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【重要ポイント】 - JPMA...【重要ポイント】 昨今、医薬品開発は国際化が進み、国際共同試験が行われることも一般的になりました。グラフは平成19年から平成25年にPMDA(医薬品医療機器総合機構)に提出された治験届の

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【重要ポイント】

昨今、医薬品開発は国際化が進み、国際共同試験が行われることも一般的になりました。

グラフは平成19年から平成25年にPMDA(医薬品医療機器総合機構)に提出された治験届のうち、国際共同治験の出件数の推移を示しています。6年間に急速に国際共同治験が増加しています。現在、そしてこれからの日本の新薬開発には国際共同治験が重要な意味をもっており、国際共同治験への対応が求められています。

また、国際共同治験参加が増えることは、医薬品開発が国際化する中、日本の果たす役割が増加していることを示しています。

【平成19年度(2007年度)】

国際共同治験の数:38件治験届全体に占める国際共同治験の割合:7.4%

【平成25年度(2013年度)】国際共同治験の数:169件治験届全体に占める国際共同治験の割合:28.1%

規制当局も医薬品開発の国際化が進む中、国際共同治験に日本が積極的に参加することは、海外から遅れることなく日本における臨床開発を進めるとともに、日本人における適切なエビデンスを集積する上で貴重な機会となるため、可能な限りその機会を逸することがないように開発計画を構築することが重要であると発信しており、国際共同治験への日本参加は今後も加速が予想されています。<参考資料>・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、平成26年度GCP研修会資料 3.治験計画届出、治験中副作用・不具合報告等について

https://www.pmda.go.jp/review-services/reexamine-reevaluate/symposia/0025.html

・国際共同治験開始前の日本人での第Ⅰ相試験の実施に関する基本的考え方について(厚生労働省医薬食品局審査管理課 事務連絡平成26年10月27日)

http://www.pmda.go.jp/files/000157480.pdf#page=1

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【重要ポイント】

国際共同試験(MRCT:Multi Regional Clinical Trial)や、日本国内試験であってもその試験データが海外での申請に使用を予定されている場合では以下のような事項への対応が求められます。

・ICH-GCP:我が国のGCPは合意されたICH-GCPに準拠していますが、日本の習慣

に基づき一部異なっている箇所があります。国際共同試験においてはその違いを意識した実施が求められます。

・日本以外の実施地域/申請予定国の規制準拠が求められるため、日本国内試験では不要な対応、書類等が発生します。

・英語への対応が必要となります。

・海外チーム主導の試験運営となるため、日本の製薬会社のチームが主導する国内試験と比較して違いが発生します。

・海外と日本の医療習慣・文化的習慣の相違への対応が必要となります。

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【ICHの組織と構成団体】

ICHは日本/米国/EUの行政、製薬業界で構成され、さらにオブザーバーとして3組織が参加して組織されている会議体です。ICHでは、品質・有効性・安全性といった分野の協議テーマ(トピック)ごとに、各主催者を代表する専門家が専門家作業部会で協議し、ガイドラインの作成などを行います。各主催者からの代表者で構成される運営委員会では、トピックの進行管理やガイドラインの最終決定を含めた管理・運営を行います。また、行政、製薬業界や学会から多数が参加するICH国際会議が2-3年に1回程度行われています。

・ICHガイドライン:「Quality(品質)」、「Safety(安全性)」、「Efficacy(有効性)」、「Multidisclinary(複合領域)」でさまざまなガイドラインでハーモナイズが進行しています。

[日本]行政:厚生労働省(MHLW)、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)業界:日本製薬工業協会(JPMA)

[米国]行政:食品医薬品庁(FDA)業界:米国研究製薬工業協会(PhRMA)

[EU]行政:欧州委員会(EU)、欧州医薬品庁(EMA)業界:欧州製薬団体連合会(EFPIA)

[ICH事務局] :国際製薬団体連合会(IFPMA)[オブザーバー]:世界保健機関(WHO)、カナダ保険省(Health Canada)、欧州自由貿易連合(FTA)

