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FDSによる火災数値シミュレーション Numerical simulation of fire with FDS 山田 英助 一般財団法人日本自動車研究所 FCEV研究部 Eisuke YAMADA Japan Automobile Research Institute FC-EV Research Division 1 http://www.jari.or.jp

FDSによる火災数値シミュレーション...目的 • タンクの火災試験を数値シミュレーションで模擬し、 TPRD近傍の温度上昇とタンク周囲の壁の影響を確

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Page 1: FDSによる火災数値シミュレーション...目的 • タンクの火災試験を数値シミュレーションで模擬し、 TPRD近傍の温度上昇とタンク周囲の壁の影響を確

FDSによる火災数値シミュレーションNumerical simulation of fire with FDS

山田英助一般財団法人日本自動車研究所

FC・EV研究部

Eisuke YAMADAJapan Automobile Research Institute

FC-EV Research Division

1

http://www.jari.or.jp

Page 2: FDSによる火災数値シミュレーション...目的 • タンクの火災試験を数値シミュレーションで模擬し、 TPRD近傍の温度上昇とタンク周囲の壁の影響を確

FCVの火災時の安全性

• 燃料電池車(FCV)に搭載される高圧水素タンクの火災時の

安全性を検証するため、火災を模擬した試験が実施されている。タンクの附属品である熱作動式の安全弁(TPRD)は、

火災時の温度上昇によって作動し、水素を放出してタンクの内圧を下げることでタンクの破裂を防止する。

FCV

水素タンクTPRD

バーナー

火炎暴露試験

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Page 3: FDSによる火災数値シミュレーション...目的 • タンクの火災試験を数値シミュレーションで模擬し、 TPRD近傍の温度上昇とタンク周囲の壁の影響を確

目的

• タンクの火災試験を数値シミュレーションで模擬し、TPRD近傍の温度上昇とタンク周囲の壁の影響を確認することで安全で有効な試験手法を調査する。

• 数値シミュレーションには、オープンソースとして開発されているFDS(Fire Dynamics Simulator)を用いる。FDSの応用可能性を検証する。

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周囲に壁を設置した火炎暴露試験

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Fire Dynamics Simulator(FDS)

• 非圧縮性流体、LES、火炎の熱と煙の解析

• 開発:National Institute of Standards and Technology (NIST)and VTT Technical Research Centre of Finland

• FDS Ver. 6.3.0(2015.10.1) (2000年に初リリース)– Windows, Mac OS X, Linuxに対応

• コード:Fortran 2008, namelist入力, CUI– 35ファイルでコンパイル簡単

• 直交格子のみ(FDSで格子作成)– Blender(3DCG)でも作成可(namelistとして出力)

• 専用可視化ソフトウェア:Smokeview(SMV)

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計算概要

燃料:ヘプタン(C7H16)燃焼反応:総括反応(計算開始時に燃焼開始)時間:10 秒格子数:100万 ≈ 4×(54×54×90)並列(OpenMP):4

2.4

3.0 3.0

0.4

0.4

0.5

2.0

xy

z

0.5

0.1

0.1

Hydrogen Tank

Heptane Pool

0.5

TPRDの想定位置Tw(-1.05, 0, 0.4)Te(+1.05, 0, 0.4)

Heptane Pool

HydrogenTankWall

密度kg/m3

熱伝導率W/(m K)

比熱kJ/(kg K)

水素タンク

ヘプタン容器7850 45.8 0.46

地面 1440 0.48 0.84

0.55

1.829

0.05 1.8

Wall

壁中央に開口部

周囲に壁設置壁端に開口部

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壁なし

壁端に開口部 壁中央に開口部

10秒間の温度変化平面:x=0, y=0, z=0.4, 0.8

1000 ℃0

等値面(1000 ℃)

500

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壁なし

壁端に開口部 壁中央に開口部

10秒間の煙の推移

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z=0.4

y=0x=0

z=0.8

壁なし 壁端に開口部 壁中央に開口部

温度(10秒後)

煙(10秒後)

1000 ℃0

等値面(1000 ℃)

500

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壁なし

壁端に開口部 壁中央に開口部

10秒間の温度と速度(0.5倍速動画)平面:z=0.4, 0.8

1000 ℃0 500

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z=0.4

y=0x=0

z=0.8

壁なし 壁端に開口部 壁中央に開口部

温度(10秒後)

温度と速度(10秒後)

1000 ℃0

等値面(1000 ℃)

500

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250

500

750

1000

1250

1500

1750

0 2 4 6 8 10

Tw

Te

Time [s]

Te

mp

era

ture

[K

]

250

500

750

1000

1250

1500

1750

0 2 4 6 8 10

TwTe

Time [s]

Te

mp

era

ture

[K

]

250

500

750

1000

1250

1500

1750

0 2 4 6 8 10

TwTe

Time [s]

Te

mp

era

ture

[K

]

壁なし

壁端に開口部 壁中央に開口部

TPRDの想定位置の温度

Tw

Te

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まとめ

• タンク周囲に開口部のある壁を設置すると、開口部からの大気の流入に沿って火炎は奥に移動し、その火炎周辺に高温領域が形成される。開口部から離れた場所にTPRDを設置すると作動しやすくなる。

• 実際の火災試験の実施前、FDSで試験に参考となる解析結果が得られる。 FDSでは、直交格子(構造格

子)しか扱えないが、数メートル規模の火炎と流れの状態を把握するには十分である。

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