17
Hitotsubashi University Repository Title � : Author(s) �, Citation �, 5(1): 142-157 Issue Date 1980-06-30 Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://doi.org/10.15057/6370 Right

アメリカ財政支出の効果分析 : 序論 URL Right - …hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/6370/4/...アメリカ財政支出の効果分析 ゴ43 であること,第二にこの問題に関する従来の見解を検討し,上述の「相互関連」

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Hitotsubashi University Repository

Title アメリカ財政支出の効果分析 : 序論

Author(s) 塚田, 広人

Citation 一橋研究, 5(1): 142-157

Issue Date 1980-06-30

Type Departmental Bulletin Paper

Text Version publisher

URL http://doi.org/10.15057/6370

Right

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j42

アメリカ財政支出の効果分析

一序 論一

塚 田 広 人

 はじめに

 戦後1950-60年代以降の資本主義研究の分野における重要課題の一つに,こ

の四半世紀の先進資本主義国における一定の成長の要因は何か,という問題が

ある。

 この問題の最大の焦点は,国家の経済的役割の生成・発展と,その効果は何

か,という点にあろう。歴史的には,この国家の経済的役割の拡大過程が登場

し,定着する画期とたったのは1929年大恐慌である。ここにおいて示された大

量の遊休設備・失業という事態がそこでの最大の問題であったことは明白た事

実である。

 そこで,冒頭の問題…先進資本主義国での第二次大戦後の一定の成長の要因

・・ ェ研究される場合,そこにおける重要な研究課題の一つは,この遊休生産能

力の形成・解消過程で国家の経済政策が果たした役割を明らかにすることにあ

るといえよう。

 国家の経済政策,すなわち民間経済の運動形態に影響を及ぼすことのできる

諸政策には,金融政策,財政政策,各種の直接的統制政策だと多くの構成要素

があるが,以下の考察においては,扱う問題の範囲をアメリカにおける財政政

策に,それもその一構成要素である財政支出政策と,遊休設備・失業との相互

関連の解明に限定する。この「相互関連」の解明が筆者が念頭に置く基本的・

長期的課題である。

 以下,本稿においては,このための基礎作業として次の二点を,すなわち第

一に政府財政支出が上のようだ意味で検討の対象とさるべき重要性を持つもの

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アメリカ財政支出の効果分析 ゴ43

であること,第二にこの問題に関する従来の見解を検討し,上述の「相互関連」

の解明のためにどのような視点が必要であるか,の二点を明らかにすることを

本小論の直接の課題とする。

I戦前・戦後の生産状況と経済構成の変化

1 戦前・戦後の生産能力利用状態の変化

これに関する指標はいくつかあり,それらは1図,

            1表生産能力利用状況

年 A 年 A B

1表に示してある。

19191 83=  1   -20187-2116722≡≡85

 23 101

24 95i・・ u…「80r26 奄P08■80!

  106≡781

  111  80

11111:

  81!60

  64  50

  76;64.

  79174

  90189  1051103

  110 107

   -84   199    n2   .134

421   155

43 」19344 P≡202

 94

 65

 80

 94

 84

 91

 89

 83

 82

 83

 66

 53

 421 52「。。

168■80

」ll

- 72

1945

46

47

48

49

50

51

52

53

54

55

56

57

58

59

60

61

62

63

64

65

66

67

68

69

70

155

110

103

93

82

91

91

89

92

82

89

87

84

78

89

89

89

95

99

102

104

105

100

100

101

93

96.47

93.33

81.91

89.41

90.72

88.88

92.50

83.75

91106

91.80

88.52

76.78

84.23

82.53

78.42

81.96

82.67

85,94

91.31

97.06

93.49

92.14

94.07

87.14

89,7

80,2

90,4

94,0

91,3

94,2

83,5

90,0

87,7

83,6

74,0

81,5

80.6

84

92

86

78

80

85

77

78・5i8382.1-83

83.3  85

85.7i8888.5 90

90.5 88

85.3 86

84.6 85

83・7-83

7&6 P78

出典:1図と同じ

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ユ44 一橋研究 第5巻第1号

A△

B◎

F回

    1図生産能力利用状況Indexes of idustrial pmduction,monthly average,

1923-25=1OO(工業生産指数)

Ma皿ufact皿ring Production per real net value of

equipme皿t:FR-BEA(I血dex11967=100(設備実質純

価額1単位あたり製造業生産)

Utilization of lndustriaI capacity l Wbarton scbool

(%) (工業生産能力利用率)

Manufact凹ring Output as a percent of capacity:FR

(%)(製造業生産能力に占める実質生産割合)

Actual operating mte in manufacturing:McGraw-

Hi11(%) (製造業生産設備稼動率)

Capacity Utilizati㎝1920-39(%)(生産設備稼動率)

220

200

1島0

160

】4q

120

100

80

60

40

      パ   、

  倉!   /   。

~帆、リ戸r D・y   ¢自げ

        r〆        )

.瀞、〃、

20

192022242石挑30班3436挑ω〃44帖48505154505い汕帽264㈹㈱70

 出典:A…SCα挑此””5”αcfガ肋eひ∫.,エ938,U’S.DePa「.

      m㎝t of Commerce,U.S.G.P.O.,Washingt㎝,

      1939,p.782No.795より。

    B~E…工。mg T〃m亙。∫m刎北Gmm肋エ860一ユ970,U.

