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中日本呼吸器臨床研究機構 Central Japan Lung Study Group (CJLSG) CJLSG 0901 ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有する高齢者 非小細胞肺癌に対するゲフィチニブ初回治療の臨床第Ⅱ相試験 A Phase II Study of Gefitinib as First-Line Treatment for Elderly Patients with Non-small cell Lung Cancer with EGFR Mutation CJLSG 理事長:鈴木 隆二郎 CJLSG 0901 研究代表者:斉藤 CJLSG 0901 研究事務局:高橋 孝輔 愛知県がんセンター愛知病院呼吸器内科 444-0011 岡崎市欠町栗宿18 TEL: 0564-21-6251FAX: 0564-21-6467 E-mail: [email protected] E-mail: [email protected]

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中日本呼吸器臨床研究機構

Central Japan Lung Study Group (CJLSG)

CJLSG 0901

ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有する高齢者

非小細胞肺癌に対するゲフィチニブ初回治療の臨床第Ⅱ相試験

A Phase II Study of Gefitinib as First-Line Treatment for Elderly Patients

with Non-small cell Lung Cancer with EGFR Mutation

CJLSG 理事長:鈴木 隆二郎

CJLSG 0901 研究代表者:斉藤 博

CJLSG 0901 研究事務局:高橋 孝輔

愛知県がんセンター愛知病院呼吸器内科

〒444-0011 岡崎市欠町栗宿18

TEL: 0564-21-6251、 FAX: 0564-21-6467

E-mail: [email protected]

E-mail: [email protected]

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目次

0. 概要 4

1. 目的 6

2. 背景 6

3. 試験デザイン 7

4. 対象症例 7

4-1.適格条件 7

4-2.除外基準 8

5. 患者の人権事項 8

5-1.患者の人権保護 8

5-2.同意の取得と説明事項 8

5-3.プライバシーの保護 9

5-4.プロトコールの遵守 9

5-5.施設の臨床研究(または倫理)審査委員会(IRB)の承認 9

6. 登録 9

7. プロトコール治療 10

7-1.治療内容 10

7-2.休止、再開基準 10

7-3.中止基準 10

8. 併用療法 10

8-1.併用可能な薬剤 10

8-2.併用にあたって慎重な投与が要求される薬剤 11

9. 後治療 11

10. 予想される有害事象・有害反応とその対策 11

10-1.添付文書に記載されている警告 11

10-2.重大な副作用 11

10-3.その他の副作用 12

10-4.肺毒性 12

11. 評価項目とそのスケジュール 12

11-1.治療期間 12

11-2.追跡期間 12

11-3.患者情報の調査 12

11-4.Staging・Restagingの方法 13

11-5.自覚症状・他覚症状 13

11-6.登録前評価項目 13

11-7.治療期間中の評価項目と評価スケジュール 13

11-8.追跡期間中の評価項目とそのスケジュール 14

11-9.経過観察 14

12. 効果判定 14

12-1.効果判定 14

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12-2.奏効率 16

12-3.全生存期間の定義 16

12-4.無増悪生存期間の定義 16

12-5.毒性の評価 16

12-6.施設外校閲 16

13. 予定症例数と研究期間 16

13-1.予定登録症例数とその算定根拠 16

13-2.症例登録・追跡期間 16

14.QOL調査 16

15. データ収集・データの記載 19

16. 有害事象報告 20

16-1.有害事象報告義務 20

16-2.有害事象報告に対する研究代表者/事務局の責務 20

16-3.プロトコール効果安全性評価委員会での検討 20

17. 研究成果の発表 20

18. 研究組織 20

19. 文献 22

添付:同意説明文書 24

別添:QOL調査票(生活状況の調査のお願い)

(付録 1)ヘルシンキ宣言(日本医師会訳)

(付録 2)臨床研究の倫理指針(厚生労働省)

(付録 3)イレッサ添付文書

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ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有する高齢者非小細胞肺癌に対するゲフィチニ

ブ初回治療の臨床第Ⅱ相試験

注意:本試験を実施する場合はプロトコール本文を熟読後施行してください。

0. 概要:

0-1. 試験シェーマ

0-2.目的.70歳以上の高齢者で EGFR 遺伝子変異を有する非小細胞肺癌患者を対象として、

初回治療としてのゲフィチニブ単剤の有効性と安全性を検討する。

Primary endpoint:奏効率、

Secondary endpoint:病勢コントロール率、生存期間中央値 Median survival time (MST)、

1年生存率、無増悪生存 Progression free survival (PFS)、QOL、毒性

0-3. スタディータイプ:多施設共同臨床第 2相試験

0-4. 対象:

1) 組織診または細胞診(ただし喀痰細胞診は除く)で非小細胞肺癌と診断された化学療

法未治療症例。

2) 根治的放射線治療が不可能な IIIB期または IV期。手術後再発例は含む。肺野以外の

転移巣に対する放射線療法が施行された場合は照射終了から登録まで 1 週間以上経過し

ていること。

3) 腫瘍細胞の存在が確認されている組織検体もしくは細胞診検体にて EGFR遺伝子変異

(エクソン 19 欠失変異またはエクソン 21 コドン 858 ロイシン→アルギニン変異)

が確認されている症例。

4) 年齢 70歳以上。

5) 測定可能病変を有する症例。

6) ECOG performance status が 0-2の症例。

EGFR遺伝子変異を有する

ⅢB/Ⅳ期未治療非小細胞肺癌または

外科切除後再発非小細胞肺癌

登録

ゲフィチニブ投与

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7) 十分な骨髄機能、臓器機能を有する症例 (下記参照)

a) Hb 9.0 g/dl 以上

b) WBC 3,000/mm3 以上

c) PLT 100,000/mm3 以上

d)ALT(GOT)、 AST(GPT) 100 IU/L以下

e)総ビリルビン 1.5 mg/dL 以下

f)血清クレアチニン 1.5 mg/dL 以下

g) PaO2 60 torr 以上

8) 患者本人から文書にてインフォームド・コンセントの得られた症例。

9) 患者へ登録時 QOL 調査票を渡して、記入・投函をするよう依頼が済んでいる症例。

0-5.除外基準:

以下のいずれかの項目に該当する症例は除外される。

1) 活動性の感染症およびその他重篤な合併症(糖尿病・不安定狭心症・心筋梗塞・精神疾患

等でコントロール困難なもの)を有する症例。

2) 胸部 CTで間質性肺炎・肺線維症の所見を有する症例。

3) 肺癌に起因する次の症状・所見のある症例 :多量の胸水、腹水、心嚢水のある症例、上大

静脈症候群を有する症例(排液および胸膜癒着術にて再貯留傾向のない胸水は適格とす

る。OK-432、ミノマイシン等の使用は許容する)。

4) 症状を有する脳転移症例(無症状の脳転移症例や放射線治療などにより症状が安定してい

る脳転移症例は適格とする)。

5)重篤な薬物アレルギーの既往のある症例。

6)原発巣に対する放射線照射を実施した症例。

7)術後の補助化学療法(フッ化ピリミジン系薬も含む)を施行した症例

8)活動性重複癌を有する症例(根治的治癒切除後、2 年以上無病期間を有する場合は適格とす

る。また、早期がんに対する EMRや放射線治療、レーザー治療などのあと、2年以上無病期

間を有する場合も適格とする。上皮内癌治療後は 2年経過しなくても適格とする)。

9)妊婦、授乳婦および妊娠している可能性のある症例。

10)その他、主治医が不適切と判断した症例。

0-6. 予定症例数と登録期間:

