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大学院インターンシップ計画系 WG 報告書 2011 4 18 産学連携建築教育連絡会議 *1 大学院インターンシップ計画系 WG *3 *1)本会議は、士会連合会・JIA・日事連・BCSJSCAJABMEE・日本建築学会・全建教 *2 からの推薦 委員により構成される。また国交省がオブザーバー参加している。 *2)全建教は全国建築系大学教育連絡協議会の略称である。全国の大学連合であり、日本建築学会内に ある。 *3WG構成 主査:安田幸一(東京工業大学教授/全建教)、委員:有賀 隆(早稲田大学教授/全建 教)、猪里孝司(大成建設㈱設計本部パブリシティグループグループリーダー/日建連)、倉田直道 (工学院大学教授/全建教)、近藤 昇(近藤総合計画事務所代表/JIA)、定行まり子(日本女子大 学教授/全建教)、坂東保則(㈱川崎設計代表取締役/士会連合会)、村松弘治(㈱安井建築設計事 務所東京事務所設計部長/日事連)

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大学院インターンシップ計画系 WG 報告書

2011 年 4 月 18 日

産 学 連 携 建 築 教 育 連 絡 会 議*1

大学院インターンシップ計画系 WG*3

*1)本会議は、士会連合会・JIA・日事連・BCS・JSCA・JABMEE・日本建築学会・全建教*2からの推薦

委員により構成される。また国交省がオブザーバー参加している。

*2)全建教は全国建築系大学教育連絡協議会の略称である。全国の大学連合であり、日本建築学会内に

ある。

*3)WG構成 主査:安田幸一(東京工業大学教授/全建教)、委員:有賀 隆(早稲田大学教授/全建

教)、猪里孝司(大成建設㈱設計本部パブリシティグループグループリーダー/日建連)、倉田直道

(工学院大学教授/全建教)、近藤 昇(近藤総合計画事務所代表/JIA)、定行まり子(日本女子大

学教授/全建教)、坂東保則(㈱川崎設計代表取締役/士会連合会)、村松弘治(㈱安井建築設計事

務所東京事務所設計部長/日事連)

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大学院建築系インターンシップに関する産学間での共通認識と柔軟な共通書式についての提案

大学建築系学科・大学院建築系専攻 御中

2011 年 4月 7日

産学連携建築教育連絡会議・意匠系 WG

1. インターンシップの現状と問題点

1-1. インターンシップの施行と共通認識の欠如: 2008 年 11 月の建築士制度の改正に伴い、

2009 年度から大学院での実務経験を認定する際には建築設計・工事監理に関するインターンシッ

プによる単位取得が必須となり、現在すでに各大学と設計事務所はインターンシップを施行して

います(*1)。全建連の調査によりますと、学生を派遣し指導する立場の大学側と学生を受け入れ

て実習を実行する設計事務所側、つまり産学間でインターンシップの考え方に乖離が存在し、ま

た大学によっては取得単位数と就業時間の関係も異なる場合も見受けられ、大学間においてもイ

ンターンシップの目的や認識、書類の書式等が異なっていることが判明しました。産学間および

大学間でのインターンシップに対する考え方に相違が生じないことは、すなわちインターンシッ

プに参加する学生自身に混乱を起こさないことにつながります。

1-2. 学生と受入先設計事務所とのマッチングの状況: 現在、学生が受入先設計事務所を決

定する際に、学生が所属している研究室の指導教員が設計事務所へ連絡するケース、大学内のイ

ンターンシップ事務局が設計事務所との連絡窓口を一本化しているケース、あるいは学生自身が

独自で直接事務所と連絡を取って承諾を得るケースなど大学によって様々なマッチングの方法が

存在します。また、近畿支部、神奈川県のように四団体等のインターンシップ窓口に大学から学

生と設計事務所のマッチングを依頼しているケースなど、大学や地域によってマッチングの方法

が異なっています。

1-3. 実務経験年数の考え方: インターンシップの本来の考え方は、100%の就業時間を使用

して実務年数分をカウントするべきです。ところが、大学院インターンシップの制度は、短時間

の実務訓練によって、実務年数に換算してもらう一種の特別な扱いによって実務年数をカウント

してもらえる柔軟な制度となっています。すなわち、大学院を修了し設計事務所に就職した人材

は、比較的早期に設計チームのリーダーとしての活躍が期待されているため、実務年数を免除し

てもらっていると考えて良いわけです。このように、大学院のインターンシップ制度は「特別な

扱い」であることを学生及び大学は改めて認識する必要があります(*3)。

1-4. 共通書類の必要性: ともすると大学側は、インターンシップを「報酬の無いアルバイ

ト」と間違った認識をもって学生を送り出している場合も見受けられます。インターンシップ受

入先の設計者は、経験の乏しい学生の教育にも多大な時間を費やしています。新しい人材を育英

するという大きな責務を背負いながら一生懸命実務を学生に教えています。現状では、大学側か

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らの申込み書類や評価の書式もバラバラで統一されていないため、受入側にこれ以上事務的な時

