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- 43 - Ⅰ.マダイの種苗生産 1.目的 鹿児島県から豊かな海づくりパイロット事業等の種苗として898千尾の生産委託を受け供給を 行った。 2.生産方法 (1)使用水槽及び機材等 (2)親魚養成 ①親 魚:採卵に用いた親魚は天然魚と自家生産したものを含む合計76尾で屋外の円形水 槽にて生海水で周年養成した。 ②餌 ③採 卵:浮遊卵をオーバーフロー方式によりネット(40目)で採集した。 ④注 水 量 産卵期以外(5月~1月) 産卵期(水位昇降)(2月~4月) 終日 昼間 夜間 40t 40t 100t 8回転/日 8回転/日 4回転/日 銅イオン(A) 0.6 0.6 0.3 ⑤採卵状況 ※1Rは3/26,27,2R は4/2,3Rは4/11,4Rは4/24の卵を使用。 15.0 17.0 19.0 21.0 23.0 25.0 0 100 200 300 400 500 3/26 3/27 3/28 3/29 3/30 3/31 4/1 4/2 4/3 4/4 4/5 4/6 4/7 4/8 4/9 4/10 4/11 4/12 4/13 4/23 4/24 (万粒) (℃) 浮上卵数 は生産に供したもの 水温 親魚養成 種苗生産 卵セット 飼育水槽(10mm~) 生産時最大使用水槽数 円形 100t 1槽 100t 1R-1槽 2R-1槽 3R-1槽 4R-1槽 4槽 100t 1R- 3槽 2R- 3槽 3R- 2槽 4R- 2槽 10槽 100t 11槽 50t 3槽 期間 周年 産卵期前後(2月~4月) 餌料種類 餌料:配合飼料 (粒径10.5㎜) 添加物:総合ビタミン剤 餌料:配合飼料(粒径10.5㎜) オキアミ・イカ 添 加 物:総合ビタミン剤

マダイの種苗生産 · 2Rはワムシ給餌量を大幅に減らしアルテミア,コペ主体で飼育し,配合飼料を早めに給餌開始 したことで,生産することができた。

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Page 1: マダイの種苗生産 · 2Rはワムシ給餌量を大幅に減らしアルテミア,コペ主体で飼育し,配合飼料を早めに給餌開始 したことで,生産することができた。

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Ⅰ.マダイの種苗生産

1.目的

鹿児島県から豊かな海づくりパイロット事業等の種苗として898千尾の生産委託を受け供給を

行った。

2.生産方法

(1)使用水槽及び機材等

(2)親魚養成

①親 魚:採卵に用いた親魚は天然魚と自家生産したものを含む合計76尾で屋外の円形水

槽にて生海水で周年養成した。

②餌 料

③採 卵:浮遊卵をオーバーフロー方式によりネット(40目)で採集した。

④注 水 量

期 間 産卵期以外(5月~1月) 産卵期(水位昇降)(2月~4月)

終日 昼間 夜間

水 位 40t 40t 100t

注 水 量 8回転/日 8回転/日 4回転/日

銅イオン(A) 0.6 0.6 0.3

⑤採卵状況

※1Rは3/26,27,2Rは4/2,3Rは4/11,4Rは4/24の卵を使用。

15.0

17.0

19.0

21.0

23.0

25.0

0

100

200

300

400

500

3/26 3/27 3/28 3/29 3/30 3/31 4/1 4/2 4/3 4/4 4/5 4/6 4/7 4/8 4/9 4/10 4/11 4/12 4/13 4/23 4/24

(万粒) (℃)

浮上卵数

水温

浮上卵数

は生産に供したもの

水温

親魚養成 種苗生産

卵セット 飼育水槽(10mm~) 生産時最大使用水槽数

円形

100t

1槽

100t

1R-1槽

2R-1槽

3R-1槽

4R-1槽

計 4槽

100t

1R- 3槽

2R- 3槽

3R- 2槽

4R- 2槽

計 10槽

100t 11槽

50t 3槽

期間 周年 産卵期前後(2月~4月)

餌料種類

餌料:配合飼料

(粒径10.5㎜)

添加物:総合ビタミン剤

餌料:配合飼料(粒径10.5㎜)

オキアミ・イカ

添 加 物:総合ビタミン剤

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(3)仔稚魚飼育

①ふ化

生産回次 水槽№ ふ化日 収容卵数(万粒) ふ化率(%)

1R №10 3/28 170 99.4

2R № 8 4/ 3 140 80.4

3R № 6 4/12 170 85.9

4R № 1 4/25 160 103.5

合計・平均 640 97.2

②仔稚魚管理

(4)餌料系列

①ワムシ

給餌時刻 密度(個/ml) 栄養強化水槽 餌料 強化時間(h)