登録目標症例数は 19例とする。閾値奏効率を 30%、期待奏効率 60%として評価可能症例

数は 17例、脱落例を含め目標症例する 19 例とする(α=0.05、β=0.20)。第一段階で評価

可能症例 10例中奏効例が 2例以下の場合は試験を終了する。

2009年 3月から 2010年 3月までを登録期間とし、追跡期間は 2年間とする。

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1. 目 的

70歳以上でヒト上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有する高齢者肺癌患者を対象として、

初回治療としてのゲフィチニブ単剤の有効性と安全性を検討する。

Primary endpoint:奏効率、

Secondary endpoint:病勢コントロール率、生存期間中央値 Median survival time (MST)、

1年生存率、Progression free survival (PFS)、QOL、毒性

2. 背景

わが国では肺癌の死亡率は増加傾向にあり、男性の肺癌死亡数は癌死亡数の第 1 位、女性

では第2位となっている。年齢別にみた肺癌の罹患率・死亡率はともに 40歳代後半から増加し始

め、高齢になるほど高くなる。肺癌の 80%は非小細胞肺癌であり、診断時に 70%以上の症例が

すでに切除不能の進行癌である。したがって高齢者非小細胞肺癌患者に化学療法を行う機会は

今後ますます増加していくと考えられる。

進行非小細胞肺癌に対する化学療法についての研究から、化学療法が有意に生存期間を改

善することがメタアナリシスによって示されている 1、2。また、化学療法を加えることで quality of life

(QOL)が改善したという報告もある 3。これらの研究から、現時点では全身状態が良好な患者に

おいてはプラチナ製剤と新規抗癌剤の併用療法が標準治療とされる。ただし、高齢者は基礎疾

患の合併率が高いこと、肝臓・腎臓など臓器機能が低下しているために有害事象の頻度も高くな

ること 4、シスプラチンを含む化学療法で血液毒性が増強することなどから 5、高齢者に対してもプ

ラチナ製剤を含む治療が適切かどうかについては議論がある。

対象を高齢者非小細胞肺癌患者に限定した臨床試験では、単剤治療の有用性が報告されて

いる。Elderly Lung Cancer Vinorelbine Italian Study(ELVIS)Groupは、70歳以上の高齢者を対

象として vinorelbine単剤とbest supportive care (BSC)との比較試験を実施した。生存期間中央値

(MST)は vinorelbine群 28週、BSC群 21週であり、vinorelbine群で有意な生存期間の延長が認

められ、また QOL も vinorelbine 群の方が良好であったと報告している 6。さらに成績の向上を期

待して行われたMILES(Multicenter Italian Lung Cancer in the Elderly Study)trialでは、70歳以

上の高齢者を対象に vinorelbine単剤、gemcitabine単剤、gemcitabine+vinorelbine併用療法の3

群 を比較検討 し た 。 MST は vinorelbine 群で 36 週 、 gemcitabine 群で 28 週 、

gemcitabine+vinorelbine 群で 30 週 と 各群間に有意差 を認め なか っ た が毒性は

gemcitabine+vinorelbine群で最も強かった 7。この試験で gemcitabine+vinorelbineの 2 剤併用療

法は単剤治療と比較して毒性の発現頻度が高くなるが生存期間や QOL の改善には寄与しない

とされた。本邦ではWest Japan Thoracic Oncology Group (WJTOG) により 70歳以上の高齢者を

対象とした docetaxel 単剤と vinorelbine 単剤の比較試験が行われ、全生存期間は有意差を認

めなかったが、無増悪生存期間では docetaxel 群が良好な結果であった 8。これらの結果より、現

時点での高齢者進行非小細胞肺癌の標準治療は新規抗癌剤( docetaxel、vinorelbine、

gemcitabine)の単剤治療 と考えられる。

近年癌関連分子を特異的、選択的に修飾して抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬の開発が精

力的に進められている。ゲフィチニブは分子標的薬のひとつで、上皮成長因子受容体(EGFR)

の ATP 結合部位で競合的にリン酸化を阻害することによりチロシンキナーゼ活性を低下させシ

グナル伝達を止め、細胞増殖を抑制する薬剤である 9。既治療の進行非小細胞肺癌の治療とし

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てゲフィチニブ単剤療法の有効性が国際的に検証された。わが国と欧州で行なわれた

