとするものである。したがって、サービス提供責任者は、訪問介

護計画の目標や内容等については、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で

説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うこと。

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4 サービス提供責任者は、訪問介護計画を作成した際には、当該訪問介護計画を利

用者に交付しなければならない。

5 サービス提供責任者は、訪問介護計画の作成後、当該訪問介護計画の実施状況の

把握を行い、必要に応じて当該訪問介護計画の変更を行うものとする。

6 第1項から第4項までの規定は、前項に規定する訪問介護計画の変更について準

用する。

【解釈通知第 3の一 3-(13)④】

訪問介護計画を作成した際には、遅延なく利用者に交付しなければならないこ

ととしたものである。

【解釈通知第 3の一 3-(13)⑤】

サービス提供責任者は、他の訪問介護員等の行うサービスが訪問介護計画に沿

って実施されているかについて把握するとともに、助言、指導等必要な管理を行

わなければならない。

★平成 27年度制度改正 【解釈通知第 3の一 3-(13)⑥】

指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成 11年厚生省令第

38 号)第 13 条第一二号において、「介護支援専門員は、居宅サービス計画に位置

付けた指定居宅サービス事業者等に対して、指定居宅サービス等基準において位

置付けられている計画の提出を求めるものとする」と規定していることを踏まえ、

居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定訪問介護事業者は、当該

居宅サービス計画を作成している指定居宅介護支援事業者から訪問介護計画の提

供の求めがあった際には、当該訪問介護計画を提供することに協力するよう努め

るものとする。

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Ⅱ 「訪問介護計画書」の意味

(1) サービス内容、提供手順、提供方法の確定

「訪問介護計画書」は、利用者とサービス提供事業者が、必要なサービス内容をあらか

じめ契約し、その「サービスの内容」、「サービスの提供手順」、「提供方法」を確定するも

のです。

「サービスの提供手順」、「提供方法」を利用者に示すことによって、サービス内容が明

確に認識できるようになります。

重要ポイント

★過程が重要

訪問介護においては、サービス提供のみではなく、介護の中身を利用者とともに作

っていく過程が重要です。

★利用者参加

利用者に訪問介護計画を示し、決められた時間帯の中で何をするのかを話し合って

いくことにより、利用者が自分で自分の介護を決めていくという、利用者参加のサー

ビス提供を行うことができます。

★質の確保

「サービスの内容」、「提供手順」、「提供方法」を確定することで、いつでも同じサ

ービス提供ができ、サービスの質の確保に繋がります。

(2) 身体介護中心型、生活援助中心型、通院等乗降介助の区分の決定

「訪問介護計画書」には、利用者に提供する「サービスの区分・型」、すなわち、「身体

介護中心型」、「生活援助中心型」、「通院等乗降介助」の区分が判断できるだけの内容が盛

り込まれていることが必要となります。

そのためには、サービス行為ごとの所要時間を把握し、サービス区分ごとのサービス量

の見積もりが明確にされていなければなりません。

重要ポイント

★計画の一致

訪問介護計画における「サービスの区分・型」が、ケアマネジャーが作成したケア

プランによる「サービスの区分・型」や実際に介護報酬を請求している型に合致しな

い場合には、その計画は、適切に作成された計画とはいえません。

★説明と同意

訪問介護計画は、利用者への説明と同意によって、確定するものです。

★3者の合意

「身体介護中心型」、「生活援助中心型」、「通院等乗降介助」のサービス区分も、ケ

アマネジャー、訪問介護事業者、利用者の3者が合意して、決定することとなります。

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(3) ケアマネジャー、ヘルパーとの連携

利用者にとって、よりよいサービス、効果的なサービス提供を行うためには、「居宅介

