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行動プロセスデータを深化するVR技術〜実験室の現場化〜
大隈隆史
国立研究開発法人産業技術総合研究所
人間情報研究部門
サービス観測・モデル化研究グループ
2016年 = VR(ビジネス)元年?•消費者向けHMDが続々と登場&発売
– Oculus Rift•2012 : 試作品公開
•2013 : SDK(開発用キット)発売
•2014 : Facebookが買収
•2016 : 製品発売
– PlayStation VR
– HTC Vive
•Smart Phoneを利用するスタイルの登場
– Gear VR
– Google Cardboard(+Daydream)
– ハコスコ
– VRscoope
Virtual Realityという用語が生まれた1989年こそVR元年。。。
と呼びたい(^^;
Virtual Realityという用語が生まれた1989年こそVR元年。。。
と呼びたい(^^;
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VR/AR市場予測•by Goldman Sachs (Jan. 13, 2016)
2025年には$80億ドルの市場規模に達する予測(Pokemon GOはこれを押し上げる?)
半分以上はEntertainment応用だがその他の応用分野もそれなりに大きくなりそう(小売も16億ドル市場にまで成長する予測)
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表示系の歴史とタイプ
1964 Ivan Sutherland“Ultimate Display”
2016 Facebook Inc.“Oculus Rift” $599
1989 VPL Research“EyePhone” $9,400
1992 イリノイ大CAVE2014 産総研SFS Ver.2
2012 イリノイ大CAVE2
装着
型設
置型
◯ 持ち運びが容易 ◯ 没入感× 表示の遅れ △ 解像度◯ 持ち運びが容易 ◯ 没入感× 表示の遅れ △ 解像度
× 持ち運びが容易 △ 没入感◯ 表示の遅れ ◎ 解像度 ◯ 実物体の活用× 持ち運びが容易 △ 没入感◯ 表示の遅れ ◎ 解像度 ◯ 実物体の活用
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[動向] Virtual Realityを用いた顧客行動調査
マーケティング分野での活用事例増加– レイアウト設計段階で顧客行動を事前評価
– パッケージ検討段階で顧客の印象を事前評価
Kimberly-Clark社のバーチャル店舗
メリット1メリット1 実店舗調査に比べて「厳密な条件比較」を低リスク・低コストで実施可能実店舗調査に比べて「厳密な条件比較」を低リスク・低コストで実施可能
メリット2メリット2 新パッケージデザインを公共の場に出すことなく店舗設置時の印象を評価可能新パッケージデザインを公共の場に出すことなく店舗設置時の印象を評価可能
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Wall street journal Oct. 3, 2007
バーチャルドラッグストア
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AIST-Service Field Simulator•VR技術を用いたサービス設計支援
– VR環境での人間行動計測によるサービス提供環境とプロセスの事前評価
詳細かつ信頼できるデータの獲得• 様々なセンサを併用可能• 実験のための環境制御が容易
脳波計測の様子視線計測の様子行動に影響を与える条件を現実に近づける
「方向感覚」を失わせない全方位画面提示
現場で使う現実の道具を手に持っての体験
足踏み動作認識による自然な移動
「移動による疲れ」「移動にかかる時間」も評価
継続的に性能改善中
解像度(角度分解能視力0.7相当)
垂直視野角(90度以上)
設計のコンセプト
装置の外観(八角柱)
行動計測のための環境提示装置
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行動比較実験(ラボ環境@ICAT2010にて発表)
•被験者:5名(男性:2名、女性:3名)
年齢:20代~50代
VRに関する経験なし。
•装置:
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被験者の行動の再現性:移動について
•実験装置による違和感は少ない
•実際の歩行より足踏み動作による移動が難しい
•実装上の問題
– 難しい方向調整
– 高い作業負荷
– データ処理遅延
・指定された方位を指差すタスク👉両環境共に正しい方位を指示
空間内における方向感覚の維持に有効との仮説は検証できた空間内における方向感覚の維持に有効との仮説は検証できた
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被験者の行動の再現性:移動中の挙動•実環境:周辺の対象物に注目、頻繁な視線移動
– ドアを認知したら開いて人が出てこないかを一瞬確認
•Virtual環境:直進の際に少ない視線移動– 進行方向だけを見ている(どうせ誰も出てこないしぶつからない)
実環境
Virtual
交通シミュレーションなどの場合には「当たるとダメージ」などのゲーム性も必要か?交通シミュレーションなどの場合には「当たるとダメージ」などのゲーム性も必要か?
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被験者の行動の再現性:情報の獲得
•環境内の人間から
– 指示者とのアイコンタクトを取ろうとする行動
– 実環境•指示者の行動に反応
– Virtual環境•指示者の行動に無反応
•写実的アバタの違和感なし
実環境
Virtual環境
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被験者の行動の再現性:情報の獲得
実環境 Virtual環境
紙媒体(実物体)による情報獲得可能-指示書によるタスク遂行-地図を用いて経路確認
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ケーススタディ(1)•VR環境での視線計測の有用性検討
– 実環境のin-storeマーケティングと同様の調査が可能かを検証
店舗内視線計測の実務経験者からの意見(安田さん):特に対象の棚に近づいて行く過程においては実環境と同様の視線の動きを観測できる
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実店舗行動とバーチャル店舗行動の比較タスク:検討したい特定カテゴリ商品を選んでカゴに入れる(複数選択可能)
タスク:検討したい特定カテゴリ商品を選んでカゴに入れる(複数選択可能)
低価格帯商品エリア
一部のターゲット商品はこの位置に配置されている。
いわゆる「島」店舗が工夫して作成する陳列で定番外商品、その店のその時期のおすすめ商品が並ぶ。
ブランドごとに分かれた定番棚このエリアでの検討が基本
• 実環境データは手作業記録なので離散的(記録と記録の間は同じ場所にとどまっているものとして可視化)
• SFSでは観察位置を微調整する操作の時間がかかるので商品検討位置での滞在時間が長め(大げさに)に出る傾向がある。
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実店舗での滞在時間実店舗での滞在時間
バーチャル店舗での滞在時間バーチャル店舗での滞在時間
ケーススタディ(2)•人間の興味度を脳波から計測するための実験環境として活用
International Journal of Psychophysiology 15
SFSと脳波計測を用いた解析の例ショッピングモール通路を例とした検証結果:周囲に対する主観的な興味度をVR環境内での脳波計測で予測できる可能性
• ウォークスルー型VR環境内
にショッピングモール通路を再現
• 脳波指標で周囲環境へ興味度合いを定量評価
さまざまな製品やサービスの設計・最適化・評価を支援する指針を提供
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まとめと今後の課題
現在:「各棚が何人のモニターに見られたか」を手作業で集計して分析
今後の課題:視線データ分析の効率化今後の課題:視線データ分析の効率化
今後:移動履歴分析のような自動ヒートマップ生成(長く見られた場所の自動可視化)へ
人間計測 x VRによる新たな可能性
– 事前評価によるリスク低減
– 詳細なデータ取得による抽象度の高いモデル化
顧客体験を知ることによる顧客価値創出へつなげる技術に育てていきたい顧客体験を知ることによる顧客価値創出へつなげる技術に育てていきたい17