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駒込ダム本体建設工事における技術提案項目の概要 平成30年10月 東青地域県民局 地域整備部

駒込ダム本体建設工事における技術提案項目の概要 · 駒込ダム本体建設工事における技術提案項目の概要 ... テーマ③:地元への技術的貢献について

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駒込ダム本体建設工事における技術提案項目の概要

平成30年10月

東青地域県民局 地域整備部

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技術提案項目一覧

①施工計画テーマ①:堤体コンクリートに関する越冬対策についてテーマ②:堤外仮排水トンネル施工のための仮設ヤードの造成についてテーマ③:基礎掘削時(粗掘削・仕上げ掘削)の施工体制について

②工事目的物の性能・機能テーマ①:堤体コンクリート骨材の品質確保と管理についてテーマ②:堤体コンクリート製造及び運搬時の品質確保と管理についてテーマ③:堤体コンクリート施工時の品質確保と管理について

③社会的要請テーマ①:骨材運搬にかかる地域住民への配慮についてテーマ②:工事の周知・広報等の情報発信についてテーマ③:地元への技術的貢献について

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①施工計画における技術提案の内容(1/3)

テーマ①:堤体コンクリートに関する越冬対策について

駒込ダム建設予定地は、毎年2~3月に3m以上の積雪が見込まれる豪雪地帯であり、降雪が観測される期間のうち、11月16日から4月30日までの5.5ヶ月間を冬期休止期間と設定している。さらに、駒込ダムの堤体コンクリート打設には約25ヶ月を要するため、4回の越冬をすることとなり、その都度、越冬対策が必要となる。

上記から、堤体コンクリート打設時の養生方法、越冬面対策、越冬後の打設面処理等の工夫により、堤体コンクリートの品質・耐久性の向上が期待できる提案を評価する。

[標準案]1.冬期休止期間の設定(11月16日~4月30日までの5.5ヶ月間)2.上流面、下流面、造成アバットメント工、減勢工及び各打継面に養生

シート(ポリエチレンシート)による養生を実施。3.打設休止に伴うコンクリートの内部拘束から打継面が収縮し、打継面か

らの漏水が懸念されるため、上流面の水平打継面(ジョイント間)に水平止水板(塩ビ止水板)を設置。

4.発砲スチロールによる打設面養生、型枠の保温は、現地の気象条件を確認した上で、実施時期、実施範囲について監督職員と協議を行う(技術提案外)。

ダムサイトにおける積雪の状況

0

100

200

300

400

500

600

11/1 11/16 12/1 12/16 12/31 1/16 1/31 2/15 3/1 3/16 4/1 4/16 5/1 5/16 5/31 6/16

既往平均(H16~)

平成16年度

平成17年度

平成18年度

平成19年度

平成20年度

平成21年度

平成22年度

平成23年度

平成24年度

平成25年度

平成26年度

平成27年度

平成28年度

平成29年度

駒込ダム 積雪深状況グラフ(11/1~5/31)(cm)

2~3月の状況11月の状況

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場内工事用道路(左岸天端~仮排水トンネル吐口)

9.5tケーブルクレーン

仮設桟橋

仮設ヤード

①施工計画における技術提案の概要(2/3)

テーマ②:堤外仮排水トンネル施工のための仮設ヤードの造成について

堤外仮排水トンネルの施工は、各種仮設備の設置、資機材の搬入・搬出及び掘削ズリの搬出に必要な仮設ヤードを堤外仮排水トンネル吐口上流に造成したうえで行う予定であるが、この仮設ヤード造成箇所は、地形が非常に急峻であるとともに、河川の水量が多いため、安全かつ確実な工事を進める必要がある。

上記から、堤外仮排水トンネルの施工方法、仮設ヤード造成のために必要な場内道路、河川の渡河方法・水替方法等の工夫により、より安全かつ確実な施工が確保される提案を評価する。

[標準案]1.仮設ヤードは、転流対象流量110m3/sを安全に流下できるヤード高さとす

るとともに、水衝部であることから前面に護岸を設置。2.重機搬入、仮設桟橋、仮設ヤード施工のため場内工事用道路を設置。3.右岸に渡河するための道路は、河積を確保するため仮設桟橋を採用。4.堤外仮排水トンネル施工に係る資機材運搬を目的として9.5tケーブル

クレーンを設置。

標準案における仮排水トンネル仮設ヤード

保安林解除(作業可能)区域

保安林作業許可区域(本体工事終了後に返地)

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①施工計画における技術提案の概要(3/3)

テーマ③:基礎掘削時(粗掘削・仕上げ掘削)の施工体制について

本体基礎掘削(粗掘削・仕上げ掘削)によって、初めてダムサイト全体の地質・岩盤状況が精度よく把握されるが、当初想定していない岩盤の劣化(風化・ゆるみ)、熱水変質脈の分布等が確認されることより、基礎掘削線の見直しや施工上考慮すべき対策が必要となる。

上記から、本体基礎掘削中に確認された岩盤状況に対して、岩盤評価方法(評価時期、評価の効率化等)、周辺の地質情報による岩盤状況の想定、岩盤の風化防止方法等の工夫により、岩盤状況の情報整理の効率化、確実な堤体コンクリートの岩着の確保及び堤体安定性の向上が図れる提案を評価する。

[標準案]1.粗掘削時・仕上げ掘削時に岩盤スケッチを実施(別途業務発注)。2.堤敷の掘削面保護として仮設吹付工を実施。

堤体掘削平面図

計画上想定されている熱水変質脈

技術提案の対象範囲※

※右岸端部は、その処理方法について関連機関等との協議が必要であることから、技術提案の対象から除くものとする

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②工事目的物の性能・機能(1/3)

