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【国内製薬企業のグローバル展開におけるGQP/GMP35年医薬品品質管理/保証の業務を体験して思うこと 20141024ミノファーゲン製薬顧問 脇坂盛雄 (元エーザイ品質保証責任者)

国内製薬企業のグローバル展開におけるGQP/GMPinorinohinshitu.sakura.ne.jp/mpdf/Globalsun.pdf · 国内製薬企業のグローバル展開におけるgqp/gmp】 35年医薬品品質管理/保証の業務を体験して思うこと

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【国内製薬企業のグローバル展開におけるGQP/GMP】

35年医薬品品質管理/保証の業務を体験して思うこと

2014年10月24日ミノファーゲン製薬顧問

脇坂盛雄

(元エーザイ品質保証責任者)

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35年を振り返って

昔;

品質管理 +α 海外

+GMP ↓+GMP+バリデーション ↓↓今; ↓↓↓

品質保証+レギュレーション & 海外のレギュレーション

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グローバル化の影響(昔)

• 海外製造(原薬/製剤バルク)→輸入(GMPI)→日本で包装

日本の外観基準は厳しいので、日本で外観を確認

• 海外販売品の日本の製造所で製造(FDA査察など)

海外販売品だけ別のGMP管理(米国ならcGMP)

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グローバル化の影響(今)

• 完成品/一部包装品での輸入

• 原薬(海外製造)の増加

• 海外販売品の日本の製造所で製造

・FDAはシステム査察(日本の販売品についても査察)

・日本販売品のOTCの糖衣錠の苦情について483Formで指摘

・“逸脱件数削減目標”に対し、目標にすると報告が減ると指摘

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グローバル化とレギュレーション

国内での影響

• 改正薬事法 GQP・外国製造所認定

・製造販売承認書に製造/保管場所の記載

・原薬にMF制度導入

• PIC/S加盟によるGMP省令/施行通知にPIC/S-GMPの取り込み

・6つのギャプの取り込み

・PIC/S-GMPガイドラインは要求事項ではないが参考に

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PMDAのGMP適合性調査指摘による影響

韓国の原薬メーカーのGMP適合性調査でGMP不備

・該当製造所の原薬を使用している製造販売会社

にその原薬を使用した製品の回収

・該当製造所の原薬を使用している製造販売会社

にその原薬を使用した会社に改善指示

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PMDAのGMP適合性調査指摘による影響

・当局から海外製造委託先の製品は大丈夫か?

回収しなくてよいか?

・他社が新製品を同じ委託先に委託

・バリデーションロットに毛髪→バリデーション2度失敗

→日本の外観選別の逸脱 & 製品苦情結果報告(毛髪無し)

(幸い、最終プロセスが別の工室)

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PMDAのGMP適合性調査による製品回収

本製品の原薬であるヒスタミン二塩酸塩の受入試験において、間違った有効期限を原薬に表示していたため、有効期限を過ぎた原薬を使用して製造した製品を出荷していたことが判明しました。

本件に関するPMDAによるGMP調査において、GMP管理の不備を指摘されました。

↓原料メーカー設定の使用期限を超えて使用する場合の事例

PMDAはこのようなレベルについても製品回収を!

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PMDAのGMP適合性調査の重み

3極のGMP査察

・米国のA製造所においてFDA査察で・Warning Letterなどにより、FDAと相談し自主操業停止

→EUの対応;企業に査察評価させ、問題ないとの判断

→日本の対応;再度PMDAによる査察

(既にPMDAはGMP適合性調査を実施し適合との判断)

・FDA査察で原薬製造所Warning Letter→関係する日本販売品回収(4/7)• EUの査察で品質問題発見;EUでは製品の新たな出荷停止

→FDAの対応;FDAで確認しており、新たな対応なし

→日本の対応;その製造所で製造し日本で販売品の製品回収へ

海外当局の査察の影響とPMDAの査察の重みについて

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海外製造所買収に伴う影響

・企業の買収・法人が変わるかどうか

・株式の取得 ・+名前の変更

・+人が乗り込んでくる(責任者変更)

注)企業買収は最高機密情報であり、

わかっても間際か、発表後

⇒当局から、連絡が遅いと指摘されたが難しい

まめに連絡を取り、当局を巻き込むことが良い

・製造所が分割されて買収⇒新規外国製造所認定

・外国製造所認定が新規に必要かどうか

・原薬/製剤の輸入が止まることを常に考える

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PIC/S-GMPの6つのギャップ

1.品質リスクマネジメント

2.製品品質の照査

3.参考品等の保管

4.安定性モニタリング

5.原料等の供給者管理

6.バリデーション

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PIC/S-GMPのギャップ

• 年次安定性試験の実施

年次安定性試験 25℃×60%の影響

• 全梱包の同一性確認

全梱包の確認試験

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年次安定性試験により経年品規格外

3つのリスク

1)年次安定性試験を行っていなかった製造所

2)品質再評価による溶出試験の規格化

3)25℃×60%の条件

(申請当時、室温なりゆきの長期安定性試験の製品)

