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学部共通科目
「科学と人間」
第3セッション「医療と社会」総括
レポートの採点について
• 渡部先生に90人以上が集中するなど、課題
の選択人数に大きな偏りがありました。
• 担当教員7人で分担して採点しますので、出
題者と採点者が異なる場合があります。
• 採点基準は同じにして、不平等が出ないようにします。
• 夏休み中に返却できるように、コメントの記入と評価を行います。
今日の予定
• 12:50~13:10 第3セッション復習
(小テストの解答などはウェブで)
• 13:10~14:10 ディスカッション
• 14:10~14:20 復習小テスト
ちなみに来週は、
• レポートの解説:「日本語で論理的な文章を書く」ために。
• 学期末アンケート3種
*覚えていますか、この授業の目的?
「情報リテラシー」
1)パソコンでメールを使えるようになる。
*メールを打つときの「マナー」を知る。
–件名を書く。
–自分の名前(や肩書)を書く。
–添付ファイルを付けるときにはメール本文には「送り状」を書く。
2)ウェブを使って情報収集ができるようになる。
*授業のHPを活用して復習する。
3)ワードなどのソフトを使って文書を作成できる。
「情報リテラシー」の力が、
21%21%21%21%
54%54%54%54%
16%16%16%16%
2%2%2%2%7%7%7%7%
1111 2222 3333 4444 5555
1. 身についた。
2. だいたい身についた。
3. わからない。
4. あまり身につかなかった。
5. まったく身につかなかった。
ちなみに、HPを活用したか?
13%13%13%13%
28%28%28%28%
38%38%38%38%
10%10%10%10%
11%11%11%11%
1111 2222 3333 4444 5555
1. 十分に活用した。
2. 復習テスト前などには活用した。
3. 何度か見たことがある。
4. あまり見ていない。
5. いまだに見ていない。
「日本語で論理的な文章を書く力の基礎」
1)「哲学的に考えるための方法」を受講し、ウェ
ブで復習する。
2)「レポートの書き方」を受講し、ウェブで復習
する。
3)実際にレポートを書いてみる。
「日本語で論理的な文章を書く力の基礎」が、
9%9%9%9%
46%46%46%46%33%33%33%33%
7%7%7%7%5%5%5%5%
1111 2222 3333 4444 5555
1. 身についた。
2. だいたい身についた。
3. わからない。
4. あまり身につかなかった。
5. まったく身につかなかった。
第3セッション
「医療と社会」
まとめ
PTSDの歴史(内海)
<PTSDの診断基準>
• 再体験・回避/麻痺・過覚醒(中核3症状)
→1ヶ月以上の持続。
*「心が傷ついた」というようなものではない。
<PTSDの歴史>
• 鉄道事故、戦争などの大惨事後に「発見」。
• 新たな「病気」が流布することの政治的、社会的背景。
生殖技術と生命倫理(渡部)
1111....生殖細胞生殖細胞生殖細胞生殖細胞のののの形成形成形成形成・・・・受精受精受精受精・・・・発生発生発生発生
2222....生殖技術生殖技術生殖技術生殖技術
3333....出産前診断出産前診断出産前診断出産前診断
4444....産産産産みのみのみのみの親親親親とととと遺伝学的遺伝学的遺伝学的遺伝学的なななな親親親親
5555....ES細胞細胞細胞細胞・・・・クローンクローンクローンクローン
*生殖補助医療、出生前診断から「遺伝子改造」へ。
優生思想と生命倫理(山口)
• 遺伝子改造を是認する思想:「新優生学」
• そもそも「優生学」とは?– ダーウィン進化論をもとに、「人類の遺伝的改良」を行おうとする思想。
– ナチスのみならず、アメリカや日本でも盛んに唱えられた。
– 優生保護法:1996年まで。
• 1960~70年代、市民運動の高まりの中で「悪の思想」「エセ科学」に。
• 1990年代以降、「新優生学」の台頭。
→なぜ自分自身でなく子供を改造したいのか?
