60
1 合同研究班参加学会 日本循環器学会 日本心臓病学会 日本心電学会 日本不整脈学会  班長 井上 博 富山大学第二内科 班員 新 博次 日本医科大学 多摩永山病院 奥村 謙 弘前大学循環器内科 鎌倉 史郎 国立循環器病研究センター 心臓血管内科 熊谷 浩一郎 国際医療福祉大学大学院 是恒 之宏 大阪医療センター 臨床研究センター 杉 薫 東邦大学医療センター 大橋病院循環器内科 三田村 秀雄 国家公務員共済組合連合会 立川病院 矢坂 正弘 九州医療センター 脳血管内科 山下 武志 財 ) 心臓血管研究所付属病院 循環器内科 協力員 里見 和浩 東京医科大学八王子医療センター 循環器内科 外部評価委員 大江 透 心臓病センター 榊原病院 小川 聡 国際医療福祉大学 三田病院 児玉 逸雄 名古屋大学 筒井 裕之 北海道大学 循環病態内科学 (五十音順,構成員の所属は 2013 6 月現在) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012 年度合同研究班報告) 心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013 年改訂版) Guidelines for Pharmacotherapy of Atrial Fibrillation JCS 2013目次 再改訂にあたって ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 I. 疫学 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4 1. 一般住民での有病率 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4 2. 有病率の経年変化‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6 3. 新規発症‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6 4. 基礎疾患‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥7 5. 心房細動の危険因子‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥7 II. 心房細動の病態生理 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥9 1. 心房細動の病態‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥9 2. 基礎疾患‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥9

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)...3 心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013 年改訂版) ず,薬物療法に関しては大きな変化は加えられていない.

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1

合同研究班参加学会

日本循環器学会 日本心臓病学会 日本心電学会 日本不整脈学会 

班長

井上 博富山大学第二内科

班員

新 博次日本医科大学多摩永山病院

奥村 謙弘前大学循環器内科

鎌倉 史郎国立循環器病研究センター

心臓血管内科

熊谷 浩一郎国際医療福祉大学大学院

是恒 之宏大阪医療センター臨床研究センター

杉 薫東邦大学医療センター大橋病院循環器内科

三田村 秀雄国家公務員共済組合連合会

立川病院

矢坂 正弘九州医療センター脳血管内科

山下 武志財 ) 心臓血管研究所付属病院

循環器内科

協力員

里見 和浩東京医科大学八王子医療センター

循環器内科

外部評価委員

大江 透心臓病センター榊原病院

小川 聡国際医療福祉大学三田病院

児玉 逸雄名古屋大学

筒井 裕之北海道大学循環病態内科学

(五十音順,構成員の所属は 2013年 6月現在)

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)Guidelines for Pharmacotherapy of Atrial Fibrillation (JCS 2013)

目次

再改訂にあたって ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 I. 疫学 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4 1. 一般住民での有病率 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4 2. 有病率の経年変化 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6 3. 新規発症 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6

4. 基礎疾患 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥7 5. 心房細動の危険因子 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥7 II. 心房細動の病態生理 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥9 1. 心房細動の病態 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥9 2. 基礎疾患 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥9

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2

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

3. 病型と臨床的意義 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 10III. 心房細動の電気生理学的機序 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 10 1. 心房細動の発生機序 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 10 2. 電気的リモデリング,構造的リモデリング ‥‥‥ 12 3. 遺伝的リスクと電気生理学的変化 ‥‥‥‥‥‥ 12IV. 臨床像 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 13 1. 心房細動の分類 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 13 2. 初発心房細動 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 14 3. 発作性心房細動 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 15 4. 持続性心房細動 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 15 5. 永続性心房細動 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 15

V. 治療 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 16 1. 治療方針の立て方 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 16 2. 抗血栓療法の適応と方法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 20 3. 心拍数調節の適応と方法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 34 4. 洞調律化・再発予防の適応と方法 ‥‥‥‥‥‥ 36 5. アップストリーム治療 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 45 6. 非薬物療法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 47付表‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 50文献‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 51

(無断転載を禁ずる)

指針クラス I 手技,治療が有効,有用であるというエビデ

ンスがあるか,あるいは見解が広く一致している.

クラス II 手技,治療の有効性,有用性に関するエビデンスあるいは見解が一致していない.

クラス IIa エビデンス,見解から有用,有効である可能性が高い.

クラス IIa′ エビデンスは不十分であるが,手技,治療が有効,有用であることにわが国の専門医の意見が一致している.

クラス IIb エビデンス,見解から有用性,有効性がそれほど確立されていない.

クラス III 手技,治療が有効,有用でなく,ときに有害であるというエビデンスがあるか,あるいは見解が広く一致している.

エビデンスレベルレベルA 400例以上の症例を対象とした複数の多施設

ランダム化比較試験で実証された,あるいはメタ解析で実証されたもの.

レベルB 400例未満の症例を対象とした複数の多施設ランダム化比較試験,よくデザインされた比較検討試験,大規模コホート試験などで実証されたもの.

レベルC ランダム化比較試験はないが,専門医の意見が一致したもの.

再改訂にあたって

2001年 1)に公表された『心房細動治療(薬物)ガイドライン』は,2008年に改訂された 2).今回 5年ぶりに再度の改訂を行うことになった.過去 5年間にみられた心房細動治療に関する新知見を加味し,現在のわが国における心房細動の標準的な薬物治療を提案するものである.心房細動の治療方針は,心拍数調節(レートコントロー

ル),洞調律化・再発予防(リズムコントロール),および抗血栓療法からなる.心拍数調節に関しては,これまで経験的な目標心拍数が設定されていたが,それほど厳密な目標心拍数でなくても数年の経過では予後に大きな差のないことが明らかになってきた.一方,洞調律化・再発予防については,わが国では新規抗不整脈薬の上市はみられ

再改訂にあたって

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3

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

ず,薬物療法に関しては大きな変化は加えられていない.また再発予防に大いに期待されたアップストリーム治療について,欧米やわが国で行われた前向き比較試験は否定的な成績を示した.洞調律化・再発予防としてのカテーテルアブレーションは,わが国でも広く行われるようになり,薬物治療に勝る成績が集積されてきている.カテーテルアブレーションは,今や心房細動の治療には欠かすことのできない手段であるので,本ガイドラインでも扱うこととした.なお本学会からは『カテーテルアブレーションの適応と手技に関するガイドライン』が公表されているので,参照していただきたい 3).旧ガイドラインからの大きな変更点は以下のとおりである.まず新規経口抗凝固薬の追加である.経口薬として直接トロンビン阻害薬や第Xa因子(FXa)阻害薬が登場し,2013年 12月現在,わが国ではダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバンが使用可能で,国産のエドキサバンは国際共同第 III相試験の結果が報告された.これらの新規経口抗凝固薬は,ワルファリンの持つ問題点を解決すべく開発された薬剤であるが,まだ使用経験が少なく,これらを使いこなすには多くの経験の蓄積が必要である.使用経験が限られており推奨度を決めることが難しいため,臨床開発治験として行われた大規模試験の結果や,2013年12月の時点までに得られた情報に基づいて新規薬剤の推奨度を決めた.新知見が加われば推奨度に変更が加えられることになる.短期間のあいだに新知見が数多く報告されてきているので,新規経口抗凝固薬の新しい情報には十分な注意を払っていただきたい.次にワルファリンの至適抗凝固レベルである.日本人向けの目標 PT-INR(プロトロンビン時間 -国際標準比)レベルについては,これまで少数例の検討に基づく成績しかなかった.7000例を超す集団についての前向き研究(J-RHYTHM Registry)の結果が明らかになり,欧米とは異なる PT-INRレベル(1.6~2.6)が日本人,ことに 70歳以上の非弁膜症性心房細動例にはふさわしいことが改めて示された.70歳未満の場合,低めのPT-INR(1.6~2.6)でも有効かつ安全であることが示されたが,一度,脳塞栓症を発症すると長期にわたってハンディキャップを背負い家族の負担が増すことや,70歳未満の例では PT-INR 3以下であれば出血性合併症をきたしにくいことから,旧版どおり PT-INR 2.0~3.0を目標とすることを推奨した.旧ガイドラインでは心原性塞栓症のリスク層別化に

CHADS2スコアが利用されていたが,欧州では真にリスクの低い集団を抽出するための新たなスコア(CHA2DS2-VASc)が提案されガイドラインでも利用されている.しかし,本改訂作業までに得られた前向き比較試験はリスク

層別化法としてCHADS2スコアを採用しており,これらの成績を参考にした本改訂版では,リスク層別化法としてCHADS2スコアを基本的に用いることとした.出血のリスク層別化法については,従来は簡便なものがなかったが,HAS-BLEDという新しいスコア法が提案され,日本人にもこれらの新しいリスク層別化法が利用できることが次第に明らかになってきた.旧ガイドラインの「弁膜症性」の定義を若干改め,人工弁置換(機械弁,生体弁とも)とリウマチ性僧帽弁膜症(おもに狭窄症)を「弁膜症性」とした.「僧帽弁修復術後」は非弁膜症性として扱い,その他の要因によって抗凝固療法のあり方を決めることにした.なお緊急ステートメントで明記されているように,リウマチ性でない僧帽弁閉鎖不全症は非弁膜症性に含める.孤立性心房細動の定義は研究者により異なり,また時代により変更されてきた.年齢を条件に加えるもの,心疾患以外の疾患を含めるものなどさまざまであり,そもそも「孤立性」という修飾語の使用を勧めない意見すらある.臨床現場での混乱を回避するために,本改訂版の治療方針の解説(V.「治療」(16~49㌻)にあたっては「孤立性心房細動」という用語は原則使用せず,その代わりに「臨床上有意な器質的心疾患を認めない心房細動」と記載することとした.器質的心疾患とは肥大心,不全心,虚血心をさす.たとえば高血圧がある場合,塞栓症予防の観点からはリスクであるが,明らかな肥大がない場合(たとえば心電図上 ST-T変化を伴う左室肥大の所見がないなど)には不整脈治療の観点からは,いわゆる孤立性心房細動に準じた抗不整脈薬の選択が推奨される.すなわち抗血栓療法とリズムコントロールではリスク評価に若干の違いがあるため,「孤立性」を厳密に定義すると臨床現場では治療法の選択に混乱が生じる恐れがある.条件が少々はずれた患者に対する治療選択に,現実的でない対応を求めることになりかねない.このような問題点に鑑み,本改訂版では上記の方針を採用することとした.以上のように,本改訂版が現時点における標準的な日本人向けの診療指針となるよう努めた.ガイドラインは医師が実地診療において治療法を選択するうえでの「指針」であり,最終的判断は各症例の病態を個別に把握したうえで主治医が下すべきものである.ガイドラインに従わない治療法が行われたとしても,個々の症例での特別な事情を勘案した主治医の判断が優先されるものであり,決して訴追されるべき論拠をガイドラインが提供するものではないことを確認しておきたい.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

I. 疫学

1.

一般住民での有病率

1.1

欧米の成績

表1に,年齢別にみた心房細動有病率に関する欧米の研究を発表年代順にまとめた 4-8).いずれの報告でも,男女とも加齢とともに有病率は増加し,各年齢層では一般に男性のほうが女性より有病率が高い.Cardiovascular Health Study 5)は,米国のメディケアのデータから年齢 65歳以上の男女を無作為に抽出して調査したもので,厳密な意味では一般住民を対象にした調査ではない.英国の報告 6)は実地医家に登録された 140万人のデータベースをもとに,1998年の心房細動の有病率を示したものである.全体の有病率は男性 1.21 %,女性 1.27 %となり,年齢別の人口を用いて計算すると,心房細動を持つものは 75~84歳の

年齢層が最多となった 6).ATRIAの成績 7)は,米国カリフォルニアの医療保険に登録された 20歳以上の成人の受診歴から心房細動の有病率を求めたものである.この成績では心房細動は男性の 1.1 %,女性の 0.8 %にみられ,全体では 0.95 %の有病率となった 7).

1995年までの報告から年齢層別の心房細動の有病率をグラフ化したものを図 1 9)に示す.60歳を超えると有病率が急峻に増大し,80歳代以降では 10 %に達する数字となっている.図1の点線で示された有病率を用いると米国では心房細動を有する人口は 223万人となり,これは全国民の 0.89 %にあたり,75~79歳の年齢層の心房細動合併例が最多となった 9).一方,ATRIA7)の成績を米国全体にあてはめると,230万人の心房細動例がいることになり,上述の成績 9)とほとんど同じ値を示している.心房細動有病率と将来の人口動態予測から,2050年には米国では560万人が心房細動に罹患していると推定されている 7).

I. 疫学

1.

一般住民での有病率

表 1 心房細動有病率(欧米の成績)Framingham Study

Cardiovascular Health Study UK database ATRIA Study Rotterdam Study

報告年(文献) 19914) 19945) 20016) 20017) 20068)

対象 5070人 5201人 140万人 189万人 6808人

年齢(歳) 全体 男性 女性 全体 男性 女性 全体 男性 女性 全体 男性 女性 全体

40~440.1

0.3 0.2 0.2

45~490.7 0.4 0.5

50~540.5

55~591.8 1.1 1.4

0.9 0.4 0.6 0.8 0.6 0.7

60~641.8

1.7 1.0 1.4 2.6 1.0 1.7

65~69 5.9 2.8 4.04.6 3.3 3.9

3.0 1.7 2.5 5.2 2.9 4.0

70~744.8

5.8 5.9 5.8 5.0 3.4 4.3 6.9 5.4 6.0

75~79 5.8 5.9 5.8 9.1* 7.2* 7.9* 7.3 5.0 6.3 13.0 6.5 9.0

≧ 80 8.8 8.0 6.7 7.3 10.6** 10.9** 10.8** 10.6 8.0 9.3 16.2 15.0 15.4

表中の数字は%. *:75~84歳, **:85歳以上.

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心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

1.2

わが国の成績

秋田県の農村住民を対象とした疫学調査 10),心血管疾患全国調査 11),日本循環器学会疫学調査 12),および倉敷市の住民健診 13)の結果を表 2にまとめた.日本循環器学会の疫学調査 12)は,2003年に行われた定期健診の成績(40歳以上の住民健診および企業健診 630138人が対象)で,心房細動有病率は男女とも加齢とともに増加し,各年齢層において女性に比べて男性で高かった.しかし,この調査では欧米の成績と異なり,有病率は 70歳代で男性 3.44 %,女性 1.12 %,80歳以上では男性 4.43 %,女性 2.19 %と低い値を示した.この成績を日本の人口にあてはめて計算すると,2005年には,わが国で71.6万人が心房細動を有し,有病率は 0.56 %となり,米国 9)の 2/3の有病率となった.有病率が今後も変わらないとして将来の人口予測値を用いると,2050年にわが国で心房細動を持つ人口は約 103

万人で,予測総人口 9518万人の 1.09 %を占めると推定される 12).心血管疾患全国調査 11)の成績は日本循環器学会の成績とよく似ており, 2000年にわが国では 72.9万人が心房細動を有すると推定している.日本循環器学会の疫学調査の成績では有病率に地域差の存在が示唆され,住民健診で比較すると,長崎県では青森県や新潟県より有病率が低かった(60歳以上の男性では青森 3.01 %,新潟 2.99 %,長崎 1.93 %,女性ではそれぞれ 0.79 %,0.90 %,0.52 %).

1.3

東南アジアの成績

韓国 14),台湾 15),中国 16)の疫学調査の成績を表 3にまとめた.対象となった母集団はそれほど多くはないが,韓国 14)と台湾 15)の有病率は欧米の報告(表 1)より低く,わが国の結果(表 2)に似ている.中国 16)の成績では 80歳以上の対象が少なく,有病率はわが国(表 2)や韓国14),台湾 15)よりも高くなっている.

年齢(歳)

:Framingham Study :Cardiovascular Health Study:Western Australia:Rochester

40 50 60 70 80 90

20181614121086420

有病率(%)

図1 年齢層別にみた心房細動有病率年齢の範囲の中間に値を示した(例,年齢 60~ 69歳の値は 65歳の所に,また 80歳以上の値は 85歳の所に示した).点線はこれらの成績から求められた各年齢層における有病率を示す.(Feinberg WM, et al. 19959)より)

表 2 心房細動有病率(わが国の成績)秋田県農村 心血管疾患全国調査 日循疫学調査 倉敷市

報告年 (文献) 199110) 200511) 200612) 200813)

対象 6057人(Ⅲ期) 5198人(2000年度) 63万人 41436人

年齢(歳) 男性 女性 全体 男性 女性 全体 男性 女性 全体 男性 女性 全体

40~49 1.2 0 0.5 0 0.2 0.1 0.2 0.04 0.10.5 0.2 0.2

50~59 1.2 0.6 0.9 0.4 0.7 0.6 0.8 0.1 0.4

60~69 3 1.1 1.9 1.4 0.5 0.9 1.9 0.4 12.3 1 1.5

70~79 (4.7) (3) (3.8)3.5 2.1 2.7

3.4 1.1 2.1

≧ 80 4.4 2.2 3.2 3.5 2.5 2.8

表中の数字は%. ( )内の数字は参考値(受診者が少ないため).

表 3 心房細動有病率(アジアの成績)韓国 台湾 中国

報告年 (文献) 200514) 201015) 200816)

対象 14540人 3522人 29079人

年齢(歳) 男性 女性 全体 全体 男性 女性 全体

40~440.1 0.06 0.1

0.1 (35~44歳) 0.2 0.05 0.1

45~490.3

0.3 0.3 0.3

50~540.7 0.4 0.5

0.5 0.6 0.5

55~591.1

0.5 0.6 0.5

60~64 1.8 0.2 0.9 1.1 1.0 1.0

65~69 3.9 1 2.22.6

1.8 1.3 1.6

70~74 2.5 1.1 1.7 3.0 2.6 2.8

75~79 3.4 0.5 1.93.7

4.8 2.6 3.8

≧ 80 4.5 3.5 4 7.5 7.4 7.5

表中の数字は%.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

2.

有病率の経年変化

時代の変化に伴って疾病構造に変化が生じうる.Framingham Studyの成績 17)では,男性(年齢 65~84歳)は 1960年代の終わりに比べて,1980年代の終わりには心房細動の有病率は約 3倍に増加している.しかし,同時期に女性では軽度の増加にとどまっている(表 4).Copenhagen City Heart Study(表4)18)でも Framingham Study 17)と同様に,男性では経年的に心房細動の有病率の増大がみられるが,女性ではそのような増大はみられていない.これらの心房細動の経年的変化にみられる特徴の原因については不明な点が多いが 17),少なくとも基礎心疾患の頻度や年齢構成の変化だけでは説明は困難である 18).

3.

新規発症

Framingham Study19)の心房細動新規発症率を図2に示す.これは 2年間の心房細動新規発症数を 1000人あたりで示したもので,70歳代男性では慢性,一過性とも約13人,女性では 7人(慢性心房細動)~9人(一過性心房細動)となっている.全体でみると,男性では年間 0.2 %という成績である 19).Cardiovascular Health Study 20)の心房細動新規発症率(1000人・年あたり)は,男性では 65~69歳 12.3人,70~74歳 22.8人,75~79歳 34.8人,80歳以上 58.7人,女性では 65~69歳 10.9人,70~74歳 9.1人,75~79 歳 23.1 人,80 歳 以 上 25.1 人 で あ り,Framingham Study同様,男女とも加齢とともに新規発症率は増大している.Rotterdam Studyの結果 8)では,新規発症率は若干低い(80~84歳の男性では 25.5人,女性では 18.2人,いずれも 1000人・年あたり).

米国ミネソタ州のデータでは,地域住民の受診歴も含んだ検討の結果,1980年から 2000年の 21年間に新規発症率が 12.6 %増えている 21).新規発症率がこのペースで増えていくと,2050年には米国全体では 1590万人が心房細動を持つと推測される.2000年の有病率を用いて推定した場合でも,2050年の心房細動を有する人口は米国では1210万人であり,先に記した予測(560万人)7)よりはるかに多い数字となっている.

Framingham Studyの成績から,生涯のあいだに心房細動を発症する危険性を推定すると,40歳男性では 26 %,女性では 23 %となった 22).心不全や心筋梗塞を持たない例に限ると,生涯の危険性は約 16 %となった 22).久山町研究(図 3,1961~1983年にかけての調査)23)

によれば,男女とも加齢とともに新規発症率は増大しているが,Framingham Study19)やCardiovascular Health

2.

有病率の経年変化

3.

新規発症

表 4 心房細動有病率の経年変化Framingham Study, 199617)(65~84歳の住民 , %)

年 1968-1970 1971-1973 1975-1977 1979-1981 1983-1985 1987-1989

男性 3.2 5.3 6.5 7.8 7.5 9.1

女性 2.8 3.3 4.3 4.3 3.9 4.7

Copenhagen City Heart Study, 200318)(50~89歳の住民から無作為に抽出した集団 , %)

年 1976-1978 1981-1983 1991-1994

男性 1.4 1.9 3.3

女性 1.5 1 1.1

女性

年齢(歳) 年齢(歳)

2

男性

女性

年間の新規発症率(/1000人)

慢性心房細動 一過性心房細動

男性

図2 心房細動新規発症率(Framingham Study)縦軸は 2年間の新規発症率を 1000人あたりの頻度で示す.左は慢性心房細動,右は一過性心房細動の新規発症率.(Kannel WB, et al. 198319)より)

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7

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

Study 20)よりはるかに低い.秋田県農村の調査 10)のうち,図 3の久山町の集団と同時期の I期(1963~1967年)の集団では,60歳代男性は 8.79,女性は 3.99/1000人・年と久山町の発症率より高くなっている.2006~2007年の倉敷市の健診データでは,心房細動の新規発症率は9.3/1000人・年であった 24).男女とも加齢により新規発症率は上昇し,75歳以下では男性のほうが発症率は高いが,75歳を超えると男女差はみられなくなった(男性16.4vs女性 13.6/1000人・年,p=0.273).

4.

基礎疾患

調査の年代,母集団,人種などによって心房細動例の基礎心疾患には差がある(表5)7,25-32).最近の研究では,欧州 28)でもわが国 31)でも高血圧の頻度が高い.2000年以降の報告でみると,虚血性心疾患の頻度は欧米 7,27,28)に比べるとわが国 30-32)では低い.明らかな器質的心疾患を欠く,

いわゆる孤立性心房細動の定義は研究者によって異なり,その頻度は報告によって大きく異なり 33),Euro Heart Survey 28,34)では約 10 %が孤立性とされている.孤立性の定義は,V.1. 2.14「孤立性心房細動」(19㌻)を参照.

5.

心房細動の危険因子

Framingham Studyの成績 34)と久山町研究(第二集団)の成績 23)を表 6にまとめたが,心房細動発症の危険因子には若干の相違がみられる.飲酒と心房細動に関しては,久山町研究 23)では男性の場合に危険因子とされているが,Framingham Study34)では危険因子にはならなかった.しかし,最近の Framingham Study 35)の成績では,長期間にわたる中程度の飲酒は心房細動発生と明らかな関係はないが,1日にエタノール 36g以上を飲むと,心房細動発生の危険が増すことが示された(相対危険度 1.34).肥満については,久山町研究 23)でも Framingham

4.

基礎疾患

5.

心房細動の危険因子

20

15

10

5

0

発症率

(対1000人・年)

40-49

20

15

10

5

0

 (対1000人・年)

合計合計は年齢調整

50-59 60-69 70-79 80-年齢(歳)

****

**

男 性女 性 <0.05 <0.1 linearitypp

<0.05p

図3 久山町研究の年齢階級別にみた心房細動発症率(第一集団の成績)1000人・年あたりの頻度を示す.(藤島正敏 . 199823)より)

表 5 心房細動の基礎疾患の内訳Framingham Study

ALFA Study ATRIA StudyAFFIRM Study

Euro Heart Survey

不整脈薬物療法研究会

Tomita J-RHYTHM Registry

心研データベース

報告年(文献) 198225) 199926) 20017) 200227) 200528) 199829) 200030) 201131) 201132)

虚血性 10.2 16.5 34.6 26 32.8 12.0 11 10.1 9.6

高血圧 48.4 21.4 49.3 51 63.8 27.5 29 59.1 43.0

弁膜症 18.4 15.2 4.9 5 26.4 25.1(僧帽弁膜症) 19

13.7(僧帽弁狭窄症, 人工弁)

21.1

その他 - 17.5 - 6 11.0 - 8 9.6 10.0

孤立性 - 29.4 - 13 10.2 25.1 33 - -

数字は%(重複あり).

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8

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

Study34)でも心房細動発症の危険因子とはされてこなかった.しかし,その後の Framingham Studyの成績 36)では,肥満指数(body mass index:BMI)が増すにつれ心房細動の頻度が上昇し,BMIが 30 以上の群では 25 未満の群に比べて男性は 1.52,女性は 1.46のハザード比を示した.肥満により左房容積が増大することが心房細動の発生を促すと説明されている 36).わが国の成績でも,身長(相対危険度 2.07)やBMI(同 1.78)が心房細動有病率を高め

ることが示されている 37).身長は時代とともに高くなる傾向があり,今後わが国の心房細動有病率が高くなることが推測される.メタボリック症候群はさまざまな心血管疾患の危険因子であるが,心房細動に関しても両者の関係が示唆されてきた 38).わが国の健診データでは,メタボリック症候群は将来の心房細動発症の危険因子(メタボリック症候群の定義によりハザード比は 1.28~1.78)となった 39).メタボリック症候群の構成要因もそれぞれ単独で心房細動発症の危険因子であり,ハザード比は肥満 1.64,高血圧 1.69,HDLコレステロール低値1.52,空腹時血糖上昇1.35~1.44である 39).ただしHDLコレステロール低値は,女性では心房細動発症と関係があったが,男性では有意な関係はみられなかった40).なお,加療中の高血圧例を対象としたケースコントロール研究では,収縮期血圧 150mmHg以上のコントロール不良例で心房細動の合併が多いことが示されている 41).尿酸と心房細動との関係については不明な点が多かった.わが国の成績では,高尿酸血症は女性では心房細動合併と関連(オッズ比 1.89)していたが,男性では有意な関係が認められなかった 42).慢性腎臓病と心房細動の関連についてのわが国の成績

43)では,腎機能低下に伴い将来の心房細動発症の危険が高まる.推定糸球体濾過量(eGFR) 30~59 mL/min/1.73m2

ではハザード比 1.32,30 mL/min/1.73m2未満では 1.57となった.逆に心房細動は将来の腎機能低下(ハザード比1.77)と関連している 43).喫煙についての成績は必ずしも一致しているわけではない.古くは Framingham Study(女性で 40 %増加)34)

や最近報告されたARIC Study(喫煙歴があると 52 %増加)44)のように,心房細動発症の危険因子となるとするものと,関係がないとするもの 45)がある.

