8
Y. Yamanaka

今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養 …...Y. Yamanaka 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養塩分布 深層水形成のメカニズム

  • Upload
    others

  • View
    4

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養 …...Y. Yamanaka 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養塩分布 深層水形成のメカニズム

Y. Yamanaka

今週のポイント

全海洋規模の深層循環と水温や栄養塩分布

深層水形成のメカニズム

深層水形成と深層循環

Page 2: 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養 …...Y. Yamanaka 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養塩分布 深層水形成のメカニズム

Y. Yamanaka

海水の約70%を占める深層水は、ごく限られた海域、グリーンランド沖と南極大陸周辺、において

海面で冷却された水が沈降し、世界中に拡がることで形成されている。[Stommel & Arons, 1958]

で導かれているようにどのような流れ分布をしているかは古くから知られていたが、一般向けに

大胆に粗略化して示したBroecker[1985]以来、この循環をBroecker's Conveyor Beltと呼ばれる

ようになった。

90W 0 90E 180 90W 0

90N

Eq.

90S

60S

30S

30N

60N

現在の大西洋・太平洋・インド洋・南極海の間をつなぐ海洋循環

表層水

深層水・底層水Greenland SeaIceland SeaNorway Sea

Weddel Sea Ross Sea

Page 3: 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養 …...Y. Yamanaka 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養塩分布 深層水形成のメカニズム

Y. Yamanaka

海底におけるポテンシャル温度[℃]

北大西洋から北太平洋の等密度面[σ4]におけるポテンシャル温度[℃]と塩分[psu]

Page 4: 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養 …...Y. Yamanaka 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養塩分布 深層水形成のメカニズム

Y. Yamanaka

渦度バランスから推定される海洋深層循環の水平流速分布

グリーンランド沖

ウェッデル海

生成域→西岸境界流・南極周極流→極向き流れ・湧昇(内部領域)

[Stommel & Arons,1958]

∂w∂z=βv f

海底

極向き地衡流

湧昇深層水は上層に抜けてゆくので∂w/∂z 必ずプラスとなる(少なくても海底付近)。

渦柱が伸びて惑星渦度の減少を補うように、f を増すように極向きの流れとなる。

Page 5: 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養 …...Y. Yamanaka 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養塩分布 深層水形成のメカニズム

Y. Yamanaka

南極大陸周辺における底深層水形成

大陸棚

乱流対流

大陸斜面 深い谷に沿った沈降

海底エクマン層による輸送

不安定による渦輸送

ポリニアにおける冷却

重たい水が大陸斜面に進入しても、地衡流の関係から斜面を真っ直ぐに下ることが出来ない。そのため、いくつかのメカニズムが提案されている。

底層水の下降流のメカニズム水温[℃] 塩分[psu]

ウエッデル海における水温・塩分断面

Page 6: 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養 …...Y. Yamanaka 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養塩分布 深層水形成のメカニズム

Y. Yamanaka

北大西洋深層水[North Atlantic Deep Water,

NADW]の形成過程

600

450

850

2

1

1

3

3

5

5

10

15

entrainment

NEADW(Northeast Atl. Deep Water)

NWABW(Northwest Atl. Bottom Water)

LSW(Labrador Sea Water)

北太平洋深層水は、深い対流や斜面降下の際のエントレイメントなどを経た3つの起源の水が混ざって形成される

密度[σ2]

溶存酸素[ml/l]

デンマーク海峡の断面

は、流量[Sv]を示す

Page 7: 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養 …...Y. Yamanaka 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養塩分布 深層水形成のメカニズム

Y. Yamanaka

北大西洋 北太平洋南極海

表層

深層

全海洋規模の栄養塩分布に関する概念図

生物ポンプ

海洋循環

高濃度

低濃度

リン酸塩、硝酸塩、ケイ酸塩などの栄養塩は、海洋循環によって深層から表層に運ばれる。栄養塩は、そこで生物生産によって消費され、有機物の形で沈降粒子として深層に運ばれ、深層で栄養塩に戻る(これを生物ポンプと呼ぶ)。栄養塩の鉛直分布は、このように決まる。北大西洋から北太平洋に深層循環が流れていくうちに、上から降ってきた有機物が溶けてゆくので、栄養塩濃度が高くなる。

海面を離れてからの時間↑(水塊の年齢)

栄養塩濃度↑溶存酸素濃度・Δ14C↓

これから、深層における海流の向きやおよその速さが分かる

Page 8: 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養 …...Y. Yamanaka 今週のポイント 全海洋規模の深層循環と水温や栄養塩分布 深層水形成のメカニズム

Y. Yamanaka

100[cm/s]

2[cm/s]

5[cm/s]<1[cm/s]

500m

100km 5000km

深さ

大洋の東西幅西岸境界層

2km

100km 5000km

深さ

大洋の東西幅西岸境界層

西岸境界流北

亜熱帯循環

中規模渦深層循環

流量:50[Sv]

流量:10[Sv]

~30[cm/s]

~10[cm/s]

50~400km海面

海底

海洋循環の流速と流量のオーダー

1[Sv](スベルドラップ)= 106[m3/s]