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1 2011.11.9 EFSA ESCO WG プラスチック以外の食品接触材料に関する ESCO WG 報告書 塩ビ食品衛生協議会 石動正和 EFSA ESCO (科学共同) WG 「プラスチック以外の食品接触材料に関する ESCO WG 報告 書」。 http://www.efsa.europa.eu/de/supporting/doc/139e.pdf http://www.efsa.europa.eu/de/supporting/pub/139e.htm 7 20 EFSA ESCO-WG より提出された「外部科学報告書 プラスチック以外の食 品接触材料に関する ESCO-WG 報告書」を発刊した。EFSA CEF パネル主査・同 WG Dr.A.Feigenbaum より紹介があった。 ① 欧州においてプラスチック施行規則(PIM)施行後最も注目されるプラスチック以外 の食品接触材料(印刷インキ、コーティング剤、接着剤、紙及び型紙、ゴムなど)の扱い について、先頃 EFSA ESCO WG は報告書を EFSA に提出した。 ② 報告書は、プラスチック以外の食品接触材料にこそ、近年懸念すべき安全上の問題が 生じていることを指摘している。 WG 3,000 品目からなるリストを策定し、評価段階に応じ、リスト A 320 品目)及 びリスト B に分けている。これらのリストは間もなく開示される。報告書付属書Ⅱには印 刷インキ用光開始剤の Cramer 分類が示されている。 ④ 当該分野に有用と考えられるリスク評価ツールが紹介された。構造上類似の化学物質 に毒性データがあるときには read-across アプローチが、一方充分でないとき(例えばリス B の再評価)には TTC アプローチが有用とされた。 ⑤ 今後の緊急事案発生時の対応として、専門家によるネットワーク設立が提案された。 ⑥ この報告書に基づき、欧州委員会は 2011 年末までに、プラスチック以外の食品接触材 料に対するロードマップ(作業計画)を策定する。 「要旨

ESCO WG EFSA ESCO WG ESCO WG ESCO-WG - 塩ビ ... EFSA の科学共 (ESCO)WG は、加盟国にある既存の情報を収集し、プラスチック以外 の食品接触材料から放出される化学物質が食品に存

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2011.11.9

EFSA ESCO WG プラスチック以外の食品接触材料に関する ESCO WG 報告書

塩ビ食品衛生協議会 石動正和

EFSA ESCO(科学共同)WG「プラスチック以外の食品接触材料に関する ESCO WG 報告

書」。

http://www.efsa.europa.eu/de/supporting/doc/139e.pdf

http://www.efsa.europa.eu/de/supporting/pub/139e.htm

7 月 20 日 EFSA は ESCO-WG より提出された「外部科学報告書 プラスチック以外の食

品接触材料に関する ESCO-WG 報告書」を発刊した。EFSA CEF パネル主査・同 WG 主

査 Dr.A.Feigenbaum より紹介があった。

① 欧州においてプラスチック施行規則(PIM)施行後最も注目されるプラスチック以外

の食品接触材料(印刷インキ、コーティング剤、接着剤、紙及び型紙、ゴムなど)の扱い

について、先頃 EFSA ESCO WG は報告書を EFSA に提出した。

② 報告書は、プラスチック以外の食品接触材料にこそ、近年懸念すべき安全上の問題が

生じていることを指摘している。

③ WG は 3,000 品目からなるリストを策定し、評価段階に応じ、リスト A(320 品目)及

びリスト B に分けている。これらのリストは間もなく開示される。報告書付属書Ⅱには印

刷インキ用光開始剤の Cramer 分類が示されている。

④ 当該分野に有用と考えられるリスク評価ツールが紹介された。構造上類似の化学物質

に毒性データがあるときには read-across アプローチが、一方充分でないとき(例えばリス

ト B の再評価)には TTC アプローチが有用とされた。

⑤ 今後の緊急事案発生時の対応として、専門家によるネットワーク設立が提案された。

⑥ この報告書に基づき、欧州委員会は 2011 年末までに、プラスチック以外の食品接触材

料に対するロードマップ(作業計画)を策定する。

「要旨

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EFSA の科学共同(ESCO)WG は、加盟国にある既存の情報を収集し、プラスチック以外

の食品接触材料から放出される化学物質が食品に存在しておきる緊急事態に対応する提案

を行うため、及びハーモナイズしたリスク評価を可能にするために 2010年 2月設立された。

ESCO インベントリリストは、紙及び型紙、コーティング剤、ゴム、着色剤、木及びコル

クの製造に使用される 3,000 の化学物質を収載し策定された。このリストの化学物質は、

評価の時期により 2 つのグループに分けられた。これら化学物質のうち 320 は、食品接触

材料のための食品科学委員会のガイドラインの発行(1991 年)に引き続いて評価された。

化学物質評価の優先性に対する及び緊急時必要な場合の当面のアドバイスを提供する戦略

が提案された。それらは毒性学及び曝露評価ツールを含む。毒性評価については、構造上

類似の化学物質からの read-across アプローチが可能な限り利用可能である。また代わりに

分子の化学構造に係るひと暴露閾値に基づくアプローチが利用可能である。専門家のネッ

トワークが緊急アドバイスの場合動員されるものとして設定された。

概要

EFSA のアドバイザリーフォーラムは、2009 年 4 月ブカレスト会合において、食品接触材

料(FCM)、例えばコーティング剤、紙及び型紙、接着剤、印刷インキ及びゴムなどのプラ

スチック以外の部分から、最近危機が生じていることを強調した。これらの材料は特定の

規制にカバーされず、数千の化学物質が欧州レベルでの安全性の評価を行わないまま製造

に使用されている。

アドバイザリーフォーラムはまた、こうした化学物質評価に関する有用な経験が既に加盟

国で利用可能であることを述べ、この知見を収集編集することが現在の状況の全体像を把

握することになると述べた。

EFSA の専務理事は EFSA 科学共同(ESCO)WG の設立を提案し、加盟国で利用可能な

評価を収集し、評価された化学物質のインベントリリストを作成し、及びそれらを評価さ

れた方法(ガイドライン、リスク評価の背景)により分類し、ギャップを特定し及び異な

るアプローチを強化し、更なる評価に対し優先性を設定する原則を設定し、及び今後必要

なとき動員可能な最も見識のある専門家を特定することを提案した。

WG は 2010 年 2 月から 2011 年 4 月まで 6 回開催された。関係者の代表は 2011 年 3 月ミ

ラノで開催された WG 会合に招待された。ESCO WG の主な成果、及び参照可能な毒性学

上のデータがない化学物質評価の優先性を設定する基準がそのとき示され討議された。

紙及び型紙、印刷インキ、コーティング剤、ゴム、着色剤、木及びコルクの製造に使用さ

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れ、及び国家レベルで評価された化学物質がリストされた。最終の ESCO インベントリリ

ストには 3,000 の化学物質が収載された。WG はこれら化学物質を、評価時期に従い 2 つ

のグループに分けた:食品接触材料のための SCF ガイドライン発行の前(リスト A)及び

発行の後(リスト B)(注)。リスト A には 320 の化学物質が収載された。

(注:この文章は正確でない。第Ⅱ篇 2.2 によれば、リスト A は SCF ガイドライン発行の

1991 年以降に、リスト B は 1991 年以前に評価された化学物質を収載している。)

ESCO WG は化学物質評価の優先性のため、及び緊急事態の場合当面のアドバイスを提供

するための双方に戦略を提案した。

同様の化学物質の構造を持つ化学物質について毒性学上のデータが利用可能なとき、

read-across が当該化学物質の毒性に対し暫定的結論を描くのに利用される。(Q)SAR アプ

ローチがまた有用になりうる。

毒性学上のデータが僅か又はないとき、当該化学物質の化学構造に基づくひと曝露閾値ア

プローチ(例えば毒性学上懸念される閾値-TTC アプローチ)が利用できる。ひと健康に

有害影響を与える蓋然性が低い、これらひと曝露閾値以下のものの表は、この報告書で明

示し与えられた。

上記アプローチは全面的リスク評価の代替を企画していないことを強調しなければならな

い。これらの原則は、工業界が、優先して研究を実施しなければならないものを決めるの

に価値があるだろう。

消費者に潜在する食事経由暴露評価は、移行のモデル化に関係しプラスチック以外の食品

接触材料に含まれる化学物質の用途及び濃度に基づくことができる。通常の移行モデルは

当該化学物質の分子量に基づき、また化学物質の構造から導出する。より現実的か現実的

でない仮定及びシナリオが、当該材料及び用途に依存し企画することができる。

食事経由暴露が関連する曝露の閾値を超える可能性がある化学物質は、リスク評価に対し

優先性があると見なさねばならない。

危機的事案の中で動員される専門家のネットワークが構成された。それは国家当局及び工

業界からの専門家で構成され、EFSA に、短い通知の中に関連情報を添えて提供することに

なる。

ESCO WG が安全性評価に対する化学物質リストの優先化の一般原則を特定した。統一し

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たガイドラインが、規制内容の進化により有用になる可能性がある。例えばプラスチック

以外の食品接触材料に対し固有の規則を設定することである。

第Ⅰ章:序論及び背景

I.1. 序論

ここ数年、規制当局のラボが食品接触材料(FCM)から食品に移行する化学物質を発見した

ため、EFSAはリスクマネージャー緊急アドバイスを提供しなければならなかった。このよ

うな状況を、ここでは一言で‘危機’と呼ぶことにする。食品接触材料(FCM)分野におけ

る危機は、消費者の信頼を損なうだけでなく、予定した食品接触材料(FCM)に関する物質

の安全性評価についてEFSAが進めている作業を台無しにする。

この報告書に記載した研究を促進する出来事が2009年2月に起きた。当時、欧州委員会が

EFSAに、4-メチルベンゾフェノンという、包装の印刷層から朝食用シリアルに移行してい

る物質の安全性について緊急の科学的アドバイスを依頼した。この時EFSAは、的確なアド

バイスを早急に提供するために、予定した全ての仕事を延期してこの仕事を優先しなけれ

ばならなかった。同様に、緊急の安全性評価の要求は以前にもあり、紙及び型紙から移行

しているミネラル炭化水素、コーティング剤からのBADGE及びNOGE、接着剤からの芳香

族アミン類、ゴムからのニトロソアミン、ベビーフードの瓶の密閉ガスケットからのESBO,

及び印刷用インクからのITXに関して要求があった。

EFSAのアドバイザリーフォーラム(AF)は、2009年4月ブカレスト会合において、プラスチ

ック類は特定の規制、物質のポジティブリストでカバーされている一方、プラスチック以

外の食品接触材料(FCM)、例えばコーティング材、紙及び型紙、接着剤、印刷インキ及び

ゴム等から、危機が生じていることを強調した。これらの材料は、特定の規制でカバーさ

れず、数千の物質が安全性に関してEUレベルで評価されないまま製造に使用されている。

アドバイザリーフォーラム(AF)はまた、こうした物質評価に関する有用な経験が既に加盟

国で利用可能であると述べた。アドバイザリーフォーラムと科学委員会(SC)は、この知見

を収集編集することによって、現状の全体像を把握することができ、EUレベルでさらに議

論を促進できるということで一致した。そしてEFSAの専務理事は、関連情報を収集し、ギ

ャップを際立たせ及び今後の行動の優先順位を提案するために、EFSA科学共同

(ESCO)WGの設立を提案した。

このWGの取り決め事項(指示記載の通り、2009年12月3日付署名)によると、CEFユニット

は、次のため、このESCO WGに科学的及び行政的サポートを依頼した:

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プラスチック以外の食品接触材料(FCM)の物質評価について、加盟国で入手可能な情報を

収集する:

• 加盟国で利用可能な評価を収集

• 使用データ情報、及び評価結果を含め、評価済物質のインベントリを作成

• さらに緊急のとき集めることができる当分野で最も精通した専門家を確認

収集された状況を分析する:

• それらを評価した方法(ガイドライン、リスク評価の背景)により物質を分類

• 異なるアプローチ及び基本的なガイドラインにあるギャップ及び長所を特定

• 更なる評価に対し優先性を設定する原則を設定

ESCO草案を議論するためワークショップを開催する。

EFSAの専務理事に更なるアクションを求める提言を含め、最終報告書を準備する。

I.2. 背景

規制の背景

ここでは、EU、加盟国、及び欧州理事会で利用可能な評価の背景を説明する。加盟国が評

価に使用するアプローチ及び手順は第Ⅲ章で紹介する。

既存のEU法規制

規則(EC) No 1935/2004 (EC 2004)は、全ての食品接触材料及び製品を対象とするEUにお

ける枠組み規則である。食品接触材料を明確にし、基本的な要件を規定する:食品接触材

料は、ひとの健康を危険にさらしてはならない、食品の組成において容認できない変化を

もたらしてはならない、その感覚刺激特性を低下させてはならない。当規制の付属書に、

EUレベルで採用される可能性のある具体策に対する材料のリストを明記している。

全ての食品接触材料(FCM)は、欧州委員会規則No 2023/2006 (EC 2006)に示したように、

適正製造基準に従って製造されなければならない。

プラスチック類(委員会規則(EU) No 10/2011 (EC 2011)、陶磁器(理事会指令84/500/EEC)

(EC 1984)、再生セルロースフィルム(委員会指令2007/42/EC) (EC 2007) 及びアクティブ

及びインテリジェント材料及び製品 (委員会規則(EC) No 450/2009) (EC 2009)に関する具

体的なEUの法規制がある。具体的名EUの法規制に含まれる認可物質リストは、EFSA又は

SCFが行なったリスク評価に基づいている。

ゴム製哺乳用具に関しては、N-ニトロソアミン及びN-ニトロソ化可能な化学物質の移行の

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みを規制する(委員会指令93/11/EEC) (EC 1993)。コートされたものについては、エポキシ

