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頸動脈エコー検査が診断の契機となった Bow hunter 症候群の一症例 独立行政法人国立病院機構 浜田医療センター 臨床検査科
○小杉晴香 小林妙子 難波美樹 金海奈奈 前田陽子 五歩池加奈 遠藤竜也 中井 稔 長﨑真琴
【はじめに】頸動脈エコー検査は全身の動脈硬化の程度を把握することや頭蓋内虚血性病
変の非侵襲的な原因検索の手段として用いられている。今回、我々は眼前暗黒感を主訴に
来院し、その原因検索に頸動脈エコー検査が有用であった症例を経験したので報告する。 【症例】60 歳代・女性 【主訴】眼前暗黒感・一過性のめまい 【現病歴】首を動かした際に眼前暗黒感が生じ、精査目的にて当院紹介受診となった。 【検査所見】頸動脈エコー検査:通常の検査体位にて検査実施。左椎骨動脈の収縮期最高
血流速度 15cm/sec、拡張末期血流の消失を認めたと同時に眩暈が生じたため正中位にて再度検査を行ったところ、左椎骨動脈の収縮期最高血流速度は 45cm/sec、拡張期血流は14cm/sec と血流の改善を認めた。以上の結果より、頸部の回旋運動により椎骨動脈が圧迫され血流障害が生じる Bow hunter 症候群と診断された。 【考察】Bow hunter 症候群は頸部を回旋させることで椎骨脳底動脈域の循環不全が起こり眩暈や意識障害などをきたす病態であり、頸動脈エコーにて頸部正中位の椎骨血流波形が
正常であるが頸部回旋により拡張末期血流が消失する血流パターンを認める場合にはその
存在が強く疑われる。頸動脈エコーは非侵襲的であり、体位によってリアルタイムに血流
評価が可能であるため bow hunter 症候群の診断に有用である。 【結語】今回眼前暗黒感の原因検索のため行った頸動脈エコーにより bow hunter 症候群指摘し得た一例を経験した。
National Hospital Organization Hamada Medical Center
頸動脈領域のエコー検査は解剖学的に体表面に近く、
容易に血管内の詳細な観察が可能である。頸動脈エコー
の検査目的として全身の動脈硬化の程度を把握すること
や頭蓋内虚血性病変の非侵襲的な原因検索の手段として
用いられている。今回、我々は眼前暗黒感を主訴に来院
し、その原因検索に頸動脈エコー検査が有用であった
症例を経験したので報告する。
【はじめに】
【症例】
●患者:60歳代・女性
●主訴:眼前暗黒感・一過性のめまい
●現病歴
首を後屈させると瞬間的に首から頭を引っ張られてい
るような感じが起こっていた。その時は目を開けてい
られない。様子を見ていたが改善がみられないため
精査目的で当院紹介受診となった。
●既往歴:特記事項なし
【神経学的所見】
・意識清明
・項部硬直なし
・眼振なし
・眼球運動障害なし
・四肢麻痺なし
・感覚障害なし
・上腕二頭筋反射(BTR) : +
・上腕三頭筋反射(TTR) : +
・腕橈骨筋腱反射(BRTR) : +
・ホフマン反射 : −
・トレムナー反射 : −
【MR検査所見】
T1 T2 FLAIR
●頭部MRI
●頭部MRA ●頸部MRI
Right Left Right Left Right Left
Diameter(mm) 6.4 6.2 3.8 4.1
max IMT(mm) 0.8 0.7 1.3
Plaque type等輝度
不均一型
CCA Bif ICA
Right Left Right Left
PSV(cm/s) 73 76 57 52
EDV(cm/s) 19 19 25 22
meanV(cm/s) 34 34 39 34
PI 1.57 1.71 0.82 0.8
RI 0.73 0.76 0.56 0.62
CCA ICA
頸動脈エコー検査が診断の契機となったBow hunter症候群の一症例
独立行政法人 国立病院機構 浜田医療センター 臨床検査科
●小杉晴香 難波美樹 淺井瑶子 金海奈奈 前田陽子
小林妙子 五歩池加奈 遠藤竜也 中井 稔
【頸動脈エコー検査所見】
Diameter : 3.0mmPSV : 41 cm/sEDV : 14 cm/s
Diameter :3.8mmPSV : 15 cm/sEDV : 0 cm/s
PSV : 15 cm/sEDV : 0 cm/s
PSV : 45 cm/sEDV : 14 cm/s
拡張末期の血流消失
Bow hunter症候群には頸部正中位の椎骨血流波形が
正常であるが頸部回旋により拡張末期血流が消失する血
流パターンを確認することが診断に有用である。頸動脈
エコー検査は血流評価を体位によってリアルタイムかつ
非侵襲的に評価が可能であり本疾患に有用な検査と思わ
れる。
また、椎骨動脈拡張末期血流の消失を認めた際には、
後下小脳動脈(PICA)分岐部前閉塞でも同様の血流パター
ンをとるため、正中位での血流評価も行い本疾患との鑑
別が必要である。
【考察】
Bow hunter 症候群は頸部の回旋運動により頸椎の骨棘
などが椎骨動脈(VA)を圧迫することにより血流障害が生
じて椎骨脳底動脈系の虚血症状が発生する病態である。
狭窄部位の多くはC1/2レベルであるがC5/6,C6/7レベ
ルでも報告があり解剖学的にVAが頸椎横突孔を出入り
し生理的な屈曲が認められる部位に一致している。
治療として頸椎後方固定術、除圧術、ステント留置術な
ど外科的治療と、頸部回旋回避、内服薬投与などの保存
的治療がある。
【Bow hunter 症候群】
L.VA 頸部回旋 L.VA 頸部正中位
R.VA L.VA
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国病学会抄録(検査科 小杉)国病学会ポスター(検査科 小杉)