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人材育成におけるプログラミング教育の位置付け等
に係る調査結果報告書
平成28年4月25日
内閣官房情報通信(IT)総合戦略室
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目次
1.背景および目的 ...................................................................................................................... 3 2.ヒアリング・調査方法 ............................................................................................................ 4 (1)有識者へのヒアリング ...................................................................................................... 4 (2)委託調査.......................................................................................................................... 4
3.ヒアリング・調査から得られた結果......................................................................................... 4 3-1.プログラミング教育の位置付け......................................................................................... 4 (1)プログラミング教育を通じての学びをより効果的にするための前提 .................................... 4
① 課題に対してチャレンジし続ける力 .................................................................................. 5 ② 異なる意見を認識・許容し、対話する力(コミュニケーション力) .................................... 5
(2)若年層に対するプログラミング教育の重要性の増大 ........................................................... 5 ① 高度な IT 利活用社会における基礎スキルの醸成 ................................................................ 5 ② 今後の社会に必要な「論理力」と「思考力」の醸成 ........................................................... 6 ③ 高度 IT利活用人材の育成基盤の構築として ...................................................................... 6
3-2.年代別に見たプログラミング教育のポイント ..................................................................... 7 (1)チャレンジし続ける能力、対話する能力を含めたプログラミング教育の進め方 ................... 7 (2)論理力、思考力の視点から見たプログラミング教育の進め方 .............................................. 8 (3)年代別に見たプログラミング教育のポイント ..................................................................... 9
3-3.プログラミング教育の現状と課題 ..................................................................................... 9 4.今後の方針(案) ................................................................................................................. 10 (1)調査結果を踏まえた各省のプログラミング関連施策の推進 ............................................... 10 (2)関係省庁と連携し、地方等における効果的な導入支援のサポート ..................................... 10 (3)高校生以上を含め、今回調査対象外とした社会人(大人)のIT利活用環境等の調査........ 10
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1. 背景および目的
近年の経済社会において、デジタル化、IT 利活用の高度化が急速に進展し続けており、近い将来にお
