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四国森林管理局 高知市丸ノ内 1 丁目 3 30 TEL 088 821 2052 FAX 088 821 4834 ホームページアドレスhttp://www.rinya.maff.go.jp/shikoku/ 電子メール [email protected] No .1131 2014年6月号 低コスト化造林現地検討会の開催 5 月 28 日、高知県香美市物部町杉ノ熊山国有林(高知中部森林 管理署管内)で現地検討会が開催されました。 【詳細 2 頁】 現地検討会の様子

低コスト林 - maff.go.jp · 六月一七日、今年度第一 催しました。回目の技術開発委員会を開 この委員会は、六月一〇 る「技術開発連絡会議」を日に行った、局内委員によ

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四国森林管理局高知市丸ノ内 1丁目 3 − 30TEL 088 − 821 − 2052FAX 088 − 821 − 4834ホームページアドレス http://www.rinya.maff.go.jp/shikoku/電子メール [email protected]

No.1131 2014年6月号

低コスト化造林現地検討会の開催 5月 28 日、高知県香美市物部町杉ノ熊山国有林(高知中部森林管理署管内)で現地検討会が開催されました。� 【詳細 2頁】

現地検討会の様子

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グリーン四国 №1131 2014(H26)6月号

― 2 ―

 

地球温暖化防止等の観点

から、今後は間伐に加え、

主伐・再造林を推進してい

く必要があり、そのために

は造林の低コスト化を図る

ことが重要です。

 

こうした中、期待されて

いるのが、活着・生育が良

く、時期を選ばず植栽でき、

伐採と植林の一貫的な作業

を可能とするコンテナ苗で

あり、これを用いることに

より地拵えや下刈等を含め

たトータルの造林コスト低

減が可能となります。

 

しかし、高知県ではコン

テナ苗の生産はまだ僅かで

あり、生産の増強が課題と

なっています。

 

このため、四国森林管理

局では、種苗業者等へ生

産の増強を要請するととも

に、コンテナ苗の普及に向

け本年三月、試験・展示用

として高知中部森林管理署

等に植栽を行いました。

 

五月二八日、この高知中

部署杉ノ熊山国有林の植栽

地をフィールドとして、高

知県と連携し、森林総合研

究所や種苗業者、近隣の市

町村や森林組合、林業事業

体など六〇余名の関係者が

参加して現地検討会を開催

しました。

 

当日は、鶴園森林整備部

長から「検討会では、育

林事業の低コスト化に向け

た情報の共有化を図り、今

後の事業に活かしていきま

しょう。」との挨拶後、二

班にわかれて現地視察を行

冒頭の挨拶を行う

鶴園森林整備部長

参加者からの質問の様子

いました。現地にはコンテ

ナ苗のほか、昨年度末に四

国で初めてとなるエリート

ツリー(第二世代の精英樹)

も植栽されており、岡山県

にある森林総合研究所林木

育種センター関西育種場の

久保田課長からその特徴等

について説明をいただきま

した。

 

その後行われた意見交

換では、「コンテナ苗やエ

リートツリーの増産やこ

れを用いた植林の拡大が必

要。」、「コンテナ苗生産施

設の整備や安定的な購入に

向けた国や県の支援が必

要。」など、各々の立場か

ら貴重な意見が出され、関

係者間で認識の共有が図ら

れるなど大変有意義な現地

検討会となりました。

エリートツリー

 低コスト化造林現地検討会を開催

〈森林技術・支援センター〉

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グリーン四国 №1131 2014(H26)6月号

― 3 ―

 

四国森林管理局では、「四

国山地緑の回廊」を対象と

して、野生生物の生息実態

等の把握を目的とした調査

を実施しており、これまで

の「緑の回廊」モニタリン

グ調査では、四国において

その絶滅が危惧されている

ツキノワグマの生息を確

認してきているところで

す(昨年度は親子グマを撮

影)。

 

今年度は、ツキノワグマ

のおおまかな生息分布域

(外縁)を把握するため、

四国のツキノワグマの生態

調査等に取り組むNPO

法人「四国自然史科学研究

センター」と連携して「は

しっこプロジェクト」を

実施することとし、その

一環として、五月一五日、

自動撮影カメラ(センサー

カメラ)の設置を行いま

した。

 

