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1
タンカー規制の問題点とタンカー規制の問題点と今後の見通し今後の見通し
IMOへのEU提案と
我が国の対応について
2
EUEUの動きに対する懸念の動きに対する懸念
政府間の問題点
海運における問題点
Unilateralism
沿岸国の強行措置
欧州が独自案に走ると、米・欧・日本その他の三極に分化し、IMOのグローバルスタンダード作成機能が著しく低下するのではないか?
シングルハルタンカーのEEZ内通航禁止措置は、航海自由の原則を侵すことにならないか?
タンカーマーケットへの悪影響
モラルハザード
2010年に全世界のタンカー船腹量の1/4をスクラップすることになると、深刻
なタンカー運賃不況が生じないか?
メンテナンスをきちっとしている船もしていない船も同じ時にスクラップされるのであれば、メンテナンスにコストをかける会社はいなくなるのではないか?
3
プレステージ号の主要目プレステージ号の主要目
1976年 (26歳)建造年
77,000トン事故時
重油積載量
Universe Maritime(ギリシア)
運航者
81,589DWT載貨重量トン数Mare Shipping(リベリア)
船主
42,820G/T総トン数ABS船級
34.4m幅バハマ船籍国
234.5m全長Prestige船名
4
EUEUのタンカー事故対策提案のタンカー事故対策提案
シングルハルタンカーのフェーズアウトの前倒し
シングルハルタンカーによる重質油の輸送の禁止
タンカーの状態評価スキーム適用の前倒し
北海海域をParticularly Sensitive Sea Areaに指定
●避難港特定スキームの検討加速
●油濁補償基金の拡充
●燃料油タンクの防護要件の検討
●旗国の遵守事項の明確化と監査 スキームの検討
●PSCの強化
●検査の拡充
●油汚染処理能力の確保
●汚染事故原因者への制裁強化
5
IMOIMOにおける条約化とにおける条約化とEUEUにおける法制化のスケジュールにおける法制化のスケジュール
IMOIMO
4月
IMOへEU案を提出
7月 MEPC49 (海洋環境保護委員会)
11~12月 拡大MEPC
(改正条約採択?)
2005年4月?改正条約発効
EUEU
3月 プレステージ対策の大枠 を閣僚理事会で決定
6月 欧州議会で欧州規則を 採択
9月 欧州規則発効(予定)
2002年11月 プレステージ号事故
6
我が国の基本的立場我が国の基本的立場
環境保護先進国(G8の一員)としての立場と、主要海運国としての立場の両立
船舶の安全・環境規制は、グローバル・ スタンダードで行うべき
油タンカーのダブルハル化を促進することは支持するが、物流や海運マーケットに悪影響が出ない方法を模索する
IMOにおける国際協調を損なうことなく、建設的な妥協の道を探る
7
EUEUのタンカー規制提案のタンカー規制提案
シングルハルタンカーのフェーズアウトの促進 米国の独自規制(OPA90)とほぼ同様のスケジュール
=2010年までに原則シングルハルタンカーを排除
シングルハルタンカーによる重質油の輸送禁止 5,000DWT以上:すみやかに実施 5,000DWT未満:2008年までの猶予期間の後実施
特別敏感海域(PSSA)の設定 スペインからイギリスまでの間の海域をIMOでPSSAとし、
当該海域においてはシングルハルタンカーによる重質油の 輸送を禁止
8
ダブルハルタンカーとダブルハルタンカーとシングルハルタンカーの構造シングルハルタンカーの構造
シングルハルタンカー ダブルハルタンカー
9
タンカーのダブルハル化の歴史タンカーのダブルハル化の歴史
エクソン・バルディス号事故 (1989年3月)
1992年3月 MARPOL条約改正(1993年7月発効)– 5,000DWT以上のタンカーにダブルハル構造を要求(1996年7月以降引渡しのもの)
– 現存する大型のシングルハルタンカーは原則船齢25歳又は30歳までにフェーズアウト
大型タンカー:30,000DWT以上の精製油タンカー 及び20,000DWT以上の原油タンカー
中型タンカー:5,000DWT以上で大型タンカーよりも小さいタンカー
10
タンカーのダブルハル化の歴史タンカーのダブルハル化の歴史(1992年)(1992年)
カテゴリー 1 カテゴリー 2
カテゴリー 3
ダ
ブ
ルハル