いては、“第4次産業革命”と言われる、全てのモノがインターネットに接続され、IoT や AI を活用す
る時代が到来すると言われている。また、日本の労働人口の約半分が AI やロボットで代替可能になる
ことも予測されている。このような中、高度な IT 利活用社会(超スマート社会)の到来を念頭に、今後
5~10 年先を見通すと、産業・雇用構造において大きな変化が生じ、その中でも各層の人材においては、
IT を理解し、利活用する能力が重要になってくるものと考えられる。
特に、このような高度な IT 利活用社会においては、一定数の突出した能力を有する IT人材や、新た
な産業をリードする高度な IT 人材が必要となることに加え、将来を担う世代である若年層、現行の世
代である各業界における就業者層、また、高齢者を含む一般国民層など、それぞれの層において、今後
の高度な IT 利活用社会に向けた IT に係る能力を醸成するための取組が必要になると考えられる。
その中でも、特に将来のこのような高度 IT 利活用社会を担うことになる若年層に対しては、プログ
ラミング教育を初めとする IT を活用する能力を醸成することが重要と指摘されている。具体的には、
「世界最先端IT国家創造宣言」(平成27年6月30日閣議決定)において、「初等・中等教育段階に
おけるプログラミングに関する教育の充実に努め、IT に対する興味を育むとともに、IT を活用して多
様化する課題に創造的に取り組む力を育成することが重要」とされているところである。
このような中、我が国の将来を担う創造的な人材については、言語・数量・情報スキルなどの「基礎
力」、問題解決/発見/想像力・批判的思考力などの「思考力」、自律的活動力・社会参画力などの「実践
力」からなる、いわゆる「21世紀型能力(スキル)」1が重要とされている。また、上述の通り、IT利
活用社会の更なる高度化が見込まれる中、若年層に対するプログラミング教育を推進するにあたっては、
ITを通じて独創的な発想を実現することができる人材(イノベーションを起こす高度なソフトウェア
をデザインできる人材、情報セキュリティ分野など最先端技術の実践的スキルを持った人材など)や、
他産業・分野の専門家と融合・協働し、イノベーティブな事業やサービスを企画、実装できる人材等、
IT利活用社会をけん引していく高度IT人材が求められており、まずは、これらの時代に求められる
能力におけるプログラミング教育の位置づけ・役割を明確化するとともに、現状と課題を把握すること
が前提になる。
このような問題意識の下、本調査報告書は、IT 総合戦略室(事務局)において、若年層に対するプロ
グラミング教育に関して、有識者へのヒアリングと、調査機関によるプログラミング教育関係団体(民
間教育事業者、NPO法人、財団法人等)を中心に調査を行うことにより、プログラミング教育の位置
1 なお、「21世紀型能力(スキル)」については、国際的には、上述の高度 IT 利活用社会を念頭に組
み込んだものなど、いくつかバリエーションがあるとともに、最近では、1)「何を知っているか、何
ができるか(個別の知識・技能)」、2)「知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断
力・表現力等)」、3)「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びに向かう力、人
間性等)」と分けるなどの議論もある(文科省の学習指導要領に係る議論等)。
若年層 就業者 高齢者
今回の調査の対象
業界×IT利活用力向上 今後の重要性大 全体の利活用力底上げ
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づけ、年代別に見たプログラミング教育のポイント、現状と課題に関し、とりまとめたものである。
“第4次産業革命”に向けた人材・教育の在り方については、現在、政府全体において議論がなされ
ているところであるが、IT 総合戦略室としても、本調査結果や今後の更なる取組を通じて、政府全体の
政策立案に貢献していくものとする。
2. ヒアリング・調査方法
本報告書は、上述の通り、IT 総合戦略室(事務局)において、有識者ヒアリング、委託調査を実施し、
それらの結果を、報告書としてまとめたものである。 (1)有識者へのヒアリング
IT 総合戦略室において、プログラミング教育の現状や目的、効果、課題等について、有識者12
名(産業界、大学有識者、高校での実践者、プログラミング塾、ジャーナリスト等)に対して個別ヒ
アリングを実施(2016 年 2 月~3 月)。
(2)委託調査
IT 総合戦略室から、外部調査事業者を通じ、2016 年度に実施した調査事業“ 「プログラミング
教育」の実施状況に関する現状調査”において、プログラミング教育関係(民間教育事業者、NPO
法人、財団法人等)の59団体に対してプログラミング教育に関するアンケート(書面回答)を実施
するとともに、深堀り/補強調査を行うために上記民間教育事業者のうちの7団体に対して個別ヒ
アリングを実施。
※ なお、公教育については文部科学省で調査検討中であることから、今回の調査では、それ以外
(民間教育事業者等)を重点的に調査した。
3. ヒアリング・調査から得られた結果
3-1.プログラミング教育の位置付け
(1)プログラミング教育を通じての学びをより効果的にするための前提
有識者へのヒアリングにおいては、IT の利活用により新たな創造価値を作る人材を育成してい
くにあたっては、単にプログラミング教育を行うだけでは不十分であり、特に、プログラミング教