9:30

500~

2,000 2t

ナンノクロロプシス

(1.5t)

スーパー生クロレラ V12

(200ml/億)

24

15:30

ナンノクロロプシス

(1.5t)

スーパー生クロレラ V12

(300ml/億)

30

給餌方法:1日2回の給餌で,栄養強化水槽からプランクトンネット(53μm)で採集し,

紫外線照射海水で5分間洗浄したのち給餌した。

給餌基準:給餌基準は飼育水5個/mlを基準とした。

②アルテミア

使用卵 密度(個/ml) 栄養強化水槽 強化剤 強化時間(h)

脱殻処理 ~200 2t スーパーカプセルパウダー

(35g/億) 23

③冷凍コペポーダ

1日1回定時(13:00)に,海水で溶かしたものを適量給餌した。

④配合飼料 種類:種苗サイズごとに2社のものを使い分けた。

項 目 摘 要

飼 育 水 添 加 濃縮ナンノ:12L/槽

通 気 方 法 エアーストーン 6個/槽

注 水 UVろか海水~生海水

ス ト レ ー ナ ー 350~3,360ミクロン

水 質 測 定 項 目 pH・NH4-N・DO・照度

底 面 掃 除 全長7㎜以降 週2回

全 長 測 定 ふ化~:週2回

生 残 計 数 全長7㎜まで週1回

貝 化 石 ふ化~取り上げまで0.5~1㎏/槽

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(給餌実績)

生 産 回 次 1R 2R 3R 4R

ワ ム シ 給 餌 量 ( 億 ) 328.5 309.1 370.2 413.2

アルテミア給餌量(億) 16.2 14.5 16.5 18.5

冷 凍 コ ペ ポ ー ダ ( ㎏ ) 28.5 29.5 26.5 27.5

配 合 給 餌 量 ( ㎏ ) 8,905

3.生産結果と出荷

①生産結果の概要(出荷サイズの70mmまで)

項 目 1R 2R 3R 4R

卵 収 容 日 3/27 4/2 4/11 4/24

ふ 化 日 3/28 4/3 4/12 4/25

開 始 時 水 槽 100t×1槽 100t×1槽 100t×1槽 100t×1槽

卵 収 容 数

(万粒) 170 140 170 160

ふ 化 仔 魚 数

(千尾) 1,690 1,125 1,461 1,656

開 始 密 度

(千尾/t) 16.9 11.3 14.6 16.6

飼 育 日 数 ( 日 ) 56~91 86~99 88~95 82~90

取上げ時全長( ㎜ ) 40 70

取上げ尾数(千尾) 144 770

使 用 水 槽 総 数 100t×3槽 100t×3槽 100t×3槽 100t×2槽

50t×3槽

飼 育 水 温 ( ℃ ) 19.4~

25.2

19.3~

26.1

18.4~

27.1

19.3~

28.1

②出荷

出荷先 サイズ(㎜) 尾数(尾)

県内

豊かな海づくりパイロット事業 1箇所 70.0 860,844

漁協等 8箇所 70.0 46,100

LOVEBLUE事業 1箇所 70.0 109,000

小計 10箇所 1,015,944

県外 その他 1箇所 40.0 144,000

合計 11箇所 1,159,944

4.考察

親魚養成

採卵は4月以降の水温の急激な上昇により,1回あたりの卵量が例年より多く得ることが出来た

ものの,急上昇した際の卵は浮上卵率が低く,白濁卵が多く見られた。

仔稚魚飼育

水温が安定した時期の浮上卵率の高い卵を使用したことにより,ふ化後日齢20までの初期生

残は良かった。しかし,水槽繰りの都合上収容密度が高くなり,それに伴う大小差も発生したため,

日齢30前後に共食いによる減耗があり計画尾数が不足した。不足分については,県外機関より調

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達し中間育成後,放流に供した。

次年度は,飼育水添加を日齢20以降も実施し水槽内の照度を低下させることと,分槽時期を

早めることで共食いを防止する。

5.今後の課題

生産開始時期の検討

共食い防止策の検討

仔稚魚飼育時の効率的な収容密度

Ⅱ.ヒラメの種苗生産

1.目的

鹿児島県から豊かな海づくりパイロット事業等の種苗として585千尾の生産委託を受け供給し

た。

2.生産方法

(1)使用水槽(着底まで)

(2)卵調達

受精卵は,県内機関から調達し2時間輸送,1時間の水温馴致後,各飼育水槽へ収容した。

(3)仔稚魚飼育

①ふ化

生産回次 水槽 ふ化日 収容卵数

(万粒) ふ化率(%)