誘導体BADGE、BFDGE及びNOGEだけが規制される(委員会指令 (EC) No 1895/2005)

(EC 2005)。

実のところ、規制1935/2004付属書Iに記載される食品接触材料(FCM)(紙及び型紙、ガラス、

木、コルク、金属及び合金、織物、接着剤、イオン交換樹脂、印刷インキ、シリコーン、

ニス及びコーティング剤、ワックス)の大部分に関して、具体的なEUの措置は実施されてい

ない。これらの材料は、全ての食品接触材料(FCM)に適用される枠組み規則の一般規定に

よってカバーされるのみである。加盟国は、既存の法律を維持し、具体的なEUの措置が実

施されないFCMに関する国の新たな法令を採用する可能性がある。既存の国の規制の全体

像については、DG SANCOのサイトで見ることができる:

http://ec.europa.eu/food/food/chemicalsafety/foodcontact/sum_nat_legis_en.pdf

プラスチック以外の食品接触材料に関する欧州理事会の勧告

欧州理事会は、食品の製造、流通、加工及び消費でしばしば使用される様々な種類の材料

に対する一般的な勧告を作成した。次の(プラスチック以外の)材料は対処されている:

コーティング剤、コルク、ガラス、インキ、金属及び合金、紙及び型紙、イオン交換吸着

用樹脂、ゴム、シリコーン。

全ての食品接触材料に関して、ひとの健康に危険をもたらし、感覚刺激特性の組成、又は

低下において容認できない変化をもたらすことが可能な量で、食料にその要素を移行すべ

きでないという要件がある。補足的な技術資料及び物質のインベントリで設定される具体

的な要件は、決議の付属書を参照のこと(付属書I)。物質のインベントリは、業界又は国の

当局による届出に基づいている。リストに記載されている物質は、必ずしもリスク評価さ

れていない。

欧州理事会で、食品及び医薬品の包装材に関する専門家委員会(P-SC-EMB)は、コルク、紙

及び型紙、印刷インキ及びガラスに関し以前に採択された決議の見直しを開始した(付属書

1)。専門家委員会は、消費者健康保護委員会(CD-P-SC)の保護の下で運営され、36の加盟国

(EU諸国及びEU以外の国々)及び欧州委員会からの公式代表者、及びEFSAで構成される。

その活動は、欧州医薬品品質理事会(EDQM)が調整している(連絡先:

[email protected])。

プラスチック以外のFCMのリスク評価に関する有用なデータについての科学文献

概略紹介

プラスチック及びプラスチック以外の包装材料は、接触している食品及び飲料中に化学物

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質を放出する可能性がある。問題になっている物質の暴露(移行及び用途に関連する)及び毒

性は、FCMと関連するひとの健康リスクを特徴づける2つの主な要因である。このセクショ

ンでは、最近の科学文献で公開された研究の全体像を紹介する。

分析方法、リスク及び暴露評価アプローチ、及び主なプラスチック以外の食品接触材料に

関する移行データに焦点をあてた科学論文が検討されている。

1991年、食品科学委員会(SCF)は、プラスチックFCMリスク評価の段階的アプローチを紹

介したが、これはEFSAによっていまだに使用されている(Barlow 2009, SCF Guidelines)。

欧州の法的背景、及びサプライチェーンでの枠組み規則1935/2004第3条順守確保の課題,

特にプラスチック以外の材料に関して取り組まれている(Grob et al., 2009a)。法制化及び適

正製造基準(GMP)双方の具体的な要件を検討するFCMのコンプライアンスが議論されてい

る(Grob et al., 2009b)。LD-CAST プロジェクト(イタリア)の枠組みにおいて、FCMのサプ

ライチェーンで、 特にアルミニウム、紙及び型紙、軟質包装材料、プラスチック、被覆・

非被覆金属及び合金、木、コルク及びガラスのサプライチェーンで、GMP規則

(EC)2023/2006の適用に関するガイドラインが開発された (Milana et al., 2009)。

包装材料から化学物質の暴露又は食事摂取を予測するため、2種類のデータが必要となる:

移行データ(食品又は食品擬似溶媒にある物質の濃度)及び食品消費データである。移行値は、

実際の食品系にある化学物質のモニタリングレベルから取得できる;移行実験から、材料

及び食品擬似溶媒間の接触時間及び温度の標準条件下で、及び/又は認知された数学的拡散

モデルを通して実施される。包装材料のタイプに関する定性的情報収集の調査を実施する

労力が、暴露量評価 を可能にするために実施された(Duffy et al., 2006a,b and 2007;

Bouma et al,. 2008; Poças et al., 2009; Foster et al., 2010)。確率論的アプローチは、暴露

評価(Holmes et al., 2005)と移行モデリング(Poças et al., 2010)をつなぐために適用された。

確率論的研究によれば、食習慣の変化は、包装材料の用途、包装材料の組成及び移行レベ

ルの変化よりも、移行物質の食事経由暴露に与える影響は小さい(Northing et al., 2009)。

ガラス及びプレーンな(コーティングされていない)金属はこのWGの目的には含まれていな

い。

材料ごとのレビュー

紙及び型紙からの移行は、プラスチック材料からの移行ほど大々的に研究されていない。

多くの科学記事は、有機物質(トリメチルジフェニルメタン、フタレート類、有機フッ素系

化合物、ジイソプロピルナフタレン、ベンゾフェノン、及び誘導体(例えばミヒラーケトン

など)、BPA、樹脂酸、3-クロロ-1,2-プロパンジオール)への、及び紙及び型紙(主にリサイ

クル)から実際の食品製品 (主に固形食品であるが他もある) 及び食品擬似物質(固体及び食

品擬似溶媒)への実際の移行、又は潜在的な移行に関するデータを提供する。 (Sturaro et al.

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2006; Summerfield and Cooper 2001; Aurela et al. 1999; Begley et al. 2005,2007

Summerfield and Cooper 2001; Boccacci Mariani et al. 1999; Ozaki et al. 2006a Ozaki et

al. 2006b; Pace and Hartman 2010; Parry and Daston 2004)。ごく最近、板紙から乾燥食

品への鉱油の移行が報告された(Vollmer et al. 2011; Biederman and Grob 2010)。様々な

分析方法が、ペンタクロロフェノール、金属類(例えば、クロム、カドミウム、鉛)、ジイソ

プロピルナフタレン、フタレート類、クロロフェノール、蛍光漂白剤 (Bononi and Tateo

2009; Domeño et al. 2005; Skrzydlewska et al. 2003; Zhang et al. 2008; Diserens 2001;

Aurela et al. 1999)などが、紙及び型紙から移行物質の分析に適用された。代替混入物質、

及び様々なファンクショナルバリヤーの効果を利用して、移行に影響を及ぼしている要因

に関する広範囲にわたる研究が実施されている(Castle 2004; Choi et al. 2002; Johns et al

1996)。更に、食品及び食品擬似溶媒への紙及び型紙中の潜在的な混入物質の移行及び反応

速度論、またダンボール紙と気相間の揮発性物質の分配行動に注目した研究もあった

(Triantafyllou et al. 2005; Nerín and Asensio 2004; Castle 2004; Choi et al. 2002;

García-Gómez et al 2004; Haack and Franz 2000)。食品中へのシミュレートされた移行の

組み合わせに基づいた消費者の食事経由暴露予測も、板紙で包装された食品の消費データ

と併せてアプローチされている (Pocas et al. 2010)。

欧州では、食品中で検出される印刷板紙及び多層包装材料に使用されるインキ成分(例えば、

イソプロピルチオキサントン、4-メチルベンゾフェノン)に対する緊急対策が必要になり、

これが研究活動のきっかけとなった。関連出版物では主に、分析方法の開発、食品中への

光開始剤の移行データ、及び印刷された包装容器の表面から食品中へと物質が移行するメ

カニズムが中心となった: 裏移り、浸透及び気層を通した移行、分析法(GC-MS、LC-MS、

HPLC-UV又はHPTLC)は、光開始剤及び、材料自身及び食品中のその他物質(2-イソプロピ

ルチオキサントンITX、 ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2-エキルヘキシル4-

ジメチルアミノベンゾアト、1-ヒドロキシシクロヘキシル-1-フェニルケトン、エチル4-ジ

メチルアミノベンゾアト、アクリル酸エステル、アルキルベンゼン類)の検出のために記載

されている(Morlock and Schwack 2006; Allegrone et al. 2008; Benettia et al. 2008; Van

Hoeck et al. 2010;Papilloud et al. 2010; Koivikko et al. 2010; Gallart.Ayala et al. 2011;

Sanches-Silva et al.2008)。食品/擬似溶媒中へのインキ成分の制御された条件のもとで潜在

的な移行物のテスト用に、擬似溶媒の適合性評価を含め、ある場合には動力的研究も含め、

移行の決定方法が開発された(Papilloud and Baudraz 2002; Jung et al. 2010;

Sanches-Silva et al. 2009; Rodriguez-Bernaldo et al. 2009)。外側の印刷面から食品接触面

上へ、印刷インキの無色成分の移行(裏移り)を検出する方法が開発された(Bradley et al.

2005)。ダンボール、プラスチック及びホイル、特に乳製品、飲料及び油性食品にパックさ

れた様々な食品における光開始剤のレベルに関する多くのデータが利用可能である

(Rothenbacher et al. 2007; Sagratini et al. 2008; Anderson and Castle 2003)。アルキルベ

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ンゼン(Aurela et al.2001)又はマレイン酸ビス (2-エチルヘキシル)など、UVインキに関連

のない他の物質の食品への移行も報告されている(Rutschmann et al. 2010)。印刷されたダ

ンボールから食品への物質の移行を防止する或いは減らすために、ファンクショナルバリ

ヤーとしてさまざまなプラスチック類の効果が研究されている(Johns et al., 2000;

Pastorelli et al., 2008)。更に、新しい低移行性オフセット印刷インキが開発されている

(Gude and Simat, 2009)。

接着剤は、様々なタイプの食品包装、様々な製品で広く使用される化学組成の複合グルー

プである:硬質パック及び多層構造の製造、ラベルの接着、密閉軟質包装等。紙及び型紙、

又はラミネートといった様々な包装材で使用される接着剤成分(揮発物及び非揮発物)の潜

在的移行に関して、いくつかの研究論文が発表されている(Gruner and Piringer, 1999;

Nerín et al., 2009; Canellas et al., 2010)。その中には、接着剤成分のスクリーニング用プ

ロトコルだけでなく、食品擬似溶媒中への移行検査に使用される手法のテストの開発も含

まれる。HS-SPME-GC-MS、GC-TOF-MS、UPLC-TOF-MS、又はUPLC-HDMSなどの技

術が報告されている。接着剤の移行モデルも明らかになった。欧州のプロジェクト、

MIGRESIVESの枠組みで開発されたソフトウェアは、INRAのウェブサイト“安全な食品

包装材料ポータル”からダウンロードできる: http://sfpp3.agroparistech.fr/.

ゴム及びエラストマーにおいて、二次元GC–MS、自動熱脱着ガスクロマトグラフィー及び

LC-MS (LC-APcI-MS)等の分析技術を使用して、可塑剤、ベンゾチアゾール、及び関連す

る加硫残渣、ニトロソアミン及びニトロソ化が可能な物質のスクリーニング及び移行研究

が言及されている(Forrest et al. 2006; Fankhauser-Noti and Grob 2006; Yokoe et al.

2008; Bouma et al, 2003; Barnes et al 2003)。

金属包装に使用されるコーティング剤の安全性評価のための戦略が提案された。異なる性

質のコーティング剤から、BADGE、NOGE、BPA、ビスフェノールF(BPF)、環状オリゴ

エステル類、トリメリット酸及びメラミンの移行のスクリーニング及び定量化技術が記載

されている。分析技術には、2D-GC、GC-MS、SEC及びNPLCが含まれている(Grob et al.

2010; Bradley et al. 2009, 2010; Zhang et al. 2010; Petersen et al. 2008; Thomson and

Grounds 2005; Simoneau et al 1999; Fankhauser-Noti and Grob 2004; Schaefer and

Simat 2004a,b; Schaeger et al. 2004; Goodsin et al. 2002; Dionisi and Oldring 2002;

Biedermann and Grob 2006a,b; Suárez et al 2000; Montanari et al.1996)。

シリコーン器具、特にベーキング金型、及びベビー用おしゃぶり及び乳首が、揮発性化合

物及びシロキサンオリゴマー類の観点から研究されている。H-NMR技術を使用して、擬似

溶媒及び食品中への全体的な移行試験が行なわれた(Lund and Petersen 2002; Forrest

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and Sidwell 2005; Meuwly et al 2007; Helling et al 2009,2010)。

圧縮コルク栓からの移行が研究された: 接着剤成分、及び潤滑剤及び表面処理がもとになる

潜在的な移行物質が確認された。商業的な化学物質の評価だけでなく、NIAS(注:非意図

的添加物) (イソシアネート類の加水分解によって生成される一級芳香族アミンのような)

を決定する方法のために、一般的アプローチが提案された(Six and Feigenbaum 2003)。コ

ルクの構造全体へのワインの浸透の膨潤効果が実証された(Six et al. 2002)。

非意図的添加物 (NIAS)

製造及び加工(例えば、モノマー類、添加剤類の)で意図的に使用される物質の不純物、或い

は製造工程の間に意図的に加えられる物質から生成される反応生成物は(例えば、物質の熱

分解による)、NIASの例であり、これらはFCMから移行できる。NIASの特定は、既存のも

のとは限らない(Grob, 2002; Bradley and Coulier, 2007)。

重合の間に生成される反応生成物は例えば、発泡剤アゾジカルボンアミド(Stadler et al.

