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光学放射の曝露限界値に関する指針および電波の指針との接続について
奥野 勉
首都大学東京 大学院 理工学研究科
資料 WG2-4
話の内容と流れ
1. 光学放射について 2. 光学放射による障害 3. 光学放射の有害性の評価方法 4. 光学放射と電波の指針の接続
電磁波
電界
磁界
波長
電界
磁界 進行方向
電磁波のスペクトル
10-6 10-3 10-9 10-12 10-0
106 109 1012 1015 1018
波長（m）
周波数（Hz）
(1 μm) (1 mm) (1 m) (1 nm) (1 pm)
(1 MHz) (1 GHz) (1 THz) (1 PHz) (1 EHz)
電波 ＵＶ ＩＲ Ｘ線 γ線
可視光
光子のエネルギー 大 小
光学放射のスペクトル
波長
周波数
1 μm 1 mm 1 nm
100 GHz
1 THz
1 PHz
電波 紫外放射 赤外放射 Ｘ線
ブルーライト
可視光
光子のエネルギー 大 小
光学放射：Optical radiation
10 THz
100 THz
通常光とレーザー光
通常光 Broadband光 （様々な波長の光を含む）
レーザー光 単一の波長の光
光の発生の状況 光への曝露の状況 の違い 障害の発生の状況
異なった許容基準
光学放射による実際の障害
角膜炎、結膜炎（雪目）、 皮膚炎（紅斑、日焼け）、 白内障、皮膚がん
光網膜症（Photoretinopathy）
白内障
網膜火傷
紫外放射
ブルーライト
赤外放射
可視、近赤外 レーザー光
ヒトの眼の構造
角膜
結膜
水晶体 網膜
光学放射による眼障害
角膜炎
結膜炎
白内障 光網膜症 網膜火傷
熱 IR VL BL
UV
光学放射に関する指針 ICNIRP
(American Conference of Governmental Industrial Hygienists)
• Ultraviolet radiation of wavelengths between 180 nm and 400 nm (incoherent optical radiation)
• Incoherent visible and infrared radiation • Laser radiation of wavelengths between 180 nm
and 1,000 μm
• Ultraviolet radiation • Light and near-infrared radiation • Lasers
TLVs and BEIs
(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection)
ACGIH
照度と輝度
単位面積
単位立体角
光源
光のパワー ＝ 輝度 （Wm-2sr-2）
単位面積
被照射面
光のパワー＝照度 (Wm-2)
【照度】 【輝度】
光源 像 網膜
照度 角膜照度
網膜への可視光の集中
輝度
網膜照度 ∝ 光源の輝度
光学放射の作用の種類
光学放射の 種類 作用の種類 蓄積性 有害性の評価
に係る量
紫外放射 ブルーライト 光化学的作用 あり 照度または輝度
の時間積分値
長波長可視光 赤外放射 熱的作用 なし 照度または輝度
作用スペクトルの例
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
150 200 250 300 350 400
有害
性の
強さ
(相対
値)
波長 (nm)
急性障害に関する紫外放射の基準作用スペクトル (ICNIRP)
Broadband光の波長分布の例
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
150 200 250 300 350 400
分光
放射
照度
(Wcm
-2sr
-1)
波長 (nm)
アルミニウム合金のアーク溶接が発生する紫外放射
Broadband光の有害性の評価
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
150 200 250 300 350 400
分光
放射
照度
(Wcm
-2sr
-1)
波長 (nm)
基準作用スペクトル
波長分布
( ) ( ) λλλ dSIEeff ∫=実効値
( )λS( )λI
基準作用スペクトルの求め方の例
10
100
1000
10000
100000
1000000
10000000
180 220 260 300 340 380
閾値
(J/m
2)
波長 (nm)
Cogan and Kinsey、ウサギ