テーマ①:堤体コンクリート用骨材の品質確保

本工事における堤体コンクリート骨材は、購入骨材で計画しており、これまでの調査で、製品骨材には有害鉱物の混入等は確認されていない。しかしながら、堤体コンクリートの品質を確保するためには、採石場における骨材製造・搬出時、現場での骨材受入れ時の品質管理及び骨材のストック時の管理方法が重要となる。

このことから、骨材製造時、骨材の運搬時・搬入時における骨材の品質確認の工夫及び骨材のストック時の管理方法の工夫により、製品骨材の安定的かつ確実な品質確保の向上が期待できる提案を評価する。

[標準案]1.骨材の製造、運搬、貯蔵等の一連の工程及び品質の管理を統括する責任

技術者を専任。2.その管理は、骨材製造工場、骨材ストックヤードで行う。

骨材貯蔵設備について

骨材貯蔵ビン粗骨材:2日分(分級毎に2基)細骨材:3日分(3基)

骨材ストックヤード(野積)粗骨材:3日分 細骨材:2日分

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②工事目的物の性能・機能(2/3)

テーマ②:堤体コンクリート製造及び運搬時の品質確保と管理について

本工事の堤体コンクリート打設は、堤体コンクリート製造設備からの距離、タワークレーンの施工範囲等の状況から、製造から打設までの時間を要する。また、堤体コンクリートの打設は、一定条件下(気温、コンクリート打設温度)で行われるが、製造時と打設時の気温、運搬によるコンクリート温度の上昇・低下などが懸念される。

堤体コンクリートは、ダム構造の安全性及び貯水機能を確保するためには、必要な強度、水密性・耐久性が確保されなければならない。一方、堤体コンクリート打設時のワーカビリティも確保しなければならない。

上記のことから、堤体コンクリート製造時から打設までの時間及び現地の気温等を考慮し、堤体コンクリート製造時・運搬時の温度・品質管理、運搬車両への配慮等の工夫により、堤体コンクリートの品質・耐久性の向上が期待できる提案を評価する。

[標準案]1.日平均気温による打設可能日数を設定。2.現場の気温、打設温度等による打設制限の設定。3.コンクリート製造時の仕上がり温度等の確認。

標準案におけるコンクリート配合

ダムサイトにおける日最高・最低・平均気温の推移(2007~2016年)

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②工事目的物の性能・機能(3/3)

テーマ③:堤体コンクリート施工時の品質確保について

本工事における堤体コンクリートの打設期間は6.5ヶ月/年であるため、打継面処理、打設、締固め、養生、保護を計画的に進め、所要の強度・耐久性を確保する必要がある。

上記のことから、堤体コンクリートの締固め、打継面処理、養生などの施工方法の工夫により、堤体コンクリートの品質・耐久性の向上が期待できる提案を評価する。

[標準案]1.堤体コンクリートの打設は、拡張レヤ工法を採用。2.締固めは、手動内部振動機、搭載型内部振動機を採用。3.散水養生、養生シート(ポリエチレンシート)による養生。4.工事用高圧洗浄機、スライム回収機による打設面のグリーンカット。

本工事における本体コンクリート打設のリフトスケジュール(積算資料 第4章堤体工)

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③社会的要請(1/2)

テーマ①:骨材運搬にかかる地域住民への配慮について

本工事に用いる堤体コンクリート骨材は購入骨材で計画され、県内採石場から施工箇所までの運搬ルートを設定している。運搬ルートは町道、主要幹線道路(国道・県道)を想定しており、交通量も多く、その沿線には小学校や要介護者施設等がある。

上記のことから、骨材の運搬ルート、骨材の運搬方法、骨材のストック方法等の工夫により、骨材運搬に係る地域住民への負担の軽減・安全の確保の向上が期待できる提案を評価する。

[標準案]1.骨材運搬時間を7時から17時に制限。2.骨材製造工場周辺の一般道に交通誘導警備員を配置。

骨材製造工場(予定)周辺の交通誘導警備員の配置

骨材製造工場(予定)

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③社会的要請(2/3)

テーマ②:工事の周知・広報等の情報発信について

本工事は、県都青森市を流れる堤川及び駒込川の流域住民を守るための最後の洪水貯留施設の事業で、かつ非常に規模の大きい工事であることから、堤川及び駒込川沿川の住民、工事関係者の関心が高く、また、工事施工箇所が十和田八幡平国立公園であり観光客の目に触れる機会も多くなると想定されることから、駒込ダムに関する官民一体となった情報発信が重要となる。

上記のことから、地域住民及び観光客等への情報発信の工夫を行うことにより、工事への理解が深まることが期待できる提案を評価する。

[標準案]工事現場の現場環境改善費として下記の内容を見込んでいる。1.仮設備関係:見学路及び椅子の設置2.地域連携 :デザイン工事看板(工事PR看板を含む)

③社会的要請(3/3)

テーマ③:地元への技術的貢献について

本工事は非常に規模の大きい工事であり、工事の完成までには、多種多様の施工機械・技術が導入されることなる。これらの工事に触れることにより、青森県内の土木技術者の技術力向上が期待される。

上記のことから、施工体制、見学会の開催等の工夫により、県内業者の技術力向上、将来の土木技術者育成が期待できる提案を評価する。

[標準案]工事現場の現場環境改善費として下記の内容を見込んでいる。1.地域連携:見学会の開催(イベント等の実施を含む)