8
効果 がらない ERP データベース 統合” 実現 する 方法 SOA 可変性 確保 せよ

がらないERPが蘇る 真のデータベース統合”を実現 … ERP(Enterprise Resource Planning)の登場は企業経営において “必然” とも言える。企業では、情報化によ

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: がらないERPが蘇る 真のデータベース統合”を実現 … ERP(Enterprise Resource Planning)の登場は企業経営において “必然” とも言える。企業では、情報化によ

効果が上がらないERPが蘇る!真の“データベース統合”を実現する方法

SOAで可変性を確保せよ

Page 2: がらないERPが蘇る 真のデータベース統合”を実現 … ERP(Enterprise Resource Planning)の登場は企業経営において “必然” とも言える。企業では、情報化によ

2

 ERP(En t e r p r i s e R e s ou r c e Planning)の登場は企業経営において“ 必然 ”とも言える。企業では、情報化による業務生産性の向上を掛け声に、1990 年代から大企業を中心にシステム導入が進められてきた。財務における会計システム、人事における人事・給与システム、工場における生産・在庫管理システムなどが代表的なものである。 ERPの登場以前、企業システムには致命的とも言える問題が存在した。それが、システム間での連携が不十分なために、企業全体を俯瞰したかたちでの経営資産の把握が困難であったことである。決算において、多大な時間と労力が必要とされたのも、まさにこのためであり、その時代の経営層は自社の実態を把握できないまま、経営の舵取りを行わざるを得なかったのである。 このような課題を解決するERPは企業経営において必須の要素と言えるだろう。その基本概念は、あらゆるシステムとの連携を

通じた、企業データの一元化である。これにより、個 の々業務システムで分散管理されていた業務データが集約され、迅速な経営判断や現場での重複した業務の効率化などが実現される。経営的な観点では、全体最適な意思決定を実践するための“切り札 ”と考えてもいい。 ERPは登場当初は大企業向けの製品であり、導入にあたっては数十億円ものコスト負担が必要とされた。しかし、2000 年代に入ると会計や生産・在庫管理といった、モジュール単位での提供を通じた低価格が急速に進み、中堅・中小企業でも手の届く存在となった。これを受け、今や利用の裾野は大企業のみならず、中堅・中小企業にまで広がっている。 例えば、あるチェーン店。板前は魚には最大限に気を遣うものの、ツマの材料となる大根の仕入れなどには意外と無頓着であった。しかし、ERPの導入を機に、仕入れデータが蓄積されるようになったことで、各店での野菜の仕入れコストが明確化され、仕入れ先の選別を通じたコスト削減が実現されている。情報の一元化のメリットは中堅・中小企業でも小さくないことは、このケースからも理解できるだろう。 もちろん、今まで以上にビジネスの動きが速い昨今、変化に対する素早い対応が企

企業経営における ERPの重要性は認知されているが、実際に導入しても、「意外と成果が上がらなかった」という企業が多いのも確かだ。その理由はなぜか。そして “死に体 ”の ERPを経営に役立つよう蘇らせるために、どのような対応を図るべきなのだろうか。

効果が上がらないERPが蘇る!真の“データベース統合”を実現する方法

SOAで可変性を確保せよ

ERPの背景と課題

Page 3: がらないERPが蘇る 真のデータベース統合”を実現 … ERP(Enterprise Resource Planning)の登場は企業経営において “必然” とも言える。企業では、情報化によ

3

業に求められており、大企業では次なる成長に向けたERPによる新ビジネスの創出がさらに加速している。 しかし、現実に目を向けると、ERPを導入してDB統合を図っても十分な成果が上がっていない企業は多いという。それはなぜなのか。

 よく言われるのが、「データの信頼性」という問題である。 ERPの狙いの本質は経営データの一元化にある。多様なシステムとの連携を図り、多数のシステムとDB統合を行うことで、導入メリットを最大限に享受できる。しかし、そうした統合を同時に行うことは現実的に極めて困難だ。そこで「販売」や「会計」といったモジュールごとに段階的な導入プロセスを経るケースが多いのだが、そうなるとシステム間にいわゆる“つぎはぎ ”ができやすい。 この、つぎはぎが生じる要因の 1つに挙げられるのが、機能強化を繰り返しながら長年にわたって継続利用されてきたレガシーシステムである。業務変革の歴史が刻みこまれたレガシーシステムは、いわば企業にとっての “ 強み ”そのものといっていい。ただし、その歴史から、システム構成は極めて複雑化しており、システムに手を加えることはIT 部門にとってリスクの大きな作業である。不用意に手を加えた場合には、最悪の場合、システム、さらに業務の停止を招きかねない。 そこで、ERPの導入は一般的にレガシー