護支援事業所のケアマネジャー(介護予防または総合事業の場合は介護予防支援事業所ま

たは地域包括支援センターのケアマネジャー等)」と「訪問介護事業所のサービス提供責

任者」、さらには、「サービス提供責任者」と「現場のヘルパー」との連携が何より必要で

あります。

重要ポイント

★連携の重要性

○連携が、最大のポイントです。

○「訪問介護計画の作成 ⇒ サービスの提供 ⇒ 訪問介護計画の見直し(サービ

ス提供に基づく)、又はケアプランを変更する」という流れは、これらの関係者の連携

なくしてはできません。

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Ⅲ 「訪問介護計画書」作成の流れ

① 内容に変更があった場合

② 内容に変更がなかった場合

<居宅介護支援事業所>

<介護予防支援事業所>

<訪問介護事業所>

<地域包括支援センター>❶ 利用者情報の把握

(アセスメント)

❷ 利用者のライフスタイルに適

合した課題(ニーズ)の特定

❸ 訪問介護計画

【作成】

❹ 利用者・家族への説明・同

意・交付

❺ サービスの提供

❼ 訪問介護計画の進歩状況・評価の利用者・家族へ説明

❽ 訪問介護計画

【見直し】

❻ 訪問介護計画

【評価】

ケアマネジャー等への

報告

利用者の要望

家族の要望

利用者の要望

家族の要望

・アセスメント

・ケアプラン原案作成

・サービス担当者会議

・ケアプランの説明・同意

・モニタリング

・評価

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Ⅳ 「訪問介護計画書」の作成手順

❶ 利用者情報の把握(アセスメント)

利用者の身体状況や生活状況等の情報の把握、すなわち、「アセスメント」を行うこと

が必要です。

ポイント

★「サービス提供責任者」としてのアセスメント

介護保険で行う訪問介護は、ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに、利用

者の選択によりサービス提供の依頼を受けるものです。

したがって、サービス提供責任者は、ヘルパーが訪問してサービス提供する際の目

的や提供方法を具体的に取り決めておく必要があり、ケアマネジャーとは別に、あら

ためてアセスメントを行うことが必要となります。

❷ 利用者のライフスタイルに適合した課題(ニーズ)の特定

「ニーズ」= 専門職が客観的な基準に照らして、判断した援助の必要性

「利用者の要求」= 利用者が自覚し、意識して求める要求

① 区別

利用者が直接求めていることは、必ずしも客観的な援助の必要性、ニーズと同じで

はありません。利用者の要求とは区別して、ニーズからサービス内容を決めることが、

アセスメントの基本です。

「利用者の要求」と「ニーズ」を区別するということは、表面に現れ、必要である

ことが誰にでもわかるサービス以外に、「隠れたニーズ」があるのではないかと考え

ることです。

② 把握

外から見ただけではわからない利用者の生活実態について、ケアを通じて把握する

ことが大切です。

③ 発見

信頼関係ができるにつれてわかっていく利用者の意欲や考え方、家族関係などを総

合して初めて、「隠れたニーズ」が発見できます。

<アセスメントの基本>

① 【区別】利用者の「要求」と「ニーズ」の区別

② 【把握】表面に現れているニーズ以外の「隠れたニーズ」の把握

③ 【発見】全体の状況を捉え、利用者の「隠された可能性」の発見

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「自立の支援」= 利用者が持っている力を引き出し、活かせるような条件を整備してい

くこと。

◆「自立を支援する計画」を作るのに必要な視点◆

【焦点・注目】

○利用者の「できない部分」より、「意欲」と「可能性」に焦点を当てる。

○機能障害自体より「利用者が望む生活」を利用者とともに実現していくことを通じて、

「培われる回復力」に注目する。

【重視】

○利用者が「何をどう受け止めているのか」を重視する。

○利用者の持つ「自分の生活を切り回していく力」を重視する。

【ケア】

○戦略的な組み立てを考え、展開の鍵となるケアを見つける。

○正解は一つという発想をやめ、複数の仮説を立てる。

ポイント

★「隠された力」と「可能性」の発見

自立支援に向けて「隠れたニーズ」を発見する上で肝要なことは?

