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電源品質測定ガイドブック (測定のヒントと事例) 日置電機株式会社 © 2014 HIOKI E.E. CORPORATION A_UG_PW3198J6

電源品質測定ガイドブック - SOOKI · ケーススタディ16 gpsとの同期(pw3198) ケーススタディ17 遠隔操作、遠隔計測 ケーススタディ18 PW3198のCH4の効果的な使い方

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電源品質測定ガイドブック (測定のヒントと事例)

日置電機株式会社

© 2014 HIOKI E.E. CORPORATION A_UG_PW3198J6

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目次

1. 電源品質を測定する目的

2. 国際規格 IEC61000-4-30

3. 電源品質調査の手順

4. 電源品質パラメータとイベントの説明

5. 事例集

ケーススタディ 1 配線インピーダンスによる電圧降下

ケーススタディ 2 グロー式蛍光灯によるトランジェント

ケーススタディ 3 力率改善コンデンサのスイッチング

ケーススタディ 4 雷による電圧ディップ(瞬時電圧低下)受電点側

ケーススタディ 5 雷による電圧ディップ(瞬時電圧低下)分電盤側

ケーススタディ 6 トランジェントの発生

ケーススタディ 7 定期的な瞬時電圧低下の発生

ケーススタディ 8 一般的なUPSの切換わり波形

ケーススタディ 9 電圧波形ノイズとUPSの切換わり

ケーススタディ 10 工場での電圧ディップ

ケーススタディ 11 高調波の流入流出調査

ケーススタディ 12 高次高調波

ケーススタディ 13 伝導性ノイズ

ケーススタディ 14 太陽光発電

ケーススタディ 15 風力発電

ケーススタディ 16 GPS との同期(PW3198)

ケーススタディ 17 遠隔操作、遠隔計測

ケーススタディ 18 PW3198 の CH4 の効果的な使い方(PW3198)

6. TIMEPLOT 記録方法とイベント波形記録方法

7. 用語解説

補足 1 PW3198 簡易設定の詳細

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1. 電源品質を測定する目的

インバータを中心とするパワーエレクトロニクス応用機器の普及、電力系統においては大型アーク炉,

大型整流器など不平衡負荷の増加、分散型電源の連系増加など電力系統の複雑化に伴う電源品質の低下

が心配されています。

電源品質の低下は,受変電設備の障害や電子制御機器の誤動作などを引き起こします。例えば,高調波

はリアクトルの焼損やコンデンサの異常音の発生を引き起こし,インパルスなどのノイズや電圧低下は

コンピュータを使用した制御システムが停止する事態に至ります。

電源品質の低下によって起こる電源ラインの異常は,電力を供給サービスする側と電力を使用する側の

どちらにおいても共通の問題です。電源異常の直接原因は,供給側、使用する側どちらの電力システム

に問題があるのかが一概に判らないのが現状です。直接の原因が何処にあるのかを見極め、有効な対策

を行うために電源品質測定が必要です。

2. 国際規格 IEC61000-4-30

IEC61000-4-30 は交流電力供給システムにおける電源(電力)品質測定に関する試験及び測定技術に関

する国際規格です。使用する測定機器にかかわらず、信頼でき、再現可能な結果を得ることを目的とし

ています。

この規格で対象となるパラメータは、電力システムの中で伝播する現象に限られ、周波数、供給電圧の

振幅(実効値)、フリッカ、供給電圧のディップ、スウェル、停電(瞬停)、過渡過電圧、供給電圧不平

衡、高調波電圧、インターハーモニクス電圧、供給電圧上の搬送信号および、高速電圧変化です。

また、これら測定パラメータを測定する測定器の測定方法や性能条件も定められており、3 つのクラス

(A,S,B)が定義されています。もっとも信頼できる電力品質測定は、クラスAに対応する測定器

を用いることになります。クラスAに要求される測定器の機能や性能は要求測定確度を満たすだけでな

く、測定のアルゴリズムや測定器の時刻精度にまで及びます。

測定器のクラス

測定器は測定方法や、測定性能により、3つのクラス(A,S,B)に定義されています。

クラス 使用用途

クラス A 諸規格への適合性の確認、論争を解決するためなど、正確な測定が必要とされ

る場合に使用する。

正確な測定をするため、測定器のタイムクロック確度、実効値の演算方法や

TIMEPLOT のデータのまとめ方など細かく規定される。

クラス S 調査、電源品質評価等に使用する。

クラス B トラブルシューティング等、高確度が要求されない場合に使用する。

弊社製品 PW3198 はクラス Aに対応しています。

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3. 電源品質調査の手順

原因追究のためのヒント 

電力系統の入口部分で電圧と電流の変化(トレンド)を記録しましょう!

建物の消費電流が上昇している間に電圧が降下していれば、原因は建物の中 にあり、電

圧と電流が両方とも降下していれば、原因は建物の外にあると予想されます。測定場所

の選択や電流の測定は重要な要素です。

電力トレンドをチェックしましょう!

過負荷状態になっている機器は、トラブルの原因になることがあります。電力トレンド

を把握することにより原因となる機器、場所が特定しやすくなります。

発生時間をチェックしましょう!

異常(EVENT) が記録される時間に稼動しているまたは、電源が ON/OFF された機器が原

因となっている場合があります。正確な異常(EVENT) 発生時刻や終了時刻を把握するこ

とで、原因となる機器、場所が特定しやすくなります。

発熱・異音をチェックしましょう!

過負荷、高調波などが原因で、モータ、トランス、配線から発熱・異音が発生すること

があります。

電圧

電流

供給電源の電圧が下がり、それに伴なって 電流も降下するケース

←原因はどっち?→

短絡や突入電流で建物内部の消費電流が 上昇し、電源容量が足りず電圧が下がって しまうケース

電圧

電流

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ステップ 1 目的を明確にする (1) 電源品質の実態把握 ステップ 3 へ

定期的な電源品質の統計調査

新しい機器の設置前後の調査

負荷調査

予防保全

(2) 電源異常の原因調査 ステップ 2 へ

機器の誤動作または損傷の原因追究

電源トラブルの電源異常への対策

ステップ 2 異常(測定箇所)の把握 (1) 何に異常が起きているのか

主要電気装置

大型コピー機、無停電電源、エレベータ、

エアコンプレッサ、空調コンプレッサ、

バッテリチャージャ、冷却装置、

エアハンドラ、時間制御式照明、

変速駆動装置など

配電系統

コンジット(電線管)の破損や腐食、

トランスの過熱やノイズ、オイル漏れ、

サーキットブレーカの動作や加熱

(2) いつ異常が発生するのか

常時、周期的、間欠的

決まった時間、日

(3) どこで何を測定するのか

電圧、電流、(電力)--- 常に測定することを推奨

異常時の電圧・電流のトレンドを解析すると

原因の特定が容易に

複数箇所で同時測定できると原因の特定が容易に

変電所内の系統専用線(電力会社のみ)

引きこみ口(高圧、低圧)

分電盤、配電盤

電気電子機器の電源供給口、コンセント等

(4) 予想される原因は何か

電圧の異常

実効値の変動、波形の歪み、

トランジェント電圧、高次高調波

電流の異常

漏れ電流、突入電流

電源品質?

電源トラブル?

どんな測定?

何を

どこで?

いつ?

推定原因は?

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ステップ 3 測定を実施する場所の確認 測定を実施する場所の情報を収集

結線

公称入力電圧

周波数

中性線測定の必要性、DC 電圧測定の必要性

電流容量

その他施設全体に関する情報

他の電源異常装置の有無、主要電気装置の運転

サイクル、施設内の装置の追加や変更の有無、

施設内の配電系統のチェック

ステップ 4 測定の実施 電源品質アナライザで測定を実施

PW3198 の便利な機能

結線チェック 結線を容易にし、測定開始前に正しく結線されて いることを確認できます。

簡易設定

イベントしきい値が目的に応じて自動的に設定 されます。(設定後に変更も可能)

VIEW 画面

瞬時値を確認

簡易設定の概要

電源異常検出 電圧異常の検出

基本電源品質測定 基本的な電源品質項目の測定

突入電流測定 突入電流の検出

測定値記録 イベント機能を使わずに、実効値の変動のみ記録

EN50160 EN50160 に沿った長期の電源品質調査

詳細は補足 1を参照ください。 

現場状況は?

電源の仕様は?

稼動状況は?

周りの設備は?