育においてより効果的に実践するための「前提」として、以下の二つの能力が重要であることが多
く指摘された。
この二つの能力は、プログラミング教育をより効果的にするためだけではなく、21世紀型能
力・スキルとしても重要な能力であり、これまでも様々な教育機会によって伸ばすための取り組み
が実施されてきたが、今回の調査によって、プログラミング教育の中でもさらに強化される力であ
ることが新たな知見として得られた。
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① 課題に対してチャレンジし続ける力
プログラミング教育においては、「ただ単純にコーディングができる人材」を創出するためのプ
ログラミング教育ではなく、「常に自らが考え、行動し、失敗や挫折を繰り返しながら成長していく
ことが出来る人材を育成していく」ということが重要である。
さらに、常に実社会との繋がりを意識し、どのように課題を解決し、役立つかといった「本質」
を理解し(動機づけ)、その上でプログラミングを学ぶことで、課題の構造について理解がより深ま
ることにつながる。そして、プログラミングを始めとするテクノロジーの特徴として、これまでの
実験や調査などの仮説検証の活動サイクル(仮説→検証→失敗→再び仮説→検証を行うサイクル)
に比べて、比較的短時間で効率的に回すことが可能になっている。この特性を活かすことで、課題
の解決に向けた仮説検証の活動サイクルを回していく中で、“自らの失敗を恐れず、課題に対して
前向きにチャレンジし続ける”ことが可能となる。
② 異なる意見を認識・許容し、対話する力(コミュニケーション力)
チームで課題解決に取り組む際、異なる意見や対立を強引に一つにまとめるのではなく、「意見
の違いを理解し、許容できる力」、「意見の相違点や同一点について対話した上で妥結点を見つけ、
意見を合意形成する力」が重要である。例えば、プログラミングの作り方・組み方が異なっていて
も、処理効率やコードの読み易さなどの観点によって、正解が一つではないことを理解すること、
そして、ある課題を解決する際に「正しい方法は何か?」という正解を探すための議論をしたりす
るのではなく、「どうやって解決していくか?」という解決策についての議論を進め、他人からの
異なる意見を受け入れ、合意形成を行う力を持っていることである。また、この力は取り組みの中
でも身に付けていくことが出来るようになると考えられる。
(2)若年層に対するプログラミング教育の重要性の増大
有識者へのヒアリング結果等を踏まえると、今後の高度 IT 利活用社会において、プログラミング
教育は、21世紀型スキルを取得する観点から見ても、以下の3点において重要性が増すものと考え
られる。
① 高度な IT 利活用社会における基礎スキルの醸成
高度な IT 利活用社会、特に IoT 時代と言われるように全てのモノがネットに接続されるような
社会においては、全ての職業、全ての生活場面において IT が利活用される社会となる。このため、
このような高度 IT 利活用社会において職業に従事し、生活をしていくためには、これらの社会の
基盤となっている IT、すなわちプログラミングによって構築されるソフトウェアに係る基礎知識
を理解していることが、社会を理解し、社会で生きていくための前提となる。 特に、今後の社会においては、農業に従事するにせよ、工場や医療機関に従事するにせよ、また、
デザイナーなどとして独立して事業を行うにせよ、いずれにせよ IT を利活用することが不可欠に
なり、IT を理解し IT と共に働くことが求められる。そのような社会においては、自らプログラミ
ングを行う必要は必ずしもないものの、ツールとして活用する IT が、どのようにして動いている
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のを理解することは不可欠であり、そのために、プログラミングの基礎について学ぶことは、国民
の基礎スキルと位置付けられるものと考えられる。また、高度な IT 利活用社会においては、一般
国民においてもセキュリティに係る基礎知識が必要となるが、その前提としてそもそもの社会基盤
としての IT の仕組みであるプログラミングの基礎について理解している必要がある。
② 今後の社会に必要な「論理力」と「思考力」の醸成
プログラミングとは、その構成要素の性質上、「A ならば B」といった論理の組み合わせによっ
て構築されるものである。したがって、プログラミングによってプログラムを構築するという作
業は、その論理を組み合わせることによって、コンピュータにある目標を達成させる(=課題解
決)という作業を行わせるものである。また、その際、プログラミングによって当該目標を達成
させるためには、思考の力で推論を立て、論理の力で推論を検証しながら、その試行結果と論理
的に組み立てたプログラミングを試行錯誤しつつ取り組む、という作業を行うことになる。 このような観点から、プログラミング教育は、単にプログラムを作るという能力を醸成するだ
けではなく、論理力と思考力のサイクルを繰り返していく中で、課題解決に導く能力を醸成させ
るとの意義があると指摘されている。実際に、文献調査やアンケート・ヒアリング調査によると、
現在、多くの民間教育事業者等によってプログラミング教育が行われており、その内容は提供す
るコースによって育てたい人材や狙いは多様であるものの、いずれにせよ幅広いコース・イベン
トで、受講生はプログラミングスキル以外の能力、すなわち、21世紀型能力(スキル)である