第3セッション「医療と社会」
「病気になることは自然現象」、「子の幸せを思うのは親の当然の愛情」といった「常識」が、現代社会特有の価値観に基づくものであることに考えを致す。
• PTSDの「流行」:社会的・政治的状況。
– 「心」を過剰に大切にする風潮。
• 生殖補助医療から遺伝子改造へ。
• 優生思想
– 「優れた人間→優れた社会(国家)」という近代国家観
– 「優れた能力=社会的成功」という自由主義社会
– 「子を思う親の愛情」がそこに取り込まれる。
補足:渡部先生から山口へ質問
• かつて優生学は、遺伝病・遺伝的精神病が減れば社会保障費が減少し各種産業の生産性もあがるため、社会・国家的な観点からは「正しい」思想とされていたと授業で紹介されました。
• つまり国家が国民の健康を”管理”しようとした
ということですね。現在、ガン検診が推奨され、タバコや肥満・アルコールの害が喧伝されています。これも一種の国家による”管理”と言
えるのでしょうか?
山口より回答
• 「健康診断」などは、国家による個人の管理なのか?ということですが、そのとおりでしょう。
• 本来、「病気」というのは自分が調子が悪くなって病院に行く、というものだったのでしょうが、「検診」は、本人が自覚していない「病気」を発見し、それを「治療」することになります。
• それでたとえば「初期のガンが見つかった」という場合、いままで「健康」だと思っていた人が、手術によって、ある意味、かえって具合が悪くなる。(体にメスを入れるのだから、「大怪我をする」のと同じことになる。)
• そのときに、「あなたの健康のためだ」と言われると反論しにくいが、なぜ国家が私の健康にそんなに気を使ってくれるのかというと、私が本格的に病気になったら医療費が高くつく、生産性が低下する、などの理由です。
• 「生活習慣病」という概念がありますが、実はこれは医学からでてきた言葉ではなく、厚生省の「公衆衛生審議会」が名づけた「行政用語」です。
• 国家は、国民が健康であるように、「生活習慣の規範」を定め、それに即した健康な生活をしない人にはペナルティを与えるような仕組みを作っているわけです。
• 「人間の家畜化」に合致する話とも言えるでしょう。
今日の分の「メールでコメント」は、
1)今の質問に対して、「子供を改造したい」「したくない」「社会的に禁止すべきだ」と答えた理由を書く。
2)先週の、「骨髄移植のドナーになるためにDちゃんを生んだ」話について、考えたことを書く。
いずれにせよ、反対意見を考慮して、自分の意見を根拠を示しながら書いてください。
*メールを見て、指名する学生を決めます。
1)子供の「改造」について
まず、先生方の意見:自分の子供を改造したいか?
• 山口:
自分の肉体は改造したいと思うが、子供は別に。子供が幸せになってくれればよいとは思うが、そのために自分が必要以上の努力や費用を掛けたくはない。自分も楽しめる範囲で子供の面倒を見たい。
• 内海先生:
自分のこの変わった遺伝子を残したいので改造はイヤ。
• 長井先生
改造したくない。でも、それは運が良かったということかもしれない。
• 桑原先生:
改造しません。理由:半世紀も生きている私と夫は(夫婦で1世紀を超えている、すごい)、社会で何とかやっていると思っています。だから大丈夫。
• 渡部先生:
遺伝子の改造や、星一徹まがいの「改造の押しつけ」はしたくないが、子供が望む「改造」なら後押ししたい。でも本当は、勉強はちょっと押し付けている。
• 三好先生:
お金をかけずに親のいいとこ取りができるような方法ならしてもいい。
• 小山先生:
改造しておいてほしかった・・・。
なぜ自分自身ではなく、子供を改造したいと思うのか?
学生の意見
• 子供がかわいいから。
• 自分の子供も自分の一部として考えているから。
• とてもすごい能力を自分の子供がもったらとても誇らしいし、お金もたんまり稼いでくれる。
なぜ子供はかわいいのか?