表 6 心房細動発症の危険因子Framingham Study, 199434)(多変量解析によるオッズ比)

男性 女性

年齢(10歳ごと) 2.1* 2.2*

喫煙 1.1 1.4

糖尿病 1.4** 1.6***

左室肥大(ECG) 1.4 1.3

高血圧 1.5*** 1.4**

心筋梗塞 1.4** 1.2

うっ血性心不全 4.5* 5.9*

弁膜症 1.8*** 3.4*

*p<0.0001, **p<0.05, ***p<0.01.

久山町研究第二集団,199823) (Cox比例ハザードモデル)

男性 女性

年齢 1.8** 2.5*

喫煙 0.9 0.5

耐糖能異常 0.9 1

左室肥大 1.1 1.6

拡張期血圧 1.1 1.2

虚血性心疾患 3.4** 1.5

弁膜症 1.8** 13.1**

飲酒 1.9** -*p<0.05, **p<0.01.

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9

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

II. 心房細動の病態生理

1.

心房細動の病態

心房細動では,空間的にも時間的にも変動する複数のリエントリーが成立しており,心房は統率のない興奮に陥っている 46).このため,心房は局所的には 250~350回 /minまたはそれ以上の高頻度で興奮するようになる.心房細動の発生とその維持には,トリガーとなる異常興奮と,肺静脈を含む心房でリエントリーが成立するための心房筋の電気生理学的または構造的変化(不整脈基質)が存在すると考えられている.統率のない速い不規則な心房興奮のため心電図で P波は消失し,有効な心房収縮もみられなくなる.このため心室充満に対する心房寄与は消失し心拍出量は減少するので,高齢者やすでに心疾患を有する例では,血行動態を悪化させ心不全の増悪因子となる.正常心であっても頻脈性心房細動が長く続くと,心筋症の所見を示すようになる(頻脈誘発性心筋症)47).また,心房収縮の消失は心房内の血流低下をきたし,血栓形成の原因となる.

2.

基礎疾患

心房細動をきたしやすい疾患には,僧帽弁疾患,心不全,心筋梗塞,高血圧,糖尿病,甲状腺機能亢進症がある 2, 34).有意な器質的心疾患のない孤立性心房細動 48)では,遺伝子異常を伴う家族性心房細動の病態が報告され 49),一塩基多型(SNPs)が心房細動の発症に関与する可能性も報告されるようになった 50).心房細動の発生要因には,①左房の機械的負荷,②自律神経活動,③心房筋のイオンチャネルの変化などがあるが,これらの要因が同時にあるいは経時的に組み合わさり,心房細動発生の基質を形成していくと考えられる 51-

53).とくに心房細動の基礎疾患に共通する要因は左房の機

械的負荷で,これは僧帽弁狭窄症や心不全,高血圧で代表される.左房負荷は心房筋の肥大や線維化(構造的リモデリング)を促進するが 54),その際,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系の賦活や酸化ストレスの亢進が大きな役割を果たしている 55,56).また,心房細動の持続自体も構造的リモデリングを促進する 55,57).心房細動の新規発症の危険因子を是正することは,心房細動発症予防に有効である.最近の大規模臨床試験は,高血圧では十分な降圧により心房細動の新規発症が少なくなることを報告している 58).降圧薬のなかでは,他剤に比較してアンジオテンシン II受容体拮抗薬(ARB)で発症抑制効果が高い可能性が示唆されている 58,59)が,心房細動発症を主要エンドポイントとした前向きランダム化比較試験は行われていない.心不全での心房細動の新規発症はARBやアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬で抑制される 60)が,これが直接効果によるものか,心不全の進行を防止することによる二次的効果によるものかは不明である.いずれにせよ,これらの基礎疾患の治療による心房細動新規発症の抑制作用は,心房細動の上流治療(アップストリーム治療)と呼ばれている(V.5「アップストリーム治療」〈45㌻〉参照)61).甲状腺機能亢進症では心房細動が好発する.その機序の一つに,トリヨードサイロニン(T3)による心房筋のKv 1.5遺伝子の発現亢進が考えられる 62).最近,家族性心房細動でもKチャネルの遺伝子異常が知られており,K電流の増加(gain of function)が確認されている 49).このようなイオンチャネルの遺伝子発現の変化や遺伝子異常により心房の不応期が短縮すれば,心房でのリエントリーの成立は促進されることになる 46).

II. 心房細動の病態生理

1.

心房細動の病態

2.

基礎疾患

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10

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

3.

病型と臨床的意義

3.1

病型

心房細動はその持続時間から,発作性,持続性,および永続性に分類される(IV. 臨床像〈13㌻〉参照).発作性心房細動は年間約 5.0~8.6 %の率で慢性化するとされ,その移行速度は初期に速くその後は緩慢となる.5年で約25 %が永続性心房細動に移行するとされている 63).慢性化の促進因子には,年齢(高齢),弁膜疾患(大動脈弁狭窄症および僧帽弁逆流症),心筋梗塞,心筋症,左房拡大があげられている 63).このような病型分類は,治療手段の選択に有用である.

3.2

臨床的意義

心房細動の約 40 %は無症候性であるが 64),脈の不整や胸部不快感を訴えたり,自分で脈を触れて不整に気づく例

もある.心房収縮が消失し心拍出量は低下するため,労作や運動時の易疲労感など,非特異的な症状を示す場合も多い.心機能低下例や肥大型心筋症などでは,心不全を急激に悪化させ,肺うっ血もきたす.心室拍数は房室結節の伝導能によって規定される.発作性心房細動では 120~150回 /min以上と速いことがしばしばで,このため,とくに高齢者では急性の左心不全の原因になる.また運動時に心室拍数が急激に上昇すると,易疲労感や運動耐容能の低下をもたらす.心室拍数の速い心房細動が持続すると,頻脈による心筋症をもたらす 47).伝導能の良好なKent束を有するWPW症候群では,心房細動時に速い興奮がKent束を介して心室に達し,心室細動をきたす危険がある 65).心房細動では有効な心房収縮が消失し,心房内の血流速度は低下して,もやもやエコーがみられるようになる.また,心房細動は心房内皮におけるトロンボモジュリンやプラスミノーゲン活性化因子インヒビター(PAI-1)などの遺伝子発現を修飾し,易血栓性をもたらす可能性がある66).これらの血流速度の低下,心房内皮障害,また心房細動の基礎疾患からもたらされる血液凝固成分の変化は,左房内血栓の形成を促すため,心房細動は脳梗塞発症の大きな危険因子となる.

III. 心房細動の電気生理学的機序

心房細動の電気生理学的機序は,房室回帰性頻拍などの解剖学的に規定された頻拍と異なり,単純に描写することはできない.これは心房細動の発症機序が単一でなく,多くの場合,2つまたはそれ以上の機序が複合し,しかも時間的かつ空間的に不安定なためである.一方,心房筋の電気生理学的性質は心房細動発症後の時間経過とともに変化し(電気的リモデリング),さらに基礎疾患や心機能の影響を受けて心房組織に構造的変化が生じ(構造的リモデリング),心房細動は起きやすくなると同時に持続しやすくなる.以上の電気生理学的不安定性,電気的および構造的リモデリングは,心房細動の薬物療法,非薬物療法を困難なものとしている.

1.

心房細動の発生機序

心房細動中に心房電位を記録すると,多くの部位で,不規則で非常に速い,無秩序な興奮が記録される.その成因として局所の異常興奮(自動能)の亢進(focal mechanism)と,複数興奮波(multiple wavelets)の不規則な旋回運動(random reentry)が実験的かつ臨床的に示されている.

3.

病型と臨床的意義

III. 心房細動の電気生理学的機序

1.

心房細動の発生機序

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11

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

1.1

focal mechanism

実験的にアコニチンを局所に投与すると心房細動が誘発される 67).この心房細動モデルは早期後脱分極(early afterdepolarization:EAD)に起因する局所の高頻度の異常発火と,これに続く心房内の細動様伝導(fibrillatory conduction)を機序とする 68).心房内の興奮は心房細動と同様に不規則かつ無秩序であるが,局所の異常興奮に起因することから,電気生理学的には心房頻拍に近い.臨床的には心房または大静脈内の局所を起源とする巣状心房細動が focal mechanismにより発生すると考えられ 69),異常興奮の局在を同定しアブレーションすることにより心房細動は根治される.一方,多くの発作性心房細動例に認められる頻発する心房期外収縮の約 90 %は,肺静脈を起源とすることが臨床的に示されている 70,71).肺静脈近位部の心外膜側には心房筋が袖状に進入しているが(myocardial sleeve)72,73),洞結節細胞(P細胞)や Purkinje線維に類似した細胞が存在することが知られており 74),これが異所性興奮や伝導異常,リエントリーの発生に関係すると考えられている71,73).この肺静脈起源の期外収縮が引き金となって心房内

に複数興奮波のリエントリー(次項)が誘発され,心房細動が生じることもあれば,期外収縮が連発し持続性の高頻度発火(rapidly firing driver)が心房内に細動様伝導を生じ,単独または心房内リエントリーと複合して心房細動が生じることもある 70,71).肺静脈起源の期外収縮,高頻度発火の機序として,撃発活動 75)や左房肺静脈接合部のリエントリー76)が示唆されているが,臨床的に判別することは困難である.図4は,発作性心房細動例の肺静脈隔離術前(A),および術後(B)の電気生理検査所見(右上肺静脈電位と冠静脈洞電位を記録)で,隔離前(A)は左房電位(LA)に連続して肺静脈電位(PV)を認め(小矢印),右上肺静脈内の高頻度発火(大矢印)を起源とする一過性心房細動が記録されている.発作性心房細動のなかで,focal mechanismだけによる心房細動がどの程度存在するのか,また focal mechanismによると考えられる心房細動例の機序が単一かどうか,肺静脈起源の期外収縮がなぜ多いのかなど,いまだ明らかでない点が多い.最近Pitx2ホメオボックス遺伝子を介する肺静脈内の自動能を有する心筋細胞の発現抑制機序の欠落が,肺静脈起源の異常発火と関連することが指摘されている 77).これには第 4染色体長腕(4q25)に存在する心房細動発症関連遺伝子多型の関与が

ECG

9-10

7-8

5-6

3-4

1-2

1-2

7-8

5-6

3-4

9-10

2-3

4-5

6-7

10-1

8-9

500 msec

心房細動

右上肺静脈

(リング状カテーテル)

冠静脈洞

(左房電位)

肺静脈内のみ細動

LA

PV

LA PV

A B

図4  肺静脈隔離術前(A)および術後(B)の電気生理検査

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12

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

示唆されている 78).期外収縮や異常高頻度発火の局在が肺静脈であれば,肺静脈を心房から電気的に隔離することにより心房細動が根治される可能性が高く 70,71,79,80),臨床的にきわめて重要である.図4(B)は肺静脈隔離術後の記録で,左房 -肺静脈間伝導ブロックにより左房電位に続く肺静脈電位は消失した.隔離術前と同様の異常高頻度発火が肺静脈内で生じたが,肺静脈 -左房間伝導ブロックにより,洞調律が維持されている.現在,多くの施設でカテーテルアブレーションによる肺静脈隔離術が実施されているが,持続性心房細動中に施行された肺静脈隔離単独で心房細動が停止することは少なく 3),心房細動の維持には以下の機序の関与が大きいと考えられる.

1.2

複数興奮波のリエントリー

複数興奮波のリエントリー説は,Moeにより提唱され 81),1985年にAllessieが多極マッピングシステムを用いて実験的に証明した 68).Langendorff 灌流心臓標本の左右心房内に多極電極を挿入し,アセチルコリン投与下に誘発された心房細動中の心房興奮を解析すると,3~6個以上の複数の興奮が心房内に同時に認められた.この興奮波のあるものは消滅し,またあるものは分岐しながら心房内を一定の回路を有することなく旋回し(random reentry),不規則な心房興奮,すなわち心房細動を維持することを示した.同様の心房内の複数興奮波のリエントリーは無菌性心膜炎に誘発された心房細動中にも認められているが,興奮旋回は必ずしも無秩序ではなく,大静脈入口部周囲など,優先的に起きやすい部位があることも示唆されている 82).なお複数興奮波のリエントリーであっても,高頻度興奮のために細動様伝導は随所に認められ,すべての興奮が回帰するとは限らない.心房細動の機序としてのリエントリーは必ずしも解剖学的に規定されたものではなく,不応期や異方向性伝導などの機能的障壁により形成される.機能的リエントリーとして,実験的には leading circle reentry 83),anisotropic reentry 84),spiral reentry 85)などが示されている.臨床例での検討は十分ではないが,心臓外科手術中に誘発された心房細動中の右房自由壁マッピングの所見 86)は上記の実験的観察に類似しており,心房細動維持の機序として重要と考えられる.

2.

電気的リモデリング,構造的リモデリング

心房内に複数の興奮波が同時に存在し旋回運動を維持するためには,興奮波長(wavelength)が十分に短いか,または心房自体が拡張している必要がある 87).後者は重症弁膜症例などで認められ,心房細動発生の解剖学的基質となる.一方,心房拡張のない例では興奮波長の短縮が細動発生の基質となる.興奮波長は伝導速度×不応期で決定されるため,伝導速度が遅いかまたは不応期が短いと興奮波長が短縮し,心房細動が持続しやすくなる.

Allessieらは,心房細動が発生すると心房細動自体が心房細動を持続させる「atrial fibrillation(AF) begets AF」という概念を提唱した 88).これは心房細動により心房の不応期が短縮し(電気的リモデリング),興奮波長が短縮するため複数興奮波のリエントリーが可能となるもので,心房細動の慢性化の要因として重要である.電気的リモデリングの機序として,高頻度興奮による細胞内 Ca2+蓄積と膜Ca電流の減少,これに起因する活動電位持続時間の短縮,そして不応期の短縮が考えられている 89,90).Ca電流は分単位で減少するが,頻脈が持続するとチャネル自体のダウンレギュレーションが生じ,またNa電流の減少による伝導速度の低下も加わり,興奮波長はいっそう短くなる.心房細動が長期に持続すると心房筋肥大や心房線維化,ギャップ結合(gap junction)の変化(コネキシン 40の部分的発現低下)などが生じる(構造的リモデリング)89,90).とくに線維化は伝導速度を減少させるとともに不均一伝導を生じ,リエントリーを起こしやすくする 91).構造的リモデリングは持続性・永続性心房細動の基質となる.器質的心疾患,心不全合併例では心房の構造的リモデリングが進行し,心房細動がより発生しやすくなる.RAA系阻害薬は心房の線維化に抑制的に作用し,とくに心不全例の心房細動発症を抑制することが示されている 61).

3.

遺伝的リスクと電気生理学的変化

心房細動,とくに若年の孤立性心房細動にはしばしば家族内発症を認める(15~30 %)49).Framingham Studyによると,両親のいずれか一方に心房細動を認めると心房細動発症リスクが 1.85倍高まり,75歳以下での発症例に限

2.

電気的リモデリング,構造的リモデリング

3.

遺伝的リスクと電気生理学的変化

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13

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

ると 3.23倍高まることが示された 92).1997年に,Brugadaらにより常染色体性優性遺伝を示す家族性心房細動の 3家系が初めて報告された 93).候補遺伝子として,ChenらはKチャネル(IKs)をコードするKCNQ1 遺伝子の変異(S140G)とこれによる機能獲得(gain-of-function)を見いだした94).このほか,Naチャネル(SCN5A)95),ギャップ結合蛋白コネキシン 40(GJA5)96),Na利尿ペプチド(NPPA)97)をコードする遺伝子の変異が報告されている.これらはいずれも活動電位持続時間を短縮し,不応期短縮により心房細動が起きやすくすると考えられる.

2007年,アイスランドの心房細動患者を対象とした

全ゲノム関連解析(Genome-Wide Association Study:GWAS)により 4q25に心房細動発症関連遺伝子多型が認められ,他の欧州,アジアの患者群でも同様の多型が検出された 78).rs220073および rs10033464の 2つの多型があり,それぞれ 1.71倍,1.42倍リスクが高まることが示された.なお上記の遺伝子変異はMendelの法則に従わない場合が多々あるが,最近の 4q25多型とSCA5A,KCNQ1,NPPA,NKX2.5 の各遺伝子変異の関連を検討した結果では,4q25多型が各遺伝子変異に起因する心房細動発症の調節因子として作用する可能性が示唆されている 98).

IV. 臨床像

1.

心房細動の分類

心房細動は基本的に慢性進行性疾患としてさまざまな臨床像を呈するため,発作性,持続性,永続性という一般的な分類 99)以外にも,初発性,間欠性,慢性,あるいはrecent-onsetなど,多種多様の分類が臨床的に用いられてきた.しかし,これらの用語は厳密かつ普遍的に定義されているものではなく,過去の臨床報告や研究を比較したり,その結果を単純にある特定の患者に適用することは困難である.一方で,①無症候性心房細動が存在するため 100-

102),心房細動が初発であるかどうかを診断したり,その持続時間を正確に決定することが難しいこと,②これらの分類による心房細動が同一患者のなかで 2つ以上存在することがまれでないこと,③同一患者のなかで時間の経過とともに心房細動の分類が変化することなど,診断的・時間的不確実性が存在する.したがって,逆にこのような心房細動の分類に厳格な定義を設定した場合,臨床的にその分類法を各患者にあてはめることが現実的にはかえって難しくなるという側面を有している.以上のような心房細動の分類に内包される限界は十分に認識されるべきである.

長期的視点でみた場合,心房細動は発症後やがて自然に停止し,このような発作を何度も繰り返しながら,次第にその持続時間や頻度が増大し,やがて停止しなくなるという自然歴をとるものと考えられている 103).このような自然歴は加齢,基礎疾患の有無,医療行為の介入によって修飾を受け,より短期的な視点でみた場合,心房細動は.図5 101)のようなパターンの経過をたどり,ある瞬間ではすべての心房細動が図5のいずれかに存在する.しかし,臨床家の視点に立てば,その診療の出発点は心房細動初発ではなく,「初めて診断された心房細動」であり,初発であるか否かは断定できない.その後,発症した心房細動に対してなんらかの医療介入がなされる場合も含め,最終的に洞調律に復する症例と心房細動のまま維持される症例の 2つに移行すると考えられる.しかし,必ずしもすべての症例で自然経過を観察したり,医療介入による除細動がなされるわけではないので,自然停止の有無,あるいは電気的除細動に対する反応性を臨床的な分類基準とすることは臨床現場にそぐわない.このようなことから,長期的視点に立って想定される自然経過を認識したうえで,本ガイドラインは臨床家にとって単純かつ用いやすい以下の分類基準を採用する(図6) 99).初発心房細動:心電図上,初めて心房細動が確認されたもの.心房細動の持続時間を問わない.

IV. 臨床像

1.

心房細動の分類

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14

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

発作性心房細動:発症後 7日以内に洞調律に復したもの.持続性心房細動:発症後 7日を超えて心房細動が持続しているもの.

長期持続性心房細動:持続性心房細動のうち発症後 1年以上,心房細動が持続しているもの.

永続性心房細動:電気的あるいは薬理学的に除細動不能のもの.なお,心房細動の持続時間は,病歴,症状,ならびに心電図所見から,臨床家が総合的に判断する.また,この分類は,薬物療法,非薬物療法の有無にかかわらず適応し,持続時間が広範にわたる場合には,その症例が示す代表的な心房細動持続時間で代用する.さらに,分類は時間とともに変化しうることを認識したうえで,その時点での評価を心がけるべきである.厳密な意味でこのような定義は,心房細動につく修飾語(初発,発作性,持続性・永続性)の持つ意味と一致しないが,臨床家の用いる分類として混乱を招く可能性は低いと考える.

2.

初発心房細動

心房細動が心電図上で初めて確認されたものであり,必ずしも真に初発であるかどうかを問わない.結果的に,発作性,持続性,永続性心房細動を含む広範なスペクトラムに入る.病歴,症状,過去・現在に記録された心電図所見,診断後の経過から,便宜的に発作性,持続性,永続性に分類することができるが,その分類は不正確であることを認識し,その後の経過を十分に観察してから改めて分類し直すことが必要である.

2.1

初発心房細動が一過性で自然停止している場合

このような例では約半数の症例で数年間は再発しない.カナダで行われた前向き研究CARAF Study 104)で,このような初発心房細動 899例が平均 4.1年経過観察されている.発症後 1年以内に約 50 %の例で再発がみられた一方で,残り 50 %の症例では経過観察中の再発はみられていない.再発性心房細動があるかどうかを見きわめることが重要であり,薬物による心房細動予防を安易に行うべきでない.一方でこの研究では,経過観察中に 6~7 %の症例で脳梗塞の発症をみており,脳梗塞の危険因子が存在する場合には,心房細動の再発がないと判断されるまでは抗凝固療法の適応である.なお,心筋梗塞や心臓手術後の急性期にだけ観察された心房細動や,甲状腺機能亢進症など心房細動の誘因,原因が除去,是正されるものでは,継続的な抗不整脈薬投与は不要とされる.

2.2

初発心房細動が 7日を超えて持続していると判断される場合

多くの場合,自然停止することはないと考えられている.臨床現場では,正確な持続時間を決定することは困難であり,持続時間が 1年未満であるか以上であるかを決定することもできない例が存在する.したがって,このような例では薬物あるいは非薬物療法で除細動すべきかどうかを他の見地から総合的に判断する必要がある.このような初発心房細動が症例の 35 %を占めるAFFIRM Trial 105)

では,脳梗塞のリスクに応じた抗凝固療法の有用性は示されたものの,洞調律維持治療法が心拍数調節治療を上回る有用性は示されていない.

2.

初発心房細動

心房細動

持続性心房細動

発作性心房細動

永続性心房細動

初発

再発

洞調律自然停止

電気的・薬理学的除細動

洞調律

図5 心房細動の経過(Israel CW, et al. 2004101)より)

初発心房細動(初めて診断された心房細動)

永続性心房細動(除細動不能なもの)

発作性心房細動(持続 7日以内)

持続性心房細動(持続 7日を超える)

図6 心房細動の分類(Fuster V, et al. 200699)より)

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15

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

3.

発作性心房細動

薬物療法,非薬物治療の有無にかかわらず,7日以内(多くは 48時間以内)に洞調律に復するものであり,心房細動の長い慢性経過からみると早期の病期に相当する.多くの場合,発症初期には薬物療法に対する反応性は良好であるが,長期的にみた場合,薬物療法に抵抗性となりがちであり,発作性心房細動の罹病期間により臨床像は異なることを認識すべきである.わが国での平均 15年にわたる長期観察データ 106)では,発作性心房細動をおもに I群薬で治療した場合,1年あたり平均 5.5 %は治療抵抗性を示し持続性心房細動に移行した.そのほかにも,前向き登録研究 JALT-2 107)では,平均 2年間の経過観察で約 10 %が持続性心房細動に移行したとされ,その数字はほぼ一致している.その他の海外を含めた報告による持続性心房細動への移行率は,21.4 %/13.4年 48),23.2 %/7.2年 108),5.6 %/1.9年 109)という低い数字から,11 %/2.2年 110),33.1 %/3.5年 111),21.9 %/1年 112)という高い数字が報告されているが,これらの違いは年齢,基礎心疾患の有無など患者の背景因子に依存するものと考えられている.実際に,わが国の報告では,持続性心房細動移行に関連する独立因子として,多変量解析により年齢,左房径,心筋梗塞既往,弁膜症をあげた報告 106)と,単変量解析により年齢,左房径,心不全,糖尿病,心胸郭比,V1誘導における f波高,左室駆出率をあげた報告 112)がある.欧米では,心不全,高齢(75歳以上),一過性脳虚血発作(transient ischemic attacks: TIA)・脳梗塞既往,慢性閉塞性肺疾患,高血圧が持続性心房細動移行の危険因子に同定され,慢性化を予測するスコアとしてHATCHスコアが提示されている 113).発作性心房細動によるQOL低下がある例では,抗不整脈薬による発作予防を図るが,抗不整脈薬の安全性を念頭に置いた薬物選択を行う.しかし,薬物療法による洞調律維持をいつまで行うかについては,治療期間,患者背景因子,さらにカテーテルアブレーションによる非薬物治療の可能性を含めた総合的判断が必要である.また,症状がない場合には,抗不整脈薬の効果を判定することは困難であること,抗不整脈薬には重篤な副作用があることを十分に勘案すべきであり,安易な抗不整脈薬投与は勧めるべきではない.洞調律維持,心拍数調節治療のいずれを選択した場合にも,脳梗塞リスクに応じた抗凝固療法は継続する.

4.

持続性心房細動

持続が 7日を超える心房細動をさすが,過去の心電図記録がない場合には永続性心房細動との区別は正確には不可能であり,詳細な病歴,症状聴取により臨床家がその持続時間を判断する.一部の抗不整脈薬を除いて薬物による除細動は不可能であるが,電気的除細動により 94 %の患者で洞調律に復するという報告がある 114).しかし,その後の再発率は比較的高く,通常の薬物療法では 1年後の洞調律維持率は約 50 %,2年後約 40 %,3年後約 30 %と,低いことはあらかじめ認識しておく必要がある 114).わが国で行われた J-RHYTHM Studyでは,持続性心房細動例における洞調律維持群は,1年後で約 60 %,2年後で約 50 %の症例で洞調律を呈しており,わが国では海外のデータと若干異なる可能性がある.再発率は患者背景因子により異なり,高齢,高血圧,心不全,心房細動持続時間(3か月以上)がリスク因子としてあげられ 114),これらの因子が重積すると長期的な洞調律維持は薬物療法では困難である.このようなことから,とくに 1年以上持続していることが判明している持続性心房細動を長期持続性心房細動と呼ぶが,一般的に洞調律維持治療は容易でないと考えられている.持続性心房細動でQOLが低下している例,また上述のリスク因子がない例では,除細動とその後の洞調律維持を図ることは妥当である.この場合,除細動前後の抗凝固療法と脳梗塞リスクに応じた継続は必要不可欠である.逆にそれ以外の場合には,心拍数調節治療と脳梗塞リスクに応じた抗凝固療法も十分に許容可能な治療方針と考えられる.

5.

永続性心房細動

薬理学的ならびに電気的に除細動不能な心房細動をいう.心房細動を受容し,心拍数調節治療と脳梗塞リスクに応じた抗凝固療法を行うことが一般的である.

3.

発作性心房細動4.

持続性心房細動

5.