「利用者の隠された力」と「可能性」を見つけることです。

利用者の隠された力は、どうすれば発見できる?

「心身機能」だけでなく、「生活力」、「その人の過去の仕事や得意としていたこと」、

「家族の経歴や家族関係」など、生活の全体を捉えていくことです。

発見は、ケアにどう繋がる?

利用者の力と可能性を見つけることができるか否かで、自立への支援となるのか、

それともできないところを単に補い続けるだけの単純反復作業になるかが決まりま

す。

★ライフスタイルに適合したニーズ

アセスメントを行うことによって特定したニーズは、利用者のライフスタイルに適

合したものでなければなりません。

何を把握すればよい?

「利用者本人の要望」は何か、「家族の要望」は何か、「要望する理由」は何か、「そ

の原因」は何かなどを、適切に把握、整理していく必要があります。

ライフスタイルの必要性は?

利用者の考えや価値観を尊重したサービス提供を行うためには、利用者のライフス

タイルに適合したニーズの特定を行うことが何よりも必要となります。

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❸ 訪問介護計画の作成

訪問介護計画書は、利用者と事業所が、どのようなサービスを何時間、何回行うかを決

めるものであり、利用者に説明し、同意を得る、一種のサービス契約書となるものです。

したがって、すべての項目について、利用者やその家族、さらにはヘルパーが見て、理

解できるよう、分かりやすく表現され記載されなければなりません。

(1) 計画書の作成者の氏名、作成年月日

「いつ」、「誰が作成したのか」を明確にする必要があります。

ポイント

これが記載されていないと、せっかく把握した利用者情報や設定した援助目標がい

つの時点のものなのか、分からなくなるため、計画の実施後に行う、この計画が妥当

なものなのかどうか、援助目標に達しているかどうかといった、「評価」にも影響を

与えることになります。

(2) 利用者情報等(氏名、性別、住所、生年月日、要介護認定日、要介護度等)

利用者に関する基本的な情報を記載します。

(個人情報保護のため、管理には万全を期す必要があります。)

(3) 日常生活全般の状況

利用者の日常生活全般の状況を、ポイントを押さえて、簡潔に記載します。

記載にあたっては、アセスメントを踏まえるとともに、ケアマネジャーの作成した居

宅介護サービス計画書(2)の「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」に沿ったもの

とするようにします。

ポイント

サービス担当者会議等を通じたケアマネジャーとの「意見交換」や「認識の一致」

が重要となります。

(4) 援助目標(長期目標、短期目標)

「長期目標」「短期目標」は、ケアマネジャーの作成した居宅介護サービス計画書(2)

の目標(長期目標・短期目標)に沿った内容及び期間を設定し、「見直しの時期及び視

点」は、訪問介護のサービス提供責任者のアセスメントを踏まえて記載しましょう。

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ポイント

★ サービス提供責任者が、ケアマネジャーの作成する居宅サービス計画の内容を十

分理解し、援助方針を共有化していないと実のある計画となりません。

★ 援助目標は、利用者に「ヘルパーはこういうために来ている」と理解してもらう

ことが大切なのはもちろんですが、実際に訪問するヘルパーが、「何のために訪問

しているか」を意識できるように記載します。

事後の評価に役立つ援助目標とするため、抽象的な目標ではなく、「観察可能な行

動や生活状態」の形で書く方が望ましい。

(例:利用者の状況が○○なので、△△することをめざす。)