桑原先生のコメント
• 江戸時代に、堕胎や間引きが農民ではよく行われていた事実は、子供を育てるのが人間にとっては当然の愛情、という考え方がなかったことを示しています。
• 子育てが「愛情云々」というようなほのぼのとした状況で議論できる時代は人間にとってはそれほど長い歴史ではなかったと言えます。
長井先生のコメント
• 子に対する親の愛情については、ヨーロッパ史家のあいだでも議論があります。
• 愛情があったかなかったかというよりは、それが前面に出てくる余地があったかなかったか、ということかと思います。
山口のコメント
• 「子供への愛情」は、「2)Dちゃんを産む
かどうか」という問題とも関係しています。
• はっきりしていることは、「Cちゃん問題」
は、少子化が進み、ひとりの子供に過剰な期待と費用をかける先進国ならではの事態であるということでしょう。
つづき
• 現代社会において多くの親は「子供を愛する」のでしょうが、だからといって「子供を愛すべきだ」ということにはならない。
• いずれの時代においても「子供を愛していた」かどうかは分からない。
• 現在における「規範」への反省的まなざしを持つことが大切でしょう。
「子どもはかわいい」ということについて、
35%35%35%35%
31%31%31%31%
34%34%34%34%
1111 2222 3333
1. ヒトという動物として当然の本能だと思う。
2. 社会的・文化的な価値観だと思う。
3. 子供はかわいいにせよ、過剰なまでの期待や投資をするのは少々異常だ。
なぜ子供はかわいいのか?(2)
長井先生のコメント
• 遺伝子改造について、「自分はしないが、人がするのを妨げない」という意見がけっこうありました。
• でも、その逆に「人にはしてほしくないが、自分はしたい」とは思わないでしょうか。競争社会で勝ち抜くために、です。自問してみると、自分の心の闇を見るようで、恐ろしいのですが。
山口のコメント
• 「能力を付ければ幸せになれる」というのは「職業選択の自由」が保障された、「競争社会」なればこそ。
• 競争することを是とするような(資本主義的・アメリカ的な)価値観そのものが問題ではないでしょうか。
つづき
• しかも自由主義社会では、いろいろ金を
かけ手間をかけた子供は巣立ってどっかへ行ってしまう。
• 「新優生学」は、自由主義社会が生み、肯定し、結局それに裏切られる思想であるといえよう。
「競争社会」について、
67%67%67%67%
33%33%33%33%
1111 2222
1. 努力して勝った者が利益や幸福を得るのは当然だ。
2. 努力して勝った者だけが幸せになる仕組みはおかしいのではないか。
「競争社会」について(2)
27%27%27%27%
33%33%33%33%
32%32%32%32%
9%9%9%9%
1111 2222 3333 4444
1. 自分は勝ち抜ける!
2. 負けそう。
3. 既に負けている。
4. 既に勝ち組である。
なぜ子供が稼いだら自分がうれしいのか?
学生のコメント
• 子供に時間とお金を費やすのは自分だから、
費やした分、見返りを得たいという気持ちが生じる。
桑原先生より
• 鎌倉時代の武家において「悔い返し」が「御成敗式目」にも規定されていたことが知られています。
つづき
• これは、親(父母とも)が、一度子供に譲与した資産を、子供(養子実子を問わず)から取り返せるとする規定です。
• ところで、「悔い返し」を実行できる親になるためには、子供に恩を売る必要があります。
• 現代人が感じる「責任」は、この「恩を売る行為」から来ていると考えるのは無理があるでしょうか?
• そのように考えると、人間は、子育ての中で子供に「恩を売って」いると言えるでしょう。
• 究極の「恩義」は、「自分が思う理想の子供にしてやった」、ことになるでしょう。
• 遺伝子改造も、究極の恩を売る行為だというと言い過ぎでしょうか?
山口コメント
頼まれてもないことに自分で勝手にお金を費やしているのだから、見返りは期待できないのでは?
現代社会では子供は大人になるとどっか行っちゃうし。
親は子を、子は自分の子を、と順番ではないか。
ところで長井先生、ヨーロッパで「悔い返し」みたいな親の権限はありましたか?
長井先生の答え
• 家族にかかわる事柄については、地域差がきわめて大きく、また同一国内でも多様性が強いのですが、悔い返しほどまとまって制度化されていたという話は聞きません。
• 贈与の取り消しはいくつかの条件のもとで可能でしたが、少なくともフランスでは近代以前でもかなり限定的だったと言われています。
• 嫁資(花嫁持参金)も、引き揚げられる場合もありましたが、親が子を統御するためにという事例はまれだったと思われます。
「子どもは親に恩返し」について、
51%51%51%51%
23%23%23%23%
26%26%26%26%
1111 2222 3333
1. 「恩返し」として親の面倒をみるのは子として当然だ。
2. 子育ては「恩」ではあるが、恩を返す必要はない。
3. 子育ては「恩」ではない。
山口コメント
• 高福祉国家のように、老後の面倒は家族や子供ではなく社会が見る、という制度を整えている国もあります。
• スパルタのように、子供の養育を親ではなく社会が担うという国もありました。
• 貴族階級は乳母が子育てをしていたようです。
→家族(しかも「核家族化」している)が子育てや老後の面倒をみるという現代の日本社会は必ずしも「当たり前」ではない。
改造すべきでない理由(1)子供の立場から
学生の意見:
• 親の価値観を押し付けることになるから。親の個人的価値観というより、社会的なものでしょう。子供もそれを共有していく可能性が高い。
また、遺伝子改造の場合だけでなく、普通の子育てにおいても親の価値観=社会的価値観が教え込まれるので、遺伝子改造を反対する理由にはならないのでは?