永続性心房細動

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16

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

V. 治療

1.

治療方針の立て方

1.1

心房細動治療(薬物)方針の立て方

心房細動の治療に際し重要なことは,不整脈以外の補正可能な病態の改善を優先することである.すなわち,心機能低下,虚血などがあれば,それらの改善を優先してから抗不整脈薬による治療が必要か否かを考えることが勧められる.これまで心房細動治療の目標は,洞調律を維持することに向けられてきたが.2000年以後,欧米から相次いで発表された大規模試験 PIAF 115),AFFIRM 105),RACE 116),STAF 117)の結果,これまでの抗不整脈薬による洞調律維持(洞調律化・再発予防)が心拍数調節に勝るものではないことが示され,抗不整脈薬の使用状況にも大きな影響を与えた 118).心房細動の管理上,最も注意しなくてはならいことは脳塞栓症(心原性脳梗塞)の合併であり,その発症頻度を低下させるため適切な対応が求められる.心房細動の治療方針決定に際し,まず初めに抗凝固療法の適応の有無を評価することが勧められる.欧米のガイドライン 119)でも心房細動の洞調律維持か心拍数調節かを選択する前に,抗凝固療法の適応を判断することが重要とされている.心房細動では,まず抗凝固療法の要否を判断し,適応があり,禁忌がないと判断されたら抗凝固療法を開始する.その後,状況に応じ洞調律維持あるいは心拍数調節を選択する.心房細動では洞調律が維持された場合でも,塞栓症高リスク例には抗凝固療法を終生継続することが必要である.また心拍数調節は,予後を悪化させることなく,抗不整脈薬の副作用などを考慮するとむしろ安全な治療法である.たしかに,抗不整脈薬には無視しえない重篤な副作用の発現があり,長期的展望に立つと洞調律維持には限界がある.実際,多くの症例で持続化,慢性化への移行が認めら

れ 106),慢性化した症例では心拍数調節と抗凝固療法だけで満足なQOLが得られることも多い.しかし,心房細動で発作が再発するたびに不快な自覚症状で苦しむ例には,心拍数調節がほとんど無力なことは多くの臨床医の実感である.これまで海外で施行された臨床研究 105,115-117)では発作性心房細動例はほとんど検討されておらず,AFFIRM 105)では 30 %の例が発作性であったが,これらの症例も持続性の例と合わせて解析されている.さらには,洞調律維持に用いる抗不整脈薬の種類や使用ガイドラインも,欧米とわが国では大きく異なっていた.重篤な副作用を持つアミオダロンがAFFIRM 105)の 70 %近い症例で使用されていたことも,洞調律維持治療へのマイナス要因であった可能性を否定できない.欧米のガイドラインではエビデンス重視という観点から,大規模試験で有効性の示されていない薬剤の位置づけは低く,近年,注目されている心房細動の発生機序あるいは病態生理を考慮した薬剤選択に配慮をしていないという問題点もあった.そのため日本独自の『心房細動治療(薬物)ガイドライン』2)が整備されたという経緯がある.日本心電学会が主催した J-RHYTHM Study 120)は,不整脈関連でのわが国初の大規模前向き臨床研究で,発作性と持続性心房細動それぞれについて,いずれも無作為に洞調律維持か心拍数調節かに割り付け,洞調律維持群にはわが国のガイドラインに従った抗不整脈薬の使用を推奨し,心拍数調節群では安静時心拍数 60~80拍 /minを目標にした.エンドポイントと薬剤による副作用を 3年間にわたって調査した.登録時の調律は,発作性心房細動群は洞調律であること,持続性群は心房細動であることを条件とした.持続性心房細動の洞調律維持群では除細動により洞調律に戻したうえで試験を開始した.一次エンドポイントには死亡,症候性脳梗塞,全身性塞栓症,重大な出血,心不全による入院に加え「被験者の基本的治療法に対する忍容性」を加えた.主治医の主観の入る余地のある「ソフトエンドポイント」を取り入れたことが議論されたが,忍容性を客観的に評価するためのQOL評価も実施した.その結果,発作性心房細動の治療で「忍容性」が最も重要な評価項目であることが明らかとなり,心房細動,とくに発

V. 治療

1.

治療方針の立て方

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17

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

作性心房細動例への治療指針を明確に示した結果となった.発作性心房細動の洞調律維持群で登録時に使用されていた抗不整脈薬はNaチャネル遮断薬が中心で,ピルシカイニド,シベンゾリン,プロパフェノン,ジソピラミド,アプリンジン,フレカイニドが 80 %以上の例で処方されていた.Naチャネル遮断薬無効例への効果が注目されていたベプリジルは,発作性群と持続性群でそれぞれ 6.7 %と15.2 %に処方されていた.AFFIRM 105)と異なりアミオダロンはわずか 0.5 %,1.3 %だけに使用された.

J-RHYTHM Study 120)は心房細動,とくに発作性心房細動例への治療指針,具体的には比較的若年の,症状の強い発作性心房細動症例への洞調律維持治療の妥当性を示したものといえる.抗不整脈薬使用による重篤な副作用の発現率は海外の臨床試験と比べてきわめて低く,塞栓症の低リスク症例が大多数を占めていたが(CHADS2スコア 0~1が 90 %),ワルファリン使用率は高く,その結果,脳梗塞の発症率も平均観察期間 578日で 2.3 %と低率にとどまった.この結果は,わが国の心房細動診療が適切に行われていることを示唆している.発作性心房細動例では,洞調律維持治療群で心拍数調節群と比べてイベント回避率は有意に高値であり,しかも死亡率を含めたイベント発症率は両群ともにきわめて低く,差はなかった.むしろQOLを考慮した「患者の忍容性による試験中止」というイベント発生を抗不整脈薬使用が有意に抑制した結果となった.わが国で利用可能な抗不整脈薬を適切に使用する目的は,死亡率の改善や脳梗塞の予防を目的に洞調律維持を図るのではなく,あくまでもQOL改善であり,これは多くの臨床医が実地臨床の場で実感していた事実を客観的に支持する成績となった.ただし,J-RHYTHM Study 120)は平均年齢 64歳,基礎心疾患のない心機能正常例を対象とした成績であることを忘れてはならず,Naチャネル遮断薬が使用できない心機能低下例に,いかに対処していくかは依然として課題となっている.

1.2

各疾患別の治療法の特異性

1.2.1

弁膜疾患リウマチ熱,梅毒の減少により,僧帽弁逸脱症,大動脈二尖弁などに基づく逆流,狭窄をきたすものが増えてきている.血行動態の悪化だけでなく,原疾患による心房筋病変も心房細動の発症に寄与している.心房細動は僧帽弁狭窄症でとくに多く,大動脈弁閉鎖不全症,僧帽弁閉鎖不全症にもしばしば合併する.

心房細動を併発すると血行動態のさらなる悪化をみるだけでなく,塞栓症合併のリスクが高まる.したがって,心房細動発症を未然に防止することが重要であり,各病態に応じた手術適応を考慮し,心房リモデリングが進行する以前に弁置換術など外科的対応を行う.すでに心房細動の合併があれば,手術時にメイズ手術,ラディアル手術を併せて行い,洞調律維持を試みることも推奨できる.Naチャネル遮断薬の長期使用は勧められない.むしろ,心機能改善による心房リモデリング防止を目標としたアップストリーム治療を積極的に用いることが勧められる.心房細動の治療は,原疾患の状況,すなわち心機能に応じて選択する.除細動は再発リスクが高い状況(たとえば左房径 50~60mm超,持続期間 1~2年超など)では施行せず,心拍数調節を優先し,心機能改善,塞栓症予防に努める.1.2.2

高血圧高血圧と心房細動との関連性が高いことは古くから指摘されている.心房細動を対象とした臨床試験では,約 60 %は高血圧が主たる病因とみなされている 121).J-RHYTHM Study 120)でも,高血圧は発作性心房細動で42.8 %,持続性心房細動の 44.2 %に認められた.高血圧治療を早期から十分に行い血圧管理が行き届くことにより,心房細動の発症を未然に防止できるかもしれない.心房細動の基質に対するアップストリーム治療として,高血圧に起因する心房ならびに肺静脈リモデリング防止が重要と思われる.実際にARBの使用により,高血圧症例を対象とした臨床試験で新規心房細動発症が抑制されている 61).左室肥大を伴う高血圧症例を対象として,ARBのロサルタンとβ遮断薬のアテノロールを無作為に割り付けて施行された LIFE Study 59)では,両群の血圧の推移には差がなかったにもかかわらず,心房細動の新規発症はロサルタン使用群で有意に低率であった(ロサルタン群 6.8 %,アテノロール群 10.1 %)59).高血圧症例を対象として,アミオダロンにCa拮抗薬のアムロジピンまたはARBのロサルタンを併用した比較では,ロサルタン併用により心房細動再発が減少した 122).さらに孤立性発作性心房細動の再発防止効果もアミオダロンとARBのロサルタンあるいはACE阻害薬のペリンドプリルの併用により高められた 123).心房細動の病型にかかわらず血圧管理が重要であり,高血圧のまま心房細動管理を継続することは勧められない.高血圧は心房細動の発症や持続を容易にするだけでなく,血栓塞栓症のリスクも高める.治療薬としてはARB,ACE阻害薬を中心とした降圧薬の選択が勧められるが,

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18

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

十分な降圧を得るために他の降圧薬の併用も必要となる.J-RHYTHM II Studyでは高血圧を合併した発作性心房細動を対象としてARB(カンデサルタン)とCa拮抗薬(アムロジピン)の再発抑制効果を比較したが,ARBの発作再発率抑制効果に有意差を示すことはできなかった 124).心機能低下を認めないものでは,I群薬による心房細動再発予防は効果的かもしれない.1.2.3

冠動脈疾患狭心症や心筋梗塞に心房細動を併発すると,心拍数の増加,心拍出量の低下により病態を悪化させる.欧米では心房細動の背景に冠動脈疾患を有する患者が約 30 %にみられ,日本では 10 %前後の頻度である.J-RHYTHM Study 120)での冠動脈疾患合併率は発作性心房細動の 7.4 %,持続性心房細動で 6.1 %であった.心房細動だけに注目して治療を行うことは危険であり,治療の原則は心筋虚血の改善を目指すことである.急性冠症候群に合併する心房細動に対しては必要に応じ除細動を行うが,I群薬を使用することは勧められない.ソタロール,アミオダロンなど III群薬が勧められるが 99),わが国では保険適応はない.とくに左心機能低下を合併するものでは,左室だけでなく左房のリモデリングに対しACE阻害薬,ARBを早期から積極的に使用することが勧められる.心筋梗塞後の左心機能低下例を対象として,プラセボを対照としACE阻害薬のトランドラプリルの予後改善効果を検証した TRACE Study 125)では,2~4年間の経過観察期間に心房細動の新規発症がトランドラプリル群で有意に抑制されていた.血栓塞栓症予防のための抗凝固療法を施行する際には,抗血小板薬との併用により出血性合併症のリスクが高まることに注意する.1.2.4

心不全(左心機能低下)心房細動は心筋症,冠動脈疾患などの背景を持つ心機能低下例にしばしば合併する.欧米で心不全症例を対象とした各種臨床試験参加症例の心房細動合併率をみると,NYHA(New York Heart Association)心機能分類で重症な例ほど心房細動の合併率が高い 121).心機能低下例で心房細動を合併すると,さらなる心機能低下を助長することになり好ましくないが,積極的に I群薬を使用することはかえって予後を悪化させるため勧められない.心房細動合併例では,血栓塞栓症合併の頻度が高いため,禁忌がない場合にはすみやかに抗凝固療法を開始し,心機能改善を目標とした治療を優先する.左心機能低下例を対象とした臨床試験で,ACE阻害薬やARBによる心房細動発症抑制効果が報告されており,これら薬剤の臨床効果が期待され

る.Val-HeFT 126)は,ARBのバルサルタンによる心不全予後改善効果を検証する目的の試験であったが,事後の解析によりバルサルタンによる心房細動新規発症抑制効果(相対危険度で 33 %減少)が示された.CHARM Study 60)では,NYHA II~IV度の心機能低下例を対象とし,試験開始時に洞調律であった 6793例のうち,試験期間中に 392例 (6.15 %)が心房細動を発症した.プラセボでは 215例 (6.74 %)であったのに対し,カンデサルタン使用例では177例(5.55 %)と,ARB使用群で心房細動の新規発症が有意に低下していた(オッズ比 0.812).これらの試験では心房細動の新規発症は一次エンドポイントではなかったが,ACE阻害薬やARBが心機能低下例で心房細動発症防止効果を示すものと期待される.1.2.5

拡張型心筋症拡張型心筋症は,心筋細胞の変性,間質の線維化により,左室の拡大および低収縮能を主徴とする.慢性的な収縮不全により左房圧上昇,左房拡大をきたし,海外では心房細動合併率は 20~30 %とする報告 127)が多いが,『心房細動治療(薬物)ガイドライン(1999-2000年度合同研究班報告)』の記載でも 38 %と高い 1).ちなみに,同様に左心不全を対象としたCHARM Study 60)のプラセボ群の発症率は 6.74 %である.心房細動合併例では心機能維持のため心拍数調節治療を優先し,心不全の進行防止に努める.慢性心不全例では血行動態の安定化と塞栓症予防を行う.1.2.6

肥大型心筋症左室流出路狭窄を合併している場合には,心房細動発症により急激に心拍出量が低下し,心室細動へ移行することがある.心房細動合併率は 10~20 %以上と高く,緊急時には電気的除細動のよい適応となるが,再発防止も重要であり確実な効果が求められる.発作性ないし持続性心房細動に対してはアミオダロンが使用できる.I群薬の陰性変力作用が肥大型心筋症の進行防止に効果的であるとの考えがあるが 128,129),心房細動予防効果は十分に検討されていない.1.2.7

慢性呼吸器疾患低酸素血症やアシドーシスの補正が重要である.気管支拡張薬が心房細動発症の要因となることがある.ベラパミル,ジルチアゼムを使用し心拍数調節を行う.血行動態が不安定な心房細動は電気的除細動の適応となる.原疾患を悪化させるβ遮断薬,心房細動発症を助長するテオフィリンなどの薬剤使用は避ける.

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19

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

1.2.8

甲状腺機能亢進症甲状腺機能亢進が心房細動を発症することは古くから知られている.甲状腺機能の正常化を優先し,心房細動の治療はβ遮断薬を使用し,心拍数調節に努める.β遮断薬が使用できない状況下ではベラパミル,ジルチアゼムを使用する.甲状腺機能が正常に復したあとに心房細動の自然停止をみることが多い(約 70 %)130,131).心房細動の罹病期間が長いものや,甲状腺機能が正常化したあと 3か月以上洞調律化しないものは除細動の対象となる.この場合,抗凝固療法施行後の電気的除細動と抗不整脈薬による予防が必要である.1.2.9

WPW(Wolff-Parkinson-White)症候群副伝導路の順行性不応期が短い例では,発作性心房細動発症後に心室細動に移行することがあり,突然死の原因となりうる病態として認識する必要がある.WPW症候群に心房細動を合併する率は 15~30 %とされるが,心房細動時の最短RR間隔が 250msec以下と短いものは高リスクである 99).心房細動合併例は,原則としてカテーテルアブレーションによる副伝導路遮断の適応となる.薬物治療を行う際は,房室結節伝導を抑制するジギタリス,非ジヒドロピリジン系 Ca拮抗薬,β遮断薬は副伝導路の伝導を促進させる可能性があり使用しない 99).抗コリン作用の少ない I群薬を使用する.1.2.10

洞不全症候群洞不全症候群のうち,徐脈頻脈症候群では心房細動停止時に洞停止をみる.原則として徐脈に対する治療を優先し,まずペースメーカ植込みが勧められる.頻脈としての心房細動に対しては,ペースメーカ植込み後に抗不整脈薬を使用する.適切な心房ペーシングは心房細動の発生頻度を低下させることが期待できる.塞栓症リスクは高く,抗凝固療法が必要である.1.2.11

高齢者の心房細動心房細動は高齢者で増加し,欧米では 85歳以上で 17.8 %になる.55歳の心房細動発症の生涯リスクは男性 23.8 %,女性 22.2 %とされる 8).高齢者では無症候性心房細動も多く,抗不整脈薬を使用するよりは合併症に対してARBやACE阻害薬,HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)などを積極的に取り入れることが勧められる.心機能維持のため心拍数調節治療を必要に応じ行う.薬物治療に際しては肝・腎機能低下を考慮すべきである.重要なことは,高齢自体が塞栓症のリスクであり,原則として抗凝

固療法が必要となる.CHADS2スコア(V.2「抗血栓療法の適応と方法」(20㌻) 参照) 132)にリスクとして示されている年齢は 75歳以上となっているが,CHA2DS2 -VAScでは 75歳以上はリスクを高め 2ポイントとし,65~74歳を 1ポイントとして年齢それ自体のリスクを重要視している 119).1.2.12

小児の心房細動小児期には心房細動はまれであるが,先天性心疾患の術後などに認められる.心房負荷が顕著な状態で発症することが多く,原疾患,心機能の管理治療が重要となる.1.2.13

妊婦の心房細動心房細動に用いる薬剤で,妊婦に対し安全性が確立している薬剤はない.心不全を合併していれば,心不全の改善,管理に努め,心房細動の治療としては心拍数調節に努めることが望まれる.心不全の治療薬としてACE阻害薬,ARBは選択すべきではない.基礎疾患にもよるが,発作性心房細動であれば原則として再発の予防的治療なしで分娩可能である.持続性や永続性心房細動では,ジゴキシンやβ遮断薬,Ca拮抗薬により心拍数調節を行い,塞栓症リスクが低い場合を除き,妊娠経過を通して抗凝固療法が必要となる(V.2「抗血栓療法の適応と方法」(20㌻) 参照).やむをえず抗不整脈薬を使用し洞調律化を試みる場合には,キニジンやプロカインアミド 99,133,134),ピルシカイニドを使用する.1.2.14

孤立性心房細動孤立性(lone)心房細動は,1954年に Evans,Swann 135)

により提唱された概念で,明らかな基礎疾患がなく発症した心房細動を意味した.しかし,その概念,定義は検査法の進歩とともに時代により変遷し,今日では臨床所見,心エコー検査で心肺疾患ならびに甲状腺疾患などの基礎疾患,高血圧がないものとされる.一般に予後は良好であるが,脳血管障害のリスクがあり 136),とくに年齢が 60歳を超えると脳血管障害の頻度が増加する 137).孤立性心房細動を 60歳までに限定すべきとの考えもある 48,99).頻度については,25年前のKannelら 25)の慢性心房細動を対象とした調査成績で,心血管病変が確認できないものが 31 %であったとしている.これまで報告されている頻度は2.1~32 %までの範囲である 138).Mayo Clinicで 1950~1980年に診断された心房細動3623例中,孤立性は76例(2.1 %)であり,生存率は 15年で 92 %,30年で 68 %であった 139).この数値は年齢,性を対応させたミネソタ州住民の 15年 87 %,30年 57 %と比較して有意差がない 139).ま

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20

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

た,心房細動のタイプをみると発作性が 34例(45 %),持続性 37例(49 %),永続性 5例(6 %)であった.この研究では,異なる日時に測定した 3回の血圧がいずれも収縮期 140mmHg未満,拡張期 90mmHg未満であること,既往に心不全や高血圧治療がないこと,糖尿病などの予後に影響する心疾患以外の疾患もないことが条件とされた.孤立性心房細動は,診断時点において不整脈発症に寄与する明らかな要因を診断できなかったわけであり,潜在する病態が将来明らかになると考えることもでき,この名称を使用すべきではないとの考えもある 140).したがって,本改訂版では,本項以降の治療方針の解説において「孤立性心房細動」という分類は使用せず,「臨床上有意な器質的心疾患を認めない心房細動」と表現することとした.器質的心疾患とは具体的には肥大心,不全心,虚血心をさす(V.4「洞調律化・再発予防の適応と方法」〈36㌻〉参照).

1.2.15

腎機能障害,肝機能障害抗不整脈薬を効果的かつ安全に使用するためには,各薬剤の電気生理学的特性だけでなく薬物動態に関する知識が必要である.他疾患治療薬に比べて安全域が狭い抗不整脈薬では,腎機能障害例や高齢者では腎排泄型薬剤の排泄は遷延し,肝機能障害例で肝排泄型薬剤の代謝が遷延し,容易に中毒症状が発現する.このような事態を回避するには,各薬剤の薬理学的特徴を把握し,管理しやすい薬剤を選択すべきである.すなわち腎機能障害例や高齢者には肝排泄型の薬剤,肝機能障害例には腎排泄型の薬剤を選択することが望まれる.しかし,心房細動の抑制に有効な薬剤の代謝,排泄臓器に障害のある場合には,厳重な監視下での用量調節を行い使用する必要がある.腎機能に関しては,クレアチニンクリアランス(Ccr)50 mL/min以上であれば通常用量を使用することが可能であるが,測定誤差まで考慮した対応が望まれる.とくに高齢者では,明らかな腎機能障害を認めない場合でも注意が必要である.一方,肝機能障害については,血清アルブミン値,ビリルビン値,プロトロンビン時間(PT)などを指標として用量調節をすることが勧められるが,可能ならば影響の少ない腎排泄型薬剤を選択すべきである.病態に応じた薬剤選択は CD-ROM版『抗不整脈薬ガイドライン』141)にその詳細が述べられている.

2.

抗血栓療法の適応と方法

『循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン』142,143)や『心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガイドライン』144,145),2006年から 2012年にかけて欧州や北米で発表されたガイドライン 99,119,146-

148),これまでの国内外の研究報告を参考に旧版 1,2)を改訂した.

2.1

心房細動における脳梗塞発症のリスク評価と抗血栓療法

クラス I

・脳梗塞や出血のリスク評価に基づいた抗凝固療法の実施. レベル A  ・CHADS2スコア 2点以上の場合,適応があれば新規経口抗凝固薬の投与をまず考慮する. レベル A  ・CHADS2スコア 2点以上の高リスク患者へのダビガトラン( レベル B ),リバーロキサバン( レベル A ),アピキサバン( レベル A ),エドキサバン*1( レベル A ),ワルファリン( レベル A )のいずれかによる抗凝固療法.・CHADS2スコア 1点の中等度リスク患者へのダビガトラン( レベル B )か,アピキサバン( レベル A )による抗凝固療法.・ワルファリン療法時の PT-INRを 2.0~3.0での管理.

レベル A  ・70歳以上,非弁膜症性心房細動患者へのワルファリン療法時の PT-INR 1.6~2.6での管理. レベル B  

・腎機能中等度低下例への新規経口抗凝固薬の用量調節. レベル A  ・ワルファリン療法中の定期的な PT-INRモニタリング.

レベル A

クラス IIa  ・CHADS2スコア 1点の中等度リスク患者へのリバーロキサバン,エドキサバン*1もしくはワルファリンによる抗凝固療法. レベル B

・心筋症,65~74歳,もしくは心血管疾患(心筋梗塞の既往,大動脈プラーク,末梢動脈疾患など)のリスクを有する患者への抗凝固療法. レベル B  ・抗凝固療法の適応に関する定期的再評価. レベル A  ・心房粗動患者への心房細動に準じた抗凝固療法.

レベル B  

2.

抗血栓療法の適応と方法

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21

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

クラス IIb  ・冠動脈疾患を合併する患者で,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)や外科的血行再建術を行う際の抗血小板療法と抗凝固療法の併用. レベル C  ・60歳未満の孤立性心房細動患者*2への抗血栓療法.

レベル C  ・PT-INR 2.0~3.0で,治療中に虚血性脳血管障害や全身性塞栓症を発症した場合の抗血小板薬の追加や,PT-INR 2.5~3.5でのコントロール. レベル C  ・経口抗凝固薬を投与できない場合の抗血小板薬の投与. レベル C  クラス III  ・機械弁に対するダビガトラン療法. レベル B

*1:2013年12月の時点では保険適応未承認.*2:臨床上有意な器質的心疾患(肥大心,不全心,虚血心)を認めない場合(詳細は本文〈19㌻〉を参照)

2.1.1

脳梗塞発症のリスク評価CHADS2スコアや他のリスクを用いた抗血栓療法の実際を図7に記した.

非弁膜症性心房細動では,脳梗塞のリスク評価を行ったうえで適切な抗血栓療法を選択することが奨励される.本改訂版では次の 2点について旧版に変更を加えた.まず,「弁膜症性」心房細動とはリウマチ性僧帽弁疾患(おもに狭窄症),人工弁(機械弁,生体弁)置換術後をさすこととした.生体弁は血栓形成の点からは機械弁に比べて有利であるが,生体弁置換例が心房細動を合併した場合には,塞栓症のリスクが高まるため抗凝固療法の適応となる 143).なお僧帽弁修復術(僧帽弁輪縫縮術や僧帽弁形成術)後は塞栓症の高リスクとはいえず,非弁膜症性として扱うのが適切と考えられた.リウマチ性でない僧帽弁閉鎖不全症は非弁膜症性として扱う.また,孤立性心房細動の定義は研究者によって異なる 99)ので,本改訂版では「臨床上有意な器質的心疾患(肥大心,不全心,虚血心)を認めない場合」と記載し,「孤立性」という用語の使用はできるだけ避けた.非弁膜症性心房細動では,脳梗塞発症のリスクが集積すると脳梗塞の発症率が上昇することが注目され 132,149),CHADS2スコア(0~6点)が提唱されている(表7,図8)132).これは Congestive heart failure,Hypertension,Age≧ 75,Diabetes mellitus,Stroke/TIAの頭文字をとって命名されたスコアで,脳梗塞年間発症率が 5~8 %/year程

CHADS2スコア 心不全 1点 高血圧 1点 年齢≧75歳 1点 糖尿病 1点 脳梗塞やTIAの既往 2点

1点

非弁膜症性心房細動

ワルファリン INR 2.0~3.0

推奨

ワルファリン 70歳未満 INR 2.0~3.0 70歳以上 INR 1.6~2.6

ワルファリン 70歳未満 INR 2.0~3.0 70歳以上 INR 1.6~2.6

ワルファリン 70歳未満 INR 2.0~3.0 70歳以上 INR 1.6~2.6

推奨 ダビガトラン

考慮可 ダビガトラン

考慮可

ダビガトラン 推奨

リバーロキサバン アピキサバン アピキサバン

僧帽弁狭窄症人工弁*2

その他のリスク

 心筋症 65≦年齢≦74 血管疾患*1

≧2点

リバーロキサバン アピキサバン

エドキサバン*3 リバーロキサバン

エドキサバン*3

エドキサバン*3

図7 心房細動における抗血栓療法同等レベルの適応がある場合,新規経口抗凝固薬がワルファリンよりも望ましい.*1:血管疾患とは心筋梗塞の既往,大動脈プラーク,および末梢動脈疾患などをさす.*2:人工弁は機械弁,生体弁をともに含む.*3:2013年 12月の時点では保険適応未承認.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

度である前 4つの項目で各 1点を,12 %/yearに達するStroke/TIAの既往 150,151)には 2点を付与し,合算して算出する.原本 132) によれば,“congestive heart failure”は「最近増悪した心不全」と定義されている.しかし,臨床現場では増悪の定義が曖昧であることから,心不全症状,心不全を示す検査所見および心不全に対する薬物療法の実施のいずれかをもって congestive heart failure(+)と判断すべきであろう.ちなみにダビガトラン,リバーロキサバンおよびアピキサバンそれぞれの第 III相試験である RE-LY,ROCKET-AFおよびARISTOTLE Trial 152-154)では,いずれも,①左室駆出率(LVEF)40 %未満,②NYHA II度以上,③ 3~6か月以内の心不全症状のいずれかを満たす場合を心不全と定義している.“Hypertension”は当時の高血圧の基準である収縮期血圧 160mmHg以上だけでなく,その既往も心血管系のリスクであることから,降圧薬内服下で血圧が良好に管理されている場合もHypertension(+)と判断している.現在,わが国では 140/90 mmHg以上で心血管系のリスクが上がることから,この血圧値をもって高血圧と定義しているの

で,本ガイドラインでは,わが国の定義に基づいて 140/90 mmHg以上もしくはその既往をもってHypertension(+)と判断する.したがって高血圧症例で血圧管理が良好な場合もリスクとしてカウントすることになる.“Stroke/TIA”は,原本で「以前の脳虚血」と記されており,これは脳梗塞と一過性脳虚血発作をさす.Stroke/TIAは他のリスクより脳梗塞の予測能力が高く,有用であることが報告されている 132,155).

