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治験薬と有 - JPMA...質問番号:2007-24 治験審査委員会の意見と治験実施医療機関の長の決定の関係 質問番号:2008-10 治験責任医師不在中の重篤な有害事象報告

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【有害事象とは何ですか?】

有害事象(Adverse Event)

治験薬又は製造販売後臨床試験薬を投与された被験者に生じたすべての好ましくない又は意図しない疾病又はその徴候をいう。

当該治験薬又は当該製造販売後臨床試験薬との因果関係の有無は問わない。

【副作用とは何ですか?】

副作用 (Adverse Drug Reaction) 治験薬(対象薬として用いられる市販薬を除く。)については以下のとおり:

投与量にかかわらず、投与された治験薬に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査

値の異常を含む。)。すなわち、当該治験薬と有害事象との間の因果関係について、治験薬と有害事象との間に、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。 因

果関係の判定を行う際には、投与中止後の消失、投与再開後の再発、既に当該被験薬又は類薬において因果関係が確立、交絡するリスク因子がない、曝露量・曝露期間との整合性がある、正確な既往歴の裏付けにより被験薬の関与がほぼ間違いなく説明可能、併用治療が原因である合理的な可能性がみられない等を参考にすることができる。

(なお、GCPにおいては、副作用という用語を、薬理作用の中で主作用に対する副作用を意味する英語の side effectではなく、薬物有害反応 adverse drug reactionに対応する意味で用いている。)

<参考資料>

GCPガイダンス 第2条

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【有害事象はどうやって確認しますか?】

被験者の安全確認、安全性プロファイルの収集のため、有害事象の有無を確認します。

治験開始以降(*)に、開始前と比べて被験者に好ましくない、又は、意図しない疾病又は徴候があったか、否かを確認します。

もし被験者に好ましくない、又は、意図しない疾病又は徴候があった場合は、有害事象として報告が必要です。

(*)有害事象の報告が必要な期間は、治験依頼者や治験実施計画書によって異なり、

治験薬投与前の観察期間中に発現した事象も有害事象として収集する場合があります。

被験者に好ましくない、又は、意図しない疾病又は徴候がなかった場合には、有害事象がないことを確認した記録を残します。

有害事象については、程度や重篤度、医師の判断等についても記録に残して下さい

(治験実施計画書によって内容は異なります)。

※ 治験では、通常診療では記録しないような内容も、記録に残すことが必要です。

有害事象等の被験者に好ましくない兆候等が現れた場合には、何よりもまず被験者の安全を確保し、必要に応じて適切な治療・処置を行ってください。

(治験薬との相互作用など安全上の理由により併用禁止薬を規定している場合もありますので、治験依頼者にも相談してください。)

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【医療機関で有害事象の判断・記録が必要ですか?】

医学的判断を伴うため、治験責任(分担)医師が有害事象の有無を確認・判断し、記録します。

※有害事象に該当するか否かの判断を行うのは治験責任(分担)医師です。

治験責任(分担)医師または権限を委譲された治験協力者から、治験依頼者への報告を行います。

治験依頼者への報告は、症例報告書(CRF)や電話、FAXを介して行います。ただし、試験毎に異なることがありますので治験開始前に確認しておきます。

症例報告書の作成は、実施医療機関の責務であり、被験者の安全性担保のためにもタイムリーな情報提供が求められます。

後日、担当モニターはCRFと原資料の記録に不整合がないかを確認します。

有害事象の治験依頼者への報告:以下の内容を含む症例報告書を用いて治験依頼者へ報告します。

有害事象 - 症状や徴候または、診断名や症候群

発現日

回復日(回復した場合)

重症度/グレード

治験薬・治験手順との因果関係

対応 - 処置の有無、投与量の変更、休薬など

重篤性の有無 - 死亡、生命の危機、入院又は入院の延長、永続的又は重大な障害/機能不能に陥るもの、先天異常を来すもの

転帰

その他、治験実施計画書で定めている事項など

<治験119>

質問番号:2005-06 併用薬である市販品の副作用報告義務(その1)

質問番号:2007-02 併用薬である市販品の副作用報告義務(その2)

質問番号:2011-46 原資料の特定 - 症例報告書に直接記入されかつ原データと解すべき資料

質問番号:2008-46 検査入院に対するSAE報告の取扱い

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【重篤な有害事象(SAE)とは?】

重篤な有害事象(SAE)とは有害事象のうち、以下のいずれか1つ以上に該当する事象です。

・死亡

・死亡のおそれ

・入院又は入院期間の延長

・障害

・障害のおそれ

・上記に準じて重篤

・先天異常

<参考資料>

統一書式(書式12-1)

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」施行規則273条

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【なぜ医療機関の長・治験依頼者へ直ちに報告が必要ですか?】

GCP第48条ガイダンスに規定されている通り、治験責任医師は被験者の安全性確保のために直ちに報告が必要です。新たに得られたSAE情報をもとに、

●実施医療機関の長は、治験の継続の可否についてIRBに審議を求めます。

●治験依頼者は、規制当局へ安全性報告を期限内に実施する義務があります。(下記参考)。

●治験薬の投与を行ったその他の患者や他施設の被験者の安全性にも影響を及ぼすと考えられた場合、治験依頼者は早急に全ての治験実施医療機関へ情報提供を行います。そして全ての治験実施医療機関の治験責任医師は同意説明文書の改訂の要否を判断します。