電源品質アナライザを

使用すると様々な異常

現象を一度に測定する

ことができます。

測定してみましょう

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4. 電源品質パラメータとイベントの説明

電源のトラブルの現象を調査・解析するために必要とされているものが電源品質パラメータです。電源

品質パラメータを測定することで、電源品質の現状を把握することができます。

電源品質アナライザでは、電源品質パラメータの「異常値」や「異常波形」を検出するために、しきい

値を設定します。この設定したしきい値を超えたときを「イベント」と呼びます。

(しきい値は異常値を予測して設定した値なので、イベント発生時に必ずトラブル現象があるとは限り

ません。)

周波数変動

 有効電力の需給バランスの変化,大容量発電機の

遮断や系統事故による系統分離等で発生する周波

数の変動。同期電動機の回転数変動による製品不

良の発生を引き起こすことがある。

電圧スウェル(サージ)

 落雷や重負荷の電力ラインの開閉時、大容量コン

デンサバンクのスイッチング、一線地絡時、大容

量負荷の切離し時などに発生し、瞬時的に電圧が

上昇。分散電源( 太陽光発電など) の系統連系に

よる電圧の上昇。電源電圧の上昇により、機器の

電源を壊したり、リセット動作を引き起こすこと

がある。

トランジェントオーバ電圧(インパルス)

 落雷、サーキットブレーカやリレーの接点障害や

閉鎖などにより発生する電圧変化。急峻な電圧変

化とピーク電圧が高いことが多い。発生源の近辺

では、特に高電圧により機器の電源を壊したり、

リセット動作を引き起こすことがある。

フリッカ

 溶鉱炉・アーク溶接やサイリスタ制御負荷が原因

で生じる電圧変動で、電球のちらつきなどが発生。

周期的に現象が繰り返されるため、照明のちらつ

きや機器の変調などを引き起こすことがある。フ

リッカの値が大きい場合には、ほとんどの人が照

明のちらつきを不快と感じる。

電圧ディップ(サグ)

 落雷などの自然現象が大半を占める。電力系統の

地絡または短絡故障の発生から、故障を検出し遮

断するときや、モータ起動など負荷に大きな突入

電流が発生することによる、短時間の電圧降下。

電源電圧の低下により、機器の動作停止やリセッ

ト動作、放電灯の消灯、電動機の速度変動または

停止、同期電動機および発電機の同期はずれを引

き起こすことがある。

瞬停(瞬時停電)

主に電力会社の事故(落雷等による送電停止など)

や電源短絡等によるサーキットブレーカのトリ

ップなど、瞬時または短期/ 長期的に電源供給が

停止して発生。

近では UPS( 無停電電源) の普及により、コンピ

ュータなどでは対策が取られることが多くなった

が、瞬停により機器の動作停止やリセット動作な

どを引き起こすことがある。

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高調波

 機器の電源に半導体制御装置が採用されている場

合に、電圧・電流波形がひずむことにより高調波

が発生。高調波成分が大きくなると、モータ・ト

ランスの異常発熱や騒音の増加、進相コンデンサ

に接続されているリアクトルの焼損など、大きな

事故につながることがある。

高次高調波成分

 機器の電源に半導体制御装置が採用されている

場合、電圧・電流波形がひずむことにより発生す

る数 kHz 以上のノイズ成分。様々な周波数成分を

含むことがある。機器の電源を壊したり、リセッ

ト動作、テレビ、ラジオなどからの異音を発生さ

せる。

インターハーモニクス

 静止形周波数変換装置,サイクロコンバータ,セ

ルビウス装置,誘導電動機,溶接機,アーク炉な

どが原因で電圧・電流波形がひずむことにより発

生。基本波の整数倍でない周波数成分。電圧波形

のゼロクロス変位による機器の故障,誤動作,性

能劣化を引き起こすことがある。

不平衡 

動力ラインなど各相ごとに接続された負荷の増

減や、偏った設備機器の稼働により、電圧・電

流波形ひずみ、電圧降下や逆相電圧により発生。

電圧のアンバランス・逆相電圧・高調波の発生

などにより、モータの回転ムラや騒音、トルク

の低下、3E ブレーカのトリップ、トランスの過

負荷発熱、コンデンサ平滑形整流器の損失増加

などにつながることがある。

突入電流

(電流波形)

電気機器に電源を投入したときなどに一時的に流

れる大電流。POWER スイッチ接点やリレーの溶着、

ヒューズの溶断、サーキットブレーカの切断、整

流回路などへの悪影響、電源電圧の不安定化およ

びそれに伴う電源を共有する機器などの動作停止

やリセット動作などを引き起こすことがある。

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5. 事例集

ケーススタディ1

配線インピーダンスによる電圧降下

測定箇所:単相2線 100V ライン

機器の誤動作、故障

配線インピーダンスによる電圧降下の影響を実験した例です。

配線インピーダンスにより、機器への供給電圧が 90V以下に落ちる。

配線インピーダンスにより、電源電圧が降下機器の許容電圧を以下になるため、電源が落ちたり、誤

動作、故障の原因となることがあります。

電圧降下の影響を実験した例です。供給側の電圧に対して負荷側の電圧は、配線が長くなることによ

り電圧降下を起こします。

実験に用いたテーブルタップの配線インピーダンス rは実測すると 1Ωでした。

この配線に 10Aの負荷電流が流れたとすると、オームの法則により 1Ω×10A=10Vrms の電圧降下

が起きます。

環 境

異常内容

解析内容

負荷 r r r

100Vrms 90Vrms

-10Vrms 電圧降下

V=Ⅰ×R

負荷

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ケーススタディ2

グロー式蛍光灯によるトランジェント

測定箇所:単相2線 100V ライン

グロー式蛍光灯が点灯する際に生じるトランジェントオーバ電圧を測定した例です。

蛍光灯を点灯した際の、電圧波形とトランジェント波形

グロー式蛍光灯は、蛍光灯にグロー管が付

いているもので、蛍光灯の種類の中では一

番安価なものです。

蛍光灯は、点灯始動時に電極を予熱する必

要があり、そのためにグロー管がついてい

ます。グロー管は蛍光灯の点灯前にチカチ

カと点滅して予熱します。

グロー管の 初の点滅時にトランジェン

トを発生して、周囲の電気器具に影響を与

えることがあります。

A カーソル

B カーソル電圧が 0 レベルのライン

2MHz でサンプリングしているため

トランジェントのピーク値を捕らえています。

環 境

異常内容

解析内容

グロー管

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蛍光灯を点灯した際の、電圧波形と電流波形

電圧波形のピーク(128.9V)のところで

電源スイッチがONされて、マイナス側

に 103.1V のトランジェントオーバ電圧

が発生したことがわかります。

トランジェントオーバ電圧の発生した

際には、瞬間的に大きな電流が流れてい

ます。

ここでは 10 ターンコイルを使用して測

定したので測定値に×1/10 を掛けて、

瞬間的にマイナス側に 0.9602A 流れた

ことがわかります。

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ケーススタディ3

力率改善コンデンサのスイッチング

測定箇所:単相2線 100V ライン

使用機器の電源が壊れる

測定データにはいくつかのイベントが検出されました。

その中で力率改善コンデンサの切り換え時に発生するスイッチング波形が検出できました。受電設備

に設置されている力率改善コンデンサが動作して、低圧回路側までに対策装置が無くスイッチングノ

イズが抜けてくるとこのような電圧波形が記録されます。

電圧ノイズ波形1(電圧波形比較イベントによる)

他にもインパルス(トランジェント)性の電圧波形が検出されました。

装置の起動電流によって電圧波形が影響を受けるとこのような電圧波形が記録されます。

電圧ノイズ波形2(電圧波形比較イベントによる)

間欠的に発生するこのようなノイズを検出するには、「電圧波形比較イベント」が有用です。

「電圧波形比較イベント」のしきい値は 10%~15%の設定をすると良いでしょう。

環 境

異常内容

解析内容

メ モ

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ケーススタディ4

雷による電圧ディップ(瞬時電圧低下) 受電点側

測定箇所:HIOKI 本社ビル 三相3線 6.6kV 受電点 計器用変圧器2次側

測定期間:2003 年 6 月~2004 年 5 月の1年間

三相 6.6kV 受電点において1年間測定したところ、電圧ディップが検出できたのは雷によるものだけ

でした。その電圧ディップは連続した3日間(2003 年 8 月 5~7 日)での6回でした。もっとも残存

電圧が小さく、継続期間の長いものは、TR 相(CH3)で発生しており 4.708kV,109ms でした。

電圧変動グラフ

EN50160 での測定結果の分類(三相同時発生のものは1回にまとめています)