2004)が分解してできるセミカルバジド、レゾール(Grob et al. 2010)、3-クロロ-1,2-プロパ

ンジオール(Pace et al. 2010)、ポリジメチルシロキサン(Meuwly et al., 2007; Helling,

2010)、4-フェニルシクロへキセン(Landy, 2004)である。ペンテン酸及びクロトン酸は、ポ

リ(4-ヒロドキシブタン酸/バレレート)の熱分解によって生成される。

安定剤及び酸化防止剤に関連する物質(Pospíšil, 1991; Al-Malaika et al. 1994)は、これらの

添加剤を意図的に分解することで生成される。ノニルフェノール(Fernandez, 2008; Soto

1991)、一級芳香族アミン(Az and Dewald, 1991)、N-ニトロソアミン及びN-ニトロソ化可

能な化学物質及び2-メルカプトベンゾチアゾール(Fiddler, 1996)は、添加剤の非意図的な分

解によってできる生成物である。

閾値アプローチ

毒性学上の懸念の閾値(TTC)アプローチは、ひと健康にリスクがないレベル以下にある化学

物質への、ひと暴露閾値をもとにしたリスク評価ツールである。このアプローチは、分子

の化学構造に基づいている。

TTCアプローチは、化合物の毒性についてわずかな情報しかない場合、或いは情報がない

場合に使用できるだろう。このアプローチは、香料の評価のためにEFSAが使用し、プラス

チック以外のFCMの優先性及び緊急評価に関するこのWGの勧告の一つである。

初期の規制上の閾値(ToR)アプローチは、慢性的な用量分布のプロット、発がん作用のデー

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タベース(CPDB, http://potency.berkeley.edu/) (Gold et al., 1984)から343の化学物質の分

析に基づく用量記載D50 (計算上50 %の腫瘍発生を誘導する一日の用量)、及び1×10-6 リス

クへの直線外挿法から、FDAによって導き出された。ToRの概念は、急性及び短期的毒性

データ、遺伝毒性テストの結果、及びアプローチの有効性を確認する強力な発がん性物質

及び作用の弱い発がん性物質を識別するアラート構造を組み込むことによって、更に広が

った。

非がんエンドポイントがToRに影響を及ぼすかどうかを評価するために、経口生殖毒性デー

タがある3,306の化学物質、及びその他反復投与毒性試験のデータがある2,542の化学物質

に関する化学物質毒性総覧(RTECS)データベースから、追加分析が実施された。結果に基

づいて、アラート構造、遺伝毒性テスト結果、及び短期的な毒性データを考慮した段階的

なTTCアプローチが、ToRアプローチを拡張するために提案された。

Munroと協力者たち (1996)は、非発がんエンドポイントに関連するTTCの使用を評価した。

彼らは、クラマーら(1978)が作成した分類に基づいて構造情報を使用した。化学物質は、“デ

シジョンツリー”アプローチに基づいて3つの構造クラスにグループ化した。Class I の物

質は、単純な化学構造で、代謝の効率的なモードを持ち、経口毒性の下位を示している;

Class III の物質は、安全性について、最初に安全であるという強い根拠が全くないか、あ

るいは顕著な毒性を示唆する化学構造を有する物質; そしてClass II は、中間の性質を持つ

物質が分類されている。ひと暴露閾値1800、540、及び90 μg/人・日(30、9、及び1.5 μ

g/kg-BW・日に相当)が、それぞれ体重60kg、安全性係数100 を使ってクラマー分類I、II

及びIIIに提案された(Munro et al., 1996)。具体的な閾値18μg/人・日が、有機リン系/カル

バメート物質のために導き出された。

データベースの追加拡大に加え、高い発がん作用のための特定のアラート構造をもつ化学

物質は、化合物特有の毒性データ(例えば、アフラトキシン様,アゾ及びニトロソ化合物)を必

要とし、いかなる閾値アプローチから除外されているという結論に達した。閾値0.15μg/

人・日を、“懸念のある群”の部分ではない遺伝毒性のアラート構造を持つその他全ての

化学物質に提案した(Kroes et al., 2004, Barlow, 2005)。

2011年EFSAの科学委員会(SC)は、TTCアプローチを再検討した(EFSA科学委員会, 2011,

採択予定の意見)。TTCアプローチは、物質のカテゴリーによっては適用できないものもあ

る。この中には、体内に蓄積するとして知られている物質(例えば、ポリ[a]ハロゲン化化学

物質, ジベンゾジオキシン、-ジベンゾフラン、–ビフェニル及び重金属)、オリジナルのDB

に含まれないそれら化学物質の分類 (例えば、元素のイオン及び有機の形態にある及びたん

ぱく質に含まれるエッセンシャルでない金属)、又はクラマー分類が適用されない物質(例え

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ば、ポリマー、無機化合物) が含まれている。

TTCアプローチの保守的な傾向は、EFSAでCEFユニットが行なう事業によって更に強化さ

れる。EFSAが既に評価したFCM物質及び有効な殺虫剤成分 由来のケース96%以上におい

て、アプローチ由来のひと暴露閾値(Munro et al., 1996)は、実験から得た毒性学上のデー

タに基づいたものよりも低いということを、データ評価は示した(Pinalli and al., 2011)。い

くつかの物質(5%以下)について、TTCアプローチは、それらの構造体の中に何らアラート

構造が存在せず、毒性試験に基づいたリスク評価よりも安全サイドにはなかった。

様々な閾値の概要は、表1の通りである。この問題に関する詳細なガイダンスは、2011年

に出版される、EFSAの科学委員会の意見で見ることができる。

表1: 毒性試験の優先順位、及び緊急安全性評価のための閾値

閾値

(μg/人・日)

閾値

(μg/kg-BW・

日)

発がん性物質 遺伝毒性の警告構造がある物質 0.15 0.0025

遺伝毒性の警告構造がない物質 1.5 0.025

非発がん性物質 有機リン系農薬/カルバミン酸塩(神

経毒性物質)

18 0.3

Cramer構造分類 III 90 1.5

Cramer構造分類 II 540 9

Cramer構造分類 I 1800 30

I.2.3. ECが資金援助した科学的プロジェクト

ここで紹介するプロジェクトは、最新のもので、内容を検証するための代替方法による移

行評価(BioSafePaper)、接着剤の移行(MIGRESIVES)、食事経由暴露(FACET)及び移行モ

デリング(MIGROSURE)を扱っている。

BIOSAFEPAPERプロジェクト(2001~2005)

BioSafePaperプロジェクトの目的は、デシジョンツリーアプローチに基づいて、グローバ

ルな食品接触の紙及び型紙の安全性評価のため、動物実験の信頼でき、使いやすいテスト

バッテリーを開発し、相互較正することである。著者もまた、通常実施するアプローチは、

微量成分及びNIASを十分に考慮に入れていないと述べている。従って、プロジェクトは、

紙のFCMの全抽出物について動物実験を用いグローバルアプローチを狙っていた。

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研究プロジェクトは、紙及び型紙からの移行物質を抽出する標準的な手続き、様々なエン

ドポイントを考察する多くのin vitro毒性テスト、安全性評価のデシジョンツリー、及び新

しいリスク評価アプローチを提示した(Severin et al., 2005; Bradley at al., 2008; Bradley

at al., 2010; Honkalampi-Hämäläinen et al., 2010)。

MIGRESIVESプロジェクト(2007~2010)

このプロジェクトの全体的な目標は、FCMの接着剤からの移行を推測する方法及びアプロ

ーチの“ツールボックス”を確立することだった。包装メーカー及びリスク評価者は、同

じツールボックスを持つべきである。

プロジェクトは、接着剤の移行モデリングへと重要な第一歩を踏み入れた。

各種接着剤層(ポリオレフィン、ゴム、EVA、VAE、PVAc、アクリル)及び基板(紙、ダンボ

ール、非極性プラスチック)の38のテスト移行物質の分画と拡散パラメータが決定されてい

る。これらのデータに基づいて、接着剤から食品擬似溶媒中への移行をモデル化するため

に、複数層の移行モデルが作られた。更に、スクリーニング目的のための分析手法が開発

されている(http://sfpp3.agroparistech.fr/からダウンロード可)。モデリング・パラメータの

データベースは、さらに実験的作業に基づいて、より広範に利用できるように将来的に拡

大されるだろう。

FACETプロジェクト(2008~2012)

FACET欧州プロジェクトは、とりわけ、食品接触材料から移行する物質への暴露を推定す

るツール製作を目的とする。業界パートナーのコンソーシアムと協力して、食品包装の使

用パターンに関する包括的な欧州のデータベース、及び欧州全域で使用される可能性のあ

る様々な包装材料に含まれる物質のデータベースを作成する。それらの移行挙動に応じて

食品の新たな、科学的根拠のある分類を開発し、暴露推定のために現実的な移行値を導き

出すのに役立つ。FACET は、特にプラスチック以外の材料及び多層多材料の包装材料の

食品への移行プロセスを説明する、基本的な分画及び拡散パラメータを導き出すために、

移行研究を実施する。暴露推定のための決定論及び確率論の両方の出力で、使用中の実際

の条件下で、全ての包装材料から食品への移行を推定するために、数学的なモデリングツ

ールを開発する。構造活性相関(SAR)アプローチが、包装材料への暴露の毒性学的意義を評

価するために開発、検証され、使用される。

MIGROSURE (2003~2006)

プロジェクトの主要目的は、FCMから移行する化学物質への消費者暴露を予測するツール

を提供すること、及び化学物質測定に対する移行モデル化の受容性及び曝露量推定への実

施を検討することにある。

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ツールは、いずれの予測しうる接触条件においても、プラスチック類から実際の食品中へ

と、移行プロセスを数学的に説明する物理化学的移行モデルに基づいた。モデルは、標準

的な最悪ケースの暴露シナリオ、又は食品消費及び食品のプラスチック包装材料調査から

の結果を適用することによって、移行に関連する暴露を推定するツールとして適用できる。

このプロジェクトの詳細については、http://www.foodmigrosure.org/に掲載している。

その他のプロジェクト

ECの資金提供によるプロジェクトは次のリンクで見ることができる:

http://cordis.europa.eu/fetch?CALLER=FP7_PROJ_EN&QZ_WEBSRCH=food+contact+

materials&QM_EP_PGA_A=&QM_EN_OC_A=&USR_SORT=EN_QVD+CHAR+

第Ⅱ章:WG の構成及び成果

II.1. WGの構成

このESCO WGは、次の専門家によって構成された: F. Bolle (Scientific Institute of public

health, Belgium), J. Bustos (Centro Nacional Alimentacion, Spain), V. Dudler (Swiss

Federal Office of Public Health, Switzerland), T. Ø. Fotland (Norwegian Scientific

Committee for Food Safety (VKM), Norway), T. Heinke (Federal Institute for Risk

Assessment (BfR), Germany), E. Kakouri (State General Laboratory (SGL), Cyprus), L.

Jorhem (National Food Authority, Sweden), S. Mannino (University of Milan, Italy), T.

Hallas-Moeller (DTU National Food Institute, Denmark), F. Pocas (Catholic Portuguese

University, Portugal), P. Sauvegrain (LNE, France), J. Sosnovcova (National Institute

of Public Health, Czech Republic), M. Sycova (National Reference Laboratory for Food

Contact Materials, Slovak Republic), D. Theodosiou (General Chemical State

Laboratory, Greece), B. M. van de Ven (RIVM, the Netherlands)。

ヒアリング専門家: A. Von Wright (University of Kuopio, Finland)。

専門家は、EFSAアドバイザリーフォーラムのメンバーに電話した後、彼らの国の所轄官庁

によって依頼された。専門家は、科学的卓越性と独立性に基づいて選ばれた。毎年利害宣

言が検討され、評価された。

CEFパネルのメンバー: A. Anadón (Universidad Complutense de Madrid, Spain), J.C.

Lhuguenot (University of Bourgogne, Dijon, France), M.R. Milana (National Institute

for Health, Rome, Italy).

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オブザーバー: S. Bahrke (Council of Europe); F. D’Atri, A. Schaefer (European

Commission)

EFSA Scientific Officers: A. Feigenbaum (head of the CEF Unit, chair of the WG), A.

Lupu, D. Spyropoulos.

II.2 プラスチック以外のFCMで使用のために加盟国、スイス及びノルウェイで評価される

物質

プラスチック以外の食品接触材料に関する情報の概要は様々な国にあり、当初、ワーキン

ググループ(WG)に参加している専門家全員によって提供された。このことを踏まえて、WG

で議論すべきとして次の材料が受け入れられた: 紙及び型紙、ゴム、着色剤、印刷インキ、

シリコーン、コーティング剤、コルク及び木。

加盟国の中には、法的に拘束されるポジティブリストのある規則を持つ国もある; また、国

内のリスク評価機関が評価物質の収載勧告を公表する国もある。多くの場合、加盟国は他

の加盟国の規則を参照、または使用するだけである。従って、危機に備えて、国際的に認

識された基準に沿ってリスク評価が実施された場合、どの機関が実際にリスク評価を実施

し、どの機関が毒性データ及び暴露データを保持するのか、知っていることが重要である。

WGはできる限りこの情報を収集した。

II.2.1 プラスチック以外のFCMリストの編集

このWGの第一の目的は、加盟国で実施される評価を集めることである。そのため、各材料

の、国内の関連物質の最新リストを、専門家たちが提供した。国の専門家が提供したリス

トは、EFSA事務局によって、固有の電子リストにまとめられた (付属書1を参照)。

1991年以降, 評価委員会の大多数は、プラスチックFCMに使用する物質の評価のために、

食品科学専門委員会(SCF)が採用するガイドラインを参考文書として使用した。1991年以前

に評価した多くの物質について、評価のためのデータ及び履歴を遡ることはできなかった。

このため、この情報が一般的に利用可能だったので、物質を評価したのは1991年より前か

後か、記録することが決定された。時には、このガイドラインの規定が、プラスチック以

外のFCMのケースに置き換えられた。

ある加盟国は、プラスチック以外の材料について、プラスチックに即して、SCF又は EFSA

が評価した物質を記載した。

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II.2.2 実施される評価による物質の分類

指示書に拠れば、このWGの成果目標は、加盟国で評価される物質のインベントリだった。

物質は、WGによって2つのリストに分類された:

リスト A: 1991年以後に評価された物質

この物質は、恐らくSCF/EFSAガイドラインに従って評価された。

リスト B: 1991年以前に評価された物質

この物質は、SCFガイドラインではなく、国の基準に従って評価されている。多

くの場合、物質がどのように評価されたのか、トレースすることができなかった。

注意: ESCOリストは評価をまとめたものであり、規定をまとめたものではない。

II.2.3 評価物質に関する情報

評価される物質に関する情報は、リストにまとめたように次の項目を含む:

• 物質名、

• CAS RN番号、

• 参照可能なとき、欧州委員会のPM参照番号

• 参照可能なとき、用途制限

• 可能な場合、SCFリストへの分類

• C.I.名称及び番号 (顔料、及び染料用のみ)

• 考えられる反応生成物に関する情報(全ての加盟国がこの情報を提供するわけではない。

これらの物質は時には、リストで利用できない及び/又はそれぞれの関係書類で機密部分の

一部である場合もある。)

• 物質の評価は1991年以前、以降のどちらにされたか (上記参照)

リストは国家レベルで示される情報を反映するが、使用可能な全ての情報を網羅している

わけではない(例えば、評価されているが、各ポジティブリストに記載されていない副生成

物ついて).