      S.Department of Commerce,U.S.G.P,0.,

      Washi㎎t㎝,1973,pp,216-217より作成。

    F…Mom伽妙∫ψ伽J,Pau1Baran,Pau1M,Sweezy,

      1966,p1232(Table n),p.237(Ta1〕le12)

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アメリカ財政支出の効果分析 ユ45

 ① 生産指数・設備稼動率について

 簡単に各指標の特徴を述べる。大別すると,A,Bの二つは生産指数を,C

~Fは生産能力の利用状態を示すものである。戦前・戦後の生産能力の利用状

態を比較するために,以下,C川Fの各指標の特徴をみよう。

 Cのr工業生産能力利用率」は,the Wharton Schoo1of Finance and

COmmerceによる,製造業,鉱工業,公益事業の三分野における各年次の生

産価額をその年の最大限可能生産価額で割ったものである。ただし後者は景気

循環中のピーク時の生産価額を基準に算出されている{1〕。

 Dのr製造業生産能力に占める実質生産割合」は,Federal Reserve Boa-

rd Indexによる,製造業における各年次生産価額をその年の可能生産価額で

割ったものである。ただし後者は,その年の生産価額をMcGraw-HiI1社に

より示される稼動率で割ったものであるω。

 Eのr生産設備稼動率」は,McGraw-Hi11社が毎年行なうアンケート調査

に各企業が答えたものであるω。

 Fのr生産設備稼動率」はDonald Streeverの作成した,製造業と鉱業の

生産価額の表をもとに,これをFedera1Reserve Board Indexの可能生産

価額で割ることによって,Baran,Sweezyにより求められたものであるω。

 以上の四つの指標のうち,C,D,Eの三者は戦後期のみを扱ったものであ

り,1920川30年代については,今のところFに頼らざるを得ない㈹。ゆえに,

戦前と戦後の生産能力の利用状況の比較のためには,戦前期についてはFを,

戦後期については,製造業・鉱工業を含むという点から,それと最も近い方法

であるCをもとに考察する。

 Fより,大恐慌前の10年間である1920~29年の平均生産設備稼動率を計算す

ると84.5%となる。Cより,1947~70年の24年間の平均工業生産能力利用率

は,これよりも高い88.2%となる。もっとも,上述のごとく,Cの指数は他の

算出方法に比べれば幾分高めになりがちな点を考慮せねばならぬが,それにし

ても,戦後の稼動率の高さは,「繁栄の20年代」にまさるとも劣らぬというこ

とがいえよう。ちなみに,Dの製造業のみの実質生産割合…これを設備稼動率

と考えても大きなちがいはないだろうが…の平均を1948~70年について算出す

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2喪 失業者数:1890~1970年(1946年以前:14才以下・1947年以後16才以上) (単位千人)

19701..

1969..

工968.、

耳g67..

1966..

i965..

1964..

1963...

1962、..

1961、、、

1960...

1959..

1958...

1957...

4,088「

2.8322・8171

2.9752,875■

3,366-

3,786-4,070「

3.911

4.714

3.8523,740i

4・60・1

2,859

4.9 1956...

3.5   1955.、3.6   1954...3.8   1953.、.3.8   1952...

4.5 :1951..

5.2   1950..5.7   1949...5.5   1948、.6.7   1947..

ll11::1:l11

6.8   1944.、4.3   1943..

.一2,276一

■2,311’12.270

1、,。。。

2.750

2.8523.5321.834

1.883

2.055

3.2883,637

 6701,070

4.1

4.4

5.5

2.9

3.0

3.3

5,31

5・9il:§!

3.9i

1.9

1.2

1.9

1942.、

1941..

1940..

1939、、.

1938..

1937..

1936..

1935...

1934...

1933...

1932..

1931...

19301.

1929..

1:lll

・,…「

9・480H

1O,390・・…「

9・030

1O・610-

11・340-

12・830■

12・060-

8・020!

