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小規模プールの衛生管理について
東京都多摩小平保健所
生活環境安全課
環境衛生第一・第二担当
1
小規模プールとは
• プール等取締条例 都内市町村(八王子市及び町田市除く)
–目的
プールにおける公衆衛生の向上及び安全の確保
• 許可、届出対象の「プール」 –容量50㎥以上の貯水槽
–公衆に水泳または水浴をさせる
• 「小規模プール」 –容量50㎥未満の貯水槽
–公衆に水泳または水浴をさせる
「プール」に準じた設備や管理が望まれる
2
小規模プールの特徴
• 多くは幼稚園や保育園
• 利用者は乳幼児
–安全面での注意(ケガ、溺水)
–衛生面での注意(感染症)
–思いがけない行動
• プール水の管理が手作業
–汚れやすい(ろ過機がない)
–塩素管理(自動注入機がない)
3
小規模プールの管理運営
• 遊泳者への注意
–健康状態のチェック
–遊泳前、遊泳中、遊泳後
• プールの管理
–遊泳前の点検
–プール水の消毒
–プール日誌の記録
4
遊泳者への注意
5
健康状態のチェック
• 当日の体調チェック
–連絡帳
–保護者からの連絡
–頭痛・発熱・下痢・吐き気・嘔吐・咳・鼻水
–発疹・中耳炎や外耳炎・結膜炎 など
遊泳の可否を決定
6
遊泳前の身体洗浄
• トイレを済ませる
• 腰洗い槽※ (遊離残留塩素濃度50~100mg/L)
または、おしりをよく洗う※
• 汗や汚れを洗い流す※
※ 温水が望ましい 7
遊泳中の監視
• 事前に監視場所から死角がないか確認する。
• 監視者は監視に専念することが望ましい。
–プール活動の指導者と役割分担
–監視と水泳指導は別が望ましい。
• 全域をくまなく監視する。
–目線を規則的に動かす
–視野に入っていても見えていないことがある
–動かない園児はいないか
8
遊泳後の感染症予防対策
• 身体の洗浄:シャワー、うがい、洗顔、洗眼
• タオルは共用しない
• 健康状態の確認:ケガ、発熱、目の充血等
• 水分補給、十分な休憩
9
プールの管理
10
遊泳前の点検
• プール本体・プールサイド –清掃
– タイル等のはがれ
–鋭利なものが落ちていないか
(素足になって、園児目線でチェック)
–排水口
• 水張り –深さ
–水温
–濁り、異物 11
準備するもの
• プール日誌
• 毛布、タオル、救急セット
• 緊急時の連絡手段、連絡先一覧
• 塩素剤、塩素測定器、計量カップ等
12
塩素濃度の測定器
DPD試薬 水質試験紙
13
プール水の消毒
塩素剤の投入
遊離残留塩素濃度の測定、確認
遊泳開始
1 mg/L になるように調製
遊泳中は0.4 ~1 mg/Lを保つ 14
塩素濃度 (mg/L)
微生物の種類
0.10 チフス菌、赤痢菌、コレラ菌、ブドウ球菌
0.15 ジフテリア菌、脳脊髄膜炎菌
0.20 肺炎双球菌
0.25 大腸菌、溶血連鎖球菌
0.41 アデノウイルス(プール水使用)
残留塩素濃度の維持の意義
15~30秒間で微生物を不活化する残留塩素濃度
東京都立衛生研究所ウイルス研究科:研究年報
15
塩素消失の原因
• 汚れ
–汗、垢、鼻汁、唾液、髪の毛、尿、土、落ち葉等
• 日光
• 空気中への拡散
プールの大きさ 屋内か屋外か 直射日光の有無 天候、気温 遊泳者数 年齢構成
塩素の消費状況は異なる こまめに測定して特徴をつかむ
16
塩素濃度の変化(一例)
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
2.0
2.2
9:25 9:35 9:45 9:55 10:05 10:15 10:25 10:35 10:45 10:55 11:05 11:15 11:25
時間
塩
素
濃
度
(
m
g
/
L
)
塩素
塩素
塩素
塩素
塩素
塩素
塩素消失は早い → 遊泳中の塩素追加投入が必要
17
日なたと日かげにおける 残留塩素濃度の変化