1R №1

12/26 80 100.0

№5 80 100.0

2R №2 1/12 80 97.6

3R №3 1/24 60 100.0

№4 1/25 60 100.0

合計・平均 360 99.5

②仔稚魚管理

卵セット 飼育水槽(~8mm) 飼育水槽(8mm~)

100t:5槽 100t:4槽 100t:5槽

項 目 摘 要

飼 育 水 添 加 濃縮ナンノ:6~7L/槽

通 気 方 法 エアーストーン 9個/槽

注 水 紫外線照射海水

ス ト レ ー ナ ー 350~2,280ミクロン

水 質 測 定 項 目 pH ・ NH4-N ・ DO ・ 照度

底 面 掃 除 全長7㎜以降 週2回

全 長 測 定 ふ化~:5日おき

生 残 計 数 全長7㎜まで 週1回

貝 化 石 ふ化~取り上げまで 1㎏/槽

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(4)餌料系列

①ワムシ

給餌時刻 密度(個/ml) 栄養強化水槽 餌料 強化時間

(h)

9:30

500~

2,000 2t

濃縮ナンノクロロプシス

(10L)

スーパー生クロレラ V12

(150ml/億)

24

15:30

濃縮ナンノクロロプシス

(10L)

スーパー生クロレラ V12

(250ml/億)

30

給餌方法:1日2回の給餌で,栄養強化水槽からプランクトンネット(53μm)で採集し,紫

外線照射海水で5分間洗浄したのち給餌した。

給餌基準:給餌基準は飼育水1ml当たり3個を基準とした。

②アルテミア

使用卵 密度(個/ml) 栄養強化水槽 強化剤 強化時間

(h)

脱殻卵 ~200 1t スーパーカプセルパウダー

(35g/億) 23

③冷凍コペポーダ

1~2回/日に(8:30,13:00),飼育水槽に水道水で解凍したものを給餌した。

④配合飼料 種類:種苗サイズごとに3社のものを使い分けた。

(給餌実績)

1 次 飼 育 1R 2R 3R

ワ ム シ 給 餌量 ( 億) 90.5 82.2 80.4

アルテミア給餌量(億) 1. 2 7.7 16.0

冷凍コペポーダ(㎏) 0 7.8 16.1

配 合 給 餌 量 ( ㎏ ) 0 15.9 35.8

3.生産結果と出荷

①生産結果の概要(出荷まで)

項 目 1R 2R 3R

卵 収 容 日 12/25 1/11 1/23

ふ 化 日 12/26 1/12 1/24,25

開 始 時 水 槽 100t×2 100t×1 100t×2

卵収容数(万粒) 80×2 80×1 80×2

ふ化仔魚数(千尾) 1,600 800 13,736

開始密度(千尾/t) 8.0 7.81 6.73~7.01

飼 育 日 数 ( 日 ) 20 117 121

取り上げ時全長(㎜) - 75

取り上げ尾数(千尾) - 246.2

使 用 水 槽 総 数 - 100t×1 100×3

飼 育 水 温 ( ℃ ) 16.5~17.3 15.8~24.6 15.7~24.6

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②出荷

途 出荷先 サイズ(㎜) 尾数(尾)

県内 豊かな海づくりパイロット事業 75.0~104.0 415,233

県内 漁業協同組合(8箇所) 75.0~ 92.0 57,200

県内 その他(2箇所) 75.0~ 92.0 8,600

合計 11箇所 75.0~104.0 481,033

4.考察

全ての生産回次においてワムシ単独給餌期(日令14,15~)に腹部膨満症が発生し,計画尾

数に満たなかったため不足分を県外機関より調達し放流に供した。

1R及び3Rの一部で大量へい死が発生したため,飼育を中止した。

2Rはワムシ給餌量を大幅に減らしアルテミア,コペ主体で飼育し,配合飼料を早めに給餌開始

したことで,生産することができた。

生産不調の原因としてワムシ由来の細菌に起因するものと推測されたため,次年度は給餌用ワ

ムシの洗浄を徹底することで,細菌性疾病を防除する。

5.今後の課題

疾病防除,安定生産

Ⅲ.フクトコブシの生産

1.目的

鹿児島県から殻長20㎜サイズ122千個の生産委託を受け供給した。

2.生産方法

(1)使用水槽及び機材等

①使用水槽

親貝 採卵・ふ化 浮遊幼生~採苗

(~2㎜)

飼育期

(2㎜~)

