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次世代型超低消費電力デバイス開発プロジェクト
<参考資料>
経済産業省 産業技術環境局 研究開発課 商務情報政策局 情報通信機器課
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1.背景 -情報通信機器分野での省エネの重要性-
IT機器の普及に伴う情報量の増加 (情報爆発)
出所:喜連川 優 東京大学生産技術研究所 教授
0
500
1000
1500
2000
2500
2006 2010 2025 2050 年
消費電力(億kWh)
3.2 倍
4.5 倍
1.6 倍
日本国内のIT機器の消費電力量見込み
出所:経済産業省 平成24年度 我が国情報経済社会における基盤整備 (IT機器のエネルギー消費量に係る調査事業)報告書等
スマートフォンやタブレットなどのIT機器の普及とデータ処理量の増大により、国内のIT機器の消費電力は大きく増加(2006~2010年で1.6倍)。
これまではネットワークに繋がっていなかった産業機械やインフラ等からもセンサーを通じて新たに大量の情報が収集、処理される社会(IoT/CPS社会※)が到来しつつある。
「情報爆発」がもたらすIT機器の増加、消費電力量の増加に対応するには、全てのIT機器に組み込まれる半導体デバイスの大幅な低消費電力性能の向上が必要不可欠。
※IoT(Internet of Things) (モノのインターネット):様々なモノがインターネットにつながること。 ※CPS(Cyber Physical System):デジタルデータの収集、蓄積、解析、解析結果の実世界へのフィードバックという実世界とサイバー空間との相互連関。
3
2.低消費電力を実現するための重要技術
Ⅰ-① 半導体の微細加工技術の開発 次世代の露光技術である極端紫外線(EUV)露光の要素技術開発を推進(目標:回路線幅11nm) <微細化効果:回路線幅1/2→容量4倍、消費電力1/4>
Ⅰ-② 新材料・新構造の開発 新しい電子材料、トランジスタ構造等による超低電圧デバイス技術開発を推進(目標:駆動電圧0.4V) <微細化によらない低消費電力化の実現>
「次世代型超低消費電力デバイス開発プロジェクト」
処理中
待機中待機中
電圧
電圧 ※情報処理が必要なときだけ電力を消費
【通常システム】
【ノーマリーオフコンピューティング】
次の処理待ちの電力をカット
処理の合間の不要な電力を
カット
電力消費部分
Ⅱ ノーマリオフ駆動技術の開発 不揮発性素子を前提とした情報処理の実現
IT機器の低消費電力化 へのアプローチ
機密性○ 3.半導体微細加工技術の開発(開発対象)
<EUV露光装置> 欧州
図面提供:EUVA
<マスクの欠陥検査技術> 日本
<回路パターン形成の材料開発> (露光)日本
既存のマスク EUVに対応するマスクが必要
照射光源
レジスト
基板
11nm
×
メモリ
超微細な電子回路を作成するためには、ナノメートル単位の精密さが必要
集積回路
4
<光源> 米国、日本
次世代の露光技術であるEUV露光の実現のためには、光源、マスク、レジスト材料等の要素技術において従来技術からの大幅なブレークスルーが必要。
膨大な開発コストを要するため、特定の企業、国・地域では担いきれないため、課題毎に強みを持つ企業、国・地域で役割分担しつつ共同開発を実施。
4.新構造・新材料の開発(開発対象)
Cu Cu
Cu
PSE
Ru/Ta
②相変化デバイス ③原子移動スイッチ
⑤ナノトランジスタ構造
電源電圧(V)
消費電力比
0.4
1.0
1/10
1.0 従来の半導体デバイス
超低消費 電力化
集積回路断面図 超低電圧化
Cu
TaORu
Cu
OFFON
+V -V
PSE(Polymer Solid
Electrolyte)
Ge の原子移動
低抵抗状態 高抵抗状態
④三次元ナノカーボン配線 ①バイアスのための端子
③絶縁層の挿入 ②不純物濃度の 低い層の挿入
金属配線をナノカーボンに
原子移動による抵抗変化で情報記憶
集積回路に実装
5
IT機器の省エネには、IT機器で用いられる半導体デバイス(動作電圧が通常1V以上)を、低電圧(0.4V以下)で動作する低電圧デバイスに置き換えることが極めて有効であり、それを実現する新構造・新材料を用いた新しい半導体デバイス技術の研究開発を実施。
①磁性変化デバイス
新構造 磁性変化による抵抗変化で 情報記憶
金属配線
CMOS(相補型金属酸化膜半導体) ※コンピュータのCPUを構成する
基本デバイス半導体
銅イオンを移動させてスイッチング
新構造・新材料
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5.事業実施体制 デバイスメーカ、材料メーカ、装置メーカなど各業界を代表する我が国企業や大学等の技術と人材を結集することで、個社では実現不可能な低消費電力化技術を世界に先駆けて実現することを目指す。
NEDO
①半導体の微細化 ②新構造・新材料の開発
※ EIDEC:株式会社EUVL基盤開発センター
※LEAP:超低電圧デバイス技術研究組合
6.事業の成果
最終年度である今年度、当初の目標は達成する見込み。更に一部テーマの目標の引き上げ等を実施。
① 半導体の微細化では、昨年度末までに世界に先駆けて線幅11nmの微細化に対応する欠陥検査技術、レジスト材料等の要素技術を確立。
② 新構造・新材料の開発では、昨年度末までに電圧0.4Vでのデバイス駆動を実証。メモリシステムについては、目標を引き上げて研究を加速(動作電力目標66mW→33mW)。
7
(参考)本事業のアウトプット ○特許出願件数: 121件 (25年度:63件、26年度:58件) ○発表論文数: 203件 (25年度:79件、26年度:124件)
MPU
gat
e le
ngth
(nm
)
Year
デバイスメーカー各社 による実用化の発表
微細化 加速
10
15
20
25
30