IDEAL-1 ではセカンドラインのゲフィチニブ単剤の有効性を 250mg/day、500mg/dayの2群で検

討し、それぞれ奏効率 18%、19%、MST 7.6カ月、8.1カ月と良好な成績であった 10。また米国を中

心に行われた IDEAL-2 でもサードライン以降のゲフィチニブ単剤の有効性を同様に 250mg/day、

500mg/day の 2 群で検討し、それぞれ奏効率 12%、9%、MST 6.5 カ月、5.9 カ月、症状改善率

43%、35%と良好な成績であった 11。高齢肺腺癌患者を対象に行った初回治療ゲフィチニブ

単剤の臨床試験 CJLSG0403 では奏効率は 27.6%(29 例中 PR8 例)で、忍容性は良好であ

った。

最近 EGFR 遺伝子変異とゲフィチニブの奏効率との強い相関が発表され、遺伝子変異が注目

されるようになった 12、13。EGFR 遺伝子変異はアジア人、女性、腺癌、非喫煙者においてより高頻

度に認められることが確認され、さらに外科切除後の再発例において EGFR 遺伝子変異のない

症例ではゲフィチニブの奏効率が 10%であったのに対し、EGFR 遺伝子変異例ではゲフィチニ

ブの奏効率が 83%と高く、生存も有意に長いことが示された 14。その後、前向きの臨床試験にお

いても EGFR 遺伝子変異例にゲフィチニブを投与した場合、奏効率 75%、病勢コントロール率

88-96%といった優れた成績が報告された 15、16。臨床病期 IIIB、IV 期の症例に対する初回治療に

ゲフィチニブを用いた臨床試験でも、遺伝子変異例においては奏効率 75%で副作用も十分忍

容できるものということが示された 17。

日本においてはゲフィチニブによる薬剤性肺障害がおよそ 3-6%に発症し、約 2%が死亡に至

ることも明らかにされている 18、19。一般には男性、喫煙者に肺障害の発生が多いとされ、EGFR 遺

伝子変異による患者選択は肺障害の生じにくい症例選択となる可能性もある。

高齢者においてもゲフィチニブは忍容性が高いと思われ、さらに EGFR 遺伝子変異によって患

者選択を行うことにより、より効果の高まることが期待される。現在、遺伝子変異を有する高齢者の

みを対象にしたゲフィチニブ初回治療の前向きデータがないため、EGFR遺伝子変異を有する高

齢者進行肺癌(IIIB、 IV 期)に対する初回治療としてのゲフィチニブ単剤の臨床第 2 相試験を計

画した。

3. 試験デザイン

多施設共同臨床第 2相試験

4. 対象症例

4-1. 適格条件

以下のすべての条件を満たすものとする。

1) 組織診または細胞診(ただし喀痰細胞診は除く)で非小細胞肺癌と診断された化学療法未

治療症例。

3) 根治的放射線治療が不可能な IIIB 期または IV 期 。手術後再発例は含む。肺野以外の転

移巣に対する放射線療法が施行された場合は照射終了から登録まで 1 週間以上経過して

いること。

3) 腫瘍細胞の存在が確認されている組織検体もしくは細胞診検体にて EGFR 遺伝子変異(エ

クソン 19欠失変異またはエクソン 21 コドン 858ロイシン→アルギニン変異)が確認されてい

る症例。

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4)年齢 70歳以上

5) 測定可能病変を有する症例

6) ECOG performance statusが 0-2の症例

7) 十分な骨髄機能、臓器機能を有する症例 (下記参照)

a) Hb 9.0 g/dl 以上

b) WBC 3,000/mm3 以上

c) PLT 100,000/mm3 以上

d)ALT(GOT)、 AST(GPT) 100 IU/L以下

e)総ビリルビン 1.5 mg/dL以下

f)血清クレアチニン 1.5 mg/dL以下

g) PaO2 60 torr 以上

8) 患者本人から文書にてインフォームド・コンセントの得られた症例

9) 患者へ登録時 QOL調査票を渡して、記入・投函をするよう依頼が済んでいる症例

4-2. 除外基準

以下のいずれかの項目に該当する症例は除外される。

1) 活動性の感染症およびその他重篤な合併症(糖尿病・不安定狭心症・心筋梗塞・精神疾患

等でコントロール困難なもの)を有する症例。

2) 胸部 CTで間質性肺炎・肺線維症の所見を有する症例。

3) 肺癌に起因する次の症状・所見のある症例 :多量の胸水、腹水、心嚢水のある症例、上大

静脈症候群を有する症例(排液および胸膜癒着術にて再貯留傾向のない胸水は適格とす

る。OK-432、ミノマイシン等の使用は許容する)。

4) 症状を有する脳転移症例(無症状の脳転移症例や放射線治療などにより症状が安定してい

る脳転移症例は適格とする)。

5)重篤な薬物アレルギーの既往のある症例。

6)原発巣に対する放射線照射を実施した症例。

7)術後の補助化学療法(フッ化ピリミジン系薬も含む)を施行した症例

8)活動性重複癌を有する症例(根治的治癒切除後、2 年以上無病期間を有する場合は適格とす

る。また、早期がんに対する EMRや放射線治療、レーザー治療などのあと、2年以上無病期

間を有する場合も適格とする。上皮内癌治療後は 2年経過しなくても適格とする)。

9)妊婦、授乳婦および妊娠している可能性のある症例。

10)その他、主治医が不適切と判断した症例。

5. 患者の人権関連事項

5-1. 患者の人権保護

本臨床試験に参加するすべての研究者はヘルシンキ宣言についての情報を学びこれを遵守す

るものとする。

5-2. 同意の取得と説明事項

主治医は、患者登録前に所属施設の臨床研究(または倫理)審査委員会 (IRB) の承認を得た

同意・説明文書に基づいて以下の項目について十分な説明を行い本人の自由意志により文書

による同意をとるものとする。

5-2-1. 説明事項

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1) 病名と病状

2) 本試験が臨床試験であること

3) 本試験の背景・意義・必要性・目的

4) 本試験の方法・治療内容

ゲフィチニブを投与すること・投与方法・投与量・治療スケジュール・予想される効果と副作用。

ゲフィチニブによる副作用で致命的になる可能性があることも十分に説明する

5) 代替治療の有無とその内容

6) 利益と不利益

本試験に参加することにより得られる利益と不利益についての説明

7) 同意の拒否とその撤回

本試験に参加しなくても不利益を決して受けないこと、また、参加後もいつでもこれを撤回す

る自由があることの説明

8) プライバシーの保護

患者の個人情報は守秘されることの説明

9) 情報の伝達

本試験により患者の人権に関わる新たな情報が得られた場合には、可及的すみやかに患者

に情報を開示することの説明

10) 質問の自由

担当医の連絡先および試験の事務局の連絡先を文書で示し、本試験についての質問に対し

て対応することを説明する

5-3. プライバシーの保護

登録患者のプライバシーは十分に保護する。患者氏名を参加施設から研究事務局へ知らせるこ

とはない。登録患者情報は登録コードを用いてやりとりされ、実名が第三者に漏洩することはない。

学会発表・論文執筆などで解析されたデータが公になることはあるが、個人情報が開示されること

はない。CJLSG や厚生労働省の調査などが行われる可能性があるが、この時も個人情報は保護

される。

5-4. プロトコールの遵守

本試験に参加する研究者はヘルシンキ宣言に抵触しないかぎり、本プロトコールを遵守するもの

とする。

5-5. 施設の臨床研究(または倫理)審査委員会 (IRB)の承認

本試験に参加するには本試験の実施計画書ならびに同意・説明文書が各施設の臨床研究(また

は倫理)審査委員会 (IRB)により承認されることとする。同意・説明文書は基本骨格の部分を除き、

細部は各施設の状況に合わせて修正することは可能である。

6. 登 録

担当医は対象患者から文書で同意が得られたら、適格条件をすべて満たしかつ除外条件のい

ずれにも該当しないことを確認したうえで患者適格性確認票の必要事項を記入して CJLSG0901

研究事務局へ FAX で登録をする。CJLSG0901 研究事務局は適格性確認票の必要事項確認後

に症例登録番号を明記した登録確認通知書を発行し、担当医宛に送る。

CJLSG 0901研究事務局:

愛知県がんセンター愛知病院治験事務局

山本 麻衣子、 武山 久美

FAX:0564-26-1340

TEL:0564-21-6251(内線 2322)

受付:月〜金、9:30〜16:30

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7.プロトコール治療

7-1. 治療内容

ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)250 mg/day を経口で 1 日 1 回連日投与する。投与前に添付文