屋内1.5t

12槽

採卵 屋内 30L 8槽 屋外13t

9槽

屋外 13t

12槽 ふ化 屋内 500L 10槽

②機材等

親貝 ふ化 採苗

(~2㎜)

前期飼育

(2~7㎜)

後期飼育

(7~20㎜)

ネ ト ロ ン 籠

(60×90×45cm) 受精卵

飼育ネット

(38μm)

ポリカーボネート波板

660×450㎜

(5,600枚)

450×450㎜

(2,400枚)

モジ網 200径

(5.5×1.2×0.7m)

モジ網

大 105径

中 120径

小 200径

極小220径

シ ェ ル タ ー

加 工 塩 ビ 管

遮 光 幕

(遮光率95%) なし 遮光幕(遮光率65%) 黒色シェルター シェルター

※波板洗浄には高圧洗浄機(最大吐出圧力200kg/cm2)を使用

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(2)親貝養成及び採卵

①親貝: 天然貝

月日 個数 平均殻長(mm) 平均重量(g) 肥満度※

H29 5月12日 516 61.5 29.4 0.126

※肥満度= 〔重量(g)/殻長(mm)3〕×103

8月17日に雌雄判別及び,目視による成熟度判別。(生殖巣の膨らみによるランク分け)

②採卵方法及び採卵数

採卵

月日

供試数 放出数 放出率(%) 総採卵数

(万粒) 雄 雌 雄 雌 雄 雌

10/5 40 90 11 38 27.5 42.2 3,737

③採卵促進:採卵を促進するため3方法による刺激を与えた。

1)干出刺激…採卵水槽投入前に1時間の干出。

2)UV刺激…水槽投入後紫外線照射海水かけ流し。

3)水温刺激…25~30℃の水温帯で昇降温。

受 精:採卵後静置し,媒精し静置(30分)。

洗 卵 方 法:デカンテーション1回と流水洗卵の組み合わせ

④その他

使 用 海 水:ろ過海水

注 水:10回転/日

通 気:エアーストーン,強通気(10L前後/分)

(3)ふ化・幼生飼育

①ふ化

回次 採卵月日 ふ化率(%) ふ化数(万個)

1 10/5 91.1 2,058

②採苗期

期 間 収容後4日~

収 容 密 度 300~400万個体/槽

通 気 塩ビ製エアー管3点通気 10L/分

注 水 生海水0.5回転/日→12回転/日(2週間後)

注 水 方 法 シャワー(上部)

※付着後は,付着珪藻の状態や付着稚貝数に応じて密度調整を行った。

③剥離以降

剥離作業:平成30年2月20日~平成30年3月2日(波板より剥離・選別)

剥離方法:波板を食用添加アルコール(有効濃度67%)10L/0.7トンの海水に

10分~20分浸後に剥離

選別サイズ 平均殻長(mm) 個数 割合(%)

大 16 20,000 18.0

中 12 116,000 37.8

小 9 521,000 44.2

合計 657,000 100.0

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(4)餌料系列

項 目 親 貝 採苗~前期飼育

(~7㎜)

後 期 飼 育

(7㎜~)

餌 料 の 種 類 乾燥昆布 ※付着珪藻 配合飼料

給 餌 量 貝重量の3~4% - 飽食量(1~2%)

頻 度 3回/週 - 5回/週

給 餌 方 法 シェルター内設置 - シェルター上部

※9月上旬から,65%遮光幕を1~2枚被せ,屋外13t水槽に波板を収容し,生海水をかけ

流して珪藻を自然発生させ培養した。

3.生産結果及び出荷

①放流用種苗

サ イ ズ 出荷先 個数

3 0 ㎜ 県内漁協 7箇所 66,000

2 0 ㎜ 県内漁協他 6箇所 69,000

合 計 13箇所 135,000

4.考察

親貝は,当年に購入したものを使用した。採卵は1回で所定の必要卵量を確保することができた。

付着後の生育については例年以上に生残が良かった。

放流については,冬場に大型サイズ(30㎜)で放流する需要が増えてきているため,その需要に

応える飼育体制を取る。

5.今後の課題

選別後の余剰稚貝数の圧縮

Ⅳ.カンパチの種苗生産

1.目的

鹿児島県から全長10cm10千尾の生産委託を受け供給した。またカンパチ高度化事業として育

種や早期種苗生産により,成長や生残率が良好で付加価値の高いカンパチ種苗を生産するため親魚養

成,種苗生産について鹿児島県から委託を受け行った。

2.生産方法

(1)使用水槽

親魚養成 種苗生産(~約30mm) 中間育成(約30mm~)

100t 2槽 100t 2槽 100t 5槽(最大)