システムを残しつつ行われるが、そのことによって、新たなつぎはぎが生じることは避けられない。一方で、レガシーシステムは夜間バッチでデータを処理することも少なくないが、構成の複雑化とシステム自体の老朽化、さらに、近年のデータ量の増大とによって、時間内での作業完了が極めて困難になりつつある。これらの結果、一元化しきれなかったデータの信頼性は著しく下がってしまい、ERP 導入の目的を果たせず、データの活用が進まないという負のスパイラルを招いているのだ。これでは、経営管理レベルの底上げは到底、期待できない。 さらに “ベストプラクティス ”という言葉に対する誤解もある。ERPのメリットの1つとして、成功した企業の業務プロセスを取り込める点が挙げられており、その支援のため、ベンダー各社は業種・業態ごとのベストプラクティスを反映させたテンプレートを充実させてきた。 しかし、「企業の業務プロセスが千差万別で、パッケージソフトでは対応しにくい」のは事実である。せっかくERPパッケージを導入しても、自社の業務に合わせるためのカスタマイズが必要となり、その結果、導入に必要な工数とコストが増して、“投資に見合うだけの効果が上がらない ”という事態に陥りがちなのだ。 また、ベンダーロックインに陥りやすいことも、ERPの悩ましい点である。実際に、最新機能を利用するためには、継続的なアップデートが求められ、コスト負担からアップデートを諦めた場合には、その時点で最新環境の利用を断念しなくてはならない。ERPは基幹システムであり、容易にリプレースできるものではなく、その点でERPの導入は企業にとってリスクでもある。 一方で、競争力強化という目的から考えれば、自社のより優れた業務はカスタマイズ

ERPの導入効果はなぜ上がりにくいのか?

Page 4: がらないERPが蘇る 真のデータベース統合”を実現 … ERP(Enterprise Resource Planning)の登場は企業経営において “必然” とも言える。企業では、情報化によ

4

で取り込むことが当然の在り方だ。その認識が不十分な場合、ERP導入によって逆に自社が培ってきた強みが失われる可能性も否定できない。 これら以外にも問題点は数多く指摘できる。例えば、ERPの導入における明確な目的意識が欠如しているケースが存在すること。ERPは企業経営を支える、主に経営層のためのシステムである。リアルタイムでのあらゆるデータを把握するとともに、それらの中から特に経営に大きな影響を与えそうなデータをKPI(Key Performance Indicator)に設定することで、経営環境の変化や自社の立ち位置などを迅速に把握することなどが可能だ。だが、競合他社が導入したとの焦りから、自身によるデータの活用策を練る間もなく導入に至るケースも中堅・中小企業では散見される。これでは、導入を終えても、次の活用のステップに進むことは極めて困難だ。 しかも、日本企業の多くは、顧客の声に応えるために業務、さらにその基盤であるシステムにも継続的に手を加え続けてきた。そのため、システムと業務が不可分なものとなり、事前に対策を講じることなくERPパッケージに乗り換えた場合には、現場に混乱が生じる可能性を拭い切れない。 インターシステムズジャパンで代表取締役社長を務める植松裕史氏は「ERPの利用にあたって考慮すべきことは多岐にわたります。例えば、カスタマイズによってシステムの複雑さ、ひいては管理コストも増し、戦略的な IT 投資のための予算確保が困難になることも挙げられるでしょう。しかし、ERPは迅速な経営判断のために不可欠な存在であることも事実。そこで、次なる成長軌道を描くためにも、諸問題に対する方策を講じることが企業に強く求められているのです」と力説する。

 植松氏が必要性を強く訴えるのが「システム面での可変性の確保」である。ERPパッケージが抱える問題の根本には、業務とシステムが密接につながっているため、システムの見直しが極めて困難という事情がある。段階的に新システムを導入すれば、さらに構成が複雑化してしまう。その解決策が必要なのだ。 「部門ごとにDBがいくつも存在しながら、それらがERPと連携していないという話を至るところで耳にします。それもかなりの部分が固定化されたERPと新規導入したシステムとの連携の難しさがネックになっている。しかし、システム自体の可変性を確保できれば、DB統合も促される。すると問題が必然的に解決され、真の意味で経営に役立つ “ 全体最適 ”なシステムが生まれるわけです」(植松氏) そこでポイントとなるのが「変化への迅速な対応」と「ERPによるコア業務の効率化」という2つの視点でのシステム刷新である。具体的には、まず SOA(Service Oriented Architecture)にのっとったシステム連携基盤を整備し、システムの柔軟性を高いレベルで確保する。その上で、経理や会計など普遍性が高い業務にはERPを適応するとともに、連携基盤を介して他システムと接続することで業務の効率化を目指す。 このアプローチのメリットは、カスタマイズが必要な場合でも、連携基盤上へのサブモジュールの追加によって、ERP自体にほぼ手を加えることなく対応できるようになる点