書を読むこと。プロトコール治療は登録後 1週間以内に開始することとする。

7-2. 休止、再開基準

1) 治療の休止基準: 肺毒性以外の毒性が CTCAE (version 3.0) Grade3以上であった場合。4

週間まで休薬できる。皮疹や下痢の場合、Grade2 でも担当医の判断で休薬可能とする。休

薬の回数には制限は設けない。

2) 治療の再開始基準: 毒性が Grade2 以下に回復すれば、ゲフィチニブを隔日投与で再開する。

その後状態により連日投与に変更しても良い。隔日投与で Grade3 の毒性がみられた場合は

休薬のみで対応する。この場合も休薬は4週間を限度とする。隔日投与を越えた減量は行わ

ない。皮疹・下痢に対し Grade2で休薬とした場合も隔日投与で再開してよい。

7-3. 中止基準

以下の基準に合致する場合ゲフィチニブ投与を中止する。 PD 以外での中止時には Staging 時

に準じた Restaging を行う。

1) Grade 1以上の肺障害・肺臓炎が出現した場合

2) Grade 4以上の血液毒性また非血液毒生が出現した場合

3) 毒性により4週を超えて休薬が必要である場合

4) 明らかに無効 (PD) と判断された場合

5) 治療以外の原因により、治療継続が不可能になった場合

6) 患者または患者の家族が中止を希望した場合

7) その他、主治医が中止すべきと判断した場合にはゲフィチニブ投与を中止とする

8. 併用療法

試験期間中は、ゲフィチニブ以外の癌に対する化学療法 (抗がん剤)、免疫療法、放射線療法な

どは禁止する。

8-1. 併用可能な薬剤

1) G-CSF 製剤:保険診療の範囲内で各薬剤の用法・用量に従って投与を実施する。

2) 抗菌薬: 38℃以上の発熱を伴う G3 以上の白血球・好中球減尐があれば、直ちに適切な抗菌

薬治療を開始する。

3) 輸血: 血小板数 20,000/μL 以下あるいは出血傾向を認めた場合や、Hb7g/dL 以下の貧

血を認めた場合輸血を行ってもよい。

4) ビスフォスフォネート製剤については特に制限をもうけない。

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8-2. 併用にあたって慎重な投与が要求される薬剤

ゲフィチニブ投与時は、CYP3A4 誘導剤・阻害剤投与により、ゲフィチニブの血中濃度に影響を

受ける可能性があるので慎重に対処する。詳細は添付文書を参照すること。

1) CYP3A4 誘導剤: フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシン、バルビツール酸系薬剤、セイ

ヨウオトギリソウ含有食品等;ゲフィチニブの代謝が亢進し、血中濃度低下のおそれあり。

2) CYP3A4 阻害剤: アゾール系抗真菌剤、マクロライド系抗生剤、塩酸ベラパミル、塩酸ジルチ

アゼムなど、グレープフルーツジュース: ゲフィチニブの代謝が阻害され、血中濃度増加のおそ

れあり。

9. 後治療

試験期間を終了した症例では、PD になるまで肺癌に対する治療は原則として実施しないことと

する。ただし、患者の希望・利益を優先する場合には実施可能である。PD、再発、再燃に対する

後治療は自由とする。

10. 予想される有害事象・有害反応とその対策

10-1. 添付文書に記載されている警告(抜粋)

以下のような警告があるが、最新の添付文書を確認すること。

1) 本剤による治療を開始するにあたり、患者に本剤の有効性・安全性、息切れ等の副作用の初

期症状、非小細胞肺癌の治療法、致命的となる症例があること等について十分に説明し、同意

を得た上で投与すること。

2) 本剤の投与により急性肺障害、間質性肺炎が現れることがあるため、胸部X線検査を行う等観

察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。尚、患者

に対し副作用の発現について十分説明すること。また、急性肺障害や間質性肺炎が本剤の投

与初期に発生し、致死的な転帰をたどる例が多いため、尐なくとも投与開始後 4 週間は入院ま

たはそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行

うこと。

3) 特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併は、本剤投与中

に発現した急性肺障害、間質性肺炎発症後の転帰において、死亡につながる重要な危険因

子である。このため、本剤による治療を開始するにあたり、特発性肺線維症、間質性肺炎、じん

肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併の有無を確認し、これらの合併症を有する患者に使用

する場合には特に注意すること。

4) 本剤は、肺癌化学療法に十分な経験を持つ医師が使用するとともに、投与に際しては十分に

措置できる医療機関で行うこと。

10-2. 重大な副作用

急性肺障害、間質性肺炎、重度の下痢、脱水(下痢、嘔気、嘔吐又は食欲不振に伴う脱水)、中

毒性表皮壊死症、多形紅斑、肝炎、肝機能障害、黄疸、血尿、出血性膀胱炎、急性膵炎

10-3.その他の副作用

無力症、発疹、そう痒症、皮膚乾燥、ざ瘡等の皮膚症状、爪の障害、脱毛、結膜炎、眼瞼炎、角

膜びらん(可逆的、異所性睫毛に伴い起こる場合もある)、眼乾燥、下痢、嘔気、嘔吐、食欲不振、

口内炎、口内乾燥、白血球減尐、血小板減尐、肝機能障害(AST・ALT上昇等)、血管浮腫、蕁麻

疹、鼻出血、INR上昇、出血、クレアチニン上昇、蛋白尿、発熱

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10-4. 肺毒性

急性肺障害、間質性肺炎が疑われた場合には、可能な限り精査を行いその原因追究につとめ

る。

1) 胸部 CT (HRCT)

2) 動脈血液ガス、SpO2

3) 肺機能検査 (DLco を含む)

4) BAL にて細胞成分の解析と感染症鑑別

5) その他感染症の鑑別のための検査 (血清ウィルス抗体価、マイコプラズマ抗体価 、β-D グ

ルカン、KL-6、発熱時の血液培養など)

プロトコール遂行中に明らかに治療薬剤による急性肺障害、間質性肺炎を認めた場合にはすみ

やかに適切な治療を開始する。

11. 評価項目とそのスケジュール

11-1. 治療期間

治療期間は、ゲフィチニブ初回治療開始日よりゲフィチニブ最終投与日の 4週間後までとする。

11-2. 追跡期間

追跡期間は、最終患者登録終了後 2年とする。

11-3. 患者情報の調査

患者について以下の情報を治療開始前に収集する。

1) 性別

2) 生年月日

3) 身長

4) 体重

5) 最近 6カ月の体重減尐の有無(%で表示)

6) 喫煙歴(Never smoker、 Ex-smoker、 Current smokerに分類)

7) PS (ECOG)

8) 病理また細胞診での診断名

9) 確定診断の方法

10) TNM分類

11) 標的病変・非標的病変

12) 遺伝子変異の有無とその検査法

13) 前治療の有無・内容・最終治療日

14) 合併症の有無・疾患名

15) 薬剤アレルギーの有無・種類

16) 原発巣の部位・状況

17) 転移巣の部位・状況

11-4. Stagingおよび Restagingの方法

Stagingは症例登録前に実施完了し、登録前 4週間以内のデータを用いることとする。

Stagingには以下の検査を用いるものとする。

1) 胸部単純 X線写真

2) 胸部 CT(可能な限り造影検査)

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3) 腹部 CT(可能な限り造影検査)

4) 頭部 MRIあるいは CT(可能な限り造影検査)

5) 骨シンチグラフィー(陽性部位は X 線検査等で確認することが望ましい)、PET で代

用可とする。

Restaging はゲフィチニブ投与を中止した時点で実施する。内容は Staging に準じる。ただし PD

例の Restagingは不要である。

11-5. 自覚症状・他覚所見

主として以下の自覚症状・他覚所見を調査する。

PS、体重、発熱、悪心、嘔吐、呼吸困難、皮疹、口内炎、下痢、食欲不振、全身倦怠感、脱毛な

11-6. 登録前評価項目

1) 患者情報: (11-3.)

