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整形外科・リハビリテーションセンター
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目次
1.はじめに
1-1.ごあいさつ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
1-2.担当ドクター紹介・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2. なぜ膝が痛くなるのでしょう?~変形性膝関節症とは?~
2-1.膝のしくみ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2-2.変形性膝関節症について・・・・・・・・・・・・・・・・・4
2-3.運動の有効性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
3.当院の外来リハビリテーションの仕組み・・・・・・・・・・・・・6
4.運動前後の評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
5.リハビリテーションプログラム
5-1.ストレッチ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
5-2.筋力トレーニング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
6.おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
整形外科・リハビリテーションセンター
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1.はじめに
井上 雅之いのうえ まさゆき
1ー1. ごあいさつ
このパンフレットは、変形性膝関節症(膝OA)に対する外来リハビリテーションに通われる患者様に、リハビリテーションの流れやトレーニング内容についてまとめたものです。また、変形性膝関節症とは何かを知っていただくため、膝のしくみや運動の効果などについて簡単に説明してあります。リハビリ開始前から読んで頂き、外来リハビリ終了後も活用していただければ幸いです。またリハビリに通う際は、このパンフレットをお渡ししますので必ずご持参ください。治療の経過には個人差があり、リハビリテーションの予定を若干変更することもあります。不明な点があれば、いつでも主治医、理学療法士、看護師にご相談ください。
1ー2. 担当ドクター紹介
島本しまもと
亀田かめだ
整形外科部長 医師 医師
整形外科・リハビリテーションセンター
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2. なぜ膝が痛くなるのでしょう
2ー1. 膝のしくみ
膝は、大腿骨(ふともも)と脛骨(すね)と膝蓋骨(ひざの皿)の3つの骨により構成されています。体重を支えるために大腿骨と脛骨は軟骨、半月板などを介してがっちりと接しています。またこれらの骨を靭帯が支え安定した膝関節が成り立っています。それぞれの骨表面は軟骨で覆われています。軟骨は氷よりもつるつるしています。
2ー2. 変形性膝関節症について
スムーズな動きを保つには骨の表面にある軟骨が重要な役割を担っていますが、だんだんと軟骨がすり減り、半月板が傷み、周囲の骨が変化していきます。その軟骨のすり減りによって生じてくる状態を「変形性膝関節症」といいます。悪化に伴い、大腿骨が内側に倒れ膝がO脚となっていきます。
①原因 加齢、外傷(骨折、靭帯などのけが)、肥満、 素因(遺伝)
②主な症状・歩き始めに痛い、階段を降りるのがつらい・膝が腫れる・膝が伸ばしづらい・膝が曲げづらい・O脚が進んで、脚がガクガクする
正常の膝の図
変形した膝の図
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③レントゲンでの進行度の分類。 その進行度は通常、5期(北大分類)に分類されます。
北大分類 レントゲンに写る膝の状態
I期(初期): 骨の周囲が硬化してきたり、骨棘(骨のとげ)ができてくる
II-III期(進行期): 少しずつ軟骨のすり減りがみられる。関節の隙間が減少する
IV-V期(末期): ほぼ軟骨はすり減ってしまって、骨と骨がぶつかって見える
Ⅰ期 ⅡーⅢ期 Ⅳ期 Ⅴ期
ⅣーⅤ期の状態は変形が進行しているので、人工膝関節置換術の適応となります。一方、Ⅰ−Ⅲ期の方は保存療法で治療していくことが多く、その内容は以下の通りです。
1)日常生活での指導 2)温熱療法や冷療法 3)薬物療法(内服薬、関節内注射) 4)装具療法 5)運動療法
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2ー3. 運動の有効性 ~運動をするとなぜ良いの?~
膝関節の変形が軽度の方には、変形性膝関節症の危険因子や関節軟骨の破壊程度を十分に認識した上で適切な運動を行うことで、保存療法で変形性膝関節症の自然経過の進行を遅らせ、症状を軽減させる効果が期待できます。