課題解決力、論理力、思考力の獲得、さらに、課題解決に向けた創造力やものづくり意欲の向上
が、効果として表れているとしている。そのため、プログラミング教育は、全般的に、論理力、思
考力の向上を通じた課題解決力に、大きな効果があると考えられる。
図1:課題解決に向けた思考と論理との関係 2
③ 高度 IT 利活用人材の育成基盤の構築として
今後、IT 利活用社会の高度化が進展していくにつれ、自らプログラミングを行い、社会の基盤
となるシステムを構築していく高度 IT 利活用人材の必要性は、益々増大してきている。また、そ
2 参考:「はたして、論理は発想の敵なのか」(東京大学大学院教授 野矢茂樹)DHBR2016 年 4 月号
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の高度 IT 利活用人材としては、近年関心が高まっている人工知能(AI)を活用する人材だけでな
く、自ら人工知能を構築するような先端的なトップ人材、あるいは、ITを活用して全く新たなイ
ノベーションを起こすような突出した人材も求められる。具体的には、さらに実践を積むことで
ITを利活用し、物事の多様化・効率化などを図ることで、これまでに無かった新たな財やサー
ビスの創出に活かすことができる可能性を有しており、個人の独創的なアイデアなどを用いて社
会全体の変革を引き起こしたり、さまざまな新産業分野を融合させることでイノベーションを創
造したりする人材も求められている。更には、近年、サイバーセキュリティに対応できる高度な
人材も求められている。 しかしながら、若年層に対するプログラミング教育は、必ずしもこのような高度 IT利活用人材
を育成することを直接的に目的にしたものではなく、プログラミングに慣れ親しみ、関心を持つ
子供、若者の層を増やすことによって、将来のこのような高度 IT利活用人材の育成の基盤となる
ものとして位置付けられる。そして、関心を持った者が、より高度かつ実践的なプログラミング
スキルを取得することによって、高度な IT 利活用人材として育っていくものと位置付けられる。
なお、より高度かつ実践的なプログラミングスキルに関しては、社会に出てから学ぶ者、大学に
入ってから学ぶ者、若いうちから独学で学ぶ者など多様な形態が考えられるが、一方、ITを活用
して全く新たなイノベーションを起こすような人材の多くは、若い時にプログラミングに触れて
いる者が多いとの指摘もある。 なお、このような高度 IT 利活用人材においても、もちろんテクニカルなプログラミングスキル
も重要ではあるが、それだけではなく上記②で述べたような、論理と思考を通じて課題解決する
という能力を併せ持つことが重要になる 3。
3-2.年代別に見たプログラミング教育のポイント
(1)チャレンジし続ける能力、対話する能力を含めたプログラミング教育の進め方
有識者へのヒアリングから得られた結果及び委託調査結果に基づき、“プログラミングの年代別
の難易度”と“言語分類(テキスト/ビジュアル)”、“プログラミング教育を実行する場”を軸に
して整理すると、図2のように纏められる。 まず、プログラミング教育を始める際には、ビジュアル言語が容易であり、次のステップとし
てテキスト言語となるケースが多い。 また、小学校低学年では「(初めて)触れる場」としてのプログラミング教育があり、「楽しい」
と感じられることを軸に組み立てられていることが多い。生徒は「楽しみ」の中で、アルゴリズ
3 例えば、近年関心が高まっている人工知能(AI)を活用し、「正しく」論理力を発揮させるために
あたっても、①まず、“課題が何であるかを正しく認識・設定”し、②次に、“その課題を解決するた
めの仮説を考え“、③最後に、“その仮説=解決方法が正しい、あるいは効果があることを検証する”
というプロセスを踏むことが重要になり、そして、検証を行うにあたって、「どのような情報を」イン
プットし、「どのような方法で」AI を使えば、より早く正確に検証を実現できるかを理解している力が
重要になってくると考えられる。 したがって、AI には出来ないこととされている“与えられている情報だけでは解決できない問題に
対して、仮説を立てる”という力が重要であることは勿論のこと、ここまでに述べてきた、“論理から
思考へ、そして思考を検証するための論理へ“、というプログラミングに取り組むことによって得ら
れる思考の型も、とても重要なスキルになると考えられる。
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ムや、ロジック(構造的なプログラミング)を理解する。次に、小学校高学年以降になると、“課
題”が与えられる、または、身の回り等から自ら見つけ出し、それらの課題をテクノロジーで解
決していくケースが多くなる。そして、中学生以上になると、“チームで課題を解決する”ことが
重要となり、中でも、チームメンバー間の対話能力、具体的には「自分の意見・考えを表明し、異
なる意見のメンバーが居れば対話し、妥結点を見出していく力」が重要なポイントとなる。 “課題”については、実生活等、身近な所に存在する課題とすることで、社会との繋がりを作り、
課題を解決することが周りから評価される、という観点も重要なポイントとなっている。 また、前提として、小学校高学年以上においては、“課題を解決するために何度もチャレンジする
力”が、中学生以上ではそれに加えて“対話する力”が重要となる(これらの前提となる力がな
いままに課題解決型のプログラミング教育を行っても得られる効果は小さいと考えられる)。
図2:年代別の教育内容と難易度