今後、一一月中旬を目途

に一月に一回程度、撮影

データを回収し画像を分析

して、ツキノワグマの生息

状況を確認することとして

います。

 

この調査により、ツキノ

ワグマの四国山地における

大まかな生息分布域の絞り

込みが見込まれるところで

あり、生息個体ごとの行動

範囲の把握など、より詳細

な調査への活用が期待され

ています。

 

また、当局においては、

調査結果等を踏まえ、保護

林や緑の回廊の拡充を検討

するとともに、主要な行動

圏に含まれる人工林につい

ては、将来的に天然林に誘

導するなど、ツキノワグマ

の生息環境の改善に取り組

むことを検討していきたい

と考えています。

※自動撮影カメラ設置当日

は、NHK高知放送局、徳

島新聞社等の報道機関に同

行頂き、当日の取組の様子

はテレビや新聞等でも紹介

されました。

※活着とは山に植栽した苗

木がその後、正常に生育し

ていること。(枯れていな

いこと)

 

コンテナ苗と普通苗の根

系の比較

自動撮影カメラの撮影モード設定の様子自動撮影カメラ設置状況

普通苗

コンテナ苗

 ツキノワグマ生息調査

  「自動撮影カメラ」設置について

~「はしっこプロジェクト」~

〈計画課〉

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グリーン四国 №1131 2014(H26)6月号

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六月一七日、今年度第一

回目の技術開発委員会を開

催しました。

 

この委員会は、六月一〇

日に行った、局内委員によ

る「技術開発連絡会議」を

技術開発課題に対して貴重な意見が活発に

「第一回技術開発委員会」を開催

〈森林技術・支援センター〉

踏まえ開催したもので、主

に外部委員(森林生態学、

林木育種、遺伝資源、森林

管理経営等の有識者等)で

構成されています。

 

今回の審議課題は、

①保育作業の省力化による

森林育成技術の確立

②囲いわなによる効率的な

ニホンジカ(以下「シカ」)

捕獲試験

③下刈省略化によるシカ食

害低減効果の検証

④エリートツリー植栽によ

る下刈省力化試験及びシカ

食害防止クリップ効果の検

の四課題について審議をお

願いし、意見等を伺いまし

た。

 

各委員から出された主な

意見は、以下のとおりで

す。

 

課題②では

・愛媛県内でもシカ食害被

害は増えており、一つの防

止対策としては有効な技術

開発であり、評価できる。

・非常に興味があり、社有

林でも使用してみたいの

で、囲いわなの設置方法等

を簡単に説明したマニュア

ルを作成して頂きたい。

・囲いわなの購入方法を教

えて頂きたい。

 

課題③では、

・低コストな造林に繋がる

技術開発は大いに期待して

いる。

・エリートツリー、コンテ

ナ苗、大苗なども併せた試

験についても、検討をお願

いしたい。

・普通苗に比べコンテナ苗

は、一本当たりの単価が高

くて重いのが実態で、普及

させるためにはどのような

方法(作業システムの改善

等)でコストを下げて行く

かが大きな課題であり、積

極的な情報交換をお願いし

たい。

 

課題④では

・シカ食害対策として一定

の成果が出れば有効な方法

となるので期待したい。

・大苗、エリートツリーに

も、シカ食害防止クリップ

を装着して比較検証を行っ

たらどうか。

・今の試験地で成果が出な

くても直ぐに止めるのでは

なく、条件等を色々変えて

試験を行い検証結果を集約

して頂きたい。

・シカ食害被害に対しては、

苗木を早く成長させること

が有効であり、大苗でのシ

カ食害防止クリップ試験も

検討をお願いしたい。

 

森林技術・支援センター

ではこれらの貴重な意見等

を踏まえて、今後の技術開

発・普及に活かして行くこ

ととしています。

第一回技術開発委員会

シカ食害防止クリップ№1

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グリーン四国 №1131 2014(H26)6月号

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全校児童を対象に

  校庭の樹木学習

〈ふれあい推進センター〉

 

五月二九日、宇和島市立

結ゆい

出で

小学校の全校児童六名

を対象に、校庭の樹木学習

と樹名板の作製を行いまし

た。この学校で当センター

が森林教室を行うのは初め

てでしたが、以前に設置し

た樹名板が古くて文字が見

えないなどの理由から、支

援要請を受けたものです。

 

