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Excelを用いた定常温度解析のSLRAへの適用
○石井 忠司(次世代技術) 國森 裕生(NICT) 竹内 央 (ISAS/JAXA) 古賀 茂昭(翔エンジニアリング) 洲崎 保司(ユニバース)
第27回宇宙エネルギーシンポジウム 2008/3/7
ASTRO-G と SLRA
ASTRO-Gの外観
SLRA搭載予定位置通信用Kaアンテナの横
SLRA:衛星レーザ測距リフレクタアレイ
SLRAの外観図コーナーキューブ
SLRAの熱的課題
• プリズムへの姿勢制御装置によるコンタミの影響を除去するため、最低温度の制限を設ける。
• KaANTとの熱交換量を規定以内に収める。(熱歪の可能性を減らす。)
• 光学的性能を保つため、プリズム間温度差、及び、プリズム内の温度偏差が大きくならないようにする。
• 有限要素法(Finite Element Method) 計算領域を多数の要素に分割し、要素ごとに支配方程式の近似解を多項式関数として仮定し、領域全体で支配方程式から導出される汎関数の値が最小値となるように、それぞれの要素の係数を求める。
• 差分法(Lumped Parameter Method) 方程式を差分方程式に近似して解く。
CR回路と等価な節点モデルを使用する。
熱に関する数値解析の方法
差分法の定式化
T1T0 T2q01 q12
( ) ( )[ ]12102
0112
2
211
TTTTLL
TT
L
TT
Lx
T!+!="
#
$%&
' !!
!(
)
)
!"
"=
"
" T
ax
T 1
2
2 AL L
加熱なしの熱伝導方程式
2階微分の差分化
( ) ( )!
"##
d
dTcALTT
L
ATT
L
A=$+$
1210
(1)に(2)を代入し、両辺に断面積Aをかけて整理
(1)
(2)
(3)
( ) ( )!d
dTCTTGTTG
1
1210="+"
コンダクタンスGと要素熱容量Cを用いて節点の方程式に変換
(4)
差分法のCRモデル
( )ij
j
iji
i TTGd
dTC !="
#
Ci : 節点iの熱容量Ti : 節点iの温度τ: 時間Gij : コンダクタンスTj : 節点jの温度
TRW, Thermal Network Modeling Handbook, NASA CR-144418
差分法の熱モデル
国峰尚樹、エレクトロニクスのための熱設計完全入門、日刊工業新聞社
差分法のモデルは直感的にわかりやすい
解析法の比較
宇宙機器、衛星複雑形状物体使用例
宇宙分野ではSINDAによる熱解析が一般的
構造との連成解析が可能
備考
定常・非定常定常・非定常解析機能
個別部品を節点化対象物をメッシュ分割
モデル作成
差分法有限要素法解析方法
市販の製品は性能的にはどちらも変わりない。
有限要素解析の例
ANSYS(サイバネットシステム社)
アイロンの非定常温度分布自然対流中の丸棒の温度分布
差分法解析の例
SINDA/FLUINT
PC基板の温度分布
http://www.crtech.com/electronics.html
筐体内温度
冷却基板温度
Excelを用いた熱解析(従来のタイプ)
セルの配置をそのまま物体の形状とみなしてメッシュを作成する。(差分法、有限要素法ともに)
ノイシステム株式会社 http://www.labnet.or.jp/~nastran/index.html
Excelを用いた熱解析(本方法)
• 従来のセルと形状との対応ではなく、任意の節点モデルを扱えるようにする。
• ワークシートには、節点データ、伝導結合データ、輻射結合データを表として記載する。
• 計算は、バックグランドでマクロ(VBA)で実行し、結果をワークシートに戻す。
EXCEL熱解析画面
節点の温度とα、ε
伝導のコンダクタンス, Gij
輻射結合係数, Rij外部熱入力データ
操作ボタン(マクロ起動)
節点ごとの外部熱入力計算
ボタン1回=反復法の1回の計算1回ごとに更新される
温度静解析の逐次解法(1)伝導だけの場合
( )ij
ijij
i
i TTGdt
dTC ! "=
!! =j
jiji
j
ij TGTG
左辺=0
!
