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2016310KT4 1 質量分析イメージング(MSI) に関する製薬協の活動紹介 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会基礎研究部会 非臨床薬物動態課題対応チーム(KT4北條 裕也(杏林製薬)

質量分析イメージング(MSI) - Bioanalysis Forumbioanalysisforum.jp/images/2016_7thJBFS/08-2_MSI_JPMA.pdf2015/08/27  · Quantitative Mass Spectrometry Imaging (qMSI) 研究班

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2016年3月10日 KT4 1

質量分析イメージング(MSI) に関する製薬協の活動紹介

日本製薬工業協会 医薬品評価委員会基礎研究部会 非臨床薬物動態課題対応チーム(KT4)

北條 裕也(杏林製薬)

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2 2016年3月10日 KT4

MSIに着目するに至ったキッカケ これまでの活動 期待と課題 課題解決に向けた討論会 今後の展望

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MSI に着目するに至ったキッカケ

2016年3月10日 KT4

第41回日本毒性学会学術年会 医薬品の安全性評価における組織分布試験の意義 (製薬協 皆川俊哉 (大正製薬))

副作用と組織分布試験結果の相関解析

0

2

T/P

ADR+ ADR-

Css(6)

Cmax(10)

Cmax(15)

Css(8)

0

10

20

30

40

T/P

ADR+ ADR-

Css(3)

Cmax(3)

Cmax(23)

Css(19)

0

50

100

150

T/P

ADR+ ADR-

Css(8)

Cmax(9)

Cmax(17)

Css(15)

肝 腎 脳

調査対象 : 臨床と基礎臨床副作用の相関がある薬剤(134薬剤)、局所作用薬を除く低分子薬剤 データ : ラット組織分布試験 組織中濃度(脳、肝臓、腎臓、胃、小腸、大腸) 解析 : Cmax 及び Css における対血漿中濃度比(T/P) を ADR(+)群 と ADR(-)群 の比較

Mean Median

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中枢性副作用を示す薬剤では、組織(脳)移行性(T/P)は高い傾向が認められた。

肝・腎・消化器系組織では、副作用の有無とT/Pに差はほとんど認められなかった。

中枢性副作用を除き、副作用とT/Pの相関を見出すことはできなかった。

2016年3月10日 KT4

副作用と組織分布の相関はケース・バイ・ケース ■ 組織分布試験は、薬物と副作用の関連性を推察するためのアプローチの1つ ■ 安全性・薬効の基礎からヒトへの外挿性を推察するためのアプローチの1つ

現状の組織分布試験の限界 = 課題

放射性標識体を用いた組織分布は、代謝物を含む総放射能 “未変化体+代謝物” 安全性・薬効評価との関連性を高めるために、 未変化体と代謝物を分離評価したらどうか?

副作用と組織分布試験結果の相関解析 MSI に着目するに至ったキッカケ

⇒ MSI

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5 2016年3月10日 KT4

MSIに着目するに至ったキッカケ これまでの活動 期待と課題 課題解決に向けた討論会 今後の展望

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MSI に関するこれまでの活動

2016年3月10日 KT4

2014/12/11 第1回MSI討論会(製薬協、島津製作所) 2015/01/22 新規技術(MSI)に関する意見交換会(製薬協、JBF) 2015/03/17 新規技術(MSI)に関する意見交換会 (製薬協、JBF、機器メーカー) 2015/08/27 MSIブレインストーミング (製薬協、JBF(CRO含む)、機器メーカー)

19社23名が参加

36社56名が参加

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MSI に期待すること

2016年3月10日 KT4

薬効または毒性評価の精度向上に期待

組織分布試験への活用

MSIでは未変化体と代謝物を別々に測定できるため、 薬効及び毒性評価に有益な情報が得られる可能性がある 微細組織のイメージング

連続切片を用いることで、組織障害を起こしている部分や薬効標的組織に 特異的に蓄積している化合物をイメージングすることが可能 バイオマーカー測定、メタボロミクス

同一試料から、薬物と同時にバイオマーカーの測定、メタボロミクスの実施 ができ、動態・安全性・薬効評価に有益な情報を得ることが可能

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MSI の課題

2016年3月10日 KT4

MSI を医薬品開発に活用していくためには、 まず何を解決すれば良いのかが不明確であり、

もう少し踏み込んだ調査が必要

技術が発展途上

測定するための基礎的な技術にノウハウが必要 (組織切片作成、イオン化補助剤の塗布など) バリデーションの課題(再現性、測定値の正確性、許容基準など) 組織毎のイオン化効率の違いにより、全身切片を用いた際には定量が困難

データの活用法

どのような評価に有益なのか? 申請資料として使えるのか?

