1
K 市 人口分布 K 市 産業別人口 公共建築タワーの構成 K 市の産業構成から、第一次産業は 全体の 8.5 % を占める。漁業や農業 などに従事している第一次産業就業 者の多くは、緊急時は 15 分以内にタ ワーに避難することができる周辺地 域に住むことになるだろう。 K 市は、人口に占める 60 歳以上の 割合が約 40% と大きい。高齢者は 避難時の負担が大きいため、優先的 にタワーにめる制度にして、安全を 図ることができる。 K 市 社会インフラ ①病院 (現状)一般病院数 :4 診療所数:19 ⇒半数の街グリッドに比較的大きな一般 病棟を設置。診療所は各街グリッドに複 数設置する。 ②教育機関 (現状)保育所:6 幼稚園:7 小学校:12 中学校 :5 高等学校 :3 ⇒保育所、幼稚園、小学校などすぐそばに欲しい施設は各街グリッド に1つずつ設置する。小学校は現状のものより少し大きめの規模になる。 中学校、高校は街グリッドに設置できない場合はモノレールを用 いて通 学する。 駐車場 商業/劇場など 教育施設 福祉施設 教育施設 sun-light view モノレール駅 図書館 上層部 : 住居 太陽光パネル view エネルギー供給について 8.5% 30.4% 61.2% 1 つの街グリッド 5000 人の生活エネルギー需要のうち、中心の公共 建築物に暮らす 2500 人のエネルギー需要、および自然と共に公共建築 物の周辺で暮らす 2500 人のエネルギー需要はそれぞれ下のエネルギー 需要の棒グラフのようになる。 公共建築物のエネルギー需要のうち、給湯需要はコンベンショング リッドからモノレールの線路に沿って送られてきた 65℃程度の発電排熱 温水と、街グリッド内の産業排熱などで供給する。また、公共建築物の 周辺において、各家屋に太陽熱パネルを設置し、太陽エネルギーを給湯 需要や暖房需要に利用する。公共建築物および周辺住宅の予測される ピーク電力消費はシミュレーションにより、下の折れ線グラフのように なる。ピーク電力消費日は 2005 年の場合 1 月 24 日となった。 各 2500 人 ( 約 900 世帯 ) の冬季ピーク電力消費日 0 200 400 600 800 1000 1200 0:00 3:00 6:00 9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 24:00 / KW ( ) 各 2500 人 ( 約 900 世帯 ) の生活エネルギー需要予測 0 10 20 30 40 50 60 / TJ 33.1 TJ 46.2 TJ 引用  :  農業の写真: http://wens.gr.jp/chiiki/tsunagi.html      子供の写真: http://pks-event.jp/event/report/junre/eco/      祭りの写真: http://101lab.net/blog/2005/08/post-585.html 以上の提案は、日本機械学会環境工学部門第 4 技術委員会委員佐々木正信、坂東茂、粥川洋平、佐藤春樹および慶應義塾大学理工学部のホルヘ・アルマザンおよび鈴木智博、山本圭佑、釜山卓也によりまとめたものです。 丸紅(NAKHEEL 社) : http://www.marubeni.co.jp/news/2005/051214.html 株式会社ジアン ( 東芝 / 東京電力 ) :http://www.jarn.co.jp/jnews/JNews0029.htm 陸と海の方舟構想 - 復旧と復興の両立 - 津波が来るまでに全員が避難できるように、徒歩 15 分(半径約 1 km)をひとつの生活単位とする多重安全構造の街を提案する。街の規模は 5000 人程度で考える。街は基本的に安全のため全電化とする。 各生活単位には、太陽電池+蓄電池を設置して、非常時の情報入手・発信+病人等のための緊急電源を確保する。駐車場の電気自動車のバッテリーも連携可能とする。この街全体をひとつの電力網単位とする。 これを「街グリッド」と呼ぶことにする。また、人が集まる空間として「コンベンショングリッド」も置く。そして、電力 ( および温水 ) 輸送設備を兼ねる軌道をもつモノレールによって、複数の街・コンベン ション空間、そして発電設備を WEB 的に結ぶ。 