なお、2015年3月時点の最新動向で、ICHは日米EUの3極からグローバルな枠組みへの移行(2015年にICH協会設立、2016年稼働予定)を表明しています。行政として、“カナダ厚生省”、“スイス連邦医薬品庁”が参加予定であり、新たな枠組みでのICHの活動が期待されています。

<参考資料>

・医薬品医療機器総合機構 http://www.pmda.go.jp/int-activities/int-harmony/ich/0014.html・日本製薬工業協会 ICHプロジェクト委員会 http://www.jpma.or.jp/information/ich/・ICH公式ホームページ(英語) http://www.ich.org/

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【重要ポイント】

ICH-GCPは国際的に統一された「医薬品の臨床試験の実施の基準」です。

日本では、ICH-GCPを反映させて「GCP省令」が公布・施行され、数度の改正を経て「GCP省令、運用ガイダンス」となりました。

【医薬品GCP省令】発出日文書番号文書名

H9.3.27 厚生省令第28号医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令

H13.3.26 厚生労働省令第36号第14条書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省令関係省令の整備に関する省令

H14.2.22 厚生労働省令第14号保健婦助産婦看護婦法施行規則等の一部を改正する省令(第三十条医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部改正)

H15.6.12 厚生労働省令第106号医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令

H16.12.21 厚生労働省令第172号医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令

H18.3.31 厚生労働省令第72号医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令

H20.2.29 厚生労働省令第24号医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令

H20.11.28 厚生労働省令第163号一般社団法人及び一般財団法人に関する法律等の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令第十九条医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部改正)

H21.3.31 厚生労働省令第68号医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令等の一部を改正する省令(第三条 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部改正)

H24.12.28 厚生労働省令第161号薬事法施行規則等の一部を改正する省令(第二条医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部改正)

<参考資料>独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA) 関連通知

http://www.pmda.go.jp/review-services/inspections/gcp/0007.html

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J-GCPは基本的にはICH-GCPに準拠していますが、細部には異なる点があります。海外チームは一地域となるJ-GCPの状況、日本での運用の違いについて理解が十分で

ないことが多く、混乱が起こることがあります。国際共同試験に参加する場合には海外での運用と、日本での運用に若干の違いがあることを知識として知っておくことで戸惑わずに済むことが期待できます。

【実施体制の違いについて】

欧米では、治験責任医師が自らの責任において依頼者と直接契約を結ぶことがあるのに対し、我が国では 実施医療機関と治験依頼者が契約を結ぶのが一般的 です。

そのため、 ICH-GCPでは「治験責任医師/実施医療機関」に対して規定が設けられている一方、J-GCPでは、実施医療機関が治験依頼者と契約を結ぶことを前提に、治験責任医師に対する規定と、実施医療機関に対する規定が別に設けられている。

契約に関する事項や関係者の責務規定に関しても、ICH-GCPは概念的な記載になっているが、J-GCPでは責務の所在や要件、適切な運用に必要と考えられる手順等を明示している。

日本では一般的なSMOの業態ですが、ICH-GCP上ではSMOに関する記載はありません。(SMOの業態は海外では一般的でないとされる)

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【予備知識:海外の共同IRB、中央IRBの状況】

海外では共同IRB、中央IRBの利用が進んでいます。EUではEU臨床試験指令(EU Clinical Trial Directive)により、「1加盟国につき1つの倫理審査委員会での承認」と「当局の許可」により臨床試験が開始でき、米国では連邦行政規則(Code of Federal Regulations)で共同審査(Joint or cooperative review)は条件に適合すれば認められるとして共同審査の実施のためのガイダンスなどが出されています。

日本においても平成20年3月のGCP改正より医療機関ごとのIRB設置原則が廃止され、他の医療機関の長が設置したIRBでの審査”及び “複数の医療機関の長が共同で設置したIRB”への審査依頼が可能になり、セントラル化が進んでいますが、海外と運用が異なる部分です。