ITIC カーブでの電圧ディップの評価(それぞれの相毎にプロットしています)

環 境

異常内容と解析内容

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もっとも残存電圧が小さく継続期間の長い電圧ディップ発生時のイベント電圧変動グラフ

電圧ディップの発生メカニズム

落雷により瞬間的に高い電圧が発生して送電線と鉄塔間がショートします。すると故障電流が流れて、

電圧が低下します。故障除去のために遮断器が動作しますが、それまでの間(0.07~2 秒程度)電圧低

下します。これが雷による、瞬時電圧低下(電圧ディップ)です。

1.雷の発生 2.送電線への落雷 3.故障電流 4.瞬時電圧低下の発生 5.故障切り離しまでの期間 は瞬時電圧低下継続

故障電流

保護リレー

遮断器

遮断器 変圧器

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ケーススタディ5

雷による電圧ディップ(瞬時電圧低下) 分電盤側

測定箇所:HIOKI 本社ビル 5F 東側分電盤 単相 3線 200V

測定期間:2002 年 7 月 9日~8月 9日

雷の発生により、1ヶ月間の測定期間中(ケーススタディ4とは測定日時が異なります)に4回電圧

ディップが検出されました。高圧系統側で電圧ディップが発生しているために、分電盤の単相3線ラ

イン側でも影響が生じています。それぞれの電圧ディップの残存電圧と継続時間は以下のとおりでし

た。

感受性の高いパソコンには必ずUPS(無停電電源)をつけるなどの、需要家側での対策が有効的で

す。

残存電圧 継続時間

1回目 47Vrms 117ms

2回目 63Vrms 109ms

3回目 82Vrms 50ms

4回目 56Vrms 116ms

2回目の電圧ディップ発生時のイベント電圧変動グラフ

2回目の電圧ディップ発生時の電圧波形と電流波形

環 境

異常内容と解析内容

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ケーススタディ6

トランジェントの発生

測定箇所:工場 三相3線 200V ライン

使用機器の画面が動作異常となる

検出された数回のイベント全てにおいて電圧トランジェントが検出されました。

しかし残念ながら、そのトランジェントの原因は不明でした。

トランジェント波形の解析

1)三相(RS間,ST間,TR間)全てに同期して発生

2)商用波形の1サイクル中に2回連続して発生、その2回の発生間隔は 820μs

3)ピーク to ピークで 120V~260V のレベル

4)10kHz~30kHz の周波数帯域

電圧トランジェントの解析

特に指定がない場合、電圧トランジェントのイベントしきい値は波高値の1/2程度にします。

例えば、100Vrms ラインでは 0.07kV 程度に、200Vrms ラインでは 0.14kV 程度に設定します。

U1 U2 U3

大値 -116.0V 323.4V 98.4V

小値 -329.3V 153.5V -55.1V

トランジェント

p-p 値 213.3V 169.9V 153.5V

環 境

異常内容

解析内容

メ モ

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ケーススタディ7.

定期的な瞬時電圧低下の発生

調査箇所:中規模商業施設 単相2線 100V 電源コンセント

調査期間:2週間

電圧実効値の変動状況を解析(2週間内のうち、ある日の夜間の12時間分を示しています)すると、

結果として以下の2点があげられます。

結果1 大値:106.70Vrms,平均値:102.53Vrms, 小値:93.25Vrms

結果2 約13分毎に瞬時電圧低下発生

詳細トレンドグラフ

約13分毎に電圧実効値が瞬時低下する原因は、その電源コンセントのラインにつながっている電気

機器が定期的(タイマ)に電源起動または動作することによるものと推測できます。この電圧低下

を誘発させる電気機器は、レーザプリンタ,コピー機,電気ヒータなどの突入電流の大きいものだ

と推測できます。レーザプリンタ等は予熱のために定期的に電流を消費するために電圧低下を起こ

します。電気ヒータにおいてはサーモスタットにより定期的にONして起動電流にて電圧低下を起こ

します。

瞬時電圧低下を起こしても、93.25Vrmsまでしか低下しておらず、このレベルならほとんどの電気

機器は正常動作するので問題ないと思われますが、新たな負荷を追加した場合などは注意が必要で

す。

環 境

解析内容

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ケーススタディ8

一般的なUPSの切換わり波形

測定物:一般的に使用されているデスクトップパソコン用UPS(無停電電源) 単相 100V 用

一般的に使用されている安価なUPSにおいては、UPS運転(切換わり)時の電圧波形は正弦波と

思われがちですが、矩形波出力のものが多いのが現状です。以下のUPSがこのような波形になりま

す。

(1)安価なインバータタイプ

(2)常時商用型であるが電圧歪等補正機能がないタイプ

周期補正をしていないものについては、切換わり時において、電圧スウェルや電圧ディップが発生す

ることにも気をつける必要があります。

UPS出力のイベント電圧変動グラフ

停電による、(商用電源→UPS)切換わり動作時の電圧波形

復電による、(UPS→商用電源)切換わり動作時の電圧波形

停電による 商用電源→UPS 切換わり動作時

復電による UPS→商用電源

切換わり動作時の

電圧実効値の変動

グラフ

環 境

異常内容と解析内容

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ケーススタディ9

電圧波形ノイズとUPSへの切換わり

測定箇所:単相2線 100V 電源ライン

使用設備が誤動作

イベント設定を以下のようにして、約18日間記録したところ、68個の「Wave(電圧波形比較)」

イベントが記録できました。

イベント設定内容

イベントリスト

そこで、個々のWaveイベントの波形を1つ1つ確認してみました。

環 境

異常内容

解析内容

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21

すると、

No.1 波形ノイズ後も正弦波形に切換わっていないもの

No.2 波形ノイズ後に正弦波形に切換わっているもの

の2種類の傾向をもつイベントがあることがわかりました。

正弦波形に切換わっているものについては、ノイズを検出した後にUPS出力(常時インバータ給電

方式)に切換わっているからと推測できます。

ここで本来ならば、No.1の波形ノイズのほうが大きいのでUPS出力に切換わっても良い気がし

ます。しかし、No.2の波形ノイズを良く見てみると、波形ノイズ発生時に電流波形がより大きく

振れています。これより、このイベント発生時には電圧トランジェントが発生していると推測できま

す。

しかし残念なことに電圧トランジェントのイベントは検出できていませんでした。

電圧トランジェントのしきい値が 0.480kV(480V)のために検出できなかった可能性があります。

100Vrms の商用ラインの場合には、波高値の1/2である 70V 程度(0.0718kV)に設定されることを

推奨いたします。

No.1 波形ノイズ後も正弦波形に切換わっていないもの

No.2 波形ノイズ後に正弦波形に切換わっているもの

正弦波形に切換わり

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ケーススタディ10

工場での電圧ディップ

測定箇所:アジアのある工場 単相2線 100V 電源ライン

使用設備電源が故障

-1.電圧変動グラフ

電圧変動グラフ

電圧変動グラフからは、2週間の測定データより以下のことが言えます。

供給電圧 電圧変動グラフ 電圧値

1 大 青丸の部分 131.67Vrms

2 小 緑丸の部分 0.15Vrms

3 平均 98. Vrms

青丸と緑丸の部分においては、十分なイベントデータが記録されていなかったため、十分な

解析は行えませんでした。この電圧変動グラフより読み取れる重要な事項は毎日夜間の21:00

~9:00(赤丸した部分)にかけて大きな電圧値の変動があり、

その変動幅は、約50V(75Vrms~125Vrms の範囲)と大きいことです。

-2.イベントデータ(電圧異常検出)

夜間に、電圧ディップ(電圧瞬時低下)が頻繁に発生しています。多いときには1秒間に5回も発

生しています。電圧ディップの発生状況はどれも同じ傾向を示していました。

電圧ディップのうちの1つを例にとって分析します。

①電圧ディップが始まり90Vrms になると、商用電源からUPSに切換わっています。

②UPSに切換わると、電圧実効値は上昇して 116Vrms(大きいときは 125Vrms)になります。

③電圧波形はその後、正弦波ではなく矩形波に切換わります。

④矩形波は1.25秒程連続して続いています。

⑤その後UPSから商用電源に切換わりますが、切換わり時に一瞬だけ78Vrms(小さいと

きは 75Vrms)まで低下しています。

赤丸 青丸

緑丸

環 境

異常内容

解析内容

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電圧ディップ発生時のイベント電圧変動グラフ

電圧ディップ開始時の電圧波形

電圧ディップ終了時の電圧波形

④ ③

① ② ③

④ ⑤

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-3.解析結果からの分析(まとめ)