紙及び型紙、印刷インキ、着色剤、ゴム、シリコーン、コーティング剤、コルク及び木材

のための物質の7つに分けられたリストが、ESCO WG で参加している加盟国、ノルウェ

イ及びスイスから集められた。総計で、最終のインベントリリストには、3,000もの化学物

質が収載された。

様々な加盟国からのデータ間での不一致(例えば、異なるCAS RNで同じ名前が与えられた)

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が確認された。従って、この編集が完了したとき、EFSAは、集めた情報の整合性をチェッ

クするため整備組織を立ち上げた。この作業は、Decernis社が応じる調達契約でアウトソ

ーシングされた。

この調達の目的は:

• CAS RN が正しいかどうかを決定すること;

• 抜けているCAS RNを追加すること

• 代わりになるCAS RNが存在するかどうかを決定し、提供すること

• ECで使用する名前、又はアプローチを使用して、欧州評議会決議のリストにおける化学

名を見直すこと, 参照可能な場合、ECタイプの学術用語(例:EINECS).

各専門家が自分の権限において結果をチェックし、いくつかの修正がDecernis社によって

行なわれた。

この作業は2011年4月に完了した。

II.3 安全性評価の優先性順位化及び緊急アドバイスのためのツール

ESCO WGは、移行物質の化学構造だけが分かる場合、優先順位化及び緊急アドバイスのた

めの有益なツールとしてTTCアプローチを確認した。

II.3.1 プラスチック以外のFCMに使用する物質評価のための優先性を設定する基準

食事経由暴露が対応するTTC値を超えそうな物質は、リスク評価の優先として考慮される

べきである。

物質の化学構造を考慮して、対応するTTCが割り当てられる(表1を参照)。 TTCアプローチ

が使用できない物質について、リスク評価は、化合物特有の毒性データを必要とするかも

しれない。

消費者に潜在する食事経由暴露評価は、移行モデリングに関連して、プラスチック以外の

FCMにおける物質の用途及び濃度に基づいて行なうことができる。通常の移行モデルは、

物質の分子量に基づいている。移行も、食品中への移行物質の100%移行が起きると仮定し、

計算することができる。

通常、用途に関する情報がない場合、デフォルトの仮定 (現在6 dm² 包装 1kgの食品、毎

日消費)を使用することができる。

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用途が分からない場合、例えば高い消費者又は平均的な消費者、子供、及びブランド又は

包装のタイプのロイヤリティを考慮し、細分化したシナリオを設定することができる。

関連性がある場合、優先化に影響を与える可能性があるので、非FCMソースからの暴露を

考慮しなければならないかもしれない。

考えられるECHAとのリンク: 他のソースからの暴露レベルに関する情報、高い生産物質

に関する情報、及びFCM用途が総生産のごく一部だけを表す物質(FCMの小規模、大規模

生産など)に関する情報は、ECHAのデータベースを使用して取得することができる。

優先化アプローチの適用の例: 例として、スイスの規制の印刷インキ用光開始剤は、付属書

IIで記載するように、対応するクラマー分類に分けられた。この分類は、例えば暴露データ

又はシナリオと共に、優先順位付けにとって、有意義なスタートになるはずである。

II.3.2 緊急リスク評価

緊急リスクア評価に関して、データが殆どない状況で、暴露と毒性アプローチ(TTC、閾値、

read-across、SAR 及びOECD ツールボックス)を組みあわせて、様々なツールを使用する

ことができる。

閾値は、無作用量(NOEL)の分布曲線の5パーセンタイルを示すので、TTCアプローチ

(Munro et al., 1996)は、フルのリスクアセスメントに取って代わるように設計されていな

い。5パーセンタイル以下のNOELを持つ物質に関して、TTC閾値は充分安全サイドにない。

一方、TTCアプローチは、完全評価よりももっと桁違いに厳しくなり得る(Pinalli et al.

2011)。

例として、4-メチルベンゾフェノンのTTC(Cramer Class III)は1.5 μg/kg-BW・日で、こ

れは、朝食用シリアルからの食事摂取量[2~13.2μg/kg-BW・日 (子供用)又は0.8~5.2 (成

人用)]よりも低い。これらの摂取量は、ベンゾフェノン、同様の使用及び用途を有する化学

物質からの個々のリスク評価及びread-acrossに基づき、許容範囲と考えられている(EFSA,

2009)。

食事経由暴露について、同様の構造と用途をもつ物質に利用可能なデータであれば、それ

は、評価される物質に対し推定できるはずである。このような情報がない場合には、標準

又は最悪のシナリオを使用できる:例えば、FCM6 dm²でラップされた食品1kgという仮定、

完全移行のシナリオ等。ある物質からの移行を説明する物理的パラメータ(拡散及び分配係

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数、活性化エネルギー…)が利用可能ならば、移行モデリングを使用できる。FACETプログ

ラムはまた、これらのデータと食事経由暴露を相関させるツールを提供することが期待さ

れる。

これはESCO WGの範疇ではないが、緊急リスク評価のための様々な方法論とアプローチを

整理することが有用であることを強調しなければならない。

II.3.3 専門家のネットワーク

行政、及び業界から専門家のネットワークを作ることは、危機の際に動員にかなり役立つ

だろう。このネットワークの目的は、物質に関する情報を提供することであり、そのため

に警告が発せられ、緊急の科学的アドバイスの依頼がEFSAに寄せられる。このような状況

では、EFSAは、物質のリスク評価のために有用な業界からの情報を入手できる必要がある

だろう。

ESCO WGは、加盟国からの専門家のリストを提供した。利害関係者とのWG会議で、業界

関係者は、業界団体代表者がネットワークのメンバーになることを提案した。この会議の

後、EFSA は、ネットワークの各連絡先を指定した団体組織に通知した。この連絡先は、

情報をEFSAへ直接提供、又は関連情報を持つ人を示すことができ、緊急の場合には時間を

かけずEFSAにそれを提供できなければならない。

ネットワークのトレーニングは、恒久的なネットワークの遂行のため、ESCO WGのフォロ

ーアップとして、検討される。トレーニング及び作業プログラムによってこのネットワー

クの範囲を広める可能性が、利害関係者会議で提起された。

第Ⅲ章:加盟国からの寄与

ⅢA. 加盟国から示されたリスク評価及び国家規制の概要

1. チェコでは、公衆健康保護及び特定規制に基づく国家規制法 No 258/2000:食材及び食

品接触用製品への衛生要件に係る2011年2月19日厚生省決議 No.38がある。一般的要件、

最終材料又は製品への使用制限及び要件を付した PL が記載されている。PL の化学物質へ

のリスク評価は、国内規則に拠り申請者より提出された技術資料に基づき、リスク評価の

国家当局、国立公衆健康研究所(NIPH)で実施されている。安全性評価は常時厚生省で認

可される。2004 年からリスク評価は NIPH で実施され、プラスチック食品接触材料に対す

る SCF-FCM ガイドライン及び EFSA ガイダンスノートに拠り申請者から提出される書類

に基づいている。特定の材料(特に紙及び型紙)に対する国の PL にあるいくつかの化学物

質は BfR 勧告より来たものである。国の要件は、材料中の最大量、化学物質の純度規格、

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個々の化学物質又は化学物質のグループへの食品擬似溶媒への SML、又は溶剤抽出物であ

る。ある材料には、材料中の最大量としてだけ規制がかかっている。

2. フランスでは、リスク評価は ANSES で実施されている。プラスチック食品接触材料に

対する SCF-FCM ガイドライン及び EFSA ガイダンスノートに拠り申請者から提出される

書類に基づいている。従い、評価は通常一連のアプローチで行われるが、たいへん低い溶

出の場合、及び毒性学上構造的警告がないとき、閾値 0.5μg/kg 食品が適用される。アドバ

イス及び科学的意見は通常法にされるか又は勧告として考慮される。この規制上の決定の

要約は、フランス共和国官報(JORF)で編集され、冊子 1227JORF1994 として知られる。

(中略)

3. ドイツでは、リスク評価結果が食品接触材料について“勧告”の形で発行され(BfR 勧

告)、法的規範ではない。それらは、高分子化学物質から製造される消費者製品が健康安全

の点で規則(EC)No 1935/2004 第 3 条パラグラフ 1 の要件に合致する条件について、科学的

及び法的知見の現状を示している。この勧告は主に化学物質リストからなる;一般的要件

がまた含まれる。勧告はそれぞれ食品接触材料固有の種類(例えばシリコーン)に焦点化

している。規制は通常材料中の最大量として形式化している。リストへの化学物質の収載

には、申請は、プラスチック食品接触材料に対する EFSA ガイダンスノートに拠り登録さ

れねばならない。リスク評価は BfR で行われ、消費者製品の BfR 委員会の関連の小委員会

により支援される。もし全ての要件が合致しているとき、関連の化学物質は勧告に収載さ

れる。BfR 勧告は 1958 年に最初に発行した。非常に早い年に勧告に収載された化学物質に

ついては、書類化されたリスク評価は参照できない。こうした化学物質は ESCO WG リス

トに収載されなかった。

4. イタリアでは、リスク評価は SCF-FCM ガイドラインに拠り 1994 年から施行され、先

の国家ガイドラインを改訂して実施されている。PL 化のため、申請者から提出された技術

資料は、リスク評価を実施する、厚生省の技術/科学機関、衛生専門研究所(ISS)で評価

されねばならない。PL 化の最終決定は、上級健康理事会からのアドバイスを得た後、管理

機関の厚生省により記載される。

5. オランダでは、新規化学物質は、厚生省 RIVM 監視局にある G4 委員会で評価され、工

業界に示される。現在、リスク評価(サマリーデータシート)は、プラスチックについて

EFSA で使用された同じ方法に従い行われている。時々は、例えば、比表面積が小さい(プ

ラスチックに使用されるとき食品 1kg に対し 6dm2 より小さい)ある特殊な製品に対す曝

露シナリオはいくぶん改訂されて使用される。しかし殆どの化学物質は SML、最終製品中

の化学物質の最大量(QM)、食品への接触面積(QMA)の形で又は純度要件として示され

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る(オランダの食品接触材料規則)。いくつかの一般的要件は全材料に策定されている、例

えば一級芳香族アミンは検出量移行してはならない、添加剤は使用される機能発現に必要

な量以上の量で使用してはならない、総移行量は、これら材料より作成された異なる材料

及び製品の間で多様化しているとき、ある量を超えてはならない。

6. ノルウエイはプラスチック以外の食品接触材料に関する国家規制を持っていない。一般

に全食品接触材料は、欧州規則 1935/2004 第 3 条に適合しなければならない。製造者はま

た、欧州評議会の決議、BfR 勧告、米国 FDA 又はオランダからの国の規制のような、国際

機関又は他国からのガイダンスドキュメントや規制を考慮するよう勧告されている。プラ

スチック以外の食品接触材料のリスク評価は、ノルウエイ食品安全委員会からの要請に基

づきノルウエイ食品安全科学委員会(VKM)により実施される。

7. スロバキアでは、食品接触材料の統一した及び部分的には統一していない要件が、2003

年 6 月 9 日スロバキア農業省及びスロバキア厚生省の決議で設定され、食品接触材料を管

理する食品法規第 5 部で発行された。一般的要件、PL、使用制限及び最終製品への要件が

上記決議に記載されている。リスク評価はこの決議の部分にはない、そしてこの決議の作

成に分離前のチェコスロバキアの前の法規制及び他国例えばドイツの勧告が使用された。

8. スペインでは、ポリマー材料への国家規制(1982 年 11 月 4 日付決議-1982 年 11 月

24 日付 B.O.E.)が高分子化合物製造に使用される化学物質をリストし、その規制範囲に、

ゴム、コーティング剤、イオン交換入水及び接着剤を含んでいる。また制限限度が、総移

行量、特殊移行量及び色材の純度基準の形で作られている。

リスク評価はスペイン食品安全栄養委員会(AESAN)で実施され、申請者は、行政、工業、

消費者団体又は AESAN であることができる。これまでに毒性学上の評価がプラスチック

以外の食品接触材料に使用される化学物質に対し行われたことはない。

Ⅲ.B 加盟国、スイス及びノルウエイにおけるプラスチック以外の食品接触材料の概要

紙及び型紙

定義

フランスの定義に拠れば、紙及び型紙とは、この後‘紙’を称されるが、染色しない又は

漂白したセルロースベースの天然繊維から製造されるもので、リサイクルされた紙及び型

紙からのリサイクル済セルロース繊維を含む。再生セルロースからの人工繊維はまた、天

然繊維と混合して使用することができる。紙は、食品非接触面に、漂白し、染色なしで、

着色し又は印刷することができる。更に紙は、PE 繊維などの合成繊維や機能性添加剤を含

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むことができる。材料や型紙の対象物は、排他的に紙及び/又は型紙で製造される、又は