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【重要ポイント】

ICH-GCPとJ-GCPでは関連文書の保存期間が異なります。国際共同試験の場合は、申請国の要請に沿った期間となるためJ-GCPより長期間の記録の保存が必要になる場合があります。

国内試験と保存期間が異なることから、誤って廃棄しないよう、保存期間を治験依頼者に確認しておくことが重要です。医師法24条に規定される診療録(カルテ)の保存義務(5年間)や、医療法に規定される医療記録の保存期間より、大幅な長期間保存となるの

で、臨床試験対応として特別対応も考慮しましょう。例えば、電子カルテ等の電磁的記録に関しても見読性、真正性、保存性を担保した長期間保存を行う必要があります。

原資料が廃棄される事態は試験の再現性に重大な悪影響があります。十分注意しましょう。

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【予備知識】

日本国内のみの試験であってもその試験データが海外での申請に使用を予定されている場合があります。その場合、治験依頼者から、海外規制対応/文書等を国際共同試験同様に求められることがあります。

・米国規制:米国では全ての臨床試験をClinicalTrials.gov に登録・結果公開すること

が求められており、これを同意説明文書に記載することで、被験者に情報公開に関しても伝え、必要に応じ被験者自身で情報入手できるようにする必要があります。

・米国規制:FCPA(海外腐敗行為防止法)。米国外の公務員に対する商業目的での贈賄行為を禁止するために、1977年に米国で制定された法律。米国内外に適応され、公

的医療機関との契約(治験契約含む)やその他の支払い(謝金等)が発生する際には、この法律を遵守しているかどうかの審査やレビュー(承認プロセス)が各社(主に米国に上場している企業)で実施されています。

・EU規制: 「治験終了後25年間」の記録の保存が求められます。(2014年5月にEUのRegulationが変更されました。変更前は15年間の保存)

・EU規制: SAEの治験依頼者への報告は24時間以内の報告が求められています。(日本、ICH-GCPでは「ただちに」)

<参考資料>

PhaRMA 米国研究製薬工業協会 治験FAQ:http://www.phrma-jp.org/archives/data/chiken-faq/

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臨床試験の規制について、日本と米国を比較した表です。

日本では、治験は医薬品医療機器等法の下、GCP遵守で実施されPMDAへの届出が必要ですが、それ以外の臨床研究に法的な規制はなく、実施規則もGCPではなく倫理指針遵守で規制当局への届出も不要です。

一方、米国では「ヒトに医薬品を実験的に投与する臨床研究全て」で統一した規制となっており、治験だけでなく研究者主導の臨床研究もFDAへのIND申請が必要です。

なお、一部の試験ではIND申請が免除されるケースもあり、例えば市販薬を承認の範囲内で用いた試験ではIND申請が免除されます。

*医薬品医療機器等法:2014年の薬事法改正とともに、薬事法の名称が変更された。

正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。

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英国の規制についてまとめたものです。

EUでは、EU DIRECTIVEに基づき、各国の規制が定められており、英国ではイギリス

臨床試験規則があります。ここでも米国と同じように「全ての臨床研究」で統一した規制となっており、治験だけでなく研究者主導の臨床研究についても同じように英国の医薬品・医療製品規制庁であるMHRAへの申請が求められており、GCP遵守となっています。また、違反した場合の罰則規定もあり、ライセンスの停止/剥奪や、最大では禁固2年の懲役や上限なしの罰金が科せられます。

なお、EU DIRECTIVEはClinical Trial Regulationとして改正され2016年5月より適用となる予定です。

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【重要ポイント】

国際共同試験/国内試験に関わらず、試験データを日本以外の実施国/地域への承認申請に使用する予定の場合、海外当局の要件に対応した資料を準備する必要があります。例えば、J-GCPでは不要とされた治験分担医師の履歴書が必要ですし、治験業務の分担に携わる全ての人について業務・役割を細かく指定したDelegation listも必須です。モニターが作成のサポートを行う場合もありますが、医療機関が作成する資料の場合には、その内容については治験開始前にモニターとよく相談しておく必要があります。