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年次安定性試験 実施していなかった製造所

申請当時から多くの変更管理が実施されている

・加速試験実施しなかった変更

・加速試験を実施したが長期安定性試験は実施しなかった

・加速試験も長期安定性試験も実施した

製品回収の理由に長期安定性試験で規格外になったと事例が増加

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年次安定性試験 と 品質再評価の影響

品質再評価;

ジェネリックがなかなか採用されない

後発品の採用進まない → 薬剤費抑制が進まない

↓品質に差がある(ジェネリックも承認されている)

先発と後発では服用後の血中濃度が違うのではないかとの危惧

↓溶出試験により、溶出挙動を同一にする 4液性で同等性

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年次安定性試験 と 品質再評価の影響

溶出試験は徐放性製剤以外は規格が無かった;

→全固形剤について溶出試験の設定

→開発当時の溶出試験データ無し

→その後、様々な変更がされてきている

→開発当時の製剤と今の製剤の溶出が同じかの証明は不可能

→前提; 今の製剤の溶出挙動をこの製剤の溶出挙動とする

→ジェネリックは現在の先発品の溶出挙動と一致させる

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年次安定性試験 と 品質再評価の影響

先発メーカーの思考;

溶出試験の規格を厳しくしてジェネリック品との差別化

→ジェネリック品が溶出試験に適合しない→処方改善一変

↓自社品が差別化された!

・糖衣錠のバラツキが大きい(溶出試験 n1=1/6 → n1+n2=2/12 OK)

・経年により、溶出が低下

ジェネリック品の差別化以前に、改善が必要な製剤の対応

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年次安定性試験 と 品質再評価の影響

溶出規格設定+4液性の溶出挙動公定書に収載

大学等で、市場にある製品の溶出挙動を調査し論文報告

溶出挙動が公定書収載パターンと異なる

↓ 検討委員会で調査

ジェネリック何品かが異なっていた & 先発品も異なっていた

溶出試験は規格になっているが、溶出挙動は規格になっていない

↓変更管理時に4液性の溶出挙動を確認項目に入れるか?

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年次安定性試験 25℃×60%の影響

長期安定性試験条件

安定性ガイドライン後に申請した製品の長期は25℃×60%

それまでは、長期はなりゆき

日本の年平均気温(2008年) 全国平均値 15.5℃沖縄23.4、鹿児島18.7、大阪17、東京16.4、富山14.6宮城12.7、青森10.7、北海道9.5

日本の年平均相対湿度(2008年) 全国平均 69%富山79、青森74、宮城73、沖縄71、北海道68、鹿児島67、大阪63、東京60

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年次安定性試験 25℃×60%の影響

GMP事例集2013年版(GMP11-69)「安定性試験ガイドラインの改定について」(平成15年6月3日医薬審

発第0603001号)に述べられている一般的な原薬、製剤においては

原則として25℃±2℃、60%RH±5%RHの条件で保存する。

ただし、当面の間は承認条件による保存を認めるが、温湿度のモニタリングを行うこと。

25℃×60%の安定性試験で、有効期間内で規格外になったら?

当面の間はとは?

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全梱包の同一性確認→全梱包の確認試験

PIC/S GMPガイドライン Annex8出発原料の完全なバッチの同一性は、通常、個々にサンプリングを全ての容器から採取し、また同一性試験が各サンプルについて実施された場合にのみ保証される。

各社対応を進められている。

従来は欧米販売品の対応だったのが、国内販売品にも適応

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PIC/S GMPガイドラインの適用

PIC/S GMPガイドラインを活用する場合、PIC/SのGMPガイドラインは法的拘束力のない参考もしくは推奨例として位置づけるもの

GMP省令を踏まえ、製造業者等の対応において許容できないリスクがあると判断された場合は、必要な指導にあたりPIC/SのGMPガイドラインにある手法を求める場合もあることから、品質確保の観点から、 PIC/SのGMPガイドラインを踏まえ、製造業者の自らの手法においても同等以上の品質が確保される根拠の妥当性について十分に確認しておく必要があります。

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30年医薬品品質管理/保証の業務を体験して思うこと

• GMPの実施

• GMPの実施+上乗せ基準(製造で品質を造り込む)

いかに製造で品質を造り込むか

・GMPの実施+上乗せ基準+感性による品質+祈りの品質

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アンプルのラベル無し苦情

現場からの回答は理解し難い/何故ラベル無しができるか?