そのうちの 1 つが排他的に紙及び型紙で製造された 2 つ以上の繊維の層から構成すること

ができる。そして最終製品が食品接触用であることが考慮される。コートされた紙又は有

機又は無機顔料にポリマーが結合するような表面処理を行ったものがまた考慮される。

ドイツの定義:食品に接触する又は食品に影響する紙又は型紙で製造される単層又は多層

の日用品(製品、材料)。

オランダでは、紙及び型紙は、有機材料の繊維から製造されるシート、ホイール又は発泡

した器具として定義される。

スペインの定義では、リサイクル済紙及び型紙は、部分的又は全面的にリサイクルされた

繊維により製造されるセルロース繊維から、漂白した又は漂白していない繊維材料から製

造されるものと定義される。

国家規制及び他のガイダンス

1. ベルギーはたいへん古い法規制をもち、そして欧州評議会決議を使用している。

2. キプロスは国家規制をもたず、単に世界的な勧告をもっている。

3.チェコでは、原材料(繊維材料、原材料への添加剤及びフィラー)、製品目的及び食品

接触材料として特定の紙精製物による紙及び型紙をカバーする食品接触材料として紙及び

型紙に法的要件をもっている。多くの化学物質は BfR 勧告から来ており、それらの安全評

価はドイツのリスク評価当局で実施された。他の化学物質が国家リスク評価機関、チェコ

国家公衆健康研究所で評価され、2000 年に以前厚生省で認可された。国家規制はリサイク

ル済繊維に特定の規制をかけている。認可化学物質リストが設定されている。紙及び型紙

製造時使用される化学物質について純度基準、汚染物レベル及び試験条件を含む要件がま

た設定されている。

4. フランスでは、勧告が、評価済化学物質リストとともに発行されている。これら勧告に

は、紙及び型紙製造時使用されるある種の有機化合物(例えば光学漂白剤)に対する純度

基準、汚染物質のレベル(例えば PCB、PCB 類縁体)及び既に当局から発行された試験プ

ロトコール(例えば CEN)が含まれている。

5. ドイツでは、紙及び型紙に関し 4 つの勧告がある。それらは化学物質と規格のリストが

含まれる(例えば、原材料としてリサイクル済繊維から製造される紙に含まれる第 1 級芳

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香族アミン又はフタレート)。

勧告 ⅩⅩⅩⅥ 食品接触用紙及び型紙

勧告 ⅩⅩⅩⅥ/1 クッキングペーパー、ホットフイルターペーパー及びフィルター層

勧告 ⅩⅩⅩⅥ/2 ベーキング目的の紙及び型紙

勧告 ⅩⅩⅩⅥ/3 食品包装用セルロース繊維ベースの吸収パッド

勧告 ⅩⅩⅩⅥは、室温使用の紙及び型紙をカバーしている(勧告 ⅩⅩⅩⅥの規制範囲は

90℃以下で使用される紙及び型紙に拡大することを意図している)。特定の目的に使用され

る紙(例えばベーキング)は、他の勧告でカバーされる。ナプキンやキッチンタオルはま

た勧告 ⅩⅩⅩⅥでカバーされる。

それは全体状況に言及する前文及び紙製造の原材料としてリサイクル済繊維を使用する前

提条件を記述した付属書を含んでいる。

特定の章は:

A. 原材料(繊維状材料;原材料としての添加剤;フィラー)

B. 製造目的(サイジング剤;沈殿;固化及び乾燥剤;保持剤;脱水促進剤;分散及び浮

揚剤;脱泡剤;減容剤;保存剤)

C. 特定の紙改良剤(湿潤時強化剤;保湿剤;着色剤及び光学漂白剤;表面改良及びコー

ティング剤)

勧告 ⅩⅩⅩⅥ/1 は、高温抽出目的に(例えば煮沸バッグパッケージ、ティーバッグ、ホッ

トフイルターペーパー)、又は抽出(ろ過)をそれらを含む目的としたフイルター層用途の

ための、クッキングペーパー、ホットフイルターペーパー及びフィルター層をカバーする。

勧告 ⅩⅩⅩⅥ/2 は、ベーキングの間、食品に接触する又は食品に影響する紙及び型紙に適

用する。

勧告 ⅩⅩⅩⅥ/3 は、食品包装用セルロース繊維ベースの吸収パッドをカバーする。

これらの勧告に示された規制は殆どが歴史的理由から使用レベルになっている。例えば、

“乾燥繊維重量ベース x%”又は“dm2 当たり物質 xmg を超えず”。この規制はまた、抽出

物における制限(例えば、“最終製品の水抽出物への….の移行は技術的に達成可能な中で低

くし、いかなる場合も 12μg/L の制限を超えてはならない”)又は移行量制限(例えば、“食

品又は擬似溶媒 kg 当たり物質最大 xmg”)の形式で表される。

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関連の勧告に化学物質を収載するため、企業は申請登録しなければならない。その後 BfR

は申請をチェックし、BfR 消費者製品委員会の関連の小委員会で討議する。全ての要件が

合致していれば化学物質は収載される。

ほぼ 1991 年から“申請ガイダンスへの注記”が使用されている。これは、申請者が関連の

様式を守らねばならないこと、関連情報を提出しなければならいことを意味する。プラス

チックと紙の違いのため、いくつかの追加の合意が必要である、紙からの移行の基づくリ

スク評価は使用レベルの求められる最大量で処理される。現在仮定としてつぎが使用され

ている:紙 100g/m2及び紙 6dm2が食品 1kg と接触している。実際の作業では 2 つの専門

家グループが申請のデータ評価を作業している:1 つのグループは技術、化学及び分析の視

点及び記述に焦点化し、他の一つは毒性学上の疑問に焦点化している。

6. ギリシャでは、ギリシャ食品飲料水規則第 24 条で食品包装材料として使用される材料

への要件を提供している。Cd,Pb,Hg 及びペンタクロロフェノールの最大濃度制限が、欧州

評議会の決議から示されている。また多くの要件が設定されている(例えば、食品接触紙

は食品に色材が移行してはならない、紙は安全な色材で着色しなければならないなど)。

有機コーティング剤でコートした紙は、ギリシャ食品飲料水規則第 26 条に従わねばならな

い。ここでは、欧州評議会の決議を参考に、食品接触材料として有機コーティングへの要

件が設定され、及び認可モノマー及び出発物質のリスト(表 1)及び認可添加剤のリスト(表

2)が、SML 又は最大濃度とともに示されている。

7. イタリアでは、特定の法規制は 1973 年に示された。紙及び型紙は D.M.21.3.1973 及び

その後の改訂で規制される。この規制は構成物質(繊維材料、フィラー、助剤及び光学漂

白剤)及び加工助剤の PL を含む。構成物質の及び総移行量の試験は要求されていない。構

成上の要件をチェックする法的な分析方法は、D.M.21.3.1973 付属書Ⅳにある。

特定の規制はリサイクル済繊維に示され、特殊な場合だけ使用される。イタリアでは、リ

サイクル済紙及び型紙は食品接触材料に使用でき、最終製品が特定の構成上の及び純度の

要件に適合する限り、移行試験は欧州の慣用的分類(指令 85/572/EEC)で記述されていな

い。この規制への例外は、最小限 200g/m2あり最低 3 層の多層だけである(中間及び直接

接触層をカバー);直接食品接触層は尐なくとも 35g/m2 なければならない。これら製品で

は、直接食品接触層だけが、純度の要件を尊重しなければならない。これら型紙は食品リ

ストだけに接触させることができる(例えば、セリエル、乾燥パスタ、砂糖、塩、殻つき

の果実など)。この例外とされた型紙の記述は、波型の型紙には適用しないことを明記する

必要がある。

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8. オランダでは、紙及び型紙は PL の方法で規制されている。2 つに分かれた PL があり、

1 つは“汎用の紙及び型紙”についてであり、一つは“80℃超の温度で調理する食品接触材

料として、及び飲料水のろ過に使用する紙及び型紙”である。特定の規制は、殆どが SML

の形式をとっているが、使用が認められた多数の化学物質に適用される。

9. ノルウエイは紙及び型紙に特定の規制はもっていない。“紙及び型紙の食品接触材料に

関する北欧報告書”は、製造チェーンの製紙業者、食品工業、他の事業責任者及び利害団

体にガイダンスドキュメントとして、最終製品が規則(EC)No 1935/2004 第 3 条遵守を保証

するツールとして使用されている。報告書は、欧州評議会の決議 AP(2002)1(付属書Ⅰ参

照)に基づき、ある点では規則(EC)No 1935/2004 に基づいている。欧州評議会の決議に比

較したときの重要な補足は、北欧報告書は、食品接触用紙及び型紙製造に使用される化学

物質は EFSA,BfR 又は FDA で評価されていることを求めていることである。これは移行同

様に他の使用条件を含んでいる。

10. スロバキアでは、紙及び型紙への規制があり、認可化学物質リストが策定されている。

このリストは他の加盟国で評価された化学物質から構成されている。食品接触用の紙及び

型紙からの材料及び製品製造又は改善は、法的対応としてこの付属書にリスト化された原

材料、添加剤、助剤及び他の化学物質だけを使用することができる。

一般的要件が紙及び型紙からの製品に設定され、いくつかの化学物質の使用は制限を付し

て規制されている(最大量)。

最終製品への要件:SML が、PCB、フェノール及び PCP(ペンタクロロフェノールのよう

な)、PAH(ベンゾ(a)ピレンのような)、ホルムアルデヒド、1 級芳香族アミン、ジアルキ

ルフタレート及び金属(Cd,Pb,Cr,As,Hg)に設定されている。

11. スペインでは特定の法規制はないが、リサイクル済セルロース繊維へのガイドライン

が 2007 年 AESAN 科学委員会で発行され、これらは欧州評議会の決議 AP(2002)1 に基づ

いている(2007 年 AESAN)。ガイドラインは、欧州評議会の決議 AP(2002)1-技術ドキュ

メント 1 及び技術ドキュメント 2(付属書 1 参照)をリファーしている:一般制限、純度規

格及び又最終製品への規格(SML、QM)が設定された。これらは欧州評議会の決議

AP(2002)1 と同じである。

12. スイスは紙及び型紙材料の品質に一般的要件だけをもっている。スイス固有の又は欧

州の規制が留保されているので、法規制官及び管理当局によれば、工業界は、紙及び型紙

製品について規則 1935/2004(第 3 条)の一般的要件に対し適合性を規定するための参考

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資料として、欧州評議会の決議(付属書 1)を適用していると見ている。

13. ポルトガルには規制がない。欧州評議会の決議が、(EC)No 1935/2004 第 3 条の遵守

を支持するガイダンスドキュメントとして使用されているが、強制力はない。

印刷インキ

定義

1. フランスでは、包装材料用インキは、色材の有無を問わず全ての用途であり、食品接触

用材料及び製品の外側(又は食品非接触面)の印刷工程又はコーティングに使用されるも

のをいう。“包装材料用インキ”として参照されるインキ、コーティング材、艶出し印刷は、

染料物(色材、染料)、バインダー、可塑剤、溶剤、ドライヤー及び添加剤から作られる配

合の全てからなる。これらインキは印刷工程、軟質グラフィー、グラビア、レター印刷、

オフセット、スクリーン印刷、デジタル印刷又はローラーコーティングのような印刷工程

で使用される。

2. スイスでは、包装材料用インキは、食品接触用材料及び製品の食品非接触表面に適用さ

れる印刷インキ及び艶出しの調剤である。食品への直接接触用途のインキは食品添加物と

して規制される。

包装材料用インキは、色材、バインダー、可塑剤、溶剤、ドライヤー及び他の添加剤から

製造されるあらゆる調剤である。それらは溶剤ベース、水性、親油性樹脂製又はエネルギ

ー硬化(UV 又は電子ビーム)のシステムである。それらは、軟質グラビア、グラビア、レ

ター印刷、オフセット、スクリーン、非インパクト印刷又はローラーコーティングのよう

な、印刷又は艶出し工程で適用される。

それらの最終状態では、包装材料用インキの層は、材料及び製品表面上で薄膜又は乾燥又

は硬化した印刷インキ又は艶出しである。

国家規制及び他のガイダンス

1. チェコは印刷インキについて一般的要件だけをもっている。溶剤の揮発性への要件を設

定している(残留量 10ppb 未満)。

2. フィンランドでは印刷インキを規制していないが、ある研究プログラムが印刷インキか

らの移行について実施されている:分析方法、毒性試験。

3. フランスでは、ANSES からのインキに対する勧告、1995 年の意見が食品接触材料に

使用されている。溶剤のリストがあり、33 の溶剤、12 の SML 及び除外リストを含んでい

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る。プラスチックに評価された顔料が印刷インキに使用できる。

4. ノルウエイでは、印刷インキに特に規制はない。N-エチルトルエンスルフォンアミド

(NETSA)は食品接触材料の印刷インキに可塑剤として使用されているが、リスク評価が

2008 年ノルウエイ食品安全科学委員会(VKM)で実施された。VKM はそれから、申請者

から提出されたデータに基づけば、NETSA に TDI/TWI を設定するのは困難と結論した。

そして結論は NETSA により最大許容移行レベルについて到達できなかった。なぜならこ

の化学物質に潜在する変異原性及び遺伝毒性を確実に決定されなかったからである。

2009 年 NETSA は、申請者からの追加データに基づきスイスとドイツで評価された。

NETSA はいま SML 5mg/kg を課して印刷インキに関するスイス規制のリスト A にリスト

されている。

5. オランダでは、印刷インキに PL はない。プラスチックの色材に設定された制限は、印

刷インキについて、移行量及び不純物の要件の双方に適用されている(下の§10 色材を参

照)