間を浪費させることを避けなければいけません。

2. インターンシップの理念と目的

2-1. インターンシップの理念: 学生が在学中に自らの専攻や将来の職業選択に生かすため就

業体験を行うこと、つまり実務実習*2です。学生、大学、設計事務所の立場によってそれぞれが

異なったメリットがあり、それぞれが得たものがより良い社会形成につながります。

2-2. 大学におけるインターンシップの位置付け: 本来、建築系の大学院教育は、研究、実験、

授業等を通して、建築の専門知識の習得、かつ建築全般に通じる幅広い知識を得て、豊かな建築

に対する学生独自の思考を熟成させる場であり、学生が自身独自の目的に合致した学生生活を送

ることを主眼としています。それ故、インターンシップ制度の採択はあくまで学生の裁量にゆだ

ね、大学側が推薦あるいは強要するものでは決してありません。また、インターンシップ関連科

目の扱いは現在各大学によって異なり、そのシラバス作成や運営にあたっては大学の自主性を尊

重しなくてはなりません。一方、実務経験年数の設定や評価制度は大学間で不公平感が生じない

よう配慮すべきと考えます。

2-3. 学生側のメリット: 特に将来建築設計者をめざす大学院修士課程・博士課程に在籍する

建築系の学生側にとってのメリットは、学習意欲を喚起し、高い職業意識を育成するとともに、

建築設計に対する理解の増進に資することです。

2-4. 大学側のメリット: 学生を送り出す依頼側の大学側のメリットは、学生が大学内で得る

ことのできない実務実習を行うことによって人間的に成長することを期待しています。

2-5. 設計事務所側のメリット:一方、学生の受入先である設計事務所側のメリットは、企業の

社会的責任としての実社会経験の場を提供し、社会に貢献すること、建築設計業に対する理解を

促進することをめざすことにあります。

2-6. 大学側・設計事務所側のメリット: 大学・設計事務所双方のメリットは、社会と大学と

の関係強化とその維持、人材交流をめざすものであります。

3. インターンシップ共通書式

3-1. インターンシップ共通書式のメリット: 現在、前述したように大学・設計事務所によ

って異なったインターンシップの運営がなされていることもあり、独自の書類が使用されている

状況下にあります。大学の独自性を尊重する一方で、インターンシップで使用される書式(フォ

ーマット)を共通化することによって、受入先である設計事務所側の書類の整理分類が簡便にな

り、評価方法の規準化により学生が公平な評価を受けられ、データの共有化により学生の単位取

得状況の情報の共有化など様々なメリットが生じます。

3-2. インターンシップ書類の流れと共通書式: マッチングを四団体等の地域窓口へ依頼する

場合(書類の流れ・その 1)と大学窓口が直接設計事務所と交渉してマッチングする場合(書類

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の流れ・その 2)に大別できますが、どちらの場合でも書式の統一は受入側である設計事務所に