CHADS2スコアは簡便で有用であることから,脳梗塞のリスク評価としてまず行うべき評価法である.同スコアの点数が高いほど脳梗塞発症のリスクが高くなり,2点以上で年間脳梗塞発症率が 4 %以上と高くなることから,ワルファリン療法が「推奨」される.1点の症例へワルファリン療法を行った場合,脳梗塞予防効果が出血性合併症発症率を十分に上回ることが明らかでないため,ワルファリン療法は「考慮可」にとどまる.新規経口抗凝固薬のダビガトラン,リバーロキサバンおよびアピキサバンはそれぞれの第 III相試験でワルファリンと比較して脳梗塞予防効果は同等かそれ以上,重大な出血発症率は同等かそれ以下,頭蓋内出血が大幅に低下することが示されたことから,CHADS2スコア2点以上ではワルファリンと同様に「推奨」される 152-154,156).その優れた特質を考慮すると,腎機能低下がなく,抗凝固療法の適応である場合は,ワルファリンよりも新規経口抗凝固薬のほうがより強く勧められる.第 III相試験のサブ解析によると,CHADS2スコア 1点以下の症例(大部分は 1点)では,ワルファリン群と比較して虚血性脳卒中の発症率はダビガトラン 150 mg×2回 /day群で有意に低く,110 mg×2回 /day群とアピキサバン群では差異がなく,重大な出血発現率はダビガトラン110 mg×2回 /day群とアピキサバン群で有意に低く,頭蓋内出血発症率はダビガトラン両用量群とアピキサバン群で有意に低かったことから,ダビガトランとアピキサバンはCHADS2スコア 1点で「推奨」に値する 157-162).リバーロキサバンとエドキサバンは第 III相試験にCHADS2スコア 1点の症例を含まないため「考慮可」との記述にとどめた.

CHADS2スコアで用いられる危険因子以外の危険因子として,心筋症 30,163,164),年齢(65~74歳)165),および心筋梗塞の既往 165)や大動脈プラーク 166),末梢動脈疾患を含む血管疾患 146)があげられる.これらの因子を有する症例では,抗凝固療法の有用性が十分には検討されていないので各抗凝固療法を「考慮可」と記した.従来のガイドラインで記していた「女性」165)は,65歳未満でほかに器質的心疾患を伴わない心房細動では単独の危険因子にならないことが判明したこと 167,168),65~74歳は性別にかか

表7 CHADS2スコア危険因子 スコア

CCongestive heart failure/LV dysfunction

心不全, 左室機能不全

1

H Hypertension 高血圧 1

A Age≧ 75y 75歳以上 1

D Diabetes mellitus 糖尿病 1

S2 Stroke/TIA 脳梗塞,TIAの既往 2

合計 0~6

TIA:一過性脳虚血発作 .(Gage BF, et al. 2001132)より)

15

脳梗塞の年間発症率(%)

CHADS2スコア

20

0

10

5

01 2 3 4 5 6

1.9 2.8

4.0

5.9

8.5

12.5

18.2

図8 CHADS2スコアと脳梗塞発症率(Gage BF, et al. 2001132)より)

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23

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

わらず考慮可となり得ることから,単独の因子として記載しないこととした.これまで記されていた「甲状腺中毒」も,単独ではリスクとして十分に検証されていないので削除した.デンマークでワルファリン療法を受けていない心房細動 7万例を登録して行われたNationwide Cohort Studyによると,CHADS2スコアの構成因子や他の危険因子ごとに脳卒中の年間発症率に差異があることが示されている 167).うっ血性心不全,高血圧,および糖尿病といった 1点のリスクと比較して,女性のリスクがきわめて低いこと,血管疾患のリスクが比較的低いこと,65~74歳のリスクが同等に高いこと,75歳以上のリスクがきわだって高いことが示された.

Hokkaido Atrial Fibrillation Studyでは,心房細動患者2667例が登録され,虚血イベント(脳梗塞,TIAおよび末梢血管塞栓)の発症が平均 1.7年間にわたって観察された 30).ワルファリン療法は非弁膜症性心房細動 2173例中 174例(8 %)で施行され,観察期間中の虚血イベントは 88例(4.4 %)で発症した.虚血イベントに有意に関連する因子は高齢(80歳以上での発症率 6.0 % vs 60歳以下 3.0 %),基礎心疾患(あり 5.4 % vs なし 2.9 %),心筋症(あり 8.6 % vs なし 4.2 %)および脳血管障害の既往(あり 9.2 % vs なし 3.4 %)であった.高齢,基礎心疾患および脳血管障害の既往が虚血イベントのリスクであることはよく知られているが,本研究では日本人を対象として心筋症のリスクを明らかにしている点で注目される.心筋症の種類に言及していないが,心筋症に心房細動を合併したら脳梗塞のリスクととらえるべきであろう.特発性肥大型心筋症や拡張型心筋症で凝固系が亢進していること 163)や,非弁膜症性心房細動のコホート研究で肥大型心筋症が独立した脳梗塞の危険因子であることが明らかにされている 164).経食道心エコー図検査(TEE)所見では,左房内もやもやエコーや左心耳内血栓,左心耳駆出ピーク血流速度の低下(20cm/sec未満),大動脈プラークが危険因子として指摘されている 166).多くの施設で行うことのできる経胸壁心エコー所見として,左室内径短縮率(FS)25 %未満で示される左室収縮障害が重要視されている 169,170).発作性心房細動の脳梗塞発症率は持続性・永続性心房細動のそれと差異がないため,持続性・永続性心房細動と同等の抗凝固療法が勧められる 171).僧帽弁狭窄症や人工弁(機械弁,生体弁とも)は塞栓症のリスクが高く,PT-INR 2.0~3.0でのワルファリン療法が推奨される 1,2,143).現時点では,弁膜症性心房細動に対する新規経口抗凝固薬の適応はない.機械弁置換例を対象としてダビガトランの有効性,安全性を調べた RE-

ALIGN Trial172)は,ワルファリンを対照に高用量(150~300 mg×2回 /day)で検討されたが,ワルファリンよりも有効性,安全性ともに劣ることが示され,第 II相で中止された 173).また生体弁に合併した心房細動への新規経口抗凝固薬の有効性は報告されていない.2.1.2

CHADS2スコアと CHA2DS2-VAScスコアCHADS2スコア(0~6点)は簡便で有用であり,まず行うべき脳梗塞のリスク評価方法であるが,非弁膜症性心房細動患者の半数がワルファリン療法の有効性が確立していない 0点や 1点に該当することには注意を要する167).CHADS2スコア 1点以下の群における脳梗塞発症率は 2点以上のそれと比較して低いものの,絶対数が多いため脳梗塞発症絶対数は相当数に達することになる.しかも,脳梗塞発症前 CHADS2スコアが 1~4点の急性脳梗塞症例を対象に,入院時神経症候の重症度と退院時転帰を脳梗塞発症前CHADS2スコアごとに比較した研究によると,CHADS2スコア 1点でも,一度,脳梗塞を発症するとCHADS2スコアの高い症例と同様に重症になる可能性が高いことが示された 174).CHADS2スコア 1点以下の例にワルファリン療法を選択した場合,脳梗塞予防効果が出血性合併症のリスクを上回って有効といえないので,CHADS2スコア 1点ではワルファリン療法は「考慮可」にとどまる.0点の場合,その有用性は十分には検討されていないので,個々の症例でリスクベネフィットを十分に考慮して適応を極め,慎重に決定せざるをえない.このようにCHADS2スコアはワルファリン療法を考慮する際の高リスク群の評価には適するが,低リスク群の抽出には限界がある.一方,ダビガトランやアピキサバンは,サブ解析で

CHADS2スコア 1点でも重大な出血や頭蓋内出血がワルファリン群よりも明らかに少ないことから「推奨」と考えられる.リバーロキサバンは,国際共同第 III相試験である ROCKET AF試験 153) と日本人を対象としたJ-ROCKET AF試験 156)の登録対象者は CHADS2スコア2点以上の症例で,同スコア 1点の症例が登録されておらずそのデータがないことから,CHADS2スコア 1点での投与を「考慮可」との記載にとどめた.

CHADS2スコアよりもさらにリスクを細かく評価し,CHADS2スコア 1点以下の群から高リスク群や,きわめて低リスクの群を抽出することを目的に導入されたのが,CHA2DS2-VAScスコアである.本スコアは,65歳以上のリスク,心筋梗塞の既往などの血管疾患合併例のリスク,女性のリスク,および 75歳以上でリスクがさらに大きいことを勘案して,より細かくリスクを評価している(0~

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24

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

9点)146)(表8).本スコアも点数が高くなると脳梗塞発症のリスクが上昇する(図 9).「女性」は 65歳未満で器質的心疾患がない場合にはリスクとならない点に注意する119).デンマークで行われたNationwide Cohort Studyでの「血栓,塞栓症による入院や死亡」の 1年間の発生率は,CHA2DS2-VAScスコア 0点,1点および 2点ではそれぞれ 0.78 %,2.01 %および 3.71 %であった 167).日本人のワルファリン療法中の頭蓋内出血発症率が 0.6~1.0 %であることを考えると,0点(低リスク)では,虚血イベント発症率はワルファリン療法中の頭蓋内出血発症率と同等程度に低いため,抗凝固療法を行わないことが原則である.CHA2DS2-VAScスコア 2点で年間発症率が 3.71 %と 4 %に近似することから,CHA2DS2-VAScスコア 2点以上で抗凝固療法を選択することは理にかなっている.CHA2DS2-VAScスコア 1点では,抗凝固療法は考慮可にとどまると考えられる(表8,図9).

CHA2DS2-VAScスコアは心房細動治療における脳梗塞リスクの評価方法として,とくに低リスク患者の評価に優れていると考えられる.しかし,評価方法が煩雑であることや,現在の臨床現場ではCHADS2スコアですら十分に広まっていないこと,新規経口抗凝固薬のサブ解析がCHADS2スコアで示されていることを考慮に入れ,CHADS2スコアを中心にしてCHA2DS2-VAScスコアで新たに加わった項目をその他のリスクとして追加する形で,本ガイドラインの抗血栓療法の指針を作成した(図7).これまでリスクとして取り上げてきた「女性」と「甲状腺中毒」は前述の理由で削除した.心筋症はCHA2DS2-VAScスコアに含まれていないが,前述のようにわが国の複数の研究がそのリスクを示していることからその他のリスクに加えた.

2.2

抗凝固療法中の出血リスクの評価と対策

2.2.1

HAS-BLEDスコア各種出血危険因子から出血を予測するスコアとして,比較的簡便なHAS-BLEDスコアが提唱され(表 9),2010年の欧州心臓病学会(European Society of Cardiology:ESC)ガイドラインに採用された 146,175).過去にも同様の出血予測スコアが発表されていたが,遺伝情報が求められたり予測式が複雑であったりなど,一般臨床で簡便に使えるものはなかった.さらにはコホート研究から導き出されたものはほとんどなかった.このスコアはこれまでのものと比較して,より簡便で正確に出血リスクを評価できる

176).HAS-BLEDスコア(0~9点)で 0点を低リスク(年間の重大な出血発症リスク 1 %), 1~2点を中等度リスク(同 2~4 %),3点以上を高リスク(同 4~6 %) と評価する(図10).

ESCガイドライン 146)では,CHA2DS2-VAScスコアとHAS-BLEDスコアを組み合わせたダビガトランの用量設定方針が示されている.CHA2DS2-VAScスコアが 2点以上の場合,HAS-BLEDスコアが 2点以下ではダビガトラン 150 mg×2回 /day,3点以上では 110 mg×2回 /dayを投与し,CHA2DS2-VAScスコアが 1点の場合は 110 mg×2回 /dayを投与,CHA2DS2-VAScスコアが 0点の場合は出血リスクを考慮しダビガトラン投与を行わないことを提案している.虚血リスクと出血リスクを組み合わせての抗凝固療法指針であり,考え方として評価できるが,

表 8 CHA2DS2-VAScスコア危険因子 スコア

CCongestive heart failure/LV dysfunction

心不全,左室機能不全

1

H Hypertension 高血圧 1

A2 Age ≧ 75y 75歳以上 2

D Diabetes mellitus 糖尿病 1

S2 Stroke/TIA/TE脳梗塞,TIA,血栓塞栓症の既往

2

V

Vascular disease (prior myocardial infarction, peripheral artery disease, or aortic plaque)

血管疾患(心筋梗塞の既往,末梢動脈疾患,大動脈プラーク)

1

A Age 65-74y 65歳以上 74歳以下 1

ScSex category (i.e. female gender)

性別(女性) 1

合計 0~9*

*:年齢によって 0,1,2点が配分されるので合計は最高で 9点にとどまる .TIA:一過性脳虚血発作 .(Camm AJ, et al. 2010146)より)

脳梗塞の年間発症率(%) 20

15

0

10

5

0 1 2 3 4 5 6 7 9 8 0

1.3 3.2

4.0 6.7

9.8 9.6

6.7

15.2

2.2

CHA2DS2-VASc スコア

図9 CHA2DS2-VAScスコアと脳梗塞発症率(Camm AJ, et al. 2010146)より)

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25

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

HAS-BLEDスコアは PT-INRコントロール不良などのワルファリン療法を想定してのスコアになっており,新規経口抗凝固薬へ応用した場合の検証が今後は必要であろう.同様の考え方をワルファリンの通常用量や低用量の設定に応用するとの意見もあるが,十分な検討はなされていない.2.2.2

注目される重大な出血関連因子抗凝固療法中の重大な出血関連因子としてRE-LYサブ解析やダビガトラン市販直後調査,J-ROCKET AF Trialから,75歳以上の高齢,50 kg以下の低体重,腎機能障害(Ccr 50 mL/min以下)および抗血小板薬の併用が指摘されている 156, 177, 178).いずれの抗凝固療法でも,これらの因子に

該当する症例では重大な出血への注意が必要である.2.2.3

頭蓋内出血関連因子RE-LY Trialのサブ解析で,年齢,脳卒中・TIAの既往,アスピリンの服用,ワルファリン投与および白人でないことが頭蓋内出血関連因子として指摘された 179).これまで脳内出血発症関連因子として高血圧,喫煙,アルコール摂取過多,東アジア人,低コレステロール,肝炎や肝硬変,高齢,脳梗塞の既往およびMRI上の微小出血(microbleeds)信号が,また脳内出血の血腫増大因子として高血圧,脳梗塞の既往,肝炎・肝硬変,高血糖,および抗血栓療法が報告されている 180-183).頭蓋内出血を避けるためには,頭蓋内出血発症率の低い新規経口抗凝固薬の選択,脳内出血関連因子の血圧や血糖の十分なコントロール,禁煙とアルコール摂取過多を避けること,およびできるだけ抗血小板薬の併用を避けることが重要である 184,185).

2.3

ワルファリンの用量設定と管理

ワルファリン療法を行う場合は,PT-INR 2.0~3.0でのコントロールが推奨される.70歳以上ではPT-INR 1.6~2.6でのコントロールが勧められる.欧米で行われた 6つのランダム化比較試験のメタ解析によると,非弁膜症性心房細動におけるワルファリン療法は脳梗塞の発症を 68 %減少させた 186).各ランダム化比較試験における PT-INRの目標値は異なるが,脳梗塞や重篤な出血性合併症発症時の PT-INRを解析すると,脳梗塞はPT-INR 2.0未満で多く,重篤な出血は PT-INR 3.0超で多く発症していた.また PT-INRが 2.0以下に低下してくると,脳塞栓症発症予防効果が相対的に下がる 187).これらの結果を受けて,ワルファリンの至適治療域が 2.0~3.0と設定された.高齢者(70歳以上)で PT-INRが低く(1.6~2.6)設定された 2)のは,わが国の前向き研究で高齢者の低用量ワルファリン療法による安全性や有効性が報告されたためである 188,189).非弁膜症性心房細動による脳塞栓症の再発予防を目的にワルファリン内服中の患者 203例を対象にした観察研究によると,PT-INRが 2.6を超えると重篤な出血頻度が急激に上昇し,PT-INRが 1.6を切ると重篤な脳梗塞や全身性塞栓症が観察され,その多くが 70歳以上の高齢者であった(図 11)189).この治療域の下限であるPT-INR 1.6という値は,PT-INR 1.5未満の低用量ワルファリンの有効性を検討した研究で,その有効性が示されなかったこと 151),凝固系が PT-INR 1.5~2.5では抑制され

表9 HAS-BLED スコア頭文字 臨床像 ポイント

H 高血圧 *1 1

A 腎機能障害,肝機能障害(各 1点) *2 2

S 脳卒中 1

B 出血 *3 1

L 不安定な国際標準比(INR) *4 1

E 高齢者(> 65歳) 1

D 薬剤,アルコール(各 1点) *5 2

合計 9

*1:収縮期血圧> 160mmHg.*2:腎機能障害:慢性透析や腎移植,血清クレアチニン 200μmol/L (2.26mg/dL)以上 . 肝機能異常:慢性肝障害(肝硬変など) または検査値異常(ビリルビン値>正常上限×2倍,AST/ALT/ALP>正常上限×3倍).

*3:出血歴,出血傾向(出血素因,貧血など).*4:INR不安定,高値または TTR(time in therapeutic range)< 60% .

*5:抗血小板薬や NSAIDs併用,アルコール依存症 .(Pisters R, et al. 2010175)より)

1.13 1.021.88

3.74

8.7

12.5

0

2

4

6

8

10

12

14

HAS-BLEDスコア

重大な出血発症頻度(%)

重大な出血イベント(人)患者数(人)

07

746

144

1983

239950

328483

416180

5222

図 10 HAS-BLEDスコアと重大な出血(抗凝固療法中)(Lip GY, et al. 2011176)より)

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26

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

るのに 1.5未満では抑制されないこと 190),さらに重篤な心原性脳塞栓症は,発症時の PT-INRが 1.6未満でみられやすいとする報告 191)と合致するものである.一方,70歳未満では,一度,脳塞栓症を発症すると長期にわたってハンディキャップを背負い家族の負担が増すことや,PT-INRが 2.0以下に低下してくるとわが国でも脳塞栓症発症予防効果が相対的に低下すること 192),PT-INR 3.0以下であれば若年者では出血性合併症をきたしにくいことから,PT-INR 2.0~3.0を目標とすることが望ましいと考えられる.ただし,下記のようにわが国の前向き登録研究で,PT-INRが 1.6~1.99で塞栓症リスクは低下し,一方で 2.6以上では出血リスクが高くなるという報告がある.わが国の循環器医が7937例の心房細動症例を登録して,抗血栓療法の実態や虚血イベント(脳梗塞や末梢動脈塞栓症),重大な出血イベントの関連を観察した J-RHYTHM Registry研究において,登録時にワルファリン療法を受けていた 6932例(87.3 %)の登録時 PT-INRの各治療域(1.60未満,1.60~1.99,2.00~2.59,2.60~2.99, 3.00以上)の分布を 70歳以上の 3835例と 70歳未満の 3097例

に分けて表 10に記す 31).70歳以上ではガイドラインに従って PT-INRが 1.6~2.6に占める割合が 66.2 %と最も多かったが,70歳未満ではガイドラインで推奨されているPT-INR 2.0~3.0の占める割合 37.0 %よりも 1.6~2.6の占める割合が65.8 %と高く,わが国では70歳未満でもPT-INRを低めでコントロールしている実態が示されている.これは頭蓋内出血の発現率に人種差があり,白人で低く,日本人を含むアジア人で高いとの報告を反映しているのかもしれない 31,179,193-195).本研究における 2年間の観察期間中の重大な出血と虚血イベントの発症率を,イベント発症例では発症直近の PT-INR,未発症例では最終観察時のPT-INRを用いて算出すると,PT-INR 1.6未満で虚血イベントが増加し,PT-INR 2.6以上で重大な出血イベントが急増した(図12)196).本解析の結果は,70歳未満と 70歳以上に分けても同様であり196),70歳未満でも低用量ワルファリン(PT-INR 1.6~2.6)が有用である可能性がある.なお登録時の PT-INRレベル別に解析しても,70歳以上ではPT-INR 1.6~2.6で虚血イベントがワルファリン非服用群に比べて低く,重大な出血も低頻度に抑えられることが示された 197).ただし,登録時のPT-INRレベル別の解析では,イベント発症時の PT-INRを用いた解析とは異なり,70歳未満では全体にリスクが低く,70歳以上のように至適レベルを決めることは困難であった 197).ワルファリン療法導入期の慎重な PT-INR測定や維持期の定期的な PT-INR測定により,PT-INRを治療域内に保つことが重要である.一定の期間のうち,PT-INRが治療域内にある期間の割合を time in therapeutic range(TTR)と呼ぶ 198).心房細動患者を対象にワルファリン群とクロピドグレルとアスピリンの 2剤による抗血小板薬群の 2群のあいだで,脳卒中,全身性塞栓症,心筋梗塞および血管死を主要エンドポイントとして比較した前向き研究 ACTIVE Wのサブ解析によると,各症例の平均 TTR値が表 10 J-RHYTHM Registry の抗凝固療法(登録時)

全例(7937例)

<70歳(3640例)

≧70歳(4297例)

抗凝固療法

ワルファリン 6932(87.3) 3097(85.1) 3835(89.2)

用量 (mg/day)

2.9±1.2 3.2±1.2 2.6±1.1

PT-INR 1.9±0.5 1.9±0.5 1.9±0.5

< 1.60 1760(25.4) 786(25.4) 974(25.4)

1.60~1.99 2525(36.4) 1080(34.9) 1445(37.7)

2.00~2.59 2050(29.6) 957(30.9) 1093(28.5)

2.60~2.99 403(5.8) 188(6.1) 215(5.6)

≧ 3.00 194(2.8) 86(2.8) 108(2.8)

例数(カッコ内は%).(Atarashi H, et al. 201131)より)

0

2

4

6

8

10

<1.60 1.60-1.99 2.00-2.59 ≧2.60

(%)

PT-INR 50/2364 53/2145 67/709

発生率(/2年間)

イベント例/対象 73/1463

<0.001 p

重大な出血血栓塞栓症

図 12 J-RHYTHM Registry のイベント発生率(小谷英太郎,他.2013196)より)

イベント比 (100人・年) 30

25

20

15

10

5

0 ≦1.59 1.60-1.99 2.00-2.59 ≧2.60PT-INR

重篤な脳梗塞,全身性塞栓症軽症脳梗塞,TIA重篤な出血性合併症

図 11 PT-INR レベルと脳血管障害(Yasaka M, et al. 2001189)より)

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27

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

65 %以上の施設ではワルファリン群が抗血小板薬群よりも明らかに優れていたが,65 %を下回る施設では両治療群間に差異はみられなかった 199).一般にワルファリン療法から十分な便益を得るためには TTR値を 60 %以上に保つべきである 198).新規経口抗凝固薬の用量設定は「新しい経口抗凝固薬の開発」(31㌻)の項を参照のこと.

2.4

抗血小板療法の位置づけ

心房細動に対する抗凝固薬の脳梗塞予防効果は,抗血小板薬のそれを大きく上回ることが明らかにされている.抗血小板療法は発作性心房細動でも持続性・永続性心房細動でも大梗塞の予防効果はなく,ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞に伴う小梗塞の予防効果だけが推定されているので,第一選択としては勧められず,抗凝固療法が行えない場合に限り考慮する.

JAST研究では,日本人の非弁膜症性心房細動症例 896例を対象として,脳梗塞,TIAおよび心血管死を主要評価項目とするアスピリン 150~200 mg/dayの予防効果がランダム化比較試験で検討された 200).その中間解析で,投与群における主要評価項目の発症率(3.1 %/year)が非投与群(2.8 %/year)より高く,重篤な出血が 0.8 %/yearの頻度で観察され,非投与群の 0.2 %/yearの 4倍であることが示された.本研究はこの中間解析結果を受けて中止された.本研究 200)はアスピリンをわが国の心房細動症例に投与しても脳梗塞予防効果はなく,重篤な出血性合併症を増やす結果になることを示した点できわめて重要である.海外では,非弁膜症性心房細動患者にアスピリンとクロピドグレルを併用投与してもワルファリンの脳梗塞予防効果には及ばないことが示された(ACTIVE W Trial)201).非弁膜症性心房細動における抗血小板薬の脳梗塞予防効果を示した研究結果は少なく 202),メタ解析でその効果が示される 202).一方で,ワルファリンと抗血小板薬のメタ解析では,明らかにワルファリンが優れている 203).非弁膜症性心房細動における抗血小板薬の脳梗塞予防効果は弱く,あるとしても心内血栓形成抑制よりも動脈硬化に基づく脳梗塞予防としてだけ作用していると推定される204).いずれにしてもその効果はわが国では否定されており,第一選択として投与すべきではない.わが国では上述の JAST研究 200)の結果を重視し,本ガイドライン 2008年版ですでに心房細動におけるアスピリン療法の推奨を削除している 2).アジア太平洋不整脈学会(Asia-Pacific Heart Rhythm Society:APHRS)によるアジア太平洋 9か国で行われた調査によると,心房細動症例

へのアスピリン使用頻度が日本だけ低い結果であった 205).これは本ガイドライン 2008年版 2)で心房細動におけるアスピリン療法が推奨されていないことを反映しているものと推察される.なお,ワルファリンによる抗凝固療法は塞栓症予防の観点から,単に高齢との理由で中止したり抗血小板薬に変更したりすることなく,継続することが望ましい.しかし,高齢でワルファリンを処方どおりに内服できない場合や転倒のリスクが著しく高く,頭部外傷が強く懸念される場合,出血性合併症を有している場合は,ワルファリン投与の継続が困難と考えられる.このような場合には,血栓形成因子である脱水を予防するために飲水を促す生活指導や,心原性脳塞栓症の予防は困難であるが非心原性脳梗塞の予防に有効な抗血小板薬投与の可否を検討することができる.

