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1
インド薬草アシュワガンダの研究に基づく健康増進技術
産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門
細胞増殖制御研究グループ 研究グループ長
ワダワ レヌー
2
研究背景
現代社会は食品、化粧品、日用品由来の化学製品に多く依存しており、ストレスやがんを含む各種疾病の増加の一因となるため、人々の健康を守る経済的かつ有効な新しい手法の開発が急務となっている。我々はアシュワガンダの生物学的な活性を同定し、その活性物質の作用メカニズムを理解した上で、人々の健康を守る有効な薬品の開発を目指している。既往の研究でアシュワガンダ葉抽出物に抗がん作用があり、その活性物質ウィザノンは工業用化学物質により誘発された細胞の早期老化から保護することもわかっており、これを利用した健康サプリメントの開発が期待できる。
3
老化
MAA
ヒト正常細胞
MAAによる
早期老化誘導
ガン ストレス
若い細胞 老化細胞 ガン細胞
老化、がん、ストレスの分子生物学を理解し新しい治療薬を開発する
4
•約5千年前にインドで生まれ、現在もインドを含む多くの国々
で実践されている、世界保護機構(WHO)が認めた世界で
最も古い伝統医学の1つ
•病気の予防、若返り促進、寿命の延長を強調
•最近では、世界中の科学者達がアーユルヴェーダのハーブ
調剤を医療現場で実証する試みをはじめている。
Ayurveda for Aging and Cancer
アーユルヴェーダの神話とインドの信仰から真実へ
・アーユルヴェーダはサンスクリット語で
‘生命の科学’
(AYURVEDA)=AYUS(生命)+VEDA(科学)
5
From Health to Beauty
5000 years of history of using plants for a variety of human ailments,
life promotion, rejuvenation and beauty
Queen of Ayurveda:
the classical Indian system of medicine
6
アーユルヴェーダの中で最も優れた薬草。 ‘アーユルヴェーダの女王’、‘アーユルヴェーダの賜物’とも 呼ばれている。 インドやネパールの乾燥地帯で自生するナス科の低木常緑樹。根は3,000年以上前から使用されている。
アシュワガンダ(Withania somnifera)
アシュワガンダの呼び名 ラテン語:Withania somnifera サンスクリット語、ヒンズー語:アシュワガンダ 英語:インディアンジンセン (インド人参、ウィンターチェリー)
7
なぜアシュワガンダ=革新的な栄養剤?
眠れない
思考できない
ストレス
やることがたくさん
高血圧
糖尿病
関節炎
不安
うつ病
炎症
運動能力
気管支炎
健康増進
アシュワガンダ
アーユルヴェーダでは、健康促進や生活改善のストレス解消剤として推奨される
研究例が少ない
8
Anti-metastatic {Leyon and kuttan 2004}
Immuno-stimulator
(Ziauddin et al.,1996)
Immuno-regulator
in immune inflammation
(Agarwal et al., 1999)
Growth-
inhibitory
(Devi et al., 1992)
Suppress
cyclophosphamide
toxicity (Davis and Kuttan 1998)
Induce NOS (Iuvone, Esposito et al.) 2003)
Antistress (Iuvone, et al. 2003)
Anti-tumour
and
radio-sensitizing actions (Devi,1996)
9
Activities in Ashwagandha Leaf
Leaf extracts of
Indian -Ashwagandha
(LASH/i-Extract)
新技術の基となる研究成果・技術
10
葉抽出物 精製成分
ウィザノン
Withanone
ウィザフェリンA
Withaferin A
メトキシウィザフェリン
Methoxy Withaferin
アルコール抽出物
i-Extract
水抽出物
WEX アシュワガンダ
細胞モデル
早期老化
工業用代謝産物による
ストレス
ガン細胞 動物モデル
毒性モデル
腫瘍モデル
ヒト培養細胞
アシュワガンダ葉抽出物の活性アッセイ
11
アシュワガンダ葉抽出物(i-Extract)とその成分ーウィザノンの抗がん活性
コントロール i-Extract 12
日目
Da
y 1
10 日目 20 日目
ウィ
ザノ
ン
コントロール i-Extract
(100 mg/Kg BW)
Withaferin A
(10 mg/Kg BW)
10 日
目
15 日
目
Withanolide A
(10 mg/Kg BW) 12-deoxywitha
stramonolide
(10 mg/Kg BW)
12
正常細胞 ガン細胞
組み合わせ コントロール コントロール
コン
トロ
ール
1日目 3日目 6日目 9日目 組み合わせ