【各資料の説明】

・治験分担医師のCV(Curriculum Vitae):治験の実施及び(又は)被験者の医学的な管理が可能なことを占める、職務経歴、教育記録が示された文書・Delegation list:治験責任医師がどの業務を誰に実施させているかを特定する資料・Financial Disclosure:治験担当医師と治験依頼者の金銭面における関連性を確認する資料。

【参考資料】国際共同治験における役割分担 -治験依頼者へのアンケートをもとに-2011年5月日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会ICH-GCP,Information Sheet Guidance for IRBs, Clinical Investigators, and Sponsors FDA Inspections of Clinical Investigators, IV. How are clinical investigator inspections conducted? ,Code of Federal Regulations 21 CFR,Form FDA 1572 等スライド参照,PhARMA FAQ ここが知りたいUSの規制 http://www.phrma-jp.org/archives/pdf/faq_a3.pdf

【関連する治験119】質問番号:2005-02 治験協力者の履歴書の取扱い質問番号:2008-35 治験分担医師の履歴書(その2)

質問番号:2010-26 治験責任医師の英語版履歴書に対する(治験審査委員会)審査の必要性質問番号:2010-58 EDCトレーニング修了証の位置づけ質問番号:2011-27 国際共同治験を実施する日本の医療機関に適用される海外規制質問番号:2011-28 海外規制当局による査察質問番号:2012-48 事務担当者による症例報告書へのデータ入力質問番号:2012-43 署名済み同意文書と説明文書の保存形態

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<参考資料>

PhaRMA 米国研究製薬工業協会 治験FAQ:Financial Disclosure が求められる背景とその必要性について教えてください。

http://www.phrma-jp.org/archives/pdf/faq_a7-2.pdf

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<参考資料>

PhaRMA 米国研究製薬工業協会 治験FAQ:国際共同試験でも Form 1572の作成

が求められる場合と求められない場合があります。なぜですか?そもそも何のためにForm 1572の提出が必要なのでしょうか?

http://www.phrma-jp.org/archives/pdf/faq_a3.pdf

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【各資料の説明】

・Training Log:治験に関する業務を実施する人が必要なトレーニングを適切に受講していることを示す資料・Site Initiation Visit Report (“SIV Report”):治験依頼者が作成する医療機関における試験開始時訪問のモニタリング活動の記録(モニタリング報告書)。

試験(治験)を開始するまでのプロセスが適切に実施され、手順等のトレーニングや必要な機器資材が整えられ、試験の開始を治験依頼者が認めたとの意味を持つ書類であり、モニターが作成したのち、医療機関にも提供され保管が必要です。

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【各資料の説明】・Confirmation Letter:CRAがOn-siteモニタリング実施時に、事前に訪問目的及び意図を通知する文書

・Relevant Communications Other Than Site Visit :治験依頼者と医療機関が訪問

以外の方法で行った治験薬の管理、治験実施計画書違反及び(又は)逸脱、治験の実施状況、有害事象の報告等に関する合意事項や重要な協議事項を記録した文書。

例えば手紙、会議録、Fax又は電子メールで合意内容及び(又は)重要な協議事項に

ついて連絡した場合は医療機関と治験依頼者の双方に連絡記録が保存されるように留意する。電話で連絡した場合、モニターはモニタリング報告書に内容を記載し、医療機関の治験スタッフは連絡記録を作成後、保存する。なお、モニターが医療機関を訪問した場合は、合意内容及び(又は)重要な協議についてFollow-up Letterに記録を残し、原本は医療機関、写しは治験依頼者側にて保存する。・Follow-up Letter:モニターが医療機関へのモニタリング活動において、点検した内容

の要約並びに重要な発見事項及び(又は)事実、逸脱及び欠陥、結論、並びに講じられた若しくは講じられる予定の措置及び(又は)遵守を確保するために推奨される措置及びそれらに関するモニターの見解を治験責任医師、治験分担医師及び治験スタッフに報告し、必要な措置及び(又は)改善の実施を直ちに実現するための文書。・Investigational Product Temperature Log :治験薬について医療機関での保管状態が問題ないことを示す資料