図3 直射日光の影響(ジクロロイソシアヌル酸)
0.0
0.3
0.6
0.9
1.2
1.5
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80
経過時間(分)
残留塩素濃度
(ppm
)
日向
日陰
円形ビニールプール
(容量約300リットル)を使用
日なたの方が早く
残留塩素が減る
※天気が良いほど、入る人数が多いほど残留塩素は早く減ってしまいます。 18
日陰でのプール
19
塩素剤の投入量
• 必要な塩素剤の量(g または mL)
• プールの水量
四角いプール = 縦の長さ×横の長さ×深さ
円形のプール = 半径×半径×3.14×深さ
注意:単位をそろえること
プールの 水量(㎥)
× = 100 ×(目標濃度- 現在の濃度(mg/L))
塩素剤の濃度(%)
20
条件 ・6%の次亜塩素酸ナトリウムを使用 ・現在の残留塩素濃度 0.2mg/L
塩素剤の投入量(例)
4m
6m
0.2m
=64(mL)
4.8(㎥) × 100 ×(1.0 (mg/L) - 0.2(mg/L))
6(%)
21
【塩素剤投入量一覧を作っておき、以後はそれを活用】
測定時の残留塩素濃
度(mg/L)
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
残留塩素濃度1mg/Lに
するために追加する
塩素剤の量( mL)
80
72
64
56
48
40
32
24
16
8
0
残留塩素濃度を1.0mg/Lにするには?
・6%の次亜塩素酸ナト リウムを使用
4m
6m
0.2m
塩素剤の投入量(例)
22
塩素剤投入時の注意点
• 濃度が均一になるように
–バケツ等に溶かしてから
–金属製の容器は錆びる
• 複数の異なる薬剤の混合禁止
–塩素ガスの発生
• 誤飲防止
–ペットボトルやコップを使用しない
–錠剤を入れた容器の取扱い
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塩素剤の保管
• 施錠
–園児の手が届かないところ
• 冷暗所
–室温20℃以下、低湿度、直射日光が当たらない
• 保存期間
–常温で半年保管で濃度半減
24
塩素剤の種類 • 次亜塩素酸ナトリウム NaClO
–液体 アルカリ性 ピューラックス など
–使用期限1年
• 次亜塩素酸カルシウム Ca(ClO)2
–固体 中性 ハイクロン、南海クリヤー等
–水濡れ注意
• 塩素化イソシアヌル酸 –固体 酸性 ネオクロール、ハイライト等
顆粒剤:溶解性に優れる
錠剤:徐々に溶解、濃度が持続(園児が触らないよう注意)
混ざると爆発
25
塩素剤の例
26
プール日誌
日付、天候
気温、水温
人数
担当者名
遊離残留塩素濃度
塩素濃度測定時間
塩素投入量
事故、ケガ
その他管理記録等
施設の対応記録が残る 塩素消費の傾向がわかる 27
【プール管理】 【遊泳者管理】 点検
水張り
塩素の調整
トイレを済ませる
遊泳者の健康チェック
汚れを落とす
水温チェック
【監視】
健康状態 安全確認
塩素剤追加
残留塩素濃度測定
水抜き・清掃 感染症の予防対策
遊泳者の体調確認
ない ある
する しない
遊泳中止 遊泳
残留塩素濃度0.4 mg/L以上 適宜
チェック
小規模プール管理フローチャート
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まとめ
東京都 多摩小平保健所 生活環境安全課 環境衛生第一担当(小平市、東村山市、清瀬市担当) 環境衛生第二担当(西東京市、東久留米市担当)
電 話 042-450-3111(代表)
ファクシミリ 042-450-3261
• 遊泳前後の身体洗浄
• プール水の塩素保持
• 園児から目を離さない
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