ソフトウェア品質保証部長の会からの情報発信！～普遍的 ... · 2017-10-06 · ソフトウェア品質保証部長の会からの情報発信！～普遍的・基礎となるべき品質保証～

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ソフトウェア品質保証部長の会からの情報発信！～普遍的・基礎となるべき品質保証～

2017 ソフトウェア品質保証部長の会第5グループ：風見玲衣（株式会社ウェブレッジ）

周藤裕和（株式会社ProVision）

千綿洋一（元株式会社ニコン）

早崎伸二（株式会社リンクレア）

牟田香奈※ （日本ATM株式会社）

森中秀明（アンリツネットワークス株式会社）

（以上五十音順）※は発表者

自社の品質力をひっぱり上げる！品質保証部門での人財育成

ソフトウェア品質シンポジウム2017

SQiP特別セッション～SQiPからの情報発信～

2017年9月15日

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本提案の趣旨

ソフトウェアの品質は開発手法や技術力は勿論，倫理観の影響も

受けることから，人材育成といえば技術研修や啓蒙，TQMを推進

する品質管理教育を思い浮かべるかもしれません。しかし多くの人は

それだけでは高品質のソフトウェアは開発できないことを知っています。

私たちは品質保証部門の後継者問題や現場の品質教育問題の

背景にあるものを探る中で，品質力が組織学習の源泉であり，

“高品質力人財”が現場の品質意識や技術力をひっぱりあげるという

仮説を立て，これを「品質のハンカチモデル」と名付けました。

本提案は以下の３つの疑問にも答えるものと考えています。

①ソフトウェア開発における品質力とは何か（本提案における定義）

②なぜ品質力に着目するのか

③品質力の高い人材はどうすれば育つか2



しかし，私たちはソフトウェア開発の品質力は，ハードウェア製造現場と同じ方法では獲得できないと考えている。

次章ではハードウェア製造とソフトウェア開発を対比させ，ソフトウェア開発にまつわる誤解を紐解きながら，品質力に迫る。

3

…品質力とは何か？品質のよい製品を開発し続けることのできる会社は，品質力の高い会社であると一般的に考えられている。ハードウェアの製造業界では品質力に着目した人材育成を謳う企業も見受けられる。

皆さまへの質問



1. ソフトウェア開発における品質力とは(1)

■ハードウェア製造の品質力

プロダクト

プロダクト

個人の能力

知識・現場経験

倫理観・情熱

作業方法

製造技術

マニュアル化された手順

技術研修

(工場の)製造プロセスの品質力は組織に宿る

設計プロセス

プロセスを維持・改善する力

品質管理教育（TQM）

啓蒙

現場教育

製造プロセス（工場の製造ライン）

4



1. ソフトウェア開発における品質力とは(2)

■ソフトウェア開発の品質力

設計プロセスプロダクト

プロダクト

品質管理教育（TQM）…?

設計プロセスの品質力は個人に宿る

製造プロセス（ｺﾝﾊﾟｲﾙ）

個人の能力作業方法

開発標準

品質意識・ﾌﾟﾛﾌｪｯｼｮﾅﾙﾏｲﾝﾄﾞ

マネジメント力・開発技術力

開発基盤

設計プロセス

プロセスを新たに構築する力

技術研修

啓蒙

現場教育…?

※プログラミング＝コード設計

（≠製造プロセス）

5


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2. 「品質のハンカチモデル」の提案(1)

高品質ソフトウェアを開発する会社（組織）

高い品質のソフトウェアを提供する人財（個人）高い品質のソフトウェアを提供する人財（個人）高品質ソフトウェアを開発するプロ人財

プロフェッショナルマインド品質意識

マネジメント力

品質文化（組織学習）

品質力

知識共有

品質力は個人に宿り，個人の知識が組織に共有されることで

品質文化が醸成され，品質文化が人を育てる好循環が生まれる

開発技術力

■品質文化醸成モデル



（ハンカチの一か所を摘み上げれば、他の部分も順次引っ張りあげられる様子から）


適切なポイントを摘み上げると，それに繋がる全体が相乗的に

引き上がり，一段上の次のステージに移行する

■ハンカチ効果とは…



品質力をひっぱりあげることでプロ人財が育ち、好循環ループの

形成により，事業環境の変化に追従し発展し続ける組織となる

「品質文化醸成モデル」をハンカチに例える「品質力」を摘み上げる

プロ人財が品質文化を醸成

・品質意識・プロフェッショナルマインド・品質力・マネジメント力・開発技術力の高いプロ人財が育成される

①

②

③

・・・①②だけでは『半価値モデル』


好循環ループ

■品質のハンカチモデルの提案



3. プロ人財の育成(1)