(2)親魚養成

①親魚

群 由来 年齢 尾数(尾)

1 人工 7歳 12

2 人工 7歳 20

②餌料

期間 周年

種類 餌 料:配合飼料,冷凍サバ,イカ,オキアミ 計4種類

添加物:総合ビタミン剤

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③採卵 受精卵をオーバーフロー方式でネット(40目)に採集した。

④注水量(1,2群とも同一)

期 間 調温期(4~5月,12~3月)

水 位 100t

注 水 量 1.5回転/日

銅 イ オ ン 0.1A

⑤採卵状況(産卵回数) (回)

親魚 3 4 5 6 計

群1(7歳) 0 0 0 0 0

群2(7歳) 0 1 4 0 5

(3)仔稚魚飼育(全長約30mmまで)

①ふ化

生 産 回 次 水槽№ ふ化日 収容卵数(千粒) ふ化率(%) 親魚由来

1 回 次 №1 4/14 823.2 90.7 人工3才 水技

2 回 次 №5 4/21 500.0 98.0 人工3才 水技

合計・平均 - - 1,323.2 94.4 -

②仔稚魚管理

項 目 摘 要

飼 育 水 添 加 スーパー生クロレラ V12:1.0L/槽 または

ナンノクロロプシス50万細胞/ml

通 気 方 法 分散器9個/槽

注 水 紫外線殺菌ろ過海水

ス ト レ ー ナ ー 350~3,360ミクロン

水 質 等 測 定 項 目 pH,NH4-N,DO,照度

底 面 掃 除 全長約15㎜以降 毎日

全 長 測 定 ふ化~:5日毎

オ イ ル 添 加 開鰾~配合給餌開始まで 3ml×3回/槽

(4)餌料系列(全長約30mmまで)

①ワムシ

給餌時刻 密度

(個/ml)

栄養強化

水槽(t) 強化剤の種類及び量

強化時間

(時間)

9:00

500

2,000

ナンノクロロプシス (2万細胞/個)

スーパー生クロレラ V12(300ml/億)

アクアプラス ET (400g/t )

すじこ乳化油 (30g/t)

17

17

17

13:30

ナンノクロロプシス (2万細胞/個)

スーパー生クロレラ V12(300ml/億)

アクアプラス ET (400g/t)

マリングロス EX (1.5L/t)

すじこ乳化油 (30g/t )

22

22

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給餌方法:1日2回の給餌で,紫外線殺菌ろ過海水で5分間洗浄後,給餌した。

給餌基準:給餌基準は飼育水1ml当たり5~10個基準とした。

②アルテミア

使用卵 密度

(個/ml)

栄養強化

水槽(t) 強化剤の種類及び量

強化時間

(時間)

脱殻卵 ~200 0.5~2.0 マリングロス EX (1.5L/t)

すじこ乳化油 (30g/t )

2.5~5.5

2.5~5.5

③冷凍コペポーダ

1日2回定時(8:00,17:00)に,給餌した。

④配合飼料

自動給餌機を 1 水槽当たり2台設置し,日の出から日の入りまでを基準に,15分間隔で給

餌した。

給餌量

生 産 回 次 ワムシ(億) アルテミア(億) 冷凍コペポーダ(kg) 配合給餌量(kg)

1 回 次 288.2 11.2 14.0 39.8

2 回 次 286.5 12.3 14.0 32.0

合 計 574.5 23.5 28.0 71.8

3.生産結果(概要)

(1)全長約30mmまで

生 産

回 次 使用水槽

ふ化仔魚数

(千尾)

飼育

日数

飼育水温

(℃)

生産尾数

(尾) ※1

平均全長

(mm)

1 回 次 100t×1槽 747 34 22.1~26.2 129,500 30.2

2 回 次 100t×1槽 490 33 22.0~26.2 100,100 32.6

合 計 100t×2槽 1,237 - - 229,600 -

※1 フィッシュカウンターでの計数値

4.考察

(1)親魚養成

群1については予定していた4月に産卵が見られず,5月11日にホルモンを打注し成熟を促

したが,産卵は無かった。この群は昨年も産卵がなく加齢で成熟しなかったものと思われる。

群2については4月に1回,5月に4回の自然産卵があり,調光・調温による制御は出来てい

たが,産卵が生産開始予定より遅れたため,生産には鹿児島県水産技術開発センターで採卵され

たものを用いた。

(2)種苗生産

56,850尾を出荷した。

5.今後の課題

親魚からの安定採卵

生産経費の削減

健苗性の向上

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Ⅴ.ホンダワラ類種苗ブロック生産

1.目的

漁場環境の保全や稚魚の成育に必要な役割を持つ藻場の造成・回復を図る取組みを支援し,放流

効果を高めるため,ホンダワラ類種苗ブロックの生産を行った。

2.生産方法

使 用 水 槽 角形13tコンクリート 屋外水槽

底面に塩ビとトリカルネットで作成した台座を設置

ブ ロ ッ ク 自家製 1,800基

母 藻

温帯性マメタワラ,ヤツマタモク(5月28,29日桜島神瀬で採取)