(2)論理力、思考力の視点から見たプログラミング教育の進め方
この論理力と思考力という考えを上記の図2をベースに考えると、小学校低学年における「“楽
しい”を軸にした」触れる場としてのプログラミング教育は、論理力の基礎について、プログラ
ミングを通して学び、慣れる機会と考えることが出来る。また、ビジュアル言語を通して学ぶこ
とによって、論理力の理解がプログラミング以外の方法に比べて、より容易に(まさにビジュア
ル的に)理解することが可能になっていると考えられる。 さらに、小学校高学年以降においては、「課題解決」に取り組むことは、「仮説を立て、自ら検
証する=シミュレーションや試行錯誤を繰り返す」という論理と思考の往復を繰り返すことを学
ぶことができる機会であると考えられる。この点において、プログラミングあるいはテクノロジ
ーを活用することは、「仮説→検証」のサイクルを、より高速に(効率的に)何度も実践できる(シ
ミュレーション・検証を行うことが容易である)という大きなメリットがある。このような観点
を図2と重ねてまとめたのが、図3になる。
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図3:年代別のプログラミング教育における獲得スキル
(3)年代別に見たプログラミング教育のポイント
上記の議論を踏まえると、年代別の前提、教育内容、獲得スキルについては、以下のように整
理することができる。
図4:年代別のプログラミング教育のポイントと獲得スキル <小学校低学年> <小学校高学年> <中学生以上>
※小学生を低学年と高学年に分けるにあたっては、環境や個人差が大きいことに留意する必要がある 3-3.プログラミング教育の現状と課題
“ 「プログラミング教育」の実施状況に関する現状調査”においては、これまでに述べてきたプログラ
ミング教育についての内容・獲得能力等の実態調査以外に、事業展開エリアについても調査を行った。
その調査結果に基づくと、上記の3-2(1)で整理した図2(年代別の教育内容と難易度)の各領域
における、学校以外でのプログラミングの教育機会は図5のとおり整理され、首都圏と大都市部に全体
の7割が集中していること、高校生以降の難易度の高くない(初級者向け)の学習環境が少ないことが
確認された。また、東京近郊が日本の中では最も展開が進んでいる地域だが、社会の認識としては、大
阪・名古屋・福岡などの大都市で東京から1年くらいの遅れ、その他の地域は2年以上の遅れが出てい
る。さらに、社会人や成人に対するプログラミング教室が少ないことも分かってきたため、「そもそも成
人が IT の利活用に関して学ぶ機会が不足しているのではないか?」という懸念もある。
”楽しい”を軸に ”前提/目的、社会との繋がり”を軸に
ビジュアル言語
テキスト言語
コミュニケーション能力
アプリ/ソフト
組み込み系
アプリ/ソフト
組み込み系
難易
度
小1〜3 小4〜6 中1〜3 高等〜 社会人
ビジュアル言語
テキスト言語
アプリ/ソフト
組み込み系
アプリ/ソフト
組み込み系
• 実践的な内容をチームで
• 評価は実際の利用者から
触れる場 自ら探し、自ら学ぶ場
論理力基礎論理力
思考力
ビジュアル言語でのアル
ゴリズム学習を通じて、
ビジュアル的に論理力の
基礎を身につける
ビジュアル言語やテキス
ト言語を通じ、あらかじ
め設定された課題に対
し、解決するために推論
を検証していく過程で論
理力を身につける
身近な課題を自ら探
し、思考力により推論
を立て、論理力によっ
て推論を検証していく
中で課題を解決する力
を身につける
“楽しい”を軸に、触れる場 社会との繋がりを軸に、自ら探し、学ぶ場
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図5:プログラミング教育機関の普及度合い 4. 今後の方針(案)
これまでに述べてきた整理と課題を踏まえ、IT 総合戦略室として以下の3点を実行する方針である。
(1) 調査結果を踏まえた各省のプログラミング関連施策の推進
本調査で得られた知見等を活かし、プログラミング教育が高度IT人材の着実かつ効果的な育成
を見据えたものとなるよう、今後各省で実施される施策を調整し、推進する。
(2) 関係省庁と連携し、地方等における効果的な導入支援のサポート
地方におけるプログラミング教育(クラウド利用型プログラミング教育実施モデル)の推進・横
展開を容易に行える仕組み作りを総務省と連携し、サポートを行う。
(3)高校生以上を含め、今回調査対象外とした社会人(大人)のIT利活用環境等の調査
「高校生以上を含めた社会人が IT を活用するための環境等」についての調査等を行う。具体的に
は、高度 IT 人材(創造的 IT 人材育成方針)の「IT を生活やビジネスに活かすことが出来る人
材」と「他産業・分野の専門家と融合・協働し、イノベーティブな事業やサービスを企画、実装
出来る人材」に関しての調査や、産業構造の変化に対応し、理系人材の再教育(リカレント教育)
を通じた高度 IT 利活用人材の育成などの各分野での産業人材の育成に必要なスキルや学習機会
等の調査を行う。
難易
度
小1〜3 小4〜6 中1〜3 高等〜 社会人
社会人(大人)向けの調査が必要
地方はまだまだ少ない(小学生5コース、中学生5コース)
首都圏(27コース)に集中※大都市
(16コース)
首都圏(53コース)と
大都市(23コース)で増加
首都圏(26コース)に集中
※大都市(14コース)
首都圏(89コース)と大都市(24コース)で
増加
※首都圏:東京、神奈川、千葉、埼玉 大都市:中部、近畿、九州の大都市