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© 2017 Fuji Xerox Co., Ltd. All rights reserved. 働き方改革と業務効率化の 相関関係とは? 誰が働いても高い生産性が実現できるような仕組みの実現

働き方改革と業務効率化の 相関関係とは?1.「働き方改革」のそもそもの目的 日本の企業文化から見直す、「働き方革」 「人材が会社に合わせるのではく、会社が人材の

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働き方改革と業務効率化の相関関係とは?誰が働いても高い生産性が実現できるような仕組みの実現

はじめに ……………………………………………………………………2

「働き方改革」のそもそもの目的…………………………………………3

「業務効率化」と「働き方改革」…………………………………………6

賢い時短の考え方 ……………………………………………………… 10

働き方改革の先にあるものは効率化だけではなく効果……………… 12

働き方改革と業務効率化の関係は? ………………………………… 14

まとめ……………………………………………………………………… 16

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INDEX

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はじめに

2016年8月に閣議決定した「働き方改革」は、働き方を根本から変えて、少子

高齢化による労働者不足を解消し、余暇や家族との時間を増やすワークライフバラ

ンスの是正による消費の増進が目標です。婚姻率や出生率の上昇なども狙いに含ま

れているでしょう。「労働者が短時間に付加価値の高い仕事をする」ことでこれら

は達成できるとも言い換えられるでしょう。

「短時間で働く」には、一人ひとりの仕事への取り組み方を見直すこともひとつ

ですが、働く環境そのものを効率的なものに変えていくことも大切です。「働き方

改革」と「業務効率化」の相関と 適な関係について考察してみましょう。

① も深刻な人口減少

人口減少は2つの側面を持ちます。1つは 終的な販売先

である消費者が減少することから、各企業の売上に直接響い

てくるということです。消費者が取引先ではないBto Bビジ

ネスもその影響下にあります。そしてもう1つは働き手、特

に若い労働者の減少を意味します。

1.「働き方改革」のそもそもの目的

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日本の人口予測

10代以下 20代~30代 40代~50代 60代以上

Source:国立社会保障・人口問題研究所の平成29年推計 F=予測

(千人)

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② 生産性の改善余地

■ 国際競争力上でも求められる生産性の改善

OECDの2015年のデータによると、労働者1人の1時間当たりの生産性(GDP)で日本はOECD参加全35国中でなんと20位です。アメリカ5位、ドイツ8位、イギリス15位ですので、主要な先進国のなかでは生産性が も低い国かもしれません。

もちろん、その国の産業構造として自動化をしやすい製造業と人手に頼るサービス業の比重の違いも表れます。しかし国を1つの会社とみなした場合、生産性が悪い産業を抱えていたり、競争力が弱かったり、生産性の悪い手段を採用していたりなど、"経営資源や手腕"になんらかの解決すべき課題があるのは間違いないでしょう。産業構造等を短期で変えることは難しいので、生産性の改善(業務の効率化等)を優先し、労働人口の減少にも備える必要があるということです。

2015年 労働者 1時間当たり⽣産性ランキング

順位 国名労働者1時間

当たりGDP

就労人口

(人)

GDP

(百万US$)