南方系 主にコナフキモク,1割ほどコブクロモク(6月14日垂水新港近辺で

採取)

採 苗 温帯性 5月28日~ 6月21日

南方系 6月14日~ 7月14日

飼 育 管 理

注水

生海水(上部2箇所,9月以降シャワーパイプに変更)

※ろ過海水も一部使用

※注水量は未測定,生海水バルブ全開

通気 エアーストン,塩ビエアー配管 ※通気量は未測定,強通気

遮光ネット 遮光度60% (採苗後~9月下旬まで使用)

水温 自然海水水温

水槽掃除 珪藻付着,底質の汚れが見られる時,水槽掃除を実施

3.生産結果(概要)

生産日数(母藻撤去~出荷まで):温帯性261日・南方系 238日

達成率(出荷基数/要望基数):温帯性 100%・南方系 100%

(出荷)

出荷先 箇所数 個数

漁協・漁業集落 2 72

市町村 1 200

藻場造成グループ 6 398

合計 9 670

4.考察

温帯性種苗ブロックの生産は,水温が例年より高く推移し,母藻の胞子の放出が危惧されたため,

採苗時期を5月下旬に早めた。水槽毎に種付きのばらつきがあったものの全体的には良好であっ

た。

採苗時に母藻をよく洗浄したことで巻貝類の混入を抑えたことや,母藻を束ねて設置したことま

た,ブロック表面の環境を堆積物等のない良好な状態に保つため母藻取り上げを早めたことで良好

な結果を得た。10月以降に珪藻が藻体に付着し,生長不良の水槽も見られたが掃除や洗浄を徹底

したことで改善された。

南方系種苗ブロックの生産は,6月に垂水新港のガラモ場で母藻を採取した。採苗水槽に母藻を

投入後1週間で芽付きが見られたもの,梅雨時期の大雨等の影響で芽付きが大幅に減少した。採苗

以降の管理については,昨年度に引き続き種付け以降9月末まで遮光幕を開けないこと,9月から

エアカーテン+シャワー注水により水槽底面の水流が速くなるようにしたこと,また洗浄の頻度を

上げたことにより生産することで,要望個数を満たすことができた。

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5.今後の課題

藻体への珪藻付着の軽減

水温・塩分濃度変化による不調の防除

巻貝類等の食害対策,駆除方法の検討

Ⅵ.ブリの種苗生産

1.目的

革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)の構成員として,ブリ種苗の生産及

び供給を行った。また,鹿児島県水産技術開発センターよりブリ類人工種苗供給安定化事業に係る管

理業務委託を受け,親魚の養成・採卵を行った。

2.生産方法

(1)使用水槽及び機材等

(2)親魚養成

①親魚:採卵に用いた親魚は東町漁協と水産研究所五島庁舎で飼育されていた合計46尾を

100t水槽で飼育

②餌料

餌料種類 餌 料:配合飼料

添加物:総合ビタミン剤

③採卵:ホルモン打注後、腹部圧迫方式で採集した。

④注水量

注水量 3.4回転/日

⑤採卵状況

親魚 採卵数(千粒) 受精卵率(%) 受精卵数(千粒)

A 449.7 95.9 431.4

B 549.8 96.0 527.9

C 49.4 91.1 45.0

D 41.5 96.9 40.3

計 1090.4 1044.6

※受精卵の仔魚期の生残状況を把握するため,数日間の飼育を行った。

親魚養成 種苗生産

卵セット 飼育水槽(ふ化~)

100t

1槽

200L

1R-3槽

2R-1槽

計 4槽

100t

1R- 3槽

2R- 1槽

計 4槽

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(3)仔稚魚飼育

①ふ化

生産回次 水槽№ ふ化日 収容卵数(万粒) ふ化(%)

1R №4 11/24 160 76.6

2R №1 12/8 104 80.8

合計・平均 264 78.7

②仔稚魚管理

(4)餌料系列

①ワムシ

給餌時刻 密度

(個/ml) 栄養強化水槽 強化剤の種類及び量

強化時間

(h)

8:30

50~

1,000 2t

アクアプラス (400g/t)

プラスアクアラン(100g/t) 7

15:30

アクアプラス (400g/t)

