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微生物学実習
3日目
[計p.13] 3日目 HT
供試菌の同定 細菌汚染検査 [実験IIIA] 生化学的性状試験1 ブドウ球菌の判定
[実験IIIB] 生化学的性状試験2 大腸菌の判定
[実験IIA] フードスタンプの観察
[実験IIC] フードスタンプからの画線分離培養
[計p.4] ブドウ球菌の同定
供試菌A 供試菌B
供試菌C 供試菌D
供試菌E 供試菌F
供試菌G 供試菌H それぞれ2枚ずつ
◆8種類の供試菌を下図のように,マンニット食塩寒天培地に画線する.
[実p.17] マンニット食塩寒天培地の特徴 1.食塩濃度(7.5%)が高いため、ブドウ球菌は強
い食塩耐性によって他の菌群と明らかな生育の差を示す。
Sa Sa
Sa Sa
食塩耐性
汗が乾いても平気
ブドウ球菌以外にも食塩耐性の細菌種がある
[実p.17] マンニット食塩寒天培地の特徴 2.本培地はpH7.2~7.6に調整されており、フェ
ノールレッドにより赤色となる。培地が酸性になるとフェノールレッドは黄色を呈する。
3.マンニットは、天然に広く分布する糖アルコール。
4.マンニット分解性菌のコロニー周辺は、マンニットの分解で生じた酸によりフェノールレッドが黄変する。
[実p.17] マンニット発酵 黄色ブドウ球菌はマンニット分解酵素を持ち、表皮ブドウ球菌はマンニット分解酵素を持たない。
Sa Sa
Sa Sa
有Se Se
Se Se
無
黄色ブドウ球菌 表皮ブドウ球菌
[実p.17] マンニット寒天培地の色の変化
S.epidermidis S.aureus
培地にフェノールレッド(pH指示薬)が入っているので,酸性で黄色,中性~アルカリ性で赤色になる.
マンニット分解能無し
! 培地の色は変化無しか、より鮮やかな赤色になる。
マンニット分解能有り
! 培地の色は黄色になる。
[実p.17] マンニット寒天培地の色の変化 糖代謝などによって生じる有機酸の酸性度よりも、ペプチドやアミノ酸の代謝により生じる塩基性物質の塩基性が強くなると、培地は塩基性となる。
糖
有機酸
分解 アミノ酸
塩基性物質 (アンモニアなど)
[実p.17] マンニット寒天培地の結果判定 コロニーの生育が観察された場合,耐塩性を保持する細菌種である.マンニット分解性細菌はコロニー周辺が黄色になるが,マンニット非分解性ブドウ球菌はコロニー周辺の色調に変化がない. A 黄色ブドウ球菌:マンニット分解性ありのため.培地の色調変化が観察される.
B 表皮ブドウ球菌:マンニット非分解性のため.培地の色調変化が観察されない.
C 大腸菌:耐塩性がないため,本培地では生育できない.
[計p.6] ブドウ球菌の判定
◆画線培養の結果をスケッチする[Rep. 18].
◆画線培養の結果から,供試菌が「マンニット」分解性か非分解性か判定する[Rep. 18].
◆画線培養の結果から,供試菌が「耐塩性」であるか判定する[Rep. 18].
[Rep.18] ブドウ球菌の判定 培養結果を色鉛筆を使って図示する.またコロニーの分離状態・大きさ・形・色・培地の色調などそれぞれの特徴を述べなさい.
[実p.13] 細菌の分離培養・純培養の観察 培地に生じたコロニーを観察する。
ルーペで拡大
[Rep.18] 表の記入例
生育(耐塩性) (あり・なし)
マンニット分解性(あり・なし)
特記事項 (実験の成功・失敗,
その他)
供試菌 A あり あり 成功(黄色ブドウ球菌又は枯草菌の可能性有り)
供試菌 B あり なし 成功(表皮ブドウ球菌の可能性有り)
供試菌 C なし なし その他(成功か失敗かわからない)
供試菌 D あり あり/なし 失敗(複数のコロニーが混在していた)
[Rep.18] 菌の混在 数種類の菌が混ざっている可能性があるので注意すること!・・・Rep.18 & 19
観察するときの注意点
コロニーの色・形・大きさ・周辺培地の色など.
[計p.4] 大腸菌の同定 ◆8種類の供試菌を下図のように,XM-G寒天培地に画線する.
[実p.18] XM-G寒天培地の特徴 食品や環境材料中の大腸菌および大腸菌群の検出に用いられる.
