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T.P.+10.0m 避難の丘 T.P.+7.2m T.P.+5.2~6.2m T.P.+3.2m 貞山運河 貞山運河 海岸林 w≒250m~500m 海岸堤防 海岸林 海岸堤防 太平洋 太平洋 農地 農地 震災前 目標 仙台平野の東部沿岸部には、豊かなみどりが形成されていました。仙台藩 祖伊達政宗公の時代から海岸林づくりが始まり、貞山運河を挟んで幅数百 メートルにわたり黒松による海岸林や田園集落を囲む居久根が形成されてい ました。海岸林は潮を含んだ海風や砂の飛散を防ぎ、平野部の農作物や人々 の暮らしを守っていました。居久根もまた家や集落を冬の北風から守り、人々 の暮らしを支えてきました。 震災で失われた緑と新たに整備する住宅地や公園などに植える緑を「仙台東部地域の暮らしと景観を守る『ふるさとの杜』」として、それ ぞれの場所にふさわしい緑をできる限り市民の手で植え・育てていきます。10 年20年30 年と、ひとりひとりの暮らしの中に緑と浜の ある環境が根付いていき、もう一度仙台東部地域の自然を楽しむライフスタイルを創っていきます。 どこに、何を、どのように植えるの? 松林 広葉樹 ■植樹予定樹種 ・ケヤキ ・コナラ ・シラカシ ・クリ ・クヌギ ・エノキ ・アラカシ ・ヤマザクラ ・ヤマハンノキ ・カスミザクラ 抵抗性クロマツ 海側のクロマツが先に成長し、陸側の広葉樹などを海風から守る役割を果たす。 鳥が種を運ぶなどして、実生が出始める。クロマツと広葉樹が少しずつ混じり合い、 地域固有の草本類なども徐々に植樹する。 それぞれ当初の樹種を基調としながらも、混じり合った形の海岸林が形成される。 草本類も程よく成長し、生態系を形成する。広葉樹が葉を落とす時期でも、海側の クロマツと、陸側の常緑樹(シラカシ等)が防風の役割を果たす。 2歳 身長0.90m 樹高0.60m 12歳 身長1.55m 22歳 身長1.75m 樹高7.5m 樹高11.00m プロジェクトの計画期間 居久根の保全・再生 現在残っている居久根の保全 暮らしに沿った居久根の再生 高木が生い茂るこれまでの「居久根」を個人で所有・管理を継続す るのは大変…。集落の暮らしや住まいも変わって、居久根に求め られる役割も変化しています。 「自然の豊かさを暮らしに取り入れてきた先人の知恵」が「居久根」 というカタチになったと捉え、これからの暮らしに沿った新しい居 久根をみんなの手でつくり、次の世代へつないでいく事が必要で はないかと考えます。 (仙台平野「みんなの居久根」プロジェクトのパンフレットより一部引用) 海岸林の成長イメージ 海岸林の多くは江戸時代の集落・農地の 開墾と並行して当時の住民の手によって 植えられてきました。 宮城野区新浜では、昭和13 年に国有地 の払い下げを受けて地域住民が砂防林組 合を結成し、15 年かけて様々な困難を乗 り越えながら松の植林が行われました。 ほぼ完遂した昭和28 年、新浜の人々は 愛林碑(記念碑)を建てました。写真はそ の除幕式の様子です。 東部地域のみどりについて 東部地域のみどりがもたらすもの 防潮・防砂・防風 地域固有の歴史・文化による景観形成 生物多様性保全 レクリエーション・文化活動の受け皿 津波減衰 広葉樹がクロマツの樹高に並ぶようになり、海岸林として、安定する。 東日本大震災 2011 年 3 月11日 西 (陸側) (海側) 西 (陸側) (海側) 西 (陸側) (海側) 海岸林の植樹完成 荒浜といえば、海水 浴場。