スーパー生クロレラ V12(100ml/億)

ハイパーグロス (1L/t)

24

給餌方法:1日2回の給餌で,栄養強化水槽からプランクトンネット(53μm)で採集し,

紫外線照射海水で3分間洗浄したのち給餌した。

給餌基準:給餌基準は飼育水1ml当たり5個を基準とし成長に伴い8個まで増量した。

②アルテミア

使用卵 密度(個/ml) 栄養強化水槽 強化剤の種類及び量 強化時間

脱殻処理 ~200 2t ハイパーグロス

(1L/t) 3

③冷凍コペポーダ 給餌用アルテミアの不足時に,適量給餌した。

④配合飼料 種類:種苗サイズに合わせ4種類を使い分けた。

生 産 回 次 1R 2R 合計

ワ ム シ 給 餌 量 ( 億 ) 167.9 123.9 291.8

アルテミア給餌量(億) 32.7 1.0 33.7

冷 凍 コ ペ ポ ー ダ ( ㎏ ) 3.0 0.0 3.0

配 合 給 餌 量 ( ㎏ ) 62.2 0.0 62.2

項 目 摘 要

飼 育 水 添 加 濃縮ナンノ:3L/日/槽

通 気 方 法 エアーストーン 8個/槽

注 水 UVろか海水

ス ト レ ー ナ ー 350~3,360ミクロン

水 質 測 定 項 目 pH・NH4-N・DO・照度

底 面 掃 除 日齢30以降 毎日

全 長 測 定 ふ化~10日齢:毎日(11日齢以降 適時)

生 残 計 数 全長6㎜まで 週1回

貝 化 石 ふ化~取り上げまで 0.5~1㎏/槽

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3.生産結果と出荷

(1)生産結果の概要(全長約30mmまで)

項 目 1R 2R

卵 収 容 日 11/22 12/6

ふ 化 日 11/24 12/8

開 始 時 水 槽 100t×1槽 100t×1槽

卵収容数(万粒) 160 104

ふ化仔魚数(千尾) 1,034 843

開始密度(千尾/t) 10.3 8.4

飼 育 日 数 ( 日 ) 41 19

取上げ時全長(㎜) 28.4~49.2 -

取上げ尾数(千尾) 228 -

使 用 水 槽 総 数 100t×4槽 100t×1槽

飼 育 水 温 ( ℃ ) 15.9~22.5 20.0~22.1

(2)出荷

出荷先 サイズ(㎜) 尾数(尾)

県内

革新的技術開発・緊急展開事業

(うち地域戦略プロジェクト) 2箇所 50~70 179,219

合計 2箇所 179,219

※出荷時は,フィッシュポンプ及びフィッシュカウンターにより積み込み,計数を行った。

4.考察

仔稚魚飼育

新規事業での生産で水産研究・教育機構,水産技術開発センターから技術指導を,日本農産工業

から技術支援を受けて生産を行った。生産中は大きな不調もなく,当初の計画数量を上回る結果と

なった。

次年度については今年度の生産手法を基に安定生産に努める。

親魚養成

採卵は当初計画した卵量は確保できたものの,産卵個体数が少なかったことや産卵量にもばら

つきがあったことから,親魚搬入後の配合飼料への餌付けが十分に出来なかったことが要因と考え

ている。来年度は餌付けを確実にする方策として搬入時期を早めるなどの対策を考えている。

5.今後の課題

卵の安定確保

中長期的な育種方針の検討

親魚養成手法の確立

Ⅶ.L型ワムシ培養

1.目的

マダイ,ヒラメ,カンパチの初期餌料として L型ワムシ培養(長崎牧島株)を行った。

2.生産方法

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(1)培養方法

常時100t水槽2槽で連続給餌,連続注水による連続間引き培養を行った。堆積物,有機物の

増加を抑えるために培養日数は最長30日間とした。

卵率低下,フロック,原虫増加時の対策は貝化石(1~2kg/日)を散布してフロック除去を

行い水質の維持に努めた。

(2)培養条件

①通気量:培養水槽内のフロックを沈めるため微通気とした。培養水槽の各四辺にユニホース

を配置しゆっくりとした縦と横の流れを作ることで死水が出来ないようにした。

②培養水温:21~23℃設定。

③使用海水:ろ過海水を使用し培養水は井戸水で希釈し75~90%海水とした。

(3)餌料

ナンノ,生クロレラV12,デサンクロレラ,自家製濃縮ナンノを連続給餌した。

(4)培養水槽及び機材等

①使用水槽

培養水槽 連続給餌用水槽

100t 屋内コンクリート

水槽 4槽

50t 屋内コンクリート

水槽 1槽

②使用機材

連 続 給 餌 用 水中ポンプ CSA-100 2台

瞬時流量計 NW-20PTN

井 戸 水 注 水 用 瞬時流量計 NW-10PTN

採 集 用 ネ ッ ト 75μmナイロンネット(ニッタル20XX-75)

