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ー情報を収集し知識として活用する方法とはー
2006年10月11日国立情報学研究所
北岡 元
平成18年度NII市民講座第5回
2006.10.11NII 北岡元作成2
インテリジェンス・サイクル
インテリジェンスサイクル
情報サイドインフォメーション
収集
情報サイドインフォメーション
加工
情報サイドインフォメーション
統合・分析・評価・解釈
インテリジェンス生産
情報サイドインテリジェンス
配布
情報サイド計画・指示
判断・行動する人
情報要求伝達
ステップ 1
ステップ 2
ステップ 3
ステップ 4
ステップ 5
ステップ 6
2006.10.11NII 北岡元作成3
インテリジェンス・サイクル 2
CIAホームページhttp://www.cia.gov/cia/より転載
“ Herring Model”(ビジネス・インテリジェンスの基本モデル)
“ CIA Model”
John E. Prescott他、 Proven Strategies in Competitive Intelligence, p.243より転載
2006.10.11NII 北岡元作成4
同一政府内
情報担当省庁と政策担当省庁
サイクル
インテリジェンス
情報要求
現実
サイクル
現実
インテリジェンス
情報要求
担当官
担当部局
上司
サイクル
現実
インテリジェンス
情報担当部局
政策・企業戦略担当部局
政府
政策担当省庁
サイクル
現実
インテリジェンス
情報要求
情報担当省庁
一人二役
思考上のインテリジェンス・サイクル
同一政府省庁・企業内
担当官・部局と上司
同一政府省庁・企業内
情報担当部局と政策・企業戦略担当部局
判断・行動する人
判断・行動する人
判断・行動する人
判断・行動する人
情報サイド
情報サイド
情報サイド
情報サイド
インフォメーション
インフォメーション
インフォメーション
インフォメーション
インテリジェンス・サイクルの種類
情報要求
2006.10.11NII 北岡元作成5
広辞苑を引く
• 情報とは何か
– 或ることがらについてのしらせ
– 判断を下したり行動を起したりするために必要な知識
インテリジェンス
インフォメーション
2006.10.11NII 北岡元作成6
インテリジェンス・サイクル
インテリジェンスサイクル
情報サイドインフォメーション
収集
情報サイドインフォメーション
加工
情報サイドインフォメーション
統合・分析・評価・解釈
インテリジェンス生産
情報サイドインテリジェンス
配布
情報サイド計画・指示
判断・行動する人
情報要求伝達
ステップ 1
ステップ 2
ステップ 3
ステップ 4
ステップ 5
ステップ 6
初めに情報要求ありき
2006.10.11NII 北岡元作成7
インテリジェンス・サイクル 立体モデル
サイクルの回転は継続する(対象の変化、判断・行動する人の関心の変化・拡大)
立体モデルの導入(螺旋のイメージ)
インテリジェンス・サイクル
情報要求伝達
情報要求伝達
情報要求伝達
情報要求伝達
インテリジェンス配布
インテリジェンス配布
インテリジェンス配布
判断・行動する人
横向きの矢印は時間の経過を示す
2006.10.11NII 北岡元作成8
変化する現実
インフォメーション
配布3
配布1配布2
生産されたインテリジェンス
インテリジェンス・サイクル
判断・行動する人
情報要求
伝達1
伝達2
伝達3収集1
収集2
収集3
インテリジェンス・サイクル
立体モデル 2
横向きの矢印は時間の経過を示す
2006.10.11NII 北岡元作成9
インテリジェンス・サイクル 立体モデル 3
配布3
配布2
配布1
判断・行動する人
情報サイド
インテリジェンス・サイクル
生産されたインテリジェンス
インフォメーション
変化する現実
伝達3
伝達2
伝達1
収集1 収集3収集2
平面図切断情報要求
2006.10.11NII 北岡元作成10
ごろ寝テレビとネット・サーフィン
平面図切断
インフォメーション
変化する現実
インフォメーションの受け手
インテリジェンス・サイクル 過去に遡るインフォメーションの受け手横向きの矢印は時間的経過を示す