9

■開発現場の実態

期日やコストの制約が，悪習や無知について考える時間と気持ちを奪っている場合…

実践

あるべき姿

経験知識

プロ人財スキル

醸成醸成

発揮

蓄積学習

醸成

教育

活用活用

実際の姿

実践

経験知識


醸成醸成

発揮

蓄積学習

醸成

教育

活用活用

良い経験の蓄積/知識の学習が弱いため，プロ人財スキルも醸成されず，開発を取巻く状況が変わると通用しなくなる




品質監査品質評価リリース判定振り返り会議品質教育情報提供火消し

品質保証部門

品質保証部門が密な係わりを持つことにより，開発現場に“気付き”を与えられる。

気付き

あるべき姿

実践

経験知識


実際の姿

■開発現場と品質保証部門の関わり方

開発現場

発揮醸成

気付きによって良い経験の蓄積と正しい知識の学習が促され，品質力が増し，プロ人財スキルが醸成される（好循環）



品質監査品質評価リリース判定振り返り会議品質教育情報提供火消し

品質保証部門は多くの現場を知る立場にあり，より多くの気付きを得ることができる。

サーバント・リーダーシップの特性※が自然と身につく。※傾聴・共感・癒し・気付き・納得・概念化・先見力・

執事役・人々の成長への関与・コミュニティづくり

実践

経験知識


教育 QA部門

気付き研ぎ澄まされる

５感

■品質保証部門の有利な特徴（例）

開発現場

多くの気付きの機会と実践で研ぎ澄まされた５感(センス)が品質力を増し，プロ人財スキルをさらに発揮させる（好循環）




収集能力適切な情報を集められる分析能力論理的、統計的に考えられる提案能力よりよい方向へ変革できる

：

視覚本質、状態、将来を見抜く力聴覚開発状況や担当者の調子を聞く力触覚成果物の出来ばえを触って感じ取る力味覚論理の美しさや工夫の良さを観る力嗅覚トラブルの予兆（異臭=issue)や誤ったプロセス（悪習）を嗅ぎ分ける力

発揮される能力 Quality ability

品質力＝（知識＋経験）✕ 研ぎ澄まされた５感

知識と経験により増大し，現場を視て聴いて触って味わい嗅ぎ分けることで様々な能力として発揮できるようになる内在する力

【フォース（Quality force）】

■品質力の源泉

4. 品質力の定義（本提案における定義）

個人に宿る力/教育や啓蒙では得られない力/変化に適応する力

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• 製品やシステムの品質を確保し、向上させる品質保証部門の

ミッション

• 品質マネジメントに関する知識と経験品質保証部門に

求められるもの

• ローテーション、現場教育

• 研修、書籍

品質保証部門の

人材育成方法

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世間のイメージ

5. 品質保証部門の高品質力人財の育成(1)



• 製品やシステムの品質を確保し、向上させる

• 品質力の高いプロ人財を育成する

• 品質文化の醸成を促す（事業環境の変化に追従し、発展する組織を作り上げる）


ミッション

• 品質マネジメントに関する知識と経験

• 研ぎ澄まされた５感

• 現場に気付きを与えるリーダーシップ

品質保証部門に

求められるもの

• 研修、書籍

• ローテーション，日ごろからの現場との積極的な係わり

• 「部長の会」や「SQiP」などの外部コミュニティの活用


人財育成方法

部長の会からの提案

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5. 品質保証部門の高品質力人財の育成(2)



6. 第5グループ(人材育成)の今後の活動

私たちは品質力に着目し、品質保証部門で“高品質力人財”を

育成することの重要性をモデルで表現しました。

この発表が，品質保証部門の魅力を多くの人に知ってもらうきっかけ

となり，皆さまの会社の人材育成のご参考になれば幸いです。

しかし，人材育成グループの活動は，これで終わりではありません。

・「品質のハンカチモデル」とCMMとの関連

・品質力がどのような場面でどのような能力として発揮されるかの例示

（コンピテンシーモデル）

・ソフトウェア品質の特徴を掴んだメタファーやアナロジー表現

など，検討テーマや課題が多く残されています。

ご興味ある方はぜひ本活動にご参加ください。

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さいごに

16

May the Quality force be with you!

フォースと共にあらんことを！



参考文献

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①大場充,松瀬健司,堀田勝美, ソフトウェアプロセス改善と組織学習―CMMを毒にするか?薬にするか? , 2003年, ソフト･リサーチ･センター②高間邦男, 学習する組織現場に変化のタネをまく, 2005年, 光文社③清水吉男, 「派生開発」を成功させるプロセス改善の技術と極意, 2007年, 技術評論社④足立久美, 5感監査のすすめ, 2016⑤SQuBOK策定部会 (編集), ソフトウェア品質知識体系ガイド -SQuBOK Guide-(第2版),オーム社⑥特許庁統計資料, 付録2 非製造業における「研究」の定義,http://www.jpo.go.jp/shiryou/toukei/pdf/h17_tizai_katudou/f02.pdf

⑦NPO法人日本サーバントリーダーシップ協会 http://www.servantleader.jp/index.html


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