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1 J. Illum. Engng. Inst. Jpn. Vol. 100 No. 2 2016 京都国立博物館 平成知新館の照明 京都府 図1 彫刻展示室1階  Fig.1 Sculpture exhibition room 1st floor. 図2 ライトアップ  Fig.2 Façade lighting. 000 照明デザイン-京都府.indd 1 000 照明デザイン-京都府.indd 1 2016/01/26 10:48:20 2016/01/26 10:48:20

京都府 京都国立博物館 平成知新館の照明 - NIKKEI …2 照明学会誌 第100巻 第2号 平成28年 施設の概要 京都駅の東方,三十三間堂の北向いに位置する京都国立

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1J. Illum. Engng. Inst. Jpn. Vol. 100 No. 2 2016

京都国立博物館 平成知新館の照明京都府

図1 彫刻展示室1階 Fig.1 Sculpture exhibition room 1st fl oor.

図2 ライトアップ  Fig.2 Façade lighting.

000 照明デザイン-京都府.indd 1000 照明デザイン-京都府.indd 1 2016/01/26 10:48:202016/01/26 10:48:20

2 照明学会誌 第100巻 第2号 平成28年

施設の概要

 京都駅の東方,三十三間堂の北向いに位置する京都国立博物館平成知新館は,京都の様々なジャンルの国宝や重文級の作品を最新の建築技術を駆使し,安全かつ魅力的に展示するための施設として,既存の明治古都館博物館に並んで建てられた. 設計・施工合わせて16年余りの歳月をかけ,2013年7月に竣工し,1年以上の準備期間を経て2014年9月13日に開館した.

照明デザインの概要

●展示作品重視の照明デザイン 照明デザインは,作品の保護を前提に,作品の魅力を引き出す照明デザインを最重要課題とした.常設展示室でありながら,絵画,彫刻,工芸,金工,染織,書跡,考古,陶器など,豊富な収蔵物を交代で展示するため,それぞれの展示品の魅力を引き出すきめ細やかな光の質を選択できるよう,フレキシブルで高機能の照明設備を整えている. かつ,照明器具は天井内などに隠蔽し建築と一体化し,鑑賞の視覚的ノイズにならないように配慮している(図1,図3~図6).●京都の新しい光のランドマーク 建築ファサードの光は,グランドロビーのインテリアの光が外部にもれて行灯のように光り,夜の京都の新たなシンボルとなるようデザインした.照明器具は建築と一体化し,建築そのものが発光している印象とした(図2).●全面 LED化への取り組み 当初はハロゲン電球や蛍光ランプで照明設計を行ったが,竣工までの間に LED照明が急速に発達したため,LED化検証と設計変更を行うとともに,施工段階まで最新のLED光源を使用した照明デザインおよび器具設計の見直しを繰り返し,すべての展示照明を最新の LED照明によって実現することができた. 空間として光の統一性と展示作品に適した光という観点から,すべての器具の色温度を3500Kに揃えることができたのも,LED化の長所であった.

所 在 地 京都府京都市竣工年月 2013年7月事 業 主 京都国立博物館建築設計 谷口建築設計研究所設備設計 環境エンジニアリング照明設計 岩井達弥光景デザイン資料提供 正会員 岩井 達弥(岩井達弥光景デザイン)     図1~図6:Ⓒ㈱YAMAGIWA     撮影:大川 孔三

図3 工芸展示室 Fig.3 Crafts exhibition room.

図6 考古展示室 Fig.6 Archaeology exhibition room.

図4 染織展示室 Fig.4 Textile exhibition room.

図5 絵画展示室 Fig.5 Pictures exhibition room.

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