(1)夜間(21時~9時)に、電源異常が頻発しています。

(3)電源異常は電圧ディップを起点として始まります。

(4)電圧ディップの発生で、商用電源からUPSに切換わるときに電圧スウェルが発生していま

す。

(5)商用電源が復帰して、UPSから商用電源に切換わるときに電圧ディップが発生しています。

-4.対策方法

(1)根本的解決方法

電圧ディップが頻発して、UPSに頻繁に切換わることはUPSにとって良くありません。

電圧スウェルや電圧ディップにより、使用機器には過渡電流が流れて故障に至っていると思

われます。根本的な解決方法としては、供給電源を安定化して電圧ディップが発生しない状

況にする必要があります。

(2)他の解決方法

使用しているUPSは「常時商用給電方式(SPS)」です。高価ですが「常時インバータ給電

方式」のものに変更することにより、UPSに切換わる際の電圧スウェルや電圧ディップを

抑えることができます。

JIS 規格「無停電電源装置(UPS)-第 3部:性能及び試験要求事項」(C4411-3, 2004 年発行)

に、各種回路方式別に UPS を分類しています。

常時インバータ

給電方式の

回路例

整流器

充電器(オプション)

インバータ

* *

切替スイッチ

交流入力*

交流入力*

交流入力*

直流リンク

蓄電池

バイパス

交流出力

通常運転状態蓄積エネルギー運転状態バイパス運転状態

交流入力端子を交互に接続してもよい

ブロッキングダイオード,サイリスタ又はスイッチ

注*

 **

ライン

インタラクティブ 方式の回路例

電力インタフェース

* *

交流入力

蓄電池

交流出力

通常運転状態蓄積エネルギー運転状態

常時商用給電方式

の回路例

充電器

インバータ

UPS

交流入力*

交流入力*

蓄電池

バイパス

交流出力

通常運転状態蓄積エネルギー運転状態

交流入力端子を交互に接続してもよい注*

オプション接続

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ケーススタディ11

高調波の潮流方向調査

測定箇所:三相3線(3P3W2M) 高圧 6.6kV

高調波の測定にあわせて高調波の潮流方向を調査しました。

三相3線の場合には、高調波電圧電流位相差総合値(θsum)を使用して三相全体において高調波が

流入流出しているかを判断します。-90~0~+90°の範囲内にあれば、流入方向と判断します。

-180°~-90°,+90°~+180°の範囲内にあれば、流出方向と判断します。

基本波(茶色の線)は、消費(流入)になります。

第5次高調波(緑色の線)は、ほぼ流入しています。

第3次高調波(赤色の線)は流出しています。第7次高調波(青色の線)は流出しています。

縦線となっているデータは、180°を超えて-180°に戻ってきていること(またはその逆)を

示しています。

高調波電圧電流位相差の時系列グラフ(第3次,第7次)

高調波電圧電流位相差の時系列グラフ(基本波,第5次)

流出 流入 流出

流出 流入 流出

環 境

解析内容

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PC アプリ 9624-50 では、高調波時系列グラフにおいて、θavg のグラフを用いて判定することを推奨

します。

<判定例1>

-180

-90

0

90

180

時間軸

位相差

[°]

赤線:第3次高調波,緑線:第5次高調波,青線:第7次高調波

<判定例2>

Date Time AvePhasesum(5) 流入流出判定

2004/9/3 6:50:00 -93.07 流出

2004/9/3 6:55:00 -90.63 流出

2004/9/3 7:00:00 -84.20 流入

2004/9/3 7:05:00 -89.23 流入

2004/9/3 7:10:00 -87.79 流入

2004/9/3 7:15:00 -87.42 流入

2004/9/3 7:20:00 -87.16 流入

2004/9/3 7:25:00 -86.08 流入

2004/9/3 7:30:00 -79.51 流入

2004/9/3 7:35:00 -84.34 流入

2004/9/3 7:40:00 -80.74 流入

2004/9/3 7:45:00 -78.41 流入

セルの内容

=IF(ABS(C2)>90,"流出","流入")

Excel で判定させる例

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参考 系統高調波のガイドライン(国内)

(1)高調波電圧(電圧総合歪み率)

6.6kV 配電系統で5%、特別高圧系統で3%

(2)高調波電流

契約電力 1kW 当たりの高調波流出電流上限値(単位:mA)

参考 高調波の流入流出の概念

区分 状態 発生原因

流入 高調波が系統側から負荷側に

向かって流れ込んでいる状態

系統側の発生原因の影響が大きい

(系統側の発生高調波>負荷側の発生高調波)

流出 高調波が負荷側から系統側に

向かって流れ出している状態

負荷側の発生原因の影響が大きい

(系統側の発生高調波<負荷側の発生高調波)

高調波は振幅と位相の成分を持つベクトルなので、複数の高調波発生源がある場合、潮流方向だけ

で発生源を特定することはできなくなります。

実際には供給側でも高調波が発生している場合がほとんどなので、単純に流入・流出の潮流方向だ

けで発生源を特定することは困難です。

経済産業省(旧通産省)公報:

「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」1994 年 9 月 30 日

供給側

負荷側

測定器

高圧・特別高圧のライン ではVTT,CTT使用して測定

基本波

供給側

負荷側

測定器

高圧・特別高圧のライン ではVTT,CTT使用して測定

流入

流出 高調波

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参考 測定器による高調波の流入流出の判断

-1.高調波電力による判断

高調波(有効)電力の符号で、流入か流出かを判断します。(各次数毎に判断します。)

流入 高調波電力が+(正)のとき

流出 高調波電力が-(負)のとき

問題点

高い次数になるにつれ、高調波電力のレベルは小さくなります。

レベルが小さいとその符号の判断が正確にできなくなり、流入しているのか、

流出しているのかがわからなくなります。

-2.高調波電圧電流位相差による判断

高調波電圧電流位相差(高調波電圧位相角と高調波電流位相角との差分)で、流入流出かを判

断します。三相3線(3P3W2M や 3P3W3M では、sum(チャネルの総合値)の高調波電圧電流

位相差を使用してください。

-90°

90°

±180°

LEAD(進み)

LAG (遅れ)