• 生まれる前に運命が決められてしまうから。
山口コメント
遺伝子を操作してもその人の人生における「運命」が決定されるわけではない。
素質を与えることはできるが、それを開花させるかどうかは本人次第。
「努力する性質」も、遺伝的かも…。
• 改造の有無にかかわらず、人は、生まれ持ってきた素質をもとにして生きていく。
• 遺伝子を改造された子供だけが「運命に縛られている」のではない。
• 人は誰しも「自由」に生きられるわけではなく、子供の時は親に従い、大人になったら「社会のルール」に従って生きていくほかない。
• 遺伝子を改造された子供だけが親や社会の価値観に縛られるわけでもない。
自分は自由か?
7%7%7%7%
36%36%36%36%
21%21%21%21%
26%26%26%26%
10%10%10%10%
1111 2222 3333 4444 5555
1. 何ものにも縛られない自由人だ。
2. どちらかというと自由だと思う。
3. どちらとも言えない。
4. どちらかというと社会に束縛されている。
5. 家畜なみ。
学生の意見
•初めから何でもできるなら努力しなくなるから。
渡部先生のコメント
• 今までに考えられなかったような能力を持つ人々が生まれてくる社会ーその人の努力ではなく科学の力でーは、それまでの社会の秩序や道徳、競争の原理が機能しない可能性があります。
つづき
• ですから、「可能な技術ではあるがあえて使わない」という規制ために「社会的に禁止」すべきだと考えます。現在の「核開発」に近いような気がします。
山口コメント
• 核兵器は破壊のためにしか役立たないが、遺伝子改造は新人類の創造や新たな価値観の創造につながるかもしれない。
• 「悪」の可能性も含みつつ、創造の可能性に賭けることで人類は進歩してきたのでは。
改造すべきでない理由(2)長期的な危険性
長井先生のコメント
• 悩みますが、反対です。
• 遺伝子に手を加えたことの影響には、よくわからない部分もあるのでしょう。
• 子どもの代は良くても、数世代経るうちに予想もしなかったようなことが起こらないか、危惧します。
• 作物であれば、栽培地域を厳密に制限するなどできますが(それでも花粉は飛散するでしょうが)、人間にはそのようなことはできません。いずれ人類という種全体の問題にならざるをえません。
• 悩むというのは、遺伝的な病気のケースがあるからです。
• 医学が進歩し将来の悪影響もクリアできればどうか、と問われれば、また悩みますが、なにか感情的・生理的に、首肯できない気がします。
山口コメント
• 「危険性」を理由にした反対意見は、「危険性がクリアできればOKなんだな?」と反論され
たら、返す言葉がなくなってしまいます。
• 「倫理的な問題」が「技術の問題」に解消(矮小化?)されてしまうのです。
• 第1セッションの議論に戻りますが、「感
情的・生理的に首肯できない」という部分が意外と大切なのではないかと思います。
三好先生のコメント• 遺伝子操作は人間にはしていけなくて、何故、植物にはして良いのでしょうか?
• 何故、大腸菌の遺伝子操作をして薬を作る事は良いのでしょうか?
• それを考えると人間なんと傲慢な生き物だなと考えさせられます。
副作用などの危険性が全くないとしたら?
22%22%22%22%
60%60%60%60%
18%18%18%18%
1111 2222 3333
1. 改造してもよい。
2. やはり改造は「気持ち悪い」。
3. 遺伝子改造する人間は傲慢なので改造すべきでない。
改造すべきでない理由(3)社会的影響
学生の意見:
• 先進国と途上国の格差が拡大するから。
→格差の問題はたしかに重大ですね。
• ただ、現状で既に格差社会(国内においても、国家間の関係においても)であり、遺伝子改造の問題の有無にかかわらず、それはそれとして克服すべきでしょう。
• 格差の問題が克服された場合には、遺伝子改造を止める論理は無くなるのだろうか?