2) Staging: (11-4.) (登録前 4週間以内)

3) 体重:(登録前 2週間以内)

4) 臨床検査データ:(登録前 2週間以内に検査を行う)

血液検査 (WBC、ANC、Hb、Plt、RBC)

生化学検査 (TP、Alb、ALP、LDH、AST、ALT、BUN、Cr、T-Bil、Na、K、Cl、

Ca、CRP)

炎症マーカー (KL-6),腫瘍マーカー(CEA)

5) 動脈血血液ガス分析、経皮酸素飽和度 (SpO2)(登録前 2週間以内)

6) 心電図 (登録前 4週間以内)

7) QOL調査票「生活状況の調査票」

11-7. 治療期間中の評価項目と評価スケジュール

1) 血液検査 (WBC、ANC、Hb、Plt、RBC) 当初 4週間は尐なくとも週 1回、その後 2-4

週ごとに1回

2) 生化学検査 (TP、Alb、ALP、LDH、GOT、GPT、BUN、Cr、T-Bil、Na、K、Cl、Ca、

CRP) 当初 4週間は尐なくとも週 1回、その後 2-4週ごとに1回

3) 炎症マーカー (KL-6),腫瘍マーカー(CEA) 月 1回

4) 経皮酸素飽和度 (SpO2) 当初 4週間は尐なくとも週 1回、その後 2-4週ごとに1回、

動脈血血液ガス分析は必要時

5) 自覚症状・他覚所見 (11-5. 参照)当初 4週間は尐なくとも週 1回、その後 2-4週ご

とに1回

6) 治療効果判定のための検査

測定可能病変または評価可能病変の CT または MRIによる評価:

a) 治療開始から 1年の間 尐なくとも 2 ヶ月ごと

b) 治療開始後 1年から 1年半 尐なくとも 3 ヶ月ごと

c) それ以降 規定しない(必要に応じて)

7) 肺障害

肺障害が疑われる時には別記 10-4. に示したように可能な限り状況の把握につとめ

る。

8)QOL 調査 治療開始 4、8、12 週後に QOL 調査を行い QOL 事務局に郵送する。

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14-4にて後述。

11-8. 追跡期間中の評価項目とそのスケジュール

1)画像検査

原則として必要なし。ただし、原病の増悪(PD)以外の理由で臨床試験を終了した症

例に関しては、原則として、測定または評価可能病変の画像は、1~3 ヶ月に 1 回実

施する。

2)自覚症状・他覚所見、臨床検査は必要に応じて実施する。

3)再発情報、予後情報

原病の増悪(PD)以外の理由で臨床試験を終了した症例に関しては、再発の有無(再

発日、部位)を調査する。本臨床試験ではPDまで後治療を禁じているが、PD確認前

に後治療がなされた場合も、その後の再発日を追う。全症例に関して、後治療の有

無(薬剤名、治療開始日)、死亡日または最終生存確認日、死亡例では死因を調査

する。

11-9. 経過観察

死亡例があった場合には、本試験での治療との因果関係を記載して報告する。

12. 治療効果及び毒性評価基準

12-1. 効果判定

Response Evaluation Criteria In Solid Tumors (RECIST) を用いて実施する。SD評価のための最

低間隔規定として6週間以上とする。すなわち、SD とは、6週以上 PD、confirmed CR、confirmed

PRのいずれも満たさないものとして定義される。抗腫瘍効果は施設外判定により確認する。

12-1-1. 測定可能病変・標的病変の定義

1) 原発巣、リンパ節、転移巣を問わず以下に相当する場合これを測定可能病変とする。尐なくと

も一方向の測定が可能であり(最長径を記録)、ベースライン時に長径下限以上の正確に測定しう

る病変。具体的には、”スライス幅の 2 倍の大きさが測定可能病変の長径下限” が原則のため、

通常 CT (スライス幅 10 mm) なら、最長径 20 mm以上、ヘリカル (スパイラル) CT (スライス幅 5

mm) では最長径 10 mm以上の病変が測定可能病変となる。胸部単純X線写真での評価は許可

しない。表在病変は、正確に測定できる場合は含めるが、定規を入れた写真を必要とする。上記

以外のすべての病変は測定不能病変とする。標的病変は、測定可能病変で5病変まで含める。

2)標的病変の条件としては長径の大きさと正確に繰り返し測定できることが必要となる。もし、この

条件に合致する病変が 5カ所を越えた場合には最大 5カ所を選択する。

12-1-2. 測定方法・評価方法

1) CT、MRI、直接計測のいずれの場合も同一の modality を使用して測定する。また、CTでは肺

野条件、縦隔条件などの設定も同一のものを用いること。

2) ベースライン時の記録をすべてもれなく追跡することが必要である。すなわち、経過中 1回でも

1 病変でも測定のもれがある場合には標的病変/非標的病変の数は病変数の一番尐なかった評

価時に依存する。

3) 標的病変の評価は一方向の測定であり、CR、PR、PD、SDの 4段階評価となる。

a) CR: 全標的病変の消失

b) PR: ベースライン最長径和を比較基準として標的病変の最長径和で尐なくとも 30%の

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縮小

c) PD: 治療開始以降でき録された最小の最長径和を比較基準として、標的病変の最長径和

で尐なくとも 20%の増大あるいは 1つ以上の新病変の出現

d) SD: 治療開始以降の記録された最小の最長径和を比較基準として、PR に該当する縮小も

なく、かつ PD に該当する増大もないもの。新病変の出現は一つでも PD であるが、

最長径和で評価するため、1つの病変の 20%以上の増大は必ずしも PDではない。

4) 非標的病変の評価は測定不要であり、CR、incomplete response、PDの 3段階評価となる。

a) CR: 全非標的病変の消失および腫瘍マーカーレベルの正常化

b) incomplete response: 一つ以上の非標的病変の持続または/および基準値より高い腫瘍マ

ーカーレベル

c) PD: 1つ以上の新病変の出現 非標的病変の明らかな増悪

5) Best overall response (最良総合効果)

治療開始から疾患の増悪/再発までに記録された最良の効果のことをいう。

6) Best response (最良効果)

最良効果の判定には判定基準と確認基準が必要となる。確認 (confirmation) とは過大評価を

避けるために行われ、効果基準が最初に満たされてから尐なくとも 4 週以上を経て実施する検査

で確認する必要がある。CR/PRでも confirmationできなければ SD となる。元来 SDは confirm不

要だが、本試験では SDのための最低間隔規定として 6週を決定しているので尐なくとも一回はこ

の最低間隔規定を満たして SD基準をキープしなければ SD と判定できない。

[Best overall response]