週平均

労働時間

1 ルクセンブルク $93.4 405,600 B$57 29.0

2 アイルランド $87.3 1,989,400 B$302 33.5

3 ノルウェー $81.3 2,753,000 B$318 27.3

4 ベルギー $69.7 4,601,200 B$498 29.8

5 アメリカ $68.3 151,000,000 B$18,037 33.6

6 デンマーク $67.6 2,829,000 B$270 27.2

7 フランス $65.6 27,523,000 B$2,648 28.2

8 ドイツ $65.5 43,057,000 B$3,857 26.3

9 オランダ $65.4 8,792,000 B$818 27.4

10 スイス $64.2 4,962,600 B$506 30.6

11 オーストリア $60.2 4,290,700 B$415 30.9

12 スウェーデン $59.1 4,809,700 B$458 31.0

13 フィンランド $54.8 2,497,400 B$225 31.6

14 オーストラリア $54.6 11,860,000 B$1,101 32.7

15 イギリス $52.1 31,293,000 B$2,701 31.9

16 イタリア $51.9 24,476,100 B$2,191 33.1

17 スペイン $51.0 18,490,800 B$1,594 32.5

18 カナダ $50.9 18,285,700 B$1,589 32.8

19 アイスランド $45.1 183,700 B$16 36.1

20 日本 $41.9 65,801,200 B$4,741 33.1

21 ニュージーランド $40.9 2,360,600 B$170 33.8

22 スロベニア $40.4 941,500 B$64 32.5

23 イスラエル $40.3 3,947,100 B$300 36.3

24 スロバキア共和国 $39.7 2,267,100 B$158 33.7

25 チェコ共和国 $38.0 5,179,700 B$346 33.8

26 ポルトガル $35.4 4,575,800 B$303 35.9

27 ギリシャ $35.3 4,019,800 B$288 39.1

28 ハンガリー $33.5 4,327,500 B$254 33.6

29 リトアニア $32.6 1,334,700 B$81 35.8

30 韓国 $31.9 25,936,300 B$1,749 40.7

31 エストニア $31.6 622,900 B$36 35.6

32 ラトビア $28.3 887,900 B$48 36.7

33 チリ $25.9 7,802,200 B$402 38.2

34 ロシア $25.1 72,187,700 B$3,580 38.0

35 メキシコ $20.3 50,262,900 B$2,188 41.2

Source: OECDデータからTIME誌が作成。

1.「働き方改革」のそもそもの目的

1.「働き方改革」のそもそもの目的

■ 日本の企業文化から見直す、「働き方革」

「人材が会社に合わせるのではく、会社が人材の

事情に合わせた」のがテレワークであるとも言える

でしょう。BBC.comが“Hatarakikata kaikaku”

という記事*で日本の働き方改革を取り上げるなど海

外メディアは、先進国中で も高齢化が進み、依然

として過労死や若者の自殺といった問題が解消され

ない日本が、ワークライフバランスの改善や若い労

働者のモチベーションの向上を図ることによって得

られる成果について注目しています。成功すれば先

進国の中で有効な事例になるとの見方があるからで

はないでしょうか。日本の企業文化が変わっていく

過程としても注目されています。

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③「テレワーク・デイ」の海外メディアの注目と「働き方改革」

■ 東京オリンピックと働き方改革のため政府は、2020年の東京オリンピック開催日と同

じ7月24日を「テレワーク・デイ」として、企業への在宅や本社以外のサテライトオフィス等での勤務を呼びかけました。二つの目的のうち、1つは東京オリンピックの期間中に競技会場へ向かう観戦者が朝のラッシュ時でも移動できるように通勤者を減らすためです。そしてもう1つは、これを機会に通勤時間の有効活用、子育て主婦の労働力としての活用や、その夫の育児への参加、ワークライフバランスの是正による余暇の拡大と消費の増進が期待できるテレワークを社会に根付かせるためです。

*出典:BBC.com Can cutting work hours solve Japan’s productivity puzzle? http://www.bbc.com/capital/story/20170903-can-cutting-work-hours-solve-japans-productivity-puzzle

2.「業務効率化」と「働き方改革」

① 働き方改革の要点

テレワークが時間の有効活用にあるように、

働き方改革には「業務の効率化」が基礎として

必要となります。まずその「業務効率化」について

考えてみましょう。

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■「労働人口の減少」と「低い生産性」を同時に改善するには主な改善点は次の3つになります。

A) 企業文化・社風:経営者や管理職の意識改革と価値の再定義

「仕事量=価値・売上」ではなく「 小の仕事量= 大の価値・売上」のために組織や業務、意識の改革を図る。

B) 多様性の容認:働く時間、場所、働き方、多様な人の評価方法等

テレワークのような考え方のとおり、「会社に適した人材」を求めるのではなく、「会社が人材に合わせる」ことが重要。

C) 労働環境を積極的に変えていく姿勢:ドラスティックにあらゆるものを変革していく。

経営者や管理者の意識改革をはじめ、例外なしに必要と思われるものは積極的に変えていく。労働者そのものよりも「労働環境を変える」ことで、効率やモチベーションの向上を図る。