夏の涼しい風 が通る松林を抜けれ ば、にぎやかな浜が 待っていました。サー フィンや釣りなどのマ リンスポーツも盛ん で、まさに 市 民 の 憩 いの場でした。 震災前の荒浜バス停 屋敷林:居久根(いぐね)も、仙台 東部地域の暮らしには欠かせない ものでした。防風、防砂の役割の 他にも、燃料、食料、目隠し、環 境を調節する機能(日射遮蔽による 気温調整等)など、様々な役割を 果たしていました。ライフスタイル も変わり、居久根のある風景は減 少していましたが、仙台平野に独 特の景観をつくりだしていました。 海、浜、海岸林、湿地、農地が広 がる、みどり豊かな仙台東部地域 は、海浜植物や生き物たちにとっ ても、暮らしやすい場所でした。 震災前の居久根 海浜植物や生き物など はくさせいしょう いぐね 白砂青松と居久根のある田園風景 仙台市民にとって 必要不可欠な共有財産! 「杜の都・仙台」の アイデンティティの 一つでもあります。 震災後概ね30 年をプロジェクトの期間として設定します。10 年ごとに実施状況を振り返り、目標を見直します。 ◀海風 クロジ コウボウムギ ハマボウフウ 防潮・防砂・景観形成・津波減衰 海岸公園 / 海岸林 海岸公園 / 海岸林 交流・レクリエーション / 防潮・防砂・景観形成・津波減衰 かさ上げ道路 東部道路 東部道路 個人宅の緑 (居久根) 個人宅の緑 (居久根) 交流・景観形成・防風 景観形成 緑の主な役割 松林 地区ごとに季節感を演出する緑 / 松林および地域生態系に配慮した広葉樹 杜のイメージ 暮らしに沿った緑 / 集会所等 の公有地 (※本プロジェクトで 植樹する貞山運河より西側(陸側)部分) 約10m の高さの大津波により海 岸林や居久根の大部分は倒され、 流され、残った樹木も塩害により ほとんどが枯れてしまいました。 市民の手で再生された 「ふるさとの杜」 を活用し、次代に伝える! 植樹完了から10 年のふるさとの杜。森林が 成熟、安定へ。集落の庭木等も安定し、中 には暮らしに沿った形の居久根が再生されて いるケースも。 継続的な手入れ作業の実施 杜を活用した企画の実施 除伐 間伐 補植 杜を活用した企画の実施 生物多様性環境の再生 写真提供:仙台市 文化的景観や生態系を維持する地域資産として保全していきます。 ※平山孝氏提供(昭和28 年) 宮城野区新浜 3 がつ 11 にちをわすれないためにセンター提供 撮影:工藤寛之氏(平成12 年) ※髙橋親夫氏撮影・提供(平成13 年) 宮城野区南蒲生 植栽時 10年後 20年後 30年後 植える 育てる 支える 活用する 伝える 連絡会議のネットワークでより多くの 樹木を植え・育てる! 本格的な植樹期間。植えるためのネットワー クを構築、震災後概ね10 年をめどに植樹を 完了させる。また、育てていくための人づく りや活動を支える仕組みづくりも並行して進 める。 植樹会/育樹会の実施 植樹会や育樹会 各団体の緑づくりの活動への参加 育樹の輪で育て、杜と共に、成長する! 本格的な植樹期間を終えて、海岸林や海岸 公園等に植樹した木々が10 年前後になり、 背丈を越える森が形成されるようになる。最 初に植えた木々が風除けの役割を果たすよう になり、防風柵が不要になってくる。集落で は、成長の早い庭木が、風除けや小さな木 陰をつくるようになる。 育樹会の実施による、継続的な手入れ作業 除草 補植 ・ 支える仕組みの運用 剪定 下刈り それぞれの時期に必要な 5 つの力」 第一期 2011年~2020第二期 第三期 2021年~20302031年~2040