なかでも最も大切なのは、積極的に膝周囲の筋力強化をおこなって “筋肉サポーター” を作り膝関節を安定させることです。膝関節と同時に、おしりまわりの筋(股関節周囲筋)の筋力強化によって歩容の安定と歩行時のあしの垂直化を図ることが大切です。
ももの後面の筋肉(ハムストリングス)が緊張していると、ももの前の筋(大腿四頭筋)に余分な力が必要となり、関節に加わる過度の負荷が疼痛の原因となるので、ストレッチも推奨されます。
膝の痛みを抑えるために抗炎症薬の内服や、関節局所にヒアルロン酸の関節内注射を行うなどの薬物療法はもちろん有効ですが、同時に運動療法を行うことで、効果が増します。
また、正座を避ける、杖をつく、早歩きではなく一歩一歩緩やかに歩く、などの日常生活の方法を工夫することも必要です。
また体重が重いと、それだけ膝への負担は大きくなるので、減量も大事な要素です。
このように、膝に大きな負担をかけないように当リハビリでは患者さんに適切な運動を指導していきます。
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3.当院外来リハの仕組み
月 火 木
9:00-10:00
10:00-11:00
11:00-12:00
膝OAエクササイズ開催時間
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5.リハビリテーションプログラム
1.ストレッチ(ウォーミングアップ):10分
2.筋力トレーニング:30分
3.自転車こぎ:10分
4.ストレッチ(クーリングダウン):5分
毎回のリハビリの流れは以下のようになります。
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5.リハビリテーションプログラム
5-1.ストレッチ
①ももの後面のストレッチ
【目的】ももの後面の筋肉(水色の部分)を伸ばしましょう【時間】15秒をゆっくり2回おこないます(左右)【方法】・脚を下に垂らせるような椅子に座り、片脚を下げます ・背中を真っすぐにのばしたまま、からだを前に倒します【注意点】・背中が丸まらないようにしましょう ・反動はつけずに、ゆっくりとからだ倒していきましょう
~悪い例~背中が丸まっています
~別の方法~脚を下におろす場所がないときは、両脚をそろえて行いましょう
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②ももの前面のストレッチ
【目的】ももの前面の筋肉(水色の部分)を伸ばしましょう【時間】15秒をゆっくり2回おこないます(左右)【方法】・うつ伏せに寝ます ・伸ばしたい方の足首にタオルなどを引っかけて、 背中の後ろで持ちます ・膝が曲がる方向にタオルを引っ張ります【注意点】・反動をつけずにひっぱります ・ももの前面ではなくて、膝が痛くなるときは、 担当の理学療法士に伝えて下さい
~拡大した図~
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③ふくらはぎのストレッチ
【目的】ふくらはぎの筋肉(水色の部分)を伸ばしましょう【時間】15秒をゆっくり2回おこないます(左右)【方法】・壁に向かって立ちます ・伸ばしたい方の足を踵をつけたまま後ろにさげます【注意点】踵が床から離れないようにしましょう(赤丸の部分)
~拡大した図~
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5-2.筋力トレーニング
①脚上げ運動
【目的】おしりの前の筋肉と、ももの前の筋肉をきたえます【回数】20回を2回繰り返します(左右)【方法】・片方の膝を立てて、仰向けに寝ます ・もう片方の脚を上にあげます ・45°まであげたら、その場所で3秒止めます ・もとの位置にゆっくりと戻します【注意点】あげている方の膝は曲がらないように気をつけましょう。
45°
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②脚の横あげ運動
【目的】おしりの横の筋肉をきたえます【回数】10回を2回繰り返します(左右)【方法】・下の脚の膝を曲げて、横向きに寝ます ・上になっている脚を上にあげます ・最大まであげたら、もとの位置に戻します【注意点】あげている脚は踵からあげるように意識しましょう やや後ろの方向へあげるのが良いでしょう(下の写真)
~悪い例~からだの中心線よりも脚が前にあります
~良い例~からだの中心線よりも脚が前後ろにあります
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③まくら挟み運動
【目的】ももの内側の筋肉をきたえます【回数】20回を2回繰り返します【方法】・両膝を曲げて、仰向けに寝ます ・膝のあいだに、まくらや座布団などを挟みます ・まくらを押しつぶすような方向に、3秒間力を入れます ・力を抜きます【注意点】うちももに力が入るように意識しながらおこないましょう
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④まくら押し運動
【目的】ももの前の筋肉(特に膝の真上)をきたえます【回数】20回を2回繰り返します【方法】・膝の下にまくらをいれて、脚を伸ばして座ります ・まくらを膝の下で押しつぶし、足を浮かせます ・その位置で3秒間力を入れ続けます【注意点】・ももの前の筋肉を意識しておこないましょう
~拡大した図~