ダブルボトム
2万DWT*
5千DWT
600DWT
(DWT)
1982年6月 1996年7月*プロダクトタンカーにあっては、30,000DWT
現存船
25歳まで 30歳まで
新造船
11
タンカーのダブルハル化の歴史タンカーのダブルハル化の歴史
エリカ号事故 (1999年12月)
2001年4月 MARPOL条約改正(2002年9月発効)– 大型シングルハルタンカーのフェーズアウト期限の設定:
原則2015年又は2007年における引渡しの日まで
– 中型シングルハルタンカーへのフェーズアウトの導入及びフェーズアウト期限の設定:
原則2015年における引渡しの日まで
12
カテゴリー 1 カテゴリー 2
カテゴリー 3
ダ
ブ
ルハル
ダブルボトム
2万DWT*
5千DWT
600DWT
(DWT)
1982年6月 1996年7月*プロダクトタンカーにあっては、30,000DWT
2007年まで段階的に
92年改正時現存船
2015年まで段階的に
92年改正時新造船
2015年まで段階的に
タンカーのダブルハル化の歴史タンカーのダブルハル化の歴史(2001年)(2001年)
13
カテゴリー 1 カテゴリー 2
カテゴリー 3
ダ
ブ
ルハル
ダブルボトム
2万DWT*
5千DWT
600DWT
(DWT)
1982年6月 1996年7月*プロダクトタンカーにあっては、 30,000DWT
条約改正発効後、速やかに
92年改正時現存船
2010年ま
で段階的に
2010年まで段階的に
タンカーのダブルハル化の歴史タンカーのダブルハル化の歴史((EUEU提案)提案)
92年改正時新造船
14
シングルハルタンカーのスクラップ量シングルハルタンカーのスクラップ量
5,000 DWT 以上のタンカーのフェーズアウト量
0
10
20
30
40
50
60
70
80
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015 年
現行MARPOL 13G
Estimated from the LMIS database
シングルハルタンカー:1億4千万DWT全油タンカー: 2億8千万DWT
百万
トン
15
EUEUのフェーズアウト加速案のフェーズアウト加速案
5,000 DWT 以上のタンカーのフェーズアウト量
0
10
20
30
40
50
60
70
80
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015 年
EU 提案
現行MARPOL 13G
Estimated from the LMIS database
2010年に約7千万DWTのスクラップ
百万
トン
16
タンカーのフェーズアウト時の船齢タンカーのフェーズアウト時の船齢(カテゴリー1・2)(カテゴリー1・2)
0
2
4
6
8
10
12
1973
1974
1975
1976
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
百万
DWT
0
5
10
15
20
25
30
35
廃船
時の
船齢
日本商船隊の船腹量 日本商船隊以外の船腹量
船齢20年(日本提案) 船齢23年
EU提案での船齢 現行MARPOL条約での船齢
17
EUEU案の問題点案の問題点
―タンカー市場への影響 ―タンカー市場への影響
EU提案では船齢26年まで使用できるタンカーがおり、老齢船対策としては不十分
スクラップのピークが大きいので、フェーズアウトする船と代替船が並存して、供給過剰となるおそれがある
解撤のキャパシティー(2~3千万DWT/年)を超えるスクラップが生じる
●古いタンカーは船齢26年まで使えるが、若いタン カーは 船齢15年までしか使用できないものが 出てきて、不公平
18
日本の対案日本の対案((フェーズアウトフェーズアウト))
0
10
20
30
40
50
60
70
80
百万
トン
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015 年
5,000 DWT 以上のタンカーのフェーズアウト量
日本提案(20歳又は2015)EU提案
現行MARPOL 13G
Estimated from the LMIS database
●2015年又は船齢〔20〕歳のいずれか早い期限までに廃船●船齢の高いタンカーは2005年(改正発効時)に廃船