6. スロバキアは枠組み規則 1935/2004 第 3 条相当の規制、印刷インキ、多環芳香族アミ

ン、PCB 誘導体の基準をもっている。印刷された製品及び印刷インキの不純物基準につい

てある種の一般的要件が設定されている。

7. スイスでは、包装材料用インキは欧州評議会の改訂された決議(付属書Ⅰ参照)により

規制されている。スイスはそれを国家規制に転用し(連邦法の分類された編纂)、認可物質

の最新リストを発行した(包装材料用インキ製造に認可された化学物質リスト)。このリス

トは A 部と B 部に分けられている。A 部は毒性データが食品接触用途でリスク評価に充分

である“評価済み”化学物質を含んでいる。それらの使用は、プラスチック材料に SML 又

は QM だけで制限可能である。B 部は毒性プロファイルが不完全な化学物質を含む。これ

ら“未評価”化学物質は、食品又は移行試験に 10μg/kg の限度値(分析誤算を含め)で検

出されない条件で使用可能である。現在規制当局が推奨した試験プロトコルはなく、分析

は食品に直接実施される。化学物質リスト化作業は欧州工業界(欧州印刷協会レファラン

ス参照)及びドイツとの協同で継続している。

包装材料用インキへのスイスの規制は 2010 年 4 月 1 日発効した。規制範囲、定義及び要件

(化学物質の PL、SML、検出限界は 10ppb に固定、GMP ガイドラインの使用)は、欧州

評議会の決議に一致している。しかしこの規制は新規化学物質を直接上市するときの届出

手続きを設定している。

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A 部(評価済化学物質)は食品接触用途に評価された化学物質だけから構成されているが、

必ずしも国家当局(例えば ANSES、BfR、公衆健康連邦局(FOPH)...)又は国際的評価

機関(例えば EFSA)により印刷インキに使用されていない。B 部(未評価化学物質)は、

工業界自身で評価され、及びスイス当局に届出られた物質をリストしている。包装材料用

インキはこれらリストに、又はプラスチック材料の PL に示された化学物質だけから製造さ

れ、そしてその中に示された制限を課せられている。つぎのリスト改正(2011 年)は 5,106

の化学物質(A 部に 1,085 及び B に 4,021)を含むことになる。A 部及び B 部は、その化

学物質の官能基分類を記載した 5 つのリストに分割されている。

Ⅰ バインダー(モノマー)リスト

Ⅱ 染顔料リスト

Ⅲ 溶剤リスト

Ⅳ 添加剤リスト

Ⅴ 光開始剤リスト

B部にリストされた化学物質はいかなる公的に認知された科学的リスク評価も課せられて

来なかった。これら化学物質の使用は、これら化学物質が食品又は食品擬似溶媒への移行

が検出されないとき認められる。関連の立証は、“極端なケース”の計算方法又は実際的実

験により提供可能である。

リストに追加されるあらゆる化学物質の使用は可能であるが、最初に届出手続きにより公

衆健康連邦局(FOPH)に報告しなければならない。この届出は特につぎの情報収載を必須

とする書類を付帯しなければならない:

・ 当該化学物質の毒性;

・ 食品又は食品擬似溶媒に移行する化学物質の性状と濃度;

・ 当該化学物質に関し使用されるトレース分析法;

・ 当該化学物質使用に必要な技術。

A 部にリストされる化学物質について、書類の要件は食品接触物質のガイダンスに関する

EFSA 注記に一致する。書類受理後、FOPH が報告された化学物質の用途への条件に疑問

があるときは、新たなエントリに管理権限が通知される。

色材

定義

1. ギリシャ食品飲料水規則では、第 26 条 a にプラスチック食品接触材料だけの色材を示

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している。この条には、“色材”という用語は、プラスチック食品接触材料のコーティング

に使用される各化学物質に使用される。それは染料、有機及び向き顔料、色材の見なされ

る白と黒を含む。色材の定義に、プラスチック媒体キャリアーで予備分散された基材は含

まれない。

国家規制及び他のガイダンス

1. チェコでは色材及び顔料は、色材及び顔料からの抽出元素(重金属)及び芳香族アミン

の最大値を考慮し法的要件に適合したとき、食品接触材料用として認められる。

CB から抽出される PCB に対する純度基準は、欧州に入る前に設定された。色材の純度に

対する要件はフランスと同じであり、欧州評議会決議 AP(89)に基づく。

2. フランスは色材に勧告を持っている。その作業は 1959 年開始され、法令案は最近発行

された。それは 2 つのリスト、(A)認可された有機及び向き顔料(プラスチック、艶出し

及びコーティングで、印刷インキ以外に対する EFSA ガイドラインに拠り評価された)及

び(B)暫定的受け入れられた顔料(4 年間、要求データの提出を留保)を含む。それはま

た純度基準を含み、色材に関する欧州評議会決議及び可能な規制にほぼ一致している。重

金属、芳香族アミン、PCB 及び CN に規格がある。

3. ギリシャ食品飲料水規則第 26 条 a のプラスチック食品接触材料への色材にについて。

多様な要件が設けられた(例えば着色されたプラスチック材料は使用される擬似溶媒に着

色剤の色移りがないこと、着色されたプラスチック材料は均一な色、使用条件で安定した

陰がなければならない、色材は 150~300℃の耐熱性がなければならないなど)。

色材の純度基準が他の加盟国の法規制に採択された(イタリア及びドイツ)。

4. イタリアは、プラスチック、ゴム及び紙への色材に一般的要件をもっている(金属の純

度、芳香族アミン)。

5. オランダでは、色材及び顔料は、色材及び顔料から抽出される元素及び芳香族アミンの

最大量に係る要件に合致したとき、食品接触材料に使用が認められる。更にスス及び他の

カーボン製品は純度要件に合致しなければならない。

6. スロバキアは、印刷インキ及び色材に一般的勧告及び要件をもっている。

7.スペインは食品接触用ポリマー材料に使用される 色材と純度基準をもっているが PL

はない。

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8. ドイツは、“日用品に使用されるプラスチック及び他のポリマー用色材”と題された勧

告に発行された色材の一般要件と純度基準を持っている。

ゴム

定義

フランスの定義:ゴムとは、ゴムラテックスと他の天然物及びゴムラテックス及び乾燥合

成物を冷却することで一般に得られる炭素系高分子により作成される、高い弾性的伸びを

有する天然又は合成ポリマーであり、有機物のホモ又はコポリマーを含むものをいう。熱

硬化性エラストマーは、冷却を必要としないが、ゴムに含まれる。

2. ドイツの定義:天然及び合成ゴム、熱硬化性エラストマー。

3. ギリシャ食品飲料水規則第 28 条 a は、エラストマー又はゴムの乳首及びおしゃぶり

について、放出される N-ニトロサミン及び N-ニトロサミン化合物に最大限度値を設けてい

る。

4. オランダでは、ゴム製品は、一つ又はそれ以上の添加剤を加えたエラストマーベースの

製品として定義される。ゴム製品は、エラストマーと添加剤の混合物から得られ、温度上

昇及び加圧して又は圧力なしで、分子スケールで架橋しているものである。

エラストマーは高分子系の自然及び合成材料として規定され、18~29℃の温度での成型力

をかけ変形させたあとも、その力の除いたとき最初の形に直ちにそして自発的に戻るもの

をいう。

エラストマーの規格:

・ エラストマーの分子が尐なくとも 500 の構造的部分(モノマー)から構成されている。

それらは塩素化及び/又は臭素化できる。

・ エラストマーは、沸騰ベンゼン、MEK 又はエタノール・トルエン共沸混合物の中で、

そのエラストマーの膨潤がこれら液体の影響で生じえるが、部分的に不溶な状況で加硫で

きる。

・ 加硫状態で及び加硫に必要なもの以外の化学物質を含むエラストマーは、18~29℃の

温度で 3 次元に伸ばすとき、最初の延長を 2 倍に引き伸ばし 1 分間その状態を保持したあ

と、最初の延長の 1.5 倍の長さ未満に縮め 1 分間おいたとき、最初の延長が破断しない。

国家規制及び他のガイダンス

1. ベルギーでは、欧州評議会のリストが使用されている。

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2. チェコはゴム及びエラストマーに特定の規制をもっている。工業界は、国家リスク評価

機関 NIPH に書類を送付し、いまリスク評価を受けている。いまいくつかの化学物質が再

評価を受けている。国家の要件は材料の最大含有量、化学物質の純度規格、個々の化学物

質又は化学物質のグループの特定の食品擬似溶媒への SML として設定された。ある種の化

学物質又は化学物質のグループについて、制限が材料の最大含有量として設けられている。

3. フランスは、乳首及びおしゃぶりについて、プラスチック材料のモノマーPL により完

成した 1994 年 PL(Arrete 9/8/05)を持っている。ここには 18 種以上のモノマーと出発物

質を含み、時々はプラスチックの PL にあるが、異なる制限を持っている。PL にある他の

化学物質の大多数は、SCF ガイドラインの要件に合致していない削減した書類に基づき評

価されてきた。

4. ドイツは異なるリスト(カテゴリー)にゴムの勧告をもっている。(この勧告の法的状

況及びどのように化学物質が収載されたかについては、紙及び型紙の関連章を参照)。この

勧告はまた試験条件を含め OML を含んでいる。しかしこのリストはたいへん古く改正が計

画されている。

5. イタリアでは、ゴムは、エラストマー及び添加剤の PL,移行量制限及び標準化された

移行試験を含む D.M.21.3.1973 及びその後の改定で規制されている。食品用擬似溶媒及び

参照接触条件は、OML と SML 双方に適合性を確認するよう示されている。この利用可能

な法的な分析方法は同じD.M.付属書Ⅳにある。リサイクルされたゴムは認められていない。

6. オランダではゴムは 3 つの PL の方法で規制されている:低曝露製品に一つ(cat.Ⅲ)、

高曝露製品に一つ(cat.Ⅱ)及び乳幼児製品に一つ(cat.Ⅰ)。低及び高曝露製品の分類は、

相対的な接触面積、接触時間、製品に接触する食品の温度及びその製品の使用回数を考慮

し、式を用いて推定される。低曝露製品からの化学物質の移行について、その移行が無視

できると見られるとき、測定する必要はない。高曝露製品の場合、SML は多数の化学物質

に導出されている;これら SML は 10 に分けられ、また乳幼児製品にも適用される。乳首

及びおしゃぶりについて、移行量制限は、kg 食品の代わりに乳首/おしゃぶりごとに適用

される。

7. スロバキアは、他の加盟国で評価された化学物質からなる認可物質リスト(分割前のチ

ェコスロバキアの前の法規制、及び他の加盟国、例えばドイツの勧告を使用して作成した)、

最終製品へのいくつかの制限や用件、及び試験条件を持っている。最終製品はその用途に

従い 5 つのカテゴリーに分けられ、各カテゴリーには特定の試験条件と要件(制限)が存

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在する。

8. スペインは、ポリマー材料に古い法規制(1982 年、1985 年に改訂)があり、ゴムが含

まれ、PL(CAS 番号はない)と移行量制限がある。試験条件は規定されていない。評価は

他の加盟国から又は FDA から採用した。

一般原則:いくつかの加盟国はオランダの R ファクターを使用している。

シリコーン

定義

1. フランスの定義:食品接触用材料及び製品製造に使用されるシリコーンエラストマーは、

排他的にオルガノポリシロキサンにより製造されねばならない。これらには、シリコーン

原子上のメチルグループについて部分的につぎのグループで置換することができる:C2~

32 アルケニル、C2~32 アルキル、OH、H、2 置換アルキルアミン及び/又はアルキルヒ

ドロキシル、アセトキシ及び/又はアルコキシ、

及びそれらのポリエチレングリコール及び/又はプロピレングリコールとの縮合生成物:

食品又はそれらの擬似溶媒へのエチレンオキサイドの特定移行量は 0.15mg/kg を超えては

ならない、

N-フッ素化アルキル及びフェノール:シリコーンエラストマーは、5 未満のメチル-フェニ

ル-シクロシロキサンのシロキシユニットをもつ構成要素を 2 部以上含んではならない。

加えてシリコーンエラストマーについてシクロポリシロキサンは同じシリコーン原子上で

フェニルグループ及び水素原子又はメチルグループであってはならない。

2. ドイツの定義:オリガノポリシロキサン。

国家規制及び他のガイダンス

1. チェコでは、国家の要件は、化学物質を PL を含め、フランスの規制とドイツ BfR の勧

告の寄せ集めである。それらはモノマー及び添加剤の PL 及び最終製品への要件をもつ。こ

の PL は、改訂が必要なとき国家リスク機関(NIPH)により再評価されている。

2. フランスでは、規制は、39 以上の化学物質からなる PL をもち実施されている。モノ

マーリストはなく、シリコーン製造に使用される出発物質だけが説明されている。モノマ

ーの総移行量、特殊移行量及び/又はモノマーの残存量、材料又は対象中の添加剤の特殊

移行量又は残存量、揮発性有機材料、有機スズ化合物及び過酸化物が設定されている。総

移行量及び特殊移行量試験の EN 標準(EN 1186 及び EN 13130 標準)が使用されており、

揮発性物質の試験方法はフランスの規則 25/11/92 に、過酸化物はフランスの Pharmacopea

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に設定されている。

3. ドイツでは、揮発性化学物質に一般的規制をもつ勧告が存在する。(この勧告の法的状

況について、及びどのように化学物質が収載されるかについては、紙及び型紙関連の章を

参照。)