1:叢8

ξ:;1

11:11

舳16,9

20・1121・7124・9123・6:

15,91

8.73.21

1928.. 1.9821927... 1.519

1926..   801

1925... 1.453

1924... 2.190

1923... 1.049

1922.. 2.8591921... 4.918

1920... 2.132

1919.、.  546

1918...  536

1917.. 1.848

1916... 2.0431.1。..」。,。。。

4.2

3.3

1.8

3.2

5.0

2.4

6,7

11.7

5.2

1.4

1.4

4.6

5.1

8.5

1914..

1913.、

1912..

1911..

1910..

1909..

1908..

1907..

1906..

1905.1

1904..

1903..

1902.、

1901..

3.1201.6711.759

2.518

2.1501.824

2.780

 945 574

1.381

1.691

1.204

1.097

1,205

7.9

4.3

4.6

6,7

5.9

5.1

8.0

2.8

1.7

4.3

5.4

3.9

3.7

4.0

190G..

1899..

1898..

1897..

1896..

1895.、

1894、.

1893..

1892..

1891..

1890.、

1.420

1.819

3.351

3.8903.782

3.5104.612

2.860

 7281.265

 904

5.0

6,5

12,4

14.5工4,4

13,7

18,4

11.7

3.0

5.4

4.O

出典:〃s助言。〃8物炊κc∫θゾ伽σ.S.,Cθ’m〃〃m2∫切ユ9701

    Bi㏄nt㎝nial Editio皿、Part2,U.S.Bureau of the C㎝sus.U.S.G.P.0.Washington,1975,Series D85-86より。

                               2図  ツ{≡莱一。斉{

                     18呂。年  i舶。  looo  lo   皇。   ヨ。   仙   50   信。  =目70

里5

20

15

10

5

0’

出典:I-o,1罠To川Ec0110m1c Gm“It111P-41よ一〕。

一八軌

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アメリカ財政支出の効果分析 ユ47

ると,85.2%となり,これも戦後のr活況」を支持しているようである。

 ②失業率について

 これは2表,2図に示したとおりである。

 2表より,1890~1969年の,10年ごとの平均失業率を求めると,次のとおり

である。

    1890~99年  10.4%    1930~39年  18.2%

    1900~09年  4.4%     40~49年  5.2%

     10~19年  5.0%     50~59年  4.5%

     20~29年  4.7%     60-69年  4.8%

 また,大恐慌前の20年間(1907~28年)と戦後の20年間(1951~70年)の失

業率はそれぞれ,5.5%と4.6%とな乱

 このように,設備稼動率と失業率のいずれによっても,そこに示された数字

は戦後の生産状況が戦前のそれに比べ,同等以上の「活発な」状況にあること

を示しているといえよう。

 2 戦前・戦後の成長率の変化

 上に示された特徴は,成長率の比較によって,更に確かめられる。(3表,

3図)

3表成長率(1909~1970)

ユ910年i …%1「2・ 40「8.5一4.4 30 一9.9 50 9・6i 60 2.5

11 2.6 -121 一8.7 31 一7.7 41≡16.1@ ;42i12.9

51 7.9 61 1.9

12 1 5,7 22 15,8 32 一14.8 52 3.11 62 6.6

13 一 O.9 23 12.1 33 一1.9 43113.2 53 4・511 63 4.O

14 一4.4 24 一0.2 34 9,O  一!

S4一 7.2 54 一1.4 64 5.5

15 .一〇・9 25 8.4 35 9.9 45 一1.7 55 7.6 65 6.3

16 :7,9 26 5.9 36 13.9 46 一12.O 56 1.8 66 6.5    1P;r111;    ■ 27 一〇.1 37 5.3 471-O.9 57 1.4 67 2.6

28 O.6 38 一5,1 48≡ 4.5 58 一111 68 4.7

19 一3.6 29 6.7 39 8.6 49!O.1 59 6.4 69 2.6

i70 一〇.6

算出方法:L.T.E.G.PP.182-183A.2G.N.P..BEA指数より計算。

   (例)1920年の成長率=(1920年のGNP-1919年のGNP)÷1919年のGNP

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プ48 一橋研究 第5巻第1号

成長率 宮図(3表より作成〕

ゾ 1    ’’一■Ill.....