(5) 見直しの時期及び視点

訪問介護計画を見直すべき時期(年月日)を記載します。

見直しの時期は、通常は、援助目標の期間(長期目標期間、短期目標期間)の終了す

る時期です。この時期は、居宅介護サービス計画の見直しの時期と整合する時期ですか

ら、ケアマネジャーとの連携が大切になります。

ポイント

★ 計画見直しの視点(目標期間終了後の評価のポイント)を明確にしておくと、よ

り目標がメリハリのあるものとなります。

(6) 本人及び家族の意向・希望

利用者や家族が、訪問介護サービスを受けながら、「どのような生活をしたいか」を

確認していきます。

利用者本人の価値観や考え方を踏まえ、利用者の希望、要望、家族の希望、要望を明

確に把握し、記載します。

「希望」= 将来への期待、あることが実現することを望むこと。

「要望」= 物事をどのようにするかを強く望むこと。

ポイント

★ 利用者が「主人公」となって、自分で自分の介護を決めていくことが重要です。

そのためには、利用者との面接を通じた「意向・希望の確認」が大切です。

確認の方法

利用者・家族の訪問介護に対する意向・希望は、利用申込み時点での最初の主訴をその

まま書けば足りるものでありません。また、意向が表明されていない場合もあります。

① 一緒に課題分析を行う。

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「ヘルパーに、どのようなことをしてほしいのでしょうか」

「ヘルパーに、何を手助けしてほしいのでしょうか」

「ヘルパーと一緒に、やりたいこと・できることは何でしょうか」

など、一緒に課題分析を行い、訪問介護サービスの情報提供もするなかで、信頼関係がで

きあがり、徐々に明確になってくるものです。

ポイント

★ サービス提供責任者は、こうして訪問介護サービスに対する利用者の意向を明

確化していく過程の支援を大事にすることが必要です。

★ そのため、面接には時間をとり、訪問介護の出来ることや出来ない場合がある

ことについてもしっかり説明し、理解を得ていくことが大切です。

書き方

利用者や家族の発した言葉で、大事なことはそのまま書くこともひとつの方法です。

サービス提供責任者が、翻訳せずに書くことが、利用者・家族の信頼を得ることにつな

がります。

ポイント

★ 利用者と家族の言葉は、区別して書きましょう。

家族間で意向に違いのあるときは、分かるように書き分けます。

★ 一人暮らしの場合は、かかわりの強い別居家族等にも連絡をとり、意向を確認し

ましょう。

(7) 本人及び家族へのお願い

援助目標を達成するために、サービス提供責任者が、利用者や家族に「自身でしてほ

しいこと」や「協力して欲しいこと」を、面接での確認を踏まえて書きます。

ポイント

★ 保険給付として適切でなく訪問介護で対応できないことも、理解を得た上で必要

に応じて書いておきましょう。

★ これは、一方的にサービス提供責任者が書くのではなく、利用者・家族に十分説

明し、確認・同意の上で、書くようにしましょう。

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(8) 具体的援助内容

① 「サービス1」「サービス2」…

援助内容の違い、派遣曜日・時間等の違いによって、「サービス1」「サービス2」

…と区分して、記載します。

② サービス区分

「サービス準備・記録等」、「排泄介助」、「食事介助」、「清拭・入浴介助」、「移動・移

乗介助」、「通院介助」、「身体整容」、「掃除」、「洗濯」、「調理」、「買い物」などのサー

ビスの種類を記載します。

<一般的に介護保険の生活援助の範囲に含まれないと考えられる事例>

【指定訪問介護事業所の事業運営の取扱い等について】

(平成 12年 11月 16日老振第 76号)

1.「直接本人の援助」に該当しない行為

・利用者以外の者に係る洗濯、調理、買い物、布団干し

・主として利用者が使用する居室等以外の掃除

・来客の応接(お茶、食事の手配等)