② 無駄をなくすという効率化

■ 仕事の速度を上げたことと同じ効果

も簡単で確実な方法は、無駄をなくすことによる効率化です。しかし、工場の工程のように目に見えるものは着手しやすいのですが、オフィスの業務では難しい面があります。例えばよく挙げられるのは「無駄な会議」ですが、いざ会議を減らそうとして社内調整を図ると、会議を減らすことに反対する人も出てきます。そして結局、そのままになってしまうケースが多いものです。

単に慣習的なものや効果が少ないものなどは、積極的に削減していく姿勢が必要です。優先順位としては、初めに無駄なものを無くし、その後に省力化するという手順がよいでしょう。

① 無駄な業務を減らす

② 基本的な業務やルーチン業務を省力化する

2.「業務効率化」と「働き方改革」

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例えば、先の会議の例ならば、不要な会議を減らしたり時間制限を設けたりするなどの後、テレビ会議やWeb会議へ移行したほうが効率化もより高まることになります。無駄を残して省力化等のためのIT化を進めるとコストがかさむことになってしまいます。「何かを始める」「行動を起こす」というアクションはビジネスでは必須ですが、「何もしない」「行動をやめる」という視点も、働き方改革の第一歩として非常に重要です。

③ スピードを速めるという効率化

■ 環境を改善して速度アップ

例えば営業職の場合、1日5件から6件、7件と訪問件数

の目標を高めることで、営業のスピードアップを達成でき

るかもしれません。しかし地域などによる環境の違い、ラ

イバルの登場など競合の変化、人材の能力差などがあり、

必ずしも達成できるとは限りません。人間の行動をコント

ロールするだけでは限界があり、モバイルICTを利用した

り、地図情報システムを活用したり、見込み顧客をリスト

化して提供したりするなど、バックアップ体制を整えるこ

とが重要です。むしろ「無理をしなくても効率的に動けて

しまう」環境をつくることを優先すべきです。

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2.「業務効率化」と「働き方改革」

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2.「業務効率化」と「働き方改革」

④「どれだけの価値」

■価値を生む"余裕"が大切勤勉な日本人は、無駄や怠惰を嫌います。企業にもそれが強く表れ、余裕をもっ

て事業の売上目標をクリアするよりも、頑張り抜いて達成したほうが賞賛も大きい傾向があります。効果(売上)はどちらも同じならば、本来は前者のほうが価値が高いはずです。実際にその余剰時間を余暇に当てたり、新しいフィールドへのチャレンジに使ったりするなど、新たな発展性が期待できるのはいうまでもありません。「そんなに余裕で目標を達成できるマーケットなんて存在しない」というのが実情かもしれません。しかし会社としては、少し無理をしてでもそれぞれが余力を得られるように業務改善し、さらに新しいビジネスにもチャレンジするべきではないでしょうか。

■ 価値(売上)の拡大は作業効率の向上のそれ以上作業時間が一定でも、生み出す価値(売上や利益等)が大きく

なれば生産時間を短縮した分の効果、もしくはそれ以上のものが得られるということも忘れないようにしましょう。「どれだけの量」「どれだけの価値」の2つの側面で効率化を考え、同時に「無駄をなくす」視点をもち、どれか1つの方法に頼らず、総合的に改革を進めるほうが達成率は高くなるでしょう。

① これまでとは違う方法というアプローチ

働き方改革の第一歩は業務の効率化です。「働き方改革」が提唱される前から、すでに企業は業務の効率化

を日々重ねてきましたが、重要なことは、今までのやり方だけでは思うようには進まないことがあるというこ

とです。そこに留意して新しい方法による改革を考えたほうが早道かもしれません。

3. 賢い時短の考え方

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② 時短の手法に工夫が必要

■減少しづらい一般労働者の総実労働時間従業員5名以上の事業所の一般労働者と

パートタイム労働者の総実労働時間の推移をみると、パートタイム労働者の総実労働時間は減少していますが、一般労働者のそれはほとんど減っていません。パートタイム労働者の比率が増え、一般労働者の比率が減っていることから、一般労働者1人当たりの負担が高まっていることが背景のひとつとしてありそうです。掛け声だけでなく、抜本的で具体的な職場や働き方の改革がなければ、効果的な労働時間の削減には結びつかないのではないでしょうか。

