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重質残渣油のRFCC原料化のための RDS触媒システム開発 (高効率JXTG1306) 2020年度 JPECフォーラム 2020年5月8日 JXTGエネルギー 禁無断転載・複製 ©JXTG Nippon Oil & Energy Corporation All Rights Reserved. 2020 -

重質残渣油のRFCC原料化のための RDS触媒システム開発 ...RFCC反応性 従来型触媒システム 改良型触媒システム RDS生成油 硫黄分 wt% 0.70 0.45

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  • 重質残渣油のRFCC原料化のためのRDS触媒システム開発(高効率JXTG1306)

    2020年度 JPECフォーラム

    2020年5月8日

    JXTGエネルギー

    - 禁無断転載・複製 ©JXTG Nippon Oil & Energy Corporation All Rights Reserved. 2020 -

  • 研究開発の背景

    国内石油製品の需要(出典:石油連盟)

    ・石油製品(特に、重油留分)の需要減退・非在来型(超重質原油)の処理ニーズ

    ペトロリオミクス事業での成果アスファルテン凝集緩和技術により、重油脱硫(RDS)触媒の劣化抑制

    重質留分の高付加価値化(ノーブルユース化)技術開発が急務

    アスファルテンモデル構造と結合寄与率(鷹觜他, J.Jpn. Ptrol., 56, 61(2013))

    直接アスファルテンを取り除く↓

    本質的に有効かつ効率的な技術

    溶剤脱れき(SDA)に着目

  • 研究開発の概要

    従来の重質留分処理

    技術開発後

    減圧残渣(VR):将来余剰感のある高硫黄C重油になっていた

    減圧残渣(VR): SDA処理により、7割がRDS装置を経て、RFCCの原料に変換され、ガソリンや石化原料を製造できる。

    超重質油原油の処理も可能となる。原油選択の多様化が図れる。

    本技術開発

    3

  • ・活性だけでなく、差圧対策も考慮した、DAO処理に特化した、脱メタル触媒システムを構築した。

    最終目標と前年度(平成30年度)までの成果まとめ

    4

    【脱メタル性能の向上】

    →平成31年度は、構築した脱メタル触媒システムの実機検証を行う。

    【脱硫性能の向上】

    ・DAOとARの原料性状比較、および各触媒の反応特性を把握した。・選定した脱硫システムにより、RFCC反応性も向上した。・DAOはメタル化合物に特徴があることが分かり、メタル劣化を対処すれば、窒素分や残炭分による劣化は、従来型ARの脱硫システムと同じ考え方で対処可能であると予想された。

    →平成31年度から、更に高い目標へ計画変更する。

    【最終目標】・DAOをRDS装置で処理する際、SDA抽出率を50から70%に高めた場合でも、1年間の継続処理可能なDAO処理に特化したRDS触媒システムを構築する。・RDS生成油中窒素分を300ppm低減する。

  • 5

    平成31年度(令和元年度)以降の計画変更

    【技術的ハードルの高さと効果】・DAO深絞りにより重金属分が激増し、処理難易度は非常に高まるが、重質油中のボトムは当初計画の2/3に圧縮(VR処理1.5倍)となり、ボトム削減効果も大いに高まる。→ 抽出率UP(ピッチ削減=VR処理UP)は、競争力UPに直結する。

    【計画変更後の検討事項】・高効率1305保有SDAベンチから得られる高抽出率DAOを用いた少量原料油の迅速評価技術の確立が必要となる。

    【事業アウトプット】SDA抽出率を80%としたDAOを用いた際の触媒システム開発

  • 6

    抽出率とDAO中成分(出典:石油学会「石油精製プロセス」)

    重金属分は激増(処理難易度高い)

    現状当初計画

    計画変更案

    DAO深絞りにより、重金属分が激増し、処理難易度は非常に高まる

    計画変更による難易度の増大

  • 7

    常圧蒸留装置

    (TOP)

    減圧蒸留装置

    (VAC)

    残油直接脱硫装置

    (RDS)

    残油流動接触分解

    装置(RFCC)

    プロピレンガソリンBTX等

    常圧残渣(AR)

    減圧残渣 (VR)

    減圧軽油 (VGO)

    溶剤脱れき装置(SDA)

    ピッチ(アスファルテン)

    脱れき油 (DAO)