2.5

除細動時の抗血栓療法

クラス I

・発症後 48時間以上持続するか持続時間不明の心房細動に対する,除細動前 3 週間と除細動後 4 週間のワルファリンによる抗凝固療法(PT-INR 2.0~3.0,70歳以上では 1.6~2.6. レベル B :除細動は電気的あるいは薬理学的いずれの方法でも同様.・発症後 48時間以上続く心房細動で,血行動態的に不安定なため,ただちに除細動が必要な場合のヘパリン静注(ボーラス投与後は持続静注により活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉をコントロール時の 1.5~2倍とする). レベル C :その後は待機的除細動と同様,ワルファリン療法(PT-INR 2.0~3.0,70歳以上では 1.6~2.6)を少なくとも 4 週間行う.・発症後 48時間未満の心房細動で,血行動態的に不安定な場合(狭心症発作,急性心筋梗塞,ショック,肺水腫など)の抗凝固療法なしでの迅速な除細動.レベル C

クラス IIa  ・発症後 48時間未満の心房細動で,患者の血栓塞栓症リスクに応じた除細動前後の抗凝固療法. レベル C  ・除細動前の経食道心エコーによる左心耳・左房内血栓の有無の確認. レベル B  ・血栓が検出されなかった場合:ヘパリン静注(ボーラス投与後,持続静注により APTTをコントロール時の 1.5~2 倍)下での迅速な除細動.レベル B/その後,待機的除細動と同様,最低 4 週間の

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28

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

ワルファリン療法(PT-INR 2.0~3.0,70歳以上では 1.6~2.6)を行う. レベル C  

・血栓が検出された場合:最低 3週間のワルファリン療法(PT-INR 2.0~3.0,70歳以上では 1.6~2.6)後の除細動と,洞調律復帰後の最低 4 週間のワルファリン療法. レベル C /一見,洞調律が保たれていると思われる患者でも,血栓リスクに応じてより長期のワルファリン療法を行うことは妥当である.

・発症後 48時間以上持続するか持続時間不明の心房細動に対する,除細動前 3週間と除細動後 4週間のダビガトランによる抗凝固療法. レベル C :除細動は電気的あるいは薬理学的いずれの方法でも同様.・心房粗動の洞調律化時における心房細動に準じた抗凝固療法. レベル C  

クラス IIb   なし.クラス III   なし.

心房細動除細動に対する抗凝固療法の効果を無作為に比較した試験はいまだないが,ケースコントロール研究によれば除細動に伴う血栓塞栓症のリスクは 1~5 %と報告されている 206,207).このリスクは,除細動前 3週間および除細動後 4週間ワルファリン療法(PT-INR 2.0~3.0)を行うことにより軽減することがいくつかの報告により実証されている 208-210).臨床的には,48時間以上持続するか持続時間不明の心房細動にこの方法が適用されている.48時間未満の心房細動でも左房内血栓や塞栓症が生じうることが報告されているが,抗血栓療法の必要性については明らかではない.ただし,除細動前のワルファリン療法は維持量に到達してから 3週間であり,実際には除細動を行うまでにより長期間を要する.新規経口抗凝固薬は服薬した日からその効果が発現するため,除細動前の服薬期間は 3週間でよいと考えられる.RE-LY Trial211)では,試験中に除細動した症例で除細動後の脳梗塞発症率はワルファリン,ダビガトランとも低かったが,ワルファリンと同様の除細動前 3週間,除細動後 4週間投与のプロトコールがダビガトランでも妥当であるかどうかは実証されていない.リバーロキサバン,アピキサバンについては除細動に関連するデータは公表されていない.心房細動発作が狭心症,急性心筋梗塞,ショック,肺水腫などの病態に生じ,血行動態が不安定になるような場合には,ただちに除細動を行うべきである(ただし持続が 48時間以上の場合はヘパリン静注下に行う).心房細動から洞調律に復帰しても,一時的な左房,左心耳の機能低

下(スタニング)は続く 212).このスタニングは,自発的洞調律復帰や薬理学的除細動 213,214),電気的除細動 214-216)

のいずれでもみられ,その期間は心房細動の持続期間にもよるが数週間以上に及ぶ.したがって,除細動前に経食道心エコーで左房内血栓が検出されなくても,除細動後塞栓症が生じうる 217,218).心房細動・粗動の除細動に関する 32の試験の総括的解析によると,塞栓症のイベントの 98 %は除細動後 10日以内に生じている 217).除細動後の抗血栓療法を 4週間以上続けるかどうかについては,心房細動の再発(発作性,無症候性も含めて)と血栓塞栓症のリスクを考慮して決めるべきである.

48時間以上続く心房細動において,経食道心エコー法を用いた除細動戦略と従来法を比較する目的でACUTE Trialが行われた 219).従来法(603例)では経食道心エコーを行わず,除細動前 3週間および除細動後 4週間ワルファリン療法を行った.経食道心エコー群(619例)で血栓のなかった群では,ヘパリン投与後に除細動を行い,除細動後 4週間のワルファリン療法,血栓が検出された群ではワルファリン療法を 3週間行い,経食道心エコー再評価のうえ,血栓がなければ除細動し,その後 4週間のワルファリン療法を行った.その結果,除細動までの日数は,経食道心エコー群で有意に短縮された(平均 3.0日 vs 30.6日).一方,8週間後の除細動成功率,塞栓症発症率,重大な出血発症率に差はなく,両群とも満足できる治療法と考えられた.したがって,経食道心エコーを用いた除細動戦略は従来法と同様,受け入れられる治療法の一つであることが示された 219).心房粗動の洞調律化時にも脳梗塞や全身性塞栓症の合併が報告されており 220,221),心房細動と同様,従来法あるいは経食道心エコーを用いた治療戦略のいずれかにより,洞調律化前後のワルファリンあるいは新規経口抗凝固薬療法を行うべきである.

2.6

抜歯や手術時の対応

クラス I   なし.クラス IIa  ・至適治療域に PT-INRをコントロールしたワルファリン内服継続下での抜歯 . レベル A /白内障手術.レベル C

・抗血小板薬の内服継続下での抜歯 . レベル A /白内障手術. レベル C  

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29

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

クラス IIa′

・新規経口抗凝固薬の継続下での抜歯や白内障手術.レベル C  

・消化管内視鏡による観察時の抗凝固療法や抗血小板療法の継続. レベル C  ・抗血栓薬単独投与例で出血低危険度の消化管内視鏡手技を行う場合,抗凝固薬も抗血小板薬も継続して行う.ただし,ワルファリン療法の場合は治療域内であることを確認して行う. レベル C  ・抗血栓薬単独投与例で出血高危険度の消化管内視鏡手技を行う場合,アスピリンは継続か 3~5日休薬,チエノピリジンはアスピリンかシロスタゾールへ置換し,それらの対応に準拠するか 5~7日間休薬する.アスピリンやチエノピリジン以外の抗血小板薬は 1日休薬する.ワルファリンや新規経口抗凝固薬はヘパリンに置換する. レベル C  ・抗血栓薬併用投与例で消化管内視鏡手技を行う場合,アスピリンは休薬しないかシロスタゾールへ置換,チエノピリジンはアスピリンやシロスタゾールへの置換か 5~7日間の休薬,チエノピリジン以外の抗血小板薬は 1日休薬かシロスタゾール置換を考慮する.レベル C /ワルファリンや新規経口抗凝固薬はヘパリンへの置換を行う. レベル C  ・術後出血への対応が容易な体表の小手術(ペースメーカ植込みを含む)時の抗凝固薬や抗血小板薬の内服継続. レベル C  ・出血が起こった場合に対処が困難な体表の小手術での大手術に準じた対処. レベル C  ・大手術の場合,術前 3~5日までのワルファリン中止,24時間~4日までのダビガトラン中止,24時間以上のリバーロキサバン中止,24~48時間のアピキサバン中止とヘパリンによる術前の抗凝固療法への変更.レベル C  

・大手術前 7~14日からのアスピリン,チクロピジンおよびクロピドグレルの中止,3 日前からのシロスタゾール中止. レベル C /その間の血栓症や塞栓症のリスクが高い症例では,脱水の回避,輸液,ヘパリンの投与などを考慮する. レベル C

・緊急手術時の出血性合併症時に準じた対処. レベル C

クラス III  ・経口抗血栓療法の中断. レベル B /抗血栓療法の中断が避けられない場合は,ヘパリン,脱水の回避,輸液などの代替療法を考慮する. レベル C

ワルファリンを中止すると約 1 %の頻度で重篤な血栓塞栓症を発症する 222,223).RE-LY Trialによると,ダビガトラン 150 mg ×2回 /day群,110 mg ×2回 /day群およびワルファリン群における周術期の休薬時にヘパリンの橋渡し療法(ヘパリンブリッジ)がそれぞれ 17.0 %,15.3 %,および 28.5 %で行われている状況下で,虚血性脳卒中の発症率はそれぞれ 0.39 %,0.40 %,0.39 %,虚血性脳卒中や全身性塞栓症,肺塞栓症,心血管死の複合エンドポイントの発症率はそれぞれ 1.5 %,1.2 %,1.2 %であった224).抗血栓薬継続下での抜歯の安全性はランダム化比較試験や観察研究として報告されている 225-229).2003年から2007年に発表された医師や歯科医師を対象としたアンケート調査によれば,抗血栓薬継続下での抜歯を支持する医師や歯科医師は増えてはいるが地域によっても差があり,平均約 4~6割の医師や歯科医師が支持しているにすぎない 230-232).2006年に本学会専門医 400名を対象にアンケート調査を行った結果,146名(37 %)から回答を得た.脳塞栓症歴がありワルファリンコントロール中の非弁膜症性心房細動患者に抜歯が必要となった際に,抗血栓療法継続下での抜歯を支持したのは 51 %,塞栓歴のある機械弁患者では 66 %であった.頸動脈狭窄による脳梗塞の既往患者における抗血小板薬継続下での抜歯支持は 62 %であった.

2010年には,わが国の歯科三学会合同の『科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン』が作成され,抜歯前 72時間以内に PT-INRを測定し PT-INRが 3.0以下であることを確認し,ワルファリン療法継続下で抜歯を行うことが推奨された 233).新規経口抗凝固薬については十分なエビデンスは確立されていないが,ワルファリンに準じて継続下での抜歯が勧められる.ガイドラインや指針が作成されてきたが,今後も抗血栓療法継続下での安全な抜歯の基盤を構築するために,啓発活動,各学会間の調節,観察研究および医療連携が求められる.体表の小手術で,術後出血への対応が容易な場合は抜歯と同様の対策が望まれる 143).白内障手術時は,角膜や水晶体には血管がなく出血を伴いにくいことから,多くの眼科医が抗血栓療法継続下での手術を実践している 234,235).大手術の場合は,入院のうえ,ワルファリンを中止しヘパリンを開始する.ヘパリンはAPTTを対照の 1.5~2.5倍に延長するように投与量を調整する.手術の 4~6時間前にヘパリンを中止するかプロタミンでヘパリンの効果を中和し,術前にAPTTを確認する.術後は可及的すみやかにヘパリンとワルファリンを再開し,PT-INRが治療域に入ったらヘパリンを中止する.ダビガトランについては

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30

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

Ccrが 50 mL/min以上であれば 1~2日,30~49 mL/minであれば 2~4日間投与を中止し,中止 12時間後から必要に応じてヘパリン置換を行う.リバーロキサバンについては腎機能にかかわらず 24時間前の中止と必要に応じたヘパリン置換を行う.アピキサバンは出血のリスクに応じて 24~48時間の中止とへパリン置換を考慮する.抗血小板薬の投与を中止せざるをえない場合は,アスピリン,チクロピジンおよびクロピドグレルは術前 7~14日から中止,シロスタゾールは3日前から中止する 143,236-239).その間,血栓や塞栓症のリスクの高い症例では脱水の回避,輸液,ヘパリンの投与を考慮する.長期の休薬を避けたい場合は,手術前にシロスタゾールなど中止期間の短いものに切り替えることが望ましい.抗血栓療法をできるだけ継続する立場から,抗血栓薬を中断する場合に半減期の短いヘパリンでのブリッジがしばしば行われる.ヘパリンはAPTTを対照の 1.5~2.5倍に延長するよう投与量を調整することが多いが,非弁膜症性心房細動では1万U/dayが投与されることもある.最近,ペースメーカや除細動機器の植込み時に抗凝固薬を中止しヘパリンでブリッジしたところ,ペースメーカポケット内の血腫などの出血性合併例が増加したことが報告された 240,241).ヘパリンブリッジの有用性は確立していないが,ヘパリンでブリッジする場合はヘパリンの用量管理を厳重に行うべきであろう.

2012年 7月,日本消化器内視鏡学会の『抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン』が改訂された.これまでは塞栓症発症リスクを考慮せずに抗血栓薬の休薬による消化器内視鏡後の出血予防を重視したものであったが,今回は抗血栓薬の休薬による塞栓症の誘発にも配慮して改訂された 242).出血危険度により消化器内視鏡を 4つに分類している.①通常消化器内視鏡(観察),②内視鏡的粘膜生検(超音波内視鏡下穿刺吸引術を除く),③出血低危険度の消化器内視鏡(バルーン内視鏡,マーキング,消化管・膵管・胆管ステント留置術,内視鏡的乳頭バルーン拡張術),④出血高危険度の消化器内視鏡(ポリペクトミー,内視鏡的粘膜切除術など)の 4つのうち,前回と大きく異なるのは②と③である.内視鏡的粘膜生検や出血低危険度の内視鏡の場合には,抗血小板薬,抗凝固薬のいずれか 1剤を服用している場合には休薬なく施行してもよい.このガイドラインにはダビガトランは含まれているが,後発のリバーロキサバンとアピキサバンは含まれていない.リバーロキサバンもアピキサバンもダビガトランに準じて対応することが妥当であろう.ワルファリンの場合は,PT-INRが通常の治療域であることを確認して生検する.2剤以上を併用している場合には症例に応じて慎

重な対応が求められ,抗凝固薬はヘパリン置換が原則である.出血高危険度の消化器内視鏡検査では,大手術に準じた一時的中止と必要に応じてヘパリン置換を行う.

2.7

出血時の対応

クラス I  ・一般の救急処置. レベル C  ・ワルファリン療法中の出血性合併症の重症度に応じたワルファリン減量~中止(重症度が中等度か重度)と必要に応じたビタミン K投与. レベル C  ・ヘパリン投与中の出血性合併症の重症度に応じたヘパリン減量や中止,およびプロタミンによる中和.レベル C  

クラス IIa  ・早急にワルファリンの効果を是正する必要がある場合の新鮮凍結血漿や乾燥ヒト血液凝固第Ⅸ因子複合体製剤の投与 . レベル C /是正効果は乾燥ヒト血液凝固第Ⅸ因子複合体製剤のほうがはるかに優れている(保険適応外).・ワルファリンの効果を是正する場合,乾燥ヒト血液凝固第Ⅸ因子複合体製剤(保険適応外)によって是正された PT-INRの再上昇を避けるための,乾燥ヒト血液凝固第Ⅸ因子複合体製剤とビタミン K併用投与.レベル C  

・新規経口抗凝固薬療法中の出血性合併症の重症度に応じた新規経口抗凝固薬の中止と,適切な点滴で利尿による体外排出の促進. レベル C  

クラス IIb  ・早急にワルファリンの効果を是正する必要がある場合の,遺伝子組み換え第Ⅶ因子製剤(保険適応外)の投与. レベル C  ・早急に新規経口抗凝固薬の効果を是正する必要がある場合の,乾燥ヒト血液凝固第Ⅸ因子複合体製剤(保険適応外),遺伝子組み換え第Ⅶ因子製剤(保険適応外),新鮮凍結血漿の投与. レベル C  ・ダビガトラン投与中の透析. レベル C  ・新規経口抗凝固薬内服後早期の出血時の胃洗浄や活性炭投与. レベル C  クラス III   なし.

わが国で抗血栓療法中の患者 4000例を登録して行われた観察研究によれば,抗血小板薬単独,複数の抗血小板薬,ワルファリン療法およびワルファリンと抗血小板薬の併用における重大な出血の発症率は,それぞれ 1.2 %/year,

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31

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

2.0 %/year,2.1 %/year,3.6 %/yearで,頭蓋内出血の発症率はそれぞれ 0.3 %/year,0.6 %/year,0.6 %/ year,0.9 %/yearであった 243).抗血栓療法中は一定の頻度で重篤な出血が起こりうることと,抗血栓薬を併用するとそのリスクが高まることを認識するとともに,出血時の対応が求められる.軽度の出血の場合は安易に休薬することなく,適切な抗血栓療法の継続を考慮する.中等度から重篤な出血ではクラス I として抗血栓薬の中止,止血処置,適切な点滴による循環動態の安定化,および脳内出血やくも膜下出血時には十分な降圧を図る.ワルファリン療法中の PT-INRの是正に, クラス I としてビタミンK,クラス IIa として新鮮凍結血漿や乾燥ヒト血液凝固第 IX因子複合体(500~1000 U)(保険適応外),クラス IIb として遺伝子組み換え第VII因子製剤(保険適応外)の投与が勧められる 244-250).急速是正に最も速く確実な効果を示すのは乾燥ヒト血液凝固第 IX因子複合体(500~1000 U)(保険適応外)の投与である.ヘパリン療法中の是正にはプロタミン投与を行う 142).新規経口抗凝固薬投与中に出血した場合,一般処置として点滴により循環動態の安定化を図ることは重要である.適切な点滴により循環動態を安定させると,腎臓や肝臓からの薬物排泄を促進することにつながるからである.緊急時の是正方法は確立していないが,薬物血中濃度がピークに達する前なら胃洗浄や活性炭を投与して薬剤の吸収を抑制する 251).ダビガトランは透析で取り除かれる.ダビガトランや FXa阻害薬では,血液製剤や凝固因子製剤として第 IX因子複合体(保険適応外)の効果が最も期待される.ほかに新鮮凍結血漿や遺伝子組み換え第VII因子製剤(保険適応外)の投与も考慮できる.

2.8

妊娠と出産

クラス I   なし.クラス IIa   なし.クラス IIa′

・妊娠初期 13週までのワルファリン禁止とヘパリン皮下注による代替. レベル C  ・妊娠 14~33週までのワルファリン療法. レベル C  ・妊娠 34~36週以降の胎児頭蓋内出血予防のため,入院でのワルファリン漸減とヘパリン点滴静注.レベル C  

・妊娠 34~36週以降の凝固能亢進による母体血栓症防止目的で,ヘパリン中止下での胎児の早期娩出とヘパリン点滴静注の早期再開. レベル C  

クラス III  ・抗凝固療法中の妊娠や出産. レベル C  

妊娠と出産における抗血栓薬の管理は,『心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガイドライン(2010年改訂版)』144,145)や『Warfarin適正使用情報』252)に詳しい.抗血栓療法中の妊娠,出産にあたって最も重要なことは,たとえ現時点において適切な抗血栓療法管理下で心臓を含めた全身状態が良好であっても,母体の血栓塞栓症のリスクやワルファリン内服による胎児の催奇形性,頭蓋内出血などのリスク,適切な抗血栓薬の管理方法が確立していないことを,妊娠,出産に先立って時間をかけて説明することである.それでもあえて妊娠,出産を希望する場合は次のような方法が勧められる 145).ワルファリンは低分子で胎盤を通過するため,妊娠前期にはワルファリンによる胎児奇形発生の恐れがあり,ワルファリンからヘパリンまたは低分子ヘパリンへの変更が必要となる.ヘパリンの自己注射の練習やヘパリンの用量決定のため短期間入院することが望ましい.妊娠第14週以降はヘパリン皮下注射の継続か,ワルファリン療法への変更を選択する.ヘパリンは血栓症予防効果が不確実であることから,ワルファリン療法への変更が望ましい 252,253).胎児は酵素系とビタミンK依存性凝固因子が未発達のため,母親よりもワルファリンの影響が容易に出現する144).このため,胎児頭蓋内出血などの予防の観点から 34~36週目までにはワルファリン投与を中止し,ヘパリンの点滴静注で抗血栓療法を行いながら,娩出中の胎児出血死を予防するため帝王切開で分娩すべきである.新規経口抗凝固薬のダビガトランやリバーロキサバン,アピキサバンの妊婦,授乳婦に対する臨床試験成績はなく,安全性は確立していない.動物実験で授乳中へ移行することが認められている.

2.9

新しい経口抗凝固薬の開発

経口直接トロンビン阻害薬であるダビガトラン,FXa阻害薬であるリバーロキサバン,アピキサバンが承認され,使用可能となった.エドキサバンについては,ワルファリンを対照とした国際共同二重盲検比較試験(ENGAGE AF-TIMI48) が終了し,その結果が報告された 254-257).エドキサバンは日本では股関節・膝関節手術後の深部静脈血栓症,肺血栓塞栓症予防に対し保険適応となりすでに発売されている.ワルファリンと比較した新規経口抗凝固薬のメリット

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

は,効果判定のための定期的な採血が不要であることや患者により投与量の調整が不要であること,頭蓋内出血発生率がかなり低いこと,食事の影響がほとんどないこと,他の薬剤との相互作用が少ないこと,効果がすみやかに現れ,半減期が短いため術前へパリンへの置換が不要ないしは短期間であることなどがあげられる.一方,デメリットとして,高度腎機能低下例では投与できないことや,半減期が短く服用忘れによる効果低下が速いこと,重大な出血の際の対策が十分確立していないこと,患者の費用負担増加の可能性があることなどがある.2.9.1

ダビガトラン経口直接トロンビン阻害薬はトロンビンの活性部位に結合し,フィブリノーゲンからフィブリンに変換されるのを直接阻害する.ワルファリンに比べてビタミンK代謝とは直接関係がないため,食物の影響が少なく,原則として効果確認のための定期的採血は不要である.この薬剤の代謝には肝臓のチトクローム P450は関与せず,80 %は腎臓から排泄される.したがって,他剤との相互作用は少ない.第 III相国際共同試験 RE-LYは,少なくとも 1つの危険因子(脳梗塞,TIA,全身性塞栓症の既往,6か月以内の症候性心不全,左室機能不全〈駆出率 40 %未満〉,75歳以上,65歳以上で高血圧,糖尿病,冠動脈疾患のいずれか)を有する非弁膜症性心房細動患者約 18000例を対象とした.ダビガトラン 110 mg ×2回 /day群,150 mg ×2回 /day群,ワルファリン群に割り付けられ,ダビガトランの 2群については盲検,ワルファリン対ダビガトランについては非盲検で平均 2年間追跡された 152).試験は主要評価項目(脳卒中,全身性塞栓症)に関して非劣性を証明する計画であったが,低用量でワルファリンと同等,高用量で有意に34 %低いという結果が得られた.一方,重大な出血の頻度はワルファリン群に比べて低用量で有意に少なく,頭蓋内出血は両用量でいずれも 60 %以上少なかった.主たる副作用として上部消化器症状の増加がある.その一因として酒石酸コアの特殊製剤が考えられている.ワルファリンと比較したダビガトラン固有のメリットは,高用量と低用量を選択できることや,高用量では虚血性脳卒中をワルファリンより有意に減少させること,低用量で重大な出血が少ないことなどがあげられる.一方,デメリットとして,上部消化器症状が多いことや高用量で消化管出血が多いこと,腎排泄が 80 %であることから腎機能低下の影響をより受けやすいこと,1日 2回投与であること,などがある.アジア人を対象としたサブ解析では,ダビガトランはワルファリンに比べ消化管出血を増加さ

せないことが示された 258).ダビガトランの血中濃度はAPTTと相関することが知られているが,APTT値は標準化されていないことに注意する.2.9.2

リバーロキサバン経口 FXa阻害薬のリバーロキサバン 15 mgおよび 10

mg投与時の生物学的利用率はほぼ 100 %で,服薬後 0.5~4時間で血中濃度はピークとなり,半減期は 5~13時間である.未変化体として腎から排泄されるのは全体の約1/3で,約 2/3が肝で代謝を受ける.本剤はCYP3A4や P糖蛋白の強力な阻害薬との併用は禁忌となっているが,ワルファリンと比較して薬物相互作用は少なく,食物との相互作用は認められていない.リバーロキサバンでは国際共同第 III相試験である

ROCKET AF Trial 153)とは独立して,日本人を対象にJ-ROCKET AF Trial 156)が行われた.両試験は基本的に同様の試験デザインで実施されたが,リバーロキサバンの通常投与量は海外では 20 mg/day,国内では 15 mg/dayと異なっている.これは,欧米人と日本人との体格差を考慮して曝露量の調節を企図したものであり 259),両試験ではCcrが低い患者層ではそれぞれ 15 mg/day,10 mg/dayに減量している.また,J-ROCKET AF Trialにおけるワルファリンの PT-INR目標値はわが国のガイドラインに準拠し,わが国の医療実態に近いワルファリン療法との比較が行われた.両試験は 2つ以上のリスク因子または脳梗塞やTIAの既往を有する患者を対象とし,二重盲検,ダブルダミー法で実施された.結果は,ROKCET AF Trialでは有効性の非劣性が検証され,治験薬投薬下(on treatment)の解析ではワルファリンに対する優越性も確認された一方,治験薬投与中止後ワルファリンへの移行時,効果不発揮に伴う主要評価項目の増加が明らかとなった.安全性はワルファリンと同程度であった.J-ROCKET AFでは安全性主要評価項目(重大な出血事象または重大ではないが臨床的に問題となる出血事象)の発現率は,リバーロキサバン群 18.0 %/year,ワルファリン群 16.4 %/yearで非劣性が検証された.頭蓋内出血はワルファリン群の約 1/2と少なく,ROCKET AFと同様であった.有効性については十分な検出力を有していないものの,ワルファリン群に対するイベント抑制傾向が認められた(1.3 %/year vs 2.6 %/year,ハザード比 0.49,95 %信頼区間 0.24~1.00).両試験ではリバーロキサバンの投与量は異なるものの,ワルファリンとの比較において有効性と安全性の結果は一貫していた.また,Ccrが低い患者群でも同程度の曝露量とすることで有効性と安全性のバランスは両試験において大きな差はなかった 260,261).