標的病変 非標的病変 新病変 総合効果

CR CR なし CR

CR Incomplete

response/SD なし PR

PR Non-PD なし PR

SD Non-PD なし SD

PD いずれでもよい ありまたはなし PD

いずれでもよい PD ありまたはなし PD

いずれでもよい いずれでもよい あり PD

12-2. 奏効率・病勢コントロール率

登録症例のうち全適格例を分母として、CR、PR 症例を分子とする割合を奏効率と定義する。%

表示として 95%信頼限界を求める。 同様に全適格例を分母として CR、PR、SD症例を分子とする

割合を病勢コントロール率と定義する。

12-3. 全生存期間の定義

登録日を起算日とし、あらゆる原因による死亡日までの期間とする。生存例では最終生存確認日

をもって打ち切りとする。

12-4. 無増悪生存期間(PFS)の定義

登録日を起算日とし、増悪が確認された日、あるいはあらゆる原因による死亡日のうち早い方ま

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での期間とする。無増悪の生存例では最終無増悪生存確認日をもって打ち切りとする。

12-5.毒性の評価

Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) Version 3.0日本語訳 JCOG/JSCO

版(http://www.jcog.jp/SHIRYOU/ctcae.htm) に従って毒性の評価を行う。

12-6. 施設外校閲

登録症例の画像検査における適格性および抗腫瘍効果の判定については施設外校閲を行う。

判定者は判定症例が治療を受けた施設以外の CJLSG会員とする。

13. 予定症例数と研究期間

13-1. 予定登録症例数とその算定根拠

登録目標症例数は 19例とする。

Simon Two-stage phase II design を用い、閾値奏効率を 30%、期待奏効率 60%として評価可能

症例数は 17例、脱落例を含め目標症例する 19例とする(=0.05、=0.20)。第 1段階で評価可能

症例 10例中奏効例が 2例以下の場合は試験を終了する。

13-2. 症例登録・追跡期間

2009年 3月から 2010年 3月までを登録期間とし、追跡期間は 2年間とする。

14.QOL調査

14-1. 目的

本試験に登録される全症例の QOL 自己評価を検討し、高齢者におけるゲフィチニ

ブ治療の忍容性を検討する。

14-2. 対象

QOL 自己評価は本試験に登録される全症例を対象とする。

14-3. 調査項目

質問票としては、FACT-L(計 7 項目)を使用する。回答者を特定するため、イニ

シャル、生年月日の記入欄を設けておく。

14-4. 調査時期

担当医は、登録時(治療開始前)、4 週間後、8 週間後、12 週間後の計 4 回、QOL

を調査する。登録時の評価は登録前1週間以内に、4 週間後・8 週間後・12 週間後

の評価は、QOL 事務局からの FAX による指示に従い実施する。外来治療の場合は

最寄りの外来受診日まで待って調査する。

14-5. QOL調査の流れ

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1)症例登録時

① 担当医は、当研究事務局に症例を登録する前1週間以内に QOL 調査票を患者に渡

し、記入・投函を依頼する。QOL 調査票は、QOL 調査事務局宛の返信用封筒(淡緑

色)に折り曲げずに入った状態で、QOL 調査事務局から各施設へ予め配布される。

② 当研究事務局は、症例登録にあたり、適格性確認事項の一つとして、患者がすでに

登録時 QOL 調査票を受け取って記入・投函を依頼されているかどうかを確認する。

④ 研究事務局

記入後、 登録前 QOL 調査票 6 、 9 週間後

調査予定日を 通知 / FAX

同意取得 症例登録

研究参加施設 担当医/CRC 登録時

QOL 調査票

患者

① 患者 研究参加施設

QOL調査

事務局

登録 FAX

登録 FAX

記入後、 登録前 QOL 調査票

を郵送

研究参加施設

QOL調査

事務局

4、8、12週後

調査予定日を

通知/FAX

4週間後QOL調査票

郵送

① 患者

研究参加施設

QOL調査

事務局

③ QOL調査状況

確認,電話連絡

記入後、 6 週間後 QOL 調査票を郵送

研究参加施設

QOL調査

事務局

4週間後

QOL調査票

QOL調査状況

確認,電話連絡

研究参加施設

記入後、

4週間後QOL

調査票を郵送

治療開始

2週間後

治療開始

4週間後

治療開始

5週間後

担当医/CRC

4週間後QOL調査

依頼FAX

担当医/CRC

QOL調査

事務局

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(登録時 QOL 調査票が患者に渡されて記入・投函が依頼されていない場合は登録

できない)。

③ 症例登録後、当研究事務局は、適格条件確認用紙を QOL 事務局へ FAX する。

2)治療開始 4週間後

① 症例登録日から 2 週間が過ぎた時点で、QOL 事務局は、参加施設宛に治療開始 4

週間後 QOL 調査票を、郵便で発送する。調査票の郵送先は以下の通り。

・QOL 調査を担当する CRC 等がいる施設:CRC 等

・QOL 調査を担当する CRC 等がいない施設:担当医

なお、QOL 事務局は、調査票発送と同時に、QOL 調査を依頼する FAX を送付する。

送付先は以下の通り。

・QOL 調査を担当する CRC 等がいる施設:CRC 等

・QOL 調査を担当する CRC 等がいない施設:担当医

② 担当医または CRC 等は、QOL 事務局から送付された調査票を受け取って一時保管

し、QOL 調査依頼 FAX に記載された調査予定日前後に、患者に調査票を渡して記

入・投函するよう依頼する。外来治療の場合は最寄りの外来受診日まで待って調査

する。

③ QOL 調査予定日には、予定通り調査が行われたかどうかを確認するため、QOL 事

務局より担当医に確認の電話連絡をする。

3)治療開始 8週間後、12週間後

治療開始 4 週間後の QOL 調査の流れに準ずる。

14-6. QOL調査票の回収・保管

QOL 事務局へ郵送された QOL 調査票は施錠可能な区画に保管する。解析に用いるデー

タベースでは各症例の識別は症例番号のみにより行うこととし、直接個人を識別できる

情報は入力しない。

14-7. データ欠損防止のための対応ならびに欠損時の対応

1)4 週間後・8 週間後・12 週間後の調査において QOL 調査票が手許にない場合は、電話また

はメールにて QOL 事務局へ問い合わせる。その場合は原則として QOL 事務局が調査

票を再送付するが、再送付を待つ時間的余裕がない場合は、プロトコール内に入ってい

る 4 週間後・8 週間後・12 週間後用の QOL 調査票をコピーして患者に渡し、記入後回

収して担当医より QOL 事務局宛に FAX する。

2)以下の場合には、QOL 事務局は担当医に電話による問い合わせを行う。

① 4 週間後・8 週間後・12 週間後の QOL 調査予定日から 1 週間経っても QOL 事務局

に QOL 調査票が FAX されない場合。

② 外来治療のため調査を行う機会が限られている場合などでは、4 週間後・8 週間後・

12 週間後の QOL 調査予定日時点から 1 週間以内に限り調査の延期を認めることが

ある。その場合は 1 週間後に再度電話連絡を行う。

3)電話連絡において QOL 調査が欠損したと判断された場合、欠損の理由が下のいずれに該当

するかを担当医に判断してもらう。

①患者の全身状態が悪化し回答不能となった。

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②患者の全身状態としては QOL 調査可能であったが、QOL 調査の流れの中