学生のコメント
• 障害者に対して、「おまえは生まれてくるべきでなかった」というメッセージを送ることになるから。
山口コメント
1970年代に優生保護法改正をめぐる議
論で、障害者団体は、「胎児条項(胎児の障害を理由にした中絶の合法化)」に、まさにこの理由で反対しました。
改造に賛成する理由
学生の意見
• 障害や病気が予防できるから。
三好先生のコメント• 1)「不良遺伝子を改良し、良いものに改造する」ことと、2)「親の良い遺伝子のみを受け継ぐようにする(遺伝子検査によるデザイナーベイビー?)」とは若干違うような気がします。
渡部先生のコメント
• 思うに1)は、ヒトの遺伝子の改変である(その変化は子々孫々へと受け継がれる)のに対し、2)は胚の選別
です。
• 1)ヒトの遺伝子の改変は、品種改良法におけるGM法であり、2)の選
別は従来法であるといえます。
つづき
• GM法は品種改良を迅速に行う方法であり、改変が行われたヒト(GMヒト)は短時間で別
種へ進化していく可能性があります。
• そうなると別種になったGMヒトは、在来種の
ヒトに対してどのような気持ちをいだくでしょうか?我々がオランウータンやゴリラに感じるような気持ち?
• いずれにしても、ヒトの進化のスピードを急加速させるような遺伝子の改変は行うべきではないと思います。
学生の意見
• 優れている方がいじめなどに遭わないから。
• 他人がとやかく言う問題ではない。
• 障害を持った子供を生むとなると、社会の目を考えてしまうから。
山口コメント
現代社会において「当たり前」とされている価値観を単に是認するのではなく、その背景にある「差別意識」に気づき、改善を図っていくような批判的な視点を持ってほしい。
ここまでの議論を聞いて、
13%13%13%13%
57%57%57%57%
31%31%31%31%
1111 2222 3333
1. 遺伝病の治療のみならず、能力の強化についてもやってもよい。
2. 遺伝病の「治療」のためであればやってもよいが、能力の強化はやってはならない。
3. いずれの場合でも人間の遺伝子改変は行ってはならない。
11%11%11%11%
61%61%61%61%
28%28%28%28%
1111 2222 3333
1. 遺伝病の治療のみならず
、能力の強化についてもやってもよい。
2. 遺伝病の「治療」のためであればやってもよいが、能力の強化はやってはならない。
3. いずれの場合でも人間の
遺伝子改変は行ってはならない。
ちなみに前回は、
2)Dちゃんを産むことについて
反対する理由臓器提供は本人の意思で
学生の意見
• 自分の体を提供する意志のある人こそがドナーとなるべきだ。
長井先生の見解
• これも、悩みますが反対です。
• 骨髄移植に関する法律をよく知らないのですが、意思表示ができないような子どもをドナーにできるのでしょうか。
• 仮にできるにしても、骨髄の採取はそれなりにリスクを伴う行為のはずで、それを子どもに強いるのはためらわれます。
山口コメント
• 臓器移植法改正(2010年7月17日施行)によ
り、脳死状態からの臓器提供について、家族の同意のみで可能になりました。
• 骨髄は生体からの提供なので、日本においては法的規制はありません。(臓器売買の禁止のみ)
つづき
• ちなみにフランスでは「推定同意制」をとっており、臓器提供を拒否していない場合、同意していたと見なして臓器提供者になります。
• 「本人の意思を尊重」というのはアメリカ的価値観であり、フランス(をはじめヨーロッパ諸国)では生命倫理にかかわる問題は社会的に決めるべきだという考え方です。
• 生命倫理を監督する専門の官庁があり、そこで審査されます。
反対する理由(2)カント倫理学的
学生の意見
• Cちゃんを助けるための「手段」とか「道具」のようにしか扱っていない。
渡部先生のコメント
• 両親がDちゃんを道具としてのみ扱って愛情を注がないとも思いませんし、DちゃんもC
ちゃんを助けることができて幸せかもしれません。
つづき
• 私はここでは少し迷っています。私自身はDちゃんを産まないでしょう。
• しかし他の人が着床前診断で免疫の型のあった胚を選んでDちゃんを産む、と言っても別に「とんでもないことをする」とは決して思いません。• 現在の技術・法律ともにDちゃんを産むことの障害にはなりませんので、私は他の人がDちゃんを産むことを受け入れます。• もっともこのようなことが出来るのは、世界中のほんの一握りの国なのでしょうが。
山口コメント
• Cちゃんが死んでしまいそう(あるい
は死んでしまった)ので、「子孫を残したい」ということで単にもう一人産んだとしたら、どう考えますか?
• それも子孫を残すための「手段」?だとしたらすべての子供は「手段」では?