インターシステムズジャパン代表取締役社長

植松裕史 氏

次なる成長に向け、ERPが抱える問題への対応を

Page 5: がらないERPが蘇る 真のデータベース統合”を実現 … ERP(Enterprise Resource Planning)の登場は企業経営において “必然” とも言える。企業では、情報化によ

5

だ。その結果、システムの複雑性という問題も抜本的に緩和され、システムへの追加変更やアップグレードなどの作業も格段に行いやすくなる。必然的にベンダーロックインの問題も解消を見込むことができる。また、複数のERPパッケージのうち、自社に適したモジュールのみを導入して連携させる、いわゆる“ 良いとこ取り”の導入も、従来と比べはるかに容易に行えるようになる。 さらにSOAは重層化による高い拡張性も担保されているため、最終的には、中央に配置された連携基盤を介し、ERPをはじめとする各種システムが相互に連携する「ハブ・アンド・スポーク型」のシステムを構築できる。 「従来型の密結合なシステムでは、ERPと既存システム、新規システムが網の目状

に接続されるため、複雑化せざるを得ませんでした。それに対してSOAでは、構成が大幅に簡素化され、粗い結合性によってシステム同士を容易につなぎ直せるようになります。ひいてはシステムの継続的な改善を通じ、経営力の底上げを目指せるわけです」(インターシステムズジャパン シニアテクノロジーアドバイザー 佐藤比呂志氏) 一方で、ERPの刷新には人的な面での対策も必要となる。それが経営者や社員の意識改革である。データをいかに活用すべきかは企業によってそれぞれ異なる。そのため、具体的な活用法について経営層とのすりあわせを行い、ERPの導入目的の明確化を促すことが必須となる。これにより、企業としてERPの導入目標が明確になれば、トップダウンでの刷新作業が可能となり、経営

インターシステムズジャパンシニアテクノロジーアドバイザー

佐藤比呂志 氏

● SOAは重層化による高い拡張性も担保されているため、中央に配置された連携基盤を介して各種システムが相互に連携する「ハブ・アンド・スポーク型」のシステムを構築できる

システム連携基盤

システムA

システムE システムB

システムCシステムD

システム連携基盤

システムA

システムE システムB

システムCシステムD

システム連携基盤

システムA

システムE システムB

システムCシステムD

システム連携基盤

システムA

システムE システムB

システムCシステムD

システム連携基盤

Page 6: がらないERPが蘇る 真のデータベース統合”を実現 … ERP(Enterprise Resource Planning)の登場は企業経営において “必然” とも言える。企業では、情報化によ

6

層の支援を受けているだけに従業員からERPに対する理解も得やすくなる。

 SOAのアプローチに沿った連携基盤ツールは、すでに数多くのベンダーから提供されている。こうした中、とりわけ注目を集めているのがインターシステムズの「InterSystems Ensemble®(Ensemble)」である。 その理由としてまず挙げられるのが、システム統合に必要な機能のすべてを独自開発することで得た一貫性の高い技術だ。連携基盤が満たすべき機能要件は「メッセージ」や「バッファ」のみならず、インタフェースの違いをデータ変換などで調節する「メディエーション」、法制面対応のための「ガバナンス」など多岐にわたる。 そのため、市場に出回る連携基盤ツールは複数のベンダーが開発した技術を寄せ集めることで構成されることが多く、機能ごとにスキルを習得する必要が出るなど、利用に際してのハードルも高かった。「Ensembleは技術のすべてを当社が提

供していることから、他社のツールよりも圧倒的に使いやすく、それだけ高い開発生産性も見込める」(佐藤氏)という。 加えて、Ensembleはリレーショナルデータベース(RDB)より高速にSQLクエリを処理するオブジェクトDB「InterSystems Caché®(Caché)」を実装している点も見逃せない。システム連携基盤における最も大事な要素はデータの高速かつ柔軟な処理だ。この要件をどこまで満たせるかで、システムの連携レベルは大きく左右される。 その点「Ensembleはデータエンジンを搭載した唯一の SOA基盤」(植松氏)であり、データ処理の高速性において他製品との抜本的な差別化が図られているのだ。 一方で、一般的な連携基盤はシステム間のメッセージ交換のみに主眼を置いて開発されており、ログの管理などを目的にメッセージを蓄積する場合、その仕組みを別に整備する必要があった。しかし、事前の設計作業には少なからぬ手間と時間を割く必要があるうえ、思わぬ見落としにより、正常に稼働しないケースも散見される。 EnsembleではCachéによって、データ交換の定義作業だけで各種メッセージを容易に蓄積可能だ。オブジェクトDBの特性から、RDBでは取り扱いが困難な複雑な構造のデータにも対応している。 「各種メッセージをCachéに貯めることで、

「Ensemble」が注目される理由とは?