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33

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

ワルファリンと比較したリバーロキサバン固有のメリットは,1日1回1錠でよいこと,服薬継続下では脳卒中,全身性塞栓症をワルファリンより有意に減少させることなどがあげられる.一方,デメリットとして,現時点ではCHADS2スコア 1点以下でのエビデンスが確立していないこと,75歳以上や 50 kg以下の低体重でワルファリンよりも重大な出血や臨床的に有意な出血が多い可能性があることなどがある.リバーロキサバンの血中濃度はプロトロンビン時間(PT)と相関することが知られているが,試薬によって値が異なることに注意する.2.9.3

アピキサバン経口 FXa阻害薬アピキサバンはすみやかに吸収され,半減期は 12時間で,腎排泄率は 25 %と低い.ワルファリンが使用できないか,あるいは使用できないと医師が判断した脳梗塞リスクのある心房細動患者において,アピキサバンはアスピリンに比べて重大な出血を増加させることなく,脳卒中,全身性塞栓症を 55 %減少させた(AVERROES Trial)262).

ARISTOTLE Trial では脳梗塞のリスクを少なくとも 1つ以上有する心房細動患者においてワルファリン(PT-INR目標 2.0~3.0)とアピキサバン(5 mg×2回 /day)の有効性と安全性を,無作為割り付け二重盲検で比較した 154).CHADS2スコア 1点以上の持続性・永続性非弁膜症性心房細動・粗動あるいは過去 1年間に 2回以上発作がとらえられている発作性心房細動・粗動を対象とした.年齢80歳以上,60 kg以下,血清クレアチニン値 1.5 mg/dL以上のうち 2つ以上がある場合はアピキサバンを半量に減量し,血清クレアチニン値 2.5mg/dL以上あるいはCcr 25 mL/min未満は除外された.主要評価項目は脳卒中と全身性塞栓症,二次有効性評価項目は全死亡と心筋梗塞, 主要安全性評価項目は ISTH(International Society of Thrombosis and Hemostasis)出血基準に基づく重大な出血,二次安全性評価項目は重大な出血+臨床的に有意な出血とした.Ccr 50 mL/min以上が8割を占め,アピキサバン2.5 mg×2回 /dayへの減量は全症例のうち 5 %未満であった.有効性の主要評価項目ではアピキサバンのワルファリンに対する優位性が示された(アピキサバン群 1.27 %/year,ワルファリン群 1.60 %/year).脳出血はワルファリンに比べてアピキサバンで 49 %,虚血性その他の脳卒中は 8 %少なかった.全死亡はアピキサバン群で有意に少なかった(アピキサバン群 3.52 %/year,ワルファリン群 3.94 %/year).心筋梗塞の発症は両群で有意な差はなかった.重大な出血(2.13 % vs 3.09 %),重大な出血+臨床的に有意な出血 (4.07 % vs 6.01%) はアピキサバン群で有意

に少なかった.頭蓋内出血はアピキサバン群で 58 %少なく,消化管出血に有意差はなかった.ワルファリンと比較したアピキサバン固有のメリットは,脳卒中,全身性塞栓症をワルファリンより有意に減少させること,重大な出血が少ないことなどがあげられる.一方,デメリットとして 1日 2回投与であること,現時点では臨床経験が少なく,とくに日本人における有用性と安全性がまだ確立されていないことなどがある.アピキサバンの血中濃度はAPTTや PTとは十分な相関関係を示さない.2.9.4

エドキサバンエドキサバンの第 III相国際共同試験の結果 257)が明らかになったが,2013年 12月の時点で保険適応は承認されていない.FXa阻害薬のエドキサバンはすみやかに吸収され,最高血中濃度到達時間は 1~3時間,血中半減期は 10~14時間で,腎から 50 %,腎臓以外から 50 %が排泄される 263).P糖蛋白阻害作用を有する薬剤との併用で,エドキサバンの吸収が増大し血中濃度が上昇し,出血性イベントが発現しやすくなることが予想されている.P糖蛋白阻害作用を有する薬剤としては,キニジン,ベラパミルなどの抗不整脈薬の一部,エリスロマイシン,イトラコナゾールなどがあり,これらの薬剤との併用時には減量して使用する.

ENGAGE-AF TIMI48 trialでは,脳梗塞のリスクを少なくとも 2つ以上有する心房細動患者でワルファリン(PT-INR目標 2.0~3.0)とエドキサバン 2用量(60 mg,30 mg×1回 /day)の有効性と安全性を,無作為割り付け二重盲検で比較した 257).Ccr30 mL/min未満,抗血小板薬 2剤併用,30日以内の急性冠症候群,冠動脈形成術,脳卒中患者は対象から除外された.主要評価項目は脳卒中と全身性塞栓症,二次有効性複合評価項目は,脳卒中,全身性塞栓症,心血管死とした.主要安全性評価項目は ISTH出血基準に基づく重大な出血,net clinical評価は,脳卒中+全身性塞栓症+重大な出血+死亡,重篤な後遺症のある脳卒中+生命を脅かす出血+死亡,脳卒中+全身性塞栓症+生命を脅かす出血+死亡とした.エドキサバンはいずれの群でも,Ccr 30~50 mL/min,体重 60 kg以下,キニジンやベラパミル併用患者では用量を半量に減量した.平均CHADS2スコアは 2.8,用量調整例はいずれの群も 25.4 %であった.ワルファリン群でのTTRは平均値 64.9 %,中央値 68.4 %であった.有効性主要評価項目では,on treatment解析でエドキサバン 60 mg群のワルファリン群に対する優越性,30 mg群の非劣性が示された(エドキサバン 60 mg群:1.18 %/year,30mg群:1.61 %/year,ワルファリン群:1.50 %/year).ITT解析では両用量群とも

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

非劣性が示された(それぞれ1.57 %/year,2.04 %/year,1.80 %/year).出血性脳卒中はいずれの群もワルファリンに比べ有意に少なかった(ハザード比 0.54,0.33)が,虚血性脳卒中は 60 mg群で同等(ハザード比 1.00),30 mg群で有意に高かった(ハザード比 1.41).重大な出血の発生率はいずれの群も有意に低かった(それぞれ 2.75 %/year,1.6 %/year,3.43 %/year).消化管出血は 60 mg群で有意に高く(ハザード比1.23),30 mg群で有意に低かった(ハザード比0.82).心血管死,net clinical評価はいずれの群でもワルファリン群より有意に低かった.現時点ではアジア人のサブ解析は発表されていない.Ccr

15~30 mL/minの心房細動を合併した重症腎不全患者を対象とした試験が,日本単独で本試験と並行して施行され,PK/PDプロファイルから 15 mg×1回 /day 投与が至適であることが示された 264).

3.

心拍数調節の適応と方法

クラス I  ・副伝導路のない持続性あるいは永続性心房細動へのβ遮断薬(メトプロロール,ビソプロロール,プロプラノロールなど),非ジヒドロピリジン系 Ca拮抗薬(ベラパミル,ジルチアゼム)の投与. レベル B

・副伝導路のない心不全例の心房細動へのジゴキシン,アミオダロン(経口あるいは静脈内投与*),ランジオロール,カルベジロール,ビソプロロールの投与.レベル B

・心不全患者または長期臥床患者へのジゴキシン(経口)の投与. レベル C

クラス IIa  ・安静時,運動時両方の心拍数調節のためのジゴキシンとβ遮断薬または非ジヒドロピリジン系 Ca拮抗薬の併用. レベル B

・薬物療法では十分に心拍数が調節できないか,副作用のために投与できない例への房室結節または副伝導路のアブレーション. レベル B

・他の方法が不成功か禁忌である例へのアミオダロンの静脈内投与. レベル B

・副伝導路を持つが,電気的除細動を行わなくてもよい例への Ia群薬(プロカインアミド,シベンゾリン,ジソピラミド),Ic群薬(ピルシカイニド,フレカイニド)の静脈内投与. レベル C

・緩やかな目標心拍数(安静時心拍数 110拍 /min未満)で開始し,自覚症状や心機能の改善がみられない場合はより厳密な目標(安静時心拍数 80拍 /min未満,中等度運動時心拍数 110拍 /min未満)とする.レベル A  

クラス IIb  ・β遮断薬や非ジヒドロピリジン系 Ca拮抗薬,ジゴキシンの単独あるいは併用投与でも,安静時と運動時の両方で心拍数が適切に調節できない例へのアミオダロン経口投与. レベル C  

・薬剤では心拍数調節ができないか,頻脈誘発性心筋症が疑われる例への房室結節アブレーション. レベル C

クラス III  ・発作性心房細動へのジギタリスの投与. レベル B

・薬物療法を試みずに,心拍数調節目的で行う房室結節アブレーション. レベル C

・非代償性心不全例への,血行動態を悪化させる可能性がある非ジヒドロピリジン系 Ca拮抗薬の静脈内投与.レベル C

・副伝導路を持つ例へのジギタリス,非ジヒドロピリジン系 Ca拮抗薬の静脈内投与. レベル C

*:アミオダロン注は保険適応外.

心房細動中に 130拍 /min以上の心拍数が持続すると,左室拡張不全が生じうっ血性心不全を惹起する.器質的心疾患がなくても,高頻度の心拍数の心房細動が持続すると心不全となる.これを予防するために心房細動中の心拍数を 130拍 /min以上にしないことが重要である 265).AFFIRM 105)では,安静時は 60~80拍 /min,中等度運動時は 90~115拍 /minに心拍数を低下させるよう調節された.心拍数を厳しく調節すると,心拍数の低下からペースメーカを植込まなければならない症例が 7.3 %もいたために,厳密に心拍数を 60~80拍 /minにしなければならないか疑問が持たれていた.RACE II Trial 266)では安静時心拍数を 110拍 /min未満に目指す群と,安静時心拍数は80拍 /min未満で中等度運動時心拍数が 110拍 /min未満を目指す群に分けて比較された.その結果,自覚症状や有害事象の発現率,心不全の重症度は両群で同程度であり,安静時の心拍数が 110拍 /min未満を目指す緩やかなコントロールでもよいことが明らかになった.RACE II Trial 266)の緩やかな心拍数調節群の安静時心拍数は,1年後 86±15拍 /min,2年後 84±14拍 /minであり,決して安静時心拍数が100~109拍/minでもよいということではなく,自覚症状が軽快するよう心拍数の低下に努めなくてはな

3.

心拍数調節の適応と方法

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心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

らない.2010年の ESCのガイドライン 146)では,心拍数調節の目標は上述のRACE II Trialの緩やかな調節法を クラス IIa

として採用しているが,2011年の米国心臓病学会 /米国心臓協会 /欧州心臓病学会(ACC/AHA/ESC)のガイドライン 267)では推奨度の記載なしで,安静時 60~80拍 /min,中等度運動時 90~115拍 /minを目標としている.本改訂では,ESCガイドラインにならい緩やかな調節法を クラス IIa として採用した.心拍数調節には,房室結節伝導を抑制する薬剤を選択する.J-RHYTHM Studyの成績および 2010年の ESCガイドライン 146)ではβ遮断薬,非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬(ベラパミル,ジルチアゼム),ジギタリス,アミオダロンが選択されている.短時間のうちに心拍数を減少したいときには静脈内投与が選択され,わが国ではβ遮断薬で静脈内投与ができるのはプロプラノロールとランジオロールである(エスモロールは手術時だけ保険適応).左室機能が低下した例(駆出率 25~50 %)の頻脈性心房細動の心拍数調節に,ランジオロールの点滴静注(1~10μg/kg/min)が有効かつ安全であるかをジゴキシン静注(0.25 mg)と比較した J-Land Studyの結果 268)では,治療開始2時間以内の心拍数抑制効果はランジオロールが勝っていた.心機能低下例の頻脈性心房細動の心拍数調節にランジオロールの点滴静注も選択肢となりうるが,手術後などで使用される場合に比べ投与量を減量する.静脈内投与できる薬剤として,Ca拮抗薬ではベラパミルとジルチアゼム,ジギタリスではジゴキシン,その他にアミオダロンがある.

経口投与で時間をかけて心拍数を低下させる薬剤として,β遮断薬のうちメトプロロール,ビソプロロール,アテノロール,カルテオロール,プロプラノロール,カルベジロールなどが使用できる(保険適応のないものもあるため使用時には注意する).ビソプロロールについては,MAIN-AF Study 269)で,心拍数調節に用量依存性の効果があることが認められた.Ca拮抗薬としてベラパミルとジルチアゼム,ジギタリスとしてジゴキシン,そのほかにアミオダロンが選択できる.薬剤の具体的な選択は副伝導路の有無,心不全の有無に基づいて行う(図 13).副伝導路を持つ心房細動患者で,血行動態が保たれていて電気的除細動を行わなくてもよいときには,Ia群薬(プロカインアミド,シベンゾリン,ジソピラミド),Ic群薬(ピルシカイニド,フレカイニド)の静脈内投与を行う.副伝導路がなく心機能が低下しているときには,ジギタリス,カルベジロール,ビソプロロールあるいはアミオダロン(経口投与)が使用される.アミオダロンやベプリジル,ソタロールなどは除細動目的で使用されても,心房細動が継続しているときには房室結節伝導を抑制して心拍数を低下させる 270).慢性心房細動例でジルチアゼム,ベラパミルの効果をプラセボと比較した研究 271)では,Holter心電図で確認した平均心拍数はプラセボで 88±14拍 /min,ジルチアゼム270 mg/dayで 76±13拍 /min( p < 0.001),ベラパミル240 mg/dayで 80±11拍 /min( p < 0.01)であった.両Ca拮抗薬ともに房室結節における伝導抑制と運動耐容能の改善は同等であった.ただし,両Ca拮抗薬ともに投与量はわが国での平均投与量の約 2倍であることに留意す

副伝導路

あり

心不全あり

心不全なし

ピルシカイニドフレカイニドジソピラミドシベンゾリンプロカインアミド

ジゴキシン経口・静注アミオダロン経口・静注*

(*:静注は保険適応なし)ランジオロール静注カルベジロール(心拍数調節の適応なし)ビソプロロール なし

β遮断薬Ca拮抗薬:ベラパミル,

ジルチアゼム

図 13 心房細動の心拍数調節(薬物治療)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

る.ジギタリスは安静時の心拍数を減少させるが,運動時の心拍数減少効果は認められないので,運動時の心拍数調節にはジギタリスにβ遮断薬あるいはCa拮抗薬を併用するか,β遮断薬あるいはCa拮抗薬を単独で投与するか両者を併用する.ジゴキシンの除細動効果について検討したDAAF Trial 272)では,基礎疾患のない心房細動 239例に対するジゴキシンの急速静注によって 16時間の観察時間中に有意な除細動効果のないことが明らかにされたが,心拍数の減少(レートコントロール)効果は認められている.なお,ジゴキシンによる心拍数調節では死亡率が高くなることがAFFIRMのサブ解析 273)で示され,ジゴキシン血中濃度上昇(1μg/mL以上)が死亡率増加と関連することが示唆されている 274).複数の薬剤を使用しても心拍数調節がうまくいかないか,抗不整脈薬あるいは肺静脈隔離術によっても洞調律維持がうまくいかない例では,房室結節のカテーテルアブレーションとペースメーカ併用による心拍数調節を考慮してもよい.心房粗動についても同様であるが,Naチャネル遮断薬を投与すると心房興奮頻度が少し減少して 1:1房室伝導を可能にし,心室拍数が上昇することがあるので注意を要する 146).

4.

洞調律化・再発予防の適応と方法

心房細動よりも洞調律のほうが,異常な頻脈や不規則な心拍の不快感が避けられるうえ,心臓のポンプ機能に与える心房収縮のブースター効果を期待できる点で望ましい.なによりも,心房内血栓が形成されなくなることのメリットが大きい.しかし,洞調律を目指すために人為的な介入を必要するとなると,そこに新たなリスクとベネフィットの比較が必要となり,それは個々の患者によって,またその介入方法によって異なるため,慎重な検討を迫られる.大規模試験による洞調律維持(リズムコントロール)追求群と心拍数調節(レートコントロール)追求群の比較で,生命予後に差がないことが示されたものの,QOLは必ずしも同等とはいえなかった.とくに発作性心房細動例では心拍数調節治療に耐えられなくなるものが多く,洞調律維持治療がより好まれたのは J-RHYTHM Study 120)が示したとおりである.心拍数調節よりも洞調律維持が望ましいと判断された場合,あるいは患者の希望により洞調律維持が選択された場合には,いかに除細動と再発予防を行うか

が問題となる.心房細動停止と心房細動再発予防には同じ抗不整脈薬が使用されることが多いことから,本ガイドラインの 2008年改訂版 2)では両者を統一して扱った.それによりガイドラインを単純化することができたものの,実際の臨床現場では必ずしも同一の治療手段や薬剤投与法が採用されるとは限らないことから,今回は両者を独立して記述することとした.しかし基本的な考え方には大きな違いはない.心房細動の薬物療法は生命予後を改善するためのものではなく,脳梗塞を防ぎQOLを維持することを目指すものであることから,安全性に主眼を置いた枠組みが欠かせない.わが国の薬事承認が限られた薬剤に,限られた適応でしか認められていないことと,臨床データも一部に限られているため,エビデンスレベルとして低いものが多いことは否めないが,より多くの臨床医の指針となるよう単純化し,実用性を重視した内容に改訂した.

4.1

洞調律化(除細動)

心房細動の除細動にあたっては,まず心房内血栓のないことが確認されているか,十分な抗凝固療法が行われていることが重要である.とくに 48時間以上持続している心房細動や持続時間の不明な心房細動では,緊急性が高い場合を除き,塞栓症の可能性を最小限に抑える配慮が求められる.4.1.1

電気的除細動

クラス I  ・遷延する心筋虚血や狭心症,症候性低血圧,増悪する心不全など,致死的危険が迫っている心房細動,あるいは速い心室拍数が薬物療法に迅速に反応せず,血行動態の破綻を伴う心房細動への R波同期下直流除細動. レベル C  ・早期興奮(preexcitation)を伴う心房細動で,非常に速い頻拍が生じたか,血行動態が不安定になった場合の即時の直流除細動. レベル C  

・器質的心疾患例に出現した心房細動で,容認できない症状を伴い,血栓の存在が否定されている場合.レベル C

クラス IIa  ・抗不整脈薬に抵抗性の心房細動を,48時間以上持続させないで停止させる場合. レベル C  ・48時間以上持続するか発生時期が不明な有症候性心房細動で,経食道心エコーで血栓の存在が否定されて

4.

洞調律化・再発予防の適応と方法

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心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

いるか,3週間以上の有効かつ十分な抗凝固療法施行後に行う場合. レベル C  ・直流除細動後早期に心房細動が再発し,容認できない症状を伴う場合に抗不整脈薬投与下での直流除細動の反復. レベル C  ・甲状腺機能亢進症が正常化したあとも心房細動が持続する場合や,心臓手術後で術前にはなかった心房細動が持続している場合に,抗不整脈薬による除細動が無効であるかそれを使用できない例への直流除細動.レベル C

クラス IIb  ・持続が 1 年未満で,左房拡大が著明でない無症候性心房細動への待機的直流除細動. レベル C  ・抗不整脈薬の予防投与と多数回の直流除細動を行っても,比較的短時間の洞調律後に再発を繰り返す心房細動への直流除細動の反復. レベル C  クラス III  ・ジギタリス中毒または低K血症の患者での直流除細動.

レベル C  ・高度房室ブロックや洞不全症候群の存在が判明している例で,ペーシングによるバックアップがない状況下での直流除細動. レベル C  

・持続が 48時間以上の心房細動で,抗凝固療法が未施行で,経食道心エコーなどで血栓の存在が否定されていない例での待機的直流除細動. レベル C  

心房細動の発生により急速に血行動態が破綻し,緊急性が高い場合には,麻酔下,QRS波同期下に 100J以上の電気エネルギーで直流除細動を試みるのが迅速で有効性も高い(図14).緊急以外の除細動場面で電気ショックが選択されるのは,それを患者が希望した場合や,抗不整脈薬による除細動が困難な場合,抗不整脈薬による除細動が電気的除細動よりも危険性が高いと判断された場合などである.とくに肥大心,不全心,虚血心など,器質的心疾患に合併した心房細動では抗不整脈薬の効果が弱まるだけでなく,催不整脈作用が露呈しやすくなる.病的心ではアミオダロンの静注あるいは内服により除細動を試みることもあるが,効果の発現に時間がかかることが多く,第一選択として推奨するものではない.そこで器質的心疾患に合併した心房細動を除細動するには,より安全,確実で,効果も即時的に得られる電気的除細動を推奨した(図 14).ただし電気的除細動はたとえそれが成功しても,とくに器質的心疾患例では心房細動が再発する可能性が高く,予防薬が必要となる可能性が高い.再発予防薬としてのアミオダロン内服を電

気的除細動前から始めておくこともある.4.1.2

薬理学的除細動

クラス I  ・臨床上有意な器質的心疾患のない発作性心房細動で,持続が 48時間未満の例への Na チャネル遮断薬*1投与. レベル A  

クラス IIa  ・持続が 48時間から 7 日以内で,抗凝固療法を施行中か,血栓の存在が否定された心房細動への強力な Naチャネル遮断薬*1の投与. レベル C

・心機能,QT 間隔が正常な例で,7 日を超えて持続する心房細動へのベプリジルの投与. レベル B  ・洞不全や房室伝導障害,脚ブロック,Brugada症候群,器質的心疾患,心房粗動の既往のいずれもない例で,院外発症の症候性発作性心房細動に対するピルシカイニド,フレカイニド,プロパフェノン,シベンゾリンの頓服投与(ただし,一度は医師の監視下で同剤による頓服治療の有効性と安全性を確認すること).レベル B  

クラス IIb  ・7 日を超えて持続する心房細動で,ベプリジルによる除細動不能例へのアプリンジン併用. レベル C  ・心機能低下を伴う持続性心房細動へのベプリジル 投与. レベル C  ・器質的心疾患に伴う持続性心房細動へのアミオダロン投与. レベル B  クラス III  ・心機能低下例へ の強力なNaチャネル遮断薬*1の投与. レベル C  ・高度房室ブロックや洞不全症候群の存在が判明している例で,ペーシングによるバックアップがない状況下での薬理学的除細動. レベル C  

・Brugada症候群合併例への Naチャネル遮断薬*1の投与. レベル C  ・QT延長を伴う持続性心房細動例へのベプリジルの投与. レベル C  ・持続が 48時間以上の心房細動で,抗凝固療法が未施行で,経食道心エコーなどで血栓の存在が否定されていない例の薬理学的除細動. レベル C  

*1:ピルシカイニド,シベンゾリン,プロパフェノン,ジソピラミド,フレカイニド.

薬理学的除細動では,なによりも安全性が優先される.したがって薬理学的除細動が試みられるのは,基本的に心

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

臓に器質的異常の存在しない心房細動*2であり,器質的異常のある例では,より専門的かつ慎重な判断が要求される.心臓に基礎病態を有しない心房細動では,停止の対象となる心房細動の持続時間が薬剤の効果と密接に関係する.そこでNaチャネル遮断薬が停止に効果的とされる発作性心房細動と,心房のリモデリングが進行してNaチャネル遮断薬の効果が期待できない持続性心房細動とに分けて論じる必要がある.

*2:器質的心疾患のない心房細動このような心房細動を孤立性心房細動と呼ぶ(V.1 .2 .14

「孤立性心房細動」〈19㌻〉 参照).しかし,「孤立性」の定義は時代とともに,また研究者によって異なる.高血圧例の場合は定義上孤立性ではないが,心肥大を伴わない場合には不整脈の診療方針は,基礎心疾患を伴わない,いわゆる孤立性のものと同様に扱うことができる.欧米のガイドライン(AHA,ESC)でも,左室肥大がない高血圧例は,塞栓症の予防は別として不整脈に関しては孤立性と同等に扱っている.そこで,本ガイドラインでは「孤立性」という分類は使用せず,「臨床上有意な器質的心疾患を認めない」と表現することとした.器質的心疾患とは,肥大心,不全心,虚血心をさす.

a. 発作性心房細動発作性心房細動は原則として自然停止をするものをさすが,症状が強い場合や,除細動時の塞栓症の危険を回避

するために持続が 48時間以上にならないうちに人為的に除細動を試みることがある.とくに臨床上有意な器質的心疾患を認めない例では持続が短いほどNaチャネル遮断薬の効果が高いことが知られており,7日以内であればこの目的で使用することがある.即効性が求められるため救急外来などでは静注されることが多いが,患者に薬剤を持たせて発作時に自分で内服させる pill-in-the-pocketと呼ばれる投与法もある(V.4.3「抗不整脈薬単回経口投与法(pill-in-the-pocket)」〈44㌻〉参照).

Naチャネル遮断薬は,心房細動中の心房内あるいは肺静脈内の興奮頻度を減らして細動を停止に導くが 275),心房筋の再分極後不応期を延長する作用 276,277),興奮前面の曲率半径を増大させる作用 278,279),肺静脈局所から発生する異常興奮や同部に存在する伝導遅延部位の伝導途絶を促す作用などが関与している 280).すなわち,Naチャネル遮断薬は発作性心房細動のトリガーと基質の両方に対して抗不整脈効果を発揮することが期待される.基本的にチャネルからの解離が遅い薬剤(slow kinetic drug:緩徐解離型薬剤)ほど,Naチャネル遮断作用が強力で心房細動停止効果も高く,臨床上有意な器質的心疾患を認めない心房細動で治療の第一選択となることは,欧米のガイドライン 99)と一致する( クラス I )(図14).日本では強力なNaチャネル遮断薬が多数承認されてい

心房細動除細動

不安定 電気ショック

>7日

強力Nablockerピルシカイニドシベンゾリンプロパフェノンジソピラミドフレカイニド

ベプリジル

≦7日*3

*2

*1*1

抗血栓対策

安定

器質的心疾患肥大心不全心虚血心

あり

なし

血行動態

持続日数

図 14 心房細動の除細動点線は考慮を要する部分.Na blocker :Naチャネル遮断薬.*1: 以下の場合に海外ではアミオダロン投与も選択肢に含まれるが,わが国の保険適応に抵触する可能性がある.   ①器質的心疾患例で薬理学的除細動を試みる場合.   ②電気的除細動成功率を上げ,また除細動後の再発予防を目指す場合.*2: 単剤で無効時にはベプリジルとアプリンジンや他の Ic群薬の併用が奏効することがある.またアプリンジン単独でも有効なこと

がある.*3: 有効性と血栓塞栓症合併を減らす観点からは 48時間以上にならないことが望ましい.