       I酬。1蜆 I4 10 1島 20 舵 別 舶 朋 30 珊 畠4 甜 朗 {o 〃 仙 珊 砧別 齪 51!兜 朋 石。 曲 脳 蝸 冊 f0

        年

 3表より,1910~69年の,10年ごとの平均成長率を求めると,次のとおりで

ある。

    1910~19年  2.4%    40~49年  4.8%

     20-29年  3.6%    50~59年  4.O%

     30~39年  1.0%    60~69年  4.3%

 次に1910~28年の19年間と,1952~70年の19年間の平均成長率を比べると,

それぞれ2.8%と3.4%となり,戦後の方が戦前よりもわずかながら高い数値を

示してし・る。

 3 戦前・戦後の経済構成の変化

 以上のごとく,設備稼動率,失業率,成長率はいずれも,戦後の生産状況が

戦前の大恐慌以前のそれに比べ,同等以上の「活発な」状態にあることを示し

ている。しかし,これら三つの指標はいずれも総体としての生産状況を概観し

たものにすぎない。大恐慌を境とするアメリカ経済の変化を問題とするために

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アメリカ財政支出の効果分析 j49

4表 C N Pの構成要素単位:、。億ドル(麟二鵜離:鍵驚)

 年1910

 11 12 13 14

1516171819

2021222324

2526272829

3031323334

3536373839

4041424344

4546474849

(1〕

GN P

52.1r

54,855.2.

55,8

57.9

59.1-

59.6-

62,3

64,9

67.8

68,5

65,5

70,480,081.6.

84.3,

89,890,691.9

203.6

183.5

169.3

144.2141.5≡

154.3

169.5

193.0

203.2

192.9209,4=

227.21

263.7

297.8337.1

361.3

355.2

312.6309.9

323.7

324.1

(2)

個人消費

1細

42.O-

44.I

45,2

46,746.1:

45.31

49,4

48,3

48,1

50.2

(3)

民間固定資本投資

(3〕

而%

ω(財サービス)

政府議入計

一(5〕     (6)

 うち    州,地方政連邦政府分  府分

(4〕

而%(5〕

(カ%

52,7

56,1

58,1

63,4

68.1

66,1

71,5

73,2

74.8

139.6

130.4-

126.11

114.8112.8‘

118.1

125.5

138.4143,1,

140.2148.21

155.7

165.4

161.4

165.8

171.4

183.0

203.5206.3

210.8216,5

68.61

71.11

綱79,7

76.5

74,071.7≡

70,4

72,7

70.8

68,5

62,7

54,249.2≡

47.41

51,5

65,1

66,6

65,1

66.8

7.7

8.2

8.0

7.4

7.5

7,5

7.3

7.7

8.4

8.1

7.9

8.2

8.4

8.89.9;

10,7

11.O11.7・

11,6

26.5

21,7

14.1

8.27.6-

9.2

11,5

15,8

18,8

13,7

15.3

18,9

22,2

12,510.0-

13・4,

198■302≡3621

38,0

34,5

13.O

11.88.3-

5,7

5.4

6.0

6.8

8.2

9.3

7.1

7.3

8.3

8.4

4.2

3.0

3.7

5.6

9,7

11,7

11,7

10.6

3.9

4.6

4.6

4.5

4.8

5.0

4.7

7,0

16.5

9.7

5.66.5■

6.4’

6,3

6.9

7,4

7.4

7,9

8,2

22.O

24,3

25,4

24,2

23,3

26.6

27.α

31.8-

30,8

33,9

35.2

36.4.

56.3

117.1

164.4

181.7

156,448,4

39,9

46,3

53.3

10.9一

13,2

15,0

16,8

16,5

17.2

15,9

16.5

151217,616.8一

16.01

21,4

39,3

48,850.3

440■

15,5

12,9

14,3

16,4

3,5   1.7- 18.5

4.04.3ヨ

4.6≒

6.0

8.O

7,9

12,2

11,5

13,3

12.5

15.0.

36,2

98.9

147.8

165.4

139,730,1

19,1

23,7

27.6

2.2.

2.5

3.2

4.2

5.2

4,7

6.3

5.7

6.9

6,O

6,6

13,733.2.

43.8-

45.8

39.3

9.6

6.2

7.3

851

20,221.玉

19,6

17,3

18.6

19,2

19,6

19,4

20,6

22.7

21,4

20,1

18,3

16,6

16.3

16.7

18420822,7

25.7

(6〕

而%

9.1

11.O

12,5

13,6

12,2

12,1

11,3

10.1

9,5

10,7

10.8

9,4

7.6

6.1

4.9

4.5

4.7

5.9

6.7

7.0

7.9

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ゴ50 一橋研究 第5巻第1号

5051525354

(i)

355.3

383.4395.1

412.8407,O

55-438.0561446.1

劉鰐:;

59≡475,9

60!487.7=

611497.262152986364

656667686970

551.O-

581.1

617.8+

658.1675.2コ

706.6ミ

724.7720.0

(2)

230.5-

232.8239.4-

250.8255.7

274.2281.4

288.2290.1

307.3

316.1

322.5

338.4

353.3373.7

397.7418.1

430.1

452.7469.31

475.9

64・9-

60・71

60,660.81

62.8,

62・6.

63.1!