(5)培養期間

平成29年12月~平成30年5月

3.結果及び考察

今年度の培養結果を表-1に示した。

12月から5月までの培養は,マダイ,ヒラメ,カンパチの餌料として安定した供給量を確保する

ことができた。

今年度は自家培養ナンノの細胞数が例年より低かったこともあり自家培養ナンノ,生クロレラ,濃

縮ナンノの使用量は増加した。

ヒラメ生産においてワムシ給餌時期での生産不調により,生クロレラV12と韓国産のデサンクロ

レラを併用してワムシ培養を行った。

また,マダイ,カンパチの生産前にグルタルアルデヒドを用いてワムシ消毒を行い,培養を再開さ

せる対策を行った。

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表1 培養結果

年月 間引き

個体数(億)

平均増殖率

(%)

ナンノ

使用量(t)

生クロレラ

使用量(L)

濃縮ナンノ

使用量(L)

H29年12月 958 39.1 458 260.8 336

H30年 1月 1,363 34.7 504 284.5 544

H30年 2月 1,280 37.8 564 271.5 680

H30年 3月 387 38.6 202 214.5 376

H30年 4月 1,798 38.0 945 622.9 503

H30年 5月 2,068 36.4 656 824.5 36

平均・合計 7,854 37.3 3,329 2,478.7 2,475

※6月~11月は種培養期間中の為,未記載。

Ⅷ.アルテミアの生産

1.目的

マダイ,ヒラメ,カンパチ,ブリの初期餌料としてアルテミアノープリウス幼生の生産を行った。

2.生産方法

(1)卵

卵は市販の北米産の耐久卵(ふ化率90%以上)を用い,脱殻卵を使用した。

(2)使用水槽

区分 水温設定 水槽の種類と数量

ふ化槽 28℃ 0.5t アルテミアふ化槽×3槽

1.0t アルテミアふ化槽×6槽

栄養強化槽 20℃ 2.0t FRP水槽×3槽

1.0t アルテミアふ化槽×3槽

(3)生産期間

供給した魚種の生産期間は下表のとおり。

魚 種 名 期間

ヒ ラ メ 30年 1月12日 ~ 3月 6日

マ ダ イ 30年 4月16日 ~ 5月28日

カ ン パ チ 30年 4月29日 ~ 5月22日

ブ リ 30年 12月9日 ~ 12月28日

3.結果および考察

30年1月から12月までの魚種別の生産数量は下表のとおり。

魚 種 名 使用卵量(kg) 生産数量(億)

ヒ ラ メ 28.02 56.0

マ ダ イ 32.85 65.7

カ ン パ チ 11.75 23.5

ブ リ 49.00 98.0

合 計 121.62 243.2

※生産数量は給餌中止分も含んでいるため,各魚種の報告数量とは異なる。

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4.今後の課題

作業量の軽減

Ⅸ.ナンノクロロプシスの培養

1.目的

ナンノクロロプシス(以下「ナンノ」という)をシオミズツボワムシ(以下「ワムシ」という)の

餌料として培養した。

2.培養方法

(1)使用水槽

(2)培養方法

元種 通気 肥料(1t当たり) 塩素処理

濃縮ナンノ

(市販品)

13㎜

塩ビパイプ

硫 安

過リン酸石灰

尿 素

クレワット32

100g

20g

6g

6g

植え継ぎ時:6ppmで消毒

原虫発生時:6ppmで消毒

(3) ワムシ本培養への供給状況

※(参考)昨年のワムシ本培養への供給状況

3.結果及び考察

培養は市販の濃縮ナンノを元種に培養した。寒波の影響で3月に培養不調に陥り,再度植え直しを

行った。4月下旬には培養不調に陥る水槽が増え,5月中旬に全槽が急落した。

供給量に関しては,3月に供給の不足があったものの,他の期間は必要量を供給し,5月中旬に供

給を終了した。

4.今後の課題

低温時の培養安定化

拡大培養

300t水槽 6槽

年月

供給量

平成29年 平成30年 計

12月 1月 2月 3月 4月 5月

供給量(t) 504 558 468 180 558 216 2,484

年月

供給量

平成28年 平成29年 計

12月 1月 2月 3月 4月 5月

供給量(t) 90 504 693 459 297 162 2,295