今回の学習は、樹木の名

前を調べたり、樹名板を

作ったりすることで、校庭

に植えられている植物につ

いて関心を持ち、季節の変

化による樹木の様子を年間

を通して観察する目的で実

施しました。

 

最初に、針葉樹と広葉

樹の違い、単葉と複葉の

違い等について、技術普

及課が作製した下敷き「い

ろいろな木と葉っぱ」を

使い説明しました。次に、

校庭の樹木学習では、樹

木名とその特徴や用途等

について説明し、アジサ

イは、花を乾燥させたも

のを解熱剤として用いら

れること、ナンテンの実

は咳止めの薬に利用され

ていること等約四十の樹

種について学習しました。

 

その後、ヒノキの輪切り

材に、ポスターカラーで

和名と科名を書き、余白に

は、思い思いのイラストを

描いて樹名板を完成させま

した。

 

また、児童からは、「ソ

メイヨシノから種子が出来

ているのはどうしてか」等

の鋭い質問もあり、樹木へ

校庭の樹木学習

〈ふれあい推進センター〉

 

六月一〇日、高知県土佐

清水市立中浜小学校の三~

六年生十六名を対象に校庭

の樹木を学習し、樹名板を

作製することになり、支援

の要請を受けて指導を行い

ました。

の関心の深さが感じられま

した。

 

今後は、学習したことを

基にして、季節の移り変わ

りによる樹木の変化等を観

察してもらいたいと思いま

す。

校庭の樹木学習

完成した樹木名板

校庭の樹木学習

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グリーン四国 №1131 2014(H26)6月号

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今回の学習は、身近にあ

る校庭の樹木の名前や特

徴を調べて、樹名板を作り

設置することで、季節の変

 

五月二五日、屋島国有林

の「源平屋島の森」におい

て、高松市立屋島東小学校、

地元自治会、ボランティア

団体等から約一三〇名の協

力を得て、森林ボランティ

ア作業を行いました。

 

このボランティア作業

は、「森林」の大切さを肌

で感じていただき屋島の美

しい自然を維持することを

目的に、毎年五月に実施し

ているもので、今回の作業

では、植栽木(ヤマザクラ、

イロハカエデ、クヌギ等)

周辺の下草刈りと、植栽木

に巻きついたクズ等のつる

切りを行いました。

 

当日は、朝から日差しが

強くとても暑い日でした

が、子供たちの元気な声に

励まされ、また、このボラ

ンティア作業に毎年参加さ

れている方も多いことから

手際よく作業が進められ、

約一時間半程度で終えるこ

とができました。

 

この行事は、例年下草刈

化による樹木

の様子を観察

し、樹木につ

いての感心を

持たせる目的

で実施しまし

た。

 

最初に技術

普及課が作製した下敷き

「いろいろな木と葉っぱ」

で、針葉樹と広葉樹の違い、

単葉と複葉の違い等につい

て説明しました。次に、校

庭の樹木学習では、樹木名

とその特徴や用途等につい

て説明しました。ナンテン

の実は咳止めの薬に利用さ

れていること、サツキは旧

暦の五月に花が咲くことか

らその名前が付いているこ

と等、約三〇の樹種につい

て学習しました。その後、

樹名板作製中

下敷き「いろいろな木と葉っぱ」

ヒノキの輪切り材に、ポス

ターカラーで和名と科名を

書き、余白には、思い思い

のイラストを描いて樹名板

を完成させました。そして、

一人ずつ、自分が担当した

樹木に取り付けていきまし

た。

 

最後に今日の感想の中

で、「校庭の樹木の名前が

わかったので良かった。」

「今後の研究課題として樹

木を見守っていきたい。」

等の感想がありました。

 

今後、七月には、「木工

クラフト」を行う予定であ

り、さまざまな学習を通し

て樹木や自然、森林等につ

いての興味や理解が深まる

ことを期待しています。

ボランティア作業の様子

「源平屋島の森」で

ボランティア作業

〈香川森林管理事務所〉

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森林ボランティア活動

(一ノ谷山国有林八〇林班)

〈嶺北森林管理署〉

 