各街・コンベンション空間の中心には、避難公共建物である耐震・耐津波建物を配置する。普段は 2500 人程度が生活し、災害時は 5000 人全員収容可能とする。避難公共建物以外で暮らす 2500 人も、農業、 畜産、林業、水産業など様々な産業で働く人々も、15 分以内に避難公共建物に入れる手段を確保する。歴史的、文化的な建物などはなるべく元の場所に再建し、祭りなど文化的行事も、里山をはじめ豊かな自 然環境もできる限り今まで以上に再興し、過去から築き上げた文化伝統の伝承を大切にする。 1.WEB 的に繋がる街のネットワーク 2. ケーススタディー (K 市を事例として ) 3. 海からのアプローチ モノレール軌道 耐震・耐津波建物 エネルギー供給設備 災害避難民村メガフロート Smart Cities 避難公共建物の基礎部分は津波災害時用の空間で、地上 20 m の高さ 程度の上に生活空間をつくる。そこにはモノレールの駅も置き他の避難 公共建物や発電施設と WEB 的に繋ぐ。その軌道は送電線や必要に応じ て 65℃程度の温水の道にもなる。温水から冷水をつくることができる こと、東北の気候も考えて、冷水の道は不要と思われる。従来型のモノレー ルよりも連結も個別走行も可能な新たな概念の電気輸送車を視野に入れ て開発した方がよいだろう。 各街グリッドの中心にある避難公共建物は、市役所やホール、病院、介護施設、幼稚園から高校、ショッピング空間、 映画館等、常に多くの人々が集まる場所とする。大災害時に、ここに避難すれば少なくとも5日位は他と断絶しても生 活できるエネルギー・水・食料・衣料・毛布・トイレなど最低限必要なものを備える。避難時には、車いすや老人、子 供を含め皆がどこからでも、車や人の渋滞がなく上に登ることができ、周囲を丈夫な柱で囲い津波で流れてきたものが 中に入らない、内側のどこからでも上に避難でき、救命具や救命ボートを沢山用意して多重安全を確保する。 太陽電池・太陽熱や風力発電などの再生可能エネルギー利用はもちろん、 高効率コンバインドサイクルを含む様々な規模の天然ガス発電・排熱利用、 燃料電池、製鉄会社などの石炭利用地域では IGCC(最新石炭火力)など を含む多様な電源や産業排熱を WEB 的に結び、スマートグリッド連携供 給する。電源の多様化を積極的に進める。 災害避難民村メガフロート 数千から数万人位が暮らせる都市インフラをすべて備えた海上都市を海に浮かべておき、大災害時にタグボートで移動する。風力発電、太陽電池、太陽熱 など再生可能エネルギー供給設備+淡水化プラント・水供給設備+ゴミ・下水処理+医療設備+学校用建物なども完備され、避難民が長期間快適に生活で きる。国内のどこであっても海岸線に 4 日以内に到着できるように配備する。 主要設備例:発電機 3 MW×6台。燃料タンク。係留・荷役施設。海水淡水化プラント。汚水処理施設。携帯電話中継局。診療所。温浴施設。関連車両(タンクローリー、給水車、し尿収集車、電線敷設車)。ヘリポート。 世界救助隊の常備 世界のあらゆる災害に貢献できる国際チームを常備する。ロボットなど最先端技術であらゆる災害に立ち向かう。特に東北大震災の教訓を受け、地震・津波・ 原子力設備事故などの専門チームを編成し、24 時間対応体制を整える。 レスキューロボットのイメージは次の URL が参考になります。  Tech-On! : http://techon.nikkeibp.co.jp/members/DM/DMNEWS/20040325/7/ 緊急移動発電所船舶 日本の原子力発電所 54 基は海岸線にある。今回の事故は停電による冷却水停止が事故拡大の原因。5 時間以内に原子力発電所に送電できるように発電船 を多くの港に配備して、平常時にも電力調整用電源として活用する。災害時は、現場になるべく近くまで近づき、最終的には捕鯨船のような方法で電線に 結んだ綱を飛ばし、キャタビラを持つロボットのようながれきに強い輸送手段で送電線を運び必要なところに繋ぐ。避難所等の電源にもなる。 主要設備例:ポッド式電気推進船:50Hz 兼用 2.5 MW 発電機。電線敷設車。携帯電話中継局。 捕鯨砲のイメージは次の URL が参考になります。  Wa☆Da フォトギャラリー : http://wadaphoto.jp/kikou/hogei2.htm 救助隊の常備 捕鯨砲の原理で電源回線を確保