電圧電流位相差

流出 流入

区分 高調波電圧電流位相差

流入 -90 度~0度~90 度

流出 -180 度~-90 度,90 度~180 度

提案

高調波を長時間測定し、まず高調波電流の振幅レベルを見て、大きな(限度値を超

えるような)高調波電流が流れているかを判断します。

次に、機器の稼動状況などと照らし合わせて、高調波発生源を推定していきます。

発生源が疑われる機器の稼動状態/停止状態の時間帯と、高調波のレベルや、高調

波電圧電流位相差の潮流方向の相関を比較することで、その機器の影響を明らかに

していきます。

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ケーススタディ12

高次高調波 機器の電源に半導体制御装置が採用されている場合、電圧・電流波形がひずむことにより発生する

数 kHz 以上のノイズが発生することがあります。

このノイズの実効値を高次高調波成分と呼んでいます。

様々な周波数成分を含むことがあり、配線などにより共振を起こした場合、数十 Vを超えるノイズ

となります。この電圧が、同じ建屋または離れた場所にある機器の故障や誤動作、ラジオやテレビ

の受診障害の原因になります。

測定箇所:単相2線 100V 電源ライン

高次高調波により周辺機器が誤動作、故障

近隣のラジオ、テレビ等の受信障害

50 次を超えるノイズ成分であることが多いため、通常の高調波測定では原因がわからないことが

あります。

PW3198の高次高調波測定機能を用いると、50次以上のノイズも容易に検出することが出来ます。

問題となる周波数成分は様々です。このノイズが配線の抵抗、コンデンサ、インダクタンス成分

により共振し、数十 Vのノイズになることもあります。

高次高調波波形

通常、機器とくに電源から発生するノイズ(電圧変動を含む)は、フリッカ IEC61000-3-3、高調波

IEC61000-3-2, 総合高調波ひずみ IEC61000-3-12 等で規制されていますが、対象は 40 次(50Hz

だと 2kHz、60Hz だと 2.4KHz 程度)までとなっています。また、電源端子妨害電圧等(CISPR 22/EN55022

など)で規制される周波数帯は通常 150kHz 以上と数十 kHz 付近のノイズに対して規制がほとんど

ないのが現状です。

インバータ 機器

配線で共振 故障 誤動作

環 境

異常内容

解析内容

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ケーススタディ13

伝導性ノイズ

伝導性ノイズは様々な経路から伝播してくる電気的なノイズです。雷サージ(トランジェントオー

バ電圧)、静電気、高次高調波などが電源ライン、信号線、接地線などから伝播してきます。また

伝導性ノイズに対し、磁気によるノイズを放射性ノイズと呼びます。

機器の誤動作、故障

近隣のラジオ、テレビ等の受信障害

高周波ノイズであることが多い。 トランジェントオーバ電圧

落雷や、回生から消費への切り替り、系統が切り替ることにより発生します。太陽光発電シ

ステムや周辺機器の故障を引き起こします。

高調波、高次高調波

波形比較

の測定が有効ですが、ノイズサーチテスタ 3144, ノイズハイロガー3145 と組み合わせて測定する

ことで 100MHz までの周波数範囲を測定することが出来ます。

PW3198測定範囲

環 境

異常内容

解析内容

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ケーススタディ14

太陽光発電

測定箇所:

パワーコンディショナは、系統電圧とパワーコンディショナ出力電圧の電位差によって系統に電力を供

給(電流出力)しています。また常に系統電圧や周波数を監視し、それに追従できるよう出力電圧や周

波数を可変させています。

インバータ機器が商用ラインの異常検出をして運転停止することがある。

周辺機器の誤動作

商用ラインの電圧変動(特に電圧上昇)により売電できない。

近隣の負荷変動により、商用ラインの電圧が変動しパワーコンディショナの安全装置が働き

売電できなくなることがある。

同時に測定する項目

電圧変動

周波数変動

IEC61000-4-30 ClassA で要求される 10sの平均周波数のほかに、約 200ms 集合の平均周波

数、1 波形ごとの周波数も確認できます。パワーコンディショナの出力周波数が安定してい

るのかといった確認も可能です。

トランジェントオーバ電圧、波形歪み

落雷や、回生から消費への切り替り、系統が切り替ることにより発生します。太陽光発電シ

ステムや周辺機器の故障を引き起こします。

突入電流

高調波解析(電圧、電流とも)

高次高調波

フリッカ

その他、電力、積算電力(消費、回生)も電源品質測定と同時に測定ができます

系統切替時の電圧波形

環 境

異常内容

確認内容

太陽電池 モジュール

DC

系統連係

負荷

パワーコンディショナ

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ケーススタディ15

風力発電

測定箇所:

インバータ機器が商用ラインの異常検出をして運転停止することがある。

同時に測定する項目

電圧変動

風速の変動により、出力電圧が需要と関係なく変動

周波数変動

トランジェントオーバ電圧、波形歪み

落雷や、系統が切り替ることにより発生

突入電流

高調波解析

高次高調波

フリッカ

環 境

確認内容

風車

パワーコンディショナ

系統連係

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ケーススタディ16

PW9005 GPS ボックスを使った(遠隔)同期 (PW3198)

落雷の伝播の様子や影響、停電の伝播の様子を測定したい。複数箇所で同時に測定する際に、同じ時

刻で測定したい。

PW3198 はオプションの PW9005 GPS ボックスを用いることで、衛星からの時刻データにより、UTC(協

定世界時)に±2ms の確度で同期させることができます。

これによってすべての場所で同じタイミングで測定できます。また、IEC61000-4-30 ClassA に対応して

いるため、測定結果も測定器の誤差内で一致します。

  

 

 

 

 

目 的

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ケーススタディ17

遠隔操作、遠隔計測

客先に設置した本体を遠隔地から操作・監視したい。

LAN ネットワークに接続して、HTTP サーバ機能にて監視

無線 LAN を使った接続例

HTTP サーバ機能の PC 側画面例

各ボタンを使って本

体と同じ手順で操作

可能

画面の自動更新時間

は 速 0.5s

パスワード保護機能により、権限

者のみが設定変更できるように対

応可能

目 的

方 法

無線 LAN

ルータ

PW3198

PW3198

PW3198

LAN

Wi-Fi

PC

タブレット PC

PDA

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ケーススタディ18

CH4 の効果的な使い方(PW3198) CH4 は一般的には三相 4線の中性線測定に使われます。

CH4 は他のチャネルから絶縁されているため、以下のような使い方もできます。

1. DC 電源測定

DC 給電の系統監視から、機器内部の電源監視まで非常に応用範囲の広い使い方です。

DC 測定値でイベント検出することもでき、DC 電源に異常があったときの CH1~CH3 の AC 電源を監視

することができます。

2. 2 系統、2回路測定

正確に測定するためには、基準チャネルと同期した系統を測定する必要がありますが、CH1~CH3 とは

別の系統を測定(電力要素以外)することができます。

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6. TIMEPLOT 記録方法とイベント波形記録方法

1. TIME PLOT 記録方法

-1. トレンド、高調波トレンド

-2. 詳細トレンド

2. イベント波形記録方法

-1. 200ms 集合の測定値を用いて検出するイベント

SYSTEM_DF1 [記録設定] TIME PLOT インターバル(設定期間)

約 200ms 集合(50Hz:10 波形, 60Hz:12 波形)

RMS 値 1 RMS 値 2 RMS 値 3 RMS 値 N

MAX RMS 値 AVG RMS 値 MIN RMS 値

記録 記録 記録

例:

インターバル:1min の

とき、N=300

高調波とインターハーモニクスは MAX 値と MIN 値のみ

SYSTEM_DF1 [記録設定] TIME PLOT インターバル(設定期間)

約 200ms 集合(50Hz:10 波形, 60Hz:12 波形)

記録 記録

例:

インターバル:1min の

とき、N=300

電圧実効値は半波ずらしの 1波形で演算する。

例 60Hz:12cycle のとき、約 200ms 集合内で

24 個の演算値の U(Urms1/2)が存在する。

SYSTEM_DF1 [記録設定] TIME PLOT インターバル(設定期間)

約 200ms 集合(50Hz:10 波形, 60Hz:12 波形)

イベント波形記録期間

50Hz のとき:14 波形

60Hz のとき:16 波形

RMS 演算 イベント発生 RMS 演算 RMS 演算

約 200ms 集合に、前 2波形と

後 2波形を足したものを

イベント波形として表示します。

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-2. 1 波または半波の測定値を用いて検出するイベント

SYSTEM_DF1 [記録設定] TIME PLOT インターバル(設定期間)

約 200ms 集合(50Hz:10 波形, 60Hz:12 波形)

イベント波形記録期間

50Hz のとき:14 波形

60Hz のとき:16 波形

約 200ms 集合に、前 2波形と

後 2波形を足したものを

イベント波形として表示します。

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7. 用語解説

[A - Z]

EN50160 電源電圧などの限度値を定義するヨーロッパの電源品質規格です。

PW3198 のデータの場合、9624-50 PQA ハイビュープロを使って統計をとることで、規格に

沿った評価・解析ができます。

IEC61000-4-7 電力供給システム内の高調波電流および高調波電圧、ならびに装置から放出される高調波

電流の測定のための国際規格の 1 つで、標準測定器の性能を指定している。

IEC61000-4-15 電圧変動・フリッカ測定の試験手法、測定機器への要求を定めた規格です。

IEC61000-4-30 交流電力供給システムにおける電力品質測定に関する試験、および測定技術に関する規格

です。この対象となるパラメータは、電力システムの中で伝播する現象に限られ、周波数、

供給電圧の振幅(実効値)、フリッカ、供給電圧のディップ、スウェル、停電(瞬停)、過渡

過電圧、供給電圧不平衡、高調波、インターハーモニクス、供給電圧上の搬送信号および、

高速電圧変化です。

これらパラメータの測定方法や測定機器に必要とされる性能を規定するもので、しきい値

を規定しているものではありません。

測定のクラス

クラス 使用用途

クラス A 諸規格への適合性の確認、論争を解決するためなど、正確な測定が必要

とされる場合に使用する。正確な測定をするため、測定器のタイムクロ

ック確度、実効値の演算方法や TIME PLOT のデータのまとめ方などが細

かく規定されている。

クラス S 調査・電源品質評価等に使用する。

クラス B トラブルシューティング等、高確度が要求されない場合に使用する。

ITIC カーブ アメリカ情報技術産業評価会議(Information Technology Industry Council)により作成

されました。イベント検出した電圧異常データを発生期間と 悪値( 公称入力電圧の設定

比) でグラフ上に表示します。グラフ表示により解析すべきイベントデータ分布が一目瞭

然で素早く検索できます。

PW3198 は 9624-50 PQA ハイビュープロで ITIC カーブを作成することができます。

K ファクタ 変圧器における高調波電流による電力損失を示し、増倍率ともいわれます。

K ファクタ(KF) の計算式

k: 高調波次数

Ik: 基本波電流に対する高調波電流の割合[%]