とって大きなメリットがあると考えます(*4)。また、学生から大学窓口、受入先設計事務所、四

団体インターンシップ窓口へ書類が流れる場合、申込みから単位認定まで同じ書類が使用される

ことにより、容易な書類管理が可能になります。この頭書きに相当する書式のイメージは、意匠

(計画)分野のみならず、構造、設備、まちづくり、ランドスケープ等他の分野のインターンシ

ップ申込みから評価までの書類に常に添付されることを考えています。この申込みの頭書き及び

評価のシートを各系に共通の書式として、意匠、構造、設備等でより詳細な作業内容がその二つ

の共通書式の間に挟まれているというまとめ方を考えています。さらに、今後の国際化にも対応

し、UIA 等諸外国のインターンシップ制度との調整、日英並記の書類作成も考える必要があると

考えます。

以上を踏まえ、大学院建築系インターンシップの産学間での共通認識を確立し、インターンシ

ップ共通書式を作成し、インターンシップ制度の柔軟な運営を前提にその実施要領を改めて来年

度定めていくことを提案いたします。

以上

(*1)国土交通省は 9月 2日、大学院の実務経験の扱いについて定めた告示 1313 号を公布した。これを受け、建

築技術教育普及センターが 10 月 17 日に「大学院における実務経験の審査基準(案)」として運用の詳細をまと

めた。従来通りに実務経験 2 年(1 年)と認められるには、大学院在学中に最低で 14 単位(8 単位)以上のイン

ターンシップの単位取得が必要になった。

(*2)建築技術教育普及センター「大学院における実務経験の審査基準」による。実務経験とは、実務実習と関

連科目履修を合わせたものである。参照:http://www.jaeic.or.jp/kkaisei_daigakuin_itiraninfo.htm

(*3)実務経験要件について「教育や研究 を実務経験に含まないのであれば、大学院におけるインターンシップ

を実務経験に含めるのはおかしいのではないか。」という質問に対し、国土交通省は「社会資本整備審議会建築

分科会基本制度部会のとりまとめ(平成19年12月)を踏まえ、設計・工事監理等に関する業務についての実務訓

練と同等となる内容を充足している場合は、大学院におけるインターンシップを実務経験に含めることとしてい

ます。」と答えている。

(*4)別図参照

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①受講申込み ③受入側設計事務所記入

建築系インターンシップ共通データシート(基本案) 年 月 日

大学院名 大学大学院 研究科 専攻

学籍番号

氏名(フリガナ)

写真添付

授業科目

取得単位数 単位

生年月日 年 月 日 (4月1日現在 歳)

国籍

携帯電話 固定電話 e-mail

氏名 続柄

自宅電話

* 現住所と異なる場合のみ記入

電話番号

指導教員名 氏名 連絡先

資格・免許

Mac ・ Windows BIM

PC/CADスキル Ward ・ Excel ・ PowerPoint ・ 2D/3D-CAD( )

その他ソフト( )

希望する研修期間

希望する設計分野 意匠 ・ 計画 ・ 構造 ・ 設備(環境)・ まちづくり(都市計画)・ランドスケープ

1 アトリエ系設計事務所

2 組織系設計事務所

3 建設会社設計部

4 構造系設計事務所/構造系施工会社設計部

5 設備系設計事務所/設備系施工会社設計部

その他希望事項

自己アピール、など

インターンシップ期間中の住所

希望する受入れ先特に希望がない場合は記入しない

性別

現住所

保護者の住所 (帰省先)

年 月 日 から 年 月 日 までの ( )日間

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③受入委託 ④インターンシップ実行 ⑤実施報告 ⑥レポート(図面・模型写真は別紙添付)⑦単位認定・評価

インターンシップ・研修記録・実施報告シート(基本案)

週 時間数確認欄 備考

【プロジェクト名およびプロジェクトのどの段階に関わったか】

【トータル研修時間】 【生活態度】 【協調性】 【研修意欲】 【総合評価】

時間 A ・ B ・ C ・ D

指導建築士 氏名 事務所名 住所 〒 連絡先

【指導建築士コメント】

自己評価欄

A ・ B ・ C ・ D A ・ B ・ C ・ D A ・ B ・ C ・ D

評価の基準 A:極めて優れている B:優れている C:研修目的を達成している D:研修目的を達成できていない

研修時間 研修内容(具体的に)

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意匠・計画分野 研修内容

1 事前調査 敷地調査、敷地周辺環境調査、敷地実測、法規制調査等

2 基本計画

3

4 基本設計

5

6 実施設計

7

8

9 確認申請

10 監理

11

12 その他

13

14

施工管理業務の補助

各種診断、報告書づくりの補助

外構計画・設計、ランドスケープデザインの補助

希望する研修内容第1志望◎第2志望○第3志望△特に希望がない場合は記入しない

図面、敷地模型、エスキース/模型等の作成

コンペ・プロポーザル応募の補助

基本設計業務の補助 設計図・プレゼンテーション用図面作成補助

基本設計業務の補助 設計プレゼンテーション用パース・模型等の作成

実施設計業務の補助 設計図・プレゼンテーション用図面作成補助

実施設計業務の補助 設計プレゼンテーション用パース・模型等の作成

工事見積書、数量計算書作成の補助

確認申請業務の補助

現場監理業務の補助

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② 受入先マッチング

B D

大学窓口 四団体

① ⑥ ⑦

受 レ 単 ③受入委託

講 ポ 位 ⑤実施報告

申 | 認

込 ト 定

A C

学生 受入側

④インターンシップ実行 (設計事務所)

書類の流れ その1(四団体がマッチング協力の場合)

B

大学窓口

②受入委託

③受入先マッチング

① ⑥ ⑦

受 レ 単

講 ポ 位 ⑤

申 | 認 実施報告

込 ト 定

A C

学生 受入側

④インターンシップ実行 (設計事務所)

書類の流れ その2(大学が直接マッチングする場合)