●スクラップのピークを低くする
19
EUEUの重質油規制の内容の重質油規制の内容
重質油を輸送する600DWT以上のタンカー
は、ダブルハル構造又は同等の構造を持たなければならない。
600~5,000DWTのタンカーについては、2008年の誕生日までにダブルハルにしなければならない。
20
EUEU案の重質油の定義案の重質油の定義
摂氏15度で密度900kg/m3以上の原油
摂氏15度で密度900kg/m3以上、又は摂氏50度における動粘度が180mm2 /s以上の燃料油
アスファルト、タール及びそのエマルジョン
21
カテゴリー 1 カテゴリー 2
カテゴリー 3
ダ
ブ
ルハル
2万DWT*
5千DWT
600DWT
(DWT)
1982年6月 1996年7月*プロダクトタンカーにあっては、 30,000DWT
92年改正時現存船
重質油を運ぶタンカーの規制(重質油を運ぶタンカーの規制(EUEU提案)提案)
92年改正時新造船
直ちに直ちに
ダブルハル ダブルハル
2008年までにダブルハル2008年までにダブルハル
22
我が国における重油の年間輸送量我が国における重油の年間輸送量
393
5,707
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
外航 内航
万トン
23
小型油タンカーへの影響小型油タンカーへの影響
0
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
300,000
350,0001971
1973
1975
1977
1979
1981
1983
1985
1987
1989
1991
1993
1995
1997
1999
2001
年
DWT
日中露EU以外EU中国ロシア日本
24
日本の対案日本の対案((重質油重質油))
600~5,000DWTのタンカーも、重質油を運ぶものはダブルハル構造を要求
ただし、現存船はそのまま使えるよう、現存船への適用は2015年とする
25
内航内航タンカーのダブルハル化の影響タンカーのダブルハル化の影響
499総トン(1,000kl積)
749総トン(2,200kl積)
●政府の支援措置を検討
3,000総トン(5,000kl積)
積載量15%減
約900総トンに
総トン数5%増
26
状態評価スキーム(状態評価スキーム(CAS)CAS)とはとは
エリカ号事故後のMARPOL条約改正で導入
されたシングルハルタンカーのための検査強化スキーム
広範な部分について詳細検査の実施を要求
船舶の状態について写真・スケッチを交えた詳細なレポートが作成される
主管庁に当該レポートを承認することを要求
27
CASCASに関するに関するEUEU提案提案
EUは、CASの実施を拡大することを提案
2005年以降
船齢15歳以上
適用なしカテゴリー3中型タンカー
2005年以降
船齢15歳以上
2010年以降カテゴリー2MARPOL適用大
型タンカー
適用なし (フェーズアウト)
2005年以降カテゴリー1Pre-MARPOLの大
型タンカー
EU提案現行MARPOL
28
CASCAS対象船舶対象船舶
カテゴリー 1 カテゴリー 2
カテゴリー 3
ダ
ブ
ル
ハ
ル
ダブルボトム
現行MARPOL条約でCASが要求される船舶
2万DWT*
5千DWT
600DWT
(DWT)
1982年6月 1996年7月*プロダクトタンカーにあっては、30,000DWT
EU提案でCASが要求
される船舶
(船齢15歳以上)
シングルハル
29
CASCASに関するに関するEUEU提案の問題点提案の問題点
準備期間: CASの準備開始から完了まで、1年半~2年程度の期間が必要と見込まれている
CASの実施の集中実施の集中により、修繕ヤード及び船級協会のキャパシティを超える虞あり
約750隻
(2005年)
約490隻
(2010年)約1,900隻
EU提案現行MARPOL条約全シングルハル
タンカー
CASCASのタイムラインのタイムライン活動・マイルストーン 責任を有する主体
短5ヶ月
短2ヶ月
短8ヶ月
短7ヶ月
認定機関及び主管庁への通知
検査計画質問票を会社へ送付
会社及び認定機関へのインストラクション
検査計画質問票の回答を認定機関に返送
検査計画の作成及び合意
サイン入りの検査計画を認定機関及び主管庁へ提出
書類の審査