    ボイラー燃料 として活用

    RDS

    SDA ピッチ

    DAO

    50%

    50%

    従来技術

    ピッチ

    DAO

    30%

    70%

    当初計画

    ピッチ

    DAO

    20%

    80%

    計画変更案

    計画変更の効果

    VR処理1.5倍

    (例)ピッチ処理 VR処理:6kBD VR処理:10kBD VR処理:15kBD3kBDの場合

    RDS

    SDA

    RDS

    SDAVR

  • 計画変更後の技術目標(赤字部分追加)

    【単年度ごとの技術目標】

    年度 目標

    平成31年度(令和元年)

    ・最適脱メタル触媒システムの実機適用により、SDA抽出率70%時、1年間の継続処理が可能となる新たなDAO処理用触媒システムを構築する。・DAO処理に適した脱硫触媒層の性能向上により、パイロット装置にて、RDS生成油中窒素分を300ppm低減する。

    ・SDAの抽出率を更に80%まで上げた時、原料油となるDAOの詳細解析を行い、それに対応する触媒システム上の課題を明らかにする。

    平成32年度(令和2年)

    ・最適触媒システムの実機適用により、RDS生成油中窒素分を300ppm低減する。

    ・SDAの抽出率を更に80%まで上げても処理可能な新たなDAO処理用触媒システムを開発する。

    【最終目標】

    ・DAOをRDS装置で処理する際、SDA抽出率を50から70%に高めた場合でも、1年間の継続処理可能な、DAO処理に特化したRDS触媒システムを構築する。・RDS生成油中窒素分を300ppm低減*)する。・SDA抽出率を80%まで高めることに対応可能な、新たなDAO処理用触媒システムを開発する。

    *) RFCC転化率+1%向上に相当

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  • 9

    技術開発計画(事業全体)平成28年度 平成29年度 平成30年度

    平成31年度(令和元年)

    令和2年度

    1. 脱メタル性能の向上

    (1)メタル詳細分析

    (2)劣化機構解明

    (3)触媒機能明確化

    (4)システム評価・多塔反応装置建設

    (5)実証化検討

    2. 脱硫性能の向上

    (1)残炭・窒素分の詳細分析

    (2)劣化機構解明

    (3)触媒機能明確化

    (4)多塔反応装置による触媒評価

    (5)システム評価

    (6)ACE-MAT評価

    (5)実証化検討

    3. 80%抽出率DAOの処理技術の確立

    (1)少量DAOの評価技術の確立

    (2)SDA抽出率80%時の課題明確化

    (3)80%抽出率DAOを用いた迅速評価

  • 補正

    反応

    温度

    ,℃

    積算通油量

    従来脱メタル触媒システム

    改良脱メタル触媒システム

    脱メタル触媒の実証化試験~補正反応温度

    10

    10℃

    ・240日運転時点で、期待通りの性能を示している。

    ・事業開始前の触媒システムと実機RDS装置の積算通油量で比較した。

    →脱硫性能の向上と安定した触媒寿命を示している。

    HDM-1

    HDM-2

    HDS-1

    HDS-2

    HDS-3

    HDM-1

    HDM-2

    HDS-1

    HDS-2

    HDM-3

    HDS-3

    従来脱メタル触媒システム

    改良脱メタル触媒システム

  • 脱メタル触媒の実証化試験~性能比較

    11

    ・事業開始前の従来触媒システムと比較し、新脱メタル触媒システムの適用により、

    DAO処理量30%UP、原油重質化、および高severity運転が可能となっている。

    (相対値) 従来触媒システム 改良触媒システム

    DAO処理量 100 131

    原料油 密度 100 101

    原料油 Sulfur 100 122

    原料油 V+Ni 100 115

    反応結果 従来触媒システム 改良触媒システム

    脱硫率 83.0 % 84.9 %

    脱メタル率 67.9 % 77.2 %

    ΔAPI (AR) として、-1.7程度

    【実機RDS運転まとめ】

  • 脱硫触媒システムの構築~長期寿命試験

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    ・前年度選定した脱硫触媒(HDS-4)を用い、寿命試験を実施(生成油S一定運転)。