4. イタリアでは、DM 21.3.73 の規制及びその改訂に拠り、添加剤の PL がある。プラス

チックに示される総移行量及び特殊移行量が適用される。

5. スロバキアでは、シリコーンに固有の規制は存在せず、ゴムへの同じ規則を使用してい

る。

6. スペインでは、ポリマー材料(シリコーンを含め)への規制は PL をもち、規制は総移

行量及び特殊移行量制限として設定されている。

7. スイスでは、欧州評議会の決議が国家の法規制に転用されている。化学物質リストは改

訂されていない。移行量制限(総移行量及び特殊移行量制限)の適合性検証は、プラスチ

ック材料への試験条件により実施される。揮発性有機材料の試験手続き及び最大放出量

(0.5w/w%)はフランス規制から転用された。

コーティング剤

定義

1. オランダでは、表面コーティングは、再生セルロースフィルムを除き、既に存在する基

板に適用された連続層として特定される。連続層は、溶媒のない材料から、フッ素ポリマ

ーから、水または有機溶液中の高分子化学物質の分散、水へのパラフィン及びワックスの

分散という方法、水又は有機溶媒内での溶液という方法、又は金属層として適用される。

2. フランスの定義:コーティングとは、基板上に層/フィルムを形成するため適用される

主として有機材料から作成される最終製品を意味し、保護層を創るため及び/又はある種

の技術的効果を分担するため、そうした方法を取る。

3. ギリシャの食品飲料水規則第 28 条は、食品接触材料の表面コーティングをリファーし

ている。それに拠ると、コーティングは基板上に連続したフィルム形成により適用される

有機材料として定義され、基板と食品間で保護フィルムを作る方法をとる。

3. ドイツは高温での用途(揚げる、料理する及び焼くときの器具)でのコーティングに勧

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告をもっている。(この勧告の法的状況について、及びどのように化学物質が収載されるか

については、紙及び型紙関連の章を参照。)他の勧告はプラスチックの分散に焦点化してい

る、これら勧告は化学物質の ESCO リストに収載されてこなかった。

4. 食品接触材料としてのコーティングはギリシャの食品飲料水規則第 28 条に言及されて

いる。コーティングはコートされる最終食品接触材料において 10mg/dm2 を超えて食品に

化学物質を移行させてはならない。

5. イタリアでは、DM 21.3.73 及び改訂の規制に拠り、コーティングはプラスチック食品

接触材料に適用される同様の規則でカバーされている。プラスチックに示された総移行量

及び特殊移行量制限及び規則もまた適用される。

6. オランダでは、コーティングは PL の方法でオランダで規制されている。9 つに分けら

れたリストはコーティングの 9 つの異なる種類に存在する。即ち:水への高分子化学物質

の分散;水へのパラフィン及びワックスの分散;有機溶液への高分子化学物質の分散;水

溶液;有機溶媒の溶液;ワックス及びワックス様製品に基づく溶媒のない表面コーティン

グ;他の溶媒のない材料;金属層;及び最後の 1 つ:ポリテトラフルオロエテンは、最高

140℃、時には 230℃で使用する調理する、焼く及び炒るときの器具として使用される。

7. スロバキアは 2003 年から PL をもっているが、CAS 番号はない、そして最終製品への

要件を有している。作成には分割前のチェコスロバキアの前の法規制及びまた他の加盟国

(ドイツ)の勧告を使用している。

8. スペインでは、コーティングは、PL、総及び特殊移行量制限を含むポリマー材料の規

制下にある。リスト化された化学物質は、加盟国のリストから又は欧州評議会のリストか

ら適用された。

木及びコルク

定義

1. オランダでは、木及びコルクの食品接触材料は、木又はコルクから作成された又はそれ

らに基づく包装材料及び器具を含む。

国家規制及び他のガイダンス

1. 木は、フランスでは、他のもの種とともに 2006 年勧告で完成した種の PL で規制され

ている。

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2. 木及びコルクは、オランダでは、PL の方法で規制されている。

3. 木からの製品について、スロバキアでは一般的安全基準がある。コルクは PL の方法に

より規制され、及び最終製品に対するいくつかの基準が設定されている。作成には分割前

のチェコスロバキアの前の法規制が使用されていた。

第Ⅳ章:ESCO WG の関係者との会合

この WG の作業を関係者に示し討議するため、及びプラスチック以外の食品接触材料に係

るリスク評価の問題点について意見交換するため、EFSA は 2011 年 3 月 9~10 日ミラノで

の WG 会合に専門家のヒアリングとして関係者代表を招待した。

関係者には、プラスチック以外の食品接触材料(コーティング剤、印刷インキ、紙及び型

紙、ゴム、シリコーン、接着剤、木、コルク)の、食品工業の及び消費者団体の代表が含

まれた。

アナウンスメントは 2010 年 12 月 EFSA ウエブサイト、及び EFSA の関係者諮問プラット

フォームを通じて知らされた。関係者は、プラスチック以外の食品摂政材料分野における

彼らの経験に基づき、2011 年 1 月選ばれた。彼らは、プラスチック以外の食品接触材料の

異なる分野でリスク評価について幅広くカバーしていることを示した。全体で 60 人(付属

書Ⅲ参照)、工業会、包装材料製造者、及びユーザーからの出自で、主に専門機関責任者(30)、

加盟国代表(14)、欧州委員会(1)、欧州評議会(1)の代表、EFSA の 7 人の科学行政官

(CEF 及び EMRISK ユニットから)、CEF パネルメンバー(1)及び EFSA 科学委員会メ

ンバー(7)であり、これに CEF 及び SC 主査が含まれた。

会合の最初のセッションは A.Feigenbaum が議長を務めた。分科会の Gr セッションからの

報告は V.Silano 及び P.Oldring が副議長を務めた。

ESCO WG 活動報告を通じたワークショップの導入部のあと、関係者が彼らの見解を表明

し、作業の進捗、主に加盟国で評価された化学物質インベントリ及び WG により設定され

た優先原則について討議することができた。関係者はまた、この分野で執られる今後の対

策の全体の中でリスク評価にそれぞれのアプローチを示す機会を与えられた。

この会合の目的と予測について、D.Spyropolus(EFSA)A.Schaefer(DG SANCO)、G.Bolle

(Belgium)及び M.Bonuomo(工業会の見解を持って)により示された。

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このセッションから、参加した全ての団体がこの会合の目的から共通した予測を持ってい

ることが明らかになった:(ⅰ)プラスチック以外の食品接触材料に使用される化学物質に

ついて、工業会で安全評価の優先性に係る組織的アプローチを討議すること;(ⅱ)緊急時

の緊急の科学的アドバイスを提供する枠組み、及びこの目的のための分析及び毒性学的に

一般に受容されるツール、そしてこれは関係者の全てに利用可能でなければならないこと。

リスク評価の原則が、工業会代表及び ESCO WG メンバーの発表をまじえて、材料ごとに

示された。

A.Feigenbaum(CEF ユニット、ESCO WG 主査)、A.Lupu(EFSA)、J.Sosnovcova(チ

ェコ)及び D.Theodosiou(ギリシャ)が ESCO WG の作業を発表した:一般的アプローチ、

作業の方法論、これに WG の設立、組織及び参照事項を含めて。

WG に参加した加盟国及び他の EU 諸国からの評価のまとめは、化学物質リストの様式や

内容を含め、A.Lupu から記述された。最終的インベントリリストは約 3,000 の化学物質を

含み、リスト A と B に分けられた。これは 1991 年以前の EFSA/SCF ガイドラインに拠り

1991年以降評価されたかどうかによる。リストAとBのいずれにもない多くの化学物質は、

現在評価中であり、例えばイタリアのゴムやスイスの印刷インキがある(スイスのリスト

はまたドイツの評価に基づく)。

プラスチック以外の食品接触材料製造に使用される多くの化学物質が、リスト A にもリス

ト B にもない。更にリスト B の化学物質は最新の SCF ガイドラインに拠り評価を受けてい

ない。それ故最初のステップでは、優先性についての一般的ツールが使用する必要があっ

た。評価の優先性について WG により提案されたツール、特に TTC 決定ツリーの使用が

A.Feigenbaum から発表された。

公共のオーソリティ及び工業界の専門家ネットワークの必要性が、緊急又はクリティカル

な状況で用いるものとして強調された。

化学物質評価について加盟国で使用された一般的基準が M.R.Milana により示された。こ

のリスク評価は、規制目的で(PL 策定のため)加盟国により実施されたもので、強制執行

(管理的行動)とは区別される。リスク評価に対し、工業界の技術資料が公共機関で評価

され、認可が法、指示又は勧告の形式をとって発行されている。SCF/EFSA ガイドライン

(移行レベルがより高いときは毒性情報をより求めるアプローチ)では原則が使用されて

いるが、材料や規制ごとに異なる適用を行っている。TTC の概念はいくつかの国にだけで

使用されている。管理的行動において、一般原則(規則 1935/2004 第 3 条)が使用され、

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ケースバイケースのリスク評価がしばしば専門家の判断を用い実施されている。使用され

るツールは国又は国際的ガイドライン又は勧告である(例えば欧州評議会の決議)。

ドイツ及びイタリアでの紙及び型紙のリスク評価原則はT.Heinke及びM.R.Milanaにより

発表された。

ドイツでの紙及び型紙の場合のリスク評価(一般的検討):一般的にリスク評価が毒性学の

リスク評価(RA)と推定曝露量に基づいている。毒性学上の RA は食品接触材料(マトリ

ックス)の特定の種類からはほぼ独立している。しかし推定曝露量は、特定の材料固有の

性状を含まねばならない。紙及び型紙のケースでは異なるアプローチを経て行うことがで

きる:

1. 材料への使用レベルに基づき、食品 1kg に接触する紙 6dm2から 100%移行するとの仮

定に基づく単純計算;

2. 食品 1kg に接触する紙 6dm2 から 100%移行するとの仮定に基づく計算による当該化

学物質の濃度での紙それ自身への試験;

3. 処理紙の抽出試験;

4. 可能なら食品擬似溶媒を使用した移行試験(しかし非処理紙は通常、液状の擬似溶媒が

使用されたとき崩れる)

イタリアでは、紙及び型紙へのリスク評価は段階的プロセスをとり、書類受理時(提出さ

れた毒性及び非毒性データの質をチェックし)評価にまわされるか(潜在的曝露量が高い

ときはより多くの毒性データが求められ)、受理されて終わるか(安全な用途)又は却下さ

れる。受理の条件は、各化学物質ごとに仕立てられるか(許容量、使用制限などの規制)

及び PL にあるときはもはや何も求められない。デフォルトのシナリオ(1kg食品/日、60kg

体重、6dm2/1kg 食品)が一般に使用される。

工業界の紙及び型紙-E.Cavallini、欧州紙工業連盟(CEPI)

紙及び型紙工業界は、CEPI が 2010 年発行した 2 つの書類:CEPI-CITPA 工業ガイドライ

ン(2010年 5月)及びCEPI GMP(2010年 9月)に示す通り、枠組み規則(EC)No 1935/2004

及び GMP 規則(EC)No 2023/2006 に適合している。特定の注意は、特に紙及び型紙に関

する多くの既存の国家規制により、潜在的な汚染の両輪の 1 つとして原材料に払われてい

る。もう一つは欧州評議会の紙及び型紙に対する決議 AP(2002)1 が、食品接触紙及び型

紙グレードでリサイクル繊維の使用を認めているので。原材料に規格を規定すること、及

び現在の規制の要件、即ち設定された食品接触 PL に適合していることに方向が向けている。

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この分野での工業界のコミットメントは、BioSafePaper プロジェクトに記述した生物的試

験バッテリーの再評価により続いている。

ゴム及びコーティング材の場合;繰り返し曝露及び NIAS(注:非意図的生成物)の問題-

オランダ-B.Van de Ven

ゴム製品製造に使用される化学物質の食事経由曝露評価に対しオランダで用いられたアプ

ローチが報告され、低い曝露(再使用のもの、小さい接触面積をもつ又は短い接触時間の

もの)、又は高い曝露(乳首及びおしゃぶり)に応じて異なるシナリオが考慮されていた。

コーティング材に含まれる NIAS のリスク評価の事例がまた発表された。

ゴム工業-L.Zullo、欧州タイプ及びゴム製造者協会(ETRMA)

欧州ゴム工業界は、2つの欧州評議会決議:AP-2004-4(食品接触用ゴム製品)及びAP-2004-5

(食品接触用シリコーン)により、規則(EC)No 1935/2004 第 3 条に適合している。移行試

験は、プラスチック材料の移行成分を試験する基礎的規則に拠り実施されている。発表で

欧州ゴム食品接触工業界は、統一していない規制の枠組みで実施され、ゴム、熱硬化性エ

ラストマー及びシリコーン製品に適用可能な統一した要件と試験ストラテジーを求めてい

ることが強調された。材料及びそれらの用途の特殊な性状がまた考慮されなければならな

い。工業界は、欧州全体の試験手続きの相互認知を支持している。同時に工業界は、(可能

性のある統一した)PL に新規化学物質を収載する基準は、欧州レベルで規定したリスク評

価の方法論に基づくべきことを期待した。

コーティング剤工業-P.Oldring、欧州塗料、印刷インキ及同盟及び芸術家色剤製造者協会

食品工業及び原材料供給者を含む缶コーティングサプライチェーンの、規則(EC)No

1935/2004 第 3 条への適合性立証のためのアプローチ、及びどのように移行成分に潜在す

るリスクを評価できるのかが強調されて発表された。SCF 又は EFSA により全面的に評価

されていない化学物質の問題を解決するため案が示された。現実的曝露の計算及び TTC ア

プローチの使用が二つとも、製造時使用されるリスト化された化学物質及び NIAS につい

てもリスク評価に科学的に健全で現実的なツールとして強く支持された。

接着剤工業-H.Onusseit、欧州接着剤及びシーラント工業協会

食品工業及び原材料のサプライヤーを含む接着剤工業のサプライチェーンの、規則(EC)No

1935/2004 第 3 条への適合性立証のためのアプローチ、及びどのように移行成分のリスク

を評価できるかのアプローチが説明された。どのようにリスク評価を実施し、及びどのよ

うに食品接触規制に適合しているかについての接着剤工業のアプローチのより詳細な説明

は、FEICA により発行された書類(食品接触状況誌、1935/2004 第 3 条にどのように適合

しているか説明)及び食品接触用製品への GMP に係る規則(EC)No 2023/2006 にどのよう

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に適合しているかに関するガイダンスに見られる。

(http://www.feica.eu/ehs-sustainability/food-contact )