高次の高調波電流は低次の高調波電流よりも、Kファクタに大きな影響を示します。

測定目的:

変圧器において 大負荷時に K ファクタを測定します。

測定した Kファクタが、使用している変圧器の増倍率よりも大きい場合は、より大きな

Kファクタをもつ変圧器に交換するか、あるいは変圧器への負荷の軽減が必要です。

変圧器を交換する場合は、K ファクタの測定値より、1 等級上のランクの変圧器にしま

す。

LAN LAN は Local Area Network の略です。オフィス・工場・学校内などある地域に限定した範

囲内(Local Area)で、コンピュータ間でデータを相互に通信するネットワークとして開発

されました。

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PW3198 では、LAN コネクタとして Ethernet 10/100BASE-T を標準装備しています。ケーブ

ルにツイストペアケーブルを使用し、通常はハブと呼ばれる装置にスター接続します。

端末とハブまでのケーブルの長さは 大 100m です。LAN インタフェースのプロトコルとし

て、TCP/IP を利用した通信に対応しています。

RS-232C RS-232C インタフェースは、EIA(米国電子工業会)で制定されたシリアルインタフェースの

1 つで、DTE(データ端末装置)と DCE(回線終端装置)とのインタフェース条件を決めた規格

です。

PW3198 では、この規格の一部を用いて、外部プリンタ・GPS ボックスを利用できます。

SD メモリカード フラッシュメモリに属するメモリーカードです。

TIME PLOT インターバル 記録間隔。TIME PLOT、SD メモリカードへの記録に反映されます。

USB-F

(USB ファンクション)

USB ケーブルで接続されたホスト・コントローラ(主にコンピュータ)とデータを送受信す

るためのものです。このため、ファンクション同士の通信はできません。

[ あ ]

イベント 電源トラブルの現象を調査・解析するために、必要とされているものが電源品質パラメー

タです。「電源品質パラメータ」のなかに、トランジェント、ディップ、スウェル、瞬停、

フリッカ、周波数変動、などがあります。基本的にこれらパラメータの「異常値」や「異

常波形」が設定されたしきい値により検出された状態を「イベント」と呼びます。

また、電源品質パラメータとは関係しないタイマや繰返しイベント設定により起こす「イ

ベント」も含みます。

インターハーモニクス 基本周波数の整数倍ではない、すべての周波数。中間高調波や次数間高調波などと翻訳さ

れます。二つの連続する高調波周波数の間の周波数を持つ電気信号のスペクトル成分の実

効値です。

(3.5 次のインターハーモニクスはインバータなどの基本波に同期した周波数ではなく

90Hz などで駆動した場合を想定しています。しかし現状では高圧系統側ではほとんど発生

していません。発生の原因は負荷側と考えられています。)

[ か ]

外部イベント機能 外部イベント入力端子への信号を検出することでイベントを発生させて、そのときの測定

値やイベント波形を記録する機能です。

PW3198 以外の機器の異常信号によりイベントをかけることができます。外部機器の動作信

号を入力しておくことにより、動作の停止または開始でトリガをかけて波形を記録するこ

とができます。

協定世界時 (UTC) 全世界で時刻を記録する際に使われる公式な時刻。天体観測を元に定める GMT(グリニッジ

標準時)とほぼ同じだが、SI 単位系の 1秒を原子時計で計測して決定している。GMT(グリ

ニッジ標準時)と協定世界時(UTC)の差は 1 秒以内になるように調整されている。

クレストファクタオーバ クレストファクタとは測定器の入力におけるダイナミックレンジの大きさを表し以下の

式で定義されます。

クレストファクタ = 波高値( ピーク値)/ 実効値

例えば、実効値は小さいがピーク値が大きなひずみ波を測定する場合、クレストフ

ァクタの小さな測定器では、ひずみ波のピークが入力回路の検出範囲を超えてしま

うため、実効値および高調波の測定誤差を生じてしまいます。

測定レンジを上げれば入力回路の検出範囲を超えることは無くなりますが、実効値

自体の分解能が下がるため、これもまた測定誤差が大きくなってしまいます。

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PW3198 のクレストファクタ (電流入力部のクレストファクタは 4)

しかし、もしピークを超えるような入力が入ってきた場合には、クレストファクタオーバ

であることを表示して測定誤差を含むデータであることを知らせます。

高次高調波成分 数 kHz 以上のノイズ成分です。PW3198 では 2kHz 以上のノイズ成分の実効値です。

高次高調波成分を測定することで、SW 電源やインバータ、LED 照明などが発する 50 次以

上の高周波ノイズの監視ができます。近年、SW 電源やインバータのスイッチング周波数が

高くなり、10kHz を超えるようなノイズが電源ラインに混入して問題になる事例が増えて

きています。

公称供給電圧 (Uc) 通常はシステムの定格電圧 Un である。電気供給者と需要家の合意に基づき定格電圧と異

なった電圧を接続点に課する場合は、この電圧 Uc としています。IEC61000-4-30 で定義さ

れています。

公称電圧 (Uref) IEC61000-4-30 で定義される「公称供給電圧(Uc)」または、「定格電圧(Un)」と同じものと

定義します。

公称電圧(Uref)= 公称入力電圧(Udin) × VT 比

公称入力電圧 (Udin) 公称供給電圧から変圧比によって得られる値。IEC61000-4-30 で定義されています。

高調波 機器の電源に半導体制御装置が採用されている場合に多く、電圧・電流波形が歪むことに

より発生する現象です。非正弦波形の解析において、高調波周波数を有する成分の中の 1

つの実効値を表します。

高調波位相角 / 位相差 高調波電圧位相角および高調波電流位相角は、同期ソースの基本波成分の位相を基準とし

ています。

各次高調波成分の位相と基本波成分の位相との差を角度(°) であらわし、符号は「遅れ

位相(LAG)」を「-」に、「進み位相(LEAD)」を「+」にしています。力率の符号とは逆にな

ります。

高調波電圧電流位相差は、チャネルごとに各次高調波電圧成分の位相と各次高調波電流成

分の位相との差を角度(°) であらわしたものです。

sum( 総合値) 表示の場合は、各次高調波の力率の総合値( 高調波電力の総合値と高調波

無効電力の総合値より算出) を角度(°) に直したものになります。高調波電圧電流位相

差が、-90°~+90°の間の場合は、その次数の高調波が負荷に向かって流れ込んでいる状

態( 流入) です。また、+90°~+180°と-90°~ -180°の間の場合は、その次数の高調

波が負荷から流れ出している状態( 流出) です。

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高調波含有率 基本波の大きさに対するk次数の大きさの比を%で表したもので、下記の式で表されます。

k 次数波/ 基本波×100[%]

この数値を見ることにより、各次数別に高調波成分の含まれている割合が分かります。あ

る特定の次数を監視するときに有効です。

[ さ ]

実効値 特定の時間インターバル上、またはバンド幅で得られる量の瞬時値の 2乗の算術平方根で

す。

周波数 1 波 (Freq wav ま

たは fwav)

1 波形ごとの周波数です。周波数 1 波を測定することで、系統連系時の周波数変動の様子

を詳細に監視することができます。

周波数 10s (Freq10s また

は f10s)