東部地域のみどりについて - Sendai · 白砂青松と居久根のある田園風景 仙台市民にとって 必要不可欠な共有財産! 「杜の都・仙台」の

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Page 1: 東部地域のみどりについて - Sendai · 白砂青松と居久根のある田園風景 仙台市民にとって 必要不可欠な共有財産! 「杜の都・仙台」の

▽T.P.+10.0m避難の丘

▽T.P.+7.2m

T.P.+5.2~6.2m

▽T.P.+3.2m

貞山運河

貞山運河

海岸林

w≒250m~500m

海岸堤防

海岸林 海岸堤防 太平洋

太平洋

農地

農地

震災前

目標

仙台平野の東部沿岸部には、豊かなみどりが形成されていました。仙台藩

祖伊達政宗公の時代から海岸林づくりが始まり、貞山運河を挟んで幅数百

メートルにわたり黒松による海岸林や田園集落を囲む居久根が形成されてい

ました。海岸林は潮を含んだ海風や砂の飛散を防ぎ、平野部の農作物や人々

の暮らしを守っていました。居久根もまた家や集落を冬の北風から守り、人々

の暮らしを支えてきました。

震災で失われた緑と新たに整備する住宅地や公園などに植える緑を「仙台東部地域の暮らしと景観を守る『ふるさとの杜』」として、それ

ぞれの場所にふさわしい緑をできる限り市民の手で植え・育てていきます。10年20年30年と、ひとりひとりの暮らしの中に緑と浜の

ある環境が根付いていき、もう一度仙台東部地域の自然を楽しむライフスタイルを創っていきます。

どこに、何を、どのように植えるの?

松林広葉樹

■植樹予定樹種・ケヤキ ・コナラ ・シラカシ ・クリ・クヌギ ・エノキ ・アラカシ ・ヤマザクラ・ヤマハンノキ ・カスミザクラ

抵抗性クロマツ

海側のクロマツが先に成長し、陸側の広葉樹などを海風から守る役割を果たす。鳥が種を運ぶなどして、実生が出始める。クロマツと広葉樹が少しずつ混じり合い、地域固有の草本類なども徐々に植樹する。

それぞれ当初の樹種を基調としながらも、混じり合った形の海岸林が形成される。草本類も程よく成長し、生態系を形成する。広葉樹が葉を落とす時期でも、海側のクロマツと、陸側の常緑樹(シラカシ等)が防風の役割を果たす。

2歳身長0.90m 樹高0.60m

12歳身長1.55m

22歳身長1.75m樹高7.5m 樹高11.00m

プロジェクトの計画期間 居久根の保全・再生 ●現在残っている居久根の保全

●暮らしに沿った居久根の再生

高木が生い茂るこれまでの「居久根」を個人で所有・管理を継続す

るのは大変…。集落の暮らしや住まいも変わって、居久根に求め

られる役割も変化しています。

「自然の豊かさを暮らしに取り入れてきた先人の知恵」が「居久根」

というカタチになったと捉え、これからの暮らしに沿った新しい居

久根をみんなの手でつくり、次の世代へつないでいく事が必要で

はないかと考えます。

(仙台平野「みんなの居久根」プロジェクトのパンフレットより一部引用)

海岸林の成長イメージ

海岸林の多くは江戸時代の集落・農地の

開墾と並行して当時の住民の手によって

植えられてきました。

宮城野区新浜では、昭和13年に国有地

の払い下げを受けて地域住民が砂防林組

合を結成し、15年かけて様々な困難を乗

り越えながら松の植林が行われました。

ほぼ完遂した昭和28年、新浜の人々は

愛林碑(記念碑)を建てました。写真はそ

の除幕式の様子です。

東部地域のみどりについて

東部地域のみどりがもたらすもの

●防潮・防砂・防風●地域固有の歴史・文化による景観形成●生物多様性保全●レクリエーション・文化活動の受け皿●津波減衰

広葉樹がクロマツの樹高に並ぶようになり、海岸林として、安定する。

東日本大震災 2011年3月11日

西(陸側)

東(海側)

西(陸側)

東(海側)

西(陸側)

東(海側)