2006.10.11NII 北岡元作成11
利益の自覚
平面図切断
インフォメーション
変化する現実
利益の自覚横向きの矢印は時間的経過を示す
利益の自覚:自分を取り巻く現実は、自分にとって・・・○不利なのではないか○有利なのではないか○将来有利にする可能性があるのではないか○将来不利になる可能性があるのではないか
即判断・行動
インテリジェンスを巡る
プロセスの終わり
判断・行動のために必要な知識を入手したい
判断・行動する人
インフォメーションの受
け手
情報要求
2006.10.11NII 北岡元作成12
インテリジェンスの始まり
• 伝統的な平面図モデル
– はじめに情報要求ありき
• 立体モデルの導入(回転の前の回転、その前の回転・・・過去に遡る)
–はじめに利益(の自覚)ありき
2006.10.11NII 北岡元作成13
鶏と卵 2
• ブルース・バーコウィッツ(Bruce Berkowitz)の「鶏と卵」– “Better Ways to Fix U.S. Intelligence”, Orbis 2001 Fall,
Elsevier Science Ltd.
– 政策担当(判断・行動する人): 現実を認識しない限り、情報要求を伝達できない
– 情報担当: 情報要求が伝達されないと、インテリジェンスを生産・配布して、政策担当に現実を認識させられない
情報要求 インテリジェンス
2006.10.11NII 北岡元作成14
冷戦中と冷戦後
戦略核ミサイルの配備状況を調べろ イエス・サー
冷戦終結
俺は何を知れば良いんだ?
それが分からないとインテリジェンスが作れないよ・・・
2006.10.11NII 北岡元作成15
ビジネス・インテリジェンスの「鶏と卵」2
• ベンジャミン・ギラード(Benjamin Gilad)– インテリジェンス担当の緩慢な死・・・
– マネジメントと緊密に対話し、企業の特質(能力・弱点)を良く理解したインテリジェンス担当が、マネジメントの情報要求を待つことなく、自発的にインテリジェンスを生産し、マネジメントに助言・警告する
–早期警戒の提唱
2006.10.11NII 北岡元作成16
判断・行動する人と情報俺は何を知れば
良いんだ?
それが分からないとインテリジェンスが作れないよ・・・
判断・行動する人
情報担当
緊密な対話による
情報要求の発見
2006.10.11NII 北岡元作成17
KITプロセス
• Key Intelligence Topics Process• クエスチョネア等を介して、企業のマネジメントとインテリジェンスの専門家が緊密に対話。情報要求を発見する。
2006.10.11NII 北岡元作成18
アカウンタビリティーの重視• ダグラス・マキーチン(Douglas J. MacEachin)
– インフォメーションの分析結果を支える証拠とロジックが明確であれば、政策担当とインテリジェンス担当の関係がどんなに緊密になっても、インテリジェンスの政治化は起きない。
– 何故なら、政策担当は、分析結果が気に入らない場合、その結果が立脚する証拠とロジックの何処がおかしいか、説明せざるを得なくなるためだ。
2006.10.11NII 北岡元作成19
ごろ寝テレビとネット・サーフィン
平面図切断
インフォメーション
変化する現実
インフォメーションの受け手
インテリジェンス・サイクル 過去に遡るインフォメーションの受け手横向きの矢印は時間的経過を示す
2006.10.11NII 北岡元作成20
孫子
彼を知りて己を知れば、百戦して
あやうからず
2006.10.11NII 北岡元作成21
ビジネス・インテリジェンスの「鶏と卵」2
• ベンジャミン・ギラード(Benjamin Gilad)– インテリジェンス担当の緩慢な死・・・
– マネジメントと緊密に対話し、企業の特質(能力・弱点)を良く理解したインテリジェンス担当が、マネジメントの情報要求を待つことなく、自発的にインテリジェンスを生産し、マネジメントに助言・警告する
–早期警戒の提唱
2006.10.11NII 北岡元作成22
政府インテリジェンス組織の活動
• IMINT(イミント Imagery Intelligence)– 画像をインフォメーションとして、生産されるインテリジェンス