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就業形態別年間総実労働時間及びパートタイム労働者比率の推移

パートタイム労働者比率(右軸、%) 一般労働者の総実労働時間

パートタイム労働者の総実労働時間

Source: 厚生労働省「毎月勤労統計調査」(事業所規模5人以上)

(時間/年) (%)

③ 単なる時短にならないように

■意識改革だけでは無理

「改革なき時短」では残業規制を中心とした「運動や意識づけ」だけで終わる危険があります。

これまで以上に作業を速めて、時間内に終了しようという考え方は正しいのですが、その前提に「長時間仕事

をしている=ゆっくり働いている=残業代稼ぎ」のような疑念が強いと、労使間での軋れきを生むことに

なりかねません。

3. 賢い時短の考え方

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■ 時短による管理職の負担は二重自身の残業時間の申告に無関係な管理職にとっ

て、時短については重荷になることを想像しておきましょう。現場の仕事をしつつ、管理もするプレイングマネージャーは、どうしても仕事量が多いものです。しかも部下の手前、率先して早い時間に帰宅するというのは、会社や職種によっては非現実的な目標になるかもしれません。社員に早めの帰宅を促すのも、管理職からすれば「新しい仕事の増加」になります。そのために自身が忙しくなり、管理職の持ち帰りの仕事が増えるようでは本末転倒です。このように「単なる時短」は負荷が増える危険があります。提出する報告書の数や出席しなければならない会議の数、処理しなければならない事務手続きの量が変わらないのに時短だけを進めるのは、あまり意味のあるものではありません。

4. 働き方改革の先にあるものは効率化だけではなく効果

① 効率化した後の時間の使い方がポイント

「働き方改革」ではワークライフバランスや消費の拡大がその目標や効果として期待されていますが、改革を実施する企業としては、時短を進めて従業員の満足度を向上させるにとどまらず、その余力を新規の有望なビジネスの開拓等へ向け、より従業員や社会への還元率の高い仕事を獲得したいところです。

■ 重要なのは改革後の時間の使い方

経済効果や社員の満足度、社会への貢献という意味では次の3つがそれを具体化しています。

A) 自分の時間、家族との時間で消費が拡大 (経済への貢献)

B) 婚姻率の上昇、出生率の高まり ( 〃 )

C) 自己啓発への時間確保 (個人にも勤務先の企業にもメリット)

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*出典:株式会社 オウチーノ (オウチーノ総研) 2013年10月 20~50代就労者 616人に調査

なかでも3番目の「自己啓発への時間確保」は、労使双方にメリットが高いと考えられます。20代から50代の就労者に「働くモチベーション」について調査*したところ、20代がやや回答率が高かったものの、どの年代でも1位は「給料がもらえる」でした。そして2位以下は「成長を実感できる」「仕事が面白い」「成果が出る」など仕事そのものに関する回答が多く、「プライベートの充実」や「家族の幸せ」「出世・昇給」などはそれらを下回りました。

■ スキルアップの機会を創出

働く者にとって、仕事そのものへの興味が大切であり、それには能力を発揮したり伸ばしたりするのに充分な環境があることです。仕事の効率化で生まれた余剰時間を、ごく自然に自己啓発等に当てられるような仕組みを作ることで、思わぬ効果が得られるかもしれません。

② 新規事業への取り組み

業務の効率化や働き方の改革が成功したら、新しい付加価値の高い分野への進出や新商材の開発に力を注ぎたいものです。事例を紹介します。

■ Googleの20%ルール

働き方改革とは直接関係がありませんが、Googleでは仕事中でも20%の時間を、現在の仕事と関わりのない好きな研究などにいつでも費せるという制度があります。この20%を費やした研究から、Gmailの基本や、Googleマップ、Googleニュースなどが生まれたといわれています。しかし重要なのは新製品の開発ではなく、自由に研究を行える環境や、失敗の経験、業務と直接関わりのない人とのコミュニケーションなど、研修的な意味合いのほうが重要であると考えられているようです。また、20%は必ずしも仕事内とは限らず、仕事を終えた後の20%などもあるようですが、発想の妨げになる強制による超過労働ではないので、社員のモチベーションはむしろ高まる結果を招いているとされています。見方を変えれば、時間的な余裕のある企業はイノベーションでも強みを発揮できるといえるのかもしれません。

4. 働き方改革の先にあるものは効率化だけではなく効果

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5. 働き方改革と業務効率化の関係は?