スイス及びドツにおける印刷インキ評価-V.Dudler

印刷インキに関するスイス規制の開発が記述され、リストされた化学物質の評価プロセス

が強調された。通知された化学物質評価に供されたデータ、及び化学物質のリスク評価に

おけるドイツ及びスイスの一般的戦略が討議された。

印刷インキ工業-A.Boon、欧州印刷インキ協会

印刷された包装材料からの移行についてリスク評価に使用されるアプローチが発表された。

インキの配合に何が加わるかの代わりに、食品に何が移行するかの評価の代替が討議され

た。いくつかの要因(包装材料及び印刷のデザイン、基板の選択、印刷の条件及びインキ

の配合)の印刷された包装材料からの移行レベルに与える影響が実証された。多くの化学

物質を扱う方法はまだ、曝露量を用い(例えば FACET)優先性を提案するものとして、及

び REACH のデータを含め既知のもの、read across やグループ化、モデル化や SAR、遺

伝毒性スクリーニング、構造による警告、同様に TTC アプローチのより良い活用について

は、公式レベルで評価されていない。

プラスチック以外の食品接触用部品についてのリスク評価の科学的視点

会合の第 2部は、プラスチック以外の食品接触物質のリスク評価の科学的視点に集中した。

この部は分科会で組織化された:3 つのパラッル Gr が設定され、2 つは曝露ツールに焦点

化し、そして 1 つは毒性学に焦点化し、分科会から全体会合に報告された。この Gr の主査

は R.Eisert、P.Oldring、V.Silano であり、ラポーターはそれぞれ L.Castle 及び M.Pocas、

R.Franz 及び S.Leutenberger、J.C.Lhuguenol 及び L.Spack であった。

全部で 3 つの Gr で討議された主なトピックスは:

- 評価の優先性に対するツールと戦略:使用される多くの化学物質は評価されていない。

どのようにこれら化学物質を工業レベルで優先化するのか?

- 緊急時のリスク評価に対するツールと戦略:もし評価されていない化学物質が食品に

検出されたら、2 日間でこの化学物質の安全性に対しどのようにアドバイスを与える管理を

行うのか?

このワークショップの参加者は、閾値のアプローチが現実的科学的ツールとしてあり、化

学物質評価の優先性に助けとなるデシジョンツリーを提供できることに同意した。

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また危機の場合に対するため工業界からの専門家ネットワークが必要であることが強調さ

れた。“未評価”と見なされるゆえ警告が出された化学物質は工業界で評価された可能性が

ある(そして規則(EC)No 1935/2004 第 3 条が評価されたはず)。システムは、求めに応じ

短い通知により工業界が行った、EFSA が参照可能なリスク評価の情報を作成しなければな

らない。守秘の必要性が考慮されねばならない。ネットワークはこの情報を共有できねば

ならない。

ネットワークの訓練がまた検討されねばならない。恒久的なネットワークが作業プログラ

ムの中で提案された。

食事経由曝露評価が特に議論された。会合の参加者は、FACET 欧州プロジェクトが有用な

ツールを提供し、工業界と国家リスク評価機関の双方に使用できることを強調した。この

プロジェクトはガラスを除き(しかしガラスのカップと栓は含まれる)食品接触材料の全

てのタイプをカバーし、欧州全域の包装材料の構成と包装材料の用途についてデータを収

集している。200 以上の材料のタイプに記述がある。またその構造に基づき化学物質に潜在

する毒性を評価する毒性学上のツールを含んでいる。このプロジェクトは、18 の食品分類

について、更に 56 に分け、それから 172 のより詳細な食品分類の下位の段階に分割された

国家食事調査を用いた食品消費データを含んでいる。包装材料の構成、包装材料の用途及

び包装食品の消費は、移行モデルとリンクし、移行量濃度及び蓋然性のある推定曝露量を

導出する。ゴムは FACET でカバーされていないが、この手続きは、データが収集されれば

この材料にも適用可能であろう。FACET は 2012 年末終了すると見られる。

他のツール:

・ Migrosure(この報告書第Ⅰ章 3.4 参照)及び Migresive(この報告書第Ⅰ章 3.2 参照)

プロジェクト

・ 移行及び曝露量計算、モデル化及び試験

・ 同様の技術的官能基をもつ化学物質の調査

・ 工業界における書類、記録保管

毒性学上のツール

遺伝毒性に対し構造的警告を特定するコンピューターベースのプログラムがある。例えば」

DEREK(“既存知見から導入されたリスク評価”)、

http://www.chem.leeds.ac.uk/luk/derek/

MCase(マルチコンピュター自動構造評価)。

http://www.multicase.com/products/prod01.htm

構造警告をまた特定する ToxTree-Carc は TTC デシジョンツリー用に使用された(2008 年

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Benigni及びBossa)。このプログラムは欧州 JRCのウエブサイトで無料で利用可能である。

http://ecb.jrc.ec.europa.eu/qsar/qsar-tools/index.php?c=TOXTREE

OECD ツールボックス。

http://www.oecd.org/document/54/0,3746,en_2649_34379_42923638_1_1_1_1,00.html

ESCO WG の関係者との会合の結論

ワークショップ参加者は、発表で要約形式がワークショップで作成された限り、ESCO WG

の作業結果を歓迎していた。実際は、参加者は ESCO 報告書案を得ていなかった。むしろ

かれらは要約の発表だけを見ただけだった。

ESCO WG の作業から、いかなる国家当局によっても評価されて来なかった或いは評価が

SCF ガイドラインの採用以前に実施され、及び使用されたデータが常時トレース及び見直

されなかったプラスチック以外の食品接触材料に使用される多くの化学物質があるのは明

らかだった。そのため工業界と規制当局は、プラスチック以外の食品接触材料に使用され

る多数の化学物質に言及する必要が生じる可能性は高い。これは特に政府及び工業界双方

にこの仕事に対し利用可能なリソースが限定される限り挑戦的である

それ故、経験上毒性学上のデータがない化学物質に潜在する健康リスクについて最初に暫

定的アドバイスを行なうため、ツールを設ける優先性として、及び手段として、現実的実

際的なリスク評価が求められることが合意された。

TTC アプローチは、この目的に供することができる信頼できる科学的ツールとしてコンセ

ンサスが得られた。このコンセプトは、ひと健康に無視できるリスク以下において、化学

物質の汎用のひと曝露閾値を設定するためリファーされる。

この汎用のひと曝露の閾値は、化学物質の構造と毒性間の関係の調査に基づき、そしてそ

れらは表 1 に示されている。

このデシジョンツリーの適用は、プラスチック以外の食品接触材料の製造に使用される化

学物質の安全性評価に優先性を示す適切なツールであると考えられる。曝露と TTC の概念

はまた、緊急事態での暫定的アドバイス及び新たな NIAS 評価を提供するとき非常に適切

である。

もちろん構造関連グループでの化学物質の分類、及びグループの 1 つ又はそれ以上の数に

ついて毒性データあがる場合の read-across は、使用可能な他の有用な方法である。(Q)SAR

アプローチがまた使用可能である。

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食事経由曝露評価は、単一の決定的又はより多くの洗練された蓋然性計算の中で、デフォ

ルトスタンダードの仮定、又は移行データ又は移行のモデル化を使用し実施可能である。

このアプローチと FACET 欧州プロジェクトから提供されるデータはたいへん有用に違い

なく、欧州全体の推定曝露量への統一したアプローチのベースとなる可能性がある。

工業界ネットワークが、要求による短い通知の中で EFSA に利用可能な情報作成のための

緊急アドバイスの場合必要であることを決定した。

第Ⅴ章:ESCO WG の全体の結論-ギャップ及び今後の対策への提案

Ⅴ.1.全体の結論

EFSA 科学共同(ESCO)WG は、関連の情報を収集し、プラスチック以外の食品接触材料

により放出される化学物質が食品に存在することに関する状況に対する提案を行うため、

及び統一したリスク評価が利用可能でないため設立された。これら目的はつぎの通り達成

された。

ESCO リスト:ESCO インベントリーリストが策定された。それは ESCO WG に参加した

加盟国から収集されたプラスチック以外の食品接触材料の製造に使用される 3,000 の化学

物質を収載する。これら化学物質のうち 320 は 1991 年以降評価され、プラスチックの SCF

ガイドラインの発行となった。これら化学物質は ESCO のリスト A に収載されている。他

にリストされた化学物質(ESCO リスト B)は、より古い基準に従い評価されたものであ

る。このインベントリーリストは、A 部及び B 部からなり、間もなく発行される。

優先性の基準:ESCO WG は、ESCO リスト B に収載された化学物質の評価に優先性を与

える有用なツールとして TTC アプローチを特定した。当該化学物質の化学構造から、関連

する TTC 閾値が導出できる。多様な他のツールは化学物質の毒性をその構造から参照する

とき利用できる。例えば DEREK、Mcase など・・・・

食事経由暴露が関連する TTC 値を超える可能性がある化学物質は、リスク評価の対し優先

性があると見なさねばならない。

消費者に潜在する食事曝露の評価は、移行のモデル化に関しプラスチック以外の食品接触

材料に含まれる化学物質の用途及び濃度に基づくことができる。通常の移行モデルは当該

化学物質の分子量に基づき、また化学構造から導出される。より現実的か現実的でない仮

定及びシナリオが、当該材料及び用途に依存し企画できる。

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緊急リスク評価:緊急事態には、当面のアドバイスが TTC アプローチに基づき提供できる

可能性がある。しかしより厳格な科学的意見、結論は、構造的に類似の化学物質による

read-across に、及び当該化学物質自体のデータに基づき記載しなければならない。

優先化のための同様のツールが、危機のとき、曝露及び毒性アプローチを統合し使用でき

る(TTC、read-across、(Q)SAR 及び OECD ツールボックス)。TTC アプローチ(Munro

ら、1996 年)は、全面的リスク評価を代替するものとしてはデザインされていない。なぜ

なら全面的リスク評価よりシビアかシビアでないかいずれかが報告されてきたからである。

食事経由暴露を推定するツールとしては:デフォルト値の仮定、移行モデル化、同様の官

能基をもつ化学物質の調査、FACET ツールなど。

危機的事案に動員される専門家のネットワークが設立された、それは国の当局からの専門

家及び工業界からの専門家で構成され、EFSA に、工業界の利用可能な関連情報を添え短い

通知を提供する。

Ⅴ.2.ギャップ及び今後の対策への提案

関係者との会合の中で、プラスチック以外の食品接触材料に使用される多数の化学物質が

加盟国で評価されてこなかったことが強調された。これら化学物質はもちろん ESCO WG

により全てがリスト化されてはいない。

一方で、加盟国によりいくつかの化学物質が評価されたが使用されていないことも報告さ

れた。もし工業界が優先化に取り組むなら、リスト B は改訂されねばならないし、加盟国

で決して評価されなかった化学物質を検討することは有用になる可能性がある。

加盟国は化学物質の全てのタイプを評価してこなかった(例えば、加工助剤にリストはな

い)が、ESCO のインベントリリストが今後完成する可能性はある。

専門家のネットワークの今後の研修は、危機的状況に利用されるものとして、ESCO WG

のたいへん有用なフォローアップとなるだろう。これは関係者からの強い提案であった。

非意図的添加物が主な問題を示している一方、この分野での科学的知見は貧弱である、あ

る種の情報は文献又は報告書に見出される(AFSSA、2009 年)。この分野のより科学的研

究作業が、プラスチック以外の食品接触材料製造に使用される化学物質の行き先を特定す

るとき必要になる。曝露及び TTC の概念は非意図的添加物の新たな評価を行うときたいへ

ん適切であり、それを代替し、実験上の毒性学データを得ることは、曝露に依存し、限定

Page 44: ESCO WG EFSA ESCO WG ESCO WG ESCO-WG - 塩ビ ... EFSA の科学共 (ESCO)WG は、加盟国にある既存の情報を収集し、プラスチック以外 の食品接触材料から放出される化学物質が食品に存

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された数の事案だけに正当化できる可能性がある。

ESCO WG により提案され、第Ⅱ章に記述されたリスク評価の一般原則は、安全評価のた

めの化学物質リストの優先化のため利用可能である。リスク評価の優先性についての統一

したガイドラインは、規制上の内容の進展に依存し有用になる可能性がある。例えばプラ

スチック以外の食品接触材料に特定の規則が設定されるなど。現在の報告書の草案段階で

コメントとして、欧州委員会は EFSA に、2011 年末、“プラスチック以外の食品接触材料

に対する ESCO WG の結論を考慮し、食品接触材料でまだハーモナイズしていない分野に

対しロードマップ”を設定する予定であると通知した。

参考文献 (略)

付録 付属書Ⅰ:欧州評議会(CoE)の決議リスト、公衆健康の部分的合意;食品接触材料

付属書Ⅱ:光開始剤の分類

付属書Ⅲ:2011 年 3 月 9~10 日ミラノで開催した ESCO WG の関係者との会合に招待さ

れヒアリングされた専門家リスト

略語解説」