でトラブルがあった。

4)QOL 事務局と参加施設の事前の協議において、主治医以外に QOL 調査を具体的に担当す

る人を決めることがある。その場合は QOL 事務局からの調査票送付ならびに調査時期

指示・確認はその担当者にあてて行うものとする。なお、その場合も主治医には調査時

期指示の FAX を同時に送付する。

14-8. QOL 調査の打ち切り

患者またはその家族から、QOL 調査中止の申し出があった場合は QOL 調査を中止する。

それ以外の場合は予定通り調査を行うものとする。(PD となったり、後治療に入った場

合でも患者の全身状態としては QOL 調査可能である場合は調査を行う。)

14-9. 各施設からの報告用紙送付時のトラブル防止について

QOL調査票がもし間違って当研究事務局に郵送された場合は、QOL事務局に転送する。

また、当研究事務局に送付すべき書類が QOL 事務局に郵送された場合は、当研究事務

局に転送する。

14-10. 解析

1) 解析の対象は、登録前の QOL 調査に回答し、かつ以後の調査のうち尐なくとも一度回答

した症例とする。

2) FACT-Lのスコアを算出し、調査時点ごとにその平均ならびに標準偏差を示す。

3) 治療前から治療開始 12週間までのQOLの変化を観察する。登録前から治療開始後、各

時点までの各ドメインのスコアの変化についは、t検定により比較する。

* QOL 調査結果と生存期間、抗腫瘍効果、有害事象の関連については、回帰分析型の手法により

探索的に検討する。

CJLSG 0901 QOL 事務局

〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町 65

名古屋大学大学院医学研究科

予防医学/医学推計判断学教室

FAX: 052-744-2971 TEL: 052-744-2132

Email: [email protected]

15. データ収集・データの記載

1) 登録適格性確認票

2) 治療前記録報告用紙 (登録後 14日以内)

3) 治療経過報告用紙 (データ収集後 14日以内)

a) 治療記録報告用紙

b) 臨床検査報告用紙

c) 毒性評価報告用紙

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4)治療終了報告用紙 (治療終了後 14日以内)

5)追跡報告用紙 (追跡依頼後 14日以内)

6)最終転帰報告用紙 (最終転帰判明後 7日以内)

7)後治療報告用紙

16. 有害事象報告

本臨床試験実施中に生じた重篤な有害事象あるいは予期されない有害事象について施設研究

責任者は研究代表者および研究事務局にすみやかに報告する。施設内の施設長あるいは厚生

労働省などへの報告は、施設の規定に従って実施する。

16-1. 有害事象報告義務

1) 緊急報告が必要な有害事象 (72時間以内に第 1報)

a) プロトコール治療中あるいは最終プロトコール治療日(投与日を0とする)より 30 日以内のす

べての死亡。死亡とプロトコール治療の因果関係は問わずすべて報告する(原病死も含む)。

b) 最終プロトコール治療日より 31日以降だが治療関連死の否定ができない症例。

c) 予期されないグレード 4の非血液毒性

d) Grade 1以上の肺毒性(肺臓炎、肺繊維症)

2) 通常の報告が必要な有害事象 (14日以内に報告)

a) 予期されないグレード 2、 3の有害事象

b) 永続的あるいは顕著な障害 二次がん、再生不良性貧血など

16-2. 有害事象報告に対する研究代表者/事務局の責務

施設研究責任者から緊急報告を受けた研究代表者/事務局は報告内容についてその緊急性・

重大性などを考慮して必要なら緊急に登録の一時停止ならびに各参加施設への緊急連絡を行う。

また、すみやかにプロトコール効果・安全性評価委員会へ報告し、審査を依頼する。通常報告に

ついてもプロトコール効果・安全性評価委員会へ報告し、審査を依頼する。

16-3. プロトコール効果安全性評価委員会での検討

プロトコール効果安全性評価委員会では、報告内容を検討し、症例の取り扱いや登録継続の可

否を含む今後のとるべき対応について研究代表者/事務局に文書で報告する。

17. 研究成果の発表

本研究成績の最終結果は英文雑誌に発表することとする。論文発表、学会発表の発表者は本試

験への貢献度を考慮して CJLSG理事会で協議して決定する。

18. 研究組織

本試験は、Central Japan Lung Study Group (CJLSG) の共同研究である。

CJLSG理事長 鈴木 隆二郎

豊橋市民病院 呼吸器アレルギー内科

〒441-8570愛知県豊橋市青竹町字八間西 50番地

TEL:(0532)33-6111(代表)

研究代表者 斉藤 博

愛知県がんセンター愛知病院呼吸器内科

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〒444-0011岡崎市欠町栗宿 18

TEL: 0564-21-6251

FAX: 0564-21-6467

E-mail: [email protected]

研究事務局 高橋孝輔

愛知県がんセンター愛知病院呼吸器内科

山本麻衣子、武山久美

愛知県がんセンター愛知病院治験事務局

〒444-0011岡崎市欠町栗宿 18

TEL:0564-21-6251(内線 2322)

FAX:0564-26-1340

Email: [email protected]

効果・安全性評価委員会(敬称略、順不同)

山本一仁 (愛知県がんセンター中央病院 血液・細胞療法部)

宇佐範恭 (名古屋大学附属病院 呼吸器外科)

北川智余恵 (名古屋医療センター 呼吸器科)

参加施設(別紙)

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19. 文献

1.Non-Small Cell Lung Cancer Collaborative Group. Chemotherapy in non-small cell lung

cancer: a meta-analysis using updated data on individual patients from 52 randomised clinical trials.