63,7

64,9

64,6

64,8

64,9

63,9

64,1

64,3

64,4

63,5

63,7

64,1

64,866.1

(3〕  %

37,5

39,6

38,3

40,7

39,6

43,9

47,3

47,4

41,6

44,1

47,1

45.5.

49,7

51,957.8,

66,3

74,1

73,2

75,6

80,1

78.6

10.6≡

IO.3

9.7

9.9=

9・71

10・0-

10.6-

10・5,

9.3.

9,31

9.7-

9.2

9.4

9.49.9・

10,711:1≡

1字111

10.9

(4〕

52,8

75,4

92,199.8.

88,9

85,285.3.

89,3

94,2

94,7

94.91

100.5「

107.5≡

109・61

111.2

114.7

126.5

140.2

147.7

145.6139.4

14,9

19,7

23,3

24,2

21,8

19,5

19.1

191721,1

19,9

19,5

20,2

20,3

19,9

19,1

18,6

19,2

20,820,9

20,1

19.4

(5)  %

25,3

47,463,8

70,056,8

50,7

49,7

51,7

53,6

52,5

51,4

54,660,0

59,5

58,1

57,9

65,474,7

78,1

73,8

65.4

7,1

12,4

16,1

17,014.01

11.6」

11,1

11,412.0-

11.0≡

10,5

11,0

11,310.81

10.0-

9.4

9,9

11,1

11,1

10.2

9.1

(6)

27,5

27,9

28,429,7

32,1

34,4

35,6

37,6

40,6

42,2

43,5

45,947,5

50,1

53,2

56,861,1

65,5

69,6

71,9

74.O

7.7

7.3

7.2

7.2

7.9

7.9

8.0

8.3

9.1

8.9

8.9

9.2

9.0

9.1

9.2

9.2

9.3

9.7

9.8

9,9

10.3

出典:工。m厚τ〃m肋momゴ。 G〃mmエ860一プ970.U.S.Department of Commerce,

    U.S.G.P.O.,Washingt㎝、1973,(1〕はPP.182~3のA2,A3,/2〕はPP.

    184~5のA23.A24,(3)はPP,186~7のA29,A30,(4),(5〕,(6)はPP.

    186~7のA33,A34.A35.A36より作成。

    年号は暦年,ただし,1929年以前の数値については,A3,A23,A29,A33を

    10億ドル単位に直して使用している。

5表構成比平均 (10億ドル,’58年価格)

’31~40年

41~50

51~60

61~70

(・〕(深み)1(・)

1804,5  73.3(%)

3240,7       59.1

4345,8       63.0

6261,5      64.4

(3)

7.4

7.8

9,9

10.4

(4〕

16,3

28,3

20,7

19.8

(5)

5,3

22,0

12,6

10.3

(6〕

11.1

6.3

8.1

9.5

1929年

52~70

          68.6(%)

10223,9       63.9

13.O

10.2

10.0      1.7      9,1

20,2     11.2      9.0

算出方法

例:Σ(2)の価格÷Σ1(1)の価格

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アメリカ財政支出の効果分析 フ5ゴ

は,すなわち1930年代と第二次大戦を経て,何ゆえ,戦後の生産状況が大恐慌

以前の時期に匹敵するような活況を持続してきたかを解明するためには,次

に,両時期の経済構成にどのような違いが生じているかを問題としなければな

らない。

 そのために以下,GNPの構成要素の移り変わりをまず調べてみよう。ここ

では,その合計額がGNPの9割前後を占める三つの構成部分に焦点を絞る。

それらは,個人消費,民間固定資本投資,政府購入{6〕の三つである。(4表,

5表)