Pitts and Tredici、ウサギ
Pitts and Tredici、サル
Pitts、ヒト
Zuclich and Connolly、サル
Pitts, et al.、ウサギ
Kurtin and Zuclich、サル
Cullen and Perera、ヒト結膜
波長ごとの許容値 (ICNIRP)
角膜炎、結膜炎に関する 紫外放射の作用スペクトル
基準作用スペクトルの求め方の例
10
100
1000
10000
100000
1000000
10000000
180 220 260 300 340 380
閾値
(J/m
2)
波長 (nm)
Luckiesh, et al.、ヒト
Coblents, et al.、ヒト
Magnus、ヒト
Everett, et al.、ヒト
Freeman, et al.、ヒト
Freeman, et al.、ウサギ
Sayre, et al.、ヒト
Berger, et al.、ヒト (8 h)
Cripps, et al.、ヒト (8 h)
佐藤、ヒト (8 h)
Mackenzie, et al.、ヒト
Parrish, et al.、ヒト (8 h)
Anders, et al.、ヒト
Menage, et al. ヒト
Gange, et al.、ヒト (8 h)
Diffey、ヒト
Kollias, et al. ヒト (type 1,2)
Kollias, et al. ヒト (type 5)
Young, et al. ヒト (type 1,2)
波長ごとの許容値 (ICNIRP)
皮膚の紅斑に関する 紫外放射の作用スペクトル
光学放射（通常光）の指針の策定の現状
障害 作用スペクトル のデータ
基準作用スペクトル
（指針）
UV 角結膜炎 有り 有り
UV 皮膚炎 多い
UV 白内障 少ない 無し
UV 皮膚がん 少ない 無し
光網膜症 少ない 有り
IR 白内障 無し （有り）
光学放射のスペクトル
波長
周波数
1 μm 1 mm 1 nm
100 GHz
1 THz
1 PHz
電波 紫外放射 赤外放射 Ｘ線
ブルーライト
可視光
光子のエネルギー 大 小
光学放射：Optical radiation
10 THz
100 THz
赤外放射（通常光）に関する指針
( ) ( ) λλλλ dEdEEnm
nm
nm
nmIR ∫∫ +=3000
1000
1000
7803.0
赤外放射（波長780 nm – 1 mm）に対する角膜と水晶体の保護
( ) =λE
実効照度
分光放射照度
st 1000<曝露時間
st 1000≥曝露時間
2375.0 1018 −− ××≤ WmtEIR
2100 −≤ WmEIR
平均化面積 7 mm径
赤外放射（通常光）に関する指針
( ) λλ dEEnm
nmSkin ∫=3000
380
可視光と赤外放射による熱障害に対する皮膚の保護
( ) =λE
実効照度
分光放射照度
st 10<曝露時間 ( ) 2425.010 1 100.2 −××≤∫ JmtdttE
t
Skin
中遠赤外放射（レーザー光）に関する指針
熱障害に対する眼の保護 放射照度 ksts 3010 <<曝露時間 20.1 −≤ kWmE
熱障害に対する皮膚の保護
放射照度 kstns 301 <<曝露時間 20.1 −≤ kWmE
波長範囲1400 nm – 1 mm
平均化面積 3.5 mm径 (1400 nm – 0.1 mm) 11 mm径 (0.1 mm – 1 mm)
赤外放射の曝露限界値
10
100
1000
10000
100000
1 10 100 1000 10000 100000
照度
(Wm
-2)
通常光、 皮膚 ESkin
通常光、 眼 EIR
レーザー光、 皮膚
レーザー光、 眼
曝露時間に関する問題
曝露時間
曝露
照度
時刻
曝露
照度
時刻
曝露時間？
赤外放射と電波の曝露限界値の比較
1
10
100
1000
10000
1 10 100 1000 10000 100000 1000000
パワー密度
周波数 (GHz)
職業曝露 (1 cm2)
一般人(1 cm2)
職業曝露 (20 cm2)
一般人(20 cm2)
EIR通常光 (7 mm径)
レーザー光 (11 mm径)
赤外放射と電波の指針の接続について
どちらも熱的作用による障害を対象としている。 赤外放射の指針は、長波長領域についてあまり考
慮していない。 赤外放射と電波の指針では、曝露限界値が異なる。 赤外放射と電波の指針では、平均化面積が異なる。 赤外放射の指針では、平均化時間を考慮していな
い。 電波の指針では、異なった周波数の同時曝露の影
響を考慮していない（作用スペクトルを考慮していな
い）。