●治験実施計画書や治験薬概要書、添付文書等が改訂されることもあります。

(参考)規制当局への報告期限

未知/死亡・死亡につながる恐れのある症例→7日以内

未知/その他重篤な症例→15日以内

既知/死亡・死亡につながる恐れのある症例→15日以内

新たな安全性情報の内容によっては、今後の開発計画を検討し直すこともあります。

<治験119>質問番号:2007-24 治験審査委員会の意見と治験実施医療機関の長の決定の関係

質問番号:2008-10 治験責任医師不在中の重篤な有害事象報告

<参考資料>

GCPガイダンス第48条、第31条「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第80条の2第6項、施行規則273条治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて(平成7年3月20日薬審第227号)

緊急安全性情報等の提供に関する指針について(平成23年7月15日薬食安発0715第1号)

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【重篤な有害事象発生時の対応】

各治験実施計画書の手順に従い、SAE報告を行います。予め確認しておくべき事項として、

・第一報の報告期限(直ちに:具体的な時間等が記載されていない場合は詳細を確認しましょう)、

・詳細報告の報告期限(第二報以降の報告期限についても確認しましょう)、

・報告方法-書式(統一書式、治験実施計画書の規定書式)、手段(FAX or eCRF入力)、

・報告に必要な情報

などがあります。

これらは治験依頼者または治験実施計画書によって異なることがありますので確認しておきましょう。

第一報 最低限必要な情報が何か、確認しておきましょう。

(被験者識別コード、有害事象名、重篤と判断した理由等)

※できるだけ多くの情報を報告できるように努めてください。

追加報告 被験者情報(年齢、性別等)、転帰、治験薬情報(投与期間、因果関係、発現後の措置)

原疾患・合併症・既往歴、併用薬、経過、関連する臨床検査結果等、因果関係の判定根拠等

症例経過等の記述 重篤な有害事象発現前・発現後の詳細な経過、重篤な有害事象に対する処置、症例の概要等

なお、医療機関の長に提出されたSAEの報告についてはIRBで審議される必要があります。

<治験119>

質問番号:2013-04 SAEに関する追加・変更情報に対する治験審査委員会の審査

質問番号:2013-21 SAEに関する追加・変更情報に対する治験審査委員会の審査

質問番号:2010-10 実施医療機関へのSAE報告の取り下げ

<参考資料>

統一書式(書式12-1、書式12-2)

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【どのようなものが速やかな報告が必要ですか?】

重篤な有害事象以外にも、治験実施計画書で速やかな報告を規定している場合があります。

・治験実施計画書において、治験薬の安全性評価のために重要であると規定された有害事象。

治験薬の特性から、その発現を治験依頼者へ速やかに連絡することが適切であると考えられる事象。

事象によっては、治験依頼者から規制当局などへ速やかな連絡を必要とすることもあります。

・治験薬投与中の妊娠

治験薬投与中に妊娠(パートナーを含む)した場合には、治験依頼者へ速やかに連絡し、出産までの追跡調査が必要な場合もあります。

被験者の安全を第一に確保した上で、治験薬の中止等の適切な対応を行ってください。

報告手順等について、あらかじめ治験依頼者に確認しておくことが大切です。

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【なぜ因果関係を判定する必要がありますか?】

試験および治験薬について適切なデータを収集し、適切に科学的評価を行うために必要です。

また、医学的判断を伴うため治験責任(分担)医師により適切にタイムリーに評価される必要があります。

【どのように判定する必要がありますか?】

治験薬との因果関係の有無を判断するために、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて(平成25年4月4日薬食審査発0404 第4号)で判断を行うための参考事項があげられています。

投与中止後の消失

投与再開後の再発

既に当該被験薬又は類薬において因果関係が確立

交絡するリスク因子がない

曝露量・曝露期間との整合性がある

正確な既往歴の裏付けにより被験薬の関与がほぼ間違いなく説明可能

併用治療が原因である合理的な可能性がみられない

<治験119>

質問番号:2009-31 有害事象の因果関係判定の時期

<参考資料>

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて(平成25年4月4日薬食審査発0404 第4号)

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<参考資料>

MedDRA /J (https://www.pmrj.jp/jmo/php/indexj.php)

症例報告書を英語で記載する場合の留意点(日本製薬工業協会)

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【MedDRAはどのように使用されていますか?】

治験依頼者は報告された情報を最も正確に反映する「基本語(Preferred Term:PT)」を用いて当局報告するため、事象名について治験依頼者からクエリーがあがることがあります。医療機関スタッフはクエリーに対してその都度対応が必要になります。

MedDRAでは事象名が5段階に分類されています。

1. 器官別大分類(System Organ Class:SOC)

2. 高位グループ語(High Level Group Term:HLGT)

3. 高位語(High Level Term:HLT)

4. 基本語(Preferred Term:PT)

5. 下層語(Lowest Level Term:LLT)

幾つかのLLTは非常に特異性が高いものがあり、それらの用語選択に際しては十分な注意が必要である。

• 報告語の中のアルファベット一文字の有無によって用語の意味が異なり、最終の用語選択に影響することがある。(引用:MedDRA® 用語選択: 考慮事項)

(例示)

報告語 選択されたLLT

Lip sore(唇の痛み)-Lip sore (PT Lip pain)-口唇疼痛(PT: 口唇痛)

Lip sores(唇の炎症)-Sores lip (PT Cheilitis)-口唇炎(PT:口唇炎)

Sore gums(歯ぐきの痛み)-Sore gums (PT Gingival pain)-歯肉痛(PT:歯肉痛)

Sores gum(歯ぐきの炎症)-Sores gum (PT Gingival inflammation)-歯肉の炎症(PT:歯肉の炎症)

<参考資料>

MedDRA /J (https://www.pmrj.jp/jmo/php/indexj.php)症例報告書を英語で記載する場合の留意点(日本製薬工業協会)

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