・自家用車の洗車・清掃 等

2.「日常生活の援助」に該当しない行為

・草むしり

・花木の水やり

・犬の散歩等ペットの世話 等

・家具・電気器具等の移動、修繕、模様替え

・大掃除、窓のガラス磨き、床のワックスがけ

・室内外家屋の修理、ペンキ塗り

・植木の剪定等の園芸

・正月、節句等のために特別な手間をかけて行う調理 等

主として家族の利便に供する行為又は家族が行うことが適当であると判断さ

れる行為

① 訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断され

る行為

② 日常的に行われる家事の範囲を超える行為

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③ サービス内容

サービス区分に応じたサービス内容を、具体的に記載します。

<例> ※区分が「排泄介助」である場合

「トイレ利用」、「ポータブルトイレ利用」、「おむつ交換」のいずれであるかを記載

する。

ポイント

★ 具体的なサービスの内容だけではなく、その提供方法もあわせて記載すれば、利

用者にとって、よりわかりやすいものになる。

★ ヘルパーがこの計画を見れば提供方法がわかり、いつでも同じ対応ができること

となり、サービスの質を確保することができる。

④ 所要時間

標準的な時間を目安に、サービス内容に記載のサービスを提供する場合に、どのくら

いの時間がかかるかを記載します。

通常より時間がかかる場合は、その要因を「留意事項」欄に記載します。

ポイント ①

★ どのようなサービスをどれだけの時間で行うのかを明確にすることが必要です。

★ サービス区分別に所要時間を見積もることにより、はじめて、提供するサービス

が、「身体介護中心型」、「生活援助中心型」のどの区分に該当するかが明確に見て

とれる訪問介護計画となります。

★ 生活行為に要する時間というのは、その方の「事柄へのこだわり」、「身体的理由」、

「生活環境」など、個々の条件によって異なりますが、とりあえず、アセスメント

で把握した利用者や介護者の日頃の状態を目安に、標準的なサービス提供手順を把

握し、計画を作り、実践していきます。

そして、その後、訪問介護計画に沿って、サービス提供を実践することによって、

適宜、時間を修正していくことになります。

<具体的なサービス行為ごとの区分や記載方法>

【訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について】(平成 12年 3月 17日厚生省

通知老計第 10号)参照

<参考資料① 参照>

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ポイント ②

<区分が「通院介助」である場合>

通院介助とだけ記載するのではなく、これに要する「所要時間」の算定の根拠と

なる事項、すなわち、病院等へ行くまでに自宅での準備がどれだけあるのか、病院

内での移動介助や常時介助できる状態での「声かけ見守り等」の援助がどのくらい

必要なのかなど、明確に分かるよう記載してください。

<参考資料②③④参照>

【不適切な記載】

「通院介助 所要時間 180分」という記載は、明確ではありません。

※ 所要時間との関連性、妥当性が明確にわかるよう、介助の内容を具体的に記載

してください。

<参考1>(平成 12 年 3 月 17 日厚生省通知老計第 10号)~抜粋~

1-3-3 通院・外出介助

○声かけ・説明→目的地(病院等)に行くための準備→バス等の交通機関への

乗降→気分の確認→受診等の手続き

○(場合により)院内の移動等の介助

<参考2>留意事項通知(平成 12年 3月日老企第 36号)~抜粋~

訪問サービスの行われる利用者の居宅について

訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーションは、介護保険

法(平成 9 年法律第 123 号)第 8 条の定義上、要介護者の居宅において行われ

るものとされており、要介護者の居宅以外で行われるものは算定できない。例

えば、訪問介護の通院・外出介助については、利用者の居宅から乗降場までの

移動、バス等の公共交通機関への乗降、移送中の気分の確認、(場合により)院

内の移動等の介助などは要介護者の居宅以外で行われるが、これは居宅におい

て行われる目的地(病院等)に行くための準備を含む一連のサービス行為とみ

なし得るためである。居宅以外において行われるバス等の公共交通機関への乗

降、院内の移動等の介助などのサービス行為だけをもってして訪問介護として

算定することはできない。

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<区分が「掃除、洗濯、調理、買い物」などの生活援助である場合>