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心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

るが,とくに日本で開発されたピルシカイニドは,PSTAFと呼ばれる多施設共同試験で,持続が 7日以内の心房細動例に対する 150 mg単回経口投与(pill-in-the-pocket)が45 %の停止効果をあげたことが示されている 281).ピルシカイニドが純粋なNaチャネル遮断薬であるのに対し,シベンゾリンはNa電流を抑制するほかに,IKr(遅延整流K電流の速い成分),IKs(遅い成分),IK1(内向き整流K電流),IK ACh(アセチルコリン感受性K電流)などを抑制し,M2受容体にも拮抗する 282,283). 48時間以内の心房細動に対するシベンゾリンの 200 mg単回投与によって 75~85 %の停止が得られることが報告されている284,285).プロパフェノンやフレカイニドの有効性については,すでに海外で実証済みといってよい( クラス I レベル A ).持続が 48時間以内の心房細動に,静注による停止効果をみたスペインの検討では,2 mg/kg/20minの静注(8時間以内に停止しない場合には 1mg/kg追加)でフレカイニドでは 90 %,プロパフェノンでは 72 %の例で除細動に成功した 286).このほか単回内服投与による停止効果も示されている 287).わが国にはこのほか,Kチャネル遮断作用も併せ持つ Ia群薬が数多く存在する.なかでもジソピラミドはしばしば使用されるが,シベンゾリン同様,M2受容体拮抗作用があり,昼間型や混合型に比較してとくに夜間型心房細動を高率に停止させ,再発を防止する 288,289).ジソピラミドは口渇や尿閉などの副作用が出現することがあり,コンプライアンスの低下を招く可能性がある.Naチャネル遮断薬はときに心房細動を心房粗動に変えることがあるが,とくにM2受容体拮抗作用を有するジソピラミドやシベンゾリンでは房室結節伝導が促進されるため,1:1房室伝導を可能にして極端な頻拍をひき起こすことがあるので,注意する.さらに Ia群薬ではKチャネル遮断作用に伴う催不整脈作用である torsade de pointesの発生にも十分な注意が向けられるべきであり,純粋なNaチャネル遮断薬と同列に扱うことは適当でない.ピルメノールも同様の作用を示す薬剤であり同等の効果が期待されるが,心房細動に対する保険適応は認められていない.一方,Naチャネル遮断薬にはチャネルからの解離が中間的なプロカインアミド,キニジン,アプリンジンなどの薬剤も存在するが,使用頻度は低く,臨床上有意な器質的心疾患を認めない例に対する第一選択薬として,あえてこれら遮断作用の弱い薬剤を含めることはしなかった.実際,血中半減期の短いプロカインアミドをWPW症候群に伴う心房細動に対して静注で使用することはあっても,経口投与はほとんど行われていない.キニジンの心房細動停

止効果には実績があり,ソタロールよりも優れているが,torsade de pointesの発生がより多い 290).アプリンジンはKチャネル遮断作用を示さず torsade de pointesの心配はないが,とくに停止のための急速投与ではめまいや痙攣などの副作用が知られている 291).以上のエビデンスをもとに,臨床上有意な器質的心疾患を認めない例の発作性心房細動を停止させるための第一選択薬としては,ピルシカイニド,シベンゾリン,プロパフェノン,ジソピラミド,フレカイニドを掲げた(図14).薬剤の掲載は,J-RHYTHM Study 120)で使用された頻度順とした.臨床上有意な器質的心疾患を認めない発作性心房細動に対するNaチャネル遮断薬の投与に伴う副作用は少ないものの,皆無というわけではない.前述したように心房細動を心房粗動に移行させ,まれに 1:1房室伝導を促して著しい頻脈を誘発する危険がある 292).また,洞機能不全の存在も心房細動の停止が得られて初めて気づくことがあるが,その際にNaチャネル遮断薬の興奮抑制作用が洞停止時間を延長する可能性がある 293).Brugada症候群もしばしば心房細動を合併するが,Naチャネル遮断薬は STを著しく上昇させるだけでなく,ときに致死性不整脈を誘発する危険性もあるので,十分な注意が要求される 294).b. 持続性心房細動持続性心房細動例に対しては,除細動して洞調律を維持しようとする治療よりも,そのまま除細動せずに心拍数調節によって優れたQOLが確保されることが,最近のJ-RHYTHM Study 120)でも明らかにされている.したがって,持続性心房細動に対しては心拍数調節を第一選択とすることが妥当と考えられる.しかし心拍数調節が困難な場合や心拍数調節を行っても症状が続く場合,永続性心房細動に移行する前にアブレーション治療を行いたい場合などには,除細動を試み洞調律維持という選択肢も考慮される.持続性心房細動を除細動するには電気的除細動も選択可能であり,それに比べ薬理学的除細動は成功率も即効性の点でも劣り,また催不整脈作用のリスクも伴うため,その必要性を十分に吟味したうえで適応を判断することが望まれる.心房細動が 7日を超えて持続しリモデリングが進行した心房筋では,細胞膜のイオンチャネル密度も変化しているため,急性期に奏効した薬剤が慢性期にも効くとは限らない.持続が 48時間以上 6か月以下の心房細動に対してピルシカイニド 150 mg/dayを連日投与したところ,2週間後の時点で 22.4 %の例が洞調律に復帰したが,心房細動が 2か月を超えて持続している例や左房径が 45 mmを超えた例では停止が困難であった 295).また,心房細動の

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

持続が 7日を超えると,Naチャネル遮断薬のフレカイニドとKチャネル遮断薬のソタロールのどちらも除細動効果を示さなくなった 296).最近の研究では,アミオダロンやベプリジルが持続性心房細動を停止に導くことが示されているが,これらの薬剤はマルチチャネルブロッカーであり,そのうちのどの作用が奏効しているかについては明確な結論が得られていない.これらの薬剤による除細動効果は投与開始直後には現れず,数週間後に発揮される特徴があり,一つの可能性としてリモデリングを逆転させる(reverse remodeling)作用が注目されている 297).アミオダロンの経口投与による持続性心房細動の停止効果については,決して高いとはいえないが,有効例の存在を欧米の大規模試験結果が報告している( クラス IIa ).PIAF Studyでは,1週間以上持続する心房細動に対してアミオダロンを投与し,3週間で 23 %の例で洞調律に復帰した 115).また 72時間以上持続する心房細動例を対象とした SAFE-T trialでは,1か月以内にプラセボ群では 0.8 %しか洞調律に復帰しなかったのに対し,アミオダロン群で27.1 %の洞調律復帰が得られた 298).アミオダロンを使用する場合には,通常 400 mg/dayから開始し,2週間後から200 mg/dayに減量し,可能ならばさらに 100 mg/dayまで減量する.ちなみに SAFE-T TrialではKチャネル遮断作用とβ遮断作用を併せ持つソタロールの効果も検討し,24.2 %の除細動が得られた.アミオダロンについては肺,その他の臓器への副作用が存在するので,とくに臨床上有意な器質的心疾患を認めない心房細動への適用は慎重でなければならない.ソタロールについてもQT延長によるtorsade de pointes発生への警戒が求められる.心房細動に対するソタロールの保険適応は認められておらず,アミオダロンについても肥大型心筋症や心不全に伴う場合を除いて認められていない.一方,ベプリジルの効果については,日本から重要な知見が発信されている.Fujikiらによると,3か月以上(平均 4年)持続している心房細動にベプリジルを投与し,約1か月後に 69 %の例で停止が得られた 299).この報告では,ベプリジル単独で無効であった一部の症例にアプリンジンを併用した結果,除細動率の上昇を認めており,このアプローチも試みる価値がある.アプリンジンに限らず他のIc群薬との併用によっても除細動率を高められる 300,301).Nakazatoらも平均 5か月持続している心房細動例にベプリジルを投与し,平均 2.1か月で 112例中 65例(58 %)に停止を得ている 302).さらに日本で行われた多施設共同試験 J-BAF 303)では,

7日以上 1年未満持続する心房細動 92例をプラセボ,ベ

プリジル 100 mg/day,200 mg/dayの 3群に分けて 3か月間における洞調律化率を比較した.プラセボ群で 3.4 %,ベプリジル 100 mg/day群で 37.5 %,200 mg/day群で69.0 %と,ベプリジルの高い除細動効果が認められた.しかしこの比較的少数例における試験では心室頻拍を伴う死亡例が 1例あり,催不整脈作用による可能性が指摘されている.持続性心房細動に対するベプリジルの停止効果をアミオダロンと比較した研究では,投与開始 3か月以内の停止率はアミオダロン群(400 mg/dayを 1週間,以後 200 mg/day)で 20例中 7例(35 %)であったのに対し,ベプリジル群(150 mg/day を 2週間,以後 100~200 mg/day)では 20例中 17例(85 %)と高かった 304).ベプリジルの高い除細動効果の明確な機序はいまだ十分に解明されていないが,進行した心房筋のリモデリングを逆転させる効果 305,306)や,カルモジュリンを抑制してNa電流を増加させる作用 307),細胞間の電気的カップリングを増強してスパイラルリエントリーを停止に導く作用 308)などが,実験結果から推察されている.以上のエビデンスから,臨床上有意な器質的心疾患を認めない例の持続性心房細動に対する薬理学的除細動には,ベプリジルを推奨した(図 14).ベプリジルは通常 100 mg/dayから経口投与を始め,QT延長に注意しながら可能ならば 200 mg/dayまで増量する.心房細動中のQT時間の測定はしばしば困難なことが多く,過小評価しがちである.12誘導心電図を記録し T波を明瞭に認識できる誘導のうち,最もQT時間が長く計測される誘導を選び,しかも先行するRR間隔が最も長い心拍のQTが過剰に延長していないことを確認する必要がある 309).低K血症や高度徐脈のある例では使用を控えるべきである.アプリンジンはベプリジルの効果を補強するほか 299),単独でも長期投与により持続性心房細動を停止させる効果があり,1年以上持続した心房細動 20例にアプリンジン 60 mg/dayを投与したところ,1か月~1年後に 9例(45 %)で洞調律の復帰が得られた 310).アプリンジンは不活性化されたNaチャネルに親和性を有し,解離時定数も中等度に長い薬剤であるが,同種の薬剤が膜電位の比較的浅い心房筋において心室筋と比較して強い頻度依存性ブロックをひき起こすことが知られており,心房選択的効果を発揮する可能性がある 311).アプリンジンはほとんどが肝代謝を受けることから腎機能障害例への適用もありうるが,第一選択として推奨するだけのエビデンスはない.

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心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

4.2

心房細動の再発予防

クラス I

・強い自覚症状を伴う発作性心房細動への抗不整脈薬の投与. レベル A  ・臨床上有意な器質的心疾患を認めない例の,再発する有症候性心房細動への Na チャネル遮断薬*の使用.レベル A  

・心機能低下あるいは肥大型心筋症に伴う心房細動へのアミオダロン投与. レベル B  

クラス IIa  ・持続性心房細動の停止に有効であった薬剤による再発防止. レベル C  ・心機能低下を伴わない器質的心疾患例(肥大型心筋症を除く)へのアミオダロンやソタロールの投与.レベル B

クラス IIb  ・無~軽症候性の再発性心房細動への Naチャネル遮断薬*投与. レベル C  ・心房細動に心房粗動を合併する例への強力 Naチャネル遮断薬*投与. レベル C  ・初発,アルコール性,または開胸手術後の心房細動への再発予防としての抗不整脈薬投与(β遮断薬を除く). レベル C  ・臨床上有意な器質的心疾患を認めない例で,Naチャネル遮断薬*に抵抗性の発作性心房細動へのアミオダロンの経口投与. レベル B  クラス III  ・徐脈頻脈症候群(ペースメーカ未植込み例)への抗不整脈薬投与. レベル C  ・臨床上有意な器質的心疾患を有する例への強力 Naチャネル遮断薬*投与. レベル C  ・抗不整脈薬投与下で再発を繰り返し,症状や持続時間などの改善がみられない例への抗不整脈薬の継続投与. レベル C  ・Brugada症候群例に合併する心房細動への Naチャネル遮断薬*投与. レベル C  ・QT延長症候群に合併する心房細動例への Kチャネル遮断作用を有する抗不整脈薬投与. レベル C  

*:ピルシカイニド,シベンゾリン,プロパフェノン,ジソピラミド,フレカイニド.

臨床上有意な器質的心疾患を認めない例で,心房細動発

作が初回の場合や頻度がきわめて少ない場合などには,必ずしも再発予防のための抗不整脈薬治療を必要としない.薬物治療が始められるのは発作が頻回に繰り返される場合である.有症候性の再発性心房細動で薬剤抵抗性の場合にはカテーテルアブレーションも考慮される.4.2.1

臨床上有意な器質的心疾患を認めない心房細動このような例の心房細動の発生や自然停止の背景には,自律神経活動の日内変化の関与が大きい.心房細動のトリガーとして重要な肺静脈由来の心房興奮は,しばしば交感神経賦活に伴って発生することから,β遮断薬が奏効することがある.他方,心房細動の維持には広範囲に及ぶ心房筋活動電位持続時間の短縮が関わっているが,たとえば迷走神経賦活に伴う IK AChの増加は,しばしば夜間や食後の心房細動発症の主因と考えられ,M2受容体拮抗作用のある薬剤が奏効することがある.しかし,これら自律神経活動への修飾を介さずに心房細動を停止させるにはNaチャネル遮断薬の効果が高い(図15).ピルシカイニドによる長期再発予防に関しては,小松らがとくに日中型発作性心房細動において 12か月で 53.8 %の非再発率であったと報告している 312).心房細動の持続が 48時間未満であれば,ピルシカイニドとシベンゾリンのあいだに除細動後の洞調律維持効果の差を認めなかったが,リモデリングによりNaチャネルがダウンレギュレーションをきたしていると想定される 48時間以上持続した心房細動に対しては,シベンゾリンによる維持効果がより高く,そのほかのチャネルへの効果を反映した可能性がある 313).プロパフェノンが日中型の心房細動に有効であるのに対し,シベンゾリンは夜間型の心房細動の持続時間をピルシカイニドやプロパフェノンよりも短縮した 314).フレカイニドやプロパフェノンの効果については海外の成績ですでに証明されている 315).わが国で行われた多施設二重盲検試験でも,フレカイニド 200mg/day投与で1か月間の発作性心房細動の非再発率が 39.4 %と,プラセボの 3.1 %に比較して有意に高かった 316).持続性心房細動の電気的除細動後のフレカイニドによる再発予防効果については,4週間の短期投与と 6か月の長期投与に無作為に分けて,最初の再発あるいは死亡までの時間を追跡比較したドイツの多施設研究がある 317).いずれの投与法も無投薬群よりも有効であったが,短期で投与を中止した群のほうが長期投与群より再発が多かったことから,1か月の洞調律維持によるリモデリングプロセスの逆転がその後の再発を減らすとの期待はかなわなかった.しかし,短期投与群でも 6か月後の時点で長期投与群の 8割程度

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

の効果が維持され,QOLは同等であったことから,症例によっては短期療法も有用であることが示唆された.さらに長期の平均 3.4年の追跡を行った調査によれば,突然死や催不整脈作用を認めた例も報告されている 318).再発予防はしばしば長期的な維持療法となるため,患者の年齢や腎機能,肝機能などを考慮して薬剤を選択し,投与量を加減する必要がある(表 11).また安易に長期投与を続けることには慎重であるべきである.このほかアプリンジンによる心房細動再発予防効果については,日本で行われたSMART Studyでも,投与開始後,洞調律が 15日以上持続した例に限れば,わずかにプラセボ群よりも高いというレベルであった( p=0.0414)319).キニジンについては長期的な再発予防効果はフレカイニドとのあいだに差がないが,前者のほうが下痢などの副作用のために中止せざるをえない例が多い 320).ベプリジルの再発予防効果については,Nakazatoらが薬理学的および電気的除細動に成功した合計 86例中 70例(81 %)で,洞調律が平均 18か月の追跡期間中維持されたことを報告しており,停止効果と再発予防効果に良好な関連性が認められている 302).アミオダロンの再発予防効果との比較においても,彼らはアミオダロン群では平均14.7か月の追跡で 20例中 10例(50 %)が洞調律を維持されたのに対し,ベプリジル群では平均 15.6か月の追跡で 20例中 15例(75 %)が洞調律を維持できたと報告し

ている 304).一方,Shigaらはベプリジルを投与していても5年間で 23.5 %の例が発作性あるいは持続性心房細動から永続性心房細動に移行したと報告しており,長期的な再発予防効果は限定的と考えられる 321).除細動目的でベプリジルとアプリンジンの併用効果が示唆されたが,再発予防目的でも有効との少数例の報告がある 322).アミオダロンの効果は広く欧米で認められており,さまざまな基礎疾患を有する例だけでなく,治療抵抗性であれば臨床上有意な器質的心疾患を認めない例にも使用されている.カナダで行われたCTAF Trial(約半数が持続性心房細動)では,心房細動除細動後のプロパフェノンあるいはソタロールによる洞調律維持率が 39 %であったのに対し,アミオダロンでは 69 %と有意に高かった 323).AFFIRM Trial(約 70 %が持続性心房細動)でも,I群薬

心房細動 再発予防

強力Na blocker ピルシカイニド シベンゾリン プロパフェノン ジソピラミド フレカイニド

アミオダロンソタロール

アブレーション

アップストリーム改善

あり

なし

器質的心疾患 肥大心 不全心 虚血心

*2

*2

*1

図 15 心房細動の再発予防点線は考慮を要する部分.Na blocker:Naチャネル遮断薬.*1: Naチャネル遮断薬以外に,持続性心房細動の除細動がベプリジルで成功した場合には同剤を再発予防に使用することもある.ア

ミオダロンやソタロールも除細動後の持続性心房細動の再発予防に有効なことがある.*2: アミオダロンは肥大型心筋症か心不全に伴う心房細動以外の例には保険適応が認められていない.ソタロールは虚血性心疾患に伴

う心房細動の再発予防に効果を示すが,保険適応は認められていない.またベプリジルやアプリンジンが心機能低下例において有効とする報告もある.

表 11  臨床上有意な器質的心疾患を認めない例に対する 治療薬とその投与法

経口1日量 投与法 静注投与法

ピルシカイニド 150mg 分 3 1mg/kg/10min

シベンゾリン 300mg 分 3 1.4mg/kg/2~5min

プロパフェノン 450mg 分 3 ̶

ジソピラミド 300mg 分 2(R*), 3 1~2mg/kg/5min

フレカイニド 200mg 分 2 1~2mg/kg/10min

*:リスモダンⓇR(徐放錠)の場合.

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心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

を服用した群の 1年後の洞調律維持率は 23 %,ソタロールの場合は 34~38 %であったのに対し,アミオダロン服用群では 60~62 %と高かった 324).一方,持続が 72時間を超える心房細動例だけを対象として,薬理学的あるいは電気的除細動後の追跡を試みた SAFE-T Trialでは,1年後の洞調律維持率がプラセボ群では 13 %であったのに対し,アミオダロン群では 52 %と高く,ソタロール群では32 %とプラセボ群より高いもののアミオダロン群よりも低かった 298).4.2.2

基礎疾患を有する心房細動肥大心,不全心,虚血心といった背景が存在する場合には,心房細動の出現に伴う症状や血行動態への影響が大きく,その再発予防はより重要である.その一方で,抗不整脈薬,とくにNaチャネル遮断薬による再発予防効果は低く,むしろ心室に対する催不整脈作用や陰性変力作用を示しやすくなる点が問題となる.ここでいう肥大心とは心電図上 ST変化を伴った左室肥大を,不全心とは左室駆出率40 %以下の収縮不全を,虚血心とは梗塞をすでに認めるか虚血が繰り返し出現する病態を念頭に置いているが,その他の器質的心疾患例についてもあてはまることが多い.一般にこのような器質的心疾患例では,心室筋の伝導時間や再分極時間が延長しており,そこに強力なNaチャネル遮断薬が加わると,心室内伝導遅延が強まり(QRS波幅の増大),心室内リエントリーを招き,ときに正弦波様心室頻拍を誘発する危険がある.またNaチャネル遮断薬の陰性変力作用によって心不全が悪化することもある.一方,Kチャネル遮断作用を有する薬剤が加わると,心室の活動電位持続時間(QT時間)を延長し torsade de pointesを誘発する危険性があり,そのリスクは病的心では,より高まる.そこで基礎疾患のある例では,まずその原因を改善する治療(アップストリーム治療)が施されるべきであることはいうまでもない.虚血心では虚血の改善が最優先されるが,肥大心や不全心ではACE阻害薬やARB 59,125,325,326),あるいはβ遮断薬などの使用がまず検討されなければならない 327).器質的心疾患,とくに肥大心,不全心,虚血心に伴う心房細動の標的チャネルについては,十分に解明されているとはいえない.しかし,基礎実験によれば,不全心に伴う心房では線維化が進行していることが多く,そこに生じる心房細動はしばしばマクロリエントリーを示し,高頻度刺激による心房細動モデルと比べてKチャネル遮断薬の効果が高い 328).心不全あるいは心筋梗塞で入院し,心房細動あるいは心房粗動であった 506例にKチャネル遮断薬

のドフェチリドかプラセボのいずれかを投与して追跡したDIAMOND Studyでは,前者の 59 %,後者の 34 %が洞調律に復し,それぞれ 79 %と 42 %で 1年間洞調律が維持され( p < 0.001),とくに前者の再入院率が低かった329).わが国ではドフェチリドは使用できない.

Ia群以外の薬剤で,Kチャネル遮断作用を持つのはアミオダロン,ソタロール,ベプリジルなどに限られるが,心不全例や肥大型心筋症例へのアミオダロン(経口)と持続性心房細動へのベプリジル以外には,心房細動に対する保険適応が認められていない.このなかでエビデンスが蓄積されている薬剤はアミオダロンであり,これを推奨薬とした(図15).心房細動を合併した心不全 51例に対しアミオダロンによる除細動を試みた研究では,16例(31 %)に洞調律復帰をもたらした(プラセボでは 8 %).さらにこのアミオダロンで除細動された例のほうが,不成功例よりも予後良好であった 330). 心房細動を合併した慢性心不全1376例で,心血管死を一次エンドポイントとして洞調律維持と心拍数調節の 2治療群を比較検討したAF-CHF Trialでは,追跡 1年後の時点で前者の 82 %でアミオダロンが使われていた.平均 37か月の追跡の結果,両群のあいだで死亡率に有意差を認めなかったものの,受診時の心電図検査で洞調律が記録されたのは,心拍数調節群では 30~41 %にとどまったのに対し,洞調律維持群では当初 46 %であったのが,3週後に 67 %,4か月後には 83 %にまで増加し,アミオダロンの再発予防効果を実証した 331).それでも洞調律維持群の 58 %は追跡期間中に少なくとも 1度の再発を経験していた.またこの試験では心拍数調節群の 10 %が,おもに心不全悪化のために洞調律維持への方針変換を余儀なくされたが,洞調律維持群でも 21 %が,おもに洞調律維持が困難なために心拍数調節に移行した.AF-CHF Trialでは 1/3の例は発作性心房細動を有していたが,心不全に持続性心房細動が合併した例だけを対象としたCAFÉ-II Studyでは,アミオダロンによって 66 %で 1年後も洞調律を維持でき,心拍数調節よりもQOLや左室機能が改善した 332).わが国でも心房細動を伴う心不全 108例について,200

mg/dayという比較的低用量のアミオダロンの効果を調べた Shigaらの報告によると,投与開始 1か月後に洞調律であった 82例の洞調律維持率が 1年後 68 %,3年後 55 %,5年後 47 %であった 333).再発予防効果は発作性心房細動例,左房径が 45mm未満例でより高かった.16 %で副作用のために中止を余儀なくされた.アミオダロンで洞調律が維持できた例では,左室駆出率の改善と脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide:BNP)の減少が

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

認められる 334).一方,アミオダロンによる一次予防効果の報告もある.

NYHA II/III度で左室駆出率 35 %未満の心不全症例の予後をプラセボ,アミオダロン,植込み型除細動器(ICD)の 3群で比較した SCD-HeFTでは,当初 2328例が洞調律であった 335).45.5か月の追跡期間にプラセボ群で12 %,ICD群で 15 %の新規心房細動の発生が認められたが, アミオダロン群では 8 %と有意に抑制されていた ( p=0.019, p=0.001).また ICDの植込まれた 4112例を対象としたOPTIC Studyでは,β遮断薬単独では年間15.4 %の不適切作動があったのに対し,アミオダロン投与群では 3.3 % ( p < 0.006) と有意に低く抑制され,ICD例におけるアミオダロンの有用性も示唆された 336).ちなみにこの試験でのソタロール群の不適切作動は 9.4 %であった.しかし,アミオダロンには重篤な肺合併症を始め,肝臓,甲状腺,眼,皮膚など,さまざまな心外性副作用があり,長期にわたって全身の管理を怠らない配慮が求められる.さらにはNYHA III度の重症心不全例では,アミオダロンがプラセボ群よりも死亡率を増加させる可能性のあることが SCD-HeFTで示されており 337),詳細は不明であるものの,重症例に対する使用は慎重であるべきである.またアミオダロンは他剤との相互作用を及ぼしやすく,とくにジギタリスやワルファリン,新規経口抗凝固薬などの効果を増強することに注意する.ソタロールとベプリジルについてはエビデンスの蓄積がアミオダロンに比べて少なく,Kチャネル遮断作用を有していることからある程度の効果は期待できる.いずれも徐拍化作用があり,IKr抑制によるQT延長をさらに増強する危険性があることから,torsade de pointesの発生に十分注意を払う必要がある.とくに器質的心疾患例ではもともとQTが延長している例も多く,利尿薬による低K血症や併用薬によって一過性にQT延長の増強をみることも少なくない.torsade de pointesが女性により発生しやすいとの指摘もある.通常,少量から投与を始め,頻回に心電図上QTの測定を繰り返す姿勢が望まれる.また,ソタロールにはβ遮断作用もあるため,虚血性心疾患に対しては有利に働く一方,心機能低下例では心不全の増悪に注意する必要もある.持続性心房細動例を対象としたSAFE-T Trialでは 1年間の再発予防が,虚血性心疾患がなければプラセボ群で 17 %,アミオダロン群で 66 %,ソタロール群で 37 %に得られ,アミオダロンの効果が最も高かった.虚血性心疾患を持つ例に限ってはプラセボ群で17 %,アミオダロン群で 60 %,ソタロール群で 50 %と,実薬 2剤のあいだに有意差を認めず,虚血性心疾患におけ

るソタロールの有用性が示唆されている 298).器質的心疾患例に対するベプリジルの作用については十分な知見が得られているとはいえないが,Caチャネル遮断作用がある一方で Ca sensitizer(Ca感受性増強薬)としての作用を示すことも知られている 338).平均左室駆出率 32 %の左室機能低下例 22例におけるベプリジルの効果を検討したNakazatoの成績では,持続性心房細動 17例中 9例(53 %)で停止が得られ,そのうち 6例(75 %)で 20か月後も洞調律が維持できた 339).発作性心房細動 5例中 4例(80 %)で 14.9か月後も再発が抑制できた.また,Naチャネル遮断薬のなかでもアプリンジンは陰性変力作用の少ない薬剤として知られ,器質的心疾患例や心機能低下例で心不全を悪化させることなく心房細動発作を抑制したとする報告がある 340,341).除細動,再発予防に抗不整脈薬を選択する際には,抗凝固療法の徹底,心拍数調節治療との比較,さらにはアブレーションや電気的除細動など非薬物療法の考慮が重要である.本ガイドラインは決してこれを遵守しなければいけないという性質のものではない.抗不整脈薬の使い方は不整脈だけによって決まるものではなく,患者一人一人によって,また同じ患者でもその時々によって変えられるべきものである.