陸と海の方舟構想 - jsme.or.jp · 陸と海の方舟構想 - 復旧と復興の両立- 津波が来るまでに全員が避難できるように、徒歩15分(半径約 1

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 陸と海の方舟構想 - jsme.or.jp · 陸と海の方舟構想 - 復旧と復興の両立- 津波が来るまでに全員が避難できるように、徒歩15分(半径約 1

K 市 人口分布 K市 産業別人口

公共建築タワーの構成

K市の産業構成から、第一次産業は

全体の 8.5 % を占める。漁業や農業

などに従事している第一次産業就業

者の多くは、緊急時は 15 分以内にタ

ワーに避難することができる周辺地

域に住むことになるだろう。

K市は、人口に占める 60 歳以上の

割合が約 40%と大きい。高齢者は

避難時の負担が大きいため、優先的

にタワーにめる制度にして、安全を

図ることができる。

K 市 社会インフラ①病院(現状)一般病院数 :4 診療所数:19 ⇒半数の街グリッドに比較的大きな一般 病棟を設置。診療所は各街グリッドに複数設置する。     ②教育機関(現状)保育所:6 幼稚園:7 小学校:12 中学校 :5 高等学校 :3 ⇒保育所、幼稚園、小学校などすぐそばに欲しい施設は各街グリッドに1つずつ設置する。小学校は現状のものより少し大きめの規模になる。中学校、高校は街グリッドに設置できない場合はモノレールを用 いて通学する。

駐車場

商業/劇場など

教育施設

福祉施設

教育施設

sun-light

view

モノレール駅

図書館

上層部 : 住居

太陽光パネル

view

エネルギー供給について

8.5%

30.4%

61.2%

 1 つの街グリッド 5000 人の生活エネルギー需要のうち、中心の公共建築物に暮らす 2500 人のエネルギー需要、および自然と共に公共建築物の周辺で暮らす 2500 人のエネルギー需要はそれぞれ下のエネルギー需要の棒グラフのようになる。

 公共建築物のエネルギー需要のうち、給湯需要はコンベンショングリッドからモノレールの線路に沿って送られてきた 65℃程度の発電排熱温水と、街グリッド内の産業排熱などで供給する。また、公共建築物の周辺において、各家屋に太陽熱パネルを設置し、太陽エネルギーを給湯需要や暖房需要に利用する。公共建築物および周辺住宅の予測されるピーク電力消費はシミュレーションにより、下の折れ線グラフのようになる。ピーク電力消費日は 2005 年の場合 1月 24 日となった。

各 2500 人 ( 約 900 世帯 ) の冬季ピーク電力消費日

0

200

400

600

800

1000

1200

0:00 3:00 6:00 9:00 12:00 15:00 18:00 21:00 24:00

/ KW

( )

各 2500 人 ( 約 900 世帯 ) の生活エネルギー需要予測

0

10

20

30

40

50

60

/ TJ 33.1 TJ 46.2 TJ

引用  :  農業の写真: h t t p : / / w e n s . g r . j p / c h i i k i / t s u n a g i . h t m l      子供の写真: h t t p : / / p k s - e v e n t . j p / e v e n t / r e p o r t / j u n r e / e c o /      祭りの写真: h t t p : / / 1 0 1 l a b . n e t / b l o g / 2 0 0 5 / 0 8 / p o s t - 5 8 5 . h t m l

以上の提案は、日本機械学会環境工学部門第 4 技術委員会委員佐々木正信、坂東茂、粥川洋平、佐藤春樹および慶應義塾大学理工学部のホルヘ・アルマザンおよび鈴木智博、山本圭佑、釜山卓也によりまとめたものです。

丸紅(NAKH E E L 社) : h t t p : / / www .m a r u b e n i . c o . j p / n e w s / 2 0 0 5 / 0 5 1 2 1 4 . h t m l

株式会社ジアン ( 東芝 / 東京電力 ) : h t t p : / / www . j a r n . c o . j p / j n e w s / J N ew s 0 0 2 9 . h t m

陸と海の方舟構想- 復旧と復興の両立 -

 津波が来るまでに全員が避難できるように、徒歩 15分(半径約 1 km)をひとつの生活単位とする多重安全構造の街を提案する。街の規模は 5000人程度で考える。街は基本的に安全のため全電化とする。各生活単位には、太陽電池+蓄電池を設置して、非常時の情報入手・発信+病人等のための緊急電源を確保する。駐車場の電気自動車のバッテリーも連携可能とする。この街全体をひとつの電力網単位とする。これを「街グリッド」と呼ぶことにする。また、人が集まる空間として「コンベンショングリッド」も置く。そして、電力 (および温水 )輸送設備を兼ねる軌道をもつモノレールによって、複数の街・コンベンション空間、そして発電設備をWEB的に結ぶ。 各街・コンベンション空間の中心には、避難公共建物である耐震・耐津波建物を配置する。普段は 2500人程度が生活し、災害時は 5000人全員収容可能とする。避難公共建物以外で暮らす 2500人も、農業、畜産、林業、水産業など様々な産業で働く人々も、15分以内に避難公共建物に入れる手段を確保する。歴史的、文化的な建物などはなるべく元の場所に再建し、祭りなど文化的行事も、里山をはじめ豊かな自然環境もできる限り今まで以上に再興し、過去から築き上げた文化伝統の伝承を大切にする。