    ・従来脱硫触媒システム(開発脱メタル触媒システム)と比較して、10℃程度高性能(2倍近い寿命)であることを確認した。

    ・低温の反応にもかかわらず、窒素分も低減。

    HDM-1

    HDM-2

    HDS-1

    HDS-2

    HDM-3

    HDS-3

    従来脱硫触媒システム 改良脱硫触媒システム

    10℃

    100ppm

    HDM-1

    HDM-2 HDS-4

    HDM-3 HDS-3

    HDM-3

  • 13

    ・寿命試験実施後の触媒を抜出し、メタル堆積量を分析した。

    ・各触媒のメタルキャパシティに対するメタル堆積量(メタル占有率)で整理した。

    ・メタル堆積が少ない領域に、(低メタル耐性でも)より高活性な触媒を配置可能。

    →「シミュレーションの精度向上」、「触媒比率の設計」が可能となった。

    脱硫触媒システムの構築~抜出触媒の分析

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    0 20 40 60 80 100

    メタル

    占有率

    ,%

    リアクター入口からの位置, vol%

    HDM-2

    HDM-3 HDS-4 HDS-3HDM

    -1

    メタル占有率低く、HDM-3の代わりに、HDS-4の使用が可能

    メタル占有率低く、HDS-4の代わりに、

    HDS-3の使用が可能

    HDM-2

    HDM-3 HDS-4 HDS-3HDM

    -1最終システム

    HDM-1~HDM-3(上部)の脱メタル

    は良好

  • 14

    ・脱メタル触媒および脱硫触媒を改良したシステムのRDS生成油性状を比較した。

    ・机上では、目標(RDS生成油中窒素分300ppm低減)を大幅に超える、620ppmの改善を達成した。

    ・RDS生成油について、ACE-MAT-SIMにより、0.8%の改善見込み。

    RFCC反応性

    従来型触媒システム 改良型触媒システム

    RDS生成油

    硫黄分 wt% 0.70 0.45

    窒素分 wtppm 1880 1260

    V+Ni wtppm 13 12

    残留炭素分 wt% 6.5 5.8

    RFCC反応性

    転化率 % Base +0.8

    【1年運転可能な条件でのRDS生成油性状およびRFCC反応性比較】

  • 少量DAOの評価技術の確立

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    JPEC導入HTE装置仕様を変更して活用

    ・Rx:単塔・触媒充填量:

    1.5ml・触媒:粉砕して評価を実施

    ≪導入仕様(8mlx4塔=32ml)4連 ≫※8mlx16連としても使用可

    ・Rx:4塔式も可・触媒充填量:

    8ml(最大値)・触媒:粉砕しないで評価を実施

    仕様変更

    ≪JPEC導入設備仕様(1.5mlx1塔)16連≫

    高効率1305のSDAベンチ装置から得られる少量DAO(抽出率80%)を迅速に評価可能

  • DAO高抽出率処理時の課題整理

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    ・高効率1305で採取した高抽出率DAOを分析し、性状の変化を比較した。

    ・更に、RDS反応シミュレーターを用い、その性状変化が脱硫反応性に与える

    影響度を反応温度で示した。

    →金属分(V,Ni)の増加が顕著であり、かつ脱硫反応性悪化への影響も大きい。

    DAO性状(相対値) 抽出率75% 抽出率85%

    Sulfur 100 116

    Nitrogen 100 120

    Vanadium 100 186

    Nickel 100 214

    CCR 100 137

    Asphaltene 100 158

    脱硫反応温度換算, ℃

    +2.9

    +0.1

    +11.8

    +9.1

    +0.2

    +0.1

    今後、高抽出DAOを処理しようとする場合は、これまで構築してきた脱メタル触媒システムを更に強化する必要があることが確認できた。→今後、高抽出率DAOを用いて、反応性評価を行う。

  • 今年度目標を達成した。

    まとめ

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    【その他、特記事項】

    ~少量DAOの評価技術の確立~・SDAパイロット装置から得られる少量の高抽出率DAOでも、評価可能となる装置(ハイスループット実験装置)を導入し、稼働を開始した。・高抽出率DAOの詳細分析により、RDS反応への影響度が大きいのは、VanadiumとNickelであることを確認した。

    目標 結果

    ・最適脱メタル触媒システムの実機適用により、SDA抽出率70%時、1年間の継続処理が可能となる新たなDAO処理用触媒システムを構築する。

    実機RDS装置にて、240日時点で、計画よりも低温(高性能)で運転を継続しており、1年間の継続処理が可能の見込みである。

    ・DAO処理に適した脱硫触媒層の性能向上により、パイロット装置にてRDS生成油中窒素分を300ppm低減する。

    RDS生成油中窒素分の低減量は620ppmに達する。

  • 本研究は経済産業省・資源エネルギー庁の補助事業として実施されました。ここに記して、謝意を表します。