• SIGINT(シギント Signals Intelligence)– 会話や信号の傍受結果をインフォメーションとして、生産されるインテリジェンス
• HUMINT(ヒュミント Human Intelligence)– 人間がもたらす報告等をインフォメーションとして、生産されるインテリジェンス
• OSINT(オシント Open Source Intelligence)– 公開されている資料等をインフォメーションとして、生産されるインテリジェンス
2006.10.11NII 北岡元作成23
政府インテリジェンス組織の活動 2• IMINT(Imagery Intelligence)
– 「何処で何時」の問題• あらかじめ場所が分かっている
• 定点観測で変化を抽出する
2006.10.11NII 北岡元作成24
政府インテリジェンス組織の活動 3
ケースオフィサーエージェント
• HUMINT(Human Intelligence)– タイミングが偶発的
– インフォメーション入手の範囲を拡げ、大量のインフォメーションを処理する必要
2006.10.11NII 北岡元作成25
インフォメーションは必ずある• アラン・カリソン( Alan Cullison)のコンピューター
• 1942年6月12日、ニューヨーク、ロングアイランドの
浜辺にて・・・– ファラー・ティープル(Farrar Teeple) と ジョン・カレン
(John Cullen)
2006.10.11NII 北岡元作成26
政府インテリジェンス組織の活動 5• SIGINT(Signals Intelligence)
– 「小麦と籾殻」の問題• 大量のインフォメーションを処理する必要
2006.10.11NII 北岡元作成27
政府インテリジェンス組織の活動 6• OSINT(Open Source Intelligence)
– 「小麦と籾殻」の問題• 単なるインフォメーションと言われていたが、最近はインテリジェンスとされるようになった
• 大量のインフォメーションを処理する必要
• その他・・・– PIZZINT ( Pizza Intelligence )– LAVINT ( Lavatory Intelligence ) 等々
2006.10.11NII 北岡元作成28
政府インテリジェンス組織の活動 7
• 今後大切になること– 「インフォメーションは、必ずある!」
– 大量のインフォメーションを迅速に処理する(コンピューターの支援)
• 分業– 地域ごと、国ごと、ターゲットごと
– 敵の意図・能力
• 分析– ジュニア・中堅 担当ごと
– ベテラン 全体
2006.10.11NII 北岡元作成29
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途方もない作業
• 銀行強盗とテロリスト
– ロスアンゼルス市警• 1万2千名で3百万人
– FBI• 1万2千名の特別捜査官で100倍の人間
2006.10.11NII 北岡元作成30
そして、「己を知る」
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• 対テロ国家戦略
2006.10.11NII 北岡元作成31
「己を知る」ということ
• サンドリ・カルサ(Sundri Khalsa)– 伝統的考え
• 分析官は脅威(敵の意図と能力)のみ分析すべき。
(彼を知る)
– テロの時代には、分析官は自らの弱点も分析すべき。(己を知る)
2006.10.11NII 北岡元作成32
今夜のまとめ
• 全ての情報は、初めはインフォメーションに過ぎない。それに頼って判断・行動するのは危険。インフォメーションは吟味し、インテリジェンスに高めた上で利用すべき。
• インテリジェンスを上手く生産し、活用できるかどうかは、インフォメーションから、「自らの利益を自覚出来るかどうか」にかかっている。
• しかし現代社会では、肝心の「利益の自覚」が困難になっている。そこでまず「己を知る」、つまり自分自身の強いところや弱点をしっかりと分析することから始めるのが大切。そうすれば、「自らの利益」は自覚できるようになる。
• 以上は、国家、企業及び個人というあらゆるレベルで共通している。