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① 働き方改革と業務効率化のポイント

さて、まとめとしてこれから目指す「働き方改革」と「業務効率化」の関係を整理しましょう。次のポイントに注意し、業務効率化の一辺倒にならないようにしたいものです。

A) 業務効率化が働き方改革のすべてではなく一部であり、基本(ベース)である。

B) 付加価値化、競争力の育成に向けた業務効率化と、そのビジョンとしての経営者の認識の改革も必要。日本的組織の価値(長く働く=会社への貢献)の見直しも必要であるということであり、ここが進まないと「働き方改革」は「業務効率化」のみを 終目的にするか、「業務効率化」の名のもと、単なる残業の削減だけで終わってしまうことになる。

C) この点に十分配慮し、「働き方改革」を個々の会社でそのビジネス環境や経営課題と合わせて考え、将来に向けての企業や社会へのプラス作用にしていかなければならない。

② 業務効率化例

厚生労働省では「働き方改革取組事例」としてポータルサイトを開設しています。300を超える事例が紹介されていますが、業務の効率化についての取り組みをまとめると以下のようになります。

■ テレワーク/多様な勤務形態/フレックス勤務や多様な休暇等

子育て主婦の就労機会や、土日だけ勤務できるスタッフの採用、または家庭や個人の事情に合わせた休みを取りやすくする制度などです。会社の制度や仕組みを変えることで、働きたくても働けなかった人を採用できるようなります。

■ テレビ・Web会議、SNS等の導入、会議や企画書等の回数・枚数制限やペーパーレス化

コミュニケーションを電話、メール、会議、報告書というこれまでのスタイルから、デジタル技術を使った新しいスタイルを採用。同時に社内資料の枚数制限などの基本ルールも進めています。経営層向けだからといって、美しい資料を何枚も作るのが、果たして会社のためになるのかどうかという視点も見られます。

■ 業務の標準化、IT機器等のマニュアル化、共同プロジェクト体制、多能工化

属人的な業務をなくし、マニュアル等を充実させ、誰もがすぐに仕事をできる体制づくりを目指しています。交替で休めるように複数で1つの仕事を共有したり、1人の社員が複数の業務を掛け持ちできるようにしたりするなどです。事例の多くは、「経営層からの指示」「部下の残業時間を上司の評価基準にする」「リフレッシュ休暇の充実」など、これまで目にしてきたような改善策が多いのも事実です。実情はようやく動き始めたところであり、先の例で示したような新しい取り組みへの進展はこれからでしょう。

5. 働き方改革と業務効率化の関係は?

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「働き方改革」については、企業経営者側も勤務する社員の側も、この方針への反対意見はほとんどないでしょう。どちらの立場にも理想といえる状態を作ることを目標にしているからです。

しかし理想と現実の一致は容易ではないことが多いものです。企業側は「労働者1人の1時間当たりの高い生産性」を考え、社員・労働者側は「少ない労力と短い総労働時間での給与の 大化」を理想とします。

単純に労働者の労働時間を短くしても売上が落ちるだけで、もちろん給与(コスト)を下げても利益は増えますが労働者側のメリットが少なくなることになります。残業代も含めた給与はとりあえず除外して考え、「誰が働いても高い生産性が実現できるような仕組み」を構築することがその第一歩となるのではないでしょうか。

それは「人件費の調整ではない方法による利益率の 大化」という選択になり、労使双方の理想となります。 新のテクノロジーをうまく利用し、人を支援して労力や時間を削減する仕組みを作ることでもあるでしょう。

まとめ

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Xerox、Xeroxロゴ、およびFuji Xeroxロゴは、米国ゼロックス社の登録商標または商標です。