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装潢文化財の修理
一般社団法人国宝修理装潢師連盟
平成29年7月13日
選定保存技術保存団体
資料1
1
国宝修理装潢師連盟
加盟工房 12社登録技術者 約130人加盟工房 12社登録技術者 約130人
選定保存技術保存団体
昭和34(1959)年 設立
平成07(1995)年 選定保存技術「装潢修理技術」
その保存団体に認定される
伝統技術講習会 海外専門家との技術交流
定期研修会2
掛軸 襖 屏風
古文書 冊子 巻子
修理の対象:東洋の絵画・書跡等
3
絵画や書跡は絹や紙などの脆弱な材料でできている
絵具の剥離
定期的な修理の必要性
修理が繰り返されることで、数百年残ってきた
何もしなくても経年によって劣化する
折れ 4
大事にしていても劣化は起きる
取扱う際の十分な配慮、重大な劣化が起こる前のメンテナンス公開など活用・継承するためには定期的な健康診断と適切な修理が必要
本紙の欠損等が起きれば、元にはもどらない
絵具の脱落 折れ山の欠失5
修理の周期のイメージ
適切な修理と活用
不適切な修理、保存環境、過度な活用、等
適切な時期に修理されなかった場合
文化財の持つ性質に合わせ、適切な時期に本格的な修理を行わなければ、文化財の価値、寿命を損なうことになる
時間
文化財の価値
経年劣化に合わせた修理の周期=およそ50年
※もっとも脆弱な文化財を想定
6
修理前の調査と記録手術前に行う「健康診断」 「精密検査」
そして、修理方針の決定
7
補絹
本紙のすぐ後ろを支えていた肌裏紙を少しずつ湿しながら除去する。
旧肌裏除去
本紙の欠失している部分を絹で補う。この時使用する絹は人工的に劣化し強度を下げた絹を使用している。
8
修理の事例 国宝 絹本著色千手観音像東京国立博物館所蔵 (平安時代)
修理前 修理後 9
文化財の保存修理を行うに当たって必要な要素(知識・見識)を図示してみました。
保存科学 表装・保存形態
展示・活用
倫理規定
美術史・書誌学・歴史学
『保存修理』修理設計・方針
作品の価値・・・原状と現状
修理後の保存、・・・メンテナンス
材料学
10
人材育成の課題
1.一通りの仕事を覚えるまでに早くとも10年かかる
3.修理の実績を積むことでしか技術は身に着けられない
修理技術者の育成には・・・
2.技術だけでなく、人文・自然科学の知識、説明能力も必要
11
人材育成の課題2
インターンシップの実施 将来の担い手の確保
しかし、少子化による学生数の減少が進む・・・
将来の修理の担い手不足 文化財修理技術の継承ができない
12
4032 35 38 34
2518 15 16 20 19
47
4748
53 56
5757 60 60
59 58
1823
23
23 2325
28 29 3035 33
7 1112
12 1212
13 1717
1616
1~4年 5~10年 10~16年 16年以上
修理技術者(装潢分野)数の推移
経験年数(約)
合計人数 112 113 118 126 125 119 116 121 123 130 126
年度 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28
10年間で若手が半数に
※経験年数は年数の若い順に装潢師連盟資格制度における技師補・技師・主任技師・技師長の人数であり、必ずしも実際の就業年数とは一致しない
後継者不足の実情
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材料・道具の保護の必要性
紙
小麦デンプン糊
刷毛各種
さし 竹ヘラ ピンセット 印刀丸包丁
古糊
紙各種 (用途に合わせ使い分ける)
(小麦デンプン糊を約10年寝かせる)14
修理には時間がかかります修理には専門的な技術をもつ人材と材料が必要ですそして、修理にはお金がかかります
適切な時期に、適切な修理をしなければ、日本の文化財を未来には残せない。
私たちも鑑賞して楽しむことができません。
50年ほどで、修理が必要な時期が巡ってきます
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ご清聴ありがとうございました。
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