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【重要ポイント】

国際共同試験においては地理的要因の意識が必要です。

【検査検体を海外測定する事例】

例えばアジア各国から検体仕分けのハブ機能をもつシンガポールラボへ検体を送付し、さらに必要な検体を選り分けてからアメリカのラボに送る・・・・というような場合もあります。

このため、各航空機のフライト曜日・フライト時間や、外国の休日等の要因により、医療機関からの検体集荷に時間がかかり、検査結果判明までに時間がかかるケースがあります。また、検体の性質により採取~測定までの期限考慮が必要な場合には、採取当日発送や、可能曜日が制限される場合があります。事前に検査手順書等を十分に確認し、不明点はモニターに確認し、不備が無いように実施しましょう。

・日本⇒シンガポール、シンガポール⇒アメリカへの輸送頻度

・輸送にかかる時間の一例(日本⇒シンガポール:医療機関集荷後、夜に成田空港発/翌朝シンガポール到着。日本⇒シンガポール⇒アメリカは約5日を要する)

【時差の考慮】

国際共同試験においては、海外チームや、海外ベンダーの担当者との問い合わせ時には時差を考慮する必要があります。特にアメリカや、ヨーロッパの場合は日本の業務時間帯が夜間となるため、タイムリーな確認ができず、返答が最短で日本の翌日となります。国内試験においては、不測の事態に治験依頼者や検査会社に相談し、即応が可能なケースもありますが、国際共同試験では時差の関係で即応が難しい事情があります。逆に、日本時間で夜までに確認依頼を行うと、日本時間の朝までに返答が期待できることもあり、担当者の所在地と時差を意識することで効率的な対応も可能になります。

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【重要ポイント】

国際共同試験では、英語が標準言語です。そのため、国際共同試験に携わる医療機関の試験スタッフには一定の英語力が求められます。また、外資系製薬企業が試験依頼者の場合日本のみでの実施であっても症例報告書等に英語を使用することが増えています。英語力の向上は、業務効率向上へ直結します。短期的にも、長期的にも英語力を向上への取り組みが必要です。

国際共同試験では、多くの共通資料は英語で作成されています。

日本では英語の共通資料のみでの実施は難しい実情があり、治験実施計画書や手順書等について治験依頼者は和訳版を作成し、提供されることが一般的です。(治験依頼者ごと、日本においての原本の取扱いは方針が決定されています。必要時は治験ごと取り扱いを確認しましょう)

被験者さん向けの資料は、母国語が使用されるべきであるため日本語の資料が用意されます。

また、国際共同試験では海外チームやベンダーから医療機関スタッフへ英語メールでの直接問い合わせが行われるケースもあります。英語メールにおいてもどのような意図のメールか把握を心がけ、不明な点は放置せず、モニターに確認を行い、必要な対応に漏れが起こらないように対応しましょう。

(国内試験ではモニターを通じて多くの連絡が行われることが現在一般的ですが、海外では分業の文化があり、モニターを通さず直接問い合わせとなる場合があります)

文部科学省・厚生労働省が平成19年に発表した「新たな治験活性化5カ年計画」においても「国際共同治験・臨床研究が円滑に実施されるためには、医師等のみならず治験事務局やIRB 等が、英語文書での対応を求められる。」との記載があり、国策としての取り組み課題とされています。

<参考資料>

新たな治験活性化5カ年計画 (文部科学省、厚生労働省 平成19年3月30日)

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0330-5a.pdf

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【重要ポイント】

医療機関の試験スタッフの英語力として、「症例報告書(CRF)」の入力、および「クエリ対応」は最低限必要となります。「症例報告書の英語記載、英語でのクエリ対応」をスムーズに実施できることを目指しましょう。