当時のライン設計はアンプルの位置が正しくないと

ラベルを貼付しない。センサーで検知して排除する機構

→ラベル無しを作るライン• ラベルをきれいに貼る≫ラベル無しは作らない から• ラベルをきれいに貼る≪ラベル無しは作らない へ

改善後は、どんな場合でもラベル貼付後、排除する

→ラベル無しアンプルがでないラインへ

薬事法違反(ラベル無し)のリスク排除優先

追加; ネガティブセンサー → ポジティブセンサー

追加; 良品の信号が入らなければ全て不良品へ

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注射剤A製品回収(1999年)

注射剤Aに他社のフリップキャップ(表示有)が混入・新人のミスがきっかけ/ミスが起きやすい保管・表示

・ミスを自分でカバー(上司に報告無し)/教育訓練不足

・全数検査で異種混入発見(第二のチャンス)

→責任者群の原因追究不十分

・異常報告書が完結せずに出荷済 電話でやり取り

↓フリップキャップが混入しないようにカラーセンサーで全数確認

オレンジ色の同じサイズ品が8種類、白文字有が4種類

→自社製造所だけの品質保証では医薬品の品質は保証できない

→原料/資材メーカーの品質向上 & 考慮した品質保証

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生物由来異物による製品回収

医薬品・医療機器等の回収について

(平成12年3月8日医薬発第237号)

ア.有効性及び安全性の観点からの判断

イ.不良範囲の特定に関する判断

当該製造販売業者等がその不良についてロット又は製品全体に

及ぶものではないと明確に説明できない場合には回収すること。

ウ.混入した異物の種類と製品の性質からの判断

非無菌性製剤については、生体由来物が混入した場合には回収

すること。

→ 毛髪1本があっても製品回収するのか?

→ 生体由来物による製品回収が増加

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生物由来異物による製品回収

生体由来物による製品回収が増加

・製造状況での毛髪/虫の混入には変化がなく、

製造業者の通知を受けた判断が異なった。

↓業界で各社にアンケート調査を実施

毛髪/虫の苦情等の状況

↓ 苦情品だけで広がりが無い時は回収まで必要はない

厚生労働省へ提出

→その後、生体由来物による製品回収は従来のレベルに

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生物由来異物による製品回収

過去にあったケース;錠剤に毛髪が打ち込まれていた。たまたまそれを発見した人の隣の人が厚生労働省に渡した。→製薬企業へ→製品回収へ

お客様の苦情の申し出先によるフロー;苦情品→薬局⇔製造会社

⇔製造会社→保健所→県の監視指導

→製造所所轄の県の監視指導→製造所

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B製薬(B原薬)薬事法違反

B原薬の製造過程において、中間体(蒸留前のB原薬)が、医薬品製造業許可を有しない外部倉庫で保管され、当局より薬事法違反との指摘を受けた。MFにも記載されていないので記載漏れもある

何故防げなかったのか?・中間体だから保管はどこでもよいと思っていた。・原薬GMPの考えが反映されていなかった。・改正薬事法前から、たまたま輸出届けのGMP適合性調査で、外部倉庫に保管していた製造記録を確認された。そこに外部倉庫の名前が記載されていた。

→GQP;原薬製造業者の品質管理も製造販売会社の責任

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変更管理が適切でなく、製造販売承認書に反映されない

• 原薬の異物選別を別の製造所で実施(中国)

原薬に異物が見つかり、返品

・中国に出張し選別の手順を説明

・途中査察に行き確認

中国メーカーは新しい近くの工場で選別を実施

(製造販売承認書に記載がない)

・翌年の査察で発見(製造記録のトレースより)

・新しいよい環境の工場でやることで問題なし(中国)

当局に報告/相談 →回収の是非を問われる

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外部の査察での不備が、自社にも影響する

MF登録/審査

その後にそこの製造所の原薬を使用して新規申請時にGMP適合性調査実施

→不備が見つかり、それが他の原薬にも影響

→該当メーカーが審査管理課と話し合い

→メーカーより製造販売会社に顛末書を提出へ

GQP;原薬製造所のMFの非開示部分の変更

においても、適切な管理も製造販売会社責任

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原薬/委託先管理が適切でなく、製造販売承認書に反映されない

回収理由

光沢化剤としてカルナウバロウを微量(0.1%未満)使用しており、この成分が、承認書に記載がないまま使用されていることが判明した為。

考察

・カルナウバロウは充填ラインでラインの滑りを

よくするために使われている。

承認書に記載されていない添加剤の場合要注意

→査察で見つけることの難しさ

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ヒューマン・エラーと違反の違いやるべき決まりを守って作業