!=
j
ij
j
jij
iG
TG
T [ ] iiTGTrr
=+1反復法
温度静解析の逐次解法(2)
( ) ( ) i
j
ijiji
j
ijij
i
i QTTFATTGdt
dTC +!+!= ""
44
#
( )( ) ( )!! "="+j
ijij
j
ijijiji TTHTTTTFA33
#左辺=0
輻射と外部熱入力がある場合
輻射の項を線形化する
i
j
jij
j
jiji
j
ij
j
ij QTHTGTHG ++=!!"
#$$%
&+ ''''
iD
ii
j
jij
j
jiji DQTHTGT !!"
#$$%
&++= ''
[ ] [ ]( ) i
iiiiiDQTHTGT
rrrr++=+1
反復法
反復法の処理内容(VBA) For i = 1 To n T1(i) = 0 For j = 1 To n T1(i) = T1(i) + G(i, j) * T(j) Next j For j = 1 To n T1(i) = T1(i) + H(i, j) * T(j) Next j T1(i) = T1(i) + HT(i) + Q(i) T1(i) = T1(i) / D(i) Next i For i = 1 To n T(i) = (T(i) + T1(i)) / 2 Cells(1 + i, "D").Value = T(i) Next i
前処理として配列にセル内容をセットしている
SLRA熱数学モデル
3020 プリズム
3022 サブプレート
13025 MLI
13028 MLI13029 MLI
3024 ベースプレート
プリズム
サブプレート
ベースプレートMLIで覆う
詳細熱モデルでの計算結果
㈱オービタルエンジニアリング殿
低温ケース 高温ケース
詳細モデルとの比較
近い値である
!"#$ %&'!(&) !"#$ %&'!(&)
*+,-. /01 2341 5/41 671
89,-. 3/1 2601 5/71 301
:; <;
結論• Excelを用いた簡単な定常温度解析方法を開発した。
• これをSLRAの熱モデルに適用し、高温ケースと低温ケースでのプリズムとベースプレートの温度を求めた。
• 上記結果は詳細モデルとおおむね近い値となった。
• 本方法はSPSなどさまざまな対象について有効と考えられる。
参考文献
1. 國森、竹内、朝木、中村、大坪、古賀、石井、洲崎、「ASTRO-G 精密軌道決定用レーザリフレクタの設計 [1]条件と構造」、宇宙輸送シンポジウム、2007
2. 国峰尚樹、エレクトロニクスのための熱設計完全入門、日刊工業新聞社
3. 谷下市松、伝熱工学、裳華房4. 内田秀雄、伝熱工学、裳華房5. 戸川隼人、変分法と有限要素法、日本評論社6. TRW, Thermal Network Modeling Handbook,
NASA CR-144418
ATRO-G 軌道
1,000km近地点高度
25,000km遠地点高度
31°軌道傾斜角
0.619255離心率
熱伝導の方程式(直交座標)
!" #
#=+
#
# T
a
q
x
T 1
2
2
1次元熱伝導の方程式
T: 温度[K]x: 位置[m]q:単位時間に伝わる熱量[W]λ:熱伝導率[W/(m K)]a : 温度伝導率=λ/ρcτ:時間[s]ρ: 密度[kg/m3]c : 比熱
有限要素法の定式化
[ ]{ } {}fök =
要素の定常熱伝導方程式
k : 要素の熱伝達マトリクスφ:要素の各節点温度f : 要素の熱流束ベクトル
φ1
φ2 φ3
f1
f2
f3
!!!
"
#
$$$
%
&
=
'(
')
*
'+
',
-
!!!
"
#
$$$
%
&
nnnn
n
n f
f
k
k
MOM
1
1
1111
..
..
全体の有限要素式
温度境界条件と熱流束境界条件のもとに上記を解き温度分布と熱流束を求める。