フードスタンプの大腸菌・大腸菌群判定用培地と同じ培地
[実p.16] 大腸菌と大腸菌群
大腸菌群は衛生上の用語で、大腸菌群の存在は製造工程中の加熱不足等や環境衛生上の汚染指標となる。Escherichia属,Klebsiella属,Citrobacter属,Enterobacter属,Proteus属などの細菌がふくまれる. 大腸菌は分類学上の細菌種である「Escherichia coli」を示す。大腸菌の存在は食品や飲料水の糞便性汚染の指標として重要である。
[実p.16] 大腸菌と大腸菌群 大腸菌
大腸菌群 食品・調理器具
重要
やや重要
糞便汚染を示す
環境等からの汚染を示す
[実p.19] XM-G寒天培地の特徴 大腸菌・大腸菌群の鑑定用培地
β-グルクロニダーゼ X-GLUC (無色)
大腸菌
培地成分
分解産物 (青色) 青色~青緑色
[実p.19] XM-G寒天培地の特徴 大腸菌・大腸菌群の鑑定用培地
β-ガラクトシダーゼ MAGENTA-GAL (無色)
大腸菌群
培地成分
分解産物 (赤色)
ピンク色~赤紫色
グルコース
ガラクトース
[実p.19] βーガラクトシダーゼ β-ガラクトシダーゼは、乳糖を加水分解し、グルコースとガラクトースを生成する。
乳糖 (ラクトース)
β-ガラクトシダーゼ
β-ガラクトシダーゼは、菌種同定の指標に用いられる。
重要
[実p.19] βーガラクトシダーゼ
大腸菌
大腸菌群
βーガラクトシダーゼ βーグルクロニダーゼ
βーガラクトシダーゼ
青緑~濃紺色 コロニー
赤色 コロニー
大腸菌はβ-ガラクトシダーゼとβーグルクロニダーゼを持つ。
注:酵素の生産量によって発色に違いが出る
[Rep.14] XM-G培地による供試菌の判定
細菌種 β-グルクロニターゼ活性
β-ガラクトシダーゼ活性 分類
大腸菌 あり あり* 大腸菌
プロテウス菌 なし あり 大腸菌群
サルモネラ菌 なし なし その他
緑膿菌 なし なし その他
*大腸菌の菌株によって違いがある
[計p.6] 大腸菌の判定
◆画線培養の結果をスケッチする(Rep. 19).
◆画線培養の結果から,供試菌が「βーグルクロニダーゼ」活性,「βーガラクトシダーゼ」活性の有無を判定する(Rep. 19).
[Rep.19] 大腸菌・大腸菌群の判定 培養結果を色鉛筆を使って図示する.またコロニーの分離状態・大きさ・形・色・培地の色調などそれぞれの特徴を述べなさい.
[Rep.19] 表の記入例
生育 (あり・なし)
β-グルクロニダーゼ活性
(あり・なし)
β-ガラクトシダーゼ活性
(あり・なし)
特記事項 (実験の成功・失敗,
その他)
供試菌 A あり あり なし 成功(大腸菌の可
能性有り)
供試菌 B あり なし あり 成功(大腸菌群の
可能性有り)
供試菌 C なし なし なし その他(成功か失
敗かわからない)
供試菌 D あり なし なし
失敗(複数のコロニーが混在していた)
[計p.7] 細菌汚染検査・フードスタンプ 2日目までの確認: 食品や調理器具などの検査材料にフードスタンプを軽く押しつけた.ふらん器に入れて,一定時間培養した.
RK [実p.12-16] フードスタンプ検査 フードスタンプに生じたコロニーの数と培地の色の変化から、各種食中毒菌による汚染の有無を検討する(判定基準はp.16参照)。
食肉のトレイ 1.サンプリング
2.培養 3.判定
○○菌のコロニー17個 □□菌のコロニー9個 その他のコロニー4個
食中毒発生の恐れ有り!
[実p.16] フードスタンプ検査と判定 サルモネラ用のフードスタンプ
黒色のコロニー,培地の色が紫色から黄色に変化:サルモネラ菌の可能性大. その他の色のコロニー:サルモネラ菌以外のその他の菌に分類される.
サルモネラ菌
その他の菌
[実p. 16] フードスタンプ検査と判定 サルモネラ用のフードスタンプ
サルモネラ菌は硫化水素を産生する細菌であるため,培地中のクエン酸鉄アンモニウムと反応することによりコロニーが黒くなる.他にもシトロバクターなど硫化水素をする細菌があるので鑑別試験の併用が必要. →来週,生化学的性状試験で鑑別を行う.
硫黄を含む有機物 硫化水素
+
クエン酸鉄アンモニウム
硫化鉄 代謝
サルモネラ菌 培地成分
培地成分
[実p. 16] フードスタンプ検査と判定 セレウス用のフードスタンプ
セレウス菌 培地の色 赤色~鮮やかな赤色
コロニー 扁平状で、白みがかった赤色(ロウソクの色に似る)
コロニー周辺 白濁する(卵黄反応陽性)
その他(枯草菌など) 培地の色 黄色~赤色
コロニー 多様(大小ありで、白~黄色・オレンジ色)
コロニー周辺 白濁する場合としない場合がある
[実p. 16] フードスタンプ検査と判定 セレウス用のフードスタンプ
レシチナーゼ 卵黄レシチン (可溶性=透明)
セレウス菌
培地成分
分解産物 (不溶性=白濁)
マンニット 培地成分 代謝しない
(培地が酸性にならないので、フェノールレッドは赤色を呈す)
卵黄反応 (レシチナーゼ反応)
[実p.16] フードスタンプ検査と判定
赤色のコロニー:大腸菌群 青色のコロニー:大腸菌 その他の色のコロニー:大腸菌・大腸菌群ではないその他の菌に分類される.