コントロール
組み合わせ
組み
合わ
せ
強力な抗ガン活性を有する新しい組み合わせ
13 T
IG1
M
CF
7
U2
OS
ヒト由来癌細胞に対するi-Extractの選択的毒性
Control 12 ug/ml 24 ug/ml
14
ヒト由来正常皮膚細胞におけるi-Factorとi-Extract の安全性試験
i-Extract
Withaferin A
i-Factor
Control
Increasing concentration
15
ウィザノンによる正常細胞の寿命延長と酸化的損傷からの保護効果
p53
-
H2A
X
UV
UV Control
+ Withanone
U2
OS
T
IG-1
W
I-3
8
Control i-Extract
24 mg/ml
Withaferin A
0.05 mM
Withanone
25 mg/ml
Passage number
Pop
ula
tio
n d
ou
bli
ng
s
Control H2O2 H2O2 +
Withanone
MR
C5
16
A
ヒト正常細胞
MAA ウィザノン
+ MAA ウィザノン コントロール
/DMSO
B C D A
細胞の生存率
-Gal 染色
(細胞老化の測定)
DNA ダメージ
ROS 生成
ミトコンドリア
ダメージ
MAA 細胞毒性に対するウィザノンの保護作用
17
Control
RA differentiated IMR 32 Cells
Control
H2O2 i-Extract
i-Factor Withaferin A
Control
Glutamate i-Extract
i-Factor Withaferin A
Control
神経細胞に対するi-Extractとi-Factorの
ストレス保護作用
18
Control Glutamate ASH-WEX + Glutamate
Co
ntr
ol
Glu
tam
ate
G
luta
mate
+ A
SH
-WE
X
AS
H-W
EX
Phase MAP-2 NF-200 overlap
神経細胞に対するi-Extractとi-Factorのストレス保護作用
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従来技術とその問題点
アシュワガンダは伝統的信頼のもと、活性の科学的根拠がないまま使用されてきた。そのため、予防や治療を目的として製品化することはできなかった。
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新技術の特徴・従来技術との比較
• アシュワガンダの葉抽出物が有する抗がん、抗老化の活性成分とその作用機序が立証されている
• 化学的特徴を有するアシュワガンダは健康・医薬産業のニーズに対応できる
• 科学的根拠に基づく健康補助食品と化粧品として利用できる
• 我々が解明した科学的根拠に基づき、化学的特徴を有するアシュワガンダを健康、医薬産業に有用な新製品に利用することができる
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想定される用途
• i-アシュワガンダ(産総研(AIST)の研究に基づいた化学的特徴を有するアシュワガンダ)を抗老化、抗がんのために利用
• 健康産業における i-アシュワガンダ製品
• 予防と治療を目的とした医薬産業におけるi-アシュワガンダ製品
想定される業界 • 機能性食品、サプリメント、特定保健用食品、医薬部外品、薬用化粧品およびヘルスケア製品などを視野に入れた健康産業
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実用化に向けた課題 アシュワガンダ葉抽出物の活性成分が抗がん、抗老化、抗ストレス作用を有するデータは既に取得しているが、その効果を有効的に製品化する方法を検討している。また、実用化に向けて、その活性成分を安定的に含有するアシュワガンダの栽培法を確立する必要がある。
企業への期待 科学的根拠に基づいた i-アシュワガンダ製品の開発と販売に向けて、健康食品の開発技術を持つ企業や健康産業への展開を考えている企業との共同研究を希望。
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本技術に関する知的財産権
• 「アシュワガンダの葉抽出物の構成成分であるウィザノンを含む正常細胞の寿命延長などのための組成物」
特開2008-195704 / 独立行政法人産業技術総合研究所
ワダワレヌー、カウルスニル
• 「アシュワガンダの葉抽出物による腫瘍細胞選択的増殖阻害」 4868403 / 独立行政法人産業技術総合研究所 ワダワレヌー、カウルスニル、多比良 和誠、アヴィナス ナグパル
• 「ウィザノライド成分を組み合わせた抗癌剤」 特願2010-262117 / 独立行政法人産業技術総合研究所 ワダワレヌー、カウルスニル
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お問い合わせ先
独立行政法人 産業技術総合研究所
イノベーションコーディネーター 小高正人
TEL 029-861 - 6683
FAX 029-861 - 6048
e-mail m.kodaka@aist.go.jp