 4表の一部を10年ごとに作り直したものが写表である。5表において,1929

年時点でのGNP構成と戦後19年間のGNP構成とを比較すると次のような特

徴があることがわかる。

 1)個人消費支出の(全GNPに対する)比重は,68.6%→63.9%と減少し

  ている。

 2)民間固定資本投資の比重は,13.O%→10.2%と,やはり減少している。

 3)政府購入は,同時期に,連邦・地方・州政府を合わせて,10.8%→20.2

  %と倍増している。

   そのうち,地方・州政府の比重は変わらず,連邦政府購入のみが1.7%

  %→11.2%と,7倍近くに増加している。

 4)数字の上から見れば,個人消費と民間固定資本投資の減少分の合計=7.5

  %は,連邦政府の比重の増加分=9.5%によって補われる形となっている。

 4 小   括

 以上の検討の結果{7〕は,1930年代の長期不況と第二次大戦時の活況を経過し

て,アメリカ経済の運動構造は大きく変化し,この変化が,前述した設備稼動

率,失業率,成長率の変化を生み出したことを推測させる。

 この構造変化の主要点は,個人消費と民間固定資本投資の比重低下と,連邦

政府購入の比重の増大である。これらが,1930年代の長期不況期の,民間にお

ける低い設備稼動率,低い成長率,高い失業率という状況に,政府がどのよう

に対応する中で生み出されてきたものか,更に,そこでの政府購入の高い水準

での定着という要素が,戦後の高い成長率を生み出した経済構造の中でどのよ

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ユ52 一橋研究 第5巻第1号

うな役割を果たしてきたのか,これらの問題が解明さるべき課題となる。

II財政支出の構造と効果

一その分析方法の検討一

 1 はじめに

 本節においては,政府支出の役割の問題への取り組み方について従来のいく

つかの見解を検討し,今後の分析の方向を探ることが直接の課題である。

 まず留意すべき点は,政府支出の「役割」という時,ここでは,政府支出が

失業と遊休生産設備の解決のために果たす「役割」に限定してよいという点で

ある。それは,30年代の長期不況期に初めて政府支出の急速た拡大過程が始ま

ったこと,更に,戦後の政府支出等経済政策が1946年雇用法によって基礎づけ

られていることを見れば,これら経済政策とその一部である財政支出が,失業

の解消,遊休生産設備の解消を最大の目標としていることは明らかであり,そ

れゆえ,財政支出の効果の判定基準も究極的にはここに置かれるべきと思われ

るからである。

 2 諸見解の検討

 ① 理論的検討の端初一八ソセ1/,コルムー

 アメリカにおいて,30年代の不況過程を目の前にして,政府支出が景気回復

過程において果たす役割を検討した代表的なものに,ハンセン㈹,コルムωら

のケインズ的財政論がある。ケインズ的財政論においては,政策論の対象とな

る政策手段は,財政収支総額,財政収支差額など,ごく少数のものに限られ

る。ハンセン,コルムらは,これらの用具をもちいて30年代の不況過程を分析

することによって,赤字財政支出による国民所得増大効果を説いた。そこでは

もっぱら,財政支出の増減と国民所得の増減との相関関係が問題とされ,支出

の内容・構造と民間経済の構造との関連については…すなわち,公共事業支出

あるいは救済支出などの形態をとって膨脹していった財政支出が,その各形態

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アメリカ財政支出の効果分析 j53

によって,どのような雇用効果,あるいは遊休生産能力の解消効果を持ちえた

のかという点については…ごくわずかの考察(ユ0〕しかなされていない。

 ②「財政支出」の実証的検討一ケントリック,ペイター一

 財政支出それ自体の実証的検討に限るならば,アメリカではこれまで,財政

支出をいくつかの構成要素に分類し,その増減傾向を中心的な関心事として研

究したものが,ケントリックα1〕,ペイター12〕などによってある。ケントリッ

クの主張は,1)政府支出が特に1930年代を境にして急増傾向にあること,2)ア

メリカが参加した四つの戦争のあとには,いずれもその戦争を契機とした,高

原安定的支出水準への転位が見られること㈹,である。ペイターの主張は,政

府経費のうち,「政府が,民間が利用可能た資源をどれだけ吸収しているかが

問題である」という視点から,移転的経費を除く,政府による購入からたる

「消耗的」支出を問題とし,この支出の1950年代の増カロ傾向は民間投資や個人

消費を抑えつつたされたものではない,.というものである{14〕。しかし,この両

者のいずれによっても,政府支出が具体的に各支出形態によってどのような雇

用効果等を持ちえたかという点は,殆んど追求されていない㈹。

 このように,従来のアメリカにおける財政支出の研究の中で,政府支出の各

形態における雇用・生産拡大効果という視点から,財政支出構造と民間経済構

造との関連を,大恐慌以降歴史的・実証的に分析したものはあまりなかったと

言えるαω。

 ③r財政支出の経済的効果」の実証的研究一ガルブレイズー

 ニューディール期の経験を対象として,1940年に出されたガルブレイスによ

る調査報告二17〕は,財政支出の経済的効果を実証的に調査し,明らかにしようと

した数少ない研究の一つである。彼はこの中で,1930年代のニューディール期

公共事業支出の効果を,雇用創出,生産拡大の両面において,その一次的効果

に限ってではあるが,詳しく検討している。

 彼は,その結論として,財政支出の雇用・生産拡大効果を高めるために,政