2008 2012 2016 2020 事業期間
大きな差
微細化技術が目指す目標 ■微細化目標「11nm」の意義 ITRS(国際的な微細化技術のロードマップ)では、2020 年頃の対応技術とされている。 ■微細化のメリット 回路線幅が1/2になると消費電力は約1/4になる (p11で詳述)。 ■「新構造」・「新材料」デバイス技術開発の必要性 微細化技術にも限界があり、抜本的にデバイスの仕組みを 変える技術開発が求められる。
11nm
本事業の目標 16nm
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7.今後の半導体関連研究開発の課題
<プロジェクト経験に基づく問題意識> 各企業における事業の選択と集中、国際的な水平分業の進展の中で、国の研究開発プロジェクトの成果の事業化について、プロジェクト参加者が必ずしも事業化実施者とはならない事例が生じうる。
IoT/CPS時代の製品・サービス開発には各分野に精通した部品サプライヤー、サービスプロバイダー、システムインテグレーターの異業種連携がますます必要となるため、プロジェクト参加者、成果の実用化を担う者についても従来以上の拡がりがあり得る。
◎プロジェクトの技術成果を継続的に管理し、プロジェクト終了後に成果が広く普及する新たな仕組み(新規プレーヤーでも蓄積した技術成果を活用できる仕組み)の必要性
◎様々な研究開発の成果や知見を集約し、新しい製品、サービスを創出するための、分野・組織横断的なイノベーションの「場」の必要性
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(参考)事業概要(補足説明) 事業内容: ①微細化技術、②低電圧化技術の開発により、IT機器の大幅な小型化・高性能化と低電圧駆動化の実現を図る。 ①極端紫外線(EUV)による微細化・低消費電力技術開発 次世代のEUV露光システムに必要なマスクの検査技術及びレジスト材料を確立、11nm以細の半導体の製造を可能とする。
②革新的な次世代型低消費電力デバイス開発 「新構造」・「新材料」により、現状の半分以下となる超低電圧で駆動する等、消費電力を従来の1/10を可能とする。
ⅰ半導体デバイスの駆動電圧:0.4V以下(従来は1V以上) ⅱメモリシステムの動作電力:66 mW(従来の1/10の電力) ⅲ新材料の配線で実現する抵抗:3 Ω/□(従来は金属配線) 事業期間: 平成25年度~平成27年度 予算額: 平成25年度 33.0億円、平成26年度 42.0億円、平成27年度 20.0億円
成果の実用化により期待される効果: 上記技術によるIT機器の低消費電力化により、平成32年に1,000万tCO2、平成42年に2,700万tCO2の削減を図る。
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(参考)半導体の製造プロセス
設計 マスク作成
ウェハ製造
ウェハ加工 (前工程)
組立て・検査(後工程)
・要求される機能を満たす回路設計 ・回路図のテスト・検証 ・素子配置・配線レイアウト →マスク作成用のデータを作成
1.回路設計・パターン設計 2.フォトマスク作成
・マスクパターンを ガラス基板に形成
3.インゴットの切断
・シリコンインゴットを薄くスライスし、鏡面ウェハを作成
4.ウェハ加工
パターン形成 (露光)
エッチング (いらない膜を
取り除く)
イオン打ち込み (ウェハにイオンを注入)
電極作成(配線のための金属を付ける)
ウェハ検査
5.組み立て
ダイシング(切り分け)
マウンティング(フレームとチップをくっつける)
モールド (チップを保護)
6.検査
温度や電圧をかけた加速検査
製品検査 信頼性試験
微細加工技術
微細加工技術:半導体に非常に微細な回路を形成する技術。微細なほど、半導体が低消費電力化する。現在実用化されている先端技術は22nm~28nm程度。
集積回路 チップ
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これまでの半導体の微細化に係る研究開発成果により、IT機器の低消費電力化が図られるとともに、日系企業がNANDフラッシュメモリの世界シェアを大きく拡大(2001年約37%(約400億円)→2012年約40%(約7,600億円))。
(参考)本技術に関する過去の研究開発事業の成果(半導体の微細化の事例)
修正
次世代型超低消費電力デバイス開発プロジェクト 平成27年度予算額 20.0億円(42.0億円)
事業の内容
条件(対象者、対象行為、補助率等)
国
事業イメージ
事業目的・概要 データ伝送及び情報処理量が年々急激に増大している中、IT機器の消費電力抑制が必須であり、その基幹部品である半導体デバイスの超低消費電力化は喫緊の課題です。
半導体は回路線幅を微細化することで小型・低消費電力が可能になります。このため、次世代のEUV(極端紫外線)露光システムに必要な加工・評価基盤技術の構築により、最先端の10nm台の半導体製造技術を確立し、デバイスの低消費電力化を実現します。
あわせて、新構造・新材料による新たな低消費電力デバイスを開発します。
成果目標 平成25年度から平成27年度までの3年間の事業であり、本事業を通じて、半導体デバイスの低消費電力化(従来比1/10)を実現します。
商務情報政策局 情報通信機器課 03-3501-6944
半導体の回路線幅の微細化による低消費電力化の効果
NEDO
委託・ 補助(1/2) 交付金
民間企業等
真空チャンバ
イイイイイイイイイイイイイイイイイイ デブリシールド
イイイイイイイイイイイイイイイイ 集光ミラー
デフ ゙リとは:プラス ゙マからの飛散粒子(ダスト)
反射型マスク
極端紫外線(EUV)露光装置
EUV用マスク
極端紫外線(EUV)露光装置
EUV用レジスト材料
超低消費電力エレクトロニクス機器の実現
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