海岸林の植樹完成

荒浜といえば、海水

浴場。夏の涼しい風

が通る松林を抜けれ

ば、にぎやかな浜が

待っていました。サー

フィンや釣りなどのマ

リンスポーツも盛ん

で、まさに市民の憩

いの場でした。

震災前の荒浜バス停

屋敷林:居久根(いぐね)も、仙台

東部地域の暮らしには欠かせない

ものでした。防風、防砂の役割の

他にも、燃料、食料、目隠し、環

境を調節する機能(日射遮蔽による

気温調整等)など、様々な役割を

果たしていました。ライフスタイル

も変わり、居久根のある風景は減

少していましたが、仙台平野に独

特の景観をつくりだしていました。

海、浜、海岸林、湿地、農地が広

がる、みどり豊かな仙台東部地域

は、海浜植物や生き物たちにとっ

ても、暮らしやすい場所でした。

震災前の居久根 海浜植物や生き物など

はくさせいしょう いぐね

白砂青松と居久根のある田園風景仙台市民にとって

必要不可欠な共有財産!「杜の都・仙台」のアイデンティティの一つでもあります。

震災後概ね30年をプロジェクトの期間として設定します。10年ごとに実施状況を振り返り、目標を見直します。

◀海風

クロジ

コウボウムギ

ハマボウフウ

防潮・防砂・景観形成・津波減衰

海岸公園 / 海岸林

海岸公園 / 海岸林

交流・レクリエーション / 防潮・防砂・景観形成・津波減衰

かさ上げ道路東部道路

東部道路

個人宅の緑(居久根)

個人宅の緑(居久根)

交流・景観形成・防風 景観形成緑の主な役割

松林地区ごとに季節感を演出する緑 / 松林および地域生態系に配慮した広葉樹杜のイメージ 暮らしに沿った緑 桜

/ 集会所等の公有地

河運山貞

(※本プロジェクトで 植樹する貞山運河より西側(陸側)部分)

約10mの高さの大津波により海

岸林や居久根の大部分は倒され、

流され、残った樹木も塩害により

ほとんどが枯れてしまいました。

市民の手で再生された「ふるさとの杜」

を活用し、次代に伝える!

植樹完了から10年のふるさとの杜。森林が

成熟、安定へ。集落の庭木等も安定し、中

には暮らしに沿った形の居久根が再生されて

いるケースも。

継続的な手入れ作業の実施杜を活用した企画の実施

・除伐 ・間伐 ・補植

・杜を活用した企画の実施

・生物多様性環境の再生

写真提供:仙台市

文化的景観や生態系を維持する地域資産として保全していきます。

※平山孝氏提供(昭和28年) 宮城野区新浜 ※3がつ11にちをわすれないためにセンター提供

 撮影:工藤寛之氏(平成12年)

※髙橋親夫氏撮影・提供(平成13年)

 宮城野区南蒲生

植栽時

10年後

20年後

30年後

植える

育てる

支える

活用する

伝える

連絡会議のネットワークでより多くの

樹木を植え・育てる!

本格的な植樹期間。植えるためのネットワー

クを構築、震災後概ね10年をめどに植樹を

完了させる。また、育てていくための人づく

りや活動を支える仕組みづくりも並行して進

める。

植樹会/育樹会の実施

・植樹会や育樹会

・各団体の緑づくりの活動への参加

育樹の輪で育て、杜と共に、成長する!

本格的な植樹期間を終えて、海岸林や海岸

公園等に植樹した木々が10年前後になり、

背丈を越える森が形成されるようになる。最

初に植えた木々が風除けの役割を果たすよう

になり、防風柵が不要になってくる。集落で

は、成長の早い庭木が、風除けや小さな木

陰をつくるようになる。

育樹会の実施による、継続的な手入れ作業

・除草 ・補植 ・支える仕組みの運用

・剪定 ・下刈り

それぞれの時期に必要な

「5つの力」

第一期2011年~2020年

第二期 第三期2021年~2030年 2031年~2040年