検査前ミーティング
CAS検査開始
会社/認定機関
会社
認定機関
主管庁
会社
認定機関/会社
会社
認定機関
短2ヶ月
CAS期限
CAS検査終了
サイン入りCAS検査報告書を認定機関本部へ提出
認定機関本部によるCAS文書のレビューと検証
CAS 終報告書を主管庁に提出
主管庁によるCAS 終報告書のレビューと検証
会社及び認定機関への適合証明の発給及び送付
認定機関本部
認定機関/会社
認定機関検査員
CAS検査結果のIMOへの送付
MARPOL締約国への情報の送付
主管庁
IMO
認定機関本部
主管庁
主管庁
31
CASCASに関するに関するEUEU提案への対応提案への対応
カテゴリー2タンカーに対するCASの実施の前倒し、及びカテゴリー3タンカーに対するCASの新規
導入を原則支持する。
しかしながら、十分な準備期間をとる必要があることから、CASの前倒し期日を2006年とするよう努
める。
また、CASのピークが大きくならないよう努める。(我が国のフェーズアウト提案では、ピークは2006年に約320隻となる。 )
32
PSSAPSSA((特別敏感海域)とは特別敏感海域)とは
船舶の運航による海洋汚染リスクに脆弱で、特別な保護が必要な海域
IMOの総会決議により指定
汚染物質排出制限や船舶の航路指定などの措置を講ずる
現在5海域を指定 グレートバリアリーフ、キューバ周辺、マルペロ島(コロンビア)周辺、
フロリダ・キー周辺、ワデン海(北欧)
cf:特別海域:MARPOL条約上の規制が厳しい海域
33
PSSAに関する海洋法条約上の根拠PSSAに関する海洋法条約上の根拠
海洋法条約第211条第6項(a):【抄】 沿岸国は、自国の排他的経済水域の明確に限定された特定の水域
において、生態学上等の理由により、船舶からの汚染を防止するための拘束力を有する特別の措置をとることが必要であると信ずるに足る合理的な理由がある場合には、権限のある国際機関を通じて他の全ての関係国と適当な協議を行った後、当該水域に関し、当該国際機関に通告することができる。当該国際機関が通告を受領した後12ヶ月以内に要件に合致すると決定した場合には、当該沿岸国は、当該水域について、船舶からの汚染の防止、軽減及び規制のための法令であって、当該国際機関が特別の海域に適用しうるとしている国際的な規則及び基準又は航行上の方式を実施するための法令を制定することができる。
34
EUEUの提案するの提案するPSSAPSSA海域海域
35
EUEU提案とそのねらい提案とそのねらい
●シングルハルタンカーによる重質油輸送の禁止
入港禁止措置は、EU規則の制定により、直ちに実施可能(本年9月目途)
PSSAを指定することにより、EEZ内を通行するタンカーも規制することができる
36
海洋法条約上の疑義海洋法条約上の疑義
海洋法条約第211条第6項(c):【抄】
沿岸国は、(a)に規定する水域について船舶からの汚染
の防止、軽減及び規制のための追加の法令を制定する意図がある場合には、その旨を(a)の通報と同時に国際
機関に通報する。この追加の法令は、排出又は航行上の方式について定めることができるものとし、外国船舶に対し、設計、構造、乗組員の配乗又は設備につき、一般的に受け入れられている国際的な規則及び基準以外の基準の遵守を要求するものであってはならない。
37
IMOIMO審議の今後の見通し審議の今後の見通し
EUは強力EU加盟15カ国:
ベルギー、ドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、デンマーク、アイルランド、イギリス、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、フィンランド、オーストリア、スウェーデン
EU加盟予定10カ国(来年5月加盟予定):
チェコ、エストニア、キプロス、ラトヴィア、リトアニア、ハンガリー、マルタ、ポーランド、スロヴェニア、スロヴァキア
EU案を修正するには、アジアと中南米の意見がまとまることが必要
38
日本の役割日本の役割
我が国の特質:組織的能力
IMOでの役割:
企業、業界団体、大学、研究機関、公益法人などと密接な協力関係ができている
安全・環境基準の効果・影響を分析でき、客観的資料とともに国際基準を提案する能力がある
より合理的で実効性のある基準採択を目指すオピニオン・リーダーとしての役割を期待されている