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9 2016年3月10日 KT4

MSIに着目するに至ったキッカケ これまでの活動 期待と課題 課題解決に向けた討論会 今後の展望

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課題解決に向けた討論会

2016年3月10日 KT4

製薬企業(JPMA加盟会社)、JBF(CRO含む)、機器メーカー 計36社56名が参加

MSI メーカーからの技術紹介及び現状について

受託試験実施企業(CRO)における現状

Brainstorming MSI の持つポテンシャルについて充分に情報共有する 機器メーカー・製薬企業・CROの三者間それぞれの立場を理解する 医薬品開発に活用するには、どのようなアクションが必要かを考える MSIが有する将来の可能性・展望を見出す

MSI ブレインストーミング

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11 2016年3月10日 KT4

MSI の持つポテンシャルについて充分に情報共有する

医薬品開発のスピード、判断、コストにどれくらい寄与するか

具体例が示されれば、MSIの評価はさらに上がると考えられる

課題解決に向けた討論会

技術力

活用方法

測定対象のイオン化の問題 生体成分・イオン化補助剤の影響

ARGを補完する分析手法 創薬研究段階でのバイオマーカー探索

将来、望まれること 医薬品開発において有用であると示されること(実例) この技術で得られた情報の位置づけ(販促資料用、申請用など)

定量性、再現性

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12 2016年3月10日 KT4

製薬企業 探索研究に活用している企業もあるが、申請資料に用いるにはハードルが高い CROにまず導入してもらい、委託試験で活用してみたい

CRO 国内CRO 10社中3社で導入実績有り

MSIを導入した理由 未変化体と代謝物の分別イメージングが可能となり、 データリッチな組織分布試験の結果が得られる。 バイオマーカーの分析や、特殊な投与経路における 薬物の浸潤経路の解明のための分析ができる。

MSIを導入しない理由 受託試験としての問い合わせがない。 定量性や感度が十分でないと思われる。 構造未知の代謝物について定量値が正確に得られるかがまだ分からないため。

製薬企業やCROが導入について躊躇しているのはナゼ?

導入しても運用実績が伸びないのはナゼ?

課題解決に向けた討論会 機器メーカー・製薬企業・CROの三者間それぞれの立場を理解する

機器メーカー 感度等の性能の向上に注力しており、医薬品開発に関するアプリケーションは手薄

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13 2016年3月10日 KT4

課題解決に向けた討論会 医薬品開発に活用するには、どのようなアクションが必要かを考える

創薬現場での実際の活用 技術レベルのさらなる向上 手法の標準化 産官学での連携

「産官学で連携」し、まずは「技術レベルの向上」及び「手法の標準化」が望まれる ⇒ 「創薬現場での活用」

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14 2016年3月10日 KT4

MSIに着目するに至ったキッカケ これまでの活動 期待と課題 課題解決に向けた討論会 今後の展望

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15 2016年3月10日 KT4

今後の展望

「産官学で連携」し、

MSIが有する将来の可能性・展望を見出す

「技術レベルの向上」及び「手法の標準化」が望まれる。

Quantitative Mass Spectrometry Imaging (qMSI)研究班 *

(平成24年度厚生労働省革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業)

qMSI研究班 目的:医薬品開発におけるqMSIの実用化 目標:リフレクションペーパーの作成、手法の標準化

研究成果は、国内外学術学会(日本薬物動態学会・日本臨床薬理学会、ISSX等)を通じて成果を広く公開し、論文化を行う

薬効/毒性評価への活用、創薬研究への応用例などの 情報収集を継続し、qMSI研究班の活動に協力していく

* 平成27年から活動開始

KT4の活動として、

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日本製薬工業協会 医薬品評価委員会基礎研究部会 非臨床薬物動態課題対応チーム(KT4) Team Leader 三浦 慎一、古田 盛、栗林 俊冶 Topic 1 角尾 浩幸、田中 誠治、河北 泰紀、谷山 和弘、野本 眞博 Topic 2 津田 実、長谷川 博司、鈴木 基浩、石井 哲、今野 芳浩

KT4

ご清聴ありがとうございました。