提供するサービスが、利用者が行おうとすれば問題なく対処できるような内容で

ないこと、すなわち、利用者が家事の一部をできない場合に、これを補完する支援

であること、あるいは、利用者の生活基盤を回復させる支援であることが、その訪

問介護計画から見てとれるように、「サービス内容」を記載してください。

(参考)留意事項通知(平成 12年 3月日老企第 36号)~抜粋~

「生活援助中心型」の単位を算定する場合

「生活援助中心型」の単位を算定することができる場合として「利用者が1

人暮らしであるか又は家族等が障害、疾病等のため、利用者や家族等が家事を

行うことが困難な場合」とされたが、これは、障害、疾病のほか、障害、疾病

がない場合であっても、同様のやむを得ない事情により、家事が困難な場合を

いうものであること。

なお、居宅サービス計画に生活援助中心型の訪問介護を位置付ける場合には、

居宅サービス計画書に生活援助中心型の算定理由その他やむを得ない事情の内

容について記載するとともに、生活全般の解決すべき課題に対応して、その解

決に必要であって最適なサービスの内容とその方針を明確に記載する必要があ

る。

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ポイント ③

<見守り的援助の取扱い>

そうした要件に該当しない、単なる見守り・声かけは、訪問介護として算定でき

ません。

★上記、要件に該当しない「単なる見守り・声かけ」は、訪問介護として算定できな

い。

<身体介護>

★利用者と共に行う自立支援のためのサービス行為

【掃除・洗濯・調理などの日常生活の援助に関連する行為】

(例)

・利用者と一緒に、手助けしながら調理を行う。

⇒ 安全確認の「声かけ」や「疲労の確認」をする。

・利用者と一緒に、洗濯物を干したり、たたんだり、自立支援を促す。

⇒ 転倒予防等のための「見守り」・「声かけ」を行う。

・認知症の高齢者と一緒に、冷蔵庫の中の整理を行い、生活歴の喚起を促す。

・車イスでの移動介助を行い店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助する。

★利用者の身体に直接接触しない、見守りや声かけ中心のサービス行為

・入浴、更衣等の見守りで、必要に応じた介助、転倒予防のため、「声かけ」、「気

分の確認」などを行う。

・ベッドの出入り時など自立を促すための「声かけ」など、「声かけ」や「見守

り」中心で必要な時だけ介助を行う

・移動時、転倒しないように側について歩き、介護は必要時だけで、事故がない

ように常に見守る。

<生活援助>

・掃除、洗濯、調理をしながら、単に見守り・声かけを行う場合

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⑤ 留意事項

サービス提供に当たって、提供方法などで注意すべきことや留意すべきことを記載し

ます。

⑥ サービス提供曜日・担当訪問介護員氏名

標準的な派遣曜日を記載します。居宅介護サービス計画書に即して曜日を設定します。

また、その曜日のサービスを担当する訪問介護員の氏名を記載します。

⑦ サービス提供時間

所要時間をベースに標準的な提供時間を記載します。時間は何時何分~何時何分とい

う時間帯と合計何分かを記載します。

⑧ 算定単位

この欄に所要時間とサービス提供時間で明確になった時間を介護報酬上の型・区分を

整理し「身体1」「生活2」「身体2生活1」などを記載します。

⑨ 週間予定表

何曜日の何時から、どんな内容のサービス提供が行われるか、一目でわかるよう記載

します。

⑩ サービス提供に関する評価

サービスを提供した後に、計画の内容について、精査、評価したことを記載します。

ここでいう評価とは、アセスメント、計画、実施の過程とその結果を評価する「サービ

スの提供者としての事後評価」を指します。

ポイント

★ 評価については、原則として、目標期間終了時点で行うほか、利用者の状況に応

じ、必要に応じ、行うことが大切です。

★ 計画を実施した結果の状態を把握し、「継続するサービス」、「新たに必要なサー

ビス」、「残された課題」などを整理していきます。

⑩-1) 「目標達成度」

訪問介護サービス提供の結果が「援助目標」に達しているかどうか評価します。

利用者の生活と心身の状態について、サービス提供前と提供後を比較し、変化を記

載します。

⑩-2) 「利用者満足度」

利用者が訪問介護サービス提供を受けて、その意向や希望が、どの程度満足でき

たのかを記載します。

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できるだけ、利用者本人の言葉で記載する方が、状況が的確に表現できます。