工場では各ドラムバーコード管理・バーコードで異種品確認

・作業効率を考え、ドラムが複数あり、

一つのラベルを剥がし、そのバーコードを読ませた。

↓・間違って違う添加剤を持ってきていた。

・違う添加剤を計量、仕込

何故わかったか; フィルター上の残渣の量がいつもと違う

→逸脱報告 この感性が重要

→このケースはヒューマン・エラーでなく、犯罪

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ある会社の出来事駐車場の車の向き 生垣に排気ガスがあたらない

ルール化されているが守られない

→ルールを守れない人は辞めて貰うと宣言

→ルールを守れなかったので辞めて貰った

→全員がルールを守るようになった

ルールを守れない人がSOPを守れるか

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どうすれば品質問題を防止できるか作業者は何をなすべきか

• 違反はしない

SOPを守る⇒そのためにはSOPを知る

• 異常/逸脱時の報告

逸脱を報告した時点で責任は上へ

• SOPを知る。知らなければ逸脱もわからない

前任者から聞いた≫SOPで確認 になってないか

• もし、逸脱すればどういうことが起こるかが想像できる

調査→問題なし/手直し→不良品/廃棄→広がり→回収

• 重要な作業はダブルチェックか?

もし、ミスをすると何が起きるか考えてみる

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どうすれば品質問題を防止できるか責任者群は何をすべきか

• 異常/逸脱が報告されるか

報告しやすい風土を醸成しているか

逸脱が報告されていることの確認

• 日々の忙しさの中で、重要なことと些細なことの見分ける力・判断力を磨いているか

• 3ゲン/5ゲン、PDCAの実践

• GMP/薬事法などの知識をどれだけ知っているか

• 作業内容をどれだけ把握しているか

MBWA

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どうすれば品質問題を防止できるか

• 3ゲン(現場、現物、現実) 5ゲン(+原理、原則)

• PDCA Plan Do Check Action 品質サイクル

• MBWA Management By Wandering Around• 3H(変化、初めて、久しぶり) 品質課題が生じやすい

• 30分/1日仕事が終わってから振り返る(考える)

感性による品質保証(今)⇒祈りによる品質保証

• 先送りしない(先送りしても問題が起きない場合も)

目の前の品質課題を一つひとつ解決する

• 一人ひとりの総合力であり結果が今の品質、会社の実力

学び続ける/行動する

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現場の5S• 現場にゴミが落ちている

拾う気持ちがあるかどうか

• 現場に不要なものがある

棚、引き出し

• 虫が飛んでいてもそのまま

どう対処するかで虫に関する意識がわかる

• ライン下に錠剤があってもそのまま

逸脱報告をだすか?

上記のような現場では品質不良が起きて当然

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新5S(心づくりによる新5S活動)

整理・整頓・清掃・清潔・躾

↓躾+(整理・整頓・清掃・清潔)

1)人づくりは“躾”から

2)”躾”は、整理・整頓・清掃・清潔の基本

3)”躾”は、人間形成をしていく上での基礎

4)凡事徹底(簡単なことを徹底的に実施)

5)人の気持ちを変える

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Mind5S(精神/整理・整頓・清掃・清潔)

1.ロゴセラピー(ヴィクトル・フランクル「夜と霧」著者)

精神 ⇔ 心 + 身体

心や身体が病んでいても精神が健全であれば

人生に意味を見出すのではなく、

人生が自分に問うて来る

⇒受け容れ価値を創りだす

2.躾? 人を躾けるとの発想は上から下

3.精神は、その人が自らの判断/選択から

どれだけ多くの人が良い製品を造りたいか。

それができる工場にしたいか。

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気づく、対処する、確実に行う力本[生き方]より 稲盛和夫氏

結果 = 考え方 × 熱意 × 能力

一番大切なのは考え方

自分たちの工場、製品をどうしたいか

= 自分たちの仕事、職場を守ること

二番目は熱意

時間とお金を何に使っているかを見ると、

その人がどんな人かわかる

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英国のダグラス少佐(海軍の英国式の指導者)

「日本帝国の栄光と威厳は、一個の海軍士官にかかっている。言葉をひるがえせば、一個の海軍士官の志操、精神、そして能力が、すなわち日本のそれにかかっている」

↓• まさに、品質保証は私達一人ひとりの志操、精神、そして能力にかかっている

• 会社が品質保証をしているのではなく、それに携わっている一人ひとりが日々の一つひとつの課題を先送りせずに着実に実践する

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祈りの品質 -人が創る品質-

• 60歳で退職(エーザイの定年は65歳)

• 知識/経験を伝えたい

↓• ホームページ(HP)作成

HPに知識/経験を掲載

http://www7.ocn.ne.jp/~inorihi5/index.html

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