府機構上の制度的欠点としてタイムラグの問題などを改善すべき点としてあげ

,又,わずかではあるが,民間産業については,独占企業の存在が資材価格を

吊り上げ,結局財政支出の需要効果を減少させる点についても言及している。

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j54 一橋硯究 第5巻第1号

 政府支出の効果,特に雇用・生産拡大効果を評価するためには,四つの評価

基準が考えられよう。第一は政府支出全体額から見た効果,第二は支出各構成

要素別の効果,第三は支出制度別の…支出の主体,あるいはタイミング等によ

る…効果,第四は被支出産業の構造…独占的要素等…による効果,である。ガ

ルブレイスは,このうち, 「支出構成要素別」ならびに「支出制度別」の効果

を中心とした研究を行なったものである。しかし,それ以降の財政支出効果の

研究は,①のハンセン,コルムの欄で示したごとくの,支出総額の問題,ある

いはタイミングの問題(1宮〕に主たる注意が向けられ,支出の構成要素のそれぞれ

が生み出す効果,また被支出産業の構造による効果のちがいなどの,いわばセ

ミ・マクロ的た実証的・歴史的検討は不十分であったといえよう。

 3 小   括

 政府支出が全体として生み出す経済的効果は,各個別支出と,支出の制度的条

件,被支出産業における産業構造の三者が組み合わさって生ずるものである。

 この視点に立って,ガルブレイスの研究に示されるごとくの,セミ・マクロ

的レベルにおける雇用・生産拡大効果の分析を,大恐慌以後の政府支出に関し

て実証的・歴史的に行なってゆくことが,冒頭に設定した課題,すたわち財政

支出が遊休生産能力,あるいは失業の解消にいかなる効果を持ちえたかという

基本的・長期的課題の解明のために,現在必要とされている有効な分析視角の

一つであるといえよう。

(注)

(1) U.S.Department of Commerce,LonぷT〃m亙。mom5c Gm〃肋,U.S.G.

  P.0.,1973,p.164.

(2)  ibid.,p.162。

(3)  ibid.,p.164。

(4) Paul Baran,Paul M.Sweezy,Mom伽りCψ物’,1966,pp.232,237、

(5) この指数の信頼性はかなり高いと思われる。Fによれば,1929年の設備稼動率

  は83%であるが,この数字は,E.G.Nourseらによって,異なった計算方法に

  よって出された数字と一致することからも,それが推測できる。(E.G.Nourse,

  λ刎m{c〆∫C助m伽幻〃。am,Was阯ngton,D.C.,1934,p.415)。

(6) 「政府購入」の原語は,gOvemment purchases oi g00ds and servi㏄s、 こ

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アメリカ財政支出の効果分析 ユ55

れは,政府経費総額から移転的支出,国債利子,政府事業への純補助金の三つを

差し引いた残りの部分をさしている。

 政府購入と移転的支出の間には,1929年から1975年にかけて,後者の割合が高

よってぎている,という関係がある。

・・政府購入額1・.移転的支出額

年(単位:1O億ドル)

A(%)五十一直 一』_(%)A+B

1929 8.8I

1.5 85.4 14.6

39 13.5 4.1 76.7 23.3

46 27,5 1810 6G.4 39.6

56 79.4 25.1 76.0 24.O

66 158.7 54.9 74.3 25.7

75 339.G 191.8 63.9 36.1

(亙ωmmたRψoれ。グτ加Pm∫〃伽ら197τU.S.G.P0.,p.196)

(7)1929年の数値が,1922~29年の好況期をどの程度代表しうるかの参考として,

  A表・A図をあげておいた。これによれば・1920年代においては,1)個人消費支

  出とGN Pとの相対的大きさはほぼ一定であった。2)民間固定資本投資は,1926,

A表

1922~’29年の諸指標の動き(1929:100)

(1)GNP    i (2)個人消費 1・)騨藤 (・)魏政府 (・〕蟻労政府

1922 100 100 100 1OO 100

23 114 109 105 99 108

24 116  」  117 118 94 116

25 120 114 127 95 工25

26 128 123 156 93 133

27 129 126 166 95 141

28 131   ■ 129 165 98 146

29 139 136 151 101 148

出典:(1),(2),(3〕はL,T.E.G.のpp,182~187のA.3,A.23,A.29より計算。

   (5〕,{6)は,Copeland,Morris A.,Tmma5切Gωemm助ハmm肋&PP.38.

   46より計算。(1〕~(3〕は1929年ドル価表示に・(5)・(6)は時価表示にもとづい

   ているが,1922~1929年にかけての物価上昇は殆んど重要性を持たない程度の

   ものである。

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j56 一橋研究 第5巻第1号

A図1922-29の諸指標の動き(6表より作成)

170

160

150

ユ40

130  //x

(3)

‘(6)

  (1)

ノ(2〕

一昨一

120 派ノ’

\/ x

11o

1OO 一一一一S ム’

’’ム(5)