⑩-3) 「計画見直しの必要性」

目標達成度と利用者満足度を踏まえ、サービス過程の各過程、つまり、アセスメン

ト、援助目標の設定、計画の内容のそれぞれが、適切であったかどうかを評価します。

ポイント

<評価>

★ 援助目標は、高望みをしすぎていなかったか、利用者の意向とずれはなかった

か、計画の内容が抽象的ではなく、実行すべき活動の内容を指示していたか、な

どを評価します。

★ 評価、計画見直しの際には、利用者やその家族の意向を反映させること。

<計画の作成>

★ ケアマネジャーに報告し、情報交換を行う中で、計画を作成していくことが重

要です。

★ これら評価した内容については、利用者やその家族に説明し、評価に従って利

用者とともに、また新たな計画を作り上げていくという、過程をたどることが重

要です。

<評価の説明>

★ 利用者本位の、よりよいサービスを提供するといった観点から、訪問介護計画

に位置付けられた目標やサービスについて、利用者やその家族に対して、進捗状

況や評価を説明することは重要です。

★ 事業所、ヘルパーにとっても、個別ケアの目標が達成されているかどうかを客

観的に評価することは、ケアの専門性を高めるということにもつながります。

⑪ 説明者・説明日

利用者・家族に説明した日及び説明した職員を記載します。

⑫ 利用者、家族への説明と同意

利用者やその家族によく説明し、同意を得ることが必要です。

同意の確認として、署名をもらうことが大切です。

ポイント

訪問介護計画書は、一種のサービス契約書になるもので、利用者とともに訪問介護

計画書を作り上げていくものです。

訪問介護計画書には、説明日、説明者、利用者同意署名欄は、欠かせないものです。

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参考資料

① 訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について

② 訪問介護における院内介助が必要な場合の確認シート

③ 通院介助・外出介助記録表

④ 通院介助・外出介助記録表(記入例)

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<参考資料②>

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<参考資料③>

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<参考資料④>

記入例

事業所名

担当者氏名

開始時刻 終了時刻

(例)受診準備 更衣介助・排泄介助

9:00 9:20 0:20 :

タクシーまでの移動介助タクシー乗車介助

9:20 9:25 0:05 :

タクシー乗車 9:25 9:45 0:20

タクシー降車介助 9:45 9:50 0:05 :

病院内への移動介助(歩行介助)

9:50 9:55 0:05 :

受付介助 9:55 9:58 0:03 :

診察室への移動介助(歩行介助)

9:58 10:05 0:07 :

診察までの待ち時間 10:05 10:15 0:10

診察 10:15 10:25 0:10

会計までの移動介助(歩行介助)

10:25 10:28 0:03 :

会計待ち時間 10:28 10:45 0:17

会計介助 10:45 10:47 0:02 :

タクシーまでの移動介助タクシー乗車介助

10:47 10:52 0:05 :

タクシー乗車 10:52 11:12 0:20

自宅部屋までの移動介助 11:12 11:17 0:05 :

水分補給・排泄介助 11:17 11:22 0:05 :

1:05 1:17

家族支援ができるかどうか □ 可 ■ 不可

■できている □できていない

居宅サービス計画に位置付けられているか ■位置づけている □位置づけていない

訪問介護計画に位置付けられているか ■位置づけている □位置づけていない

待ち時間は介護保険外の時間としているか ■できている □できていない

利用者様氏名 ○○ ▲▲ 様

サービス提供日 平成29年○月○日

行き先  □□病院

サービス提供内容サービス時間

介護保険算定時間

介護保険外時間

合計時間

訪問介護ステーション ○×

□□ △△

通院介助・外出介助記録表

アセスメントによりサービス内容の確認について

平成29年×月×日