検査目的以外の細菌も生じているので,注意事項をよく読み,レポートを書くこと[Rep.15-18].
大腸菌・大腸菌群用のフードスタンプ [Rep.15] フードスタンプ検査
サンプル写真 XM-G寒天(大腸菌・大腸菌群用) 大腸菌のコロニー数:...................... 大腸菌群のコロニー数:................... その他の菌のコロニー数:................
検査対象物( ) XM-G寒天(大腸菌・大腸菌群用) 大腸菌のコロニー数:...................... 大腸菌群のコロニー数:................... その他の菌のコロニー数:................
コロニー・培地の色に注意してスケッチする
サンプル写真と各自のサンプルをよく観察し比較すること
まな板
記入例
[Rep.15-17] フードスタンプ検査 レポートを書くときの注意事項
自分のフードスタンプにコロニーが検出されなかった場合,同じ班の人のフードスタンプを借りてスケッチしてください.スケッチしたところに,○○さんのを借りたと書いておいてください.考察は,自分のフードスタンプの考察と借りてスケッチをしたフードスタンプについても考察を行ってください.
[Rep.17] フードスタンプ検査 XM-G寒天 CERE寒天 MLCB寒天
大腸菌 大腸菌群 その他 セレウス菌 その他 サルモネラ菌 その他
自分の結果 ( ○・X ) × ○ ○ ○ ○ × ○
班の検出数 検査数:
件 0 5 8 4 4 0 8
クラス 検出数
検査数: 件
次回予定 [実p.20] 生化学的性状試験3
食中毒の代表的な原因菌であるサルモネラ属細菌のTSI寒天培地による生化学的性状試験による確認試験.
目的
フードスタンプとは別の鑑別培地(TSI寒天)を用いた試験法を学びます。
[計p.7] TSI試験の検体純培養
◆MLCB寒天で確認した「サルモネラ属細菌」のコロニーを,画線分離培養法で普通寒天平板培地1枚に植菌する.
*培地の底面に,班名・試験者名・『TSI検体』と書くこと. -------------------------------------------------------配布物: 【実験IIIB】普通寒天平板培地:各自「1」枚
[計p.7] TSI試験検体の画線分離培養
*サルモネラ用フードスタンプに何も生えなかった場合は,大腸菌&大腸菌群用フードスタンプに生じた大腸菌か大腸菌群のコロニーを植菌する.
フードスタンプ
サルモネラ寒天 普通寒天培地
画線分離培養:分離状態の良い,単一のコロニーを選んで画線する.
[計p.7] TSI試験の検体純培養
サルモネラ用 フードスタンプ
大腸菌・大腸菌群用 フードスタンプ
1.サルモネラ菌(黒色コロニー) 2.それ以外の菌
優先順位
3.大腸菌(青色コロニー) 4.大腸菌群(赤色コロニー) 5.それ以外の菌
[計p.7] セレウス菌の画線分離培養 ◆セレウス寒天で確認した「 セレウス菌 」のコロニーを,画線分離培養法で普通寒天平板培地1枚に植菌する.
*セレウス菌用フードスタンプに何も生えなかった場合は,誰かのフードスタンプを借りて植菌する.
*培地の底面に,班名・試験者名・『セレウス検体』と書くこと.
[計p.7] セレウス菌の画線分離培養
フードスタンプ
セレウス寒天
普通寒天培地
画線分離培養:分離状態の良い,単一のコロニーを選んで画線する.
[計p.7] コロニーの選び方 2つ以上のコロニーを釣菌すると、純培養は失敗です。
分離状態が良く、確実に1つだけ釣菌できるコロニーを選ぶ。
[計p.7] 純培養の秘技 Q.コロニーが密集している場合の釣菌は?
A.白金線を用いて、なるべく分離状態の良いコロニーを慎重に釣菌します。
白金線で慎重に釣菌する
白金線先端の細菌を新しい培地の表面につける
細菌をつけた部分から白金耳で画線培養する。
[計p.7] 画線分離培養の方法
1. 培地の1/4に画線する
2.次の1/4に画線する
3. 次の1/4に画線する
4. 最後の1/4に画線する
釣菌は1回だけで、続けて画線する。 [計p.7] 画線分離培養について
悪い例 良い例
1枚平板法の場合、画線する距離をできるだけ長くし、細菌が確実に分離するよう心がける。
重要
成功の秘訣
[計p.7] 純培養・画線分離培養の評価
1. 目的とする細菌が増殖しており、その他の微生物の混入が認められない。
2. コロニーが分離している部分がある。 3. 2つのサンプルが上記の条件を満たしている。
評価のポイント
2種類のフードスタンプのサンプル