\か一一一小、  ’一ム’       、仕90

   1922    23    24    25    26    27    28    29

  27,28年と・その相対的大きさを急激に増加させた。3)連邦政府支出の相対的大

  きさは,20年代前半の方がやや大きかった。叉,地方政府支出の相対的大きさは

  20年代後半において若干増加した。これらのことが明らかとなる。これらの事実

  はいずれも,1929年と戦後期の比較の結果示された「20年代から戦後期への構成

  変化」の諸特徴・諸傾向を・基本的には支持していると考えられよう。

(8)A.H.Hansen,〃5c〃Po〃。ツmd肋5伽e∬C〃e∫,1941、邦訳『財政政策と

  景気循環』,都留重人訳

(9) Gerhard Colm,亙∬〃s伽P〃〃。〃mmc2α〃珊∫cα’Po〃。ツ,1951,邦訳

  r財政と景気政策』・木村元一他訳

(1O)ハンセンが・「どのような」支出が,民間経済の「どのような」構造に規定され

  て,どのような効果を持ちうるか,という問題について述べている数少ない意見

  の一つに・救済資金撒布と公共建造支出のどちらがより多くの雇用を生むか・に

  ついて述べた次の見解がある。

  (救済資金撒布という方法に対して)r公共建造のための支出が雇用に及ぼす影響

  は・はるかに大きいと言える。そのわけは…深刻な不況の時期に著しく沈滞する

Page 17: アメリカ財政支出の効果分析 : 序論 URL Right - …hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/6370/4/...アメリカ財政支出の効果分析 ゴ43 であること,第二にこの問題に関する従来の見解を検討し,上述の「相互関連」

ユ57

  のは建築業と重工業,すなわち固定資本生産の分野である」からである。 (前掲

  (8〕, チβ訳 p. 89)

(11) M.Slade KeIldrick,λCem肋ηmdλ〃αゲ。グ地ae7α’亙功ena〃mω,N

  B.E.R.,1955.

(12) Francis M・Bator,丁屹e Qm5〃。mガGommmmf助m励m8,N・Y・,1960・

(13) Ke口drick,op.cit.、P.13.

(14) Bator,op,cit、,p.69.

(15)マスクレイヴらによる公共経済学においても,公害,都市問題など・政府支出・

  政府活動の不足な分野があることに対応しようという問題意識はあるものの,こ

  こに示した問題については殆んど検討されていない。 (この点については,宮本

  憲一,r現代経費論」『現代財政学体系1』,有斐閣,1972,p.68.

(16)比較的近い視点で行なわれた研究をあげるとすれば・メルマン・ワイデンバウ

  ム,ボウルディンクらのものがある。その共通点は,財政支出の一部である軍事

  支出に注目し,それが民生支出を圧迫し,結局民間経済の衰退を生んでいる,と

  いうものである。これは財政支出構造の一部である軍事支出と,民間における軍

  需産業と民生産業の相互関係を扱っているという点では・すなわち財政支出構造

  と民間経済構造との相互規定関係に注目しているという点では,すぐれた面を持

  つといえよう。が,軍事支出以外の財政支出をカバーしていない点・さらに民間

  経済構造の変化・その好況,不況過程が軍事支出,財政支出の拡大過程にどう影

  饗してき一たか,という視点を欠いている点では弱点を残していると考える。

  (Seymour Melman,P刎オαgom Cψ肋〃舳11970,〃e P〃mαm〃〃か肋。-

  mmツ,1974.Murray L.Weid㎝baum,〃e疵。m〃。50グPem’{me Deグe-

  me,1974.Ke㎜leth E.Boulding、“The Impact of the Defense I皿dustry on

  the Structure of the American Ecommy”、in Be-lard Udis ed.,〃e幽伽一

  〇mたCom∫emm㈱oグ灰〃maM舳〃ツ∫カe〃脇1973.)

(17) John K.GaIbraith,丁加亙。ommκ亙ファecおガme Pm〃北㎜o〃5亙ψe〃一

  κme∫j933_38,U.S.G.P.O.,1940.

(18) タイムラグの問題は,戦後も引続ぎ多くの論者によって指摘され,提言が行た

  われてきた。例えばケネディ大統領は,議会が大統領に,失業が増大している場

  合に20億ドルまでの公共投資をいつでも開始しうる権限を与えるよう勧告した。

  (Jesse W,Markham,ed.,〃eλmeルm亙。momツ,N.Y.,1963。邦訳『ア

  メリカの経済』嘉治元郎監訳,p.180)又,ヘラーらは,OECDへの報告書の中

  で,「政府支出のタイミングについての,中央における調整機能を強化する必要

  がある」と勧告している。(Walter W,He11er,ed.,ハ∫cα’Po〃。ツバ07λB〃一

  mc2棚ωmmツ,0ECD,1968、邦訳r景気調整と財政政策』内E日忠夫他訳,p.148)

(筆者の住所:〒190立川市栄町6-5-44)