EC61000-4-30 で求められる周波数測定値です。

周波数の 10 秒間平均値となります。 低 1週間測定することが推奨されています。

瞬停 主に電力会社の事故や電源短絡などによるサーキットブレーカのトリップなど、瞬時、ま

たは短期/ 長期的に電源供給が停止してしまう現象です。

スウェル 落雷や重負荷の電力ラインの開閉時などに発生し、瞬時的に電圧が上昇する現象です。

スライド基準電圧 電圧ディップやスウェルのしきい値を判定する基準として用いる電圧です。実効値に対し

1分の時定数をもつ 1次フィルタにより計算されます。

通常は固定の公称入力電圧値を基準電圧としますが、ゆっくりと電圧値が変動する場合、

変動した電圧値を基準にして、ディップ、スウェルを判定することができます。

ゼロサプレス 規定値未満の値をゼロにすることです。

零相・正相・逆相 正相は普通の三相の消費電力と考えます。逆相は三相モータであれば逆に回すように働き

ます。正相で正回転をしながら逆相でブレーキがかかります。この逆相によって熱が発生

します。モータにとっては良いものではないことになります。零相も逆相と同じように不

要なものです。零相によって三相4線であればニュートラルに電流が流れて熱になります。

通常、逆相が大きくなるとともに零相も同じ程度で大きくなります。

センス 常に測定値が「 後にイベントが発生した時の測定値+センスしきい値」と「 後にイベ

ントが発生した時の測定値-センスしきい値」によって作られる範囲と比較され、この範

囲を外れた場合にセンスイベントが起こり、センス範囲も更新される機能です。

総合高調波歪み率 (THD) THD-F:基本波の大きさに対する全高調波成分の大きさの比を%で表したもので、下記の

式で表されます。

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(PW3198 の場合 50 次まで演算)

この数値を見ることにより、項目ごとの波形の歪み具合が分かります。これにより、全高

調波成分がどれだけ基本波の波形を歪めているかを知ることのできる尺度となります。

目安として、系統高圧電圧の場合総合歪み率が 5%以下を目安にしますが、末端ではそれ

以上になる場合もあります。

THD-R:実効値の大きさに対する全高調波成分の大きさの比を%で表したもので、下記の

式で表されます。

(PW3198 の場合 50 次まで演算)

THD-F を用いることが一般的です。

測定周波数 (fnom) 測定するシステムの公称周波数です。

50Hz/60Hz/400Hz から選択します。(簡易設定においては自動的に設定されます)

[ た ]

タイマイベント機能 設定した時間ごとにイベントを発生させて、そのときの測定値やイベント波形を記録する

機能です。異常が起きなくても定期的に瞬時波形などを捕捉できます。一定時間ごとに波

形を記録したいときに使用します。

多相システムの扱い 3相などの多相システムにおけるディップ、スウェル、瞬停などのイベントの始まりと終

わりを定義する方法

ディップ:ディップは少なくとも 1つのチャネルの電圧がしきい値以下になったときに始

まり、すべての測定チャネルにおける電圧がしきい値+ ヒステリシス電圧を超えたときに

終了する。

スウェル:スウェルは少なくとも1つのチャネルの電圧がしきい値を超えたときに始まり、

すべての測定チャネルにおける電圧がしきい値+ ヒステリシス電圧以下になったときに

終了する。

瞬停: 瞬停はすべてのチャネルの電圧がしきい値以下になったときに始まり、任意の 1

つのチャネル電圧がしきい値+ ヒステリシス以上になったときに終了する。

ディップ モータ起動など負荷に大きな突入電流が発生することにより、短時間の電圧降下が発生す

現象です。

電力系統の入口部分での電圧と電流のトレンドを記録した場合、ディップの原因が建物の

中なのか、外なのか調べることができます。建物の消費電流が上昇している間に電圧が降

下していれば、原因は建物の中にあり、電圧と電流が両方とも降下していれば、原因は建

物の外にあると予想されます。

テキストデータ 文字など文字コードによって表されるデータだけが含まれるファイルのことです。

電圧 1/2 実効値 電圧波形を半波ごとにオーバーラップさせた 1波形の実効値です。

電流 1/2 実効値 電流波形の半波ごとの実効値です。

突入電流 電気機器に電源を投入したときなどに一時的に流れる大電流です。定常の作動状態の 10

倍以上の電流が流れることがあります。

突入電流測定はサーキットブレーカの容量設定などにも役立ちます。

トランジェントオーバ

電圧

落雷・サーキットブレーカやリレーの接点障害や閉鎖などにより発生する現象です。急峻

な電圧変化に加え、ピーク電圧が高いことが多いです。

[ は ]

バイナリデータ テキスト形式(文字データ)以外のデータ形式全般のことです。

9624-50 PQA ハイビュープロでデータ解析する場合はこちらを使用します。

皮相電力 有効電力と無効電力を総合させた電力(ベクトル的に)です。

電圧の実効値と電流の実効値との積で、その意味は名のごとく表向き(見かけ)の電力で

す。

不平衡率 平衡(対称)、三相電圧(電流)

各相の電圧、電流の大きさが等しく、位相が互いに 120 度ずつ異なっている三相交流電

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圧(電流)です。

不平衡( 非対称)、三相電圧( 電流)

各相電圧(電流)の大きさが等しくない、または位相が 120 度ずつ異なっていない三相交

流電圧(電流)です。

以下はすべて電圧で記しますが、電流でも同じです。

三相交流電圧の不平衡の度合い

通常は正相電圧に対する逆相電圧の割合としての電圧不平衡率として表します。

零相/ 正相/ 逆相電圧

三相交流回路において零相分,正相分,逆相分という概念は、対称座標法(零相,正相,

逆相の対称分にわけて取り扱う方法)を用います。

・零相分: 各相において相等しい電圧です。[V0] (添え字 0: 零相分)

・正相分: 各相において大きさが等しく、位相が a→b→c の相順で 120 度ずつ遅れている

対称三相電圧です。[V1]( 添え字 1: 正相分)

・逆相分: 各相において大きさが等しく、位相が a→c→b の相順で 120 度ずつ遅れている

対称三相電圧です。[V2]( 添え字 2: 逆相分)

三相交流電圧として Va,Vb,Vc が与えられるとき、零相電圧,正相電圧,逆相電圧は以

下の式になります。

a はベクトルオペレータと呼ばれ、大きさが 1で位相角が 120 度のベクトルになります。

したがって a を掛けると、位相角が 120 度進み、a2を掛けると位相角が 240 度進むことに

なります。

三相交流電圧が平衡の場合、零相電圧や逆相電圧は 0 で、正相電圧のみ表され、三相交流

電圧の実効値に等しくなります。

三相電流不平衡率

三相誘導電動機に供給される電力を検証する場合などにも利用します。

電流不平衡率は電圧不平衡率に比べて数倍になります。

三相誘導電動機においてすべりが小さいほど、この傾向は大きくなります。

電圧不平衡によって、電流不平衡,温度上昇の増加,入力の増加,効率の低下,振動・

騒音の増加などの現象が発生します。

Uunb は、2%を超えないこと、また、Iunb は 10%以下が要求されることがあります。

不平衡負荷な 3P4W システムにおいて、Uunb0、Inub0 成分は、N(ニュートラル)線に電

流が流れていることを表しています。

フラグ ディップ、スウェル、瞬停などがおき、信頼できない測定値を生じた場合、その測定値を

わかるようにすることです。

フラグは TIME PLOT データのステータス情報に記憶されます。規格 IEC61000-4-30 で定義

された概念です。

フリッカ フリッカとは一般的に「チラツキ」という意味で、大きな負荷設備が起動したり、一時的

な過負荷状態で大電流が流れたりすると電圧降下が起こり、各設備が、影響を受けること

で発生します。照明負荷においては、主に照明器具が点滅することをいいます。特に蛍光

灯、水銀灯などの放電灯が影響を受けやすくなります。

電圧降下により一時的に暗くなることの頻度が高くなると、チラチラして(点滅が繰り返

されて)、人は視覚的に非常に不快感をもつようになります。

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測定方法により IEC フリッカとΔV10 フリッカに大別されます。日本国内では、主にΔV10

方式が使われています。

[ ま ]

マニュアルイベント機能 MANU EVENT キーを押すことによりイベントを発生させて、そのときの測定値やイベント波

形を記録する機能です。スナップショットとして任意にイベントをかけます。

波形を記録したいが上手く当てはまるイベントがない、またはイベントがかかりすぎてし

まうのでマニュアルで記録したいなどの場合に使用します。

無効電力 実際に仕事にならない電力のことです。

負荷と電源とで往復するだけで消費されない電力です。

皮相電力と位相差のサイン(sinθ)の積で求められます。誘導負荷(インダクタンスに由

来)、容量負荷(静電容量に由来) から生じ、誘導負荷に由来する無効電力を「遅れ無効電

力」、容量負荷に由来する無効電力を「進み無効電力」と呼んでいます。

無効電力デマンド 設定された時間(通常 30 分間)の平均使用無効電力です。

[ や ]