賛成する理由
学生の意見
• Dちゃんにも愛情を示してあげれば
よい。
→産んだ以上は、ほとんどの人は(本能的に)愛情を注いでしまうのではないですか。
つづき
• ただし、「愛情を注ぐべき」という発想に転化しないほうがよい。事実として多くの親は子供に愛情を注ぐが、その事実から「注ぐべき」という道徳的命題が正当化されるわけではない。(いわゆる「自然主義的誤謬」)
• そもそも、愛情は感情で、感情は意志的にコ
ントロールできないので、愛情を感じられないときに「愛情を感じるべきだ」と言われたって感じるようにはならない。
桑原先生の見解
• 私たちは自分の行動が「究極の恩を売る行為」であるか否かを考えて行動することが大事だと言えるのではないかと思います。• 自分は子供に恩を売りたいかを考えてみるということです。• Dちゃんの人権、子供の人権という発想も大切かと思いますが、親の行動とそこから発生する権利という観点から少し考えてみました。
つづき• 自分の子供が苦しむ姿は病気であれ、一般的な悩みであれ、親としてはつらいものです。• 20年間親をやっている私の偽らざる感情として、実際私は過保護な母です。• だから、救う可能性があるなら、親としてできることをやってみたい気になります。• 江戸時代なら、単に「あきらめる」しかなかったことについて、現代は、「あきらめる」ことを人間に選ばせる時代になりました。
山口の見解
• 「危険な」ことを言うと、うちの母は5人きょうだいだったが、終戦直後、母の妹(私の叔母)が赤痢になった。• そのとき医者いわく、「ストレプトマイシンを入手できれば治るが、大変なお金がかかる。5人もきょうだいがいますからね、どうしますか?」
…という戦略で人類は五万年
やってきたんだと思います。
つづき
• もちろん、「だからCちゃんを助けなくても
よい」などというつもりは全くないですが、「人の命は地球よりも重い」というような
スローガンが流布し、「命を守るためだったら何をしてもよい」→「他人の命を削ることさえかまわない」という言説に異議を唱えにくい状況になっているのであれば、それはグロテスクな状況というべきでしょう。(臓器移植のことなども考えている。)
つづき
• 繰り返しになりますが、「Cちゃん問題」
は、少子化が進み、ひとりの子供に過剰な期待と費用をかける先進国ならではの事態であるということでしょう。
• もちろん、だからといって「Cちゃんを助けなく
てよい」ということにはなりませんが、少なくとも自分たちが前提にしている価値観(努力・自由・自己決定・子供は愛すべき・命は何より貴重)などの観念が、現代社会特有のものだということを自覚したほうがよいでしょう。
ここまでの議論を聞いて、あなたがAさんBさんであった場合、どうしますか?
11%11%11%11%
12%12%12%12%
49%49%49%49%
9%9%9%9%
19%19%19%19%
1111 2222 3333 4444 5555
1. 遺伝子検査をしてDちゃんを産む。
2. 検査はせずにもう1人
産む。
3. 産まずにドナーを探しまくる。
4. 特に何もしない
5. ドナーとしてではなく、単にもう一人産む。
25%25%25%25%
15%15%15%15%
44%44%44%44%
9%9%9%9%7%7%7%7%
1111 2222 3333 4444 5555
1. 遺伝子検査遺伝子検査遺伝子検査遺伝子検査をしてをしてをしてをしてDちゃんをちゃんをちゃんをちゃんを産産産産むむむむ
2. 検査検査検査検査はせずにもうはせずにもうはせずにもうはせずにもう1
人産人産人産人産むむむむ
3. 産産産産まずにまずにまずにまずにドナードナードナードナーをををを探探探探しまくるしまくるしまくるしまくる
4. 特特特特にににに何何何何もしないもしないもしないもしない
5. そのそのそのその他他他他
ちなみに前回は、
今日の授業は、
39%39%39%39%
35%35%35%35%
18%18%18%18%
5%5%5%5%4%4%4%4%
1111 2222 3333 4444 5555
1. 有意義だった。
2. どちらかというと有意義だった。
3. ふつう。
4. どちらかというと意味がなかった。
5. 意味がなかった。
自分は今日の授業に
34%34%34%34%
25%25%25%25%
16%16%16%16%
21%21%21%21%
4%4%4%4%
1111 2222 3333 4444 5555
1. 集中して取り組んだ。
2. どちらかというと集中していた。
3. ふつう。
4. どちらかというと不真面目な態度(居眠り、内職、放心)だった。
5. 不真面目な態度だった。