4.3

抗不整脈薬単回経口投与法(pill-in-the-pocket)

クラス I   なし.クラス IIa  ・選ばれた症例*で,すみやかに自然停止しない発作性心房細動を停止させる目的でピルシカイニド,フレカイニド,プロパフェノン,またはシベンゾリンを単回で経口投与する(発症後まもない時期に,適切な用量を服薬). レベル B  

クラス IIb   なし.クラス III  ・薬理学的除細動を目的としたジゴキシン,ソタロールの単回投与. レベル B  

*:選ばれた症例とは,医師の監視下で同薬による頓服の効果と安全性が確認されているもの.

“pill-in-the-pocket”とは,薬剤を持ち歩き,必要な状況下で患者自身の判断によりその薬剤を服用する方法である.このような服薬方法は,狭心症患者におけるニトログリセリン頓用など古くから利用されている.発作性不整脈(とくに発作性心房細動)では,いつ発症するかわからな

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心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

い不整脈発作に対し,発作予防のため長期間抗不整脈薬を使用しなくてはならなくなる.予防的服薬が実際に効果を示しているか否かは,Holter心電図などで検証できる場合もあるが,多くの場合は服薬後の自覚症状改善の有無で判断することになる.しかし,発作性不整脈は必ずしも同様の頻度で発症するわけではなく,実際に不整脈発作がなくても効果があったとは言い難い.そのため発作予防効果を検証するためには,自覚症状のあるなしに関わらず,毎日,心電図検査を施行し検証する方法が勧められる.また不整脈発作が 1か月間に 1回あるかないかといった場合に,その不整脈発作を予防するには,仮に有効な薬剤であったとしても必要以上の薬剤を服用することになる.そこで不整脈発症時に服用し効果と安全性を確認したうえで,患者自身に携帯させ,必要時に患者自身の判断で頓服させる.この方法によれば,発症早期の薬剤使用を可能とし効果を高めるだけでなく,夜間や外出先での不整脈発作に際しても救急外来を受診することなく自己管理することも可能となる.このような服薬方法を“pill-in-the-pocket” 287)と呼ぶ.使用する薬剤としては,経口投与後に消化管からの吸収が良好で最高血中濃度到達時間が短く,頓用でも十分な有効血中濃度が得られるものが望まれる.本治療を行うには,まず心電図監視下に投与し,効果がありかつ顕著な洞停止や伝導障害をみないこと,過度のQT延長をみないこと,Brugada型心電図所見をみないことなど,あらかじめ効果と安全性を確認しておくことが必要である.本法を利用できる条件として,使用する薬剤の薬理学的特徴や,予想どおりの効果がなくても不用意に追加服用しないことなどを理解できることが求められる.単回経口投与する用量は,一般に安全性を考慮してピルシカイニドは 100 mg 281),フレカイニド 100 mg 342-344),プロパフェノン 150 mg 342,343),シベンゾリン 100 mg 284,285)

を基準とし,高齢者などではさらなる減量を必要とする.ことにプロパフェノンを除くピルシカイニド,フレカイニド,シベンゾリンは腎排泄型の薬剤であり,腎機能低下例での過剰投与の回避が必要である.ジギタリス 272,345,346),ソタロール 347,348)の除細動効果は期待できない.

5.

アップストリーム治療

高血圧,心不全,炎症などによる心房筋のリモデリングを予防する,あるいは遅延させるアップストリーム治療により,心房細動の新規発生を予防(一次予防)あるいは再発や慢性化を予防(二次予防)しうる可能性がある.

アップストリーム治療に有効な薬剤としては,ACE阻害薬,ARB,抗アルドステロン薬,HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン),ω-3不飽和脂肪酸などがあげられる.

アップストリーム治療による心房細動の一次予防

クラス I   なし.クラス IIa  ・心不全や心機能低下例への,心房細動の新規発症予防を目的とした ACE阻害薬,ARBの投与. レベル A  ・左室肥大を伴う高血圧例への,心房細動の新規発症予防を目的とした ACE阻害薬,ARBの投与. レベル B

・心臓外科手術後に,心房細動の新規発症予防を目的としたスタチンの投与. レベル B  

クラス IIb  ・心不全などの器質的心疾患合併例への,心房細動の新規発症予防を目的としたスタチンの投与. レベル B  クラス III  ・心疾患を合併していない例への,心房細動の新規発症予防を目的とした ACE阻害薬,ARB,スタチンの投与.レベル C  

アップストリーム治療による心房細動の二次予防

クラス IIb  ・再発予防のための ACE阻害薬,ARBの投与. レベル B

5.1

ACE阻害薬と ARB

ACE阻害薬とARBは,アンジオテンシン IIによる心房の線維化,肥大,ギャップ結合の脱結合,Caハンドリングの障害,イオンチャネルの変化,酸化ストレス,炎症促進などの催不整脈作用を抑制する.動物実験では,ACE阻害薬とARBによる心房の電気的・構造的リモデリングへの明らかな予防効果が認められている 56,349,350).5.1.1

一次予防心不全を対象としたVal-HeFT 326)や CHARM 60) などの試験では,ACE阻害薬とARBが心房細動の新規発症リスクを減少させた.メタ解析では心房細動の発症リスクを30~48 %減少させることが示された.高血圧に左室肥大を合併した患者を対象とした LIFE

Study 59)では,ロサルタンがアテノロールに比べ心房細動の新規発症を33 %減少させた.メタ解析ではACE阻害薬,ARBは新規発症を 25 %減少させることが示された.さらに,VALUE Trial 58)や降圧薬を服用中の高血圧患者を対象

5.

アップストリーム治療

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

とした他の試験でも,Ca拮抗薬や利尿薬に比べてACE阻害薬やARBが心房細動の新規発症リスクを有意に低下させることが示された 351,352).5.1.2

二次予防電気的除細動後の心房細動の再発が,アミオダロン単独よりも,ACE阻害薬やARBを併用したほうが有意に抑制されたという報告がある. しかし,GISSI-AF Trial 353)では,心血管疾患,糖尿病,左房拡大を基礎疾患とする発作性あるいは最近除細動された持続性心房細動患者において,既存治療(ACE阻害薬や抗不整脈薬など)にバルサルタンを追加しても,1年間の心房細動の再発予防効果は認められなかった.わが国で実施された J-RHYTHM II Study124)では,高血圧を合併する発作性心房細動患者を対象に,カンデサルタンの発作性心房細動に対する影響をアムロジピンと比較した.血圧はアムロジピン群のほうがカンデサルタン群より有意に低かった.一次評価項目の心房細動発作の発生日数は両群とも減少したが,両群間に有意差はなかった.症候性心房細動についても両群とも減少したが,両群間に有意差は認められなかった.発作性心房細動の慢性化が認められた症例は,カンデサルタン群のほうがアムロジピン群より低率であったが,両群間に有意差はなかった.心房細動のアップストリーム治療としては,降圧薬の種類よりも十分な降圧が重要と考えられる.

ANTIPAF Trial 354)は,高血圧合併は 50 %弱,左室駆出率は 63 %程度と,比較的軽症の発作性心房細動を対象に,オルメサルタン群とプラセボ群で比較した.1年間に発作性心房細動が記録された日数は両群で差がなかった.心房細動の再発率や持続性心房細動への進行も両群は同等だった.そのほか,入院や治療を必要とする外来受診の頻度にも違いはなかった.9項目の二次評価項目のうち,唯一有意差が認められたのが抗不整脈薬アミオダロン投薬までの時間で,オルメサルタン群のほうがアミオダロンなしで長期に治療することが可能であった.なお,急性心不全や狭心症,死亡などの重度の心血管イベントは両群で同等だった.

ACTIVE I Trial 355)では,収縮期血圧 110mmHg以上の心房細動患者を対象に「心房細動患者の脳心血管イベント」をARBが抑制しうるかどうかが検討された.一次評価項目の「脳卒中+心筋梗塞+血管死」には差はなかったが,二次評価項目では「心不全による入院」で有意差が認められ,イルベサルタンにより 14 %低下した.また,イルベサルタンは「脳卒中+ TIA+非中枢神経性全身性塞栓症」を 13 %減少させた.本研究の結果からは,心血管

イベントのリスクを有する心房細動患者では,既存の治療にイルベサルタンを加えても血栓性イベントを抑制できないことが示された.以上から,左室機能低下や左室肥大などの基礎心疾患がある症例では,ACE阻害薬やARBは心房細動の新規発症を抑制できるが,軽度の器質的心疾患例では心房細動の再発を抑制しうるというエビデンスは乏しい.

5.2

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)

心房細動の発生には,炎症の重要性も指摘されている.とくに開心術後に心房細動の多いことが知られており,心房細動患者の心房での炎症細胞浸潤や線維化の頻度が高いという報告や,C反応性蛋白(C-reactive protein: CRP)値上昇と心房細動の相関関係が検証され,CRPが心房細動発症の予測因子となる可能性を示唆するメタ解析も報告された.また,酸化ストレス,血管内皮機能障害,心房内皮機能障害との関連が報告された.スタチンの心房細動に対する予防効果として,抗炎症および抗酸化作用や,内皮機能障害の抑制作用などがあげられる.動物実験では,スタチンが電気的・構造的リモデリングを抑制し,心房細動の誘発性を低下することが示されている 356,357).5.2.1

一次予防左室機能低下や心不全例において,スタチンが心房細動の新規発生を 20~50 %減少させたという報告 357)があるが,高血圧,冠動脈疾患,急性冠症候群では一定の見解は得られていない.ARMYDA-3 Trial 358)などの後ろ向き試験では,スタチンにより術後の心房細動が減少することが示されている.5.2.2

二次予防スタチンは持続性心房細動よりも発作性心房細動の予防により有効であることが報告されている 357).ランダム化試験では,電気的除細動後のスタチンの有用性は認められなかった 359).スタチンの有用性に関するメタ解析では一定の見解は得られていない 360,361).このように術後の心房細動を除いては,スタチンには心房細動を予防しうるというエビデンスは乏しい.

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47

心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

6.

非薬物療法

6.1

非薬物療法の種類とその意義

6.1.1

カテーテルアブレーションa. 心房へのカテーテルアブレーション

クラス I  ・高度の左房拡大や高度の左室機能低下を認めず,かつ重症肺疾患のない薬物治療抵抗性で有症候性の発作性心房細動に,年間 50 例以上の心房細動アブレーションを実施している施設で行われる場合.

クラス IIa  ・薬物治療抵抗性で有症候性の発作性および持続性心房細動.・パイロットや公共交通機関の運転手など,職業上制限となる場合.・薬物治療が有効であるが,心房細動アブレーション治療を希望する場合.・開胸的外科手術に付随して行われるメイズ手術.クラス IIb  ・高度の左房拡大や高度の左室機能低下を認める,薬物治療抵抗性で有症候性の発作性および持続性心房細動.・無症状あるいは QOL の著しい低下を伴わない,発作性および持続性心房細動.クラス III  ・左房内血栓が疑われる場合.・抗凝固療法が禁忌の場合.

1990年ごろから,Coxらは心房細動の機序がリエントリーに由来するという仮説に基づいて外科的なメイズ手術を開始したが 362),1994年ごろからはメイズ手術に準じた線状焼灼がカテーテルアブレーションで試みられるようになった 363).しかし,本法は実用性と安全性に問題があり一般化するに至らなかった.その後,心房細動のトリガーの多くが肺静脈入口部周辺で発生する巣状興奮であり,この起源を標的とした通電で心房細動が消失することが 1998年にHaïssaguerreらにより報告され,心房細動起源に対するアブレーション(focal ablation)がにわかに注目を集めるようになった 70).しかし,

本法も巣状興奮誘発の困難さや,合併症として肺静脈狭窄の出現など,種々の問題点が明らかとなった.また,異所性の興奮発生部位が肺静脈だけにとどまらず,左房後壁,上大静脈,Marshall静脈,分界稜,心房中隔,冠静脈洞など,多岐にわたることが明らかになり 364),個々の起源を標的とするアブレーションから,肺静脈と左房との電気的結合を遮断する肺静脈隔離へと変わった.まず肺静脈内に円周状カテーテル(LASSO〈ジョンソン・エンド・ジョンソン社〉など)を挿入して,それぞれの肺静脈入口部で電位を指標にしながら左房と肺静脈との電気的結合を離断する肺静脈個別隔離法(segmental PV isolation)が施行された 79).しかし,この方法では,20 %前後の頻度で軽~中等度の肺静脈狭窄を合併することが報告された 365).また,肺静脈周囲心房筋(antrum)も心房細動の発生および維持に関与していることが報告されたことから 366),より左房側で肺静脈入口部周囲を取り囲む形で通電を加えて,電気的結合を遮断する解剖学的肺静脈隔離が行われるようになった.この解剖学的隔離は,欧米では 3次元ナビゲーションシステムのCARTO3システム(ジョンソン・エンド・ジョンソン社)などを用いて,上下肺静脈を一括して隔離する肺静脈環状隔離法(circumferential PV isolation)が主流となっている 80,367,368).しかしわが国では,それらの機器を用いずに,透視下で左房後壁の焼灼ラインを作製し,電位を指標として肺静脈前壁と左房間の電気的結合を離断する同側肺静脈拡大隔離法(extensive encircling PV ablation)が多くの施設で行われている 369).また左房内の complexed fractionated atrial electrogram(CFAE)370)や自律神経節叢を標的とする通電法 371),左右肺静脈への通電ラインを結ぶ線状焼灼372),僧帽弁峡部への線状焼灼も追加的手法として施行されている.発作性や持続性心房細動では,これら解剖学的隔離が成功しても,数か月以内に 10~50 %の例に心房細動の再発や心房頻拍の出現が認められるため 79),根治には複数回のアブレーションを必要とすることが少なくない.発作性心房細動を抑制できる確率は,肺静脈環状隔離法,同側肺静脈拡大隔離法,肺静脈個別隔離法のいずれにおいても,初回のアブレーションでは 50~80 %,2回目で 80~90 %と報告され 373-376),その遠隔成績も良好である 377).また,薬物治療とアブレーション治療を比較した前向き試験では,アブレーションの優位性が報告されている 377-

379).一方,持続性心房細動は発作性心房細動よりも根治が困難で,種々の追加的手法が必要とされる場合が多いが,複数回の肺静脈環状隔離法で 60~75 %の成功率が報告されている 368,380).また,低心機能の心房細動例でも,

6.

非薬物療法

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

アブレーションによる洞調律維持により,左心機能,運動耐容能が改善したと報告されている 381).上記の成功率は心房細動の予防薬投与下での成功率であるが,予防薬を投与しない場合は 10~20 %ほど成功率が低下することが知られている 376).また,外来受診時の心電図や自覚症状で心房細動がとらえられなかったとしても,心房細動が消失しているとは必ずしも言えない.アブレーション成功例に発作時心電図や伝送型心電図を継続的に記録すると,約 1/3の例で無症状の心房細動がとらえられるとの報告がある 382,383).心房細動のアブレーションでは,2~6 %の頻度で脳梗塞や心タンポナーデといった重大な合併症が生じるが,近年では前述の肺静脈狭窄・閉塞のほかに,左房 -食道瘻や横隔神経障害,迷走神経障害も報告されている 384-389).とくに,左房 -食道瘻はその発生頻度が少ないとはいえ,ほとんどが致死的であるため注意を要する.b. 房室結節アブレーション左房でのアブレーションが困難または不成功で,かつ心室拍数が多いかまたは不整脈時の症状が強い,薬剤抵抗性の心房細動例では,房室結節へのアブレーションを施行する場合がある.房室結節に通電を行うと,心房細動は持続するものの,房室ブロックのために心室拍数が一定になり,多くの例で症状やQOLが改善する 390,391).しかし,房室結節アブレーションは不可逆的で,恒久的なペースメーカ植込みが必須であるうえ,抗凝固薬を継続して服用する必要があり,かつまれに torsade de pointesや心室細動による突然死が報告されている 392).また,基礎心疾患を有する例や低心機能例に右室ペーシングを行うと,心室の同期不全をもたらし心機能がさらに低下する可能性もある393,394).このため房室結節アブレーションは左室機能が正常,または可逆的な左室機能障害を有する心房細動例に施行するのが最も望ましく,それらには右室ペースメーカを植込んでよいが,それ以外の例や低心機能例では,本法の適応を十分に検討したうえで,両室ペースメーカ植込みを前提としてアブレーションを施行するのがよいと思われる.6.1.2

外科的アブレーション前述のように,Coxらは,心房細動の発生と維持の主要な機序がリエントリーにあるという仮説に基づいて,心房を迷路状に切開,縫合して電気的障壁を作製し,心房細動を維持するために必要な長径 3cm以上のwaveletをできないようにするメイズ手術を開発した.メイズ手術はその後の修正を経て 3種類の方法が報告され,冷凍凝固術などを用いる変法も種々の施設で試みられている 362,395-397).現

在メイズ手術がそれ単独で施行されることはきわめて少ないが,弁膜症や虚血性心疾患の手術時に追加的に行われており,その洞調律維持率は 70~90 %と報告されている397,398).ただ本法は開胸が必要で,手術による死亡率も 1 %近くに上がるという欠点があるため,近年ではオフポンプや胸腔鏡下でアブレーションを行うといった低侵襲の手法が検討されている 399,400).抗不整脈薬が無効で左房がより拡大した,カテーテルアブレーション不成功例において,再カテーテルアブレーションと低侵襲の外科的アブレーションとを比較した試験では,外科的アブレーションが洞調律維持効果に優れているが,合併症発生率はカテーテルアブレーションより高い 401).今後,これらの成績が外科的メイズ手術や内科的なカテーテルアブレーションに匹敵し,より安全に施行できるようになれば,代替治療として容認される可能性が考えられる.6.1.3

ペースメーカ治療洞不全症候群での心房細動の予防効果については,心室ペーシングよりも心房ペーシングまたは心房心室順次ペーシングが優れていることが知られている 402).しかし,心房細動を予防または停止させる種々のペーシング手法またはアルゴリズムには限界があり,徐脈を伴わない心房細動例へのペースメーカ治療に関しては信頼できるデータがない.また植込み型心房除細動器も,通電時の疼痛などの不快症状のために適応が限定される.

6.2

非薬物治療の適応

心房細動のアブレーションでは,卓越した技術だけでなく,患者選択,合併症管理,術後の薬物治療など種々の知識が要求される.また,上室頻拍のアブレーションに比べ,重大な合併症が生じる危険性が高いため,患者が受ける利益と不利益を十分に説明したうえで適応を決定する必要がある 403).一方,心房細動の再発や脳梗塞発症,心房機能に関する長期予後はいまだ明らかでない.このため,アブレーションに関してきわめて熟練度の高い施設では,症状を伴う発作性心房細動に対して非薬物療法を第一選択としてよいが,そうではない施設では適応を厳格にする必要がある.また,持続性心房細動に関するアブレーションは,一般的には第一選択の治療法として認められていないのが現状である.これまでのアブレーション治療のエビデンスの積み重ねに鑑み,2011年ACC/AHA/HRSのガイドライン改訂版 267),2012年 ESC心房細動治療に関するガイドラインの改訂版 119),および日本循環器学会『不整脈の非薬物治

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心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

療ガイドライン(2011年改訂版)』では,薬剤無効で有症候性の発作性心房細動については,経験のある施設で行う場合に クラス I とされた 404).このため,発作性心房細動に関しては,有症状で,抗不整脈薬でコントロール不能で,左室機能が保たれ,左房径が 45mm以下で,左房内に血栓がない 75歳以下の例については,年間 50 例以上の心房細動アブレーションを実施している施設では クラス I とする.50例未満の施設での上記基準を満たす発作性心房細動では クラス IIa とする.これは各施設の技量の程度に応じてその適応枠を縮小,または拡大するのがよいと思われるためである.再発性の持続性心房細動では,薬剤による洞調律維持治療に加えて心拍数調節治療が無効で,かつ症状の強い場合が適応となる.また,心拍数調節治療を施行しているにもかかわらず心機能の改善しない場合にも,アブレーションを考慮してよい.薬物治療抵抗性で有症候性の持続性心房細動は クラス IIa ,無症状あるいは QOL の著しい低下を伴わない発作性および持続性心房細動は クラス IIb

とする.どのような症例に対しても,心房細動の病態,予後,治療に関する適切な情報提供が同意取得の前提であることはいうまでもない.

6.3

非薬物療法施行後の治療指針

心房細動のアブレーション後に小さなギャップが残存して,完全な両方向性ブロックが形成されていなくても,心拍数増加や Ic群薬などにより両方向性の伝導ブロックが生じて,心房細動が生じにくくなる 405).また,いったん心房細動が消失すると,電気的・構造的リモデリングの改善のために,心房細動は再発しにくくなる.心房細動はアブレーションを行うことでその発生が抑制されるが,抗不整脈薬を追加することにより症状がさらに軽快する.このためアブレーション後,数か月は手術の成功,不成功に関係なく,Ic群薬やアミオダロンなどの III群薬を投与するのがよいとする意見もある.

6.4

アブレーション周術期における抗血栓薬の使用

心房細動それ自体が血栓塞栓症のリスクを有していること,左房へ直接アプローチしカテーテルやシースの挿入を行い,熱による凝固壊死を心内膜に発生させることから,術前 3週間および術後 2か月間の抗凝固療法が推奨される.周術期の抗凝固薬としてはワルファリン,直接トロンビン阻害薬,FXa阻害薬が使用されている.ワルファリ

ン継続例に比べ,中止例のほうが術中の血栓塞栓症が多かったとする報告から,現在,わが国の 60%程度の施設ではワルファリン継続投与下でアブレーションが行われている 406,407).直接トロンビン阻害薬についてはエビデンスに乏しいが,出血性合併症が多かったとする報告とそうではなかったとの報告がある 408-410).一般的には,効果発現がすみやかで半減期が短いという薬理学的特性から,アブレーション当日だけ,ないし前日から中止する方法が用いられている.ただし,抗凝固作用が消失する期間が発生するため,必要に応じてヘパリンの併用が望ましい 409).心房細動に対するアブレーション後の抗凝固療法に関しては,アブレーション後の長期予後がいまだ不明であることから,いつそれを中止すべきか明確ではない.また,無症候性の心房細動がかなりの頻度で存在することから,CHADS2スコア 2点以上の例ではで抗凝固薬を中止しないほうがよい 146).しかし,脳梗塞の危険因子を有しない例や,脳梗塞の既往と年齢(65歳超)以外の危険因子を有する例で,アブレーション成功が明らかな場合は 3~6か月後に抗凝固薬を中止することが可能とする考えもある 384).

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2012年度合同研究班報告)

付表 心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版):班構成員の利益相反(COI)に関する開示

著者雇用または指導的地位 (民間企業)

株主

特許権使用料

謝金原稿料

研究資金提供

奨学(奨励)寄附金 /寄附講座

その他の報酬

配偶者・一親等内の親族,または収入・財産を共有する者についての申告

班長: 井上 博

大塚製薬第一三共大日本住友製薬日本ベーリンガーインゲルハイムバイエル薬品

日本ベーリンガーインゲルハイム第一三共田辺三菱製薬大日本住友製薬

班員:新 博次

第一三共日本ベーリンガーインゲルハイムバイエル薬品大塚製薬エーザイ帝人ファーマ

日本ベーリンガーインゲルハイム

班員:奥村 謙

日本ベーリンガーインゲルハイムバイエル薬品第一三共ファイザー田辺三菱製薬ジョンソンエンドジョンソン日本メドトロニック

班員:鎌倉 史郎

日本ベーリンガーインゲルハイムバイエル薬品

班員:熊谷 浩一郎

日本ベーリンガーインゲルハイムバイエル薬品第一三共田辺三菱製薬MSD

日本ベーリンガーインゲルハイム第一三共

班員:是恒 之宏

日本ベーリンガーインゲルハイムバイエル薬品第一三共

第一三共 日本ベーリンガーインゲルハイム

班員:杉 薫

バイエル薬品日本ベーリンガーインゲルハイム

サノフィアベンティス持田製薬第一三共大日本住友製薬

班員:三田村 秀雄

日本ベーリンガーインゲルハイム第一三共

班員:矢坂 正弘

日本ベーリンガーインゲルハイムバイエル薬品ブリストル・マイヤーズスクイブ大塚製薬第一三共

班員:山下 武志

日本ベーリンガーインゲルハイムファイザーバイエル薬品田辺三菱製薬第一三共エーザイブリストル・マイヤーズスクイブ小野薬品工業

ノバルティスファーマ

日本ベーリンガーインゲルハイム田辺三菱製薬第一三共

協力員:里見 和浩

セント・ジュード・メディカルジョンソン・エンド・ジョンソン

法人表記は省略.

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心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

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心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

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