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新規壺型ナノカーボン物質 「カーボンナノポット」の開発 熊本大学大学院 自然科学研究科 産業創造工学専攻 マテリアル工学講座 准教授 横井 裕之

新規壺型ナノカーボン物質 「カーボンナノポット」の開発 - …...高アスペクト比のメソポアをもつ新規ナノカーボン • 開口端と閉口端を

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新規壺型ナノカーボン物質 「カーボンナノポット」の開発

熊本大学大学院 自然科学研究科 産業創造工学専攻 マテリアル工学講座

准教授 横井 裕之

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容器型ナノカーボンが期待される用途

• 徐放性 –ドラッグ デリバリー システム(DDS) –徐放性製剤 –徐放性農薬

• 捕捉性 –毒素吸収

• 比表面積 –スーパーキャパシタ用電極材料

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既存の容器型ナノカーボン物質とその問題点

• カーボンナノホーン – 特徴

• 直径2〜5nm、長さ40〜50nmのツノ状ナノナーボンの球状集合体

– 期待される用途 • ドラッグ デリバリー システムの担体 • 燃料電池 など

– 問題点 • ナノ粉体のため大気下では扱いにくい • 内部空間の直径が小さすぎて、内包物が有効に放出されない場合がある http://jpn.nec.com/info-

square/innovators/s_iijima/02.html

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高アスペクト比のメソポアをもつ新規ナノカーボン

• 開口端と閉口端を もつ壺型ユニット – 典型的サイズ

• 外直径:20〜40 nm • 内直径:5〜30 nm • 長さ:100〜200 nm

• ファイバー状に連結して生成 – 典型的な長さ

• 20〜100 µm • 壺型ユニットが数百個連結

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新規ナノカーボン物質の特徴

• グラフェン層で構成 • 層数がユニット内で大幅に変化

– 開口端側は数層 – 閉口端側は数十層

• 複雑な構造のナノ物質 – グラフェン端が縮径中空胴部の外面に密集

• 単体分離が容易 – アスペクト比が10程度のメソポアを持つナノ容器

• 「カーボンナノポット」と命名

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合成方法

• サブマリン式基板加熱法 (特許第5428066号) – 有機液体(炭素原料)中に合成用チャンバーを沈降

– チャンバー底面は開放 – チャンバー内は気相を維持 – 高い温度勾配 – 急冷が容易

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合成チャンバーの構成

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カーボンナノポットの合成条件

• 有機液体(炭素原料):2-プロパノール • 触媒前駆体:酢酸鉄-酢酸コバルト • 触媒担体:酸化グラフェン • 合成温度:800〜860℃ • 合成時間:10分

酸化グラフェンの構造モデル 触媒担持酸化グラフェンのAFM像

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成長モデル

A: 触媒金属 B: 酸化グラフェン C: 炭素原子 D: シリコン基板 E: カーボンヒーター

• 根元成長 • グラフェン類触媒担体と生成物の間を触媒金属が繰り返し往復

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実用化に向けた課題

• 現在、特異的な構造と、高純度で生成できる条件が解明された段階。収量の向上が今後の課題である。

• 今後、合成チャンバーの設計や触媒、有機液体の検討により、収量の向上や構造制御を図っていく。

• 実用化に向けて、まずは電気伝導特性やセンサー特性などを調査して行く。

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企業への期待

• 構造や収量等に関して実効的な開発目標と計画を立てるために、カーボンナノポットの適用が期待されるニーズについて情報をいただきたい。

• 少量のサンプルで評価できる、あるいは量産化段階から協力していただける企業との共同研究を希望。

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本技術に関する知的財産権

• 発明の名称 :(未公開) • 出願番号 :(未公開) • 出願人 :国立大学法人 熊本大学 • 発明者 :横井裕之、松本泰道

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産学官連携の経歴

• 1998年-2002年 旧通産省産業科学技術研究開発プロジェクト「炭素系高機能材料技術」に参加

• 1999年-2000年 旧通産省工業技術院産業技術研究開発課併任

• 2010年-2013年 化学メーカーと共同研究実施

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お問い合わせ先

熊本大学 産学連携ユニット・研究コーディネーター

和田 翼

TEL 096-342 - 3247

FAX 096-342 - 3239

e-mail t-wada@jimu.kumamoto-u.ac.jp

熊本大学 産学連携ユニット・研究コーディネーター

松浦 佳子

TEL 096-342 - 3145

FAX 096-342 - 3239

e-mail y-matsuura@jimu.kumamoto-u.ac.jp