治験依頼者が英語での入力対応を求める主な理由として主に2つあげられます。

1:臨床試験データの相互利用がしやすい。「標準言語」である英語で記録されていれば世界中どこの国で得られたデータであっても、内容を理解でき、データの統合も容易である。2:国によらず共通のシステムを利用することで効率化を図る。

症例報告書にデータを記録する前に「どうしようかな?」と思うことがあれば、モニターへの相談が一番簡単なWin-Win の方法です。これが大原則です。

しかし、注意すべきは、症例報告書の作成は、治験責任医師の責務であり、治験依頼者が症例報告書の作成に関与してはなりません。これは、症例報告書の記載如何によって、治験依頼者には利害が発生する可能性があるからです。この意味で、クエリー中の問合せ文章が、回答者をある方向に誘導するようなことがあれば、それは好ましくありません。

英語力向上の次のステップとして、「原本である英語資料の読解」、「全体研究会参加時や、電話会議・トレーニング等での英語での質問・議論・情報交換」が考えられます。

<参考資料>

症例報告書を英語で記載する場合の留意点(日本製薬工業協会、2011年)

http://www.jpma.or.jp/information/evaluation/allotment/houkoku.html

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【重要ポイント】

国際共同試験は試験の中央機能(企画や運営)が海外チーム(外資系製薬会社の海外本社等)となることが大半です。医療環境は各地域で異なるため、日本の医療環境からは異質に見える試験手順となることがあります。また、海外チームの試験運営は、日本の治験依頼者の試験運営と進め方が異なることがあります。

1つの治験実施計画書を世界同時で実施するわけですから、違いに可能な限り柔軟に対応していく姿勢が望まれます。そのためには、違いがあることを知り、背景を確認、理解することが大切と考えます。

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【重要ポイント】

国際共同試験では、文化的習慣の違いに直面することがあります。海外の慣習では常識でも、日本ではそうでない項目や、逆に日本の慣習では常識でも、海外ではそうでない項目もあります。すべての基準を海外基準に合わせる必要はありませんが、特に試験の根本となる「品質確保」に関しては、海外基準に対応が必須です。

【原資料マネジメントにおける誤解】

原資料マネジメントに関して、「国際共同試験ではALCOAの徹底が必要」という認識を持っている臨床試験関係者がいますが、誤解です。

ALCOAは日本も含めた世界共有の原則であり、国際共同治験や外資系企業が実施す

る臨床試験にのみ適応されるものではなく、全ての臨床試験において推奨されるべきBest Documentation Practiceと考えるべきです。

PMDAも公式なプレゼンテーション等において「事実経過の再現と評価に必要な記録」を実現するための要件としてALCOAに言及しています。

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【重要ポイント】

海外の文化では「業務分掌」と「教育訓練」に対する考え方が厳格です。適切な業務分掌を行い、必要なトレーニングを受講し、そののちに業務に携わる、業務実施者は署名(Signature)で携わったことを示す、という流れが必須条件です。また、その関係性が文書で説明できることも必須となります。

国際共同試験を行う、「国際的に通用する医療機関」であるためには、試験ごとに本関係性が明確となっていることが必須です。

「Delegation list」は医療機関において、誰が何の業務を担当するかという「担当者とその責任範囲」(Role & Responsibility)を明確にする文書です。試験実施の業務の詳細について、誰が実施できるかを明確にします。(例:同意取得、AEの評価、検査実施、治験薬処方、EDC使用 等)

(「治験分担医師・協力者リスト」は治験責任医師が実施医療機関の長、IRBに実施体制を示す様式であり、目的が異なります)

「トレーニング記録」により知識習得を提示します。トレーニング記録がない場合、適切な教育訓練を完了しているとみなせず、不適切な者が携わっていると判断されてしまいます。(記録が無い場合、やっていないことと同じとみなされます)

「証拠/証跡」に関する考え方も重視されます。誰が実施したのか「署名(Signature)」により明確に記します。また、その署名は「Signature Log」に事前登録が必要です。(署名が無い場合は、適切な者が実施した証明できません)

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