1.WEB 的に繋がる街のネットワーク 2. ケーススタディー (K市を事例として )

3. 海からのアプローチ

モノレール軌道

耐震・耐津波建物

エネルギー供給設備

災害避難民村メガフロート

Smart Cit ies

 避難公共建物の基礎部分は津波災害時用の空間で、地上 20 m の高さ程度の上に生活空間をつくる。そこにはモノレールの駅も置き他の避難公共建物や発電施設とWEB的に繋ぐ。その軌道は送電線や必要に応じて65℃程度の温水の道にもなる。温水から冷水をつくることができること、東北の気候も考えて、冷水の道は不要と思われる。従来型のモノレールよりも連結も個別走行も可能な新たな概念の電気輸送車を視野に入れて開発した方がよいだろう。

 各街グリッドの中心にある避難公共建物は、市役所やホール、病院、介護施設、幼稚園から高校、ショッピング空間、

映画館等、常に多くの人々が集まる場所とする。大災害時に、ここに避難すれば少なくとも5日位は他と断絶しても生

活できるエネルギー・水・食料・衣料・毛布・トイレなど最低限必要なものを備える。避難時には、車いすや老人、子

供を含め皆がどこからでも、車や人の渋滞がなく上に登ることができ、周囲を丈夫な柱で囲い津波で流れてきたものが

中に入らない、内側のどこからでも上に避難でき、救命具や救命ボートを沢山用意して多重安全を確保する。

 太陽電池・太陽熱や風力発電などの再生可能エネルギー利用はもちろん、高効率コンバインドサイクルを含む様々な規模の天然ガス発電・排熱利用、燃料電池、製鉄会社などの石炭利用地域では IGCC(最新石炭火力)などを含む多様な電源や産業排熱をWEB的に結び、スマートグリッド連携供給する。電源の多様化を積極的に進める。

災害避難民村メガフロート数千から数万人位が暮らせる都市インフラをすべて備えた海上都市を海に浮かべておき、大災害時にタグボートで移動する。風力発電、太陽電池、太陽熱など再生可能エネルギー供給設備+淡水化プラント・水供給設備+ゴミ・下水処理+医療設備+学校用建物なども完備され、避難民が長期間快適に生活できる。国内のどこであっても海岸線に 4日以内に到着できるように配備する。主要設備例:発電機 3 MW×6台。燃料タンク。係留・荷役施設。海水淡水化プラント。汚水処理施設。携帯電話中継局。診療所。温浴施設。関連車両(タンクローリー、給水車、し尿収集車、電線敷設車)。ヘリポート。

世界救助隊の常備 世界のあらゆる災害に貢献できる国際チームを常備する。ロボットなど最先端技術であらゆる災害に立ち向かう。特に東北大震災の教訓を受け、地震・津波・原子力設備事故などの専門チームを編成し、24時間対応体制を整える。

レスキューロボットのイメージは次の UR L が参考になります。  T e c h - O n ! : h t t p : / / t e c h o n . n i k k e i b p . c o . j p / m emb e r s / DM / DMN EW S / 2 0 0 4 0 3 2 5 / 7 /

緊急移動発電所船舶 日本の原子力発電所 54基は海岸線にある。今回の事故は停電による冷却水停止が事故拡大の原因。5時間以内に原子力発電所に送電できるように発電船を多くの港に配備して、平常時にも電力調整用電源として活用する。災害時は、現場になるべく近くまで近づき、最終的には捕鯨船のような方法で電線に結んだ綱を飛ばし、キャタビラを持つロボットのようながれきに強い輸送手段で送電線を運び必要なところに繋ぐ。避難所等の電源にもなる。主要設備例:ポッド式電気推進船:50Hz 兼用 2.5 MW発電機。電線敷設車。携帯電話中継局。

 捕鯨砲のイメージは次の UR L が参考になります。  Wa☆D a フォトギャラリー : h t t p : / / w a d a p h o t o . j p / k i k o u / h o g e i 2 . h t m

救助隊の常備

捕鯨砲の原理で電源回線を確保