五月二五日、香川県高松

市の「高松中央ロータリー

クラブ」及び地元、高知県

土佐町の「ふるさとの森を

育む会」のみなさんと、遊々

の森として高知県土佐町と

協定を締結している「いな

むら体験の森」で下草刈り

のボランティア活動を実施

しました。

 

当地は「ふるさとの森を

育む会」が平成一八年から

サクラやツツジ等の植樹活

動を実施している箇所であ

り、下草刈りを毎年、実施

しております。当日は天気

も良く、少々暑さを感じる

気温でしたが、朝早く高松

市を出発された六二名の皆

さんに草刈りの体験で汗を

流して頂きました。参加さ

れた皆さんは普段鎌を使う

機会が少ないため、のこぎ

りのように、「ゴシゴシ」

引く人もいるなど、なかな

か草が思うように切れずに

苦労していました。また、

り中心のボランティア作業

となっていますが、当所と

しては地域の要望等を聞く

中で、作業内容にも工夫を

凝らしつつ、今後も郷土の

自然豊かな屋島をフィール

ドとしたボランティア活動

を通じて国有林のPRに努

めていきたいと考えていま

す。

作業後、木陰での休憩のひ

ととき

下草刈りのボランティア作業

場所が少し傾斜地で足下が

不安定な所もありました

が、全員がケガも無く、約

二時間ほどで作業を終了し

ました。

 

昼食時に、「ふるさとの

森を育む会」

の方から大鍋

の「猪鍋」が

振る舞われ、

「珍しくてお

いしい」との

感想が多くの

方々から聞か

れました。年

に一度の活動

ですがいろい

ろな職種の人

が花や樹木等

にふれあい、

興味を持って

頂く事で、森

林が持つ様々な機能を全身

で感じてもらう絶好の機会

です。今後も長く続けても

らうために、当署としても

できるだけの協力をしてい

きたいと思います。

ボランティア作業に参加された皆様

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グリーン四国 №1131 2014(H26)6月号

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を図ることを目的として、

植生回復用ネットを設置す

るとともに、既設の防護柵

の補修を行ったものです。

 

当日は、晴天の汗ばむ陽

気に加えて、林道から急傾

斜のアップダウンのある登

山道を一時間半移動するな

ど、厳しい条件での作業で

したが、当

署の鶴内森

林技術指導

官の丁寧な

説明と職員

のサポート

により、参

加者は不慣

マーの使用

に苦労しつ

つも段取り

よく作業をこなし、予定し

た以上の成果をあげること

ができました。

 

作業は午後二時に終了し

下山しましたが、途中、作

業地を一望できる箇所で

は、やり遂げた達成感と満

足感に満ち溢れた表情で、

しばし出来上がりを確認す

る参加者がいたことが印象

的でした。

 

今回のボランティア活動

では大勢の方々に、三嶺周

辺におけるニホンジカ食害

の深刻な状況を確認しても

らい、そして、対策を講じ

ることの重要性を認識して

いただいたと考えていま

す。

 

今後においても「三嶺の

森をまもるみんなの会」と

加え、局署から一五名の職

員の参加を得るなど、総勢

一五〇名(一二班編成)の

方々に協力をいただきまし

た。

 

今回は、ニホンジカの食

害等によって裸地化し土壌

浸食が見られる斜面の土砂

流出を防止し、植生の回復

 

五月一八日、高知県と徳

島県境に位置する三嶺の南

斜面の西熊山国有林三七林

班イ小班内、通称「カヤハ

ゲ」及び別府山国有林五五

林班イ小班内「白髪避難小

屋」周辺において、「三嶺

の森をまもるみんなの会」

の協力を得て、ボランティ

アによるシカ被害防止対策

を実施しました。

 

当日は、香美市長をはじ

めとする香美市・南国市の

職員、大学生、JA職員等

幅広い分野の一般参加者に

ボランティアによる

シカ被害防止対策を実施

〈高知中部森林管理署〉

遠方からの、植生回復用ネットの設置状況

緊密に連携し、一般の多く

の方々の協力を得て、三嶺

周辺のニホンジカによる食

害防止と植生回復等自然環

境の維持に取り組んでいく

考えです。

ボランティアによる植生回

復用ネットの設置