● InterSystems Ensembleで構築した日本通運の物流システム

輸出入業務システムDB 通関業務

システムDB 保税倉庫業務システムDB 物流サービス

システムDB

モニタリング メッセージウェアハウス Ensembleユニバーサル統合プラットフォーム

Page 7: がらないERPが蘇る 真のデータベース統合”を実現 … ERP(Enterprise Resource Planning)の登場は企業経営において “必然” とも言える。企業では、情報化によ

7

それらを組み合わせたデータ分析に乗り出すことが可能になります。そこで必要とされる手間はデータの定義作業だけ。一方で、Ensembleではデータとビジネスロジックを記述することで、連携基盤上でデータ変換を実施でき、ファイル出力から抽出というETLの効率化も実現できます。ひいては、業務システムと分析システムの一体運用による、リアルタイムなデータ分析の仕組みを確立できるのです」(佐藤氏)

 こうした高い性能から、Ensembleの採用企業は国内外で数多い。その1社である日本通運は、国際海上輸送物流システムの刷新プロジェクトでの段階的な移行策としてEnsembleの採用を決断。Ensembleにシステムの各種テーブルを内在させ、既存システムと新システムとでデータを同期させるというのが具体的な使い方である。 プロジェクトは現在も進行中だが、Ensembleに関しては、利用決定から実稼働までに要した期間はわずか 3カ月足らずであったという。 また、ブラジル最大の石油採掘会社ペトロブラスは、大手のERPシステム、CRMシステム、レガシーな流通システムを多数運用

していたが、各システムの連携で大きな問題を抱えていた。Ensembleでそれらシステムを統合し、さらに新たにWebポータルで受注システムを構築した。これにより、社内システムの統合と同時に、顧客の注文処理、配送計画、ルート管理などを効率的に行うことができ、顧客サービスを向上させた。 Cachéへの外部機関の評価も高い。米ガートナー*1はCachéに対して「オブジェクト、SQLなど広範なデータをサポートし、かつデータベース管理の自動化によってメンテナンス要員が少なくて良く、さらに全般的な性能の高さから、顧客はCachéをDBMSとして最も高く評価している」とのコメントを寄せている。 同社は今後、新たな用途開拓を通じてEnsembleの拡販につなげる考えだ。そこで同社が期待を寄せるのが、リアルタイム分析のさらなる活用である。 「従来はシステムが発したアラートの原因究明に数週間をかかることもありました。Ensembleでは全メッセージの蓄積によりシステムのプロセスを保管でき、データの種類や時間軸などを検索の条件にして、原因を即座に突き止めることができる。業務品質向上の観点から、あらゆる企業でアラート対応の迅速化ニーズが高まっている。テクノロジーパートナーとしてその実現に協力することで、売り上げ拡大につなげる計画だ」(佐藤氏) インターシステムズのEnsembleによって、ERPは従来の姿から大きく変わりつつある。

企業も「Caché」をDBMSとして最も高く評価

自動処理

SAP/R3

自動注文システム 旧来システム

CRM(People Soft)

注文顧客チェック配送プラン等

ポンプ管理ルート管理等Webポータル

契約交渉管理

注文顧客チェック配送プラン等

顧客情報更新製品情報更新など

Ensemble

管理者

業務担当

● PetroBrasワークフロー例

*1 ガートナー・マジッククワドラント2014:オぺレーショナルデータ管理システム(Donald Feinberg, Merv Adrian, and Nick Heudecker 共著、 2014 年 10月16日発行)

Page 8: がらないERPが蘇る 真のデータベース統合”を実現 … ERP(Enterprise Resource Planning)の登場は企業経営において “必然” とも言える。企業では、情報化によ

効果が上がらないERPが蘇る!真の“データベース統合”を実現する方法

SOAで可変性を確保せよ

この記事は ITmediaエンタープライズに掲載(2015 年 2月)されたコンテンツをもとに再編集したものです。http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1502/23/news004.html

インターシステムズジャパン株式会社160-0023〒 東京都新宿区西新宿 6-10-1 日土地西新宿ビル 15F

InterSystems.com/jp/