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「良い混合気」「良い圧縮」「良い火花」――。こ れらの要素が、ガソリンエンジンにおいていかに 重要であるか多くを語るまでもありません。 近年の多くの自動車は、これらが電子制御に よって走行状況に応じて最適化されるようにな り、同時に部品ごとの品質や精度が向上したこと から、以前に比べエンジン不調に陥るケースは少 なくなりました。 その反面、ひとたびトラブルが生じると、故障 探求の難度が極めて高くなる傾向にあるようで す。今回はその一例として、自己診断モードが有 効に活用できないエンジン始動不良の事例を取り 上げてみました。 エンジン始動不良の原因は 数々ありますが、近年の自動車 であれば「自己診断モード」を活 用すればトラブル箇所を大まかに特定すること ができるので、トラブルシューティングで時間 を浪費するケースは少なくなったといえます。 ところが、今回の事例は故障コードが設定さ れていないため自己診断モードが活用できず、 効率よくトラブルシューティングを進めていく ことが強く求められることになります。 そうとはいえ、エンジン始動時に作動する部 位をひとつひとつチェックしていくのは、とて も大変な労力が伴います。 そこで今回は、会員の皆さまから寄せられた 相談の中からホンダ車の「イグナイタ」不良に スポットを当てて、その点検方法の一例を以下 に紹介します。このようなトラブルは他メー カー車にも応用ができると思いますので、ぜひと も参考にして ください。

F22B型エンジン: - tossnet.or.jp · 緑および青コードの接続を外す。 ③イグニッションスイッチをonにした時、黒/ 黄コードとボディアース間にバッテリ電圧が

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Page 1: F22B型エンジン: - tossnet.or.jp · 緑および青コードの接続を外す。 ③イグニッションスイッチをonにした時、黒/ 黄コードとボディアース間にバッテリ電圧が

 「良い混合気」「良い圧縮」「良い火花」――。こ

れらの要素が、ガソリンエンジンにおいていかに

重要であるか多くを語るまでもありません。

 近年の多くの自動車は、これらが電子制御に

よって走行状況に応じて最適化されるようにな

り、同時に部品ごとの品質や精度が向上したこと

から、以前に比べエンジン不調に陥るケースは少

なくなりました。

 その反面、ひとたびトラブルが生じると、故障

探求の難度が極めて高くなる傾向にあるようで

す。今回はその一例として、自己診断モードが有

効に活用できないエンジン始動不良の事例を取り

上げてみました。

 エンジン始動不良の原因は

数々ありますが、近年の自動車

であれば「自己診断モード」を活

用すればトラブル箇所を大まかに特定すること

ができるので、トラブルシューティングで時間

を浪費するケースは少なくなったといえます。

 ところが、今回の事例は故障コードが設定さ

れていないため自己診断モードが活用できず、

効率よくトラブルシューティングを進めていく

ことが強く求められることになります。

 そうとはいえ、エンジン始動時に作動する部

位をひとつひとつチェックしていくのは、とて

も大変な労力が伴います。

 そこで今回は、会員の皆さまから寄せられた

相談の中からホンダ車の「イグナイタ」不良に

スポットを当てて、その点検方法の一例を以下

に紹介します。このようなトラブルは他メー

カー車にも応用ができると思いますので、ぜひと

も参考にして

ください。

Page 2: F22B型エンジン: - tossnet.or.jp · 緑および青コードの接続を外す。 ③イグニッションスイッチをonにした時、黒/ 黄コードとボディアース間にバッテリ電圧が

 ホンダ車の「エンジン始動不良」で会員の皆さ

まの工場へ入庫した際、まず自己診断モードで

「PGM-FI 警告灯」が点滅しているかチェックし

てください。ここでダイアグコードが検出される

場合とされない場合があり、それぞれの結果によ

り後のトラブルシューティング方法が変わってく

るからです。

 ホンダのサービスマニュアルを見ると、平成5

年(93年)頃が境界となって、点火出力信号の有

無に関するダイアグコードが設けられた車種が分

かれているようです。

 まず最初は、自己診断モードに何もダイアグ

コードが検出されなかった場合に行う診断方法の

一例を上記に掲載します。

※燃料系および点火装置の基本的な点検を行ってから、イグナイタユニットの点検を行うこと。※タコメータが正常であること。

<PGM-FI装備車>

①ディストリビュータキャップ、ロータおよび

リークカバーを取外す。

②イグナイタユニットから黒/黄、白/青、黄/

緑および青コードの接続を外す。

③イグニッションスイッチをONにした時、黒/

黄コードとボディアース間にバッテリ電圧が

あること。

・バッテリ電圧がない場合は、イグニッションス

イッチとイグナイタユニット間の黒/黄コード

の断線を点検する。

・バッテリ電圧がある場合はステップ④に進む。

④イグニッションスイッチをONにした時、白/

青コードとボディアース間にバッテリ電圧が

あること。

・バッテリ電圧がない場合は下記の項目を点検する。

 ―イグニッションコイル

 ―イグニッションコイルとイグナイタユニット間

の白/青コードの断線

⑤PGM-FI ECUとイグナイタユニット間の黄/

緑コードおよび、タコメータとイグナイタユ

ニット間の青コードの断線を点検する。

⑥すべて正常の場合は、イグナイタユニットを

交換する。

<PGM-CARB装備車>

①ディストリビュータキャップおよびロータを

取外す。

②イグナイタユニットから黒/黄、黒/白、青お

よび青(イグニッションコイル)コードの接

続を外す。

③イグニッションスイッチをONにした時、黒/

黄コードとボディアース間にバッテリ電圧が

あること。

・バッテリ電圧がない場合は、イグニッションス

イッチとイグナイタユニット間の黒/黄コード

の断線を点検する。

・バッテリ電圧がある場合はステップ④に進む。

④イグニッションコイルとイグナイタユニット間

の黒/白および青コードの断線を点検する。

⑤タコメータとイグナイタユニット間の青コー

ドの断線を点検する。

⑥すべて正常の場合は、イグナイタユニットを

交換する。

<PGM-FI装備車>

Page 3: F22B型エンジン: - tossnet.or.jp · 緑および青コードの接続を外す。 ③イグニッションスイッチをonにした時、黒/ 黄コードとボディアース間にバッテリ電圧が

H22A型エンジン:

F22B型エンジン:

F20B、F18B型エンジン:

 上記に掲載した故障診断チャートは、平成5年

9月発売のアコードで、PGM-FI警告灯が点滅し

ている場合に行います。アコードのように、車種

によっては点火系の異常を検知するダイアグコー

ドが設けられているので、トラブル箇所をより早

く断定するために有効に活用したいものです。次

頁に点火装置(イグナイタ)の点検方法を掲載し

たので参考にしてください。

Page 4: F22B型エンジン: - tossnet.or.jp · 緑および青コードの接続を外す。 ③イグニッションスイッチをonにした時、黒/ 黄コードとボディアース間にバッテリ電圧が

H22A、F20B、F18B型エンジン:

F22B型エンジン: