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千葉市 ー 震災復興支援でのSalesforce活用事例
首都の東側に位置する千葉県の県庁所在地・千葉市。住民への情報提供や行政サービスにWebをフル活用しているが、先の
東日本大震災の直後、計画停電という思いがけない事態に直面した。停電することによって全ての情報システムが停止すると、
さまざまなサービスとともに市民への災害に関する重要な情報伝達手段である公式ホームページもダウンしてしまうことにな
る。相談を受けたセールスフォース・ドットコムと千葉市は、たった1日という短期間でバックアップページを構築。市の要望に
も対応し、市が要求する危機管理体制を短期日で準備することができた。
停電時であっても、自治体の情報提供やサービスが断たれることがあってはならない。そ
のため、千葉市では危機管理対策の一環として情報システム用に自家発電装置を設置。イ
ンフラである電力供給が万が一途絶えてしまった時でも情報提供や市民へのサービスなど
が滞らないよう配慮している。しかし、その発電可能時間は約7時間。燃料の貯蔵量から
考えると、これが限界だという。
そうした中、発生したのが先の東日本大震災である。幸い直後でも電力は供給され続け、
サーバがダウンしたり市民が情報入手に戸惑ったりということは回避できた。しかし、その
2日後に起きたのが計画停電の告知という予期せぬ事態であった。停電により長時間電力
供給が停止した場合、市の業務も停止することになる。情報システム全般を取りまとめる情
報統括部では、停電が長期化した場合の最悪のシナリオまで含め、あらゆるシミュレーショ
ンを行い市長に報告したところ、市民への情報提供に万全を尽くせ、サーバの二重化でバッ
クアップ体制を作り、その機能をキープするようにという指示だった。
千葉市総務局情報統括部長の金親(かねおや)芳彦氏は語る。「指示は受けたものの、す
ぐに対応するためにはさまざまな課題が山積しているわけですが、そんな時にセールス
フォース・ドットコムの復興支援無償プログラム(裏面コラム参照)提供のお話がありました
ので、早速相談してみることにしました。千葉市の公式ホームページは市民自治推進部広
報課が運営しており、これと同様のものを停電でサーバがダウンしても市民が見られるよう、
臨時の公式ホームページを設置してほしいとお願いをしました。もちろん、最近ではフィッ
シングサイトのようなものもありますから、URLにはchiba cityの文字を加えるといった細
部のお願いもお話しいたしました」
そして計画停電の発表があった翌日の午前中には、市側(情報企画課・情報システム課・広
報課)とセールスフォース・ドットコムとの電話会議でバーチャルチームが発足。その日の夕方、
午後5時には市長宛てに開発完了見込みを報告。同日夜にはクラウド上に臨時サイトの開発
完了へと辿り着くことができたのである。
計画停電を見越し、災害時臨時サイトのバックアップをわずか1日で構築
緊急対応の自家発電設備は7時間計画停電が実施されると賄いきれない現実が
情報提供を絶やさないという行政サービスの信念をクラウドに託す
概 要
千葉市役所http://www.city.chiba.jp/所在地:千葉県千葉市/市長:熊谷俊人職員数:7,375人/人口:953,688人/世帯数:403,691人(2011年4月1日現在)
活用分野震災復興に関する市民への情報提供
課題■計画停電による千葉市公式ホームページの サーバダウン回避■市民への継続的な情報提供手段の確保
選定理由■災害復興ボランティアという期限付き無償 サービス供与■対応の早さ(午前キックオフ、夕方に納品)
効果■Twitterとの連携による導入検討■Chatter機能の採用による市職員の安否確 認手段の確立と拡大検討
千葉県千葉市
千葉市総務局情報統括部長 金親芳彦氏
20110525_HHD
このたびの東日本大震災により被災されました多くの方々、またそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
セールスフォース・ドットコムでは、安否や被害状況の把握、またボランティア運営管理などさまざまな「管理データベース」を必要
とする地方自治体および企業向けに、Salesforceフル機能を1,000ライセンス90日間無償で提供しております。ご利用いただ
くにあたり、導入支援が必要な場合は、弊社社員及び認定コンサルタント等有資格者をご紹介させていただいております。また、
この90日無償プログラムには、フル機能1,000ライセンスに加え、Chatter Freeライセンスが5,000ユーザ分含まれております。
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幸いにも情報システムへの停電は回避されたため、クラウド上のバックアップサイトが市民
の目に触れることも少なかった。一般市民からの反応や効果といったものを得るには至らな
かったものの、市役所側ではセールスフォース・ドットコムの対応の速さ、そしてシステムの
汎用性などに対し極めて高い評価を与えており、「今後の市の危機管理や災害対策、市民へ
の情報提供にさらに有効な活用ができるのではないか」と、大きく期待を寄せているという。
例えば、市の職員間の連絡や連携はすべて既存のイントラネット内のメールで処理されて
おり、当然のことながらパソコンの外部持ち出しも禁じられている。さらに今回の震災では
携帯電話の通信障害も数多く発生した。このため、災害時の職員の安否確認や職員同士の
連絡など、コミュニケーションをどうとっていくのかも今後の大きな課題になっていた。この
点では、SalesforceのChatterに注目し、試験的に市役所内の特定グループで活用を開
始している。
また、震災時に強い力を発揮したTwitterであるが、千葉市では以前からTwitterを利用
して市民と市長との対話会を開催して意見交換を行ってきた。市長自身がアカウントを持っ
ており、市長のツイートが市民からは信頼できる情報源になっているとも言われる。
SalesforceがこうしたSNSサービスと連携できる点にも、注目しているという。
今回の災害は想定外のものであり大きな被害をもたらしたが、日本中の地方自治体が自
らの体制や対策を見直す転機にもなったといえるだろう。そして、今後も地方自治体が行う
市民への情報やサービス提供には、クラウドコンピューティングがさらに重要度を増してい
くであろう。システムを多層的に活用して市民サービス向上に努めようとする千葉市の取り
組みは、全国の自治体からも注目を集めることになりそうだ。
【取材日:2011年4月】
使わなくても価値があるバックアップサイトは情報の「保険」
災害発生から臨時Webサイト準備までの流れ
・東日本大震災発生、庁内関係者待機態勢
3 月11日(金)
・東京電力より計画停電についての告知、庁内各部門で停電等への対応を検討
3 月13日(日)
・【未明】広報課は市 Web サイトを災害対策仕様に変更、情報統括部は電算システムに対する停電の影響をシミュレート
・【午前】市民への情報提供手段の確保と Web サーバの二重化検討の指示を市長より受ける。セールスフォース・ドットコムへ Web サーバ機能のバックアップについて打診
・【午後】セールスフォース・ドットコムより対応可能との返信
3 月14日(月)
・【午前】セールスフォース・ドットコム側と千葉側市で開発に関する電話会議(バーチャルチームのスタート)・【夜】開発完了
3 月15日(火)
・千葉市臨時公式ページをリリース。初期リリースでは、市公式ホームページ災害情報と同じものをセールスフォース・ドットコムで作成し、同社側のサーバへアップして公開する(内容の更新は、市ホームページの情報更新の度にその旨連絡し修正を依頼)
3 月16日(水)
・臨時公式ページの更新をネット上で千葉市側ができるような仕様に変更
3 月18日(金)
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災害時における市民への情報提供を最優先すると、クラウドは非常に効果的であることが実感できました。
他の自治体でも検討してみる価値は高いと考えています