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同意説明文書

「ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有する高齢者非小細胞肺癌に対するゲフィチ

ニブ初回治療の臨床第Ⅱ相試験」について

はじめに

当院では最新の治療を患者さんに提供するとともに、病気の原因や診断方法、治療方法およ

び予防方法の改善に努力しています。この中には、より良い治療効果を示す新しい薬を選び出

すことやすでに発売されている薬を他の薬剤とうまく組み合わせて使用する方法を検討すること

などがあります。このように、治療成績の向上をめざしてあらかじめ定めた計画 (プロトコール) に

従って行われる試験を ”臨床試験” といいます。これから説明いたします治療法は、医学的根拠

に基づいて考案され、より良い成績をめざして行われる臨床試験です。この臨床試験は、中日本

呼吸器臨床研究グループの共同研究として行われ、当院の倫理審査委員会でこの研究の科学

性・倫理性・妥当性を審議され承認を得ています。

1. あなたの病気および病状について

あなたの病気は肺癌のうち、非小細胞肺癌に分類され、病気の広がりとしては IIIB 期または IV

期、または手術後再発にあたります。このため手術は出来ません。治療方針としては、抗がん剤

による化学療法が最も効果的と考えられます。

2. 臨床試験の目的および方法

この試験の目的は、あなたの病気に対してよりよい治療方法を確立するためにおこなうものです。

この臨床試験で使用する薬剤は一般名をゲフィチニブ (商品名:イレッサ) といい、2002年8月に

発売された新しい抗がん剤(分子標的薬)です。ゲフィチニブは、上皮成長因子受容体チロシン

キナーゼの選択的阻害剤としてがん細胞の増殖シグナルを遮断することによりがん細胞の増殖を

おさえるユニークな作用機序を持つ薬です。通常は肺癌が再発した時に単剤で投与しますが、

初回治療での有効性、安全性も検討され、ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有す

る場合の奏効率はおおむね70-80%です。この抗がん剤は今までの研究で肺癌の中でもあなたの

病気と同じEGFR遺伝子変異をもつ肺癌に良好な治療成績が報告されています。今回説明する

臨床試験は「ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有する高齢者非小細胞肺癌に対す

るゲフィチニブ初回治療の臨床第Ⅱ相試験」で、ゲフィチニブ単剤の非小細胞肺癌の初回治療

での有効性および安全性を検討するのが目的です。この薬を内服で 1 日 1 回(通常は朝食

後)服用して頂き、病気が進行せず副作用が耐容範囲内である限り継続して内服して頂きます。

もし、この治療方法で効果がみられず病気が進行してしまう場合には本試験を中止して、他の治

療法を検討します。

3. 予想される利益と有害反応 (副作用)

ゲフィチニブは抗がん剤による化学療法で効果がみられなかったたり、再発した患者さんを対

象として 臨床試験が行われました。この臨床試験には、日本人の患者さん 51 名、外国人の患

者さん 52 名が参加し、1日にゲフィチニブ 250 mg を 1 錠服用しました。この結果、約半数の

患者さんでがんの進行が止まるなどの効果がみられ、また全体の約 20% の患者さんではがんの

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大きさが半分以下になりました。特に腺癌では30%の患者さんでがんの大きさが半分以下になり

ました。このように確かな腫瘍縮小効果が認められていますが、これは、他の化学療法による治療

で効果がみられなかった患者さんを対象にしたもので、初回治療での成績ではありません。最近、

ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を認める場合にゲフィチニブの効果が高いというこ

とが示されました。EGFR遺伝子変異を有する場合の奏効率(腫瘍の面積が50% 以下になり、1ヶ

月以上その状態を継続できる率)はおおむね70-80%と高く、初回治療に用いた場合にも奏効率

75%という優れた成績が報告されています。70歳以上の方に限ったときの成績がこれと同等かど

うかはわかりませんが、この薬はあなたの病気の治療に対して腫瘍縮小効果が期待できると考え

ます。

ゲフィチニブの副作用として、急性肺障害・間質性肺炎、湿疹(にきび様の程度の軽いものが多

いですが、まれに全身やけどに近い重篤なものもみられます)、皮膚乾燥、爪の障害、下痢、肝

機能障害、食欲不振、吐き気、嘔吐、血尿、出血性膀胱炎、急性膵炎などがあります。特に急性

肺障害・間質性肺炎は,多くは治療初期(4週間以内)に発現し重篤になる(時に死亡することも

ある)可能性が高い副作用です。西日本胸部腫瘍臨床研究機構はゲフィチニブの投与が行われ

た1976名の患者さんを調査し、肺炎(急性肺障害・間質性肺炎)の発現率は3.2%、致死率は1.3%

と報告しています。またゲフィチニブの販売しているアストラゼネカ社は全国でイレッサの治療を

受けた3322例の患者さんを調査し、急性肺障害・間質性肺炎の発現率は5.8%、致死率は2.5%と

報告しています。特に男性、喫煙者、すでに間質性肺病変のある方に急性肺障害・間質性肺炎

の発現が多いと報告されています。副作用に対しては早期に発見して対応することが重要です。

このために入院または外来で胸部レントゲン検査、血液検査、酸素飽和度検査を内服開始後1ヶ

月間は尐なくとも週に1回、その後は2-4週ごとに行います。もしご自身で咳・息切れ・発熱など何

か体調の変化を感じられましたら、すぐに御連絡下さい。

4. 当該疾患に対する他の治療方法の有無

あなたの病気に対する治療方法は他にもいくつかあります。通常は抗がん剤の単剤投与か全

身状態が良好であれば2剤の抗がん剤の併用療法も選択できます。詳細については担当医とよ

くご相談下さい。

5. 治療にかかる費用について

本臨床試験は通常の保険診療の範囲内で行われます。このため治療にかかる一切の費用は、

保険診療制度に則って請求と支払いがなされます。また、これらの治療によって健康被害が生じ

た場合には一般診療としての対処に準じて行われます。また「治験」とは異なり、金銭的な援助は

ありません。

6. 試験参加への同意について

この試験への参加を同意しない場合でも不利益を受けることはありません。この臨床試験に参

加するかどうかはあなたの自由です。たとえ同意しない場合でも、今後の治療や看護の度合いが

変わること、不都合が起こることはありません。

7. 同意した後にいつでもこれを撤回できること

この試験に参加することを同意した後でも、また、試験に基づく治療が開始された後でも、自由

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に同意を撤回することができます。もし同意を撤回した場合でも、あなたが不利益を受けることは

ありません。あなたの要望や病状に適した別の治療方法がすみやかに検討されます

8. 人権・プライバシーの保護

あなたの診療録および病院記録の秘密が守られます。あなたの名前や個人を識別する情報は

一切公表されません。この臨床試験の結果は学会発表や論文発表などで使用されますが、名前

や個人が識別される情報は一切使用しません。

9. 病歴などの直接閲覧・データの二次利用

この臨床研究では、この試験が適正に安全に実施されているかどうか、また、患者さんの人権

擁護が十分か、データが正確などのチェックの目的で施設外の専門家が当該施設長の許可を得

てあなたの診療録・レントゲン・CT ・などの直接閲覧をする可能性があります。この場合もあなた

の個人情報は厳重にお守りします。また、本試験で得られたデータは貴重なものとなる可能性が

ありますので、本試験で得られたデータを二次利用する可能性があります。この場合ももちろんあ

なたの個人情報は厳重にお守りします

10. 文書による同意

この臨床試験に参加することは自発的なものですから、あなたの意志をできる限り大切にして

実施されます。もしあなたがこの試験についてわからないことがありましたら、いつでも担当医師に

遠慮なく尋ねてください。また、治療後の経過などについてお聞きすることもあると思いますがご

協力をお願いします。

以上の内容を十分ご理解の上、臨床試験に参加される方は同意書にご署名をお願い致しま

す。

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同意書

「ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有する高齢者非小細胞肺癌に対するゲフィチ

ニブ初回治療の臨床第Ⅱ相試験」について

1. 病気および病状

2. 試験の目的と方法

3. 予想される効果と副作用

4. 他の治療法の有無

5. 治療にかかる費用

6. 試験参加に同意しないでも不利益を受けないこと

7. 随時これを撤回できること

8. 人権・プライバシー

9. 病歴などの直接検閲・データの二次利用

10. 文書による同意

などについて詳細な説明を受け了承しましたので、試験参加に同意します。

病院長殿

署名日 平 成 年 月 日

患者本人署名

住所

上記の患者にこの臨床試験について私が説明し同意が得られたことを確認します。

同意確認日 平 成 年 月 日

担当医師署名