有効電力 実際に仕事として消費される電力のことです。

有効電力デマンド 設定された時間(通常 30 分間)の平均使用有効電力です。

[ ら ]

力率 (PF/DPF) 皮相電力に対する有効電力の比です。

力率の絶対値が大きいほど消費される供給電力である有効電力の割合が大きく、効率がよ

いことを示します。絶対値の 大値は 1 になります。

逆に力率の絶対値が小さいほど消費されない供給電力である無効電力が大きく、効率がわ

るいことを示します。絶対値の 小値は 0になります。

PW3198 での力率の符号は、電圧に対する電流の位相の進み/遅れを示しています。

+(符号なし)のときは、電圧より電流の位相が遅れています。誘導性負荷(モータなど)

では遅れ位相になります。

-のときは、電圧より電流の位相が進んでいます。容量性負荷(コンデンサなど) では進

み位相になります。高調波位相角、位相差とは符号が逆になります。

力率(PF)は、高調波成分も含んだ実効値で計算します。高調波電流成分が大きくなると力

率も悪くなります。

これに対し変位力率(DPF)は、有効電力の皮相電力に対する比を基本波電圧と基本波電流

から計算するので、電圧や電流の高調波成分が含まれません。

大口需要家などに設置される無効電力量計と同様の測定法です。

一般的に、電力系統では変位力率(DPF)が使用されますが、機器の効率を評価するために

は力率(PF)を使用します。

モーターなど誘導性負荷が大きく遅れ位相で変位力率が低い場合、効率を良くするために

進相コンデンサを電力系統に加えて補正するなどの対策がとられます。

このとき、変位力率(DPF)を測定することで、進相コンデンサによる改善の様子を確認す

ることができます。

連続イベント機能 対象イベントが発生するたびに、設定した数のイベントを自動的に連続で発生させる機

能。 初のイベント以外は「連続イベント」して記録されます。

これによりイベント発生後の 大約 1秒間の瞬時波形が記録できます。ただし、連続イベ

ント発生中に発生したイベントでは、連続イベントは発生しません。

また、測定を終了した時点で連続イベントの発生は停止します。

発生したイベントの瞬間と、そこから後の瞬時波形の変化を観測したい場合に使用しま

す。PW3198 の場合 大 1秒間の波形が記録されます。

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補足 1 PW3198 簡易設定の詳細

コース

設定項目 電圧異常検出 基本電源品質測定 突入電流測定 測定値記録 EN50160

結線 事前に設定

クランプセンサ 事前に設定

CT/PT 比 事前に設定

測定周波数 50/60/400Hz 自動判別 判別できない場合は任意(手動)設定

公称入力電圧 自動判別 判別できない場合は任意(手動)設定

フリッカ

(Pst/Plt, ΔV10)

ΔV10

(日本語以外選択

時 Pst/Plt)

ΔV10

(日本語以外選択

時 Pst/Plt)

ΔV10

(日本語以外選択

時 Pst/Plt)

ΔV10

(日本語以外選択

時 Pst/Plt)

Pst/Plt

測定電圧実効値

選択

デフォルト デフォルト デフォルト デフォルト デフォルト

測定高調波選択 実効値 実効値 実効値 実効値 含有率

総合高調波歪み率

選択

THD_F THD_F THD_F THD_F THD_F

力率選択 PF PF PF PF PF

繰り返し設定と

回数

OFF

( 大 35 日間)

OFF

( 大 35 日間)

OFF

( 大 35 日間)

OFF

( 大 35 日間)

OFF

( 大 35 日間)

記録項目設定 P&Harm (Normal) All Data (Full) P&Harm (Normal) All Data (Full) All Data (Full)

TIME PLOT

インターバル

1 分 10 分 1 分 10 分 10 分

電流レンジ 自動判別 自動判別 大レンジ 自動判別 自動判別

イベント

ヒステリシス

1% 1% 1% 1% 2%

トランジェント

オーバ電圧

公称電圧の 70% 公称電圧の 70% OFF OFF 公称電圧の 100%

電圧スウェル 公称電圧の 110% 公称電圧の 110% OFF OFF 公称電圧の 110%

電圧ディップ 公称電圧の 90% 公称電圧の 90% OFF OFF 公称電圧の 90%

瞬停 公称電圧の 10% 公称電圧の 10% OFF OFF 公称電圧の 1%

周波数 公称周波数±5Hz 公称周波数

±0.5Hz

OFF OFF 公称周波数

±0.5Hz

周波数 1波 OFF OFF OFF OFF OFF

電圧波形ピーク

(±)

基準値の 150% 基準値の 150% OFF OFF OFF

電圧 DC 変動 (±)

(DC 選択時)

DC 測定値を基準

に±10%

DC 測定値を基準

に±10%

OFF OFF OFF

電流波形ピーク

(±)

OFF 基準値の 200% 基準値の 300% OFF OFF

電流 DC 変動 (±)

(DC 選択時)

DC 測定値を基準

に±10%

DC 測定値を基準

に±10%

OFF OFF OFF

電圧実効値 基準値±10%

SENSE 幅 10V

基準値±10%

SENSE 幅 10V

OFF OFF OFF

電流実効値 OFF

SENSE 幅 OFF

基準値±50%

SENSE 幅 OFF

OFF

SENSE 幅 OFF

OFF

SENSE 幅 OFF

OFF

SENSE 幅 OFF

突入電流

Inrush (Irms 1/2)

OFF OFF 基準値の 200% OFF OFF

有効電力 OFF OFF OFF OFF OFF

皮相電力 OFF OFF OFF OFF OFF

無効電力 OFF OFF OFF OFF OFF

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コース

設定項目 電圧異常検出 基本電源品質測定 突入電流測定 測定値記録 EN50160

力率/変位力率 OFF OFF OFF OFF OFF

電圧不平衡率

(零相、逆相)

OFF, 3% OFF, 3% OFF, OFF OFF, OFF OFF, 2%

電流不平衡率

(零相、逆相)

OFF OFF OFF OFF OFF

高調波電圧

基本波

0 次

3/5/7/9/11 次

OFF

OFF

OFF

OFF

公称電圧の 5%

公称電圧の 10%

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

EN50160 の高調波

電圧限度値に従う

(別表参照)

高調波電流

基本波

0 次

3/5/7/9/11 次

OFF

OFF

OFF

OFF

レンジの 5%

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

高調波電力

基本波

0 次

3/5/7/9/11 次

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

OFF

高調波電圧電流

位相差

OFF OFF OFF OFF OFF

総合高調波電圧

歪み率

5% 7% OFF OFF OFF

総合高調波電流

歪み率

OFF OFF OFF OFF OFF

K ファクタ OFF OFF OFF OFF OFF

高次高調波電圧

成分

OFF OFF OFF OFF OFF

高次高調波電流

成分

OFF OFF OFF OFF OFF

電圧波形比較 ±15% ±10% OFF OFF OFF

電圧実効値はレンジの 3%f.s.以下の場合、上限値をレンジの 5%、下限値をレンジの 0%をしきい値とする。

電圧ピーク値はレンジの 3%f.s.以下の場合、レンジの 5%をしきい値とする。

高調波電圧・電流歪み率、高調波電圧は、レンジの 3%f.s.以下の時は OFF とする。

電流、電力値での基準値(測定値)がレンジの 10%以下のときはレンジの 10%をしきい値とする。

簡易設定後(簡易設定に限らず)、VT/CT 比を変更するとしきい値、SENSE も変更される。

表にない設定項目は基本的に OFF とする。(マニュアルイベント以外)

EN50160 高調波電圧限度値

奇数次高調波

3 の倍数以外 3 の倍数

偶数次高調波

次数 電圧限度値 (Un) 次数 電圧限度値 (Un) 次数 電圧限度値 (Un)

5 6.0% 3 5.0% 2 2.0%

7 5.0% 9 1.5% 4 1.0%

11 3.5% 15 0.5% 6~24 0.5%

13 3.0% 21 0.5%

17 2.0%

19 1.5%

23 1.5%

25 1.5%

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